2021/01/30

身繕い中のキイロスズメバチ♀に噛み付く勇猛果敢なクロヤマアリ♀

 

2020年10月中旬・午後12:30頃・晴れ 

峠道の路肩に溜まった落ち葉の上に乗ってキイロスズメバチ♀(Vespa simillima xanthoptera)が身繕いしていました。 
時期的になんとなく、ワーカーではなく新女王のような気もしますが、採寸していないので定かではありません。 
日光浴しながら、前脚で顔や触角を拭って化粧に余念がありません。 
後脚で翅や横腹を掻き、後脚同士を擦り合わせています。 

そこへクロヤマアリFormica japonica)のワーカー♀が通りかかりました。 
圧倒的な体格差があるのに、恐れ知らずのアリはキイロスズメバチ♀の正面から立ち向かいます。
前脚に素早く駆け上がり、敵に噛み付きました。 
奇襲を食らったキイロスズメバチ♀は反撃もせずに慌てて飛び去りました。 
振り落とされたアリは興奮したように辺りを駆け回っています。 
1/5倍速のスローモーションでリプレイ。
アリがスズメバチに対して単独で喧嘩を売るとは驚きました。
もしかして、落ち葉の下にアリの巣口があったのでしょうか?

ヤクシソウの花蜜を吸うクモガタヒョウモン♀

 

2020年10月中旬・午後12:40頃・晴れ 

里山を抜ける峠道の道端に咲いたヤクシソウの群落でクモガタヒョウモン♀(Nephargynnis anadyomene)が訪花していました。 
翅を広げたまま口吻を伸ばして吸蜜しています。 

通常ヒョウモンチョウの仲間は翅裏の斑紋で種類を見分けます。 
今回はせっかく翅裏が見えても、強い日差しのせいで翅表の斑紋も裏面に透けてしまい、混乱を招きます。 
同定のために採集すべきか迷いながら、同一個体を撮り続けました。 
粘った甲斐があって、ようやく翅裏の模様をしっかり見せてくれました。 

現場ではてっきりミドリヒョウモン♀かと思ったのですが、後で落ち着いて動画を見直すと、クモガタヒョウモン♀でした。 
私は未だクモガタヒョウモンをこの峠道でしか見たことがありません。 
♀を見つけたのも初めてです。


栄養補給を済ませたクモガタヒョウモン♀は…。


2021/01/29

池に浮かぶ流木に付いた藻を食べるコガモ♀(野鳥)

 

2020年10月上旬・午後16:40頃・くもり 

夕方の薄暗い溜池でコガモ♀(Anas crecca)の小群を見つけました。 
冬鳥として早くも渡来したようです。 
群れに♂が含まれていないのはなぜでしょう? 
エクリプスのコガモ♂も居ませんでした。 

1羽のコガモ♀が水面に浮いた流木に興味を示し、頻りに水面採食しています。 
嘴を素早く小刻みに開閉させて、流木の周囲に繁茂した藻などの有機物を濾し取っているのでしょう。 

カメラを向けている私の存在に気づくとコガモ♀の群れは警戒し、慌てて水面を対岸まで泳ぎ去ってしまいました。 

この池でカルガモ以外のカモ類を見かけるのは珍しいのですが、この日はなぜか常連のカルガモは不在でした。

山道で吸水・ミネラル摂取するメスグロヒョウモン♀

 

2020年10月上旬・午前11:55頃・晴れ 

急坂の登山道に沢の水が流れ込んで、舗装路の轍が濡れていました。 
水溜りというほど深くはないのですが、メスグロヒョウモン♀(Damora sagana)が全開にした翅をやや開閉しながら濡れた路面で吸水していました。 
水を飲むだけでなく、ミネラル摂取も兼ねていると思われます。 
一瞬ルリタテハかと思って撮り始めたのですけど、メスグロヒョウモン♀でした。 
♀の吸水シーンは初見です。
▼関連記事(6年前の撮影) 
傘の柄を舐めるメスグロヒョウモン♂(ミネラル摂取)
翅の縁が前翅も後翅もボロボロに破損した個体です。 
山道を歩き回ったり向きを変えたりしながら、口吻を伸ばして濡れた路面を舐め続けています。 
乾いた路面に口吻の先が触れたときは、すぐに濡れた路面に移動して落ち着きました。 
もう少し水深の深い溝も近くにあるのに、地面が少し濡れているだけで充分なようです。 

