2023/06/10

秋になりスギ林道の溜め糞場にペアで通うホンドタヌキ【トレイルカメラ:暗視映像】

 



2022年11月上旬〜中旬

里山のスギ林道にある溜め糞場sをトレイルカメラで長期監視しているのですが、この地点では晩秋になってようやくホンドタヌキNyctereutes viverrinus)の♀♂つがいが同時に通って来るようになりました。 
未だしっかりと個体識別できていませんが、それまでは個別に来ていたようです。 
他の地点の溜め糞場では結構頻繁にペアで(2頭同時に)写るのですが、ここではなぜか単独のタヌキばかり写るので気になっていました。


シーン1:11/10・午後22:01 
林道を左から歩いて♀♂ペアで登場。 
寒い冬に備えて丸々と肥えていて、共に「フサ尾」でした。 
溜め糞場sを素通りして、右に立ち去りました。 


シーン2:11/12・午後17:59・ (@0:18〜)日の入り時刻は午後16:33 
2日後の晩に♀♂ペアが同時にやって来ました。 
先頭個体が溜め糞sに左向きに(北向き)跨がり、排便中でした。 
後続の個体はカメラを見上げてから先頭個体をゆっくり追い越し、左に立ち去りました。 
用を足したタヌキがパートナーを追いかけると、林道に積もった落ち葉をカサカサ♪と踏みしめる音が聞こえます。 

今回も共に「フサ尾」でした。 

シーン3:11/14・午後23:51・ (@0:45〜) 
更に2日後の深夜に、1頭のタヌキが林道を右から歩いて登場。 
溜め糞場sの匂いを嗅いだだけで左に歩き去りました。 
監視カメラがその後も動画を撮り続けると、約25秒後に後続個体が右から登場。 
(間の空白時間は退屈なので、5倍速にしてあります。) 
同じく溜め糞場を素通りして、左に立ち去りました。 
2頭とも「フサ尾」でした。 

「垂れ尾」は居なくなってしまった(他所に行った)のか、それとも冬毛に生え変わると「フサ尾」になるのでしょうか? 
顔つきなど他の安定した特徴で個体識別できるようにならないといけません。 
しかし、毎回トレイルカメラでタヌキの顔が正面から写るとは限りません。
残念ながら性別も見分けがつきません。 


※ 動画編集時に自動色調補正を施しています。 



シオンの花蜜を吸うウラギンヒョウモン♀

 

2022年9月下旬・午前9:50頃・晴れ 

民家の庭の花壇に薄紫の菊の花が咲いていました。 
草丈がヒトの身長よりも高く、目測では2mぐらいありそうです。
そこでウラギンヒョウモン♀(Fabriciana adippe)が訪花していました。 
半開きの翅を開閉しながら吸蜜しています。 
頭花が隣接しているため、花蜜が無くなれば、わざわざ飛ばずとも次々に渡り歩くことができます。 

翅が無傷のきれいな個体でした。 
横の線路を列車が轟音を立てて通過してもウラギンヒョウモン♀は逃げず、花蜜に夢中です。 

さて、この菊の名前は何でしょう? 
てっきり外来種や園芸種と思ったのですが、そっち方面には特に疎くて名前を調べるのは苦手です。
最近、雑種強勢(ヘテロシス)という用語を知りました。 
この菊が園芸植物だとして、背丈が異常に高いのはヘテロシス育種で作出したのか?と素人が勝手に想像してみました。 
しかし「背丈の高いAster」でネット検索してみると、どうやらシオン(紫菀)という野草のようです。 
本来は九州から中国地方にかけた西日本にしか分布しないらしいのですが、ここ東北地方でも観賞用に栽培するようになったのでしょう。

2023/06/09

珍しく明るい早朝にオニグルミの堅果を持ち去る野ネズミ

 



2022年11月上旬・午前6:39・気温7℃ (日の出時刻は午前6:08) 

新たに40個のオニグルミ堅果をカラマツの根元の窪みに山盛りにして置きました。 
クルミの給餌は2回目です。 
給餌した当日には野生動物は何も現れませんでした。 
昼間にリスがクルミを見つけてくれることを期待したのですが、なぜか最近はリスが全く現れなくなりました。 

