2019/01/19

トンネルを塒とする野生コウモリの写真集

2018年9月上旬・午後17:10〜17:21(日の入り時刻は18:06)


▼前回の記事
昼塒のトンネルで寝るコウモリ♀に寄生虫?【暗視映像】

夜行性のコウモリが日中の塒としているボックスカルバートのトンネルを探検中に、赤外線ビデオカメラが無念のバッテリー切れ。
交換しようとしたらスペアのバッテリーがなぜか充電されていないことが分かり、唖然としました。
年に一度の入洞調査のために準備してきたはずなのに、痛恨のミスです…。
仕方がないので暗視映像を諦め、これ以降はストロボ写真による撮影に切り替えました。
暗闇の塒でコウモリに眩しい閃光を浴びせるのはかなりのストレスだろうと思い、これまではストロボの使用をなるべく自粛していたのです。
外付けのストロボは強力な閃光を発するだけでなく、コンデンサーに急速充電中にチュイーン♪という超音波を発しますから、これで写真をバシバシ撮りまくるとコウモリにとっては大迷惑でしょう。

カメラの設定でもう一つ重大なミスがあり、前日に別件でインターバル撮影したときの低い画素数(1920×1080ピクセル)のままでした。
コウモリに負担を掛けたのに、高画質の写真で記録できなかったのは残念でした。

今年は両手が自由になるヘッドライトが大活躍しました。
白色光ではなく、コウモリの目から見えにくい赤色光モードに切り替えて使用します。



開き直ってバシバシ撮りまくった野生コウモリの写真を一気に載せてみます。
コウモリの名前が分かる方がいらっしゃいましたら、教えて下さい。
素人目にはユビナガコウモリMiniopterus fuliginosus)ではないかと思っているのですけど、どうでしょうか?

天井でぶら下がりながら幼獣を抱く母親♀が写真に写っていました。
幼獣は毛色が褐色で、成獣は黒っぽいようです。
4枚目の写真は天井から飛び立とうと落下中の♀の股間(後脚の間)に幼獣らしきものが写っているのですけど、どういう姿勢で母親にしがみついているのでしょう?
まさか出産中ではないですよね?



天井の一カ所に大きな群塊を作っているのではなく、かなりバラバラに分散している印象でした。
ただし、私がトンネルにズカズカと侵入したことで警戒したコウモリがどんどん飛び去ってしまうので、どこまで自然な分布なのか分かりません。



次は単独で写っていた個体です。
ただし、周囲の仲間が飛び去った後の逃げ遅れた個体である可能性もあります。
3、5枚目の個体はなんとなく幼獣ですかね?(毛皮が茶色)


♂の下腹部に陰茎が見えます。



やや不鮮明な写真ながらも、体表の毛皮にケブカクモバエ?と思われる吸血性の体外寄生虫(橙色)を付けたコウモリも2頭見つけました。
▼関連記事
ユビナガコウモリの体表に寄生するケブカクモバエ?

手前中央の個体に寄生
左の個体に複数のクモバエが寄生

コウモリの群塊付近の天井に付着しているクモバエの黒い蛹を採集するつもりでしたが、不慣れな私は赤色光下では見つけられませんでした。
私が想像していたより小さいのかもしれません。
写真にはそれらしき黒い物体が多数写っていました。
次回はヘッドランプを白色光に切り替えて、クモバエの蛹の採集にチャレンジします。



今年はなぜか、トンネルのコンクリート天井にぶら下がった個体ばかりで、壁面にしがみついた個体はなぜか1頭も居ませんでした。

▼関連記事
トンネルの壁面で休むコウモリ【暗視映像】

コウモリの死骸を見つけたら採集しようとビニール袋も多数用意していたのに、今年は見つかりませんでした。

▼関連記事
トンネル内でぶら下がったまま死んだコウモリ【暗視映像】


つづく→


ヨトウガ(蛾)幼虫が食事中に頭部を擦り付ける謎の行動



ヨトウガ(蛾)幼虫の飼育記録#6



▼前回の記事
ヨトウガ(蛾)幼虫の規則正しい脱糞

2018年10月上旬

スイゼンジナ(別名:はんだま、金時草)の葉を食べていたヨトウガMamestra brassicae)の幼虫(俗名ヨトウムシ:夜盗虫)が身を捩って頭部を食草に擦り付ける謎の行動を始めました。

