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2025/08/22

ヒメアオキの果実に形成された虫こぶ(アオキミフクレフシ)から羽化したアオキミタマバエ♀♂

 

2024年5月上旬 

里山で林内の低層に自生する常緑のヒメアオキ群落に果実が赤く色づき始めました。 
ほとんどの果実が寄生されているようで、いびつな形状の虫こぶ(虫瘤、虫えい)が形成されています。 
虫えいの和名は「植物名+部位+形+フシ」を付ける原則があるのに、ヒメアオキの果実にできる虫こぶの名前は「ヒメアオキミフクレフシ」ではなくて、アオキ属全体の果実虫こぶとして「アオキミフクレフシ」でまとめられるて呼ばれているのだそうです。 
そもそもヒメアオキとアオキは別種に別れてはおらず、変種の扱いです。
(日本の太平洋側の暖温帯林下に自生するアオキの日本海側多雪地帯型の変種がヒメアオキ。)

この虫こぶを数個採集し、家に持ち帰りました。 
採集時の動画を撮り忘れたので、動画の冒頭はスライドショーで写真を見せます。
100円ショップで買えるプラスチック製のピルケースは、採集した虫や抜け殻、果実、虫こぶなどの小物を収納するのに重宝しています。 


『虫こぶハンドブック』でアオキミフクレフシについて調べると
寄主:アオキ(ヒメアオキ) 
形成者:アオキミタマバエ Asphondylia aucubae 
形状:果実が変形する虫えい。内部は数個の虫室があり、1幼虫を含む。南日本で正常果より小さく、北日本やヒメアオキではやや大きくなる傾向がある。虫えい化した果実の方が、枝に残ることが多い。 
生活史:6月に羽化し、幼果に産卵。1齢幼虫で虫えい内越冬。 (p53 より引用)


2日後に様子を見ると、ピルケース内でアオキミタマバエAsphondylia aucubae)の成虫♀♂が羽化していました。 
慌ててカメラにマクロレンズを装着し、動画で記録しました。
ピルケースの1区画のサイズは、2.0 x 1.8 x 1.5 cm。
アオキミタマバエはプラスチックのつるつるした垂直壁面をよじ登れないようですが、蓋を開けると、次々に飛んで逃げてしまいます。 
虫こぶ(ヒメアオキミフクレフシ)の表面に仰向けになって落ちたときに羽根がへばりつき、動けなくなっている個体がいました。 

アオキミタマバエの性別の見分け方をよく知らないのですが、きっと腹部が太い個体が♀で、細い個体が♂なのでしょう。 
複眼の形状に性的二型はありませんでした。 
羽化直後に交尾している♀♂ペアはいませんでした。 
アオキミタマバエに二次寄生した寄生蜂などは羽化していませんでした。



文献検索してみると、山形大学の研究グループによる面白そうな論文がヒットしました。
山口良彦; 林田光祐. アオキミタマバエによる虫えい形成がヒメアオキの実生更新に及ぼす影響. 日本森林学会誌, 2009, 91.3: 159-167. 

抄録 
東北日本海側のコナラ林において, 常緑低木ヒメアオキの果実の成熟から実生の定着までの繁殖過程とそれに対する三つの生物間相互作用の影響を調べ, 虫えい形成者による散布前捕食の相対的な重要性について評価した。0.25 haの調査区内のすべての果実を調べたところ, アオキミタマバエの寄生による虫えい形成果の割合が1998年生で57%, 1999年生で77%と高い値を示した。虫えい形成果の種子含有率は1∼2割であり, 散布前捕食が種子生産を大きく減少させていた。一方, 健全果は渡り途中のヒヨドリによってごく短期間にほぼ完全に消費され, 種子が散布された。野ねずみによる種子の摂食は確認されたが, 播種した種子の消失率は1割以下であり, 散布後の種子捕食圧は強くなかったと推察される。発芽率は8割以上と高く, 実生の生存率も低くなかった。以上のことから, 本調査地のヒメアオキ個体群では, 虫えい形成者による果実への寄生が実生更新の重大な阻害要因であることが示唆される。 




2024年5月下旬 
平地のスギ防風林でもヒメアオキの群落を見つけたので、熟果を探してみました。 
赤く熟した果実は全て歪に変形している虫こぶ(アオキミフクレフシ)ばかりで、寄生率が非常に高いことが分かります。 
果皮に張りがなくて皺くちゃの虫こぶはもう古いのかな? 
黒い穴はアオキミタマバエ成虫の羽化孔で、ひとつの果実から数匹が羽化したことが分かります。 
しかし、付近にアオキミタマバエを見つけられませんでした。 
私の悪い癖で、接写しながらカメラを忙しなく動かしてしまい、動画酔いしそうです。 
仕方がないので、1/2倍速のスローモーションでお見せします。 

