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2025/11/28

ナガボノシロワレモコウの花粉を舐めに来たホソヒラタアブ♀とツマグロキンバエの小競り合い【FHD動画&ハイスピード動画】

 

2024年9月上旬・午後14:40頃・晴れ 

平地の湿地帯の端に咲いたナガボノシロワレモコウの群落でホソヒラタアブ♀(Episyrphus balteatus)が訪花していました。 
この組み合わせは初見です。 
左右の複眼が中央(頭頂)で接していないので、♀と分かります。 

翅を半開きにしたまま口吻を伸縮させて雄しべの葯を舐めています。 
ナガボノシロワレモコウの蜜腺はもっと奥にあるはずなので、ホソヒラタアブ♀は吸蜜している訳ではないようです。 
花穂から飛び立っても少し離れた空中でちょっとホバリング(停空飛翔)しただけで、すぐに元の花穂に着陸して食事を再開しました。 

ホソヒラタアブ♀の停飛を240-fpsのハイスピード動画でも撮ってみました。(@1:18〜) 
なぜかナガボノシロワレモコウの花穂にチョンチョンと脚先で触れるだけで、なかなかしっかり着地しようとしません。 
花穂が風で揺れて着陸しにくい訳でもなく、無風でした。
足先の感覚器で花の味見をしているのかな? 

よく見ると、この花序には先客のツマグロキンバエStomorhina obsoleta)が訪花していました。 
ナガボノシロワレモコウの花穂は長いので、同じ花穂でも少し離れた位置に留まれば2匹とも平和に摂食できると思うのですけど、ライバルの訪花昆虫を蜜源植物から追い払おうとする占有行動なのでしょうか? 
ホソヒラタアブ♀の度重なる挑発に苛立ったのか、ついにツマグロキンバエがホソヒラタアブに突進して追い払いました。 
しばらく撮り続けても、飛び去ったホソヒラタアブは戻って来ませんでした。 
体長では劣るのに、ツマグロキンバエはホソヒラタアブよりも蜜源植物を巡る争い(占有行動)に勝ったことになり、興味深い事件でした。 
小競り合いしている暇があったら、隣に咲いたナガボノシロワレモコウの花穂にさっさと移動すれば良いのに…と思ってしまいます。

ホソヒラタアブ♀は一体なぜ自分から挑発しておいて、ツマグロキンバエを恐れたのでしょうか? 
ツマグロキンバエはアブに寄生するハエではありません。 
ハエやアブを専門に狩る天敵の狩蜂に誤認したのなら、挑発しないで逃げるべきでしょう。 
ツマグロキンバエについて調べてみると、幼虫の生態についてはほとんど解明されていないらしく、好蟻性が疑われているそうです。 



実はこの後、スズバチもナガボノシロワレモコウに訪花していたのですけど、撮り損ねてしまいました。 


2025/11/16

巣材の泥玉を作る砂利道で争うスズバチ♀の謎

 

2024年8月下旬・午後15:20頃・晴れ 

川に近い住宅地の外れにある、水田と墓地に挟まれた細い砂利道で、2匹のスズバチOreumenes decoratus)が小競り合いを繰り広げていました。 
低空で飛び回り、ときどきぶつかって肉弾戦を挑んでいます。 
しばらくすると、2匹のスズバチは横に並んで着地すると、地面を掘って巣材の泥玉を作り始めました。 
予め飲んできた水を吐き戻しながら乾いた堅い地面の土を大顎で掘り、泥団子に丸めていくのです。 
フィールドで出会うスズバチの性別を見た目で区別するのは難しいのですが、巣材集めを始めたことから、2匹とも♀と判明しました。 
つまり、♂が♀に交尾を挑む求愛行動ではありませんでした。

なるべく粒子が細かい土質が巣材に適しているようで、あちこち場所を変えながら試掘しています。 
地面から飛び立ったスズバチが接近すると、再び空中戦が勃発しました。 
小競り合いが収まると、今度はだいぶ離れた位置で巣材集めを再開。 

やがてスズバチ♀は、完成した泥玉を抱えて飛び立ちました。 
残念ながら今回もスズバチ♀の営巣地を突き止められませんでした。 
砂利道から飛び去った蜂を流し撮りしても、すぐに見失ってしまいます。 
近くに立っているスギの木へ飛んでいった気がします。 
今思えば、横の墓地に並ぶ墓石にスズバチが作りかけた泥巣があるかどうか、調べればよかったですね。 

スズバチ♀同士の小競り合いを1/5倍速のスローモーションでリプレイ。(@1:37〜) 


【考察】 
スズバチ同士の小競り合い(種内闘争)を撮影できたのは、これで2回目です。 
証拠動画を撮るのが難しいだけで、目撃しただけなら何度もあります。

関連記事(16年前の撮影)▶ スズバチの喧嘩 

同じドロバチの仲間でも、エントツドロバチ♀は採土場を仲良く共有できるのに、単独性のスズバチ♀はなぜか非寛容です。
亜社会性のエントツドロバチは、採土場で集合フェロモンを放出しているのか?と疑ったぐらいです。


巣材となる土は無尽蔵にありますから(※)、スズバチ♀が採土場をわざわざ占有する行動にメリットはないはずです。 
しかも同所性のスズバチは、元々血縁関係のある姉妹である可能性が高いはずです。 
もしかして、同種の♀が作った泥玉を強奪する労働寄生があるのでしょうか? 
しかし、スズバチが同種内で労働寄生する事例は報告されていないそうです。 

Perplexity AIに質問してみたところ、以下の回答を得ました。

砂利道でスズバチ2匹の雌が巣材(泥団子)をめぐって小競り合いしていた場合、次のような可能性が考えられます。

巣材の資源防衛・強奪行動の可能性

  • ドロバチ類は泥団子などの巣材を使って巣を作りますが、巣材自体が「限定資源」となる場面は局所的・一時的にだけ見られることもあります。sharing-tech

  • しかし、広く泥や水分が得られる状況では、巣材資源の強い占有や防衛行動は通常あまり観察されません。hachi-kujyo+1

  • 一方、個体によっては巣材を失敬(横取り)する、あるいはすでに作った泥団子を持ち去るといった行動が、極めて稀に観察されることもあり得ますが、これが定常的な「労働寄生」として成立しているという生態学的な報告はドロバチ類・スズバチではみられません。sharing-tech+1

小競り合いの直接的な要因

  • 2個体が泥団子製作・運搬中に至近距離で遭遇した場合、お互いのスペース確保や接触回避、あるいは巣材・巣作りの作業場の「一時的な所有権主張」として小競り合いが発生することがあります。hachi-kujyo+1

  • これは「資源防衛」とまではいかず、むしろ偶発的・局所的な接触による攻撃・排除行動であり、自然界では他の単独性ハチ類にも時折見られます。sharing-tech

巣材強奪=労働寄生?

