2025/10/08
ウメの落果から種子を採る
2025/09/21
山中の湿地帯で大群落を形成したキツネノボタンの謎
・プロトアネモニン(protoanemonin) 生の茎や葉などを傷つけることで生成される刺激性の化合物で、皮膚に付着すると炎症や水疱、口腔・消化器から摂取すると胃腸炎や下痢、吐血、重症の場合は心臓毒性で心停止も報告されています。
・ラヌンクリン(ranunculin) プロトアネモニンの前駆体であり、植物組織を壊すことで酵素反応によりプロトアネモニンに変化します。
カモシカやシカなどの草食動物は、キツネノボタン(有毒植物)を基本的に忌避する傾向があります。多くの反芻動物(シカ、カモシカなど)は、強い苦味や毒成分(プロトアネモニンなど)を持つ植物を本能的に避ける能力が高く、野生下ではほとんど摂食対象としません。pref.nagano+1
キツネノボタンやキンポウゲ科の草本は生育地で広く見られるにもかかわらず、シカやカモシカの大規模な食害例は報告されていません。rarememory.sakura
一部の報告では、毒性植物(例えばハシリドコロ、ヤマトリカブトなど)と同様、強い苦味や刺激臭・成分を感じて忌避が行われていると考えられています。rarememory.sakura
ただし、極端な食糧不足や若い個体などが誤食して中毒を起こす事例が完全に皆無というわけではありませんが、ごく稀です。pref.nagano+1
したがって、キツネノボタンはシカやカモシカにとって「食べられにくい有毒植物」であり、普通は野生草食獣の忌避対象となっています。カモシカやシカなどの野生草食動物は、キツネノボタンのような強い毒性成分(プロトアネモニンとラヌンクリン)を含む有毒植物を本能的に忌避する傾向があります。pref.nagano+1
草食動物と有毒植物の関係
キツネノボタンやキンポウゲ科の植物は苦味や刺激成分が強く、シカやカモシカのような反芻動物は通常これらを避けて食べません。rarememory.sakura+1
シカやカモシカの食性研究でも、これらの有毒草本の大規模食害や好んで食べる例はほぼ報告されていません。rarememory.sakura
ただし、極端な食料不足時や幼獣の誤食による中毒例が完全に皆無というわけではありませんが、非常に稀です。pref.nagano
このように、キツネノボタンは野生のシカやカモシカにとって、日常的には食べられにくい忌避植物です。
ところで、キツネノボタンには他の植物の生育を阻害するアレロパシーがあることも知られているそうです。
具体的には、キツネノボタンの持つ毒性成分(例えばプロトアネモニンなど)が土壌や周囲の環境に影響を及ぼし、他の植物の種子発芽や苗の生育を妨げることが考えられています。このため、湿地や田んぼの畦などでキツネノボタンが群生すると、その周辺の植生構造にも影響を与える可能性があります。
したがって、キツネノボタンは草食動物の食害に対抗する毒性だけでなく、他の植物に対する毒性を通じても競争に勝ち、大群落を形成したのでしょう。
【追記】
キツネノボタンの種子散布についてもPerplexityに質問してみました。
キツネノボタンの種子散布は主に自力散布と動物散布の複合的な形式で広がっています。
種子散布の特徴
キツネノボタンの果実は小さなトゲ状の集合果で、これが動物の毛や羽に引っかかって広がる(付着散布)ことが多いです。biodiversity.pref.fukuoka+1
また、小さな種子は周囲に自然に散る(自力散布)とともに、湿地や水辺の場合は水によって流されて分布を拡大する(水散布)の要素も持っています。biodiversity.pref.fukuoka
動物散布に関しては、種子を含む果実が動物に付着するタイプの「ひっつき虫」として知られており、これが移動距離を伸ばしています。city+1
このようにキツネノボタンは、集落近くや湿地内での局所的な自力散布と、動物の移動を利用した付着による種子散布の両方の方法で分布を広げる特徴があります。キツネノボタンの種子散布は主に自力散布と動物付着散布の組み合わせで広がります。果実は小さなトゲ状の集合果で、動物の毛や羽に付着して運ばれることが多いです。また、自力で自然に散るほか、水辺や湿地では水散布も補助的に行われています。city+1
2025/08/22
ヒメアオキの果実に形成された虫こぶ(アオキミフクレフシ)から羽化したアオキミタマバエ♀♂
寄主:アオキ(ヒメアオキ)形成者:アオキミタマバエ Asphondylia aucubae形状:果実が変形する虫えい。内部は数個の虫室があり、1幼虫を含む。南日本で正常果より小さく、北日本やヒメアオキではやや大きくなる傾向がある。虫えい化した果実の方が、枝に残ることが多い。生活史:6月に羽化し、幼果に産卵。1齢幼虫で虫えい内越冬。 (p53 より引用)