驚いたことに、野ネズミ(ノネズミ)が給餌場のクルミをようやく見つけたのは、翌日の日の出から30分後の明るい早朝でした。 
ここで夜行性の野ネズミを自然光下で撮れたのは初めてです。
新機種のトレイルカメラに切り替えたので、明るい日中はフルカラーで撮影可能になりました。 
モノクロの暗視映像ばかり見ていたので、こんな褐色の毛皮だったのかと、感激しました。
関連記事(12年前の撮影)▶ 杉林の野ネズミ
餌場でオニグルミの堅果を1個選ぶと、口に咥えて左に運び去りました。 
雑木林の斜面に生えた常緑のシシガシラの茂みに飛び込んで姿を消しました。 
実はその辺りに野ネズミの巣穴があることが後に判明します。 
短い映像を1/3倍速のスローモーションでリプレイ。(@0:09〜)

この個体が大胆になって明るい昼間も貯食活動するようになった、という訳ではありません。
野ネズミが昼行性だったのは、これが最初で最後でした。
捕食者に見つかりやすい昼間に出歩くのは危険なので、巣穴に帰って寝ます。


日の出前に河畔林の林床で餌を探すホオジロ【トレイルカメラ:野鳥】

 



2022年11月上旬・午前5:54・(日の出時刻は午前6:01) 

河畔林にあるタヌキの溜め糞場rvをトレイルカメラで監視していると、夜明け直前に早起きのホオジロEmberiza cioide)が登場しました。 
林床に転がっている落枝をピョンピョンと伝い歩きしたものの、地面には降りませんでした。 
溜め糞場に獲物となる虫が集まってきているかどうか調べに来たのでしょう。 

※ 動画編集時に自動色調補正を施しています。 

2023/06/08

スギ林に塒入りしたニホンザルの群れ

 

2022年10月下旬・午後16:30頃・くもり(日の入り時刻は午後16:45) 

日暮れ時に野生ニホンザルMacaca fuscata fuscata)の群れが里山から麓に下りてきてスギ林へ次々と入って行きました。 
鬱蒼としたスギの植林地でどうやら一夜を過ごすようです。 

ところが天の邪鬼な個体が群れとは逆行して、杉林から山へ帰って行きました。 
まだお腹が満ち足りていないのか、暗くなるぎりぎりまで山で採食したいのかもしれません。 

スギ林の中からときどき猿の鳴き声やバキッと木が折れる音が聞こえます。 
物音のする方にズームインしてみると、斜めに倒れた朽ち木にサルが乗っていました。 
そこから身軽にジャンプして障害物を乗り越え、木を下りました。 

未だ遊び足りない3頭の子ザルが細い灌木に登って激しく追いかけっこしています。 
そのまま樹上に腰掛けて体をボリボリ掻きました。 
最後は飛び降りてスギ林の奥に走り去りました。 

塒入りしたニホンザルが夜の杉林でどのように寝ているのか、いつか観察してみたいものです。 
しかし、猿に気づかれないように忍び寄るのは難しそうです。 
一日中群れについて歩いて馴らせば可能?(人付け)
毎晩必ず同じスギ林に塒入りするのであれば、明るい日中に予めスギ林の中でブラインドを張って隠れ、猿を待ち伏せする作戦が有効かもしれません。
暗い夜でも遠くから野生動物の撮影ができる高性能(超高感度)のサーモグラフィカメラが欲しくなりますが、軍事用で超高価なので素人には高嶺の花です。 

夕方でかなり薄暗いために、カメラのAFがなかなか合焦しません。(私のカメラの性能限界) 
動画の画質がひどく粗いのも光量不足のせいです。 

※ 猿の鳴き声が聞き取れるように、動画編集時に音声を正規化して音量を強制的に上げています。 
素材を撮影順ではなく少し入れ替えました。

砂利道で巣材の土塊を集めるオオハキリバチ♀【FHD動画&ハイスピード動画】

 

