2020年7月中旬・午後16:00頃・くもり
道端の花壇に咲いたマルバハッカ(別名アップルミント)の群落でフタモンアシナガバチ(Polistes chinensis antennalis)のワーカー♀が訪花していました。
この組み合わせは初見です。
クロヤマアリ(Formica japonica)のワーカー♀がガードしている花穂では、吸蜜する蜂は追い払われ、隣の花に飛んで逃げました。
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・キンカメムシやマルカメムシは半翅鞘をあえて退化させ、小楯板を極端に発達させた。背面後半部を完全に覆うことで強度がより増す。この形状は、速く、より遠くへ飛ぶ能力を強化した。
・(キンカメムシ類は)前・後翅とも小楯板の下部に収まっているから、飛翔時も見かけは変わらない。
・西日本の温暖な海岸部に生息するオオキンカメムシの移動力にも定評があり、果敢にアルプス越えにチャレンジすることが知られている。こうした事実は、キンカメたちの高い移動・分散能を如実に物語っている。(p21より引用)
オオキンカメムシは、25mmに達する日本産では最も大きなキンカメムシで、関東から南の海岸の暖かな地域の照葉樹林で生活している。(中略)飛翔力が強く、北海道や東北でも採集されている (p60より引用)
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シタキモモブトスカシバでは、後脚の脛節外側に黄色や橙黄色の長毛が密生して膨らんでおり、身体の一部分や色彩模様が擬態しているだけでなく、まるでミツバチ類やマルハナバチ類が後脚脛節の花粉バスケットに黄色の花粉を集めて膨らんでいる状態によく似ている。形態だけでなく、花粉を集めた状態に似せているという非常に特異な擬態である。 (p72より引用)
もしかすると、アマガエルはシタキモモブトスカシバのベイツ型擬態に怖気づいて手出しをしなかったのですかね?
これらの蛾類(スカシバガ科:しぐま註)のハチ擬態の効果のほどは実験的に確かめられているわけではない (p69より引用)
♂は、これぞと思う♀をみつけると、しきりにそのあとを追いかけます。つばさや尾羽をふるわせながら、ピイピイ、コロコロとスズメとも思えないきれいな声で鳴きます。 (さえずり:しぐま註) エンマコオロギのようにすんだきれいな声です。
つがいになると、♂は♀とならんで止まり、♀の羽毛をやさしく、つくろってやります。しかし、仲のよい夫婦ばかりとはかぎりません。♂が飛びのって、交尾しようとしたとたん、ぱっと飛び立って、どこかへいってしまう♀もいます。
♀が、からだをかがめると、その上に♂が飛びのり、またすぐに飛びおります。同じような動作が、4〜5回くりかえされます。これが交尾です。
交尾すると♀はすぐ身ごもり産卵するので、巣を先に用意しておかなければならない(中略)。
巣造りが一段落すると、♂は♀に付きまとうようになる。しかし、まだその気にならない♀は勝手気ままに行動し、その後を見失うまいと必死に追いかける♂の姿はけなげである。♀が立ち止まると、すぐその周りを、全身の羽毛を膨らませて大きく見せ、気取ったような格好で気ぜわしく歩きまわり、ヒヨヒヨヒヨ…と、これがスズメの鳴き声かと思うような甘く優しい声で愛をささやく。♀が移動すると、すぐその後を追い、止まると、また同じことをする。こんなことを何度も繰り返しているうちに♀もしだいにその気になってくるようで、体を低くして背を反らせ気味にして尾を上げ、下げた両翼の先を小刻みに震わせるとOKである。♂はすかさず♀の背に飛び乗り、羽ばたいてバランスをとりながら腰を低めて慎重に尾を交差させたかと思ったら、もう一回の終わりで、飛び下りている。この間ほんの数秒で、実にさばさばしており、こういうことを普通三、四回繰り返す。♀が羽繕いを始めたらもう終わりで、その後は♂がどんなに誘ってもだめである。 (p69より引用)
交尾。ヒヨヒヨヒヨ…と独特の甘い鳴き声で気づかされることが多い。 (p70より引用)
鳥の場合、総排泄口(哺乳類意外の脊椎動物の場合、排泄物も精液も卵もすべて出口がおなじなので、こう呼びます)を接触させて交尾するため、♀の協力がないと交尾は極めて難しくなります。
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オオモモブトスカシバ M. sangaica と長い間混同されていたが、1987年に分離された。2種は同所的に見られる地域が多いものの、本種の方が北方系(東北地方では本種のみ確認されている)。見事な生態写真を添えて、近縁二種の見分け方も詳細に記述されていました。
(オオモモブトスカシバやシタキモモブトスカシバは訪花の際に)前脚を花にかけて空中で翅をはげしく動かしてホバリングしながら、セイヨウミツバチやマルハナバチ類のように後脚を「く」の字に曲げて交互に動かして吸蜜しながら花から花へと移動していく。飛翔しながら後脚を「く」の字に曲げて交互に動かす行動は、ミツバチ類とまったく同じである。 (p68〜69より引用)
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華奢な体格。オレンジ髭。この特徴的な口髭が雄蜂♂の特徴のようです。
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