2019/08/03

送電塔の巣箱で雛を育てるハシブトガラス♀♂(野鳥)




送電塔#KN7に営巣したハシブトガラスの観察記録#6


2019年5月下旬・午前5:14〜5:25(日の出時刻は午前4:20)

3日後の定点観察。
早朝に様子を見に行くと、朝日を浴びた巣内に親鳥は不在でした。
もう暖かい季節なので、夜通し抱雛する必要はなくなったのでしょう。
雛は未だ体が小さく、巣内で寝ている姿は特設ステージに隠れて見えません。

私が送電塔の巣に望遠レンズを向けていると、近くの林のヒノキ?樹冠で親鳥が警戒声を発しました。
もしかすると、親鳥はこの林で夜を過ごしたのかもしれません(親鳥のねぐら)。
喉袋が膨らんでいるので、夜が明けるとすぐに採餌活動をしていた可能性もありそうです。
私が親鳥にカメラを向け直すと、カーカー♪鳴きながら樹上から飛び立ちました。

やがて親鳥の♀♂つがいが送電塔の近くの電柱に飛来し、仲良く並んで止まりました。
着陸後に嘴を足元のケーブルに擦り付けています。

油断していたら、この直後、1羽の親鳥が帰巣するシーンを撮り損ねてしましました。
親鳥は雛の様子をチェックしてから慎重に巣に座ります。
撮影アングルがいまいちで、抱雛する親鳥(おそらく♀)の姿が送電塔の鉄骨に隠れて見えなくなってしまいました。
さっきまで止まっていた右の電柱には、もう1羽の親鳥もいつの間にか居なくなっていました。

しばらく巣を留守にしていた親鳥が戻ってきました。(@1:40)
左から親鳥α(おそらく♀)が飛来すると、送電塔の鉄骨に止まって鳴きました。
ピョンピョン跳んで巣に近づき中を覗き込むと、小さな雛が首を伸ばしました。
(給餌したかどうか不明)

親鳥♀αが送電塔の外に向かってカーカー鳴くと♪、もう1羽の親鳥β(おそらく♂)が左から飛来しました。(@2:16)
喉袋が餌で膨らんでいます。
餌乞いした雛に口移しで給餌した後、親鳥♀αにも少し給餌しました。
親鳥♂βは右へ飛び去り、次の採餌へ向かいました。
巣に残った親鳥♀αは抱雛を続けます。
カラスは♀が主に抱卵・抱雛を担当するそうです。


ハシブトガラスの雛鳥を初めて観察することが出来ました。
普通なら枝葉の茂った樹上に営巣しますし、親鳥の警戒心がとても強く、私が巣に望遠レンズを向けるだけでも怒ってくるからです。

私が通うフィールドではこの時期ハシボソガラスの営巣はほぼ終わり、雛が巣立った例も見ています。
ハシブトガラスはハシボソガラスよりも繁殖が遅れるというのは、本で読んだ通りでした。

・巣立ちがボソより2週間前後遅いブトの雛。 (中村眞樹子『なんでそうなの 札幌のカラス』p57より引用)
・繁殖開始時期はハシボソガラスの方が早く、3月中旬から始まる。 (同書p92より引用)



つづく→#7:炎天下の巣箱で暑さに喘ぎながら雛に付き添うハシブトガラス(野鳥)



ハシブトガラス(野鳥)巣:送電塔#KN7早朝
ハシブトガラス(野鳥)親鳥@帰巣:送電塔#KN7早朝
ハシブトガラス(野鳥)巣:送電塔#KN7早朝・全景
ハシブトガラス(野鳥)巣:送電塔#KN7早朝・全景

公園の砂場で砂浴びするスズメ(野鳥)



2019年5月下旬・午前10:18

ひと気のない公園の砂場にスズメPasser montanus)が2羽飛来して、砂浴びを始めました。
初めは見ている私を警戒して砂場の縁の死角でこっそり砂浴びを始めたのですが、次第に大胆になり砂場の中央で砂浴びを披露してくれました。

砂場には小さなクレーターのような窪地が幾つもあり、その一つにスズメは身を沈めます。
翼を激しく羽ばたかせて乾いた砂を体にかけると、砂埃が舞います。
2羽共に頬斑が黒い成鳥でした。



▼関連記事(6年前に畑で撮影)
スズメ(野鳥)の砂浴び

(3週間後に同じ公園で撮影) 
砂場で砂を浴びるスズメ(野鳥)