2022年8月中旬・午後14:20頃・くもり 

里山の林道(砂利道)でオオハキリバチ♀(Megachile sculpturalis)が低く飛び回っていました。 
巣材集めの採土がしたいのだろうとピンときました。 
オオハキリバチ♀はかすかに羽音を立てて飛び回り、あちこちで試掘して土質を調べ、気に入ったら採土します。 
大顎で地面をガリガリ削り取るのです。
ドロバチ科やクモバチ科のように水を吐き戻しながら滑らかな泥玉を作るのではなく、ただの土塊を巣に持ち帰ります。 
今回は雨上がりで、湿り気を帯びた土を採掘していました。 

採土後に飛び立つ瞬間を狙って240-fpsのハイスピード動画に切り替えました。(@1:03〜) 

※ 薄暗い後半は明るく加工しました。 


オオハキリバチは造巣過程の各段階で異なる巣材を用います。 
土塊を使うのはごく一部なのですが、フィールドで見かける巣材集めは圧倒的に採土行動が多いです。 
我々の目に付きやすいからなのでしょう。
メインの巣材は樹脂なのに、オオハキリバチ♀が樹脂を集める行動は1回しか観察したことがありません。 

関連記事(1、2、10、13年前の撮影)▶  

2023/06/07

野ネズミはタヌキの溜め糞に来て何を食べているのか?【トレイルカメラ:暗視映像】

 


2022年11月上旬 

河畔林にあるホンドタヌキNyctereutes viverrinus)の溜め糞場rvに夜行性の野ネズミ(ノネズミ)が訪れるシーンをまとめてみました。 
画面の左が北で、林床の東と西にある黒々とした2カ所が溜め糞です。 
画面から外の東に3mほど行くと川が南から北へ流れています。 

実は野ネズミは夜の活動時間のほとんどを、溜め糞以外の場所で探索しています。
関連記事(同時期の撮影)▶ 秋の河畔林で夜な夜な餌を探し歩く野ネズミ【トレイルカメラ:暗視映像】
シーン1:11/5・午前3:14・(@0:00〜) 
冒頭から、画面下部(西)の溜め糞に野ネズミが珍しく長居していました。 
タヌキの糞塊に含まれる未消化の種子を採食しているのでしょうか? 
その後は、ニセアカシアの根際の隙間などを徘徊したり木に登り降りしたりして餌を探し歩きます。 
木登りが得意なのはヒメネズミApodemus argenteus)なのですが、この程度の軽い木登りならアカネズミApodemus speciosus)にも出来そうな気がします。 
映像から種類を見分けられる方がいらっしゃいましたら教えて下さい。 


シーン2:11/6・午後23:22・(@0:37〜) 
左のニセアカシア根際に登場した野ネズミが溜め糞(東)に訪れたものの、匂いを嗅いだだけで離れました。 
野ネズミに不潔とかいう衛生観念は乏しいのかもしれませんが、素人目にはやはりタヌキの糞便臭を忌避しているように見えます。 
新鮮な糞が追加されたかどうか、チェックしただけなのかもしれません。

他の場所で落ち葉をかき分けながら探餌行動を続けます。 


シーン3:11/9・午後17:52・(@1:20〜) 
左上のニセアカシア根際に登場。 
溜め糞(東)にちょっと立ち寄ってから、今度は溜め糞(西)の端で長居しています。 
未消化の種子を採食しているのか、それとも溜め糞場にあつまる虫を捕食しているのかもしれません。 
ちょうど林床に転がっている落枝が地面から少し浮いている空間に野ネズミは隠れていて、上空のフクロウから見つかりにくいよう警戒しているようです。 


シーン4:11/9・午後17:58・(@2:19〜) 
5分後にも野ネズミが画面中央の林床に登場しました。 
溜め糞(西)で長居しています。 
タヌキの糞に含まれる未消化の種子を採食? 