  • スズバチの成巣や巣材調達の過程で、他個体の産み出した泥団子を本格的に奪って利用する、またはそれが系統的な「種内労働寄生」として認められる現象は、専門文献でも報告されていません。hachi-kujyo+1

  • 観察された争いも、資源強奪型の労働寄生ではなく、たまたま同時に同じ場所で巣材を扱っていた際の短期的な競合や排除行動とみなされます。sharing-tech+1

したがって、「巣材の資源が豊富なのに小競り合いが発生した」のは、局所的な行動圏の重複や一時的なスペース争いが主要因であり、スズバチ種内で「泥団子の労働寄生が生態学的に確立している」という証拠は現在のところありません。稀に一過性の泥団子の強奪が起きることも考えられますが、これはあくまで例外的な偶発行動といえます。hachi-kujyo+1


※【追記】

スズバチの生息環境には巣材の土が無尽蔵にあるという私の認識がそもそも間違っているのかもしれません。

スズバチ♀が作り始めた泥巣から遠くない所で、巣材に適した土が得られる採土地点は意外に限られている可能性があります。

だとすれば、採土場で他の個体が貴重な巣材資源を集めていたら気が気ではなくて、できれば追い払いたくなるのも納得です。

2025/11/14

取っ組み合いや追いかけっこをして遊ぶニホンアナグマの母子【トレイルカメラ】

 



2024年8月下旬 

シーン1:8/23・午前11:40・晴れ・気温33℃(@0:00〜) 
昼前に二次林の営巣地(セット)で2頭のニホンアナグマMeles anakuma)が取っ組み合いをして遊んでいます。 
その2頭とは、毛皮が焦げ茶色の母親♀とクリーム色の当歳仔の幼獣でした。 
離乳してだいぶ経つので、母親♀の乳房は小さくなり、見えにくくなっています。 

楽しそうな騒ぎを聞きつけて、別個体の幼獣bが巣穴Lから外に出てきました。 
格闘遊びの流れで幼獣aは巣穴Rに潜り込みました。 
幼獣bも母親♀を遊びに誘い、一緒に左へ走り去りました。 


シーン2:8/23・午前11:40・晴れ・気温32℃(@1:00〜) 
別アングルの監視カメラでも撮れていました。 
一緒に遊んでいた幼獣が巣穴Lに籠城したので、母親♀が巣口Rに戻ると、別個体の幼獣が突っかかってきました。 
独り取り残された幼獣は、つまらなそうに巣口Lを前脚の爪で引っ掻いています。


シーン3:8/23・午前11:41・晴れ・気温34℃(@2:00〜) 
母親♀に幼獣がはしゃいで飛びかかりました。 
これは遊びに誘うための挑発です。 
誘いに乗って母親♀が右に駆け出すと、幼獣が追いかけ、今度は追いかけっこ遊びが勃発しました。 

別個体の幼獣が巣穴Lから顔を出しましたが、塹壕のように奥に引っ込みました。 

しばらくすると、母子がくんずほぐれつの格闘遊びを繰り広げながらセットに戻ってきました。 
走り回ってから、株立ちミズキを挟んで母子が対峙。 
木登り遊びにもなっています。


シーン4:8/23・午前11:42・晴れ(@3:00〜) 
母子のレスリングごっこが未だ続いています。 
途中で短い鳴き声が聞こえました。 

別個体の幼獣が参戦したそうに巣穴Lから外にノコノコ出てきました。 
合流して三つ巴の格闘遊びが始まるかと思いきや、巣穴Lから来た幼獣はおとなしく巣穴Rに入ってしまいました。 
最後にまた巣穴Rから外に出てきたところで、録画が終わりました。


 【考察】 
アナグマはとても子煩悩で、母親♀が子供と一緒によく遊んでやります。 
前回、母子で格闘遊びをしたのは夜でしたが、今回は明るい昼間に開催されました。 



ところで、このアナグマ家族には幼獣がもう1頭いるはずなのに、一体どこに居るのでしょう? 
幼獣は2頭しか姿が見えず、1頭が行方不明です。 
無事だとよいのですけど、巣穴の奥で寝ているのかな? 
これから幼獣は1匹ずつ子別れ・独立するのでしょうか。


※ 鳴き声が聞き取れるように、動画編集時に音声を正規化して音量を強制的に上げています。 


2025/10/20

ニホンアナグマ母子家族(幼獣3頭)の暮らし:7月下旬〜8月上旬【トレイルカメラ:暗視映像】

 



2024年7月下旬〜8月上旬 

平地の二次林でニホンアナグマ♀♂(Meles anakuma)の営巣地(セット)を2台のトレイルカメラで見張っています。 
 この時期に撮れた、母親♀と当歳仔(幼獣)3頭の暮らしぶりをまとめました。 

特筆すべき行動は個別の記事で紹介済みなので、今回の動画はその残り物になります。 


シーン0:7/22(@0:00〜) 
シーン1:7/23(@0:07〜) 
シーン2:7/27(@1:40〜) 
シーン3:7/28(@3:20〜) 
シーン4:7/30(@9:46〜) 
シーン5:8/2(@15:45〜) 
シーン6:8/3(@20:27〜) 


