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2024/02/25

蔓植物クマヤナギの果実

2023年6月中旬・午前 

里山で廃道状態の荒れた山道を登っていたら、下草の蔓植物にブドウのような色鮮やかな果実が房状に実っていました。 
赤く色づき始めてから紫になり、熟すと黒くなるようです。 
見た目は美味しそうですが、有毒植物かどうか分からず、味見する勇気はありませんでした。 (生食可能らしい。)

こんな蔓植物を知らなかったので写真をそのまま画像検索すると、どうやらクロウメモドキ科のクマヤナギらしいと分かりました。 
野鳥によって種子散布されるらしいので、将来やる予定の糞分析に備えて果実ごと種子を採取すべきでした。

2024/01/28

サイハイランの花

2023年6月上旬・午後13:15頃・くもり 

平地の雑木林の昼なお薄暗い林床に見慣れない花が咲いていました。 
ミョウガを連想させるような薄いピンク色の花が、直立した茎の上部にびっしりと並んで咲いています。 
Google画像検索してみたら、一発でサイハイランと判明しました。 
近縁種のモイワランも検討しましたが、花の色が薄くて葉があるのでサイハイランのようです。
多くのラン科植物で知られているように、サイハイランは部分的菌従属栄養植物(潜在的な腐生植物)なのだとか。
葉が黄変しているのは、日照不足で枯れそうなのか、それともスプリング・エフェメラルなのかな? 
図鑑によれば、サイハイランの葉は常緑らしい。

現場では気づかなかったのですが、撮れた写真を確認すると、サイハイランに小さなハエが訪花していました。 
送粉者をじっくり調べるのが来季の宿題です。 

現場の二次林はニホンアナグマの営巣地で、他の野生動物も多く暮らしています。 
この森がもし伐採されそうになったら微力ながら保護活動したいのですが、希少種の生き物がいるという事実が必要です。 
フィールドでネジバナ以外の野生ランを見つけたのは初めてで嬉しかったのですけど、山形県でサイハイランは絶滅危惧種というほどレアではないようです。

田植え後の水田で働くアイガモ・ロボ(水田自動抑草ロボット)

 

2023年5月下旬〜6月上旬 

前回の記事(同日に隣の田んぼで撮影):▶ 田植え後の水田で採食するカルガモ(野鳥) 


合鴨農法について私が初めて知ったのは、確か漫画(『美味しんぼ』『夏子の酒』など)からだったと記憶しています。 

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有機農業として一石二鳥どころか、三鳥、四鳥もある優れたアイデアです。 
しかし実践してみると、手間がかかる割には肝心の除草効果が安定しない、などの課題があるそうです。 
アイガモを放鳥しても、生き物は気まぐれですから広い水田を万遍なく巡回してくれません。
いっそのこと機械化・自動化してロボットに任せようという発想が出てくるのは当然です。 


シーン1:5月下旬・午後14:30頃・晴れ(@0:00〜) 
田植えが終わったばかりの水田で、水上ドローンのような奇妙な人工物が動き回っていました。 
近くで誰かが見張りながらラジコン無線で操作しているのではなく、無人のロボットが自律的に水田の中を遊泳しています。 
ロボットが田んぼの水を撹拌して回るだけで、アイガモ農法のように水田の除草効果があるらしい。 
噂には聞いていたものの、実際に動いている姿を初めて見ました。 
開発の歴史的な経緯から合鴨農法にちなんでアイガモロボと名付けられただけで、形状がアイガモに擬態している訳ではありません。 

ロボットが近づいてきたときによく観察すると、ルンバを連想させるシンプルな作りでした。 
緑のプラスチック製の外枠を浮きにして、いかだのように水面に浮いています。 
上面には太陽光パネルが取り付けられていて、昼間は休みなく働き続けることが可能になっています。 
後方に伸びる短い突起はGPSや携帯電話と連携するためのアンテナなのかな? 
稼働中は側面の緑色パイロットランプが点滅しています。 
植えたばかりの稲の苗はまだ草丈が低いので、ロボットが通り過ぎても、水中に倒伏してしまうことはありません。 
 1対の細長い螺旋状のスクリューが回転することで推進力を得ています。 
このタイプのスクリューは、水深が浅くても平気で進めます。
このプロペラで田んぼの泥水を激しく撹拌している様子が見えました。 
船を推進させるだけならスクリューをもっと静かに回転させた方がエネルギーのロスは小さいのですが、水田除草機としては水底の泥が舞い上がるほど水を激しくかき混ぜる必要があるのです。 
田んぼの水が泥で濁ると、雑草の種子が芽生えても光合成ができなくなり、成長が抑制されます。 
一方、イネはある程度育った苗を植えるので、水の透明度が下がっても全く影響を受けません。 
畦道の手前まで来るとアイガモロボットは減速し、片方のスクリューを逆回転させてくるりと方向転換しました。 
ロボットのモーター音や撹拌音を近くで聞いても静かでした。