スズメ(野鳥)@公園:砂場+砂浴び
スズメ(野鳥)@公園:砂場+砂浴び
スズメ2(野鳥)@公園:砂場+砂浴び

カイツブリのつがいが川面で羽繕い(野鳥)



2019年5月中旬


▼前回の記事
川面を走るカイツブリ(野鳥)

おそらくつがいと思われる2羽のカイツブリTachybaptus ruficollis)が川面で遊泳していました。
川岸から撮っている私を警戒したカイツブリは足の水掻きをせっせと動かすと流れに逆らって上流へ逃げて行きます。

2羽は付かず離れず行動しています。
カイツブリの成鳥は雌雄同色らしく、性別が見分けられません。
体格も同じぐらいでした。
近くに営巣地がありそうですけど、今季も見つけることはできませんでした。

季節の風物詩である白い柳絮りゅうじょ(綿毛の付いた柳の種子)が川面を大量に流れて行きます。


カイツブリ2(野鳥)@川面遊泳

2019/08/02

ミズキの花蜜を吸うヒメウラナミジャノメ♂



2019年5月下旬

河畔林で咲いたミズキの花にヒメウラナミジャノメ♂(Ypthima argus)が訪花していました。
翅を開閉しながら吸蜜しています。
高い枝から下に降りてくれなくて、翅の模様をじっくり撮れませんでした。


ヒメウラナミジャノメ♂:翅裏@ミズキ訪花吸蜜
ヒメウラナミジャノメ♂:翅表@ミズキ訪花吸蜜



モミ樹上で顔を掻き羽繕いするチゴハヤブサ(野鳥)



2019年5月中旬


▼前回の記事
モミ樹上で鳴く♪チゴハヤブサのつがい(野鳥)

モミ巨木の横枝に止まったチゴハヤブサFalco subbuteo)は、鳴き止んでいる間は、羽繕いに余念がありません。
頭部が痒いのか、ときどき足で掻いています。

※ 逆光でもチゴハヤブサの特徴である褐色の下腹部が分かるように、動画編集時に彩度を少し上げています。


チゴハヤブサ(野鳥)@モミ横枝+羽繕い

2019/08/01

翼の折れたオナガガモ♂が川面で羽繕い



2019年5月中旬


▼前回の記事
翼の折れたオナガガモ♂にコガモ♀♂の群れが合流して塒入り(野鳥)

18日ぶりに川に来てみると、左翼が折れて飛べないオナガガモ♂(Anas acuta)の生存が確認できて一安心。
以前は人懐こく餌乞いしていたのに、今回はなぜか川岸に全く近寄らなくなっていました。
広い川の中央に浮かんだまま、羽繕いをしています。

給餌しに来たらしい(心優しい)子連れの家族が川岸から鴨に大声で呼びかけても寄り付きません。
大勢の野次馬が「タマちゃ〜ん!」と絶叫してアザラシの平穏な生活を乱していたタマちゃん騒動を彷彿とさせます。
どうやらヒトに対して何かトラウマ体験があったようです。
誰かが善意で保護しようと捕獲を試み、失敗したのかもしれません。
ヒトからの給餌に依存する生活は不健全なので、野鳥として自活できるのなら放っておくべきです。

ところで、川面に浮いている大量の白い物体は、洗剤の泡ではなく、この時期に特有の柳絮りゅうじょです。
白い綿毛の付いた柳の種子がフワフワと飛来し川面に着水すると、次々に流れて行きます。
オナガガモが川面に浮かぶ柳の種子を食べるかどうか興味があったのですが、満腹なのか採食シーンは見れませんでした。

▼関連記事
シロヤナギの柳絮:綿毛付きの種子の風散布


翼の折れたオナガガモ♂を私が見かけたのは、この日が最後でした。
9日後、再び様子を見に来ると、川に居なくなっていました。
誰かに保護されたのか、天敵に捕食されてしまったのか(自然淘汰)、不明です。
それ以降も、姿を見ていません。
別の場所に移動しただけなら良いのですが、飛べない体では遠くまで行けないはずです。



キジバト♀♂の求愛拒否(野鳥)



2019年5月中旬

河畔林と田畑の間を通る道の道端でキジバトStreptopelia orientalis)が採食していたのですが、私が通りかかると飛んで逃げました。
民家の敷地の境界に立てられたアルミパイプ製手摺に並んで止まりました。
(映像はここから)

