2020/09/05
ノイバラに来たクロムネアオハバチ?
2020年6月上旬・午前11:00・晴れ
農道沿いに自生するノイバラの群落で見慣れないハバチの仲間が葉の上に乗って歩き回っていました。
どうやらノイバラの花や蜜には興味無さそうです。
ひょっとして、ノイバラの茎に集るアブラムシ類を捕食しに来たのだとしたら面白い話です。
それとも産卵が目的なのかな?
体色がきれいな黄緑色で、黒い斑紋があります。
私は未だハバチの専門的な図鑑を持っていないので、調べ物はインターネット頼みです。
黄緑色のハバチにも色々と種類があるようです。
今回見つけた個体はクロムネアオハバチ(Tenthredo nigropicta)でしょうか?
腹部が太いので、なんとなく♀かな?
もし間違っていたらご指摘願います。
やや高い枝葉に止まっているので、背側がしっかり撮れずフラストレーションが溜まります。
カメラのバックモニターがバリアングルでなくなったので、高所の被写体が上手く撮れません。
仕方がないので同定のため撮影直後に必死で採集を試みたのですが、ノイバラの棘だらけの茂みに阻まれてガサガサと揺らしてしまい、その隙にハバチは逃げてしまいました。
昆虫写真家の藤丸篤夫さんがノイバラに来る様々な昆虫の営みを写真で丹念に撮りためた『ノイバラと虫たち』という本が大好きです。
この写真集を見ると、掲載種の多さにとにかく圧倒され、このテーマはもう調べ尽くされてしまったような気になるかもしれません。
しかし、決してそんなことはありません。
この日に私がたった一箇所のノイバラ群落で遭遇した昆虫は、ミツバチとクマバチを除くと全て、『ノイバラと虫たち』の未掲載種でした。
筆者とは別の地域で調べれば、ノイバラに来る虫たちの顔ぶれも変わってくるのでしょう。(所変われば虫変わる)
日本の生物多様性も未だ捨てたものではありません。
送電塔の巣で雛に給餌してから見張りにつくハシブトガラス親鳥(野鳥)
2020年6月上旬・午後17:25頃・晴れ
▼前回の記事
送電塔に作られたハシブトガラスの巣を真下から見上げると親鳥は…(野鳥)
ハシブトガラス(Corvus macrorhynchos)の巣がある送電塔#18から私が少し離れてから再びカメラを向けると、親鳥が採餌から戻ってきました。
帰巣した親鳥が巣の横の鉄骨にピョンと跳び乗ると、その振動で気づいた雛が嘴を大きく開けて餌乞いを始めました。
カラスの雛は嘴の中が赤いのが特徴です。
少し遠いのですが、音量を上げると餌乞い♪の鳴き声が辛うじて聞こえます。
巣に居る雛の数は3羽かな?(鉄骨の陰に隠れてよく見えません)
通常カラスの雛は食後すぐに排便し、それを親鳥が咥えて巣の外へ捨てに行きます。(排糞行動)
しかし今回は給餌後にしばらく待っても雛が脱糞しなかったので、親鳥は外側の鉄骨に移動し、周囲の縄張りを見張っています。
巣内で雛がときどき動いています。
最後に親鳥が鉄骨からフワリと飛んだので、ようやく巣から飛び去ったのかと思いきや、水平な鉄骨の端(碍子の上)に止まり直しただけでした。
しつこく見ている私の死角に隠れたかったのかもしれません。
※ 餌乞いの鳴き声を聞き取れるように、動画編集時に音声を正規化して音量を強制的に上げています。
つづく→一方その頃、一つ隣の鉄塔では…?
2020/09/04
イタチハギの花で採餌するヤマトツヤハナバチ♀を追い払うアリ【名前を教えて】
2020年6月上旬・午後13:25頃・晴れ
▼前回の記事
採餌のためイタチハギに訪花するヤマトツヤハナバチ♀の羽ばたき【HD動画&ハイスピード動画】
イタチハギ(別名クロバナエンジュ)の花で忙しく採餌するヤマトツヤハナバチ♀(Ceratina japonica)を接写していると、とても小さなアリ(種名不詳)に悩まされていました。
アリもイタチハギに訪花して花蜜を食べています。(花粉も?)