ちなみに、このスクリューの形状は「アルキメデスの螺旋」と呼ばれていて、古代ギリシアのアルキメデスが揚水ポンプとして発明したことで有名です。
船の推進装置としては、砕氷船のスクリューに採用されているのを見たことがあります。
シーン2:6月上旬・午前10:30頃・晴れ(@2:18〜) 
ちょうど2週間後に同じ田んぼを再訪すると、稲の苗が順調に育っていました。 
この日もアイガモロボが黙々と働いています。 
せっかくなら三脚を立ててアイガモロボの動きを長時間微速度撮影すればよかったですね。 
田んぼの角まで来たらどんな動きをするようにプログラムされているのか、興味があります。 

アイガモロボが通過した後のはずなのに、なぜか手前の水は澄んで見えます。
水の濁りはすぐに収まってしまうのかな?
やがて田んぼの水位を下げる時期になると、アイガモロボは撤去されました。 
私が思ったよりも短期間しか使われないようです。 
大きく育った稲の上をアイガモロボが通過すると、稲が倒伏してしまうという問題もあるのでしょう。 

この記事は企業案件(宣伝)ではありません。 
私が面白いと思ったから動画に撮って記事にしました。 
素人目線でも除草効果に疑いがあれば、そのように忖度なく書くつもりです。 

アイガモロボを導入した水田は一部の区画だけなので、処理区と隣接する対照区で除草効果を比較することが可能です。 
「処理区はアイガモロボが通過した直後は田んぼの水が撹拌されて濁り、光合成が妨げられて雑草の成長が抑えられる。 一方で対照区は田んぼの水が澄んでいて、雑草が繁茂してしまう。」
 …という分かりやすい比較写真を撮ろうとしたのですけど、素人目には効果がはっきりしませんでした。 (※追記参照)
ドローンを飛ばさないと田んぼの中央部には近づけないために、農道や畦道から田んぼの端の写真しか撮れないのが問題です。 
ルンバ(お掃除ロボット)でもアイガモロボでも、作業区画の端っこはどうしても作業漏れがあるのかもしれません。 

田んぼの水面に緑藻(アオコ? アオミドロ?)が生えているのが気になりました。 
肥料のやり過ぎで水質が富栄養化している区画なのでしょう。 
私が調べた限り、これは稲作にはあまり害がなく、今問題にしているアイガモロボの除草効果とは関係ないのだそうです。(この点が間違っていたら、ご指摘ください。) 

生きたアイガモを使った合鴨農法では、雛や若鳥が天敵に捕食されないように保護する必要があります。 
アイガモロボは高価なので、盗難が心配です。 
盗まれても稼働しないよう遠隔操作できるのだとか。 

ロボットを開発・販売した井関農機の公式サイト(アイガモロボ特設サイト)を見ると、アイガモロボのメーカー希望小売価格は、税込で¥551,100円でした。 
高額な投資に見合った除草効果があったかどうか、除草剤の使用量をどのぐらい抑えられたのか、米の収量や品質は向上したのか、ロボットの耐久年数はどのぐらいなのか、稲作農家が総合的にシビアに判断するはずです。 
最新技術のアイガモロボを導入しているというだけで話題になりますし、収穫した米のブランド価値が高まる(高く売れる)のかもしれません。 
アフィリエイト:アイガモ農法米 
食用の米だけでなく、酒造用のブランド米で導入される例もありそうです。

2023年は異常気象で非常に暑い夏でした。
水田雑草ではありませんが、例えばセイタカアワダチソウの成長が妨げられるほどの酷暑でした(高温ストレスで背が高く生育しなかった)。 
水田抑草ロボットの評価が定まるには、何年か継続して使ってみる必要があるでしょう。


※【追記】
よくよく考え直すと、アイガモロボが居ない隣の田んぼでは従来通りの除草剤を撒いたはずなので、対照区とは言えませんね。
アイガモロボも除草剤も全く使わない田んぼを対照区とすべきですが、その年の収穫を犠牲にしてまで厳密に対照実験する奇特な米農家はいないでしょう。
雑草の生育に明らかな差が出なかったということは、アイガモロボには従来の除草剤と遜色ないぐらいの抑草効果があったと言えそうです。