鳥や動物による種子散布を調査する準備段階として様々な植物の種子を集めているのですが、ヒメアオキの種子を採取するために寄生されていない熟果(正常果)をいくら探しても今季は見つけられませんでした。 
ヒヨドリなど果実食性の鳥がヒメアオキの正常果を片っ端から選択的に食べてしまうのだそうです。 
ちなみに、虫こぶ(アオキミフクレフシ)の中では種子が正常に形成されません。
いずれフィールドにトレイルカメラを設置して、鳥がヒメアオキの実を食べに来る決定的な証拠映像を撮影してみたいものです。 
虫こぶ(アオキミフクレフシ)を忌避して正常果を選り好みする様子を実際に観察するのが次の目標です。 


※ Perplexity AIと問答を繰り返して、勉強しながらこの記事を書きました。


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2025/08/19

ニホンザルと白斑ススキ

 

2024年6月下旬・午前11:00頃・くもり 

山麓の民家の裏庭の端でニホンザルMacaca fuscata fuscata)が背を向けて座っています。 
立ち上がって遊動するまで撮り続けるつもりだったのですが、周囲で群れのメンバーが様々な行動を繰り広げているために、目移りしてしまいました。 

この記事のメインはニホンザルではなく、その横に生えていた斑入りの園芸植物についてです。 
調べてみたら色々と面白いことが分かったので、紹介します。
まるでクマザサのように葉身の両側の縁が白くなっている(隈取りがある)イネ科の植物です。 
ChatGPTに相談し、写真も検討してもらうと、斑入りのススキと教えてもらいました。 
植物の斑入りには様々なタイプが知られていますが、このススキは縁斑えんふです。

再確認:画像の植物の特徴

  • イネ科で葉が細長く、立ち上がり気味。

  • 白い縁取り(縁斑)が明瞭で、葉幅は中程度。

  • 群落形成している。

  • 植栽地:山形県の山麓の裏庭(耐寒性必須)

  • 撮影時期:6月下旬(十分展開している)


結論:やはり最有力候補は

Miscanthus sinensis 'Variegatus'(斑入りススキ)


理由(山形県の環境と整合性がある点)

  1. 耐寒性が高い(東北地方で越冬可)
     Miscanthus sinensisは在来種ススキと同種であり、耐寒性が非常に高く、山形県でも屋外越冬が可能です。海外品種(例:‘Cosmopolitan’)は地域によっては冬枯れが激しくなることもあるためやや不利。

  2. 葉の展開時期が早く、6月下旬で十分育っている
     ‘Morning Light’など一部の細葉品種は春の立ち上がりがやや遅く、6月下旬ではまだボリューム不足な場合もあります。‘Variegatus’は早めに展開する傾向があります。

  3. 庭園用途での定番斑入りススキ
     日本の民家の庭では、最もよく植えられてきた「斑入りススキ」はこの‘Variegatus’(日本語では単に「斑入りススキ」)で、昭和〜平成期の和風庭園や公園で頻繁に見られました。


ニホンザルは野生株のススキの葉を食べることがあるのですが、今回の個体は斑入りススキを採食しませんでした。
葉全体が緑色の正常な野生株と比べて、白斑ススキはサルにとって栄養価が低い(と判断した)のでしょう。

関連記事(8、9年前の撮影)▶  


ススキは風媒花で、種子も風散布される植物です。
斑入りの品種が風任せで近所にどんどん分布を広げているようには見えないのは不思議です。なぜでしょうか?

ススキは通常、種子によって風散布されますが、斑入り園芸品種(たとえば 'Variegatus')が自然分布を広げることはほとんどありません。その理由は、以下のような遺伝的・生理的・繁殖的制限によるものです。


理由1:斑入りはしばしば劣性または不安定な変異で、種子に遺伝しにくい

  • 斑入り(特に縁斑)は、多くの場合、色素合成に関わる遺伝子の変異によって生じます。

  • これはしばしば**栄養変異(体細胞変異)**であり、種子を通して子に安定して遺伝しないことが多い。

  • 仮に種子ができても、斑のない(緑一色の)実生になる可能性が高い。

→ よって、「風で飛んだ種から新たな斑入り個体が生える」ことは非常にまれ。


理由2:斑入り品種は種子をほとんどつけないことがある

  • 一部の斑入りススキ園芸品種は、

    • 花芽が形成されにくい

    • 花粉が不稔(不完全)