背中に付着した綿埃?を擦り落としたいのかもしれません。
だとすれば、一種の身繕い行動と言えそうです。
幼虫期は歩行のための短い脚しか持たないので、不器用な身繕いしかできません。

それとも、食害された植物が身を守るために食痕から粘液や毒などを分泌していて、それに触れてしまった幼虫が嫌がって顔から拭い落とそうとしている行動なのでしょうか?
以前、毒を含むシュウカイドウの蕾を食べているときも同様の行動がときどき見られました。
しかし、スイゼンジナは(ヒト向けの)食用の生野菜として売られているぐらいですから、毒や渋味、えぐ味は(ほとんど)ありません。
ただし独特の強い香りがあり、葉を茹でるとぬめり気が出ます。
幼虫はこのヌメリが苦手なのかな?
だとすれば、この粘液をもっと多く分泌するように野菜を品種改良すれば、ヨトウムシの食害が少しは減るかもしれませんね。
オクラやモロヘイヤなどと同じく「ヌルヌルねばねばの野菜は体に良い」とマスメディアでもてはやせば、スイゼンジナの人気も上がったりして。

※ 動画編集時に自動色調補正を施しています。

つづく→#7:スイゼンジナの葉を食べ脱糞するヨトウガ(蛾)幼虫【10倍速映像】


ヨトウガ(蛾)幼虫@スイゼンジナ葉+頭部擦り付け

2019/01/18

昼塒のトンネルで寝るコウモリ♀に寄生虫?【暗視映像】



2018年9月上旬

ボックスカルバートのトンネル内を日中の集団ねぐらとしている夜行性コウモリを毎年少しずつ調べています。
昨年は9月中旬にトンネル内を初めて調査したのですが、今年は少し時期を早めて(前年の15日前)入洞してみました。
コウモリの育児を撮影してみたい気持ちと、デリケートな繁殖期が終わるまでコウモリの活動を邪魔してはならないというコウモリ保全上の配慮との間で葛藤があります。
私が繰り返し侵入するせいでコウモリがこのトンネルは危険とみなして塒に使わなくなってしまったのでは、私も観察できなくなって困ります。
一応、私なりの配慮として、年に1回しか入らないようにしています。
日没前の夕方に、赤外線の暗視動画を撮りながら、トンネルを探検開始。
トンネルの奥にコウモリの集団塒(コロニー)があるようで、コウモリの鳴く声が可聴域でキキキキキ♪と反響して聞こえるのは前年と同じです。

真っ暗なトンネルの中程でようやくコウモリと遭遇しました。
コンクリート天井に2頭が間隔を明けてぶら下がっていました。
1頭に注目してズームインすると、コウモリの体表で何か小さな虫が動きました!(矢印に注目@0:19)
おそらくクモバエやコウモリバエなどの体外寄生虫でしょう。

▼関連記事
ユビナガコウモリの体表に寄生するケブカクモバエ?
現場ではこの虫に気付かなかったので、ストロボを焚いた証拠写真は撮れませんでした。

コウモリは畳んだ翼で顔を覆って寝ています。
一本足で天井からぶら下がっています。
幼獣を抱えた母獣かどうか、映像をしつこく見直したのですが、素人にはよく分かりませんでした。

私がゆっくり回り込みながらアングルを変えてしつこく撮り続けるとコウモリは覚醒して最後は飛び去りました。
飛び立つ直前にタラララ…♪と速いクリック音が私の耳にはっきりと聞こえました。
(映像でも確認できますが、ビデオカメラのノイズだったりして…)
エコロケーションのためにコウモリが発している超音波だと思うのですが、可聴域なのが不思議です。
トンネルなどの閉鎖空間では超音波が可聴域にシフトするのでしょうか???
コウモリ関係の本を読んでいても超音波の話ばかりで、可聴域の鳴き声についてはほとんど情報がありません。

飛び立つ瞬間を1/10倍速のスローモーションでリプレイしても、下腹部に陰茎が見えないので♀のようです。
やはり、幼獣を抱えていない、単独の♀だと思います。
この映像でコウモリの種類が見分けられる方がいらっしゃいましたら、教えて下さい。