蜜源植物をライバルの昆虫からガードするためなのか、ヤマトツヤハナバチ♀が近くに来ると足に噛み付いたりして攻撃します。
イタチハギ樹上に営巣する種類のアリだとしたら、住居を防衛する目的もありそうです。
このアリの名前が分かる方がいらっしゃいましたら、教えて下さい。
採集するのを忘れてしまいました。
ヤマトツヤハナバチ♀の方が圧倒的に体格で勝っているのに、微小なアリを怖がっていました。
花上でアリが近づいて来るだけで慌てて逃げてしまいます。
噛まれた訳でもないのにアリの触角が触れただけで飛んで逃げました。
いちいちアリに反撃したりせずに、少し飛んで別な花に移動して採餌を続けます。
240-fpsのハイスピード動画でも撮ってみました。(@1:48〜)
Labels:
スローモーション,
ハチ・アリ(膜翅目),
闘争,
飛翔,
訪花
ノイバラの花粉を食べるヤブキリ?幼虫
2020年6月上旬・午前11:00頃・晴れ
農道の横に咲いたノイバラの群落でヤブキリ(Tettigonia orientalis)らしき幼虫が訪花していました。
側面から見ると、胸部に短い翅芽が見えます。
雄しべの葯を夢中になって食べていました。
少し高い枝に居るので、背側の識別点をしっかり撮れませんでした。
こういうときこそ、カメラの液晶画面(バックモニター)がバリアングルだと腕を挙げて上から撮れるので便利です。
しかし、愛機LUMIXをFZ300からFZ85に買い替えたら、バリアングルモニターが廃止されてしまいました。(安直なコストカット)
この点は本当に改悪で使いにくくなったので、メーカーのパナソニックに強く抗議したいところです。
Labels:
バッタ・キリギリス(直翅目),
食事,
訪花
2020/09/03
トウネズミモチの蕾を偵察するクマバチ
2020年6月上旬・午後14:50頃
墓地の片隅にトウネズミモチの木が育ち、枝に白い花が少しだけ咲き始めました。
キムネクマバチ(Xylocopa appendiculata circumvolans)が飛来したものの、未だほとんどが蕾なので、花には止まらず、すぐに飛び去ってしまいました。
高い枝の蕾にちょっと来ただけなので、クマバチの性別を見分けられませんでした。
体重が重いクマバチは飛行燃費が悪く、咲いている花が少ない場合はチマチマと採餌しても効率が悪すぎるのでしょう。(他の蜜源植物を探した方が得策)
トウネズミモチの花が満開に咲くのを今か今かと待ちわびて、ときどき開花状況をチェックしに来ていると思われます。
▼関連記事(1年前の撮影)
トウネズミモチの花で採餌するクマバチ♀の羽ばたき【HD動画&ハイスピード動画】
私がよく見かけるトウネズミモチは生垣として上部を強く剪定された背の低い庭木ばかりだったので、これ程すくすくと高木に育つとは知りませんでした。(目測で樹高〜4m)
クマバチ@トウネズミモチ蕾+偵察飛翔 |
よく探せば少しだけ花が咲きかけていました。 |
葉裏から葉脈が主脈も側脈も透けて見えるのがトウネズミモチの特徴。 |
Labels:
ハチ・アリ(膜翅目),
訪花
送電塔に作られたハシブトガラスの巣を真下から見上げると親鳥は…(野鳥)
2020年6月上旬・午後17:20頃
住宅街の裏路地のすぐ横に高圧線の鉄塔(送電塔)が聳え立っています。
ほぼ真下から見上げると、鉄骨の上部にハシブトガラス(Corvus macrorhynchos)の巣を見つけました。
私は毎年、高圧線に沿って巡回し、カラスの営巣状況を調べています。
この送電塔#18でカラスの巣を見つけたのは初めてです。
真下が住宅地ですし、細い路地を住民が行き来するので、親鳥は落ち着いて育雛できないはずです。
こんな人気がない場所に営巣するとは、親鳥によほど切羽詰まった事情があったでしょうか?
