2010/12/18

オオマルハナバチ♀のアザミ吸蜜




2010年10月上旬

オオマルハナバチBombus hypocrita)のワーカー♀がアザミの仲間(種名不詳)に訪花していました。
後脚の花粉籠にごく少量の白い花粉が付着しています。
振動集粉などは行わず、蜜を舐めるだけで飛び去りました。


本種の口吻は短いため、よく盗蜜するらしい。
(『日本の真社会性ハチ』 信濃毎日新聞社 p238より)




実は里山でこの蜂を撮るのに夢中になっていたら、何か大型獣とニアミスしました。
相手は藪の中で姿は見えなかったのですが、空咳をしたら逃げてくれました。
ニホンカモシカだったら良いのですけど、ツキノワグマかと思うと肝を冷やしました。
護身用に携帯している唐辛子スプレーをなかなか咄嗟には取り出せないものですね。

ミヤマカワトンボ♂の逆立ち姿勢



2010年7月下旬

ミヤマカワトンボCalopteryx corneliaを初めて撮れました。
渓流の石に止まり、尾端を少し上に弯曲させた妙な姿勢。
そのまま倒立姿勢になることもありました。
ときどき翅を開閉します。
縄張り占有行動や求愛ディスプレーの一環なのだろうか。



【追記】
『ミヤマカワトンボのふしぎ』p24によると、
しっぽを高くあげ、先の方をそりかえさせるこのポーズは、♂のディスプレイとよばれます。(中略)目立つしっぽのはねあげた白いかがやきと羽のヒラヒラとは、♀ばかりでなく、♂にたいしてもサインになっているのでしょう。
『トンボの不思議』p52-54によると
ミヤマカワトンボとアオハダトンボの♂は縄張り内に♀がやって来ると、♀に近づき、「しっぽの先端の白い部分を誇示するように反らせて水面に一瞬浮かぶ」という求愛の動作を示す。水面に浮かぶのは一瞬で、すぐに飛び上がって♀を追いかける。求愛の受け入れを示す♀の合図は、羽を閉じて静止することである。

『トンボ入門』p64によると
時々、ミヤマカワトンボ(カワトンボ科)でも逆立ちするような格好をすることがある。この場合は近くに同種の♂や♀がやって来たときに示すことから、♀の交尾拒否、あるいは♂の威嚇や求愛のポーズと見られている。

『トンボのすべて(第2改訂版)』によれば、

(ミヤマカワトンボも)「静止型のなわばり」です。成熟♂は腹端部の下側が真っ白で、ここを誇示して♀の関心を得ようとしています。 (p92より引用)

オオモンクロクモバチの身繕い





2010年7月下旬

オオモンクロクモバチ(旧名オオモンクロベッコウ;Anoplius samariensis)が草むらで身繕いしていました。
飛び立った後もしばらく活動を目で追いましたが、狩りのシーンは見れませんでした。

モノサシトンボ♀




2010年8月上旬

地面の枯れ草に見慣れないトンボが翅を閉じた状態で止まっていました。
調べてみるとモノサシトンボ♀(Copera annulata)だと思います。
8日前に♂を撮った場所の近くです。
腹端に刺状の産卵管があります。
ときどき警戒して飛び立っても同じ場所にすぐ戻ってくれたので、じっくり接写できました。




しかし動画とは別に静止画を撮ろうとしたら、翅を閉じた状態の自然な姿がなかなか撮れませんでした。
興味深いことにストロボが発光した瞬間に(飛び立とうとして?)素早く翅を開こうとするのです。
これは果たして偶然だろうか。


【覚書】
モノサシトンボの♀の交尾拒否行動は、脚を広げてしっぽを弓状にそらす(『トンボの不思議』p56より)。

ミゾソバに訪花するメンガタヒメバチ







2010年10月上旬

ミゾソバの群落で小さな蜂が訪花していました。
長い口吻を伸ばしながらホバリング吸蜜していると思ったのですが、私の勘違いかもしれません。
長い触角で花に触れていただけかも。
ときどき茎を歩いて登り降りしています。
もしかしたら吸蜜ではなく獲物の探索行動だろうか。
同定してもらうため撮影後にあり合わせのビニール袋で採集しました。