2023/12/29

サルナシの果実を食べてみる

2022年10月上旬

河畔林のオニグルミ灌木に巻き付いた謎の蔓植物に果実がつきました。

図鑑で調べてみると、名前だけは聞いたことのあるサルナシ(マタタビ科)でした。

 



緑色で熟しているかどうか分からないのですけど、果実を1個採取し、ナイフで輪切りにしてみました。
切り口になぜか粘り気があります。


2022年10月中旬

19日後に現場を再訪すると、手の届く範囲のサルナシ果実は無くなっていました。
野生動物が食べ尽くしたのか、それとも通りすがりのヒトが誰か採取したのかな?

蔓を強引に引き寄せて、残った熟果をなんとか1房(5個)だけ採集しました。
果実が熟しても果皮は緑色のままで、表面がシワシワになるだけです。

採寸代わりに1円玉(直径2cm)を並べて写真に撮りました。
ナイフで輪切りと縦切りにしてみました。
断面の果汁に粘り気があります。


試食してみると、酸味が強いものの、確かにキウイフルーツと同じ味でした。
小さな種子のプチプチした歯応えも同じでした。
しかしサルナシは1個の果実が小さいので、食べごたえがありません。
食後に口内が少しピリピリするのは、アクチニジンと呼ばれるタンパク質分解酵素が含まれているからでしょうか。

多田多恵子『身近な草木の実とタネハンドブック』を紐解いてサルナシについて調べると、このタンパク質分解酵素の役割りについて興味深い話が書いてありました。
なるほどなぁ。

・キウイに似て美味だが、食べ進むと甘みを感じなくなり、苦痛になる。果肉中のタンパク質分解酵素で舌の味蕾がやられてしまうのだ。大食いの哺乳類が1回に食べる量を制限して、タネを少しずつ分散させるために酵素はある。

・種子の粒は小さく、サルやタヌキやクマの歯の間をすり抜ける。(p147より引用)

サルナシやキウイフルーツは熟しても果皮が色づかず地味なままなので、鳥類ではなく哺乳類に果実を食べてもらって種子を糞と一緒に散布してもらう戦略です。
サルナシの果実を食べる種子散布者としてはホンドテンやハクビシン、ニホンザル、ツキノワグマなどが予想されます。
(『身近な草木の実とタネハンドブック』にはタヌキも挙げられていましたが、木登りのできないタヌキは落果を食べるしかないでしょう。)

トレイルカメラを設置して、サルナシの実を食べに来る野生動物を観察してみたいところです。
しかし、この場所は川沿いの遊歩道のすぐ横なので人通りが多く、隠しカメラを設置したらトラブルになりそうです。
人里離れた山林に自生するサルナシを探しているのですが、なかなか見つかりません。
適当な場所にサルナシの種子をばらまいて育つのを待つ方が早いかもしれません。


同じ日の帰り道に、民家の庭の蔓棚でたわわに実ったキウイフルーツの熟果を2箇所で写真に撮りました。
東北地方の雪国でもキウイフルーツが育つとは最近まで知りませんでした。
品種改良すればサルナシの果実もこのぐらい大きく立派に育つのでしょうか。

民家aの蔓棚
民家bの大きな蔓棚

【追記】
2023年5月下旬
同じ場所に定点観察に通い、蕾の写真を撮りました。






その後は忙しくなってしまい、残念ながらサルナシの花を観察しそびれてしまいました。
訪花昆虫(サルナシの送粉者)に興味があるので、花を見るのは来季の宿題です。

同じ日に民家の蔓棚bで育つキウィフルーツの蕾も写真に撮っています。






次は6月中旬に定点で撮ったサルナシ未熟果の写真です。





2023/12/18

水辺に生えるカンムリタケ

2023年5月上旬・午後

山中の泉から流れ出る細い水路(沢の源流)の中に、傘が黄色い小さなキノコの群落を見つけました。
よく見ると、水浸しになったスギの落ち葉から生えています。 
キノコに疎い私は「粘菌の子実体なのか?」と頓珍漢な予想をしながら写真に撮りました。

自分で撮ったキノコ写真のフォルダを見直したら丁度10年前に撮影済みで、カンムリタケという種類のキノコでした。 
すっかり忘れていましたが、野帳を参照すると発見状況も似ていました。 
豆モヤシみたいなキノコが山中の水溜まりから多数生えています。
2013年5月上旬

苦手なキノコの名前も一つ一つ地道に覚えていくしかありません。








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