1頭のコウモリに注目している間に、もう1頭は飛んで逃げてしまいました。

この直後にビデオカメラのバッテリーが切れてしまいました。
交換しようとしたらスペアのバッテリーがなぜか充電されていないことが判明しました。
準備してきたはずなのに、我ながら酷い大失態です…。
仕方がないので暗視映像を諦め、これ以降はストロボ写真による撮影に切り替えました。

つづく→トンネルを塒とする野生コウモリの写真集


キクイモモドキの花蜜を吸うベニシジミ夏型



2018年10月上旬

河川敷に咲いたキクイモモドキの群落で夏型のベニシジミLycaena phlaeas daimio)が訪花していました。
翅の縁の破損が激しい個体でした。
黒っぽい翅を半開きにしたまま、花の上でゆっくりと向きを変えながら吸蜜しています。

ハナアブの一種が飛来して同じ花に着陸しそうになると、ベニシジミは翅を軽く素早く開閉して追い払いました。
撃退シーンを1/10倍速のスローモーションでご覧下さい。

最後にようやく飛び立ったものの、再び同じ花に舞い戻って来ます。

※ 動画編集時に自動色調補正を施しています。


ベニシジミ夏型@キクイモモドキ訪花吸蜜
ベニシジミ夏型@キクイモモドキ訪花吸蜜

2019/01/17

稲刈り後の杭掛けに群がり稲穂を盗み食いするスズメ(野鳥)



2018年9月下旬

快晴で絶好の稲刈り日和でした。
あちこちの田んぼでコンバインが稲刈りしていました。
最新式のコンバインでは脱穀まで一気にやるらしいのですが、昔ながらの稲作農家では、刈り取った稲穂の束を杭に掛けて積み上げ、天日干しでしばらく乾燥させます。
この干し方は地域によって色々で、呼び方も異なるようですが、ここでは「稲杭掛け」としておきます。

この杭掛けにスズメPasser montanus)が群がり、せっかく収穫したばかりの稲穂を啄んでいました。
欲を出した私がもう少し近づこうとしたら、スズメの群れは警戒し逃げてしまいました。

こうした鳥害を少しでも防ぐために、稲作農家では涙ぐましい工夫を凝らしています。
ある刈田では、杭掛けの列に沿って白い網が張られていました。
スズメを捕獲するための本格的な霞網ではなく、スズメが警戒して近寄らなくなることを期待しているのでしょう。
また別の田んぼでは、稲杭掛けの周囲に昔ながらの防鳥テープ(赤銀)を張り巡らせていました。
スズメが来ていないのは、ちらちらと光る赤銀テープの効果というよりも、たまたま撮影時刻が薄暗い夕方でスズメの採餌活動時刻が終わっていただけのような気がします。
どうも私は赤銀テープの防鳥効果について懐疑的なのです。

▼関連記事
防鳥テープの無効例:田んぼの稲穂を食害するスズメの群れ(野鳥)

※ 動画編集時に自動色調補正を施しています。


スズメ(野鳥)群れ@田んぼ棒掛け+米採食
稲刈り後:棒掛け+霞網(鳥害対策)
稲刈り後:棒掛け+防鳥テープ赤銀(鳥害対策)

ヨトウガ(蛾)幼虫の規則正しい脱糞



ヨトウガ(蛾)幼虫の飼育記録#5



▼前回の記事
スイゼンジナの葉を食べるヨトウガ(蛾)の幼虫

2018年10月上旬・深夜・室温23℃→22℃

スイゼンジナ(別名:はんだま、金時草)の葉を食べながらヨトウガMamestra brassicae)の幼虫(俗名ヨトウムシ:夜盗虫)がほぼ28分間隔で規則正しく排便するようになりました。
便意を催す度に葉から尾脚を持ち上げ、俵状の黒い糞をモリモリ、ポトリと排泄しました。
新鮮な(湿った)糞がときどき腹端付近の体毛に付着してしまったり、腹端の尾脚に挟まったりすることがありました。
それでも糞が自然に落ちるのを待ってから、下半身を葉に戻します。
糞切りが悪いときでも、持ち上げた腹端を左右に振り動かしたり周囲の物に擦り付けて積極的に糞を落とす行動はありませんでした。

※ 動画編集時に自動色調補正を施しています。

つづく→#6:ヨトウガ(蛾)幼虫が食事中に頭部を擦り付ける謎の行動



2019/01/16

深夜の庭から聞こえた謎の鳴き声(ニホンイタチ?!)