長い触角をもち体色は黒で、腹部中央および脚の脛節?だけが黄色、眉(触角の根元)が白いです。
体長~1cm。
秋のフィールドでよく見かけた気がします。


いつもお世話になっている「蜂類情報交換BBS」にて投稿したところ、ヒメバチ科メンガタヒメバチ亜科の一種かもしれないと教えていただきました。

芋虫を集団で襲うトゲアリ




2010年8月上旬

山道を登っていたら芋虫の死骸(種名不詳)に夥しい数のアリがたかっていました。
トゲアリPolyrhachis lamellidensを見つけたのは初めて。
背中の刺が格好良いですね。
撮影後に3匹採集したら指を噛まれました。








ノウゼンカズラの花蜜を吸うエントツドロバチ♀




2010年8月上旬

民家の庭先で咲き誇るノウゼンカズラの花にエントツドロバチ♀(Orancistrocerus drewseni )が蜜を吸いに来ていました。
飛び立つ前に顔が接写できました。
本種の♂は知られていないらしいので、無条件に♀としました。


見た目も爽やかで好きな花の一つ。



2010/12/17

クチナガガガンボの飲み会



2010年10月上旬

クチナガガガンボの仲間(種名不詳)が集団で花の蜜を吸っていました。
秋の風物詩としてすっかりお馴染みになりました。
接写しようと近づいたら不注意で葉を揺らしてしまい、群れの多くが飛び去ってしまいました。
残った個体も警戒して死んだふり(擬死)をしているのか、体を揺らさなくなりました。
しばらくじっと待つと、長い脚を屈伸しながらの独特な吸蜜行動を再開してくれました。
長い口吻を深々と突き刺しています。
蜜腺がそんなに奥にあるのなら、他のハナバチなどはどうしてるのだろう?
このアザミみたいな花は多分タムラソウだと思います。

キノコ好きなセンチコガネ



2010年8月上旬


里山にて、キノコの傘の表に止まっているメタリックな甲虫を発見。
接写すると頭楯の前縁が半円形なのでセンチコガネGeotrupes laevistriatusだと思います。
獣糞だけでなくキノコも好きなのですね。
警戒しているようで、残念ながらキノコを食すシーンは撮れませんでした。
小さな赤いダニ※が体表を這っています。
やがて歩き始めたセンチコガネはキノコの傘の裏側に隠れました。
このキノコの名前が分かる人がいらっしゃいましたら、是非教えて下さい。


関連記事(年前の撮影)▶ 白い菌糸塊?を食べるセンチコガネ



【追記1】
センチコガネがタマゴタケというキノコを食すことが確かめられているそうです。(森昭彦『ファーブルが観た夢:地球生命の不思議な迷宮』第四章:豊穣の聖域「王家の谷」へーセンチコガネ p220より)
映像のキノコは虫食いだらけですけど、これもタマゴタケなのかな?


※「センチコガネにくっついているダニは、ヤドリダニ類、イトダニ類、ハエダニ類などが知られている。」(同書 p227より)


【追記2】
『日本動物大百科10昆虫Ⅲ』p106-107より

  • 糞食性コガネムシの仲間であるセンチコガネは(中略)、しばしばイグチ類などのキノコに食い入ることがある。
  • キノコは朽ち木や腐植質の分解過程で、窒素成分など重要な元素を濃縮するため、甲虫にとってたいへんにすぐれた栄養源となる。