私がもう少し近付こうと一歩踏み出しただけで、警戒したメスグロヒョウモン♀は飛び去ってしまいました。


2021/01/28

マリーゴールドの花を舐めるスズキフタモンハナアブ♀

 

2020年10月中下旬・午後15:00頃・晴れ 

山際の家庭菜園の片隅に咲いた色とりどりのマリーゴールドの花で見慣れない双翅目が訪花していました。 
図鑑『札幌の昆虫』で名前を調べてみると、スズキフタモンハナアブ♀(Ferdinandea cuprea)と判明。 
口吻を伸縮させて花粉や花蜜を舐めています。 
マリーゴールドの花から飛び立つ瞬間を1/5倍速のスローモーションでリプレイ。 

『あおもり昆虫記』のサイトに掲載されたスズキフタモンハナアブのページには「ブナ林に依存性があるアブのようだ」と記されています。 
幼虫の食性を知りたくなって調べてみると、英語版wikipediaに本種の独立したページが作られていました。 
それを読むと、ブナ科コナラ属やトネリコなどの樹洞や樹液に幼虫が見つかるらしく、腐食性またはスカベンジャーと考えられているそうです。 
今回の撮影現場はミズナラやコナラなどの雑木林が広がる里山の麓なので、納得しました。 (私のフィールドでトネリコは見た記憶がありません。) 
山地性のハナアブなのでしょう。

ヒトの汗を摂取するウラギンシジミ♂

 

2020年9月上旬・午前10:40頃・晴れ 

郊外の路地裏を私が歩いていると、飛来したウラギンシジミ♂(Curetis acuta paracuta)が私の黒い靴下に止まりました。 
実はすぐ横の庭でクサギボタンの花が咲いていたので、もしかすると直前まで訪花していたのかもしれません。 
翅をしっかり閉じたまま吸汁を初めたようですが、肝心の口吻がよく見えません。 
蝶の口吻の動きをしっかり撮ろうとすると体を無理にひねった窮屈な体勢になる上に、被写体が太陽を背にした私の影に入ってしまうので、非常にもどかしい撮影でした。 
蝶を足首に乗せたまま私が少し移動しても、私の汗に夢中のウラギンシジミ♂は逃げませんでした。 
真夏の日差しが強いので、体温調節のために自分の影が最小になるように蝶は体を向けているのかもしれません。 

吸汁後の飛翔シーンをまずは1/5倍速のスローモーションでご覧ください。 
その後に等倍速でリプレイ。 
羽ばたく際に翅表の橙赤色が見えたので、♂と分かります。 
(私は本種の♀を未だ見たことがありません。) 
すぐに舞い戻ってきてくれて、今度は迷彩柄の短パンに止まりました。 
しかし私がカメラを近づけると、すぐに逃げてしまいました。 
汗ばんだ衣類からナトリウムなどのミネラル成分を摂取しているのでしょう。 
今回は私の素肌から汗を直接舐めてくれませんでした。
▼関連記事(1年前の撮影) 
汗を舐めに飛来するウラギンシジミ♂【HD動画&ハイスピード動画】 
砂地を舐めてミネラル摂取するウラギンシジミ♂【HD動画&ハイスピード動画】
ちょうど山から降りてきたばかりなので、綿の黒靴下に緑色の「ひっつき虫」が数個付着しています。(動物散布型の種子)

 

2021/01/27

柿泥棒の野生ニホンザル♀が逃げた先は…【猿は渋柿を食べる?】

 