    • 種子がほとんど実らない(不稔性)
      などの性質を持っていることがあります。

  • これは、園芸的に選抜された変異株であるため、野生の繁殖力とは異なる場合があるのです。

→ そのため、そもそも風で散布できる種子ができないというケースも多い。


理由3:斑入りは光合成効率が落ちるため、野外では競争力が低い

  • 白い部分には葉緑体が少ない(または欠如)しており、光合成効率が緑葉より劣る

  • 自然環境では、緑葉型に比べて成長・生存に不利になる。

  • たとえ実生や株分けで逸出しても、雑草型のススキ(緑葉)に駆逐されやすい

→ 野生環境では定着しにくく、拡散力が低い


理由4:広がる場合は主に地下茎(栄養繁殖)による

  • 'Variegatus'などは地下茎で少しずつ広がるが、それは植えられた場所の近傍に限定される。

  • 自然分布のように広範囲に散布されることはほとんどない。


補足:例外もあるが極めて稀

  • ごくまれに、斑入り形質を種子を通じて遺伝可能な系統もありますが、

  • それは非常に限られた交雑系統や栄養固定化された特殊株であり、

  • 一般に庭園に植えられている‘Variegatus’のような品種では起きにくい現象です。


まとめ

斑入りススキ園芸品種が近所に自然に拡散しない主な理由は:

  1. 種子に斑入りが遺伝しにくい(栄養変異)

  2. 花や種子が不稔のことがある

  3. 光合成能力が劣り、自然環境で競争力がない

  4. 繁殖しても地下茎による局地的な広がりのみ


このため、斑入りススキが**「庭にあるのに、周囲には広がらない」のはごく自然な現象です。
もし逸出していたとしても、それは
緑葉型の実生(原種返り)**である可能性が高いでしょう。


つまり、斑入りススキは地下茎のクローンで増やす園芸品種らしい。

Miscanthus sinensis 'Variegatus' は百年以上にわたって世界各地の庭園に生き続けている、まさに「園芸植物の古典」と言える存在です。

しかもこの品種は、地下茎によって安定してクローン維持され、極寒にも耐える丈夫さを持ち、美しい斑入りを毎年確実に再現する──という点で、遺伝的にも環境適応的にも非常に優秀な系統です。


縁斑とは別のタイプの斑入り品種のススキも見たことがあるのを思い出しました。

昔の記憶を頼りに、後日写真を撮りに某集落へ行ってきたら、タカノハススキでした。


ススキ(Miscanthus sinensis)には「縁斑」以外にも、さまざまなタイプの斑入り品種が存在し、日本では古くから**和名付きの系統(地方名や意匠名)**として親しまれてきました。

以下に、代表的な斑のタイプごとにススキの品種名と特徴を整理します。


◼️ ススキの斑入り品種の分類(代表例)

斑のタイプ品種名(和名)特徴備考
縁斑(えんふ)白斑ススキ、‘Variegatus’葉の縁が白く抜ける最も一般的。海外でも人気
中斑(ちゅうふ)タカノハススキ(鷹の羽薄)葉の中央に太く白または黄の筋鷹の羽の模様に例える。華やか
縞斑(しまふ)ヤハズススキ(矢筈薄)葉に細い白筋が多数並行に入る“矢筈”模様に見立て
矢羽状散斑ヤバネススキ(矢羽薄)不規則な白斑が左右交互に出る(矢羽模様)細かな白斑が点在・交錯する
点斑・モザイク状斑点ススキ(仮称)まばらな点斑稀に見られる。葉緑体の変異由来
全体白化型(極端な白化)シロススキ、白覆輪ススキなど白地にわずかな緑縞栄養が乏しく成育がやや劣る

◼️ それぞれの品種の特徴を少し詳しく

タカノハススキ(鷹の羽薄)

  • 葉の中央に明瞭な太い黄白色の筋

  • 鷹の羽根のような勇壮な姿から命名

  • 江戸時代から観賞用に使われる伝統的品種

  • 夏〜秋にかけて斑が明瞭になる

ヤハズススキ(矢筈薄)

  • 細くシャープな白い縞が平行に数本ずつ入る

  • 葉の縁や中央のラインが複数走り、スタイリッシュ

  • やや繊細な外観で、茶庭などにも使われる

ヤバネススキ(矢羽薄)

  • 葉の表面に不規則な白斑が左右交互に斜めに交錯する

  • 独特の装飾性で、名前どおり矢羽根に見えることから命名


◼️ 斑入りススキ品種の文化的背景

  • これらの品種は、日本の伝統園芸において「意匠的な美しさ」が重視され、名前に**動物や武具の名(鷹、矢筈、矢羽など)**を用いてきました。

  • 鑑賞されるのは、花穂よりも葉の美しさ・風に揺れる姿

  • 茶庭や坪庭、路地植えに利用され、季節の移ろいを表す植物として愛されてきました。

 

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斑入り植物百科: 美しい銘品から話題の珍品まで! (別冊趣味の山野草)