【参考映像】
NHKクリエイティブ・ライブラリーより
センチコガネ キノコを食べる




キオビトビノメイガ(蛾)の吸水と身繕い




2010年8月上旬

里山の草地で一匹のミクロ蛾を追いかけて撮りました。
派手な模様が美しい。
いつもお世話になっている虫我像掲示板にて問い合わせたところ、キオビトビノメイガPyrausta mutuurai)と教えていただきました。
地面を歩き回り、吸水しているようです。
葉の上で日光浴しながら触角を前脚で掃除しています。
すぐ飛んで逃げてしまうのですが、私の短パンや腰に下げたカメラケースにも止まりました。
汗を舐めに来たようです。



スミナガシの日光浴と吸水





2010年8月上旬

里山の沢沿いでスミナガシ(墨流し;Dichorragia nesimachus)を発見。
憧れの蝶と初めて出会えたので大興奮。
葉の上で半開きにした翅を開閉しながら日光浴しているようです。
やがて地面に降りて朽ちた倒木から吸水。
特徴的な赤い口吻はあまりよく撮れませんでした。



キオビホオナガスズメバチの吸水と身繕い




2010年8月上旬

里山にて、沢の水で濡れたコンクリート地面と石垣の境を見慣れない蜂が忙しなく飛び回っていました。
ときどき路面に止まるものの、カメラに警戒しているのか少し身繕いするだけですぐに飛び立ってしまいます。
おそらく吸水していたのでしょう。
映像には撮れてませんが、低空飛行で辺りのハエ(アブ?)を追い回して狩ろうとしていたようにも見えました※1。
帰ってからスロー映像(1/6倍速)を元に蜂の正体を調べてみました。






動画から切り出した写真を蜂類情報交換BBSにて問い合わせてみると、山地性のキオビホオナガスズメバチ本州産亜種(ホンシュウキオビホオナガスズメバチ;Dolichovespula media sugare)と教えていただきました※2。
ワーカーは初見です♪ 


※1:本種は幼虫の餌として生きたハエやアブなどをよく狩るらしいです。
一瞬ハエともつれ合っただけで、実際に仕留めるシーンは見てません。
もう少し粘って観察すればよかった...。
図鑑に載っている垂直分布情報よりも低山で見つけたのですが、北国だからでしょう。


 ※2:初めはなんとなくキオビクロスズメバチかと思ったのですが、ホオナガに訂正します。キオビクロは、もっと帯が太くなるのだそうです。


キオビホオナガの「働き蜂の斑紋は初期に羽化した個体ほど帯の幅が狭く斑紋も単調」とのこと。『日本の真社会性ハチ:全種・全亜種生態図鑑』 信濃毎日新聞社 p152 より

ドロバチヤドリニクバエ羽化後




前編からの続き)
オオフタオビドロバチAnterhynchium flavomarginatum)が営巣した竹筒に残された囲蛹から同じ日に相次いで3匹(a-c)のドロバチヤドリニクバエAmobia distorta)が羽化してきました。
囲蛹を突き破るのに使った頭頂部の膨らみ(前頭嚢)が風船のように脈動しつつ萎んでいく様子が見られます。
翅が伸び体が黒くなってもしばらくはまるで眉間に皺を寄せているように内圧でペコペコしています。
容器内を徘徊し身繕いしました。
残された羽化殻は頭部が十文字に割れていました。
室温26℃。





翌日に最後の一匹dが羽化してきました(計4匹)。

ドロバチヤドリニクバエの羽化と翅伸展(寄主オオフタオビドロバチ)

2010年8月中旬


オオフタオビドロバチAnterhynchium flavomarginatum)が営巣したと思われる竹筒を一本回収し、女竹をナイフで割ってみました。




入口は泥で閉鎖されており、筒の中は薄い泥の隔壁で仕切られています。
竹筒を割るのは初めてだったので力の加減が分からず、独房が幾つ作られていたのか分からなくなってしまいました。
独房内に貯食物や蜂の子は残されておらず、赤褐色の蛹が幾つか塊となって転がっているだけでした。
明らかに寄生虫の蛹と分かりましたが、密室ミステリの謎を解き明かすために飼育してみました。
密閉容器に採集して放置していたら、6日後にハエの成虫が羽化していることに気づきました。
慌てて容器の蓋をサランラップに張り替えて撮影開始。






