砂利道でスズバチ2匹の雌が巣材(泥団子)をめぐって小競り合いしていた場合、次のような可能性が考えられます。
巣材の資源防衛・強奪行動の可能性
ドロバチ類は泥団子などの巣材を使って巣を作りますが、巣材自体が「限定資源」となる場面は局所的・一時的にだけ見られることもあります。sharing-tech
しかし、広く泥や水分が得られる状況では、巣材資源の強い占有や防衛行動は通常あまり観察されません。hachi-kujyo+1
一方、個体によっては巣材を失敬(横取り)する、あるいはすでに作った泥団子を持ち去るといった行動が、極めて稀に観察されることもあり得ますが、これが定常的な「労働寄生」として成立しているという生態学的な報告はドロバチ類・スズバチではみられません。sharing-tech+1
小競り合いの直接的な要因
2個体が泥団子製作・運搬中に至近距離で遭遇した場合、お互いのスペース確保や接触回避、あるいは巣材・巣作りの作業場の「一時的な所有権主張」として小競り合いが発生することがあります。hachi-kujyo+1
これは「資源防衛」とまではいかず、むしろ偶発的・局所的な接触による攻撃・排除行動であり、自然界では他の単独性ハチ類にも時折見られます。sharing-tech
巣材強奪=労働寄生?
スズバチの成巣や巣材調達の過程で、他個体の産み出した泥団子を本格的に奪って利用する、またはそれが系統的な「種内労働寄生」として認められる現象は、専門文献でも報告されていません。hachi-kujyo+1
観察された争いも、資源強奪型の労働寄生ではなく、たまたま同時に同じ場所で巣材を扱っていた際の短期的な競合や排除行動とみなされます。sharing-tech+1
したがって、「巣材の資源が豊富なのに小競り合いが発生した」のは、局所的な行動圏の重複や一時的なスペース争いが主要因であり、スズバチ種内で「泥団子の労働寄生が生態学的に確立している」という証拠は現在のところありません。稀に一過性の泥団子の強奪が起きることも考えられますが、これはあくまで例外的な偶発行動といえます。hachi-kujyo+1
2025/11/16
巣材の泥玉を作る砂利道で争うスズバチ♀の謎
2024年8月下旬・午後15:20頃・晴れ
川に近い住宅地の外れにある、水田と墓地に挟まれた細い砂利道で、2匹のスズバチ(Oreumenes decoratus)が小競り合いを繰り広げていました。
低空で飛び回り、ときどきぶつかって肉弾戦を挑んでいます。
しばらくすると、2匹のスズバチは横に並んで着地すると、地面を掘って巣材の泥玉を作り始めました。
予め飲んできた水を吐き戻しながら乾いた堅い地面の土を大顎で掘り、泥団子に丸めていくのです。
フィールドで出会うスズバチの性別を見た目で区別するのは難しいのですが、巣材集めを始めたことから、2匹とも♀と判明しました。
つまり、♂が♀に交尾を挑む求愛行動ではありませんでした。
なるべく粒子が細かい土質が巣材に適しているようで、あちこち場所を変えながら試掘しています。
地面から飛び立ったスズバチが接近すると、再び空中戦が勃発しました。
小競り合いが収まると、今度はだいぶ離れた位置で巣材集めを再開。
やがてスズバチ♀は、完成した泥玉を抱えて飛び立ちました。
残念ながら今回もスズバチ♀の営巣地を突き止められませんでした。
砂利道から飛び去った蜂を流し撮りしても、すぐに見失ってしまいます。
近くに立っているスギの木へ飛んでいった気がします。
今思えば、横の墓地に並ぶ墓石にスズバチが作りかけた泥巣があるかどうか、調べればよかったですね。
スズバチ♀同士の小競り合いを1/5倍速のスローモーションでリプレイ。(@1:37〜)
【考察】
スズバチ同士の小競り合い(種内闘争)を撮影できたのは、これで2回目です。
関連記事(16年前の撮影)▶ スズバチの喧嘩
同じドロバチの仲間でも、エントツドロバチ♀は採土場を仲良く共有できるのに、単独性のスズバチ♀はなぜか非寛容です。
亜社会性のエントツドロバチは、採土場で集合フェロモンを放出しているのか?と疑ったぐらいです。
関連記事(12年前の撮影)▶ エントツドロバチ♀の集団採土場(蜂を個体標識してみる)
巣材となる土は無尽蔵にありますから、スズバチ♀が採土場を占有行動する意味はないはずです。
しかも同所性のスズバチは、元々血縁関係のある姉妹である可能性が高いはずです。
もしかして、同種の♀が作った泥玉を強奪する労働寄生があるのでしょうか?
しかし、スズバチが同種内で労働寄生する事例は報告されていないそうです。
Perplexity AIに質問してみたところ、以下の回答を得ました。
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ハチ・アリ(膜翅目),
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