どうやらこの2羽は♀♂つがいだったようです。
左の♂がお辞儀を繰り返しながら♀ににじり寄ろうとしています。
求愛された♀は嫌がって(?)地面に飛び降り、♂も後を追いました。
庭は背の高いイタドリが伸び放題で、キジバト♀♂の姿は隠れてしまいました。
交尾できたのか、不明です。

最後に、1/5倍速のスローモーションでリプレイ。
(あまりにも短い動画なので、スローモーションで水増し。)

▼関連記事
堤防で求愛・採食するキジバトの♀♂ペア(野鳥) @2018年9月中旬
キジバト(野鳥)の交尾と三角関係


キジバト♀♂(野鳥)@手摺+求愛拒否



2019/07/31

ミズキの花で♀を探すモモブトカミキリモドキ♂



2019年5月中旬

水辺に近い土手に生育したミズキの灌木に白い花が咲いています。
濃青色で小型の見慣れないハナカミキリの仲間?が訪花していました。
花の上をせかせかと歩き回っていて、食餌が目当てではないようです。
絶え間なく風が吹いて枝が揺れるので、小さな虫の動画を撮りにくい悪条件の日でした。

ミズキに集まるカミキリムシの中で見た目が似ている種類としてフタコブルリハナカミキリかな?とも思ったのですが、私が見た虫は後脚の腿節がとても太い(腿太)点が目を引きました。

鞘翅の先端が完全に閉じず、後翅が見えています。
図鑑で調べてみると、カミキリムシ科ではなくカミキリモドキ科でその名もずばり、モモブトカミキリモドキOedemera lucidicollis)という虫でした。
後脚が太いのは♂で、♀は細いのだそうです。(性的二型)
映像に登場する個体は♂ですから、ミズキの花で♀を探索中なのだと分かりました。(探雌行動)

なんとか撮れた映像を1/5倍速でスロー再生してみると、2匹が花柄ですれ違いざまに飛びついていました。
♂が相手にマウントしたものの、交尾には至らずすぐに別れました。
一瞬の出来事で撮影中の私は気付いておらず、ピントを合わせなかったのが残念です。
おそらくもう1匹の♂を♀だと誤認して慌てて求愛してしまったのでしょう。
(あるいは♀による交尾拒否?)

♂同士が太い後脚を使って闘争しているかどうか、次に機会があれば確かめたいものです。


モモブトカミキリモドキ♂@ミズキ訪花+探雌
花の左上奥を別個体の2匹が翅を広げて飛んでいます。

撮影後、採集用にいつもポケットに忍ばせているビニール袋を花に被せて1匹捕獲しました。
以下は標本の写真。(掲載予定)


ガードレールに翼を引っ掛け日光浴するハシボソガラス(野鳥)



2019年5月下旬・午前11:00

堤防の白いガードレールにハシボソガラスCorvus corone)が奇妙な姿勢で止まっていました。
まるで我々がハンガーに服をかけて干すように、広げた翼をガードレールに引っ掛けて休んでいます。
こんな体勢のカラスを見たことがなかったので、死骸がガードレールに引っかかっているののかと一瞬思ったぐらいです。

嘴を少し開けたままで、暑さに喘いでいるようです。
口の中が黒いので、成鳥ですね。
首を傾げて居眠り?したり、辺りをキョロキョロ見回したりしています。

カラスの正面(または背後)に回り込んで、この奇妙な姿勢をよく観察したいところです。
右側の翼はどうなっているのか見えないのですが、左右対称に広げているのだとすると、日光浴で羽根を虫干ししているのでしょう。
背後に見えるコーポのベランダで布団や洗濯物が干してあるように、快晴で絶好の洗濯日和でした。
羽根があちこち白いのが気になります。
換羽が進行中なのですかね?