しかもヒトに対する警戒心がハシボソガラスよりも非常に強いハシブトガラスがこんな人家に近い場所に営巣するとは、とても意外です。
人馴れした新世代のハシブトガラスが出現しつつあるのでしょうか?
ヒトとカラスの平和な共存を目指すために、近年は送電塔の上にカラスが巣を作っても漏電事故が起こらないように安全な場所を選んでカラス専用の巣箱を予め設置する例が増えてきました。
前年は別の送電塔で巣箱に営巣したハシブトガラスを定点観察しました。
▼関連記事のまとめ
送電塔#KN7の巣箱に営巣したハシブトガラスの観察記録:2019年
しかし今回見つけた送電塔#18に巣箱は無く、鉄塔の上部の鉄骨の角に多数の小枝を組み合わせた巣が作られていました。
動画の冒頭では、巣内で雛鳥が甘えた声で鳴く声が聞こえました。
おそらく親鳥が雛に給餌中で、雛は餌乞いしているのでしょう。
しばらくすると、巣から1羽の親鳥が飛び出して横の鉄骨に止まり、羽繕いを始めました。
巣の真下から見上げている私に対して親鳥が何もアクションを起こさないのが不思議でした。
繁殖期のハシブトガラスはヒトに対して警戒心が非常に強いので、巣に近づいたり巣のある方向を見ただけで怒り狂います。
下手すると攻撃してきたり、真下の私を狙って糞を落としたりするはずです。
意外にも真下はカラスの死角になっていて、私の存在に気づくのが遅れたのでしょうか?
遂に私の無礼に対してしびれを切らした親鳥が下の鉄骨にフワリと飛び下り、翼を半開きにした威嚇姿勢でカーカー♪鳴き始めました。
次は私を見下ろし、翼を半開きにした姿勢でガーガー♪嗄れ声でも鳴きました。
嘴を足元の鉄骨に擦り付けているのは、怒りを少しでも紛らわす転移行動なのでしょう。
頭部の羽毛が興奮(怒り)で少し逆立っているようです。
しかしこの親鳥の威嚇はあまり迫力がありません。
繁殖期なのに、これほど怖くないハシブトガラスは初めてです。
私の頭上に脱糞する攻撃もしてきませんでした。
意外にも真下はカラスの死角になっていて、私の存在に気づくのが遅れたのでしょうか?
遂に私の無礼に対してしびれを切らした親鳥が下の鉄骨にフワリと飛び下り、翼を半開きにした威嚇姿勢でカーカー♪鳴き始めました。
次は私を見下ろし、翼を半開きにした姿勢でガーガー♪嗄れ声でも鳴きました。
嘴を足元の鉄骨に擦り付けているのは、怒りを少しでも紛らわす転移行動なのでしょう。
頭部の羽毛が興奮(怒り)で少し逆立っているようです。
しかしこの親鳥の威嚇はあまり迫力がありません。
繁殖期なのに、これほど怖くないハシブトガラスは初めてです。
私の頭上に脱糞する攻撃もしてきませんでした。
鳴いたときに開いた嘴の中が黒いので、間違いなく親鳥(成鳥)です。
親鳥の攻撃性に個性(個体差)があることを改めて実感しました。
あまり長時間巣を見上げると育雛中の親鳥のストレスになりますから、すぐに撮影を打ち切って送電塔から離れました。
親鳥は立ち去る私を追いかけてくることもありませんでした。
親鳥の攻撃性に個性(個体差)があることを改めて実感しました。
あまり長時間巣を見上げると育雛中の親鳥のストレスになりますから、すぐに撮影を打ち切って送電塔から離れました。
親鳥は立ち去る私を追いかけてくることもありませんでした。
やはりこの親鳥は明らかに人馴れしていて寛容です。
ハシブトガラスが凶暴だという悪評は、近年までヒトが勝手に巣を撤去するから「倍返し」されていただけではないかという気がしてきました。
つづく→送電塔の巣で雛に給餌してから見張りにつくハシブトガラス親鳥(野鳥)
ハシブトガラスが凶暴だという悪評は、近年までヒトが勝手に巣を撤去するから「倍返し」されていただけではないかという気がしてきました。