※ 動画の一部は編集時に自動色調補正を施しています。 


明るい昼間に見る体色(毛皮の色)は基本的に、母親♀が焦げ茶色で、幼獣は薄いクリーム色です。 
幼獣は成長とともに少しずつ換毛しているのか、茶色が少しずつ濃くなってきました。 
泥で汚れた幼獣個体は、成獣と間違いそうになります。 

離乳してだいぶ経つので、母親の乳房があまり目立たなくなってきたような気がします。 
夜の暗視映像で見ると、赤外線を反射する左右の目の大きさが母親♀だけ違う(右目<左目)ことで見分けられます。 

相変わらず幼獣は昼も夜も遊びに明け暮れています。 
取っ組み合いや追いかけっこをして遊んでいます。 
幼獣同士で遊ぶだけでは飽き足らず、母親♀に突っかかって行って挑発し、遊びに誘うことが増えました。 


2025/10/17

ニホンアナグマの母親♀が巣穴のメンテナンス工事する間に、幼獣3頭が遊ぶ【トレイルカメラ:暗視映像】

 



2024年7月下旬〜8月上旬

シーン0:7/22・午後13:13・晴れ(@0:00〜) 
シーン0:7/22・午後13:53・晴れ(@0:04〜) 
明るい日中にたまたま撮れた現場の状況です。 
 平地の二次林でニホンアナグマMeles anakuma)の母子が暮らす営巣地(セット)を2台の自動センサーカメラで見張っています。


シーン1:7/23・午後16:29・気温30℃(@0:07〜) 
腹面に乳首が見える母親♀が、夕方に巣口Lの拡張工事を始めました。 
しばらくすると左から1頭の幼獣が来て、巣穴L内で穴掘り作業中の♀に背後から近づいたところで1分間の録画終了。 


シーン2:7/23・午後16:30・気温31℃(@1:07〜) 
別アングルの監視映像でも写っていました。 
3頭の幼獣が続々と巣穴Rから外に出てきて、母親♀が穴掘り作業している巣口Lへ移動しています。 


シーン3:8/3・午前3:56(@2:07〜) 
11日後の深夜未明に、アナグマの母親♀(右目<左目)が今度は巣穴Rの拡張工事を始めました。 
巣穴Rから後ろ向きに出ながら、前脚で土砂を外に掻き出しています。 

その間、2頭の幼獣は格闘遊びを繰り広げています。 
巣穴Lで何かしていたもう1頭の幼獣が、急に外に出てきてそのまま林内へ突進しました。 
幼獣が一丁前に縄張りへの侵入者を追い払ったのかと思ったのですが、吠えたり鳴いたりする声は聞き取れませんでした。 
おそらく独り遊びの追いかけっこだったのでしょう。 


【考察】 
最近ヘルパー♂と営巣地で合流したので、重労働の穴掘りはヘルパー♂に任せるかと思いきや、母親♀は相変わらず自分で巣穴の拡張工事(メンテナンス)を行いました。 
そもそもヘルパー♂とは一時的に再会しただけのようで、その後ヘルパー♂とはまったく同居していません。 


関連記事()▶  


2025/10/14

ニホンアナグマ幼獣同士の格闘遊びに母親♀も参戦【トレイルカメラ:暗視映像】

 



2024年7月下旬 

シーン0:7/22・午後13:13・晴れ(@0:00〜) 
シーン0:7/22・午後13:53・晴れ(@0:04〜) 
明るい昼間にたまたま撮れた現場の状況です。 
平地の二次林でニホンアナグマMeles anakuma)の母子が暮らす営巣地(セット)を自動撮影カメラで見張っています。 


シーン1:7/30・午後18:26・気温27℃(@0:07〜)日の入り時刻は午後18:53。
日没前の薄暗い営巣地で、左下の巣口Rから母親♀(右目<左目)が登場しました。(@0:38〜) 
1頭の幼獣が母親♀にまとわりつき挑発すると、珍しく母親♀が幼獣につきあってやり、レスリングのような格闘遊びを始めました。
別個体の幼獣も参戦して、三つ巴の取っ組み合いになりました。 


シーン2:7/30・午後18:27(1:07〜) 
別アングルに設置した監視カメラでも撮れていました。 


シーン3:7/30・午後18:28(1:31〜)
 もうかなり暗いのに、フルカラーで録画されたので、自動色調補正しました。 
画質がひどく粗いですが、何が起きているのかは辛うじて分かるようになりました。 

母親♀が獣道で自分の毛繕いをしています。 
幼獣2頭が巣口L付近で格闘遊びをしていると、途中から別の幼獣も左から参戦しました。 
1頭の幼獣が母親♀を挑発しました。 
初め母親♀はなだめるように対他毛繕いしていましたが、幼獣があまりにもしつこいので遂に反撃したようです。 


シーン4:7/30・午後18:30(2:31〜)
母親♀は幼獣を相手に手加減してやっているのか、体格差があるのにレスリングでは互角の勝負に見えます。 
途中から他の幼獣たちも格闘遊びに参戦して、幼獣同士の三つ巴争いになりました。 
レスリングから解放された母親♀は仰向けになって自分の毛繕いをしています。 


シーン5:7/30・午後18:31(3:31〜) 
アナグマ母子は2組に別れて格闘遊びを続けています。 
ときどき軽く吠えるような鳴き声がかすかに聞こえます。 
途中で母親♀が離脱し、独りで左へ向かいました。 その背後から幼獣が駆け寄って飛びつき、格闘遊びが再開。 


シーン6:7/30・午後18:31(4:31〜) 
別アングルの監視映像に切り替えます。 
途中で格闘遊びから離脱した母親が独りで右へ向かい、巣口Rを見下ろしていると、その背後から幼獣が駆け寄って飛びつき、格闘遊びが再び勃発しました。 
ヒグラシ♂♪が鳴いています。 


シーン7:7/30・午後18:32(5:31〜) 
ようやく赤外線の暗視映像に切り替わり、きれいに録画されていました。 


シーン8:7/30・午後18:32(6:31〜) 
監視カメラが次に起動したときには、またもや暗過ぎるフルカラー映像に戻っていました。 
薄明薄暮で周囲の環境の照度が赤外線LEDを点灯するかどうかのちょうど閾値だと、このように暗視映像と交互に切り替わってしまうのです。 
私としては赤外線の暗視モードに早く切り替わってほしいのですが、トレイルカメラの仕様なので仕方がありません。 