翼が折れて飛べないのかと心配したのですけど、私が動画を撮りながらそっと近づくと普通に飛び去りました。
日光浴を私に邪魔されたハシボソガラスは、ガーガー♪と抗議の鳴き声を発しながら土手を低空で横切り、川岸のニセアカシア高木の枝に着陸しました。
翼を怪我している訳ではなく、飛行能力は正常でした。
最後に飛翔シーンを1/5倍速のスローモーションでリプレイ。
ガードレールに引っ掛けていた翼を右、左の順に引き抜いて飛び立っていました。

後日、世間では「ゴリラカラス」のミステリアスな衝撃映像が話題になりました。

まるでマッチョなゴリラがナックルウォークをするような姿勢で佇むハシブトガラスの短い動画です。
カラスの専門家がこれは日光浴の姿勢だと解説してくれたおかげで、私も謎が解けました。
もし私がカラスの正面から撮っていれば、まさにゴリラガラスのポーズが見れたはずです。





中村眞樹子『なんでそうなの 札幌のカラス』によると、

私には夏より冬の方が元気いっぱいに見えます。逆に、真夏の暑い日には、口を開けて翼を半開きにして、目つきがトロンとなります。実に怪しい姿です。 (p55より引用)

撮影後に気温を測るべきでしたね。
この日は朝から快晴で真夏日になりました。
この地域の最高気温は35℃と発表されています。


ハシボソガラス(野鳥)@ガードレール+羽根虫干し?
ハシボソガラス(野鳥)@ガードレール+羽根虫干し?

2019/07/30

モミ樹上で鳴く♪チゴハヤブサのつがい(野鳥)



2019年5月中旬

モミの巨木の横枝にチゴハヤブサFalco subbuteo)が止まっていました。
夏鳥のチゴハヤブサを見つけたのは今季初めてです。(初見日)
断続的に甲高い声でキィーキィー♪と鳴いているのですが、近くにある滝の水音にかき消されてしまい、残念ながらあまり聞こえません。
鳴き止むと辺りをキョロキョロと見回しています。

撮影中は全く気づかなかったのですが、引きの絵で撮った映像を見直すと実はもう1羽が下の横枝に逆を向いて止まって羽繕いしていました。
おそらく♀♂つがいなのでしょう。
体格の違いで性別が見分けられるらしいのですけど(♀>♂)、同じ枝に並んでくれないと大きさを比べられません。

※ 逆光のため、動画編集時に彩度を少し上げています。
チゴハヤブサが鳴き声を発している間は音声を正規化して強引に音量を上げています。(噴水のノイズも上がります)




つづく→モミ樹上で顔を掻き羽繕いするチゴハヤブサ(野鳥)

チゴハヤブサ(野鳥)@モミ横枝
チゴハヤブサ(野鳥)@モミ横枝
チゴハヤブサ2(野鳥)@モミ横枝
チゴハヤブサ2(野鳥)@モミ横枝

枯木の根元で親鳥を待つハシボソガラスの巣立ち雛(野鳥)



2019年5月中旬
▼前回の記事
ニセアカシアの枝に並んで親鳥を待つ2羽のハシボソガラス巣立ち雛(野鳥)

河畔林で立ち枯れしたニセアカシアの木の根元にもう1羽、別個体のハシボソガラスCorvus corone)巣立ち雛bが隠れていました。
キョロキョロ見回しながら、辺りに分散している兄弟姉妹の幼鳥たちと鳴き交わしています。
嘴を開くと中が真っ赤なのはカラスの幼鳥の特徴です。

カメラを右にパンすると、先程の個体aが相変わらず近くのニセアカシアの横枝に止まって鳴いています。
巣立った直後はあまり勝手に動き回らずに、親鳥が給餌に来てくれるのを各々が待っているのでしょう。

シリーズ完。


ハシボソガラス幼鳥b(野鳥)@ニセアカシア根元

2019/07/29

繭を紡ぐマメドクガ(蛾)終齢幼虫♂【100倍速映像】

マメドクガの飼育記録#18



▼前回の記事
ケヤキの若葉を食べ脱糞するマメドクガ(蛾)終齢幼虫♂【30倍速映像】

2019年5月中旬

マメドクガCifuna locuples confusa)の終齢幼虫♂bは、ケヤキの枝で葉裏に静止し、周囲の葉数枚を糸で綴り引き寄せ始めました。
いよいよ繭を作りそうです。
これは、みんに入る前の隠れ家です。

三田村敏正『繭ハンドブック』によれば、マメドクガの繭は

長さ約3.0cm、直径1.4〜2.0cm。
体毛を混ぜ込んだ褐色で、薄い。繭の中の蛹が見える。餌植物の葉を綴って作られる。
繭は初夏〜秋にかけて、餌植物で見られる。
とのことです。(p42より引用)


生き物を飼育するときは、なるべく自然の状況を再現するのが理想です。
私の目的は行動を動画で記録することなので、葉で綴った隠れ家の中で営繭されると過程が見えずに困ります。
このままでは営繭行動を撮影しにくいので、幼虫を繭棚に引越しさせることにしました。
養蚕で使うカイコの繭棚を我流で真似したものです。