つづく→送電塔の巣で雛に給餌してから見張りにつくハシブトガラス親鳥(野鳥)
親鳥@鉄骨+雛@巣:送電塔#18 |
全景 |
親鳥@威嚇 |
2020/09/02
雄蜂♂が出入りする巣の入り口でニホンミツバチ♀の群れが匂い扇風【HD動画&ハイスピード動画】
2020年6月上旬・午後15:54〜16:01・晴れ
農村部に立っているコンクリート電柱内部の空洞で自然営巣したニホンミツバチ(Apis cerana japonica)の経年コロニーをときどき定点観察しています。
▼関連記事のまとめ
電柱内部に営巣したニホンミツバチの定点観察:2012〜2013年
巣口となったネジ穴の直径は18mm、地上からの高さ130cm、北向きに開口。
※「コンクリート電柱の断面」でGoogle画像検索すると、コンクリート電柱の中身は(おそらく軽量化とコストカットのために)空洞になっていることが分かります。
久しぶりに営巣地を通りかかったので様子を見ると、巣口の周囲に多数のワーカー♀が集まり、各自がその場で激しく羽ばたいていました。
以前も夏に同様の行動を見たことがあるので、巣を冷却するための扇風行動なのかと初めは思いました。
▼関連記事(6年前の撮影:2014年7月中旬)
巣を空冷するニホンミツバチ♀の扇風行動
※ この短い動画(30秒間)で♂は巣口に出入りしていません。
▼関連記事(7年前の撮影:2013年7月中旬・気温31℃)
ニホンミツバチ♀の巣を冷やす扇風行動【ハイスピード動画】
※ この動画で♂は巣口に出入りしていません。
気温を測りたいところですが、この日は生憎、温度計を持参していません。
しかし電柱に西日が当たっている面だけでなく、日陰になっている所でもニホンミツバチ♀は扇風していました。
直射日光で温められたコンクリート自体の放射熱でミツバチの扇風行動が発動するのかもしれませんが、どうやら巣冷却以外の目的もありそうです。
なぜ私がそう思うかというと、ニホンミツバチ♀が巣に冷気を送り込むための扇風行動なら、巣口から外側に頭を向けて並ぶはずです。
ニホンミツバチの生態についてバイブルになっている佐々木正己『ニホンミツバチ:北限のApis cerana』によると、
(ニホンミツバチは)セイヨウミツバチと扇風の向きが逆で、新鮮な冷気を外から中へ入れるように、頭を巣門の外に向けて気流を巣内に導くように翅を羽ばたく。1秒間に150回前後と飛翔時より少しビート数が少ない。(p34より引用)
しかし今回の扇風役は向きがバラバラでした。
特に、巣口からだいぶ離れたところで扇風している個体は、巣内に冷気を送り込む役目を全く果たしていないでしょう。
もしかすると、扇風経験の浅い若い個体なのかな?
動画をよく見ると、ワーカー♀の他に、複眼が大きく発達して体色が全体的に黒っぽい雄蜂♂もときどき登場します。
少数の♂が巣口から飛び去ったり(出巣)、帰巣したりしています。
電柱の表面をウロウロと歩き回っている♂もいました。
▼関連記事(7年前の撮影:2013年6月中旬)
ニホンミツバチの匂い扇風?
この動画を改めて見直すと、少数の♂が巣口に出入りしていました。
ニホンミツバチ♀の扇風行動を240-fpsのハイスピード動画でも撮ってみました。(@2:08〜)
巣に出入りする飛翔シーン(帰巣および出巣)やこまごまとしたドラマが繰り広げられているので、どう編集すべきか迷った挙げ句、撮影した素材をノーカットでお届けします。
例えばちょっと面白かったのは、帰巣した♂がホバリングしながら扇風役のワーカー♀に背後から抱きついても、気にせず巣口の横で扇風を続行したことです。(@14:40)
雄蜂♂が不妊のワーカー♀にもマウントを試みて交尾の練習をしているのでしょうか?