シーン5:11/9・午後18:55・(@3:05〜) 
約1時間後に画面の下端に野ネズミが再登場。 
溜め糞(西)が気になるのか、辺縁部を横切って調べています。 


シーン6:11/9・午後23:55・(@3:54〜) 
5時間後に画面中央の林床に登場。 
溜め糞(西)で長居。


野ネズミはタヌキの溜め糞に来て何を食べているのでしょうか?
野ネズミの種類もろくに見分けられないのに個体識別なんて私には無理ですが、同一個体が通っていると仮定しましょう。 
探餌徘徊の合間に適当な時間間隔を空けてタヌキの溜め糞に戻って来るということは、必ずしも未消化の種子が目当てではないのかもしれません。 
タヌキの糞には未消化の種子が多数含まれていますから、野ネズミの目的が種子ならば、一度見つけたら食べ尽くすまでひたすら居座るなり、持ち去って貯食するなりするはずです。 
個人的には、「溜め糞場に集まる虫を捕食している説」に傾きつつあります。 
野ネズミを警戒して逃げてしまった(隠れた)虫がしばらくすると糞塊に戻って来て、それをまた野ネズミが捕食しに戻ってくるという、「イタチごっこ」になっていると想像すればしっくりきます。 
暗視映像に虫は写っていませんが、ハエ成虫のような敏捷な虫ではなく、もっと動きの鈍い幼虫とかダンゴムシなどを想定しています。 

林床を上から見下ろすアングルだと、どうしても野ネズミが溜め糞で採食している手元や口元がよく見えません。 
カメラの設置位置をもっと下げて溜め糞に近づけたり、ローアングルで設置すれば決定的な証拠映像が撮れるかもしれません。
しかし、そうすると今度はタヌキがカメラを露骨に警戒して溜め糞場に近寄らなくなり、糞の供給が絶たれてしまうため、元も子もありません。 
どうすりゃいいの?!



晩秋のタヌキ溜め糞場で落ち葉をめくって虫を探すトラツグミの群れ【野鳥:トレイルカメラ】

 

2022年11月上旬・午前9:31〜10:43 

山林の斜面をトラバースする小径に残されたタヌキの溜め糞場dを自動撮影カメラで見張っていると、トラツグミZoothera aurea)が繰り返しやって来ました。 
迷彩効果の高い地味な斑紋を身にまとっているため、じっとしていると見つけるのが困難です。 
画面の中央に黒々と見える塊がホンドタヌキの溜め糞です。 

落ち葉に覆われた小径にトラツグミが降り立ち、溜め糞に近づいてチェックするも、素通りします。 
気温の低い晩秋になると、溜め糞の上にはもう虫が居ないようです。 
地面に降り積もった落ち葉を嘴で払い除けて、隠れている虫を捕食し始めました。 


複数のトラツグミが繰り返しやって来るということは、やはり溜め糞場の周囲には隠れている虫の量が多いのでしょう。 
たとえば、糞塊を食べて育ったウジ虫(ハエの幼虫)は溜め糞場を離れて分散してから地中に潜り、蛹になります(蛹化)。 
その間にも雑木林の落葉性広葉樹から落ち葉がハラハラと舞い散ります。

同時に複数個体のトラツグミが登場することもありました。(@3:31〜) 
林道の右と左で2羽のトラツグミがそれぞれ落ち葉めくりに勤しんでいます。 
そこへもう1羽がバサバサと羽音を立てて飛来しました。(@3:58〜) 
ところが、初めから左端に居た個体が他の2羽を次々に追い払ってしまいました。 
てっきり家族群なのかと思いきや、餌場の占有行動があるのかな? 
音量を上げても闘争時に鳴き声を聞き取れませんでした。 
追い払われた個体も、すぐにまたピョンピョン跳んで戻って来ました。 
つつきの順位で上位の強い個体が餌場を独占するというよりも、集団採食時に個体間で適切な距離を取らないといけないのかもしれません。(ソーシャル・ディスタンス!) 

※ 旧機種のトレイルカメラで昼間に撮影すると画面全体がピンク色に点滅して見苦しいので、動画編集時に自動色調補正を施しています。 
ほぼモノクロの映像になってしまいますが、仕方がありません。 

2023/06/06

雷雨の夜に山林を飛び回るコウモリ【トレイルカメラ:暗視映像】

 

2022年11月上旬・午後19:30頃 

山林の小径にある溜め糞場dをトレイルカメラで見張っていると、雨がぱらつく夜に高速で飛び回るコウモリが写りました。 
1/3倍速のスローモーションでリプレイ。 

強い風も吹いているようで、雑木林から落ち葉がハラハラと林道に舞い散ります。 
その後、一瞬だけ辺りが明るくなりました。 
雷(稲妻)が光ったようですが、音量を上げても遠くで低くゴロゴロ鳴っているだけで、落雷した音は聞き取れませんでした。 