中が格子状に仕切られたプラスチック容器を用意します。(100円ショップで購入した小物入れ)
1部屋の大きさは、4×4×3.5cm。
プラスチックの部屋の内面に紙を貼り、幼虫の絹糸が付着しやすくしておきます。
過去に別種のイモムシによる繭作りを観察したときの反省から、壁紙を黒くすることにしました。
背景が白いと、幼虫が吐く白い絹糸が見えにくいからです。
わざわざ黒い紙を文具店で買ってくる時間がなかったので、油性ペンで紙を真っ黒に塗り潰しました。
その黒紙を両面テープで容器内面に貼りました。
この繭棚にマメドクガ終齢幼虫を閉じ込めました。
観察しやすいよう上面は透明プラスチックの天井のままにしてあります。
繭棚の天井が明るいと、幽閉された幼虫は必死で脱出しようとするので、しばらく遮光しておきます。

2日後、みんから醒めた終齢幼虫が遂に繭棚で繭を紡ぎ始めました。
撮影のために繭棚のプラスチック蓋を開けておいたら、夜の間に幼虫は勝手に隣の繭棚に移動して、そこで改めて繭を作ろうとしていました。
もしかすると、壁紙を黒く塗った油性ペンの揮発性インクの匂いを幼虫が嫌ったのかもしれません。(次回は黒色の折紙などを使いましょう)
引越し先は過去にオビガ幼虫が繭を作った繭棚で、背景が茶封筒の紙です。(画面の左下隅にはオビガの古い空繭が残されたままです。)

古い壁紙が剥がれかけていてお見苦しいです。
せっかく今回は背景を黒くしようと企んだのに、準備が台無しになってしまいました…。

仕方がないので、このまま撮影に入ります。

繭を作り始める前に終齢幼虫は下痢便を排泄するのが普通です。
しかし、この個体では結局見ていません。
与えた食草(食樹)の含有水分が少なかったのかな?




営繭の一部始終を微速度撮影で記録しました。(午前7:02〜14:34)
撮影開始時の室温は21.5℃、湿度33℃。
終了時の室温は26.8℃、湿度29%でした。
100倍速の早回し映像をご覧下さい。
微速度撮影に特有の画面のチラつきを抑えるため、動画編集時にdeflickerフィルターを掛けました。
初めにマメドクガ幼虫は、自分の体の周囲に足場糸を張り巡らせただけの、ごく粗い繭を作ります。
やはり背景が茶色では、白い絹糸がよく見えません。
繭棚の天井は何も無くて露出した状態なので、幼虫はまずその天井に絹糸を張り巡らせてシートの様なもので覆い始めました。
繭が密になれば、蓋を開けておいても繭棚から脱走する心配はもうありません。

途中で終齢幼虫の動きを等倍速の動画撮影に切り替えて記録しました(@2:17-3:12)。
マメドクガ幼虫は下半身を繭内に固定し、反らせた上半身で8の字を描くように動かしながら口から絹糸を吐いていきます。
繭内で何度も方向転換し、万遍なく絹糸を追加していきます。

次第に薄っすらと黒い繭が作られていきますが、絹糸が黒い訳ではありません。
毛虫が繭内で激しく動き回ったり方向転換したりする際に抜け落ちる黒い毛が繭に少しずつ織り込まれていくのです。
幼虫の頭部の横から伸びる一対の長い毛束も営繭の後半にはどんどん抜け落ちてしまいました。
結果論ですけど、マメドクガの繭は最終的に黒くなるので、繭棚の壁紙を黒くしないで良かったことになります。
こういう細かな撮影ノウハウは、自分なりに飼育して試行錯誤してみないと分からないものです。

完成した繭内で幼虫がなぜか激しくのたうち回っています。(蛹化の蠕動運動ではない)
やがて終齢幼虫が動かなくなりました。
黒っぽい繭の長軸が繭棚の壁に対して水平に吊り下げられていました。(一方、過去にオビガ幼虫は繭棚の隅で斜めに繭を作りました)