2018年10月上旬・午前1:27〜1:35

深夜に窓の外の庭から野生動物が発する凄まじい鳴き声が聞こえてきて、寝ていた私は飛び起きました。
静かな真夜中にキキキッ♪(チュチュチュッ♪)とかなりの大音量で悲鳴のような鳴き声が繰り返し響き渡ります。
それに釣られてカエルも外で鳴き始めました。

カーテンや窓を開けると逃げられると思い、室内から窓越しに動画で鳴き声だけ記録しました。
鳴き声の主は、外で少しずつ場所を移動しながら(遠ざかりながら)断続的にキキキッ♪と繰り返し鳴いているようです。
複数個体が喧嘩しているのかな?

これは一体、何の鳴き声なのでしょう?
夜にこんな鳴き方をする鳥を私は知りません。
夜行性の捕食者に襲われた獲物が断末魔の悲鳴を上げているのでしょうか?
例えばシジュウカラなどの小鳥や小動物が寝込みを襲われたのかな?
なんとなく、ネズミやコウモリの鳴き声っぽい気もします。

発情したイエネコFelis silvestris catus)が夜中に鳴き騒ぐことがありますが、今回の鳴き声は明らかに猫とは違いますし、調べたら10月上旬は猫の繁殖期ではありませんでした。



他に候補として考えられる野生動物は、ハクビシンです。

▼関連記事 
ハクビシンの早朝散歩
しかし、YouTubeに公開されている動画でハクビシンの鳴き声と聴き比べると、どうも違うようです。


謎の鳴き声を声紋解析してみる

オリジナルの動画(MOVファイル)から音声をWAVファイルに抽出し、鳴き声の入った部分を適当に切り出してからスペクトログラムを描いてみました。
約16kHzの単調で強いシグナルは、私のビデオカメラに固有のノイズなので無視して下さい。
20kHz以上の高周波数域で弱いながらも断続的に鳴き続けているのは、かすかに聞こえたコオロギなど虫の音だと思います。



この事件があってから45日後の11月下旬。
昼過ぎに私が家から外出しようとしたら、入れ違いで黄土色の細長い小動物が庭の方へササッと素早く駆け込みました。
一瞬の出来事で証拠となる写真や動画は撮れるはずもありませんが、どうやらニホンイタチMustela itatsi)のようでした。
この辺りに野生のイタチが住み着いているとは知りませんでした。
家庭菜園や田畑が点在し、細い用水路も流れているので、イタチの食料もありそうです。
てっきり夜行性だと思っていたイタチが真っ昼間に活動することも意外でした。
本種は冬眠はしないで1年中活動し、その活動時間帯は特に定まっておらず、昼夜活動する (wikipediaより引用)

もしかして、1.5ヶ月前の夜中に聞いた謎の鳴き声は、このイタチかもしれません。
車庫や庭などのあちこちにカメラトラップを仕掛けてみたら楽しそうです。
YouTubeに公開されている動画で捕獲されたイタチが威嚇する鳴き声を聞いてみると、状況が違えどかなり似ています。











↑最後はツイッターで話題になった動画です。

犬に追い詰められたイタチが側溝の穴から顔を出したり引っ込めたりしながらキキキッ♪と鋭く鳴いています。
この鳴き声が私が聞いたのとそっくりでした。


【追記】
今泉忠明『イタチとテン―森をかけめぐる万能選手』という動物学の書籍を読むと、繁殖期に♀を巡って♂同士が争う「イタチごっこ」を解説した文脈の中で、イタチの鳴き声について詳しく書いてありました。
 「キチッ! キチキチキチキチ」と鋭く鳴き、「ケケケケ…!」などの叫び声を時折あげて走り、闘争する。相手を威嚇したり、激しく怒ったときに出される声だ。平常時には、イタチはほとんど発声することもない。春の発情期から、夏の育児期にわたる期間にはかなり頻繁に啼き、しかも特殊な啼き声が多いという。一声鋭く「キッ!」と発声するのは驚愕を表し、低く「シューッ!」と発声するのは警戒を表すという。(p71より引用)