2020年10月上旬・午後15:20頃・くもり 

山里に出没した野生ニホンザルMacaca fuscata fuscata)と遭遇したのでそっと追いかけると、某施設の駐車場(グランド?)に猿の群れが散開していました。 
私の接近に気づいた猿が一斉に走って逃げ出しました。 
その中で何かオレンジ色の果実を抱えて逃げる個体が気になりました。 
1/5倍速のスローモーションでリプレイしてみると、どうやら近くの集落でカキノキの未熟果を失敬してきたようです。 

逃げた先を見やると、口に餌を咥えたニホンザル♀が山の急斜面に張り渡さられた電線を伝ってスイスイ登って行きます。 
平行に並んで張られた複数の電線に四足を掛けて登るため、ケーブル1本の綱渡りよりも安定しています。 
ここは、山の急斜面の高低差を利用した小規模な水力発電所なのでした。 
こんな秘密基地みたいな施設があるとは知りませんでした。 

電線を張り渡す鉄塔に到達した猿は、「ここなら安全」とばかりに、鉄塔の天辺に腰を下ろして持ってきた柿の実を食べ始めました。 
背後はスギ林です。 
果実に付いていた葉の形状から、リンゴではなく柿の実と確定しました。 
完熟しておらず、黄緑色〜黄色の固い果実をボリボリと食べています。 
未熟な柿の実はタンニンを含み強烈に渋くて食べられないはずなのに、猿は気にしないようです。
ニホンザルが渋柿を平気で食べる様子に私は驚いてしまいました。 
あまり渋くない品種なのかな? 

▼関連記事(8年前の冬に撮影)

胸の正面にピンク色の乳首が1対見えたので♀成獣のようです。 
実りの秋、食欲の秋を満喫しているようで、丸々と太って見えます。 
この個体は黒いGPS付きの首輪を装着していました。 
緑色のラベルが首輪に張られているものの、遠くてラベルの文字を読み取れませんでした。 

完食してないのに、食べかけの柿の実の欠片を惜しげもなく捨ててしまいました。
 

食後のニホンザル♀は鉄塔で立ち上がると、再び電線を伝って更に上へ登り始めました。 
股間に睾丸が見えないので、やはり♀で間違いないでしょう。 
黄色いケーブルに手を掛けると右へ勢い良くジャンプして、鉄製の階段に飛び移りました。
見事な跳躍を1/5倍速のスローモーションでご覧ください。 

発電所の作業員が使う階段を野生ニホンザルも普段から使い慣れているようで、少し登ると途中で座り込みました。 
カメラを上にパンすると、階段を登り切った地点のコンクリートから別個体のニホンザルが見下ろしていました。 
コンクリートの縁に腰掛けているこの個体も、GPSの首輪を装着していてます。 

柿泥棒の個体に注目して撮影したので、一緒に逃げた群れの行方をほとんど見失ってしまいました。 

砂利道で吸水およびミネラル摂取するヤマトスジグロシロチョウ♂

 

2020年10月上旬・午前11:50頃・晴れ 

林道の入山口に沢の水が流れ出して濡れていました。 
その濡れた砂利道でヤマトスジグロシロチョウ♂(Pieris nesis)が秋の日差しを浴びながら吸水していました。 
翅を半開きのまま口吻を伸ばして地面を頻りに舐めています。 
土壌に含まれるナトリウムなどのミネラル成分を摂取しているのでしょう。 
秋風が強く吹いて翅が煽られても必死に踏ん張り、吸水を止めません。 
ときどき自発的に飛び立つものの、少し飛んで水場の吸水ポイントを変更するだけでした。 
地面に適度な湿り気があれば良いらしく、水たまりの深みには近づかないようにしているようです。 

何度か離着陸を繰り返した後で、後半は濡れ落ち葉(大きいのでホオノキ?)の上に乗って舐め始めました。 (@2:36)