2組に分かれて2つの巣口L、Rで格闘遊びが繰り広げられています。


シーン9:7/30・午後18:35(7:31〜)
幼獣2頭が格闘遊びをしながら、巣穴Rに出入りしています。 


シーン10:7/30・午後18:37(8:31〜) 
林縁で母子が格闘遊びをしたり、木登りに挑戦したりしています。
別の1組も出巣Rして格闘遊びを再開しました。 


シーン11:7/30・午後18:38(9:31〜) 
今度は母子が格闘遊びしながら巣穴Rに入りました。 
中で一休みしているのでしょうか。 


シーン12:7/30・午後18:39(10:31〜) 
別アングルの映像に切り替えます。 
格闘遊びだけでなく、ときどき追いかけっこしながら営巣地を元気に走り回っています。 


シーン13:7/30・午後18:39(11:11〜)
別アングルの映像に切り替えます。 


シーン14:7/30・午後18:51(11:55〜)
途中から母親♀と幼獣1頭が左へ立ち去りました。 
しばらくして左から戻ってきても、幼獣が母親♀を頻りに挑発し、つきまとっています。 

残った幼獣2頭はミズキの木の下でひたすら格闘遊びを繰り広げています。 


シーン15:7/30・午後18:51(12:55〜)
別アングルの映像に切り替えます。 
母親♀が獣道で立ち止まり、自分の体を掻いてからゴロンと横転しました。 
近くに居た幼獣を寝技の格闘遊びに誘い込み、幼獣を抑え込みました。 
手加減した甘噛みだと思いますが、幼獣の鼻面に噛み付いています。 
音量を上げると、ときどき幼獣の唸り声や悲鳴?が聞こえます。 
もしかして、母子の格闘遊びが子別れ行動にエスカレートするのでしょうか? 


シーン16:7/30・午後18:52(13:55〜)
獣道で母子の取っ組み合いが続いています。 
やがて幼獣が左に逃げ出しました。 
再び対峙すると、幼獣が母親♀に繰り返し突っかかります。 
母親♀も反撃し、取っ組み合ったまま巣口Lに転がり落ちました。


シーン17:7/30・午後18:53(14:54〜)
巣口Lで母子の格闘遊びが続いています。 
途中から、画面の左下で別の幼獣同士の取っ組み合いも写りました。 


シーン18:7/30・午後18:53(15:55〜) 
別アングルの映像に切り替えます。 
営巣地で2組に別れて取っ組み合いが続いています。 

途中からもう1台の監視カメラが反応して赤外線LEDが点灯し、いっそう明るく暗視動画が撮れるようになりました。


シーン19:7/30・午後18:55(16:54〜)
3頭の幼獣たちが取っ組み合いをしながら巣口Lに転がり落ち、母親♀の遊び相手が居なくなりました。 
やがて出巣Lした幼獣が母親♀に飛びかかり、格闘遊びが再開。 


シーン20:7/30・午後18:56(17:55〜)
巣外で4頭が乱闘しているときに、母親♀の対戦相手が別個体の幼獣へと自然に交代しました。 
母親♀は特定の幼獣とだけ遊んでやっているのではないことが分かりました。


シーン21:7/30・午後18:57(18:55〜)
疲れ知らずのアナグマは、2組で組んず解れつ格闘遊びを繰り広げています。 


シーン22:7/30・午後18:59(19:55〜) 
母親♀の他に、なぜか幼獣が2頭しか写っていません。 
アナグマの母子家族はようやく遊び疲れたのか、落ち着きを取り戻しました。
1頭の幼獣が手前へ走り去りました。 
(おそらく先に消えた兄弟姉妹と追いかけっこが始まったのでしょう。) 

巣口Rに座り込んだ母親♀に、最後まで残った幼獣が飛びかかり、格闘遊びに誘います。 
しかし母親♀は疲れたのかあまり乗り気ではなく、小走りで手前に立ち去りました。 
セットに取り残された幼獣個体も、しぶしぶ追いかけ、全員が居なくなりました。 


シーン23:7/30・午後18:59(20:55〜) 
別アングルの映像でも営巣地から獣道を通って立ち去るアナグマ家族の姿が撮れていました。 
30分以上も遊び続けて空腹になり、採餌に出かけたのか、あるいは水を飲みに行ったのかもしれません。 


※ 動画の一部は編集時に自動色調補正を施しています。 
※ 鳴き声が聞き取れるように、音声を正規化して音量を強制的に上げています。 


【考察】 
ニホンアナグマの母親♀が幼獣と一緒に格闘遊び(取っ組み合い)や追いかけっこ遊び(鬼ごっこ)に参加するのは珍しいです。 (初見かも)
それまでは幼獣同士が2対2で取っ組み合いをしていたので、母親はその様子を見守るだけで済んでいました。 
4頭(偶数)だった幼獣が最近1頭減って(死亡?)3頭(奇数)になったので、1対1の格闘遊びをするには対戦相手が足りなくなり、母親♀も誘われるようになったのかもしれません。 


幼獣と一緒に真剣になって遊びの相手をしてやるアナグマの母親はとても子煩悩ですね。
幼獣相手の格闘遊びは一応、手加減しているようですが、ときどき鼻面に噛み付いたり背後から羽交い締めしたりしています。
もしかして、母子の格闘遊びが子別れ行動にエスカレートするのでしょうか? 
しかし後日になると通常通り、母親♀は幼獣の挑発(遊びへの誘い)を受け流すようになります(映像公開予定)。 


鳴きながら飛び去るサシバ(野鳥)

 

2024年7月中旬・午後14:15頃・くもり 

里山を下山中にキンミー♪という甲高い鳴き声が聞こえました。 
この特徴的な鳴き方をするのは、猛禽類のサシバButastur indicus)です。 
山麓の入山口まで降りてきて辺りが開けると、山林の上空を飛び去るサシバの姿を見ることができました。 