しかし今回の動画の撮影時期は10月上旬なので、「春の発情期から、夏の育児期にわたる期間 」には当てはまりません。



【追記2】

郷土出版社『置賜ふるさと大百科―決定版』でイタチについて調べると、

置賜地方では方言で小豆トギとも呼ぶ。由来は鳴き声からきたものである。(p52より引用)

私はそんな呼び名を聞いたことがないのですし、鳴き声が小豆を研ぐ音と似ているとは思わないのですけど、覚書として追記しておきます。




イチモンジセセリ?の舌舐めずり



2018年9月下旬

川沿いにある民家の庭の花壇でイチモンジセセリParnara guttata)らしき蝶が菊の葉に止まっていました。
いつものように翅は半開き状態です。

ゼンマイ状の口吻をクルクルと曲げ伸ばす謎の行動を何度も繰り返しているのが目を引きました。
葉の表面を舐めている訳ではありません。
先程までタンポポの花で吸蜜していたのと同一個体ではないかと思います。

▼関連記事
セイヨウタンポポの花蜜を吸うイチモンジセセリ

擬人化すると、吸蜜後の余韻を味わいながら「舌舐めずり」をしているのでしょうか?
蝶が羽化直後以外でこのように口吻を伸縮させるのを見るのは初めてかもしれません。
羽化直後の蝶や蛾(鱗翅目)は、左右に別れた口吻のパーツをクルクルと曲げ伸ばしながらジッパーのように閉じて1本のストローにします。
このジッパーの噛み合わせの具合が悪くなって改めて整えていたのだとすると、身繕いの一種と言えそうです。

最後に飛び立つと、近くに咲いていた野菊の花で吸蜜を始めました。(映像なし)

※ 動画編集時に自動色調補正を施しています。



2019/01/14

日没後の夜空を飛ぶゴイサギ(野鳥)♪



2018年8月上旬・午後19:15〜19:21

ゴイサギNycticorax nycticorax)の群れが昼間にねぐらとしている池の畔の森をまた見に来ました。
夜行性のゴイサギは日没から約30分後に、塒から続々と飛び出して夜間の採餌に出かけるようです。
まるでコウモリのような暮らしです。
この日の日の入り時刻は午後18:44。

群れが一斉に離塒するのではなく、クワッ♪と不気味に鳴きながらばらばらに飛び去ります。
初めは塒から離れるのを躊躇って、少し飛んだだけで塒の森に戻ってしまう個体もいます。
ドラマチックな映像にはならず、なんだかとりとめのない記録になってしまいました。

薄暗い条件下で普通のカメラで撮ろうとすると、オートフォーカス(AF)が効きにくくなり、しっかりズームできません(望遠レンズの性能を充分に活かせない)。
したがって、残念ながら夜空を飛んでいるゴイサギのシルエットが幼鳥か成鳥かも見分けられないのです。
(赤外線の暗視カメラを使っても、赤外線投光器の補助照明が届かない距離の被写体は撮れません。)
今回はあえて動画を自動色調補正せずに、暗さをそのまま伝えることにします。

ゴイサギが夜に採餌する様子を観察(撮影)してみたいのですが、いつも塒からの追跡に失敗してしまいます。
採餌場を突き止めるのが課題です。
成鳥と幼鳥が夜も家族群として行動を共にしているのか、知りたいところです。

また、秋になると、ゴイサギはこの昼塒から忽然と姿を消します。
一体どこへ行ったのでしょう?
図鑑などでゴイサギは留鳥とされていますけど、ここ(東北地方の雪国)で観察したイメージでは完全に夏鳥です。
冬は暖かくて餌の豊富な地方に南下してしまうのでしょう。


