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2019/08/27

ウスバキトンボ♂を捕食し円網を取り壊すアカオニグモ亜成体♀(蜘蛛)



2016年9月中旬・午後17:01〜17:22・曇りのち小雨

湿地帯の近くの道端にアカオニグモ♀b(Araneus pinguis)の垂直円網を見つけました。
セイタカアワダチソウの先端に近い葉を糸で綴った隠れ家に腹部の黄色い亜成体♀bが潜んでいます。
そのセイタカアワダチソウおよび隣に生えたアメリカセンダングサの茎を外枠の支柱として、直径約20cmの小ぶりな垂直円網がきれいに張られていました。
地上から網のこしきまでの高さは約120cm。
交接の機会を待つアカオニグモ♂の姿は近くに見当たりませんでした。
網の左下が一部破損しているので、この日は既に何か獲物がかかった後のようです。
別個体♀aが張った網のすぐ近くですが、2匹が張った円網の向きは異なっていました。

近くで捕獲したウスバキトンボ♂(Pantala flavescens)を円網の右下部分に給餌してやると、暴れるトンボの振動に反応して隠れ家からアカオニグモ♀がすぐに出て来ました。
駆け付けたクモは暴れるウスバキトンボの胸背に噛みついて毒液を注入します。
噛まれたトンボはすぐにおとなしくなった…と思いきや、再び激しく暴れました。
捕帯の糸を大量に使って強引にラッピングを始めました。
トンボの周囲の糸を切りながら、自分がトンボの周りを回って捕帯を掛けています。
(もっと成長したクモなら、歩脚で獲物をクルクルと回しながらその場で捕帯を掛けるはずです。)

獲物を網に残したまま、隠れ家に一旦戻りました。
このときラッピングした獲物から糸を引いて行き、引き糸の端を隠れ家の付近に固定したようです。
隠れ家でアカオニグモ♀は身繕いして、しばし休憩。
毒液がトンボの体内に回るのを待っているのでしょう。
再び隠れ家から出て、網に残したラッピング済の獲物を取りに戻りました。
この頃から小雨が降り始め、円網に水滴が付くようになりました。
私は小さなビニール袋をカメラの上に広げて、濡れないようにガードしました。

ようやく網からトンボの包みを切り外すと、吊り下げた状態で捕帯でしっかりラッピングします。
トンボの翅や長い腹部も丸め込まれて全体がコンパクトになり、小型のアカオニグモ♀は歩脚で獲物をくるくる回しながらその場でラッピングできるようになりました。
(風が吹いて回っただけ?)

ラッピングが完成すると、右の第4脚の先に獲物をぶら下げて、ようやく隠れ家に持ち帰りました。
このラッピング作業により、円網のこしきも含めてほぼ全体が壊れてしまいました。
隠れ家に落ち着いたアカオニグモ♀は身繕いしてから獲物を引き上げ、捕食開始。

撮影機材や荷物が雨に濡れないように私が慌てて撤収していたら、アカオニグモ亜成体♀bが食事を中断して隠れ家から出て来ました。
獲物は隠れ家に吊るしたまま、円網を自分で取り壊し始めました。
網が雨で濡れてしまうと横糸の粘着力も落ちるので、獲物を捕らえる罠として使い物にならなくなります。
もう十分な獲物が獲れたので、店仕舞いするのでしょう。
円網を張ったままにしておくと、夕立や嵐などの悪天候で枠糸なども破損してしまう恐れがあるのでしょう。
クモは賢いですね。
破網しながら白っぽい液状便を2滴、排泄したようですが、残念ながらピンぼけです。
しまいかけたカメラを慌てて取り出して動画で記録したものの、薄暗くなってきたのでカメラのAFが合焦しにくく、撮影に苦労しました。
破網後はセイタカアワダチソウとアメリカセンダングサの支柱を水平に結ぶ太い枠糸だけが残されていました。
アカオニグモ亜成体♀は隠れ家に戻って食事を再開しました。


アカオニグモ亜成体♀b(蜘蛛)@隠れ家:セイタカアワダチソウ葉裏
アカオニグモ亜成体♀b(蜘蛛)@隠れ家:セイタカアワダチソウ葉裏・全景
アカオニグモ亜成体♀b(蜘蛛)@隠れ家:セイタカアワダチソウ葉裏+ウスバキトンボ♂捕食
アカオニグモ亜成体♀b(蜘蛛)@隠れ家:セイタカアワダチソウ葉裏+ウスバキトンボ♂捕食・全景