羽ばたきと滑翔を交互に繰り返しながらどんどん遠ざかり、キンミー♪という鳴き声も小さくなりました。 
今までの経験上、空を背景にした被写体にズームインすると、カメラのAFが被写体を見失いそうなので、引きの絵で撮りました。 

鳴き声で状況を判断すると、どうやらそれまでサシバはカラスにモビング(擬攻撃)を受けていたようです。 
すでにモビングの決着が着いたようで、逃げるサシバを追いかけるカラスの姿はなく、カラスの鳴き声が聞こえるだけでした。 
嗄れ声で鳴いたのでてっきりハシボソガラスCorvus corone)だろうと思ったのですが、警戒や威嚇の状況ではハシブトガラスCorvus macrorhynchos)も嗄れ声で鳴くことがあるそうです。 
平地ではなく山林の麓という現場の状況からすると、ハシブトガラスの可能性が高そうです。 

Perplexity AIに相談した回答がこちら。 

ハシブトガラスは普段「カーカー」と澄んだ声で鳴くとされますが、警戒時や威嚇時には嗄れた、濁った声に近い音を出すこともあるようです。具体的には、ハシブトガラスは通常の澄んだ声の他に、濁った声や少し嗄れた声で鳴くことがあり、とくに威嚇やモビングの際にはそのような声の変化が見られることがあります。一方、ハシボソガラスは基本的に濁ったしわがれ声で鳴くのが特徴です。

したがって、ハシブトガラスが天敵の猛禽類に対してモビングするような警戒時に、嗄れ声に近い鳴き声を出すことはあり得ます。この嗄れ声はハシボソガラスの声とは異なる性質で、濁った「あー?」のような濁音を含むが、声質はハシボソとは違う傾向です。

まとめると、

  • ハシブトガラスは普段澄んだ声で鳴く。

  • 警戒時や威嚇時には濁ったり嗄れたような声を出すことがある。

  • これはハシボソガラスの濁ったしわがれ声とは異なる。

  • モビング時などの警戒声でも嗄れ声に近い発声が見られる可能性がある。

以上のことから、ハシブトガラスが天敵へのモビング時に嗄れ声で鳴くことはありますが、普段より濁った声になる程度であり、基本的な声質はハシボソガラスと違うと理解されます.detail.chiebukuro.yahoo+4


モビングや警戒の状況下でも、ハシブトガラスとハシボソガラスの鳴き声の違いは聞き分けることが可能です。ただし、ハシブトガラスは通常澄んだ声で鳴きますが、警戒時や威嚇時に濁ったり嗄れた声を出すこともあり、その際はハシボソガラスと声が似ることがあります。そのため聞き慣れていないと鳴き声だけでは判別が難しい場合もあります。

聴き分けるコツとしては、ハシブトガラスの声は声量が大きく、音程変化やビブラート、濁音も出せる多彩さがあります。一方ハシボソガラスは基本的に濁ったしわがれ声で、鳴き方の特徴も異なります。羽の動きや鳴く時の姿勢(ハシボソは頭を上下に動かす、ハシブトは尾を内側に動かすなど)をセットで観察すると確実です。

したがって、モビングのような緊張状態でも、鳴き声をよく聴き分ければハシブトガラスかハシボソガラスかを判別できますが、単に声だけで判別するのはやや難しく、鳴き声の変化も含めて個体差や状況での声の変化を理解しておく必要があります.carasblog+2


私はまだ鳴き声だけからカラスの種類を判別できないのですが、今回サシバを追い払ったカラスはハシブトガラスですかね?

この里山でサシバの営巣木を長年探しているのですけど、なかなか見つけることができません。


【追記】
サシバの鳴き声にはバリエーションが乏しくて意図や感情を読み取れないと私は思っていたのですが、Perplexityの見解は違いました。

サシバ(Butastur indicus)の鳴き声には明確なバリエーションがあり、発声の内容や調子が状況や感情に応じて変化することが研究や観察から知られています。news.yahoo+2youtube

鳴き声の基本と代表的な型

サシバの代表的な鳴き声は、「ピックイー」または「キンミー」と聞き取られる透き通った声で、繁殖期(春から夏)には特に活発に発せられます。この声は縄張り宣言や配偶者への呼びかけに用いられると考えられています。global+1

バリエーションの内容

観察記録では、以下のような鳴き声の変化が確認されています。youtubetcp-ip+2

  • 通常の鳴き声:「ピックイー」と長めで澄んだ声。主に飛翔中や見晴らしのよい高所で発する。

  • 興奮声・警戒声:「ピックピックピッ」など短く連続する声。敵の接近や驚きへの反応とされる。

  • 親密(求愛)行動時の声:短音で控えめな鳴き声を伴い、相手にすり寄る行動と結びつくケースが奄美大島で確認された。nikkei+1

  • 地域差・個体差:聞きなしの印象には地域や個人差もあり、「ピックイー」より「キンミー」に聞こえると報告する例もある。tcp-ip

鳴き声の機能的意義

近年の研究では、サシバの鳴き声が単なる縄張り防衛だけでなく、他個体との社会的なコミュニケーション(たとえば親愛行動や協調行動)にも用いられている可能性が示唆されています。youtubenikkei

このように、サシバは状況に応じて複数の声質を使い分ける「音声レパートリー」を持つ猛禽類であり、鳴き声の調査は彼らの社会行動理解に重要な手がかりとなっています。

今回は状況からカラスに対する警戒声(alarm call)や遭難声(distress call)だと私は思ったのですけど、そうではなく、さえずりのような縄張り宣言だったようです。
「ピックイー」または「キンミー」と聞き取られる透き通った声で鳴くのは主に♂ですが、♀もそのように鳴くことがあるそうです。

7月中旬に山形県の山林上空で観察されたサシバは、まさに繁殖期の最終段階に相当します。サシバの日本での繁殖期は地域によって若干異なりますが、山形を含む東北地方では5月中旬から7月中旬が繁殖期とされ、6月下旬から7月上旬に雛が巣立つケースが多いことが報告されています。[1][2][3][4]

この時期、親鳥は巣立った幼鳥に給餌をしたり、雛の独立に向けて世話を続けているため、山林上空で観察される個体は営巣から巣外育雛期(巣立ち直後の幼鳥を含む)に該当します。つまり、7月中旬でもまだ繁殖活動の一環として観察されるのが一般的です。[3][5][4][1]

したがって、山形県の山林上空で7月中旬に見られたサシバは、繁殖期に該当する行動をとっている可能性が高いです。[2][5][4][1][3]

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2025/10/11

マミガサキアザミの花で採餌するハナバチの一種がキマダラセセリに体当たり(占有行動?)

