2024年3月中旬〜下旬
シーン0:3/11・午後13:46・晴れ・気温(@0:00〜)
明るい昼間にたまたま撮れた現場の状況です。
残雪が消えつつある平地の二次林で、ニホンアナグマ(Meles anakuma)が冬眠する営巣地(セット)を2台のトレイルカメラで見張っています。
近所のホンドタヌキ(Nyctereutes viverrinus)が単独で登場したシーンをまとめました。
個体識別できていないので、計何頭のタヌキが出没しているのか不明です。
シーン1:3/12・午前3:52・気温-2℃(@0:04〜)
未明に林縁の残雪をタヌキが右から左へトボトボと歩いて横切りました。
シーン2:3/14・午前4:17・気温-4℃(@0:16〜)
気温が低いせいか監視カメラの起動が遅れがちで、タヌキがどこから来たのか不明です。
アナグマの巣口Lの匂いを通りすがりに軽く嗅いで行きました。
左へ立ち去りかけると、その動きでようやく対面の監視カメラが起動しました。
シーン3:3/14・午前4:16・気温-5℃(@0:27〜)
別アングルで設置したもう1台の監視カメラに続きが記録されていました。
右に立ち去るタヌキの尻尾だけ画面の右端にチラッと写りました。
シーン4:3/15・午後16:19・晴れ・気温16℃(@0:34〜)
日中に晴れると、林床の雪解けがさらに進行します。
シーン5:3/15・午後20:14・降雪・気温13℃(@0:38〜)
気温が暖かい晩ですが、強風が吹いて小雪も降っています。
単独行動のタヌキが右からのそのそと登場しました。
立ち止まってアナグマの巣口Lで立ち止まり、中を見下ろして匂いを嗅ぐと左へ向かいます。
タヌキの毛並みが早春の強風(春一番?)に煽られて激しくなびいています。
シーン6:3/15・午後21:28・降雪・気温8℃(@0:38〜)
獣道を右から左へ横切りました。
小雪がちらついています。
シーン7:3/20・午後21:01・降雪・気温0℃(@1:44〜)
5日後の雪が降る晩に、タヌキが独りで奥の林縁からセットに来て手前に回り込み、アナグマの巣口Rの匂いを念入りに嗅いでから右へ向かいます。
シーン8:3/21・午後19:08・気温-2℃(@2:25〜)
翌日の晩にタヌキの登場で監視カメラが起動すると、林床はうっすらと雪で覆われていました。
アナグマの巣口Rの匂いを少し嗅いでから右に向かいます。
シーン9:3/21・午後19:26・気温-2℃(@2:36〜)
18分後に、別個体らしきタヌキが奥の林縁を足早に左から右へ横切りました。
巣口Rの横を通り、右下へ向かいます。
シーン10:3/21・午後19:34・気温0℃(@2:47〜)
8分後に奥の林縁でタヌキが落葉したミズキの根本に排尿マーキングしたように見えました。
後脚を上げながら小便したかどうか(♂かどうか)、はっきりしません。
シーン11:3/23・午前2:11・気温-4℃(@2:56〜)
2日後の丑三つ時にタヌキの登場で監視カメラが起動すると、林床の雪は完全に溶けていました。
奥の林縁を左から来たタヌキがアナグマの巣口Rで立ち止まり、右の方を警戒しています。
なぜか慎重な足取りで右下へ向かいます。
(※死角で見えませんが、アナグマの死骸の方へ向かっているのかもしれません。)
シーン12:3/23・午前9:20・くもり・気温2℃(@3:19〜)
7時間10分後、珍しく明るい午前中にタヌキが登場しました。
地面の匂いを嗅ぎながらセットをうろつき、巣口Rで立ち止まって周囲を警戒してから巣穴Rの中に潜り込みました。
その後、巣穴Rの外に出るシーンが撮れていないので、一時的な内見ではなく、巣R内で長居したようです。
シーン13:3/24・午前4:14・濃霧・気温0℃(@3:58〜)
翌日の未明、濃い夜霧が立ち込める中を1頭のタヌキが林縁を右から左へ。
アナグマの巣口Lをピョンと跳び超えて左へ向かいました。
シーン14:3/24・午前4:47・濃霧・気温0℃(@4:11〜)
約30分後、依然として濃い霧が立ち込める中をタヌキが今度は左から右へ。
同一個体が戻ってきたのか、それとも別個体なのか、私には見分けがつきません。
手前に回り込んで巣穴Rに入りました。
しばらくするとタヌキは頭から巣穴Rの外に出てきて、再び入巣R。
現場検証できていないのですが、もしかすると巣口Rには実は左右2つの穴が開口していて、タヌキは別の入口に入り直したのかもしれません。
木の根っこや落枝が巣口Rに散乱していて、入口が分かりにくくなっています。
シーン15:3/24・午前4:50・濃霧・気温0℃(@4:47〜)
どうも、タヌキの出巣Rシーンを毎回撮り損ねているような気がします。
林縁を左から右へうろついてから立ち止まって周囲を警戒。
巣口Rもちらっと覗き込みました。
右の死角でアナグマの死骸を見つけたのか、あるいは死骸を食べている先客を警戒したのかな?
奥の二次林へ入っていったものの、林内で振り返るタヌキの目が白く光って見えます。
シーン16:3/24・午前6:54・くもり・気温1℃(@5:35〜)
2時間後の明るい朝にタヌキが来て監視カメラが起動すると、林床のあちこちに再び薄っすらと雪が積もっていました。
林縁で落葉灌木の匂いを嗅いでから身震いし、そのまま周囲を警戒しながら佇んでいます。
ゆっくり手前に歩き出したところで、録画時間が終わりました。
シーン17:3/24・午前7:24・くもり・気温2℃(@6:35〜)
30分後、タヌキはアナグマの巣口Lに顔を突っ込んで匂いを嗅いでいました。
そのまま獣道を左へ。
※ 動画の一部は編集時に自動色調補正を施しています。
【考察】
前回の♀♂ペア編と今回の単独行動編でお伝えしたように、この時期はタヌキの登場頻度がなぜか急増しました。
何か異変が起きたようです。
これ以上隠し切れないので先にネタバレしてしまうと、巣穴の主と思われる1頭のアナグマが営巣地(セット)の近くで死んでいました。(死骸は監視カメラの画角の外で、写っていません。)
近所のタヌキは、空き巣になったアナグマの営巣地(セット)を早速乗っ取ろうとする意図が一つあるようです。
数百m離れた休耕地にあるタヌキの営巣地でこの時期に巣穴の一つが疥癬ホンドギツネに乗っ取られたので、タヌキの♀♂ペアは新たな引越し先(営巣地)を探し求めているのかもしれません。
タヌキの意図としてもう一つは、アナグマの死骸が気になって(スカベンジャーの血が騒ぎ)、昼夜を問わずに繰り返しうろついているようです。
問題なのは、アナグマの正確な死亡日時が分からないことです。
監視カメラに写ったタヌキの(いつもとは違う)行動と法医昆虫学的な手法から総合的に推理するしかありません。
つづく→