※ 動画編集時に自動色調補正を施しています。 
※ 音声を正規化して音量を強制的に上げています。 

誰彼構わず(♂にも)交尾を挑むベッコウバエのあぶれ♂

 

2022年11月上旬・午後10:30頃・晴れ 

湿地帯を囲むコンクリート護岸に残されたホンドタヌキNyctereutes viverrinus)の溜め糞場uを久しぶりに見に来たら、新鮮な糞が追加されていました。 
糞にたくさん含まれている黄色い粒は、未消化のトウモロコシのようです。 
この近くに飼料用のデントコーンを栽培する畑があったので、タヌキがそこで収穫後のトウモロコシ落ち穂を拾い食いしてきたのかもしれません。 
それとも、近所で生ゴミや残飯を漁ってトウモロコシにありついたのかな?

ベッコウバエDryomyza formosa)の♀♂ペアが交尾しながら口吻を伸縮させて獣糞を舐めていました。 
獣糞上を歩き回る♀♂ペアがバランスを崩して横倒しになり、ようやく♀の姿も見えました。
ベッコウバエは腹部の色で性別をかんたんに見分けることができます。 
♀の腹部は黒く、♂は黄土色で黄金色の毛が密生しています。 
よく見ると、♀にマウントした♂aは交尾器を結合しておらず、♂aは配偶者ガード(交尾後ガード)しているところでした。

やがて、あぶれ♂bが登場します。(@0:44〜) 
実は冒頭のシーンから溜め糞上に来ていました。 
糞塊をせかせかと歩き回り、交尾ペア♀♂aに正面から近づきました。 
そのまま交尾ペアの♂aにマウントしたものの、すぐに相手が♀ではないと気づいて自発的に離れました。 
交尾後ガードしている♂aがあぶれ♂bを撃退したようには見えませんでした。 

しばらくすると、更に別個体♂cが糞塊に飛来しました。 (@1:06〜)
1/5倍速のスローモーションでリプレイすると(@1:33〜)、腹背が黒くないのでcは♀ではなく♂と分かります。 
♂cが溜め糞に着地した瞬間に横に居たあぶれ♂bが反応して向き直り、正面から飛びつきました。 
背後からマウントしながら方向転換して体の向きを揃えたものの、交尾には至らず離れました。 
今回は飛びついた相手cが♀ではなく♂だと気づくのに少し時間がかかりました。 
飛びつかれた♂がヒキガエルのようにリリースコール(「離せ!」)を発音していたら面白いのですが、私の耳には聞き取れませんでした。
♂bに襲われた♂cは驚いて(嫌がって?)飛び去ってしまいました。 
失敗続きでも、あぶれ♂bはめげません。 
あぶれ♂bは苛々と翅を素早く開閉して黒い斑点模様を見せつけながら、再び交尾ペア♀♂aにアプローチしました。 
再度♂aにマウントを試みるも、誤認求愛と気づいて離れました。

ベッコウバエの♂は♀に対して儀式的な求愛行動をしないようです。(翅紋誇示が求愛なのかな?)
いきなり相手に飛びついて背後からマウントします。 
しかもベッコウバエ♂は周囲で動くハエには誰彼構わず飛びついて交尾を挑むことが分かりました。 
相手に触れてみて初めて性別が認識できるようです。 
♂同士の闘争で交尾中の♀♂ペアから♀を強奪することはありませんでした。 

2023/06/05

深夜の林床で居眠りする野ネズミの謎【トレイルカメラ:暗視映像】

 



2022年11月上旬・午前2:40頃 

深夜の河畔林でニセアカシアの根元に野ネズミ(ノネズミ)が現れました。 
画面左上の赤丸の位置に注目して下さい。 
初めはキョロキョロと左右を見て警戒しているようでしたが、一箇所に留まって一体何をしているのでしょう? 
採食中なら後ろ姿でも動きでなんとなく分かるはずです。 

赤外線の暗視映像で白く光る目が次第にトロンと閉じてきました。 
採食活動や貯食行動に疲れて居眠りしているのかな?
休みたいのなら安全な隠れ家や巣穴に行くべきです。 
フクロウやテンなど夜行性の捕食者に襲われるリスクがあるのに、こんな無防備な場所で野ネズミが居眠りするとは驚きました。 
トレイルカメラの録画が1分間で終わってしまい、野ネズミが再び覚醒して立ち去るまで見届けられませんでした。

