2011/10/15

石灯籠に作った泥巣を訪れるスズバチ

2011年9月下旬


石灯籠の段差の角の部分にドロバチの仲間が作った泥巣を見つけました。
左側の独房は既に泥で封じられていますが、隣接して作られた右側の独房は徳利状の入口が開いています。
石灯籠の屋根の部分に作られているので、珍しく無防備な雨ざらし状態なのが少し不思議です。
雨で泥が溶けたり巣口から浸水したりしないのだろうか。





なかなか主が姿を現さず、翌日見に行っても泥巣の形状に進展がありません。
本当に営巣中なのかどうか確かめるために、理想を言えば監視カメラを設置したいところです。
しかしお金がないので知恵を絞り、巣口に草の茎を差し込んでみました。
しばらくすると、いつの間にかこの草は無くなっていました。
帰巣したハチが邪魔な障害物を引き抜いたと思われますが、風で飛んだ可能性もあります。
しつこく今度はイネ科の葉を緩く巻いてから巣口に差し込んでみました。





そうこうしていると、ようやく石灯籠を訪れたハチの姿を目撃。
(この動画を撮る前に2〜3回ちらっと見ている。)
主の正体はスズバチOreumenes decoratus)でした。
ハチは身繕いするとすぐに飛び立ってしまいました。
残念ながら巣口の草を取り除く証拠映像は撮れていません。
泥巣への出入りや貯食活動を見ていないので、ただの通りすがりのスズバチが石灯籠で休息や日光浴していただけという可能性もあります。
しかし泥巣の大きさや形状も典型的なスズバチの作品ですから、主と考えてまず大丈夫でしょう。
本能の進化―蜂の比較習性学的研究』p248に掲載された検索表によると、スズバチの泥巣は

  1. 数壺は一塊にされ、全表面は後に厚く煉土で覆われる。
  2. 各壺は四半球型で大型であり、長径を水平に定位する。



もう少し定点観察してみます。
(つづく→泥巣の発掘篇) 


【追記】
(スズバチ♀の)営巣初期は神経質で、しばしば(泥巣を)放棄する。
新開孝『虫のしわざ観察ガイド—野山で見つかる食痕・産卵痕・巣』p138より引用







2011/10/14

駆け足で石碑巡りをするシギゾウムシの一種【名前を教えて】



2011年9月下旬

シギゾウムシの仲間を初めて見つけました。
なんとも可愛らしいフォルムですね。
鼻高々でなぜか石碑の上をひたすら走り回っていました。
一体どこを目指しているのか、まさに堂々巡り。
映像をもう少しタイトに編集して「石の上にも3分」というタイトルにすればよかったかも。


撮影後に採集しました。
シギゾウムシ類も奥が深いようで、虫我像掲示板にて教えてもらったサイトで少し調べてもよく分かりませんでした(コナラシギゾウムシ? クリシギゾウムシ?)。
隣家の庭には若いクリの木が一本植えられており、更にその奥は雑木林です。
シギゾウムシの体長は長い口吻も含めるのだろうか?




写真鑑定で和名と性別が分かる方がいらっしゃいましたら是非教えてください。



♀が木の実に産卵するためのドリル工事も見てみたいですし、いつかドングリや栗の実を拾ってきて幼虫から飼育してみよう。






2011/10/13

コカマキリ♀cの卵鞘作り@石裏(60倍速動画)



コカマキリ♀cの飼育記録
2011年9月下旬・夕方・室温23℃→22℃


前日、交尾中のコカマキリ♂♀ペアを採集してきました。

コカマキリStatilia maculata )♀cを広い飼育容器に移すと、早速夕方から卵鞘を泡立て始めました。
止り木として斜めに入れた割り箸に逆さまにぶら下がった状態で、置き石の平らな裏面に産み付けています。
プラスチックの容器越しで観察しにくいアングルですが、3秒間隔でインターバル撮影してみました。
照明の光が石の裏まで回るような工夫として、飼育容器の下に鏡を敷いてみました。
約2時間半でコカマキリ特有の形状をした小振りの美しい卵鞘が完成しました。




2011/10/12

コカマキリ♂♀cの交尾



2011年9月下旬

水路沿いの鉄柵の下にぶら下がって交尾中のコカマキリを発見。
既に交尾器が結合した状態でマウントしています。
実はコカマキリの♂成虫をしっかり見るのはこれが初めてかもしれません。
♂♀共に褐色型ですが、♂の方が色が薄く体格差も歴然としています(♀>♂)。
夕方で暗くなってきたので、最後まで見届けようと交尾中のペアを採集して持ち帰りました。
♀cが動き回っても♂は結合したまま♀cにしがみ付き決して離れようとしません。
明るいところで結合部をじっくり接写。
♀cは二匹分の全体重を支えます。
暇な♀cは交尾中にのんびりお化粧しています。


進展が無いので油断していたら結合解消の瞬間を撮り損ねました。
開放的な場所で交尾させたせいか、♂は♀cに食われる(性的共食い)ことなく無事に別れました。
直後に羽ばたいて遠くに離れる♂を見ています。
♀よりもかなり小柄なので、背後からマウントに成功すれば♀の鎌が♂頭部にも届かない気がします。

もう二匹コカマキリ♀を飼っているので(♀a-L1と♀b)、順次ペアリングさせるべく♂を体力回復するまで隔離しておきます。
次回は出会いから交尾器結合に至るまでの過程(求愛?)を観察してみる予定です。







