2020年6月上旬・午後17:35頃・晴れ
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送電塔の巣で雛に給餌してから見張りにつくハシブトガラス親鳥(野鳥)
ハシブトガラスの巣がある送電塔#18を後にして、西に一つ離れた送電塔#19を見に行きました。
この鉄塔#19には、(私が知る限りほぼ)毎年ハシボソガラス(Corvus corone)が営巣しています。
2018年に定点観察のため足繁く通った思い出深い場所です。
鉄塔#19の周囲には田畑や郊外の住宅地が広がり、なかなか良さそうな縄張りです。
送電塔#19の巣ではハシボソガラスの雛が計3羽、育っていました。
こちらの巣#19は、スカスカのみすぼらしい状態になっていました。
3羽の元気な雛が巣内で活発に動き回るのため、巣材の枯枝がほとんど崩壊・落下したのでしょう。
雛はときどき翼を広げて羽ばたく練習をしていました。
雛の巣立ちも近そうです。
この2点から、同じ地域でもハシブトガラス(巣#18)よりもハシボソガラス(巣#19)の方が雛の生育が少し早いと言えます。
これは過去の観察でも見られた傾向です。
送電塔の鉄骨の外側には針金が放射状に伸びた謎の物体があちこちに設置されています。
送電塔を保守管理する電力会社以外のヒトが勝手に登るのを妨害するための「ネズミ返し」のような物なのでしょうか?
カラスの営巣を妨害するために設置しているのだとしたら、全く効果がないことになります。
まさか避雷針?
ネット検索してみると、この謎の物体はカラスよけの器具で「クローアウト(crow out)」と呼ばれ、絶縁プラスチック製らしい。
クローアウト®は、カラスが留まる・侵入する・営巣することを物理的に阻止する鳥害防止装置です。 (三和鋼器株式会社のサイト内PDFより引用)クローアウトを設置することでカラスの営巣を完全には防げなくても、巣材による停電事故を起こさないように鉄塔内で営巣位置をある程度コントロールすることが可能なのでしょう。
在巣のハシボソガラス雛の1羽が、目の前にあるクローアウトの細い絶縁プラスチックの感触を確かめるように甘噛みしていました。
この行動は、退屈しのぎの遊びの一種と言えるかもしれません。
クローアウトを曲げたり破壊したりする力はないようです。
その間、1羽のハシボソガラス親鳥が送電塔#18〜19の間を結ぶ高圧線に止まって周囲を見張っていました。
嘴を半開きにして暑さに喘いでいます。
私にカラスの個体識別は無理ですが、もしかすると顔馴染みの親鳥かもしれません。(代替わりしていなければ)
隣接する鉄塔#18と#19との間の距離を地図上で測ると223mでした。※
隣り合う送電塔でカラスが営巣した例を私は初めて見ました。
しかも親子など血縁関係がある同種の2ペアならともかく、異種のカラスでした。
営巣初期に親鳥ペア同士の熾烈な縄張り争いが繰り広げられたことが想像できます。
送電塔#19に長年営巣してきたハシボソガラスの親鳥♀♂ペアが(老いて?)広い縄張りを守れなくなり、東隣の送電塔#18をハシブトガラスに奪われたのかもしれません。
今季の私は、カラスの営巣観察にほとんど通うことができませんでした。
残念ながら、雛の巣立ちも見届けていません。
来季も二種のカラスが隣り合う送電塔で営巣するのかどうか、要注目です。
下手すると、条件の良い営巣地#19をハシブトガラスが強奪してしまうかもしれません。
※ 最近の地図ではテロ対策のため、送電塔や変電所など重要インフラ施設の位置情報を隠すようになってしまいました。
仕方がないのでGPSを持って高圧線に沿って歩き、鉄塔間の距離を歩測しました。
そうこうしているうちに、マイナーながらも送電塔の位置が記録されたWEBマップを見つけたので、鉄塔間の正確な直線距離を測ることができました。
ハシボソガラス雛3@巣:送電塔#19 |
全景 |
ハシボソガラス親鳥@高圧線 |
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