それとも、まさにこれがナサノフ腺フェロモンの♂に対する誘引効果を示しているのかもしれません。
外役ワーカー♀が帰巣する際にも着陸に失敗して巣口付近の他個体にしがみついてしまうことがあるので、私の考え過ぎですかね?
扇風役も含めて動画に登場するワーカー♀全個体は、後脚の花粉籠が空荷でした。
採餌に出かけた外役ワーカー♀が帰巣時にも花粉籠が空荷なのは謎です。
時間帯が遅いと、もう花粉を集めて来ないのでしょうか?(夕方になると野外の植物の花粉は枯渇してしまうのか?)
巣口の近辺を正面からズームインしてハイスピード動画に撮ると、扇風行動中の♀個体はほぼ全て、巣口を中心に頭を外側(放射状)に向けていました。
これだけ見ると、暑くなった巣を冷やすための扇風行動と思ってしまいます。
ただし例外があり、巣口を向いて扇風する個体を見つけてしまいました。(@6:48)
分蜂(巣別れ)群が新しい巣の候補地の位置を仲間に教えるための匂い扇風だった可能性も考えられますが、それだと巣に出入りする雄蜂♂の存在を私の頭では説明できません。
佐々木正己『ニホンミツバチ:北限のApis cerana』によると、
・(分蜂の)季節は4月から6月。その年最初の分蜂では出ていくのは必ず旧女王であり、母巣は娘の女王が継ぐ。そして群勢に余力があるときは、その後引き続いて何回かの処女王分蜂が繰り返される。(p137より引用)
・ニホンミツバチでは分蜂前にこのようにかなりの蜂が巣門に出てくる動きを見せる場合が少なくない。(p137より)
・分蜂群が新たなすみかに入るときには、先着蜂がちゃんと外側に尻を向けて集合フェロモンを放出しながら扇風し、後続の仲間を誘導する。この場合は扇風の向きはセイヨウミツバチの場合と同じである。(p107より)
最後に引用したポイントは重要で、扇風役の向きから今回の行動が分蜂とは無関係と分かりました。
ときどき雄蜂♂が飛来し、帰巣しています。
ミツバチの結婚飛行について勉強不足の私は、一度巣を離れた♂はてっきり二度と帰巣しないのかと思い込んでいたので、門番♀が♂の再入巣を拒絶せずにあっさり受け入れる様子を見て驚きました。
結婚飛行で女王蜂と運良く交尾できた♂が空中で交尾しながら即死するのは有名な話です。
交尾できずにあぶれた♂が元の巣にすごすごと戻ってくるのでしょうか?
バイブル『ニホンミツバチ:北限のApis cerana』で結婚飛行について復習してみました。
・交尾飛行に出かける時刻は体内時計によって遺伝的に決められていて、ほぼ13:30から16:30の3時間に限られている。(p50より引用)
・ニホンミツバチのそれ(雄蜂♂の結婚飛行時間帯:しぐま註)は、(中略)日本での調査によると13:15〜16:30で、女王蜂の飛行時間帯もこれに同期して13:15〜17:00となっている。雄蜂、女王蜂ともに体内時計によりデートの時刻を決め、それにより交尾のチャンスを高めていることがわかる。(p139より)
・実際に交尾してくる飛行の前に何回かの飛行が見られる場合が多い。しかしいずれもほぼ14:30〜16:30の間に出ていて、セイヨウミツバチより遅い。(p139より)
・巣門に出てきた♂と、すでに交尾飛行から帰巣した♂たち。マキの自然巣にて、残念ながら空高くで行われる交尾の瞬間を見ることはできない。(p51より)
今回の撮影時刻はまさにニホンミツバチが結婚飛行する時間帯でした。
巣に出入りする雄蜂♂は、気象条件などが結婚飛行に適しているかどうか見極めているのでしょう。(結婚飛行の下見?)