スイゼンジナの葉を食べるヨトウガ(蛾)の幼虫



ヨトウガ(蛾)幼虫の飼育記録#4



▼前回の記事
ヨトウガ(蛾)の幼虫がシュウカイドウの蕾を食害

2018年10月上旬

庭から適当に採取してきたシュウカイドウを餌に飼っていたヨトウガMamestra brassicae)の幼虫(俗名ヨトウムシ:夜盗虫)がウロウロと徘徊探索したり植物体から自発的にボトッと落下したりするようになりました。
ヨトウムシがいくら広食性と言えども、シュウ酸やサポニンを多く含むシュウカイドウがやはり口に合わないのでしょうか?
試しにカキノキやタニウツギの枝葉を与えてみたものの、葉に食いついてくれません。
繰り返し脱走を試みるばかりです。
脱皮前で食欲が無いだけなのか、それとも空腹のまま探餌徘徊しているのか、判断に悩みました。

そこで次に、新しい生野菜として出回り始めたキク科のスイゼンジナ(別名:はんだま、金時草)に幼虫を移してやりました。
するとようやく徘徊が止んで落ち着き、葉を摂食し始めました。
やや萎れかけた葉を与えたのに、シュウカイドウより気に入ってくれたようです。
スイゼンジナは葉表が緑で葉裏は紫と毒々しい配色ですが、ヒトも生で美味しく食べられるように品種改良されているので、シュウ酸などの植物毒はきわめて少ないはずです。

※ 動画編集時に自動色調補正を施しています。

つづく→#5:ヨトウガ(蛾)幼虫の脱糞


ヨトウガ(蛾)幼虫@スイゼンジナ葉+蚕食
ヨトウガ(蛾)幼虫@スイゼンジナ葉+蚕食

2019/01/13

家庭菜園を鳥害から守る鳥追いカイト(タカ型の凧)



2018年9月下旬

郊外の川沿いに作られた家庭菜園(畑)が野鳥による食害に悩まされているようで、鷹に似せた鳥追いカイトが設置されていました。
地面に長いポールを突き立て、その先に糸で凧を繋いでいます。
風が吹くと凧が右に左に動いて鷹が飛んでいるように見える仕掛けです。
今年は田んぼでよく見かけましたが、畑に設定されているのは初めて見ました。
奥は河畔林に囲まれています。

猛禽類を恐れる野鳥に対して今のところ効果がある(慣れが生じていない)のか、周囲に野鳥の姿はありませんでした。
無風で凧が動かない日にも鳥よけ効果があるのか、引き続き見て回りたいと思います。
あとは凧やポール、糸の耐久性が問題になりそうです。

▼関連記事
鳥追いカイトは田んぼのスズメ対策に有効か?(野鳥)
水田を鳥害から守る鳥追いカイト(フクロウ型の凧)

※ 動画編集時に自動色調補正を施しています。


鳥追いカイト:鷹(野鳥)@家庭菜園

フタモンアシナガバチ♀コロニー内の優劣行動



2018年9月下旬

田園地帯を走る鉄道を敷設するために盛った砂利を支えるコンクリートの土台や鉄骨の隙間に多数のフタモンアシナガバチ♀(Polistes chinensis antennalis)が群がっていました。
周囲の状況を説明するのが難しいのですけど、細い農業用水路を線路が跨ぐために小さな鉄橋になっている部分の隙間です。
時期的にワーカー♀ではなく、新女王なのかもしれません。

おそらくこのコンクリート土台の物陰に巣があって一部の個体が日光浴に出て来たのだろうと思われますが、覗き込んでも日向と暗い日陰のコントラストがきつくて巣を見つけられませんでした。
小さな手鏡があれば探すのに役立ったかもしれません。


♀同士で背後から馬乗りになり頭部に噛みつく、という優位行動をしているペアが気になりました。
攻撃を受けている個体は身を伏せて無抵抗です。(劣位行動)
アシナガバチのコロニーでは基本的に羽化した順から上位になる厳しい順位性があり、最優位の女王蜂はワーカー♀を力づくで(激しい優位行動で)支配していることが知られています。
創設女王の権勢が衰えるとともに新女王が羽化するとコロニーの順位性がどう崩れていくのか、きちんと個体標識してコロニーを長期観察すれば面白そうです。
優劣行動に興味がある人は、日本の昆虫3『フタモンアシナガバチ』(山根爽一 著)を一読することをおすすめします。


※ 動画編集時に自動色調補正を施しています。


フタモンアシナガバチ♀群れ@線路コンクリート土台
フタモンアシナガバチ♀群れ@線路コンクリート土台
フタモンアシナガバチ♀群れ@線路コンクリート土台・全景



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