ドロバチヤドリニクバエAmobia distorta)成虫が囲蛹を割って脱出する様子※は見逃しました。
翅原基が萎んだ状態で容器の壁に頭を下に止まっています。
腹部および翅原基がときどき小刻みに動き、身繕いします。
頭頂部の膨らみが風船のように脈動します。
これは前頭嚢と言って、体液の内圧で膨らむことで囲蛹を中から押し開くのに使うそうです。
ドロバチの巣から脱出する際は、泥壁を粘液で濡らしながら前頭嚢の風船運動で穿孔するらしい(『ハチの博物誌』 青土社 p54より)。



鋭い大顎や角も持たず弱々しく見えますが、ツリアブの仲間とはまた違った脱出戦略ですね。
やがて、しわくちゃの翅原基に変化が現れました。
体液の内圧で見る見るうちに膨らみ、約3分で伸び切りました。
白かった腹部には黒い縞模様が現れました。室温27℃。




一寸のハエにも五分の大和魂BBS」にて問い合わせたところ、ドロバチヤドリニクバエだろうとご教示頂きました。
竹筒ハチ図鑑サイトによると、ドロバチヤドリニクバエの♀はドロバチ類の巣に卵ではなく幼虫を産下するらしい。
この蛆虫は寄主の貯食物(蜂に狩られ麻痺状態の蛾の幼虫)を食べて育つそうです(労働寄生)。


つづく


【追記】
ドロバチの巣に寄生したハエが泥壁を破って脱出する様子を飼育下で記録した見事な映像をYouTubeで見つけましたのでご覧下さい。

2010/12/16

オオフタオビドロバチが青虫を搬入




2010年8月上旬

(つづき)

竹筒内の空室に卵を産むと、オオフタオビドロバチ♀(Anterhynchium flavomarginatum)は再び狩りに出かけました。
麻酔した青虫(種名不詳)を一匹ずつ空中運搬し、貯食していきます。
一つの育房に数匹の獲物を搬入します。
後ろ向きに出てくると口に咥えたゴミ(竹の髄)を空中で撒き散らしながら飛び去りました。
午後になると竹筒に西日が直接当たるようになりました。
遠くで鳴っていた雷が近づいてきたので、観察を打ち切りました。気温34℃


後日、営巣の完了した竹筒を回収しました。
竹を割って中の様子を調べ蜂の子を飼育開始(つづきの記事はこちら)。
文献によると本種は二化性とされているので今年中に成虫が羽化するはずですが、どうでしょう。


 ≪参考≫
 『ドロバチのアオムシがり』 岩田久二雄 文研出版 
(オオフタオビドロバチの生活についての児童書ですが格好の入門書です)

ハチのかんさつ―竹づつにあつまるハチたち』p8によると、
泥壁で入り口を塞ぐと、オオフタオビドロバチは、かみくだいた木の繊維で壁の表面を塗ります。この加工で、雨水にも溶けないじょうぶな壁ができあがります。


オオフタオビドロバチ♀の産卵




(承前)
竹筒に巣材の泥玉を運んでいたオオフタオビドロバチ♀(Anterhynchium flavomarginatum)が珍しく空荷で帰巣しました。
軽く巣を点検すると後ろ向きに出てきて入り口で向きを変え、腹端から中に入り直しました。
この女竹は細く中で蜂は方向転換が出来ないので、これはまさに産卵行動でしょう。
新しい隔壁および育房が完成すると貯食に先立って産卵するようです※。
4分後に頭から外に出て来ました。
今回は口にゴミ(竹の髄)を咥えていません。
パート4に続く)