例えば動画(@10:15)に巣口から外にでてきた雄蜂♂は外に飛び出すことなく、すぐに巣内へ引き返してしまいました。
これでようやく私も状況が飲み込めてきました。
今回、私は女王蜂を一度も見かけませんでした。
もう少し粘って撮影していれば、結婚飛行の開始を見届けられたのかもしれません。
結婚飛行から戻ってくる雄蜂♂や女王蜂に対して巣口の位置を教えるために、匂い扇風に励んでいたのだろうと考えるようになりました。
再び『ニホンミツバチ:北限のApis cerana』によると、
ナサノフ腺フェロモンを放出し、扇風して仲間を巣門に誘導する(p35より引用)この記述は結婚飛行と関係ないかもしれませんが、謎の「ナサノフ腺」という用語が気になりました。
『岩波生物学辞典 第4版』で調べると、
[英Nassanoff's gland]
ミツバチのワーカー(働き蜂)の腹部第六節背面に開口する分泌器官.多数の分泌細胞からなり,分泌物は袋状の凹所に貯えられる.この分泌物は働き蜂に強い誘引性があり,ミツバチの道しるべフェロモンとして作用する.分泌物にはゲラニオール,ネロリ酸,ゲラニウム酸(geranic acid),シトラールが含まれ,これらが混合して道しるべフェロモンとして働いていると考えられている.
下線部が本当だとすると、雄蜂♂や女王蜂に対しては誘引効果が無い(知られていない)のですかね?
英語版wikipediaでナサノフ・フェロモンを調べると、巣門で腹部を高々と持ち上げながら扇風してフェロモンを放出しているセイヨウミツバチ♀の写真が掲載されています。(分蜂群の先発隊が空の巣箱に仲間を誘導中)
気になるのは扇風時の姿勢で、私が撮った映像ではこんなに腹端を高く持ち上げていません。
セイヨウミツバチとニホンミツバチという種による違いでしょうか?
当然ながら、巣の傍に立つ私の鼻には特に何も匂いを感じませんでした。
もし扇風時の姿勢から匂い扇風が否定されるとなると、結局はやはり巣冷却のための扇風行動だということに落ち着きます。
(ナサノフ腺フェロモン以外に未知のフェロモンがあってもおかしくないと大胆な仮定をすれば、ロマンがありますね。)
今回の扇風行動に関する私の解釈(仮説)が正しいかどうか確かめるためには、通りすがりに短時間観察しているだけでは不十分であることが明らかになりました。
どうしても、この時期に集中して巣口を終日観察する必要がありそうです。(温度計と三脚を必ず持参すること。)
特に、結婚飛行(交尾飛行)のために女王蜂が巣から飛び立ち、やがて戻ってくる様子をいつか自分の目で見てみたいものです。
巣口に監視カメラを設置できれば理想的です。
【追記】
採餌する外役ワーカーが無事に帰巣できるように匂い扇風をしている、という可能性も考えられなくはありません。
しかし蜂は初めて巣を離れる際に定位飛行して視覚的に巣口の周囲を記憶することができます。
それを頼りに外役ワーカーは自力で帰巣するはずなので、匂い扇風は何か他に特別な目的があるはずだと思います。
ニホンミツバチ♀群れ@巣口:コンクリート電柱+匂い扇風(巣口でのすれ違い) |
♀@帰巣 |
巣口の下縁で雄蜂♂が出巣 |
Labels:
スローモーション,
ハチ・アリ(膜翅目),
配偶行動,
飛翔
コンクリートや土を舐めるクモガタヒョウモン♂
2020年6月上旬・午後13:00頃・晴れ