2025/05/22

ミズナラの幼木に出来たナラメリンゴフシ【虫こぶ】

2024年5月上旬

里山の細い林道の脇に自生するミズナラ幼木の群落で白いピンポン玉のような物が目に付きました。
ナラメリンゴタマバチ(Biorhiza nawai)の両性世代がナラ類の芽に形成した虫こぶらしい。
細い枝の分岐点で大きく膨らんだ虫こぶの表面はまだ黄緑色で、少しだけ赤く色づき始めていました。

以前もミズナラに寄生しているのを見つけています。

関連記事(8年前の撮影)▶ ミズナラに形成したナラメリンゴフシ【虫こぶ】#1 
定点観察した連載記事#1〜#6。


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2025/05/19

初夏の風に吹かれて飛散するポプラ(セイヨウハコヤナギ)の綿毛【風散布型種子:FHD動画&ハイスピード動画】

 

2024年5月中旬・午後14:25頃・晴れ 

街路樹として植栽されたポプラ(=セイヨウハコヤナギ)の大木から白い綿毛が風に乗って大量に舞っていました。 
ポプラが属するヤナギ科の種子は、典型的な風散布型です。 
ヤナギの白い綿毛は「柳絮りゅうじょ」、ポプラの場合は「楊絮ようじょ」と呼ばれるのだそうです。 

関連記事(5年前の撮影)▶  


ヤナギ科の果実は蒴果で熟すと裂開し、中から綿毛に包まれた小さな種子が多数現れます。 
この綿毛は種子そのものから直接生えている訳ではなく、種子を包む果実(蒴果)の内側の壁や種皮の表面から発生した付属物(種毛、種子毛)です。
綿毛の主成分はセルロースで中空構造を持ち、風による種子散布への適応形態です。 

ポプラ大木の下から見上げてズームインすると、枝先に白い綿毛が大量に付いていました。 
白い花が咲いているように見えますが、花ではなく蒴果の綿毛です。 
(私はポプラの花を実際に見たことがないかもしれません。)
ポプラは雌雄異株なので、白い綿毛の付いた木は雌株です。
初夏(晩春)の風が強く吹くと、その綿毛が風に乗って飛散します。 
ポプラの若葉も風でザワザワ音を立てながら揺れています。 

セイヨウハコヤナギの綿毛が飛散する様子を240-fpsのハイスピード動画でも撮ってみました。(@1:37〜) 
明るい空を背景にすると飛散する白い綿毛がよく見えないので、背景が暗くなるようにアングルを決めないといけません。 
ハイスピード動画は固定焦点ですから、撮り始めにポプラの大木に焦点を合わせてしまうと、手前の空中を飛ぶ綿毛にピントが合いません。 
シャッターボタンを半押しにして、適当な距離の物体に合焦してから撮り始めました。 
カメラの仕様で、ハイスピード動画は無音になってしまうのですが、無音のシーンが続くと味気ないので今回は風の吹く音をアフレコしてみました(別撮りの動画から音声だけ流用)。 

動画を撮影した後に、風に舞う綿毛を手掴みで採集できたので、種子の写真を掲載しておきます。







【考察】
中国の乾燥した地域では、ポプラ並木から大量に飛散した白い綿毛(楊絮)が地面に溜まり、誰かの不注意(火の不始末)で発火すると一気に燃え広がって火事になってしまうのだそうです。
ポプラの白い綿毛(楊絮)は主にセルロースと植物油脂から成り、可燃性が非常に高くなっています。
綿毛状の形態で空気を多く含むため、密集して堆積すると、着火した際に一気に爆発的に燃え広がる性質があるのです。

楊絮が燃えやすいという性質は、ポプラがそのように進化した結果なのでしょうか? 
火災を積極的に利用して分布を広げるパイロファイト(火災適応植物)と呼ばれる植物が知られています。
(多雨多湿で山火事の発生頻度が少ない日本にはほとんど居ないとされています。)
ポプラはパイオニア植物(先駆植物)なので、山火事を起こしてライバルの植物を焼き払い、その後に発芽する戦略かもしれない、と私は素人考えで思いつきました。

しかし、地上に堆積した楊絮に着火したら、種子も焼け死んでしまいます(高温で発芽能力を失う)。
つまり、ポプラの種子に耐火性はありません。
セルロースからできた綿毛の表面には油脂成分(ワックス)が含まれていて、可燃性が高くなっています。
これもポプラに火災を誘発したいという進化的意図がある訳ではありません。
この油脂分のおかげで撥水性が高まり、フワフワの綿毛が雨や湿気から守られるのだそうです。
これも風散布の効率を高めるための適応と考えられます。

まとめると、ポプラの綿毛が燃えやすいのは、風散布のために軽く繊維状になった結果の副産物であり、「火災を誘発して生存競争を有利にする」ために進化したものではありません。