マメドクガ幼虫に面白がって桜(ソメイヨシノ)の未熟な果実ばかりを食べさせた時期があったので、青酸中毒で弱ったり異常行動を始めたりするのではないかと心配でした。

無事に繭が完成したので一安心。

繭が完成した後で動かなくなった終齢幼虫は前蛹と呼ばれる状態になります。
繭が黒っぽい焦げ茶色なので中の様子がよく見えず、前蛹が脱皮して蛹になる様子(蛹化)は観察できませんでした。

9日後、成虫の羽化に備えて繭室から繭および蛹を取り出しました。
その写真はこちら。


マメドクガ(蛾)繭+蛹♂b@繭棚
マメドクガ(蛾)繭+蛹♂b@方眼紙
マメドクガ(蛾)繭+蛹♂b@方眼紙




↑【おまけの動画】
早回し速度を落とした10倍速映像をブログ限定で公開しておきます。



つづく→#19:羽化したマメドクガ♂(蛾)


マメドクガ(蛾)終齢幼虫♂b@繭棚+営繭
マメドクガ(蛾)終齢幼虫♂b@繭棚+営繭
マメドクガ(蛾)終齢幼虫♂b@繭棚+営繭

水入れを始めた水田で虫を捕食するハクセキレイ♂(野鳥)



2019年5月中旬

田んぼでようやく水入れが始まりました。
ハクセキレイ♂(Motacilla alba lugens)が泥の上を歩き回って餌を探しています。
水深が浅ければ平気で水にも入ります。

土の中に暮らしていた土壌動物(昆虫や幼虫、ミミズなど)が水攻めに遭うと溺れそうになり、慌てて地表に出てきます。
ハクセキレイ♂は次々に獲物を見つけては捕食していました。
巣で待つ雛に給餌するためではなく、その場で自分で食べていました。
一方で、目の前の泥の上をアメンボがピョンピョン跳びはねても、捕食せず見逃しました。

ハクセキレイ♂は畦を飛び越え、隣の田んぼにも移動して採餌を続けます。
畦道の雑草が不自然に茶色く枯れているのは、おそらく農家の人が除草剤を撒いたのでしょう。

野鳥にとって田んぼの水入れは、楽して大量の獲物が手に入る、年に一度の夢のような食べ放題バイキングです。
ちなみに、水入れ前の田起こしのときにも、掘り起こされた土壌動物を目当てにムクドリなどの野鳥が集まります。

▼関連記事
耕運機を利用して虫を捕食するムクドリの群れ:オートライシズム(野鳥)

ハクセキレイ♂(野鳥)@水田:水入れ開始直後+虫捕食
ハクセキレイ♂(野鳥)@水田:水入れ開始直後+探餌
ハクセキレイ♂(野鳥)@水田:水入れ開始直後+虫捕食

2019/07/28

親鳥に餌乞いしても無視されたハシボソガラス幼鳥(野鳥)



2019年5月中旬

▼前回の記事
ニセアカシアの枝に並んで親鳥を待つ2羽のハシボソガラス巣立ち雛(野鳥)

同じ河畔林で少し離れた別のニセアカシア(別名ハリエンジュ)樹上にもう1羽のハシボソガラスCorvus corone)幼鳥が単独で止まっていました。
この木にもカラスの巣は無くて、幼鳥がどこから巣立ったのか不明です。
河畔林のあちこちに散らばった兄弟姉妹の巣立ち雛たちと盛んに鳴き交わしています。

この幼鳥の行動を見ていると、どうやら親鳥が画面左のどこかに来て居るようです。
横枝に止まった幼鳥は翼を広げて軽く羽ばたきながら親鳥に呼びかけ、給餌をせがんでいます(餌乞い♪)。
鳴いたときの嘴の中が真っ赤なのは、幼鳥である印です。
私がカメラをズームアウトしかけたら、親鳥と思われる個体が飛来し画面を横切りました。
餌乞いする幼鳥に巣外給餌するかと思いきや、親鳥は幼鳥をスルーして、画面奥に流れる河原へ採餌に行ったようです。
これだけ見ると育児(育雛)放棄のようですけど、幼鳥に自力で飛んでついてくるように促しているのかもしれません。
あるいは、近くで見ている私を警戒して幼鳥に給餌しなかったのかな?
親鳥も複数の巣立ち雛の面倒を見るのにてんてこ舞いなのでしょう。
樹上の幼鳥は、親鳥が飛び去った方向を名残惜しそうに見送ると、鳴き止んでしまいました。
撮影する私の背後でキジバトがデデッポポー♪と鳴いています。