以下は聞きかじりの知識なのですが、トキソプラズマという寄生虫がいます(単細胞の原生動物)。
ネズミがトキソプラズマに寄生されると脳が冒され、天敵であるネコの尿に警戒感を示さず食べられやすくなるそうです。 
つまり、トキソプラズマに感染したネズミは自身の捕食者であるネコに対して恐怖心を抱かなくなるそうです。 
その結果、トキソプラズマは中間宿主のネズミから終宿主のネコの体内に移行、寄生することができるのです。 
これは寄生虫が宿主の行動を操作・干渉する一例として有名です。 

もしかすると、今回の野ネズミはトキソプラズマに感染して天敵への恐怖心が薄れてしまった個体なのではないかと勝手に妄想しました。
それとも、野ネズミが採食活動の合間にこうして断続的に短時間の居眠りをするのは、ごく普通のことなのでしょうか? 
(野ネズミは超ショートスリーパー?)

※ 動画編集時に自動色調補正を施しています。 


オオチャバネセセリの求愛と交尾拒否【ハイスピード動画】

 



2022年7月上旬・午後16:25頃・くもり 

里山の道端でウツボグサの花で吸蜜するオオチャバネセセリ♀(Zinaida pellucida)を 240-fpsのハイスピード動画で撮っていると、♂との配偶行動が記録できました。 

シーン1: ♀がウツボグサの花から飛び立つと、背後から飛来した♂がすかさず♀を追尾します。 (探雌飛翔)
オオチャバネセセリの羽ばたきがあまりにも速いので、更に1/5倍速のスローモーションでリプレイ。(@0:21〜) 


シーン2:(@0:49〜) 
オオチャバネセセリ♀は隣の株のウツボグサで花蜜を吸っています。 
♂はその少し下のススキの茎に止まりました。 
♂は閉じた翅を小刻みに震わせながら(準備運動・アイドリング?)、右の触角で♀の翅に触れています。 
やがて♂が飛び上がって♀の目の前で少しホバリングしてから、近くのウツボグサの葉に止まり直しました。(アイドリング・ストップ) 
♂に求愛された♀は逃げなかったものの、吸蜜を止めてしまい、ゼンマイ状の口吻をくるくると丸めて収納しました。 

こうしてペアで並ぶとサイズは♀>♂で、翅形にも微妙な性的二型が見られます。 
後翅裏の白斑は♂よりも♀でより発達していました。 
この♂個体が単独で居る時に翅裏の斑紋を見たら、私にはオオチャバネセセリと見抜ける自信がありません。 
(もしも、この♂がオオチャバネセセリではなくて別種ならば、今回の動画は異種間の誤認求愛や繁殖干渉を記録したものになります。)

オオチャバネセセリ♀がしがみついていたウツボグサの唇形花は足元が不安定で、♀は隣接するススキの葉に歩いて移動しました。 
横で待機していた♂は、その動きに反応して飛び立ち、♀の背後で少しホバリングしてから、♀の真下のウツボグサの葉に止まり直しました。 

やがて、♀は翅を閉じたままで小刻みに震わせ、準備運動を始めました。(@2:31〜) 
しばらくすると♂が飛び立ち、♀の近く(主に後方)でホバリングを披露しました。 
このとき♂は♀に対して視覚的にアピールしているだけなのか、それとも性フェロモンを♀に嗅がせているのでしょうか? 

♀の直下のススキの葉に着地した♂は閉じた翅を小刻みに震わせています。 
翅をしっかり閉じたままで飛翔筋のアイドリング・ストップしていた♀がアイドリングを再開しました。 
♂が再び飛び立って、♀にアピールします(@3:55〜)。 
しかし♀は交尾に応じてくれず、脈なしと判断した♂は紳士的に飛び去りました。(@4:03〜) 
その後も♀は閉じた翅を小刻みに震わせています。 
♂のセクハラを上手くやり過ごした♀が訪花行動に戻るまで私は待ちきれず、撮影終了。 

残念ながら交尾には至らなかったものの、オオチャバネセセリの配偶行動は初見です。 
オオチャバネセセリ♀の交尾拒否行動はシロチョウ科のように明瞭ではなく、私にはよくわかりませんでした。 
シロチョウ科♀の交尾拒否で見られるような腹端の持ち上げ行動は見られませんでした。 
♂に求愛されて翅を広げれば受諾で、閉じたままなら交尾拒否なのかな? 