※ ドロバチ科の営巣行動は通常、造巣→産卵→狩猟の順で行われる。すなわち空室産卵を行う。

『本能の進化:蜂の比較習性学的研究』 岩田久二雄 眞野書店 p216より

オオフタオビドロバチ♀が巣材の泥玉を搬入




(承前)
竹筒トラップに営巣するオオフタオビドロバチ♀(Anterhynchium flavomarginatum)を定点観察するため翌日再訪。
ちょうど蜂が青虫を搬入するところでした。
麻酔した獲物を脚で体軸方向に抱えたまま飛んで来てそのまま頭から竹筒内に貯食するとまたすぐに外出しました。
前日に貯食していた竹筒は使い切ったようで既に泥で閉鎖され、その一つ上にある竹筒で新たに営巣しています。


竹筒を横から望遠で監視したまま待っていると、次からは泥玉を咥えて帰巣するようになりました。
泥の巣材で育房間の隔壁を作っているのでしょう。
狩り・貯食モードよりも帰巣頻度が短くなりました。
中でしばらく作業すると、後ろ向きに出て来た蜂は口にゴミを咥え、辺りに撒き散らしながら飛び去りました。
スポンジ状をした竹の髄を掃除して空間を広げているのでしょう。
竹筒の奥から順に育房を作っていきます。
昼休みなのか長時間巣から出てこないこともありました。 


ここで一回ちょっとした実験をしてみました。
蜂が留守の間に竹筒に枯草の茎を軽く刺し込んでみます。
帰巣を少し妨害することで時間を稼ぎ、蜂が口に咥えたものをよく確認できるという撮影テクニックを教えてもらったのです。
巣材集めから帰った蜂は見慣れない障害物に少し戸惑ったようですが、そのまま強引に頭から竹筒内に入り、中から枯草を蹴落として取り除きました。
私の予想としては、障害物を大顎で取り除きたくても口には泥玉を咥えているので荷物をいったんどこかに下ろしてから除去し、改めて搬入すると思っていたのですが、外れました。

この日は気温35℃で無風。
からっと晴れて蒸し暑さはなく、日傘をさせば長時間の連続観察も快適でした。
パート3に続く)


オオフタオビドロバチ♀の芋虫搬入




2010年8月上旬

借坑性の蜂を観察するため5月上旬に設置して以来3ヶ月間見向きもされなかった竹筒トラップに、ようやく営巣してくれる蜂が現れました。
女竹の筒は雨のかからない軒下南面の資材置き場で西を向けて10本束を水平に設置しました。

その竹筒からオオフタオビドロバチ♀(Anterhynchium flavomarginatum)が狩りに飛び立ちました。
竹筒内に詰まった髄をほじり出して利用しており、既に入口を泥で閉鎖した竹筒も見受けられます。
しばらくすると麻酔した芋虫(青虫)※を脚で腹に抱えたまま帰巣しました(空中運搬)。
獲物の搬入・貯食シーンを初めて、それも2回観察できました。
中に貯食するとすぐに後ろ向きで外に出て来ます。
気温35℃。


帰巣間隔や前兆が分からなくても、三脚に固定したカメラで竹筒入り口を狙い愚直に長撮りを繰り返すことで貯食シーンをものにすることができました。
あとは動画編集でなんとかなります。
その2へ続く)


※ 本種の獲物としてメイガ科やハマキガ科、ヒメハマキガ科などの幼虫を狩ることが報告されています。
参考資料として「森林総研 日本竹筒ハチ図鑑」の掲載ページはこちら


オオチャバネセセリのミゾソバ訪花




2010年10月上旬

ミゾソバの群落でセセリチョウが訪花していました。
後翅の斑紋がジグザクに交互にずれることからオオチャバネセセリPolytremis pellucida)だと思います。
胴体に密生した緑褐色の毛が美しいですね。
口吻を伸ばして蜜を吸っています。