ウスバキトンボ♂:胸部側面@捕獲
ウスバキトンボ♂:翅の縁紋@捕獲
ウスバキトンボ♂:顔@捕獲
ウスバキトンボ♂:腹端@捕獲

2019/05/15

銀色に光るマットに飛来したアキアカネ♀



2018年10月中旬・午後14:45頃


▼前回の記事
銀色に光るマットに離着陸するノシメトンボ♂の羽ばたき【HD動画&ハイスピード動画】
銀色に光るマットに離着陸するノシメトンボ♀

湿地帯の横の日当たりの良い歩道に私がキャンプ用の銀マットを広げると、次に飛来したのはアキアカネ♀(Sympetrum frequens)でした。
まずは偵察するかのように、何度も往復して銀マットの上を低空で飛び回りました。
しかし残念ながらスロー再生しても、銀マットを水溜りの水面と誤認して単独打水産卵する行動はやりませんでした。

銀マットに止まったときに撮った胸部側面の写真を拡大して、アキアカネ♀と確定できました。
翅を下げて休んでいるときも、頭部をグリグリと動かして上空を注視しています。
獲物が飛んできたらすかさず飛び立って捕食するのでしょう。
(飛び立つ瞬間は撮れていません。)
ときどき銀マットから飛び立つと、少し離れた場所(銀マット上)に舞い戻ってきます。

ノシメトンボもそうだったのですが、飛来したトンボが銀マットの真ん中に着陸せず、いつも端っこに止まる点が気になりました。
水溜りと誤認して、銀マットの中央部は水深が深そうだと用心しているのでしょうか?
もしかすると昆虫は複眼で銀マット表面の格子模様を認識するのは苦手で、着陸時に距離感が掴みにくいのかもしれません。(鏡のように平らでよく光る反射板を使って実験すべき?)

実験した時間帯が夕方で良くなかったのかもしれません。
アキアカネの生殖行動は午前中がピークらしいのです。(図鑑『ネイチャーガイド日本のトンボ』より)

この♀に交尾を挑もうとするアキアカネ♂もいませんでした。
尾繋がりの状態で銀マットを訪れるアキアカネ♀♂ペアも今回観察できませんでした。
本物の水溜りの横に銀マットを広げた方が良さそうです。
色々と課題が残るので、来季も再チャレンジします。


アキアカネ♀:顔@銀マット
アキアカネ♀:側面@銀マット
アキアカネ♀:側面@銀マット

2019/05/03

銀色に光るマットに離着陸するノシメトンボ♀



2018年10月中旬・午後14:33頃


▼前回の記事
銀色に光るマットに離着陸するノシメトンボ♂の羽ばたき【HD動画&ハイスピード動画】

湿地帯の横の日向で私がキャンプ用の銀マットを広げると、次はノシメトンボ♀(Sympetrum infuscatum)が飛来しました。
太陽光を反射する銀マットを水溜りと誤認して産卵を始めてくれるのではないかと期待しました。
ところが意外にもノシメトンボ♀も♂同様に銀マット上に着陸し、翅を深く下げて休むようになりました。
銀マットが気になって偵察に来ても、すぐに水溜りではないと見破ってしまうのでしょうか?(もっと平らでよく光る反射板を使って実験すべき?)

ノシメトンボ♀は休息中も頭部だけは油断なくグリグリ動いています。
頭上に飛来する虫を捕まえようと油断なく待ち構えているのでしょう。
ときどき素早く飛び立つものの、ほぼ同じ場所にすぐ舞い戻って来ます。(縄張り?)
捕食に成功したシーンは見れませんでした。

同種の♂も銀マットに来ていたはずなのに、この♀に交尾を挑もうとしないのは不思議でした。
この♀個体は、休息中も何か交尾拒否のシグナルを発しているのですかね?

それとも実は未だ性的に成熟していない個体なのでしょうか?
午後という時間帯がノシメトンボの配偶行動や産卵行動を観察するには適していなかったのかもしれません。

ところで、飛来したトンボが銀マットの真ん中に着陸せず、いつも端っこに止まる点が気になりました。
水溜りと誤認して、銀マットの中央部は水深が深そうだと用心しているのでしょうか?
もしかすると銀マット表面の格子模様を昆虫の複眼で認識するのは苦手で、着陸時に距離感が掴みにくいのかもしれません。(鏡のように平らでよく光る反射板を使って実験すべき?)