山口良彦; 林田光祐. アオキミタマバエによる虫えい形成がヒメアオキの実生更新に及ぼす影響. 日本森林学会誌, 2009, 91.3: 159-167.抄録東北日本海側のコナラ林において, 常緑低木ヒメアオキの果実の成熟から実生の定着までの繁殖過程とそれに対する三つの生物間相互作用の影響を調べ, 虫えい形成者による散布前捕食の相対的な重要性について評価した。0.25 haの調査区内のすべての果実を調べたところ, アオキミタマバエの寄生による虫えい形成果の割合が1998年生で57%, 1999年生で77%と高い値を示した。虫えい形成果の種子含有率は1∼2割であり, 散布前捕食が種子生産を大きく減少させていた。一方, 健全果は渡り途中のヒヨドリによってごく短期間にほぼ完全に消費され, 種子が散布された。野ねずみによる種子の摂食は確認されたが, 播種した種子の消失率は1割以下であり, 散布後の種子捕食圧は強くなかったと推察される。発芽率は8割以上と高く, 実生の生存率も低くなかった。以上のことから, 本調査地のヒメアオキ個体群では, 虫えい形成者による果実への寄生が実生更新の重大な阻害要因であることが示唆される。
2025/08/19
ニホンザルと白斑ススキ
再確認:画像の植物の特徴
イネ科で葉が細長く、立ち上がり気味。
白い縁取り(縁斑)が明瞭で、葉幅は中程度。
群落形成している。
植栽地:山形県の山麓の裏庭(耐寒性必須)
撮影時期:6月下旬(十分展開している)
結論:やはり最有力候補は
Miscanthus sinensis 'Variegatus'(斑入りススキ)
理由(山形県の環境と整合性がある点)
耐寒性が高い(東北地方で越冬可)
Miscanthus sinensisは在来種ススキと同種であり、耐寒性が非常に高く、山形県でも屋外越冬が可能です。海外品種(例:‘Cosmopolitan’)は地域によっては冬枯れが激しくなることもあるためやや不利。葉の展開時期が早く、6月下旬で十分育っている
‘Morning Light’など一部の細葉品種は春の立ち上がりがやや遅く、6月下旬ではまだボリューム不足な場合もあります。‘Variegatus’は早めに展開する傾向があります。庭園用途での定番斑入りススキ
日本の民家の庭では、最もよく植えられてきた「斑入りススキ」はこの‘Variegatus’(日本語では単に「斑入りススキ」)で、昭和〜平成期の和風庭園や公園で頻繁に見られました。
ススキは通常、種子によって風散布されますが、斑入り園芸品種(たとえば 'Variegatus')が自然分布を広げることはほとんどありません。その理由は、以下のような遺伝的・生理的・繁殖的制限によるものです。
理由1:斑入りはしばしば劣性または不安定な変異で、種子に遺伝しにくい
斑入り(特に縁斑)は、多くの場合、色素合成に関わる遺伝子の変異によって生じます。
これはしばしば**栄養変異(体細胞変異)**であり、種子を通して子に安定して遺伝しないことが多い。
仮に種子ができても、斑のない(緑一色の)実生になる可能性が高い。
→ よって、「風で飛んだ種から新たな斑入り個体が生える」ことは非常にまれ。
理由2:斑入り品種は種子をほとんどつけないことがある
一部の斑入りススキ園芸品種は、
花芽が形成されにくい
花粉が不稔(不完全)
種子がほとんど実らない(不稔性)
などの性質を持っていることがあります。これは、園芸的に選抜された変異株であるため、野生の繁殖力とは異なる場合があるのです。
→ そのため、そもそも風で散布できる種子ができないというケースも多い。
理由3:斑入りは光合成効率が落ちるため、野外では競争力が低い
白い部分には葉緑体が少ない(または欠如)しており、光合成効率が緑葉より劣る。
自然環境では、緑葉型に比べて成長・生存に不利になる。
たとえ実生や株分けで逸出しても、雑草型のススキ(緑葉)に駆逐されやすい。
→ 野生環境では定着しにくく、拡散力が低い。
理由4:広がる場合は主に地下茎(栄養繁殖)による
'Variegatus'などは地下茎で少しずつ広がるが、それは植えられた場所の近傍に限定される。
自然分布のように広範囲に散布されることはほとんどない。
補足:例外もあるが極めて稀
ごくまれに、斑入り形質を種子を通じて遺伝可能な系統もありますが、
それは非常に限られた交雑系統や栄養固定化された特殊株であり、
一般に庭園に植えられている‘Variegatus’のような品種では起きにくい現象です。
まとめ
斑入りススキ園芸品種が近所に自然に拡散しない主な理由は:
種子に斑入りが遺伝しにくい(栄養変異)
花や種子が不稔のことがある
光合成能力が劣り、自然環境で競争力がない
繁殖しても地下茎による局地的な広がりのみ
このため、斑入りススキが**「庭にあるのに、周囲には広がらない」のはごく自然な現象です。