※ Perplexity AIの回答を参考にまとめました。
植物生態学も調べてみると面白いですね。

昨今では、ポプラの大木が次々に伐採されています。
台風や大雪などによる倒木で事故が起きることを行政当局や土地管理者が恐れているようです。
ポプラを観察したいと思いたった時に身近にあまり残ってないことに気づき、焦りました。
ポプラに限らず、あちこちで樹木の伐採がどんどん進んでいるので、思いついた時にすぐ撮っておかないと、後悔することになります。


 
 ↑【おまけの動画】 
公園覆う“白いもの”これは何?今だけの絶景に…意外な危険【スーパーJチャンネル】(2025年6月20日) by ANNnewsCH

2025/05/07

マルバアオダモの枝から青色の蛍光物質を抽出してみる

 

2024年5月上旬・午後14:30頃・晴れ 

植物の図鑑でアオダモという樹木について調べると、「枝を水に浸けてしばらくくすると水が青を帯びた色になる」などと書いてあります。 
気になっていたので、実際に実験してみましょう。 
当地でアオダモの木を見かけたことがないので、その代わりに近縁種のマルバアオダモを実験材料にしました。 
マルバアオダモを使った実験は誰もやっていないようです。 

ガラスの小瓶と水筒、剪定バサミを持参し、春のフィールドで探し歩くと、峠道の道端でマルバアオダモの白い花が咲いていました。(萎れかけの花) 
細い枝先を切り落とし、ガラスの小瓶に収まるように、さらに短く切り揃えました。
マルバアオダモの小枝をガラス瓶にぎっしり詰め込んでから、ペットボトルに持参した水道水を注ぎました。 
透明な水だったのに、抽出液を日光にかざすと、確かにうっすらと青っぽく見えました。
これは、自然光に含まれる紫外線による蛍光なのだそうです。

2日後の5月中旬、100円ショップでUSB UVライトを買ってきました。 
モバイルバッテリーにUSB接続するだけで、手軽に紫外線を照射できます。 
ライト色の波長は比較的安全な405nmですが、実際は青色に見えます。(可視光が混じってる?) 
この商品の本来の目的はUVレジン(樹脂)の硬化用で、100円ショップ(ダイソー)の手芸コーナーやジェルネイルの関連グッズとして売られていました。 
この商品を選んだのは一番安かったからで、ネット通販サイトで探せば他にも色んなUVライト(ブラックライト)が売られています。 


マルバアオダモ枝の抽出液に暗闇で紫外線(UV)を照射すると、確かに青い蛍光を強く放ちました。 
2日間も水出ししたせいか、濃くてコロイド状に濁って見えます。 

ガラス瓶の蓋を開けた状態で少し傾けたら、床に少し液をこぼしてしまいました。 
その溢れた水も、紫外線で青く光って見えます。 
紫外線を消灯すると真っ暗に戻りました。(蓄光性はない。) 
実験中は目の網膜を守るために、UVカットのサングラスを着用しました。(気休め?)

ペットボトルに入れた別なサンプル(試料)でも試してみました。 
こちらはマルバアオダモの枝に対して水の量が多くて濃度が薄いため、コロイド状にはなっていません。 
特にペットボトルの裏側からUVを照射すると、青色の蛍光がきれいに見えます。 

ペットボトル容器にマルバアオダモの小枝を少量入れた方は、実は初回に試した実験です。 
抽出液の濃度が薄くて、自然光下では青色を帯びているようには見えず、紫外線照射で初めて青色に光りました。 
2回目の実験では、容器に小さなガラス瓶を選び、マルバアオダモの小枝をいっぱいに詰めて水の量を少なくしてみたのです。 

実験を実演した動画としては、Negative Control(陰性対照実験)が必要だったかもしれません。 
まず、木の枝を入れてないただの水道水は紫外線を当てても青く光らないことを示す必要があります。
次に、どんな樹種からでも青い蛍光物質が抽出される訳ではないことを示す必要があります。 
何か別な樹種の小枝からも同様に抽出液を作り、紫外線を当てても青く光らないことを示せば、より厳密な実験でした。 
対照実験をしっかりやることで、実験結果がノイズではなく、マルバアオダモの枝に蛍光物質が含まれていることが証明できます。

紫外線で励起されて青い蛍光を放つ主な原因物質として、アオダモの場合は、芳香族有機酸である「コーヒー酸(カフェ酸)」およびその誘導体が有力視されているそうです。 
カフェー酸は多くの植物が生合成する成分で、トネリコ属植物からもカフェー酸を基本骨格とするエステルやその類縁化合物が報告されています。
他にも、水に浸すと青い蛍光物質が抽出される樹種が何種類もあるらしいので、いずれまた実験してみるつもりです。 

参考サイト:日本植物生理学会ホームページ > みんなのひろば > 植物Q&A > アオダモの蛍光物質は何のため?  