 

2024年7月中旬・午前11:30頃・くもり 

里山の山腹をトラバースする山道の横(林縁)に疎らに咲いたマミガサキアザミでハナバチの一種が訪花していました。 
吸蜜するハナバチをよく見ると、後脚の花粉籠に黄色い花粉団子を付けています。 
花から飛び立つと、蜂の羽音がかすかに聞こえます。
 
私はこのハナバチの名前が分からなかったので、ご存知の方がいらっしゃいましたら教えてください。
おおまかな分類(〜科など)でも知りたいのです。
私のフィールド(@山形県)では結構よく見られるハナバチです。

興味深いのは、次の行動です。 
隣の花で吸蜜していたキバネセセリBibasis aqulina chrysaeglia)に体当たりして追い払ったのです。 
高速で羽ばたく蜂の翅がチョウの翅に触れたようで、蜂の羽音が変わりました。
偶然の衝突事故かもしれませんが、蜜源植物を守る占有行動なのかな? 
直後にそのハナバチは慌てて逃げてしまいました(飛び去った)。 
その一方で、下に落ちるように逃げたキバネセセリが再び舞い上がって、元の花に戻ってきました。 
つまり、今回ハナバチは蜜源植物の占有(ライバルの排除)に失敗しました。 

キバネセセリは吸蜜に夢中で、カメラを近づけて接写してもなかなか逃げませんでした。 
最後に飛び去ったのは、私がうっかりマミガサキアザミの葉に触れて揺らしてしまったからです。 


※ 蜂の羽音が聞き取れるように、動画編集時に音声を正規化して音量を強制的に上げています。 


【考察】 
ハナバチの蜜源占有行動について、Perplexity AIに相談してみました。 
以下はその回答です。

ハナバチが他の昆虫(例:チョウ)に体当たりして花から追い払う行動は、偶発的な衝突だけでなく、実際に蜜源植物や採餌資源を守る「占有行動」や「排除行動」として観察されることがあります。

ハナバチによる訪花虫の排除行動

  • 多くのハナバチ(特に大型のミツバチ、マルハナバチ、単独性ハナバチ)は、給餌・繁殖資源である花が限られている場合、近づく他の花訪者(チョウ、ハエ、別種あるいは同種のハチ)に対して「アタック」や「体当たり」、威嚇飛翔、時に追い払いを行うことがある。

  • こうした行動は「餌場の占有(resource guarding)」または「テリトリアル(territoriality)」と呼ばれ、特に蜜源が限られる状況や豊富な蜜・花粉を持つ花で顕著に見られる。

  • チョウ以外にも、ハナアブや他の花訪問性昆虫に対してしばしば見られる。

偶発的な衝突との区別

  • 偶然の衝突事故も、蜜源の上で訪花昆虫が多い場合や、花での動きが重なると時折発生する。

  • しかし、特定のハナバチが意図的に直線的に飛んで相手にぶつかり、相手が花から離れた場合は「攻撃的な排除行動」の可能性が高い。

  • 一節には、マルハナバチ属では蜜源の縄張りを主張するため、積極的に他個体を威嚇または追い払い、同じハチ同士でも激しい排除が観察される。

まとめ

ハナバチが他の昆虫を花から追い払う行動は、「蜜源防衛(占有)行動」として複数の研究で記録されています。観察した現象が意図的に思われた場合、偶発的な事故ではなく、資源の独占のための進化的に適応した行動と考えて問題ありません。


参考文献・補足

より詳細な行動や具体的な種例が知りたい場合、英語では"bee territoriality at flowers"や"bee aggressive displacement behavior"などが文献検索キーワードとなります。

  • : 複数のハチ種で花上の他昆虫への攻撃的排除行動が報告されている専門文献

  • : マルハナバチの“餌の独占行動・追い払い”観察例

  • : 訪花生物間の資源競争、蜜源独占行動を扱った研究レビュー


観察された「ハナバチがセセリチョウに体当たりしたが、ハナバチ自身が逃げてしまい、結局セセリチョウが同じ花に戻った」という事例は、蜜源の占有(競争)行動や排除行動が必ずしも成功するとは限らないこと、そして花上での種間相互作用が一方的でないことを示しています。knowledge.carolina

占有・排除行動の「失敗」もある

  • ハナバチが他の昆虫(例えばチョウ)に対して追い払いや体当たりを試みても、相手があまり驚かなかった場合や、逆にハナバチ自身が脅威を感じて離脱することは珍しくありません。knowledge.carolina

  • 特に、相手(この場合セセリチョウ)が比較的動じずに花に留まった、あるいはハナバチが意外な反応を示して逃げる、といった現象は、「競争的排除が必ず成立するわけではない」「個体の性格や状況によるバリエーションがある」ことを反映しています。plantsciencejournal+1

花上での昆虫間関係の多様性

  • 花上の昆虫間でみられる占有・競争行動は、状況や個体の強さ・行動特性により結果が異なり、排除が失敗する場合も実際に観察されています。plantsciencejournal+1

  • セセリチョウの多くは花の上で動じずにとどまりやすく、ハナバチもサイズや性格によっては「威嚇してみたが自分が驚いて退く」ことが起こり得ます。knowledge.carolina

まとめ

蜜源をめぐる占有・排除行動は多くの訪花昆虫で見られますが、必ずしも「排除に成功する」とは限らず、失敗例や挙動にバリエーションがあることは生態的に自然な現象です。今回のケースも、実際のフィールド観察例として重要な「行動の幅」の一端です。plantsciencejournal+1