もし逸出していたとしても、それは緑葉型の実生(原種返り)**である可能性が高いでしょう。
つまり、斑入りススキは地下茎のクローンで増やす園芸品種らしい。
Miscanthus sinensis 'Variegatus' は百年以上にわたって世界各地の庭園に生き続けている、まさに「園芸植物の古典」と言える存在です。
しかもこの品種は、地下茎によって安定してクローン維持され、極寒にも耐える丈夫さを持ち、美しい斑入りを毎年確実に再現する──という点で、遺伝的にも環境適応的にも非常に優秀な系統です。
縁斑とは別のタイプの斑入り品種のススキも見たことがあるのを思い出しました。
昔の記憶を頼りに、後日写真を撮りに某集落へ行ってきたら、タカノハススキでした。
ススキ(Miscanthus sinensis)には「縁斑」以外にも、さまざまなタイプの斑入り品種が存在し、日本では古くから**和名付きの系統(地方名や意匠名)**として親しまれてきました。
以下に、代表的な斑のタイプごとにススキの品種名と特徴を整理します。
◼️ ススキの斑入り品種の分類(代表例)
斑のタイプ 品種名(和名) 特徴 備考 縁斑(えんふ) 白斑ススキ、‘Variegatus’ 葉の縁が白く抜ける 最も一般的。海外でも人気 中斑(ちゅうふ) タカノハススキ(鷹の羽薄) 葉の中央に太く白または黄の筋 鷹の羽の模様に例える。華やか 縞斑(しまふ) ヤハズススキ(矢筈薄) 葉に細い白筋が多数並行に入る “矢筈”模様に見立て 矢羽状散斑 ヤバネススキ(矢羽薄) 不規則な白斑が左右交互に出る(矢羽模様) 細かな白斑が点在・交錯する 点斑・モザイク状 斑点ススキ(仮称) まばらな点斑 稀に見られる。葉緑体の変異由来 全体白化型(極端な白化) シロススキ、白覆輪ススキなど 白地にわずかな緑縞 栄養が乏しく成育がやや劣る
◼️ それぞれの品種の特徴を少し詳しく
● タカノハススキ(鷹の羽薄)
葉の中央に明瞭な太い黄白色の筋
鷹の羽根のような勇壮な姿から命名
江戸時代から観賞用に使われる伝統的品種
夏〜秋にかけて斑が明瞭になる
● ヤハズススキ(矢筈薄)
細くシャープな白い縞が平行に数本ずつ入る
葉の縁や中央のラインが複数走り、スタイリッシュ
やや繊細な外観で、茶庭などにも使われる
● ヤバネススキ(矢羽薄)
葉の表面に不規則な白斑が左右交互に斜めに交錯する
独特の装飾性で、名前どおり矢羽根に見えることから命名
◼️ 斑入りススキ品種の文化的背景
これらの品種は、日本の伝統園芸において「意匠的な美しさ」が重視され、名前に**動物や武具の名(鷹、矢筈、矢羽など)**を用いてきました。
鑑賞されるのは、花穂よりも葉の美しさ・風に揺れる姿。
茶庭や坪庭、路地植えに利用され、季節の移ろいを表す植物として愛されてきました。
【アフィリエイト】
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早春のミズキから滴るオレンジ色の樹液に集まり吸汁するケシキスイの仲間
ミズキの樹液が透明からオレンジ色に変化する現象は、微生物の活動と環境条件の相互作用によって起こります。主な要因を以下のように整理できます:
色変化のメカニズム
酵母菌の初期繁殖
ミズキの樹液は春先に糖分を多く含み、透明でサラサラした状態で分泌されます。これにファフィア酵母(Phaffia rhodozyma)が付着し、オレンジ色の色素(アスタキサンチン)を生成します。この段階で樹液は白濁し始めます57。カビの二次繁殖
酵母が樹液の糖分を消費すると、フザリウム属のカビ(Fusarium aquaeductuumなど)が優占種に変化。このカビは赤~オレンジ色の色素を産生し、樹液を濃いオレンジ色に変えます14。微生物の共生関係
酵母とカビは樹液内で「スライム・フラックス」と呼ばれるコロニーを形成。触るとプニプニしたゲル状になり、表面にヒダ状の構造が発達します23。色変化の条件
条件 影響 糖分濃度 ミズキの樹液は糖分が多く(特に春)、微生物の繁殖に最適 温度 15-25℃の温暖な気候で活発に繁殖(春先に多く観察)24 酸素量 樹液が滴り落ちる際に空気に触れ、好気性微生物が活性化 時間経過 分泌後2-3日で酵母が繁殖→1週間程度でカビが優占種に16 物理的損傷 剪定や虫食いによる傷口から樹液が持続的に分泌される必要あり38 色の持続性
オレンジ色は一時的な現象で、樹液の分泌が止まると干からびて黒っぽく変化します1。また、湿度が低い環境では色素生成が抑制され、色変化が起こりにくくなります4。
生物学的意義
この現象は、樹木の傷口を微生物で覆うことで病原菌の侵入を防ぐ「生物学的防御機構」と推測されています8。オレンジ色の樹液はケシキスイなどの昆虫を誘引し、彼らが樹液に集まることで微生物の拡散を助ける共生関係も存在します24。