里山の峠道で側溝の乾いた底にクモガタヒョウモン♂(Nephargynnis anadyomene)が降り立ち、伸ばした口吻で土塊を舐めていました。
半開きの翅を開閉しながらミネラル摂取しています。
たまにコンクリートの表面も舐めています。
翅表に♂の性標を認めました。
翅裏をしっかり撮れなかったものの、おそらくクモガタヒョウモン♂と思われます。
▼関連記事(同日同地域で撮影)
ヒメジョオンの花蜜を吸うクモガタヒョウモン♂の群れ
図鑑でクモガタヒョウモンの習性を調べると、
・路上で吸水することもある。人の気配に敏感で、すぐに飛び立ち、なかなか近寄れない。(ヤマケイポケットガイド9『チョウ・ガ』p137より引用)
・路上や崖の湿った場所で吸水も行う。(フィールドガイド『日本のチョウ』p193より引用)
この日は路上の獣糞で吸汁している蝶も見かけたのですが、私が気づかずに近づくと飛んで逃げてしまい、しばらく待っても戻って来ませんでした。
土舐め |
コンクリート舐め |
Labels:
チョウ・ガ(鱗翅目),
食事,
飛翔
2020/09/01
青いルピナスの花で採餌するクロマルハナバチ♀の羽ばたき【HD動画&ハイスピード動画】
2020年6月上旬・午後15:45頃・晴れ
ノボリフジ(別名ルピナス)の大群落がある平地の原っぱに通って、訪花昆虫を調べています。
この日は花がもうほとんど咲き終わり、蝶形花の多くは萎れ、実(豆果)が育っていました。
花穂の下部から順に咲き、受粉すると下から順に実がなることが分かります。
これまでの経験上、マメ科ルピナスの授粉を担う本命は未だ見ぬマルハナバチ類だろうと予想していた私は、この日も執念で探し回ります。
するとようやく、忙しなく訪花する1匹のクロマルハナバチ(Bombus ignitus)のワーカー♀を見つけました。
正当訪花を繰り返し、蝶形花を器用にこじ開けると吸蜜しながら花粉を集めています。
蜂は後脚の花粉籠に橙色の花粉団子を大量に満載しています。
原っぱにはオオジシバリやシロツメクサの花も咲いているのに、クロマルハナバチ♀はルピナスだけを選択的に訪花しています。
ルピナスの豊富な花粉が魅力なのでしょう。
クロマルハナバチ♀の採餌シーンを240-fpsのハイスピード動画でも撮ってみました。(@2:17〜)
ルピナス花穂の周りをホバリングしながら空中で身繕いしています。
この撮影直後に、クロマルハナバチ♀が同じ原っぱの下層に咲くシロツメクサの群落で訪花を始めました。
同一個体が採餌中に蜜源植物を切り替えたことになります。
ルピナスで集粉した後に、シロツメクサで吸蜜しているようです。(餅は餅屋)
▼関連記事(同日同所で撮影)
採餌のためシロツメクサを訪花するクロマルハナバチ♀の羽ばたき【HD動画&ハイスピード動画】
ルピナスが咲き乱れる桃源郷のようなこの原っぱも、いつ宅地造成が始まって潰されるか分かりません。
念願だったマルハナバチ♀の訪花シーンを見届けることができて満足しました。
Labels:
ハチ・アリ(膜翅目),
化粧,
訪花
ニセアカシア林縁のホオジロ♂(野鳥)
2020年5月中旬・午後16:45頃・晴れ
堤防路沿いにニセアカシア(別名ハリエンジュ)の灌木が蔓延る一帯があり、その林縁でホオジロ♂(Emberiza cioide)を見つけました。
至近距離なのに、止まり木の枯枝からなかなか逃げません。
もしかして、近くに巣があるのでしょうか?
頻りに嘴を枯枝に擦りつけているのは、何か不満や不安の現れなのかな?