 

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2025/10/05

ニホンアナグマ母子家族(幼獣3頭)の暮らし:7月中旬〜下旬【トレイルカメラ:暗視映像】

 



2024年7月中旬〜下旬 

ニホンアナグマMeles anakuma)の営巣地(セット)がある平地の二次林を2台のトレイルカメラで見張っています。 
 この時期に撮れた、母親♀と当歳仔(幼獣)3頭の暮らしぶりをまとめてみました。 


シーン1:7/15(@0:00〜) 
初めは幼獣が2頭しか登場しなかったので、また更に1頭減ったのかと心配したのですが、やがて残りの幼獣1頭が外出から無事に帰巣しました。(@2:45〜) 
ひたすら格闘遊びを続ける2頭の兄弟姉妹に合流したので一安心。 


シーン2:7/16(@16:31〜) 
母親♀の同伴なしで、幼獣だけで夜の採餌に出かけたようです。 


シーン3:7/21・(@17:48〜) 
5日ぶりに母親♀と幼獣3頭が写り、生存確認ができました。 
トレイルカメラが電池切れだったという訳ではなくて、長らく留守にしていた家族が営巣地(セット)に戻ってきたようです。 
おそらく別宅(当歳仔を出産した巣穴)がどこかにあるのでしょう。 

これまで写っていたのは夜行性だったのですが、この日は夜だけでなく昼間にも活動していました。 
モノクロではなくフルカラーの映像でアナグマを見たいという人は、ここから(@20:37〜)ご覧ください。 


※ 動画の一部は編集時に自動色調補正を施しています。 


ニホンミツバチ♀の分蜂群を誘引する不思議な蘭植物キンリョウヘン

 

2024年5月下旬・午後12:45頃・晴れ? 

山麓にある古い木造家屋の床下に昔から何年間もニホンミツバチApis cerana japonica)が自然営巣しています。 
久々に定点観察に来てみると、この日も多数のワーカー♀が活発に飛び回り、床下にある巣に出入りしていました。 

家屋の手前に養蜂用の空の巣箱が2つ置かれていました。 
ちょうどニホンミツバチが分蜂する時期なので、巣箱に引っ越してくる分蜂群を捕獲したい養蜂家がいるのでしょう。 
分蜂群を効果的に誘引するために、それぞれの巣箱の近くにキンリョウヘンという蘭の鉢植えが計3つ置かれていました。 
キンリョウヘンの花は、なぜかニホンミツバチの集合フェロモンを分泌しているのだそうです。 
ただし、我々ヒトの鼻には無臭です。
キンリョウヘンの花は、ニホンミツバチの「集合フェロモン」と非常によく似た化学物質(3-ヒドロキシオクタン酸:3-HOAA と 10-ヒドロキシデセン酸:10-HDA)を分泌します。
これは一種の化学擬態であり、フェロモンで誘引したミツバチによって授粉してもらおうというのが、キンリョウヘンの送粉戦略です。 
本やテレビなどで知っていましたが、実際に見学するのは初めてです。 
確かにニホンミツバチのワーカー♀が多数集まっていました。 

意外にも、キンリョウヘンの花で吸蜜したり花粉を集めたりする個体はいませんでした。 
キンリョウヘンの花自体には蜜がないため、ミツバチが花に留まって採餌する行動は見られないのだそうです。
キンリョウヘンの花は「背面摩擦送粉」という仕組みで受粉します。
ミツバチが花に入ると、背中に花粉塊(蘭特有の「ポリニア」)が付着し、別の花に移動することで運ばれた花粉と授粉します。
花粉塊が付着する部位は蜂自身の足先が届かず、身繕い動作(グルーミング)でも取り外しがほぼ不可能な場所です。
つまり、蜂は背中についたキンリョウヘンの花粉塊を自力で後脚の花粉籠に移し替えて花粉団子として巣に持ち帰ることはできません。
ミツバチ側にとっては花蜜や花粉という報酬がない「騙し」の仕組みですが、植物側は効率的に送粉してもらうことができます。


ニホンミツバチの偵察部隊に巣箱の入口を見つけてもらいやすくして巣箱へスムーズに誘導するために、キンリョウヘンの花の置き方が工夫されていることが分かりました。 
なぜか右よりも左の巣箱の方が蜂の出入りが多いです。 

巣箱の内部から歩いて巣口に出てきた蜂が、口にオレンジ色の小さな塊を咥えていて、外に捨てました。 
巣箱の内部を清掃しているということは、偵察部隊が巣箱を内見して気に入り、これから女王を連れて分蜂群が引っ越してくる前兆かもしれません。 

一番興味深かったのは、巣箱の手前の地面で複数のニホンミツバチ♀が団子状に集まって格闘していたことです。 
キンリョウヘンの放つ強烈な匂い(フェロモン)に酩酊したのでしょうか?
かの有名な、天敵のスズメバチを熱殺する蜂球なのかと思い接写しても、ニホンミツバチ同士の争いでした。 
ちなみに、スズメバチvsニホンミツバチの死闘が繰り広げられるのは秋です。
もしかしてこれが仮集結した分蜂蜂球の出来始め(形成初期)なのでしょうか? 
しかしよく見ると、1匹の個体を取り囲んで集団リンチしています。 
相手にしがみついて噛み付いたり、腹端の毒針で刺そうとしたりしていました。 
近所にある別々のコロニーから集まって来た斥候の蜂同士が、引越し先の巣箱を巡って争っているのかもしれません。 
襲われている個体はほぼ無抵抗で、相手を振りほどこうと必死に羽ばたきながら歩いて逃げようとしています。 
熱殺蜂球とは異なり、喧嘩が終わって蜂の団子が解散しても、死亡個体が地面に残されることはありませんでした。 

残念ながら、ニホンミツバチの分蜂群が実際に新しい巣箱へ引っ越しする様子を観察することはできませんでした。 
女王も含めた分蜂群が巣箱に引っ越しする日はなかなか予想できないので、無人のカメラを設置して何日も愚直に監視する必要がありそうです。


