2013年8月中旬
前回の観察記録はこちら→「フタモンアシナガバチ♀がユリズイセンの花で盗蜜!?」
交差点横の花壇を翌日に再訪しました。
驚いたことに、今度はユリズイセンに正当訪花して吸蜜しているフタモンアシナガバチ(Polistes chinensis antennalis)のワーカー♀がいました。
花の奥に潜り込んだまま、なかなか出て来ません。
正当訪花 |
正当訪花 |
少なくとも2匹のワーカーが繰り返しユリズイセンを訪花しており、もう一匹の個体は前回と同じく盗蜜していました。
花筒の根元を外側から噛み破り穿孔盗蜜しているのか、あるいは別種の蜂が噛み切った盗蜜跡を利用して吸蜜しているのか、どちらでしょう?
盗蜜 |
盗蜜 |
盗蜜 |
盗蜜 |
この夏あちこちの花壇でユリズイセンを気にして見て歩くと、色々な品種があるようです。
満開に咲くと大きく開いた花弁の根元に隙間が自然に生じることが分かってきました。
花筒の形状をなさなくなるのです。
こうなれば舌の短い蜂もわざわざ穿孔盗蜜する必要はなく、花弁の隙間から容易に蜜腺を吸えることでしょう。
つまり咲きかけのユリズイセンを訪花するフタモンアシナガバチの行動は、穿孔盗蜜ではなく「花弁(花びら)や蕚(がく・花被片)の間から蜜を吸い取る」タイプの盗蜜行動なのかもしれません(wikipediaより)。
雄しべに触れずに吸蜜するので花の受粉には関与せず、盗蜜と呼ぶのは問題なさそうです。
ユリズイセン(アルストロメリア)は南米原産の園芸種ですから、たとえ蜂が受粉してくれなくても人工受粉などにより見栄え重視で品種改良されてきたのかもしれません。
(追記:おそらくユリズイセンは球根で増やすのでしょう。)
全く別の花壇で後日に撮影。隣り合う花弁の間に根元にも隙間ができる。 |
この日私が観察していた限りでは、盗蜜個体が正当訪花に切り替える例もその逆も見られませんでした。
(つまり、盗蜜の常習犯がいるのです。)
同一個体が時と場合に応じて2つの採餌戦略をスイッチするのか、個体差や日齢、体長の違いによるものなのか、経験や学習の成果なのか、同じコロニー出身なのか、など知りたいことがたくさんあります。※
そのためには先ず蜂を生け捕りにして採寸したり個体標識したりする必要があります。
こんな人通りの多い場所で目立つことをやり始めたら間違いなく「何してるんですか?」と尋ねられ、虫嫌いの人だと大騒ぎして蜂の駆除業者に通報されそうです。
これからも定点観察に通いたいので、そんな事態はなんとしても避けたいところです。
個体識別のマーキングは泣く泣く諦めました。
いかにも花壇に咲いた綺麗な花を撮っている風を装ってさり気なく観察するだけにとどめます。
※ ちなみに、オオマルハナバチでも春に咲くタニウツギの花で穿孔盗蜜する個体と正当訪花する個体が2種類います。
関連記事→「オオマルハナバチ♀の盗蜜行動」
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