かなり長時間吸水していたのですが、映像を見直してもヤマトスジグロシロチョウ♂が腹端から排尿するシーンは撮れていませんでした。
白飛びして見逃したのかもしれませんが、口吻に注目して横から撮ると腹端は翅に隠れて見えないことが多いです。

平凡社『日本動物大百科9昆虫II』によると、
(シロチョウ類が)なぜ吸水するのかという疑問に関して、いくつかの説があるが、♂の性成熟を促進するためにミネラルを採り入れることが必要なのだ、という説が有力である。(p37より引用)
 

『フィールドガイド日本のチョウ』によれば、
(ヤマトスジグロシロチョウの)♂は吸水性が強く、林道沿いなどで吸水集団がよく見られる。(p91より引用)


 

▼関連記事(12年前の撮影) 
スジグロシロチョウ♂の吸水
ヤマトスジグロシロチョウかどうか、要再確認

2021/01/26

ナギナタコウジュの花で採餌するトラマルハナバチ♀

 

2020年10月上旬・午後14:35頃・くもり 

山麓の道端に咲いたナギナタコウジュの群落でトラマルハナバチBombus diversus diversus)のワーカー♀が忙しなく訪花していました。 
マルハナバチ類の中でも長舌種のトラマルハナバチは、ナギナタコウジュに正当訪花で吸蜜するには持て余すほど舌が長いです。 
そのため、花弁が次から次に落ちてしまいます。(落花) 
後脚の花粉籠に黄土色/黄色の花粉団子を大量に付けています。 
現場は薄暗い林縁でした。
▼関連記事(6年前の撮影) 
ナギナタコウジュの花蜜を吸うトラマルハナバチ♀

ミゾソバの花蜜を吸うミドリヒョウモン♂

 

2020年9月下旬・午前10:45頃・くもり 

里山の林道沿いに咲いたミゾソバの群落でミドリヒョウモン♂(Argynnis paphia)が訪花していました。 
翅の縁が激しく損傷した個体ですが、翅を開閉しながら吸蜜しています。 
翅裏の模様を見ないとヒョウモンチョウの仲間は見分けられないのですけど、翅表の模様も透けてしまうとお手上げです。 
ようやく翅裏がしっかり見えて、ミドリヒョウモンと判明しました。 

この組み合わせが初見なのは意外でした。

2021/01/25

川の岸辺で捕食するダイサギ(冬の野鳥)

 

2020年2月上旬・午後15:30頃・晴れ 

雪国の街中を流れる川の岸に1羽のダイサギArdea alba)がいました。 
尾羽の飾り羽が美しいですね。 
長い足でゆっくり水際に歩み寄ると、何か小さい獲物(貝や小動物?)を捕食しました。(@1:00) 
食後は川の水で嘴を軽くゆすぎました。(水を飲んだ?)(@1:30) 

その後は川岸に沿って上流へどんどん歩いて来ます。 
このとき、歩きながら足をガクガクと動かしています。 
川底に振動を与えて隠れている獲物を追い立てて捕食する作戦です。 
「足踏み追い出し漁」と命名した行動で、ダイサギをよく見ていると毎年観察することが出来ます。

寄生バチに威嚇するフクラスズメ(蛾)幼虫

 

2020年9月下旬・午後14:25頃・晴れ
▼前回の記事 
フクラスズメ(蛾)幼虫の脱糞と身繕い
農村部の道端でフクラスズメArcte coerula)の幼虫アカソが身繕いしていると、怪しい蜂が飛来し、つきまとい始めました。 
奥に居る蜂はピンぼけですが、腹端に産卵管が見えるので寄生バチ♀(おそらくヒメバチ科?)だと思います。 
産卵する寄主を探索しているのでしょう。 (ただしフクラスズメ幼虫が本来の寄主とは限りません。) 

1/5倍速のスローモーションでリプレイしてみると、フクラスズメの幼虫は上半身を軽く振って天敵の寄生バチを払い除けているようです。
その後も身繕いを続けています。

 