親鳥が戻って来るまでもう少し待ってハシボソガラス幼鳥への巣外給餌シーンを撮りたかったのですが、先を急ぐ用事があって断念。

つづく→


夜、台所の流しにヤマトゴキブリ幼虫が出没



2019年5月下旬・午後21:30頃

夜、台所に行くと、流しに1匹のヤマトゴキブリPeriplaneta japonica)の幼虫がうろちょろして居ました。
ヤマトゴキブリは野外でも見かける半野生種で、いつも動きがおっとりしています。
照明を当てても慌てて逃げたりしませんでした。

排水パイプから逆行して登ってきたのでしょうか。
ステンレスのシンク内は油ぎっている訳ではありませんが、(少なくとも幼虫は)ツルツル滑って垂直の壁を自力ではよじ登れないようです。
これは意外でした。(成虫なら登れる気がします)

シンクの水滴を飲みに来たのかもしれません。

▼関連記事
水を飲むヤマトゴキブリ♀
水を飲むヤマトゴキブリ♂

食器を洗った後の流しには、ゴキブリの餌になりそうなご飯粒が落ちていました。

▼関連記事
ご飯粒を食べるヤマトゴキブリ終齢幼虫

桑原保正『性フェロモン:オスを誘惑する物質の秘密』によると、

ゴキブリの生活には、餌以外に水の存在が必須で、主として台所など水気のある場所に夜出没する。(中略)ゴキブリも水に口を浸したまま飲む。水を飲まないと生きられない。 (p73より引用)


捕獲して飼育してもよかったのですが、この時期は他の撮影テーマが忙しく、新しいことを始める余力がありませんでした。
撮影後に熱湯を注いで駆除しました。(映像なし)
この方法なら殺虫剤や洗剤を使わなくてもゴキブリはほぼ即死ですし、シンクを熱湯消毒できて一石二鳥です。
台所で安易に殺虫剤を噴霧すると、食品や食器、蛇口、まな板などが汚染されて嫌なのです。

害虫だからと言って殺虫剤を乱用すると薬剤耐性を獲得する(効き目が無くなる)恐れがありますが、ゴキブリが熱湯に耐性を獲得することはまずあり得ないでしょう。
呑気なヤマトゴキブリ幼虫は流しから逃げなかったので、横でお湯を沸かす余裕がありました。

「熱湯で殺す方法をお薦めします」と言いたいところですが、都会のチャバネゴキブリなど俊敏なゴキブリが相手の場合は、こんな悠長なことはやってられないかもしれません。

死骸を捨てる前に採寸するのを忘れました。


▼関連記事(1年後に熱湯駆除を実演)
台所の流しに現れたヤマトゴキブリ♂に熱湯をかけて駆除


ヤマトゴキブリ幼虫@夜:台所シンク内

川中の止まり木から飛び立つカワウ若鳥(野鳥)



2019年5月中旬


▼前回の記事
川中の止まり木で片足立ちで羽繕いするカワウ若鳥(野鳥)

流れる川の中央に流木が突き立てられていて、カワウPhalacrocorax carbo hanedae)の若鳥が羽根を休めていました。
河畔林をこっそり回り込むと、だいぶ近づいて撮ることが出来ました。
首から上が白っぽく、銀髪みたいになっています。
「若鳥は全体に淡褐色で、胸などの下面が淡くて白っぽい個体もいる。」というwikipediaに記述された若鳥の特徴通りでした。

ところが警戒心の強いカワウはすぐ私に気付きました。
不安そうにキョロキョロと辺りを見回しています。
止まり木で足を何度か踏み変えてから翼を広げ、倒木から飛び降ると上流に向かって飛び去りました。

離陸の様子を1/5倍速のスローモーションでリプレイすると、今回もやはり羽ばたきながら川面を両足跳びで助走していました。
やっとのことで体が浮き上がると、低空で上流へ飛び去りました。
両足を交互に前に出して走るのではなく、両足跳びというのが、いつ見てもコミカルで面白く思います。

▼関連記事(昨年11月の撮影)
川から飛び立つカワウの助走は両足跳び(野鳥)【HD動画&ハイスピード動画】

此岸のヨシ原に隠れていたカルガモもカワウにつられて慌てたように飛び立ちました。

川沿いでカワウの繁殖コロニーを探し歩いているのですけど、なかなか見つけられません。


カワウ若鳥(野鳥)@川:流木
カワウ若鳥(野鳥)@川:流木+飛翔

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