2011/10/11

マダラコブクモヒメバチ♀?の身繕い



2011年9月下旬

軒下の材木置き場であちらこちらにクモが小さな不規則網を幾つも張っています。
その網に興味を示して忙しなく調べて回る蜂が一匹現れました(映像なし)。
クモを狩るハチではないかと直感して見ていると、残念ながら網にクモは居なかったようで(古巣?)、狩り(寄主へのアタック)は不調に終わりました。
ハチはそのままコンクリートの上で念入りに身繕いを始めました。
長い触角と産卵管が印象的です。
側面からのアングルしか確保できませんでした。
両脚を擦り合わせてから、産卵管を両方の後脚でしごいています。
化粧が済むと飛び立ちました。
素人目にはオオヒメグモに寄生・産卵するマダラコブクモヒメバチ♀と似ている気がするのですがどうでしょう。
初めて見つけた憧れのハチは、思ったより小さかったです(未採集、未採寸)。





ちなみに同じ場所で昨年(2010年6月下旬)、軒下奥に張られたオオヒメグモの不規則網に残されていた謎の繭を採集しています。
闇クモ画像掲示板にて問い合せたところ、マダラコブクモヒメバチ羽化後の空繭と教えてもらいました。





2011/10/10

ウスバカマキリ♀の卵鞘作り:15倍速映像



ウスバカマキリ♀の飼育記録

2011年9月下旬・室温23〜24℃

身重のウスバカマキリ♀(Mantis religiosa;体長61mm)が遂に卵鞘を作り始めました。

私の飼い方に問題があるのか、全ての中脚および後脚の先から壊死が進行し(原因不明)、自分で食い切った結果、移動などがきわめて不自由な体になってしまいました。
この日も上手く歩けないのに落ち着かないので卓上で遊ばせていたら、転んで自力では起き上がれないままもがいていました。
ちょっと目を離すと横たわったままPCモニターの陰に少しだけ卵鞘を産み付け始めていました。
(一瞬、白いガムがこびり付いているのかと誤認。)
そこでは観察に都合が悪いので、慌てていつもの止り木(斜めに立てた割り箸)に戻しました(逆さまにぶら下がる姿勢が落ち着くらしい)。

ネット検索で調べてみると、ウスバカマキリの卵鞘は野外では石の表面に見つかることが多いそうです(例1例2)。
準備しておいた適当な石を辺りに数個並べて置いてみたものの、安定した産卵姿勢を取れないことから結局あまり気に入らなかったようです。
すべすべした石の上に乗せてやってもすぐに滑落してしまうのです。
割り箸では産卵基質として不本意なのかもしれませんが、しばらくすると(諦めて?)そのまま一から卵鞘を泡立て始めました。

今回は静止画のインターバル撮影ではなく、動画モードで側面から長撮りしたものを15倍速の早回しにしました。
卵鞘作りの進行とともに少しずつ前に体をずらしていきます。
しかし脚の跗節(爪先)が全て失われているので弱った脚力ではずり落ち易く、ほぼ鎌だけで体重を支えているものの姿勢保持に苦労しています。
♀の負担を軽くするため斜めの止り木を水平に戻してやるか悩みました。
しかし下手に邪魔して中絶されても困るので、そのまま見守ることにしました。
途中までは順調でしたが、残念ながら最後の仕上げは形が歪になってしまいました。
(後半部が下に垂れ奇妙なオブジェに。)
止り木の先端近くで産み始めたことから、それ以上前に進めなくなったためだと思われます。
約1時間で完成、不自由な体でお疲れ様でした。
不恰好でもなんとか卵鞘が完成し、希少なウスバカマキリの次世代を残してやることができて私も少し肩の荷が下りました。


【追記1】
残念ながら、この気の毒なウスバカマキリ♀はなぜか産後の肥立ちが悪く体調が更に悪化し、嘔吐を繰り返すようになりました。
卵鞘一個を産んだだけで間もなく死亡しました†。

生前あまりにもカマキリの体調が悪いので、ハリガネムシの体内寄生を疑いました。
私は未だハリガネムシの実物を見たことはないのですが、こちらの動画を参考に、私のウスバカマキリ♀の腹部をしばらく水に浸してみました。
しかし検査の結果は陰性でした。
水責めされたことで生命の危険を感じたのか、その翌日に上記の卵鞘を作りました(遺作)。

【追記2】
翌年まで室内に置いていても、この卵鞘から幼虫は孵化してきませんでした。
未受精卵だったようです。
飼育した♀は採集時に交尾を済ませていなかったのでしょう。






2011/10/09

フクラスズメ(蛾)集団越冬の準備?



2011年9月下旬

木造家屋の軒下で2頭のフクラスズメArcte coerulaが寄り添うように横に並んで物陰に止まっていました。
まさかこれが交尾姿勢なの?と気になって翅をめくろうとしたら、飛んで逃げられました。(当然か…)


虫我像掲示板に投稿してみると、
フクラスズメはこんな風に隅っこでかたまって越冬したりします。
とのコメントを頂きました。
未だ9月ですけど、朝晩はめっきり寒くなりました。
気の早い個体が集団越冬の準備に入っていたのでしょう。


仲良き事は美しき哉
ちなみにフクラスズメの幼虫は激しい威嚇行動をすることで有名です。






ランダムに記事を読む

  • カラムシの実を食べるフクラスズメ(蛾)終齢幼虫06/03/2021 - 0 Comments
  • ハチミツソウの花を舐めるオオハナアブ♀26/01/2018 - 0 Comments
  • ヤツデの雄花を舐めるハナアブ類(ナミハナアブとシマハナアブ?)18/05/2018 - 0 Comments
  • キササゲの花を食すイブキヒメギス♀と追い払うクロオオアリ♀17/09/2016 - 0 Comments
  • ホオノキの葉に乗ったコブヤハズカミキリ21/01/2011 - 0 Comments