鳴いているようですが、すぐ横を流れる用水路の水音にかき消されて、残念ながらほとんど聞き取れません。
最後に飛び立つ瞬間を1/5倍速のスローモーションでリプレイ。
2020/08/31
アヤメを訪花するキマダラハナバチの一種【名前を教えて】
2020年6月上旬・正午頃・晴れ
農村部の道端で電柱の根元に植栽されたアヤメ※の小群落で派手な彩色の蜂が訪花していました。
吸蜜に来たはずですが、しがみついた花弁から滑落してしまい、そのまま飛び去りました。
一瞬の出会いを1/5倍速のスローモーションでリプレイ。
アヤメの花が招かれざる客(送粉者以外の虫)を寄せ付けないためにスリップしやすい仕掛けを花弁に備えているとしたら面白いのですが、そのような話は私の記憶にありません。
労働寄生するキマダラハナバチの仲間ですが、採集しないと私には種類を同定できません。
顔の正面をじっくり見せてくれず、性別も不明です。
もし映像から蜂の種名を見分けられる達人がいらっしゃいましたら、ぜひご教示願います。
※ 場所は畑の端ですけど、湿地帯ではなく乾いているので、カキツバタは除外できます。
余談ですが、アヤメの葉裏にミノムシ(ミノガ科の幼虫)の蓑がぶら下がっていました。
Labels:
ハチ・アリ(膜翅目),
寄生,
訪花
ミイデラゴミムシが田んぼの農道を逃走
2020年6月上旬・午後17:35頃・晴れ
水田の間を走る農道で夕方にミイデラゴミムシ(Pheropsophus jessoensis)を見つけました。
初めは農道上で静止していて、何かを食べているようでしたが、背側からでは口元がよく見えませんでした。
私がマクロモードのカメラを近づけると、警戒したミイデラゴミムシは農道を走り回って逃げました。
最後は草むらに逃げ込みました。
捕獲して「ヘッピリ虫」が高温ガスを放出する様子を実演したいところです。
しかしピンセットや手袋などが無いと火傷しそうなので、今回は見送りました。
今回の調べ物で初めて知ったのですが、本種の幼虫は驚くべき偏食家で、ケラ(Gryllotalpa orientalis)の卵しか食べないらしい。
したがって、田んぼに住むのは納得です。
幼少時は家の近所でもっと多く見かけたように記憶しています。
久しぶりで嬉しい出会いでした。
2020/08/30
シロツメクサの花で採餌するシロスジヒゲナガハナバチ♀
2020年6月上旬・午後15:40頃・晴れ
平地の原っぱに咲いたシロツメクサの群落でシロスジヒゲナガハナバチ♀(Eucera spurcatipes)と思われる蜂が訪花していました。
正当訪花で吸蜜するシロスジヒゲナガハナバチ♀は、後脚の花粉籠に橙色の花粉団子を付けて運んでいます。
複数個体を撮影。
Labels:
ハチ・アリ(膜翅目),
訪花
ハシボソガラス2羽のモビングにも動じないノスリ(野鳥)
2020年6月上旬・午前11:40頃・晴れ
郊外の農村部でまっしぐらに飛んで来たノスリ(Buteo japonicus)が電柱の天辺にフワリと着陸しました。
辺りをキョロキョロと見渡しています。
するとすかさず、2羽のハシボソガラス(Corvus corone)が鳴きながら飛来し、ノスリのすぐ横の電線に止まりました。
カーカー♪と鳴き騒きながら電線から電線へ飛び移り、嫌がらせのようにノスリを牽制しています。
カラスに2対1のモビング(擬攻撃)されても、珍しくこのノスリは動じずに平然としています。
このノスリが特別に豪胆というよりも、カラスのモビングがいまいち迫力に欠けるような気がします。
近くの巣で育雛中ならもっと必死でモビングすると思うのですが、若くて経験不足のカラスなのでしょうか?
ノスリの鋭い眼光で睨まれたカラスはすぐに諦めて、2羽とも鳴きながら飛び去ってしまいました。
縄張り内でノスリの存在を黙認したことになってしまいますけど、それで良いのか?
しばらくすると、ノスリも電柱から飛び立ちました。
電柱に向かって歩いて近付こうとした私を警戒して逃げたようです。
広大な農地(畑)の上空で羽ばたきと上昇気流に乗った滑翔を交互に繰り返しながら高度を上げていきます。
カラスはもうノスリを追って来ませんでした。
ハシボソガラス2(野鳥)@電柱+モビング♪vsノスリ |
ノスリ(野鳥)@滑翔:翼下面 |
翼上面 |
登録:
投稿 (Atom)
ランダムに記事を読む
22/02/2015 - 0 Comments
04/05/2014 - 0 Comments
15/12/2013 - 0 Comments
26/09/2015 - 0 Comments
12/11/2024 - 0 Comments