2021/01/24

モンスズメバチの巣が駆除された後の樹洞内に生き残った生物は?【暗視映像】

 

八重桜の樹洞に営巣するモンスズメバチ:#13

▼前回の記事 
樹洞内の巣が壊れても居残るモンスズメバチ♀♂と居候ゴキブリの群れ【暗視映像】

 

2020年9月下旬・午前1:20頃・くもり 

8日ぶりの定点観察に来てヤエザクラ(八重桜)の樹洞内を赤外線の暗視カメラで覗いてみると、モンスズメバチVespa crabro)の巣盤がほぼ完全に破壊され無くなっていました。 
モンスズメバチの成虫は♀も♂も1匹も見つかりませんでした。
やはり誰かに蜂の巣を駆除されてしまったようです。 
秋になってコロニーの解散が近づき、ワーカー♀による防衛力が衰えた途端に居候のヤマトゴキブリPeriplaneta japonica)などが巣盤や外皮を一気に食害したのかもしれない…という可能性も無くはありません。 
しかし、樹洞の底にモンスズメバチ巣の外皮の破片が散乱していたことから、物理的に巣を破壊・駆除されたと確信しました。 
実は私が定点観察に通っていた期間中、営巣木の周囲に立入禁止のロープが張り巡らされて注意喚起の張り紙もしてありました。 
黄色と黒の縞模様で危険を示すロープ(ベイツ型擬態)と注意書きが前回見に来たときには撤去されていました。
その寛大な対応は今どき珍しい神対応だと私は高く評価していたのですが、やはり誰かハチ嫌い(ハチ恐怖症)のヒトが一人でも強いクレームを入れると、残念ながら駆除せざるを得ないのでしょう。 

モンスズメバチの巣が駆除されても、樹洞内に隠れ住む昆虫が全滅した訳ではありませんでした。 
ハチの巣駆除にはおそらく殺虫剤を使用したはずです。 
(殺虫剤を使わないでモンスズメバチだけ駆除したのだとすれば、難易度が高い方法なので大したものです。) 
使用した殺虫剤に対して抵抗性を獲得しているのか、多数のヤマトゴキブリと1匹のゲジは樹洞内でしぶとく生き残っていました。 
それとも駆除後に新たに樹洞内に侵入したゴキブリ集団なのかな? 
殺虫剤が樹洞内に残留しているはずです。 

今回新たに樹洞内で見つけた昆虫として、おそらくカラスヨトウAmphipyra livida corvina)の仲間と思われる中型の黒い蛾も1頭潜んでいました。 
侵入したカメラに警戒して、樹洞内を走り回ったり少し飛び回ったりしています。 
蛾の複眼がカメラの照明(赤外線または白色光)を反射して見えます。 
文献検索でヒットしたPDFを斜め読みしてみると、
小蛾類も複数種が,夏季にはヤガ科のカラスヨトウ類も認められる. (亀澤洋. "甲虫の生息場所としての 「乾燥した樹洞」 について." さやばねニューシリーズ 11 (2013): 4-14.より引用)
との記述がありました。 

実は私も忘れかけていたのですが、こんな面白い体験を記録しています。
▼関連記事(6年前の撮影) 
夜モンスズメバチの巣に忍び寄るシロスジカラスヨトウ(蛾)【暗視映像】
しかし、今回見つけた蛾の映像をスロー再生しても翅表に白帯は見えませんでした。 

鈴木知之『朽ち木にあつまる虫ハンドブック』によると、
チョウ目の多くの種は、朽ち木や朽ち木に発生したキノコを利用する。(p76より引用)
しかし、カラスヨトウなど見た目が似た蛾は掲載されていませんでした。 
 

次に、森上信夫『樹液に集まる昆虫ハンドブック』を紐解いてカラスヨトウを調べると、
夏眠と呼ばれる活動休止期間がある、盛夏には一時姿を消す。(p25より引用)
 