なお、セセリチョウ科は独特の静止姿勢を取りますが、『熱血昆虫記:虫たちの生き残り戦略』 どうぶつ社 p76 によると
「セセリチョウは背面日光浴を行うのだが、その際、前翅を持ち上げると同時に後翅を下げる。前翅を持ち上げるのは体表背部から対流によって熱が奪われるのを阻止するためであり、後翅を下げるのは対流によって体の下面からの熱が奪われるのを阻止するためと考えられている。」

ミンミンゼミ斉唱♪




2010年8月中旬

暑い夏を謳歌するミンミンゼミHyalessa maculaticollis)は日本の風物詩です。
今年も気持ちよさそうに熱唱するミンミンゼミ♂を激写することが出来ました。
鳴き声に合わせて腹部全体が激しく伸び縮みを繰り返します。
腹面から接写すると腹弁が振動しています。
飛び立つ間際におしっこを排泄したかどうか確認できませんでした。

ベッコウハゴロモ成虫



2010年8月中旬

イチジクの幼木の枝にベッコウハゴロモRicania japonica)を発見。
前翅を屋根状に畳んで止まります。
ときどき翅を左右交互に傾けるのは何かの示威行動なのだろうか。
現場では口吻を枝に刺して吸汁していると思い接写してみたのですけど、アングルがいまいち。
口元に見える細い構造は口吻ではなくてただの前脚ですかね?
ちなみにイチジクの木は枝葉を折ると白い乳液が出ます。


【追記】
森島啓司『ものまね名人 ツノゼミ (たくさんのふしぎ傑作集)』という子供向けの本を読んでいたら、次の記述を見つけました。
日本には、タラノキなどにつく、ベッコウハゴロモという虫がいるが、その虫は、同じようにロウのようなものを出す。(p19より引用)
確かに、現場の近くにはタラノキが植栽されていたのを思い出しました。



ウスリーハエトリ♀(蜘蛛)




2010年8月上旬

初めて見る小さくも美麗なハエトリグモが鉄パイプを徘徊していました。
横歩きや身繕いも見られました。
鉄柱から何度か飛び下りる素振りを見せるも、ただのフェイントでした。
 緑の金属光沢に輝く腹背には3対の白点があり、側面は白く縁取られています。
黒っぽい頭胸部には一本の白い横線があります。
歩脚は黄褐色。
触肢は膨らんでいません。






動画から切り出した画像を元に闇クモ画像掲示板にて問い合わせたところ、ウスリーハエトリ♀(Heliophanus ussuricus)とご教示頂きました。
撮影後に採集を試みたものの、跳んで逃げられてしまいました。


巣口で脱糞するクマバチ




2010年8月中旬

納屋の梁の下面に開口したキムネクマバチXylocopa appendiculata circumvolansの巣cを見に行ったら、蜂が珍しく巣口から顔を覗かせました。
方向転換して腹端を外に出したと思ったら、黄色い糞を排泄しました。
貯食した花粉のゴミではないと思います。
カメラのレンズは幸い直撃を免れました。
ちゃんと巣の外に排便するとは綺麗好きな蜂ですね。


【追記】
海外のクマバチの仲間が巣をガードする行動として面白い記述を見つけました。
X. torrida, X. flavorufa, X. imitatorで、頭を出し大鰓で防御―尾端を出し排出物をとばす―刺針をちらつかせる―腹部背面で巣口をふさぐ、の順で防衛が起こるという。(『独居から不平等へ―ツヤハナバチとその仲間の生活―』第5章:クマバチの生活 p154 より引用。)
日本のいわゆるクマバチ(=キムネクマバチ、X. appendiculata circumvolans)の場合はまた事情が異なるのかもしれませんが、脱糞が巣口の防衛行動かもしれないとは意外な解釈だったので覚書として残しておきます。



【追記】
後半(@0:38〜)に登場する個体は頭楯が白いので♂(雄蜂)ですね。

クマバチがサルスベリに訪花



2010年8月上旬

元気に咲き誇るサルスベリの花にキムネクマバチXylocopa appendiculata circumvolans)が飛来し、忙しく訪花・集粉していました。
後脚の花粉籠にあるはずの花粉団子はよく見えませんでした。





