2024年4月下旬
死んだアナグマの旧営巣地(セット)でニホンアナグマ♂(Meles anakuma)の登場シーンをまとめました。
春になると、交尾相手の♀が住む巣穴を探し求めて、近所に住むアナグマ♂が夜な夜な遠征してくるのです(夜這い)。
シーン1:4/22・午後23:55・気温13℃(@0:00〜)
右から来たアナグマ♂が巣口Rの匂いを嗅いでいました。
巣口Rの縁でも地面の匂いを嗅いでから、尻の臭腺・肛門腺を擦りつけて匂い付けしました(スクワットマーキング)。
巣口LRの中間地点でも再びスクワットマーキングしてから、キャットフードを木箱に入れて給餌した地点で頻りに匂いを嗅いでいます。
約2時間前に来ていたホンドタヌキがキャットフードを先に見つけて食べ、餌箱ごと持ち去ってしまいました。
タヌキが長居した残り香に対抗してアナグマ♂がスクワットマーキングしているようです。
シーン2:4/22・午後23:56・気温12℃(@0:00〜)
別アングルで設置した監視カメラでも撮れていました。
右の鼻面に黒っぽい汚れが付いているように見えます。
穴掘りした後の泥汚れかもしれませんが、ひょっとすると怪我をした血痕ですかね?
この時期はアナグマの交尾期ですから、強引に求愛して嫌がる♀に噛まれたのか、それとも♂同士の喧嘩による負傷かな?などと想像を逞しくしてしまいます。
後者だとすれば、今後の個体識別に傷跡が使えるかもしれません。
餌箱のあった地点の匂いを嗅いでから、スクワットマーキングで匂い付け。
手前の林縁でも再度スクワットマーキングしました。
しばらく経って、手前から戻ってきてから巣口Lの横を通り過ぎるところで、1分間の録画終了。
シーン3:4/22・午後23:56・(@1:44〜)
別アングルの監視映像に切り替えます。
巣口Lのそばを通って、アナグマ♂が左へ立ち去りました。
シーン4:4/22・午後23:57(@1:50〜)
画面の右端をうろついています。
実は、タヌキが持ち去った餌箱が画角の右外の辺りで転がっていたので、アナグマも林床にこぼれたキャットフードを拾い食いしていた(あるいは残り香を嗅ぎ回っていた)のかもしれません。
シーン5:4/28・午前0:28・気温13℃(@2:00〜)
6日後の深夜にもアナグマ♂が登場しました。
獣道を右から来て、巣口LRの中間地点でスクワットマーキングしています。
シーン6:4/28・午前0:28・気温13℃(@2:18〜)
続きは別アングルの監視映像に切り替えます。
スクワットマーキングを何度も繰り返しながら巣口Rへ近づいたものの、結局巣穴Rの中には入りませんでした。
右上奥の林内に立ち去りました。
シーン7:4/28・午前2:07・気温16℃(@2:49〜)
アナグマが獣道を右からセットにやって来ました。
体型を見ると♀のようです。 (若いヘルパー♂かも? )
前脚と鼻面が真っ黒なのは、採餌や造巣で穴掘りした直後なのでしょう。
アナグマは水場で水浴して泥汚れを落とさないのでしょうか?
この時期、田んぼは未だ水入れしていませんが、用水路には水が流れています。
いつものように、巣口LRの中間地点で通りすがりにスクワットマーキングしてから、左下へ立ち去りました。
シーン8:4/28・午前2:07・気温17℃(@3:07〜)
別アングルからも撮れていました。
林縁でスクワットマーキングしてから林内の獣道に入り、右上奥へ。
シーン9:4/28・午前2:09(@3:40〜)
監視カメラの起動が遅れ、いつの間にかアナグマがセットに戻ってきていました。(それとも別個体?)
珍しく巣口Rに頭を深く突っ込んで、中の匂いを嗅いでいます。
「頭隠して尻隠さず」の状態となりましたが、尻尾の先だけ外に出ていました。
しかし巣内に完全に潜り込むことはなく、そのまま後退して外に出てくると、足早に右へ立ち去りました。
このときなぜか、右後脚をヒョコヒョコと跛行していました。
それまでは跛行してなかったので、不思議です。
巣内にはタヌキやアナグマ、キツネなど誰も住んで居ないはずですが、巣内に潜む虫に刺されたり噛まれたりして、アナグマ♂が逃げて行くところなのかな?
しかし音量を上げても、喧嘩の鳴き声や悲鳴は聞き取れませんでした。
以前この巣穴に住み着きかけたタヌキが、棘のある枝など侵入防止の防犯装置を設置したのだとすれば、面白い話です。
関連記事(同所で1ヶ月前の撮影)▶ 外出前に巣口を念入りに隠蔽するホンドタヌキ♀♂【トレイルカメラ:暗視映像】
※ 動画の一部は編集時に自動色調補正を施しています。
【考察】
タヌキに先を越されたせいで、アナグマがキャットフードを食べるかどうか確かめられませんでした。
野生動物の餌付けには色々と問題があるので、食いっぱぐれて良かったかもしれません。
今回登場したアナグマは複数個体?
春になると交尾相手の♀が住む巣穴を探し求めて、近所に住むアナグマ♂が夜な夜な遠征してきます。
この営巣地に現在♀のアナグマは住んでいないことは、匂いで分かっているはずです。
それなのに、ときどきやって来てはスクワットマーキングで縄張り宣言をしていくアナグマ♂は何が目的なのでしょう?
自分がここに住み着くつもりでもなさそうです。
歩き方に異常があるアナグマは以前も見たことがあります。
関連記事(2年前の撮影)▶ スギ林道の溜め糞場で跛行しながらスクワットマーキングするアルビノのニホンアナグマ♂【トレイルカメラ:暗視映像】
平凡社『世界大百科事典』でアナグマを調べると、面白い記述を見つけました。 「アナグマの脚は山腹を歩きやすいように両側で長さが不ぞろいであるとの伝承があり,英語で badger-leggedといえば足の長さが違う人を指す。 跛行するアナグマは珍しくないのかもしれません。
つづく→