ちなみにUSB UVライトを使った別の実験として、試しに1万円札に紫外線を照射しても、偽造防止のマークが赤く光ることはありませんでした。 
もちろん偽札ではなくて、もっと波長の短い(365nm)本格的なブラックライトが必要らしい。

夜のフィールドにブラックライト持参すると、新しい発見があるかもしれません。
例えば、サソリに紫外線を照射すると、なぜか緑の蛍光を発するのだそうです。

生物の標本をUVで硬化する透明樹脂で封入する作業も楽しそうです。
いつかやりたいと思いつつ、忙しくて試していません。

2025/04/29

ラショウモンカズラの花

2024年5月上旬・午後 

里山を流れる沢の近くに見知らぬ花が咲いていました。 
紫色の唇形花で、シソ科だろうと予想しました。 
写真に撮って画像検索(Googleレンズ)してみると、ラショウモンカズラと名前が判明しました。 

これで名前が分かったので、次は訪花昆虫を動画で撮影してみたいものです。
ラショウモンカズラの花
ラショウモンカズラの蕾

2025/04/27

オオヤマザクラの桜吹雪

 

2024年4月中旬・午前10:35頃・くもり 

民家の庭に植栽されたオオヤマザクラの老木が満開の花を咲かせていました。 
花の盛りは過ぎていて、風がなくてもピンク色の花弁がハラハラと落ちてきます。 
春風が吹くと桜吹雪となりました。 

来年以降に機会があれば、オオヤマザクラの桜吹雪をハイスピード動画でも撮ってみたいものです。

2025/04/13

タニギキョウの花

2024年4月下旬・午後・くもり

峠道の初めて行く側道を探検していたら、道端の草むらに可憐な白くて小さな花が咲いていました。 
画像検索(Googleレンズ)で名前を調べると、キキョウ科のタニギキョウと判明。 
スプリングエフェメラルなのかな?と思って写真を撮ったのですけど、そういう訳ではないそうです。
山間部の森林の木陰に生える。水気の多いところによく生え、渓流の周辺や水のわくところにコケに混じるようにして小さな群落を作っているのを見ることが多い。
という記述通りで、沢の水が溜まった小さな池が近くにありました。
いかにも野生動物や野鳥が水場として通いそうな良い池だったのですが、トレイルカメラを設置しにくそうで残念。
 

2025/04/06

秋風で舞い散るイチョウの黄葉

 

2022年11月上旬・午後13:20頃・晴れ 

川の堤防路にそびえ立つイチョウの大木が見事に黄葉していました。 
背後の青空には秋らしい絹雲が広がっています。 

秋風が吹くと、イチョウの黄葉がハラハラと舞い散ります。 
ドラマチックな桜吹雪ならぬ銀杏吹雪を動画で記録したかったのですが、カメラを向けたら強い風が止んでしまいました。 
イチョウにズームインしてみると、まだ黄緑色の葉もところどころ残っています。 
幹に巻き付いたツタの葉も色づき始めていて、イチョウ大木の左右に並ぶ桜(ソメイヨシノ)は紅葉していました。 

周囲の地面は黄色い落葉が美しく敷き詰められていました。 
当然ながら、母樹に近い土手の上部ほど黄色い落ち葉の密度が高くなっています。 


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2025/03/30

イワナシの花

2024年4月中旬・正午頃・くもり 

里山で急峻な山道を登っていたら、ピンクの花が可憐に咲いていました。 
草本植物ではなく、低灌木のようです。
見慣れない花だったので、写真にとって画像検索してみると、ツツジ科イワナシの花と判明。 
植物に疎い私は、てっきりこれがコケモモの花かと思ったのですが、いくら多雪地帯でもこんな低山に生えているはずがありませんね。
残念ながら、訪花昆虫の姿は見当たりませんでした。

他にはショウジョウバカマ、ヤマザクラ、タムシバなど早春の花が咲いていました。

2025/03/27

ソメイヨシノの桜吹雪【FHD動画&ハイスピード動画】

 

2024年4月中旬・午後14:00頃・くもり 

堤防路に沿って植栽されたソメイヨシノの桜並木が花盛りです。 
満開を過ぎて葉桜になり始め、春風が吹くと白い花弁が次々に舞い散ります。 
ソメイヨシノは、若葉より先に花が咲く性質がある品種の桜です。 
風下の地面は、薄い桜色の散った花弁が大量に敷き詰められています。 

夕暮れ時の桜吹雪を240-fpsのハイスピード動画でも撮ってみました。(@0:30〜) 
桜吹雪をどのぐらい引きの絵で撮るべきか迷います。 
ズームインした方が個々の花弁がよく見えるのですが、画角を横切る花弁の数は減ります。 
いざ撮影を始めると風が弱まったりして、なかなか難しいです。
「散る桜 残る桜も 散る桜」良寛和尚