【追記】
記事の公開時にはあまり深く考えずに「吸蜜していた」と書いていたのですが、誤りを訂正しておきます。
サルスベリの花には蜜がないので、集まってくるのは花粉を食用とする昆虫たちだ。(p86より引用)




キジ♂の縄張り宣言♪




2010年8月中旬

水田のあぜ道で「ケンケン♪」鳴き続けている♂キジPhasianus versicolorがいました。望遠で撮り始めると、鳴きながら急上昇で飛び去りました。

2010/12/15

蚊取りモノサシトンボ♂




2010年8月中旬

池に近い雑木林の林床(ミズナラ幼木の葉上)でモノサシトンボ♂(Copera annulata)が止まっていました。
初めは警戒心が強く、なかなか近づかせてくれません。
何度も飛び立ちますが、同じ場所に舞い戻ります。
映像には写ってませんが同種間の小競り合いも見られたので、求愛または縄張り防衛なのかもしれません。
そのうちに、辺りを飛び回る蚊(種名不詳。ヒトスジシマカ?)を空中で見事にキャッチしました。
木の葉に戻り、モグモグと時間をかけて獲物を平らげました。
食事シーンを完全ノーカットでお届けします。
おちょぼ口ですけど、口器の複雑な動きが面白いですね。





ハエを狩ろうとするオオカマキリ♀



2010年10月上旬

黄色の花(種名不詳。アキノキリンソウ?)にお腹の大きな褐色型オオカマキリ♀(Tenodera aridifolia)成虫が潜んでいました。
花にやって来る虫を待ち伏せしているようです。
案の定、吸蜜して回るハエが一匹います。
オオカマキリは視線をハエに向けたまま、獲物に気づかれないよう非常にゆっくり隣の花へ移動しています。
途中でハエが挑発するようにカマキリの左後脚に一瞬止まりました。
ようやく獲物を射程距離に収め、素早く鎌を振るいましたが、ハエは飛んで逃げてしまいました。
狩りの瞬間を撮れず残念。
映像をコマ送り再生で見直すと、たった1コマ(1/30秒)で鎌を伸ばしています。
ハイスピード動画撮影のできるカメラが欲しい...。

【追記】
(カマキリが)捕獲から餌を口にもっていくまでの時間は、わずか10分の3秒前後で、一連の行動はほんの一瞬のうちに起こるといってよい。(『日本動物大百科8昆虫Ⅰ』p95より)

ハナタテヤマナメクジ?




2010年8月中旬

里山で雑木林の山道を登りかけたら、枯葉で覆われた地面を鮮やかな黄色のナメクジが這っていました。
こんな派手な体色のナメクジは初めてで、衝撃的でした。
警戒色なのかもしれません。
眼柄だけが黒色。
落ち葉の下に隠れようとしていたので、邪魔な落ち葉を除けて撮影続行。
通りかかったアリが触角で少しナメクジに触れるも、捕食行動を示しませんでした。
何か忌避物質を分泌しているのだろうか。


ナメクジは詳しくありませんが自分なりにネット検索で調べてみました。
背中に甲羅が見当たらないのでキイロナメクジ(キイロコウラナメクジ)とは違いますよね。
ハナタテヤマナメクジという未記載種の写真が似てる雰囲気ですけど、情報が少なくて...。
何かご存知の方がいらっしゃいましたら科や属レベルでも良いので教えて下さい。


 ≪追記≫
2ヵ月後に同じ場所から少し登った位置で同種と思われるナメクジを再見。(映像はこちら。)

【追記2】
某TV局の方に仲介してもらい、ナメクジの専門家に質問してもらいました。

学名につきましてですが結果から申し上げますとはっきりと分かっていません。 ナメクジ研究に詳しい大学の先生方に伺ったのですがハナタテヤマナメクジのようにも見えるし、動画からではわからないとおっしゃられておりました。 また、バナナナメクジは南米の方にしか生息しておらず国内では見つかっていない筈だと仰られてました。