関連記事(1、2年前の撮影)▶ 

2023/06/04

山林の小径を遊動するニホンザルの群れ(首輪装着♀、アルビノ子猿ほか)【トレイルカメラ】

 

2022年11月上旬・午後15:25頃 

山林の斜面をトラバースする小径でタヌキの溜め糞場dを自動撮影カメラで監視していると、ニホンザルMacaca fuscata fuscata)の群れが次々と通りかかりました。 
雑木林の斜面から小径を見下ろす撮影アングルで、谷側にはスギの植林地が見えます。 

小径を遊動するニホンザルの群れは、タヌキの溜め糞に全く興味を示さずに素通りしました。 
谷側のスギ林の斜面を登ってくる個体の姿も生い茂った下草に見え隠れしています。 
ニホンザルの発する様々な鳴き声も聞こえてきます。 

気になる個体としては、小径を歩いて遊動してきた成獣が首輪を装着していました。(♀かな?@0:46〜) 
食欲の秋になるとニホンザルはよく肥えている上に冬毛に生え変わっているため、黒い首輪が見えにくくなります。 
テレメトリー調査の電波発信器またはGPSが首輪に入っているのでしょう。 
それに続いて幼い白猿(アルビノ?)が走って追いかけてきました。(@0:48〜) 
好奇心旺盛な純白の子猿は立ち止まって、丸太の切り口の匂いを頻りに嗅いでいます。 
更に別個体の子ザル2頭(通常の体色)も後からやって来ると、アルビノ子猿と仲良く一緒に遊んでから右に走り去りました。 
アルビノという理由で仲間外れにしたり、いじめたりすることはありませんでした。 


最近見かけたアルビノと同一個体なのかな?
前回アルビノと一緒に居た母親♀は首輪を装着していませんでした。

※ 動画編集時に自動色調補正を施しています。 
猿の鳴き声が聞き取れるように、一部の音声を正規化して音量を強制的に上げています。 

食後に種子を吐き出すジョウビタキ♀(野鳥)

 

2022年11月上旬・午前10:50頃・くもり 

山麓の入山口でジョウビタキ♀(Phoenicurus auroreus)が道端の藪から飛び上がって近くの電線に止まりました。 
どうやら私が近づくまで地上で採食していたようです。(メニューは不明) 
電線に止まり、いつものように尾羽根を細かく振っています。 

大きく開いた嘴から小さな種子が飛び出したので、見ていた私は吃驚しました。 
このときチッ♪と小声で鳴きました。 
しばらくすると再び種子を連続で吐き出したので、意図的な排出行動と分かりました。 
2回目以降は鳴き声が聞き取れませんでした。(鳴かずに吐き出し) 
1/5倍速のスローモーションでリプレイ。(@0:48〜) 
種子を吐き出す際に嘴を開くと、赤い舌が見えました。 

鳥類には歯が無いので餌を何でも丸呑みにし、砂嚢ですり潰してから胃で消化します。 
一部の鳥は消化できない物をペリットの塊としてまとめて口から吐き出します。
 
関連記事(9、10年前の撮影)▶ 

ジョウビタキが食後に種子を1粒ずつ吐き出すのは初めて見ました。
ネット検索すると同じ事例が多数ヒットするので、ジョウビタキではよく知られた行動のようです。 
吐き出したのが何という植物の種子か分かりませんが、この行動も一種の種子散布と言えるでしょう。
種子を吐き出すのなら、ジョウビタキ♀は一体何を目当てに採餌していたのか気になります。 
(果肉を食べていたのかな?)

最後にジョウビタキ♀は電線上で方向転換してから飛び降りました。 

※ 動画編集時に逆光を補正しました。 
冒頭の吐き出しシーンだけ、鳴き声が聞き取れるように音声を正規化しました。

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