関連記事(10年前の撮影)▶ この桜吹雪が目に入らぬか〜!【ハイスピード動画】

2025/03/21

早春のミズキから滴るオレンジ色の樹液に集まり吸汁するケシキスイの仲間

 

2024年4月上旬・午後13:30頃・晴れ 

細い用水路沿いにそびえ立つ落葉性高木の幹から鮮やかなオレンジ色の樹液が大量に滲み出していて、早春の二次林で非常に目立っていました。 
幹の数カ所の傷口から樹液が垂れ落ちながら、発酵してブクブクと泡立っています。 
樹冠を見上げると、枝先の冬芽から少しだけ若葉が芽吹き始めていました。 
樹種はおそらくミズキと思われます。 

カメラを上から下にパンしながらゲル状になった橙色の樹液を動画に撮っていると、ケシキスイの仲間(ケシキスイムシ科)と思われる微小な甲虫が計3匹写っていました。 
同定のために採集したかったのですけど、幹の高い位置だったので、手が届きませんでした。
図鑑『くらべてわかる甲虫1062種』に掲載された写真p80と見比べると、素人目にはホソコゲチャセマルケシキスイ(Amphicrossus hisamatsui)またはナガコゲチャケシキスイ(Amphicrossus lewisi)が似ていると思うのですが、どうでしょうか?
例えばホソコゲチャセマルケシキスイは、「6〜8月クヌギやコナラの樹液に集まる。いつも樹液に浸かっている」と記されていました。

余談ですが、昆虫分類学でNitidulidaeに対応する和訳としてケシキスイ科とケシキスイムシ科の両方が使われているらしく、依然として統一されていないようです。
和名ならともかく科レベルで表記の揺れがあるのでは、情報の検索や比較に支障をきたして困りますね。

ケシキスイの他には薄い翅を持つ黒っぽいハチ?ハエ?の仲間も動画にチラッと写っていたのですが、撮影中の私はまったく気づかずにスルーしてしまいました。 

「オレンジ色の樹液」でネット検索すると、ミズキの樹液がヒットしました。 
もともとミズキの樹液は無色透明でさらさらした液体なのですが、早春の時期にはよくオレンジ色になるそうです。
Perplexity AIに解説してもらいました。(細かい点で間違いがあるかもしれませんので、お気づきの方はご指摘ください。)

ミズキの樹液が透明からオレンジ色に変化する現象は、微生物の活動と環境条件の相互作用によって起こります。主な要因を以下のように整理できます:

色変化のメカニズム

  1. 酵母菌の初期繁殖
    ミズキの樹液は春先に糖分を多く含み、透明でサラサラした状態で分泌されます。これにファフィア酵母(Phaffia rhodozyma)が付着し、オレンジ色の色素(アスタキサンチン)を生成します。この段階で樹液は白濁し始めます57

  2. カビの二次繁殖
    酵母が樹液の糖分を消費すると、フザリウム属のカビ(Fusarium aquaeductuumなど)が優占種に変化。このカビは赤~オレンジ色の色素を産生し、樹液を濃いオレンジ色に変えます14

  3. 微生物の共生関係
    酵母とカビは樹液内で「スライム・フラックス」と呼ばれるコロニーを形成。触るとプニプニしたゲル状になり、表面にヒダ状の構造が発達します23

色変化の条件

条件影響
糖分濃度ミズキの樹液は糖分が多く(特に春)、微生物の繁殖に最適
温度15-25℃の温暖な気候で活発に繁殖(春先に多く観察)24
酸素量樹液が滴り落ちる際に空気に触れ、好気性微生物が活性化
時間経過分泌後2-3日で酵母が繁殖→1週間程度でカビが優占種に16
物理的損傷剪定や虫食いによる傷口から樹液が持続的に分泌される必要あり38

色の持続性

オレンジ色は一時的な現象で、樹液の分泌が止まると干からびて黒っぽく変化します1。また、湿度が低い環境では色素生成が抑制され、色変化が起こりにくくなります4

生物学的意義

この現象は、樹木の傷口を微生物で覆うことで病原菌の侵入を防ぐ「生物学的防御機構」と推測されています8。オレンジ色の樹液はケシキスイなどの昆虫を誘引し、彼らが樹液に集まることで微生物の拡散を助ける共生関係も存在します24



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2025/03/17

春風で飛散するスギの花粉【トレイルカメラ】風媒花

 