【追記3】
『ナメクジ:おもしろ生態とかしこい防ぎ方』によると、
・第二次世界大戦後にチャイロコウラナメクジが移入してくると、キイロナメクジは次第に姿を消した。キイロナメクジと断定されている個体は1963年に山口県で採集されたものが最後で、その後彼らの姿はニホンでは確認されていない。(p18より) 
・キイロナメクジはその名が示すように黄色い粘液を出す。(p25より)

シリアゲコバチ♀の産卵:スロー再生





2010年8月中旬

シリアゲコバチLeucospis japonica)の産卵シーンを接写した映像を1/3倍速のスローモーションでもう一度お届けします。
腹部背面に背負った独特の産卵管を鞘から抜き、堅い産卵基質(今回は木材)に対し垂直に突き立てると、太い後脚を踏ん張り力を込めて深々と刺します。
何かテコの原理を使っているようですが、あまりにも構造が複雑で、何がどうなっているのかよく分かりません。
その驚異的な機能美をご堪能下さい。
産卵管の先で寄主の幼虫をどうやって探り当てるのかも謎です。

シリアゲコバチ♀の産卵





2010年8月中旬

神社の本堂回廊の木の手摺りにシリアゲコバチ♀(Leucospis japonica)が集まっていました(少なくとも2匹以上)。
頭を垂れ触角の先で材を叩きながら歩き回ります。
ここぞという場所で立ち止まると、産卵管を突き立て深く差し込みました。
卵を産下すると産卵管を引き抜いて歩き去りました。
念願の産卵シーンを一部始終、間近で観察できて感無量です。
産卵管を鞘から抜くときに「ピン」とかすかに音がしたのですが、残念ながら録音されていません。
同様のシーンが手摺りのあちこちで繰り返されました。
この古い手摺りは下面に元々クマバチが穿坑したと思われる穴が多数開いています。
現在は主に借坑性のエントツドロバチが営巣しています。
本種はツツハナバチやオオハキリバチの寄生蜂として知られていますが、ドロバチにも寄生するのだろうか。
それとも今回の寄主はクマバチなのかな?
巣内に潜む寄主の幼虫に体外産卵するのだそうです※。
徘徊探索中にエントツドロバチの巣穴に侵入することもありましたが、すぐに出てきました(映像なし)。
巣の主と鉢合わせ(蜂合わせ)すると危険なので、堅い材の外側から産卵する術を発達させたようです。


 ※ 『本能の進化:蜂の比較習性学的研究』岩田久二雄 眞野書店 p44より


別の図鑑では「ハキリバチ類の幼虫に寄生し、寄主の繭の中に産卵する」と書いてありました。


2010/12/14

ゴイシシジミの死骸を運ぶクロヤマアリ♀





2010年8月中旬

山地の歩道で働きアリが蝶の死骸を引きずって運んでいました。
2匹の蟻が協力して運んでいるようですが、邪魔してるだけのようにも見えます。
風の強い日で、羽が煽られ運びにくそうです。
昔国語の授業で習った詩を懐かしく思い出しました。
 「蟻が蝶の羽をひいて行く ああヨットのやうだ」

撮影後にアリを2匹採集して調べたところ、多分クロヤマアリFormica japonicaだと思います。






獲物の蝶は初めて見る模様でしたが、虫我像掲示板にて問い合わせたところゴイシシジミTaraka hamadaと教えて頂きました。
翅裏は白地に黒の斑点があり、翅表は地味です。






幼虫は肉食で竹の仲間に付くアブラムシを捕食し、成虫もアブラムシの甘露を舐めに来るそうなので、アブラムシと共生する蟻とは敵対関係にあります。
用心棒がアブラムシの仇を取ったのでしょう。


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