【考察】
キンリョウヘンの誘引成分は女王蜂のフェロモンやローヤルゼリー成分に近いため、働き蜂(ワーカー♀)だけでなく結婚飛行に飛び立った雄蜂♂を集める力もあるのだそうです。
しかし今回、新しい巣箱やキンリョウヘンに来ていたのはニホンミツバチのワーカー♀だけで、雄蜂♂はいませんでした。

 この記事を書くための調べ物をする上で、いつものようにPerplexity AIとの問答が役立ちました。
(今回は試しにPDFファイルにまとめてみました。)

私が一番知りたいのは、キンリョウヘンの鉢植えの近くの地面でニホンミツバチが団子状になっていた行動についてです。

菅原道夫『ミツバチ学:ニホンミツバチの研究を通し科学することの楽しさを伝える』 という本のPart3(p83-130)で、ニホンミツバチの特性の1つであるランに誘引される現象とその研究の現状を詳しく解説しています。
しかし読み返しても、私の疑問は解決しませんでした。

Perplexityの見解では、
集合フェロモンに誘引されたミツバチは、巣箱やその周辺で一時的に密集することがあります。これは新しい巣箱への入居前や、女王蜂を待つ間などによく見られる行動です [18] [19] 。
特に分蜂時や新しい環境下では、偵察蜂や一部の働き蜂が地面や巣箱の周囲で「仮集結」することがあり、これが団子状に見えることがあります [19] 。

また、「異なるコロニーから来たニホンミツバチの偵察部隊が巣箱を巡って激しい闘争を繰り広げることがあるのか?」という私の疑問に対して、Perplexityは否定的でした。
異なるコロニーの偵察蜂が鉢合わせた場合
偵察蜂同士が同じ巣箱やキンリョウヘンの周辺で出会うことはありますが、基本的には激しい争いは起きません。
偵察蜂はあくまで「下見」役であり、候補地を確認したら自分の群れに戻り、情報を伝達します。その後、分蜂群全体が入居を決定するかどうかが決まります [27] [28] 。
もし複数の分蜂群が同時に同じ巣箱を目指して集まった場合、最終的にはどちらか一方の群れが入居し、もう一方は別の場所を探すことが多いです。まれに両群が同時に入ろうとし、巣箱の入り口付近で一時的に小競り合いが起きることもありますが、致命的な争いには発展しません。

しかし私はどうもPerplexityの説明に納得できません。
佐々木正己『ニホンミツバチ: 北限のApis cerana』という書籍を読むと、次のような記述があったからです。
ニホンミツバチがオオスズメバチの襲来を察知して対処するときの反応をも化学擬態しているとする小野・佐藤(1997)の説は、誘引された蜂が(キンリョウヘンの)花弁をかじる不思議な行動を見事に説明する (p160より引用) 

蜂球に包まれた(キンリョウヘンの)花は熱とかじり行動でぼろぼろにはなるが、受粉は高率で保証される。そして開花時期が、まさに分蜂の季節と一致しているのである。 

私が観察した小規模な蜂球やニホンミツバチ同士の闘争行動は、これで説明できるのではないか?と思いつきました。
つまり、キンリョウヘンの化学擬態によってニホンミツバチの熱殺蜂球が誤って発動されてしまったのではないでしょうか?
この仮説なら、必ずしも他のコロニーから来た蜂との喧嘩とは限りません。(同じコロニー内の同士討ちかも)


佐々木正己『ニホンミツバチ: 北限のApis cerana』や小野・佐藤(1997)の説に基づき、「キンリョウヘンの化学擬態によってニホンミツバチの熱殺蜂球が誤って発動される」可能性について検討すると、十分に合理的な解釈といえます。

化学擬態による誤作動と観察事例

  • キンリョウヘンは、ニホンミツバチの集合フェロモンだけでなく、オオスズメバチ襲来時の危険(外敵や警戒)フェロモンまで部分的に化学擬態していると分析されています。scienceteam.jst

  • 花弁をかじったり、他個体にまとわりついたりする「異常な蜂球状行動」は、本来天敵襲来時の防御反応として発動されるべき集団行動が、化学信号によって誤誘導された結果と説明できます。38qa+1

行動の特徴

  • 通常の熱殺蜂球はオオスズメバチなど天敵が存在し、巣の防衛で発動します。その際はミツバチ死骸・負傷者が見られます。tamagawa+1

  • キンリョウヘンの場合は死骸が残らないため、攻撃性の弱い「誤発動型蜂球」や小規模衝突として観察されます。38qa

  • 花弁をかじる不思議な行動も、外敵がいないにも関わらず警戒・排除スイッチが入り、集団で花(=誤認天敵)を攻撃しようとする防衛行動の名残と考えられます。scienceteam.jst

生態・進化的解釈

  • キンリョウヘンのフェロモン成分が、ミツバチに「危険」や「集合」だけでなく「攻撃・防御」反応まで誤誘導する化学擬態であるとの学術的指摘があり、進化的視点からも特異な利用例とされています。38qa+1

  • 現場で観察された小規模蜂球や花弁へのかじり行動は、こうした「擬態シグナル誤認による行動発動」の一環として解釈してよい根拠があります。


結論
キンリョウヘンの化学擬態が、ニホンミツバチの本来の熱殺蜂球・警戒防衛行動まで誤発動させてしまうことは、最新の学術的知見にも一致します。観察された小規模蜂球や花弁かじりは、擬態による誤認誘導現象として十分説明できます。scienceteam.jst+1


手強い相手でしたが、ついにPerplexity AIを説き伏せることができました。
(Perplexityは誤解していますが、キンリョウヘンの花弁をミツバチがかじった行動を私自身は観察していません。)
もちろん、AIを論破したからと言ってそれが科学的に真理だとは限りません。
私は未だ1例しか観察していませんし、解明していくのはこれからです。
 

映像を見直すと、微小なアリ(種名不詳)がキンリョウヘンに訪花しているようですが、ニホンミツバチの観察に集中していた私は、アリのことなど眼中にありませんでした。 
今後の課題です。


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