2024年4月上旬・午後12:55頃・晴れ・気温24℃ 

休耕地でタヌキの営巣地を見張っているトレイルカメラが、ときどき春の強風によって誤作動します。 
野生動物が何も写っていない失敗動画を削除する前にじっくり見直すと、白い煙のようなものが左にゆっくり流されていくことに気づきました。 
5倍速の早回しに加工すると、雲のように飛散する花粉の動きが見やすくなります。 

奥に見えているスギ(杉)の防風林から花粉が風で飛散しているのでしょう。 
スギは風媒花ですから、雄花から大量の花粉を撒き散らします。 
日本中の山林にスギを植林した結果、国民の多くがスギ花粉症に苦しむことになりました。 

ハンノキの花粉という可能性もあり得ますが、時期が少し遅い気がします。 



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2025/01/28

防風林で秋に落雷を受けたスギの木

 

2023年10月中旬・午後・晴れ 

平地のスギ防風林で、ホンドタヌキ♀♂(Nyctereutes viverrinus)が通う溜め糞場phを久しぶり(17日ぶり)に定点観察しに来ました。 
新鮮な糞は追加されていませんでした。 
どうやら最近は使われていないようです。 

それよりも、このスギ林に大きな異変が起きていました。 
植林地(防風林)の真ん中で、新たにスギの倒木が増えて林床に散乱していたのです。 
以前、溜め糞場phを監視するためにトレイルカメラを設置したスギ大木の上半分が縦に裂け、幹が真っ二つに折れていたのです。 
このような状態を「中折れ」と呼ぶのだそうです。 
スギの朽木や枯木ではなく、緑の葉が茂る健康な生木が被害に遭っていました。 

秋は台風のシーズンですから、嵐による強風で折れたのでしょうか? 
それなら1本だけが倒れるのではなく、広範囲で何本もスギの木がなぎ倒されているはずです。 
防風林の中央部で他のスギに囲まれた1本だけ風倒するのは不自然です。 

幹の途中で縦に裂け目が入って折損したという状況からも、おそらく落雷したのでしょう。 
しかし、その木が焦げたり燃えたりした形跡はありませんでした。
(落雷木に必ずしも焼け焦げ跡が残るとは限らないのだそうです。) 
スギの防風林は樹高がほぼ揃っているはずなのに、なぜ中央の1本の木だけに落雷したのか、不思議です。 
「出る杭は雷に打たれる」のでしょうか?
その木がたまたま他の木よりも少しだけ高かったり、何らかの理由で他の木よりも電気を通しやすい状態にあった可能性があります(水分含有量が高いなど)。 
落雷は必ずしも最も高い木に起こるわけではなく、電荷の分布や樹木の状態など、複数の要因が関係するのだそうです。 

その杉の木にもしトレイルカメラを設置したままなら、落雷の過電流で壊れたり燃えたりしたはずなので、助かりました。 
初めて入る防風林なら、同じ光景を見ても「倒木の多い荒れたスギ林だなー」と思うだけでしょう。 
定点観察に通っていたからこそ、落雷木に気づくことができました。 

林業家にとってみれば落雷木は天災による痛い損失でしかありませんが、森林生態学的には良い面もあります。
鬱蒼と育ったスギ林の中には日光がほとんど射さず、他の植物はあまり育つことができません。 
落雷でスギ林の中央部に林冠ギャップができたので、ここだけ林床の日当たりが良くなり、新たに植物が育って森の更新が進むことが期待できます。 
また、新たなスギ倒木を餌としてキノコなどの分解者が長い年月をかけて腐朽させます。 
それまでの間、林床に放置された倒木は小型の哺乳類(野ネズミなど)に隠れ家や餌場を提供してくれます。 
落雷(の轟音)にキノコの発生を促進する効果がある、という面白い説があるのですけど、スギ林でも見られるのか楽しみです。


さて、落雷がいつ起きたのか、正確な日時を突き止められるでしょうか?
私が定点観察した9月下旬から10月中旬までの17日間のどこかで落雷したはずです。
今回、Perplexity AIに相談して初めて知ったのですが、気象庁は落雷の詳細なデータを記録しており、過去に遡って落雷の有無を調べることが可能です。 
気象庁は雷監視システム(LIDEN: LIghtning DEtection Network system)を使用して落雷を観測しています。 
このシステムにより、落雷の場所や時間を5分単位で記録しています。 
気象庁のウェブサイトでは、過去の気象データを検索することができます。 
少しやってみたのですが、忙しくて調べ切れていません。 



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関連記事 ▶ 雷に打たれることが恩恵になる木が存在する by ナゾロジー


落雷による林冠ギャップ

中折れしたスギ落雷木

真下に散乱する中折れの破片




以下は、タヌキの溜め糞場ph:倒木横の様子を撮った写真です。
糞に未消化の種子(銀杏およびリンゴ?)が含まれているのですが、落雷木に気を取られた私は、真面目に調べていません。







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