八重桜の樹洞内でカラスヨトウ(の仲間)が夏眠していたのかもしれません。 

樹洞内の画面左には、マイマイガLymantria dispar japonica)の蛹が吊り下げられていました。 
危険なスズメバチが居なくなったので、可視光の照明を点灯しても大丈夫です。 
蛹の本体は焦げ茶色で、薄茶色の剛毛が疎らに生えていました。 
マイマイガの幼虫は広食性で、食草・食樹リストにサクラが含まれています。 
5年前には現場のすぐ近くのヤエザクラ(八重桜)の木でマイマイガ幼虫を撮影しています。

▼関連記事(5年前の撮影:ほぼ同じ場所) 
桜の葉の中で繭を紡ぐマイマイガ幼虫(蛾)

ゴキブリやカラスヨトウ(蛾)など夜行性の昆虫は白色光を嫌って物陰にどんどん逃げてしまい、じっくり撮影できませんでした。 
(蜂の巣が駆除されたことに落胆して、動画撮影が雑になってしまいました。) 

撮影直後に外気温を測定すると、営巣木の周囲は17.7℃、湿度80%でした。 

シリーズ完。 
モンスズメバチ新女王の羽化を見届けることができず、残念無念です。 
スズメバチの巣の定点観察はいつも不本意な形で強制終了してしまうために生態の解明が遅々として進まず、フラストレーションが溜まります。 
それでもモンスズメバチの巣を定点観察するのはこれで2例目となり、新しい発見とささやかな喜びが得られました。

池でジュンサイの茎に単独で産卵するヤンマ♀と近くで警護する♂【トンボの名前を教えて】

 

2020年9月下旬・午前11:15頃・晴れ 

山中の沼の水面付近で、おそらくヤンマ科の一種と思われる数匹のトンボが激しく飛び回っていました。 
1/5倍速のスローモーションでまずはご覧ください。 
その後に等倍速でリプレイ。 
ジュンサイの楕円形の浮葉が並ぶ水面の上空を♀が単独でホバリング(停空飛行)しています。 
水面に打水産卵するのではなく、腹部をだらんと垂らしながら低く飛んで、腹端で水面の産卵適地を探っているようです。 
やがてヤンマ♀は水面下に伸びるジュンサイの細い茎に着陸し、茎の組織内に卵を産み始めました。 
産卵中は翅の羽ばたきを止めました。 

その間、産卵する♀の近くで♂が警護のためホバリングしていました(配偶者ガード、交尾後ガード)。 
ライバル♂が♀に近づくと追い払います。 

配偶者の♂が少し離れた隙にまた別のライバル♂が飛来して、産卵中の♀を素早く抱えて飛び上がりました。 
これも1/5倍速のスローモーションでまずはご覧ください。 
♂は儀式的な求愛行動もなく、強引に♀を連れ去ろうとしたものの、うっかり空中で♀を離してしまいました。(♀による交尾拒否?) 

誘拐未遂を逃れた♀はジュンサイの葉に舞い戻り、産卵行動を再開しようとしましたが、結局はすぐに飛び去りました。 
♂に邪魔(ハラスメント)されない静かな産卵場所を探して移動したようです。 
水面から飛び立つ瞬間に自らの羽ばたきで水飛沫が上がったのが印象的です。 

映像からこのトンボの名前が分かる方がいらっしゃいましたら、教えて下さい。 
日差しが強く水面からの照り返しも眩しくて、私にはトンボの特徴がよく見えませんでした。 
しっかり横を向いてくれなかったのも不運でした。 
馴染みのあるギンヤンマではなさそうです。 
私がもう少し粘って同定用の良い写真が撮れれば良かったのですけど、先を急がないといけない用事があったので、長居できませんでした。 
次回は、ヤンマの恋の三角関係をハイスピード動画で撮るのも面白そうです。
ヤンマsp♀@池:ジュンサイ茎+産卵
ヤンマsp♀@池+♂@警護ホバリングvsライバル♂
ヤンマsp♀@池:ジュンサイ茎+産卵+♂@交尾未遂

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