※ 動画編集時に自動色調補正を施しています。

つづく→アキアカネ♀編


ノシメトンボ♀側面@銀マット
ノシメトンボ♀側面@銀マット
ノシメトンボ♀側面@銀マット
ノシメトンボ♀顔@銀マット

2019/05/01

銀色に光るマットに離着陸するノシメトンボ♂の羽ばたき【HD動画&ハイスピード動画】



2018年10月中旬・午後15:00頃

湿地帯で柳などが生えた林縁の遊歩道にキャンプ用品の銀マットを敷いたら、しばらくするとトンボが集まってくるようになりました。
マットの表面に蒸着したアルミ・コーティングの反射光を水溜りと誤認して産卵しに来たのでしょうか?
実験は午後に行い、日が傾いて日陰になったらこまめに銀マットを日向へ移動しました。






まずやって来たのはノシメトンボ♂(Sympetrum infuscatum)です。
銀マットの端に止まり、翅を翅を深く下ろして休息しています。
銀マットは断熱性があり地面に直接座るよりも暖かいので、トンボにも日光浴で体温を上げる効果がありそうです。
大きな複眼のある頭部はグリグリと動き、常に辺りを油断なく見渡しています。
ここに縄張りを張り、交尾相手の♀が飛来するのを待ち伏せしているのかもしれません。

ときどき自発的に離着陸を繰り返すので、飛び立つ瞬間を狙って240-fpsのハイスピード動画でも撮ってみました。(@00:14〜1:01)
頭部が動いて目標を見定めてから、羽ばたいて離陸しています。
飛び立ってもすぐにまたほぼ同じ場所に舞い戻ってきます。
ただし着陸する向きは変えました。
スローモーション映像を見る限り、空中で獲物を捕獲してきた様子はありません。
銀マット上で休むノシメトンボ♂は上空を動く物(虫?)に反応しているようですが、翅をピクッと動かしただけで飛び立たないこともありました。

しばらくすると同種♂がもう1匹飛来し、銀マット上の近くに着陸しました。
並んだ2匹は違う方向を向いて止まっています。
♀を獲得するために縄張りを張っているのなら、ライバル♂同士が互いに排斥する(追い払う)行動が見られなかったのは不思議です。
しかし2匹のノシメトンボ♂は落ち着きなく飛び回り、銀マット上で休む場所を変えました。
先程よりも互いに離れて止まるようになりました。
このとき1匹の♂が不思議な飛び方をしたので、1/5倍速のスローモーションでリプレイしてみます。(@2:04〜)
飛び上がったノシメトンボ♂が羽ばたきながら銀マットのすぐ上の空中で腹部を前屈させました。
撮影中はトンボ♀の産卵行動(¶)と似ているように見えて興奮したのですが、♂の行動にしては奇妙です。
苦し紛れに想像するに、交尾相手の♀を把握器で掴む練習なのでしょうか?

¶ただしノシメトンボ♀の産卵法は打水産卵ではなく打空産卵なので、辻褄が合いません。

▼関連記事
ノシメトンボ♀♂の交尾と連結打空産卵


※ 動画編集時に自動色調補正を施しています。


一方ノシメトンボの♀は銀マットに対してどのように反応するでしょうか?
つづく



2019/04/19

連結打水産卵する2組のアキアカネ♀♂【HD動画&ハイスピード動画】



2018年10月中旬・午後12:17

土の農道の轍にできた水溜りで、おそらくアキアカネSympetrum frequens)と思われる赤トンボが盛んに産卵していました。
尾繋がりで連結した2組の♀♂2ペアが互いに競うように近くで連結打水産卵しています。
水溜りの中央部ではなく、浅い岸辺付近を好んで水面を♀の腹端で打つように産卵します。
狙いが外れて水溜りの外の泥に産卵することも多々ありました。

240-fpsのハイスピード動画でも撮ってみました。(@00:49〜)

※ 動画編集時に自動色調補正を施しています。



ネイチャーガイド『日本のトンボ』という図鑑でアキアカネの産卵行動について調べると、
交尾後のペアは連結態で湿地や水たまりを訪れ、泥や水面を腹端で連続的に打って産卵する。(中略)個体数が多いときには、しばしば集団での産卵もみられる。(中略)生殖活動は午前中から正午過ぎに集中する。 (p389より引用)
今回の撮影時刻も確かに正午過ぎ(午後12:17)でした。



アキアカネ?♀♂:2ペア@連結打水産卵@水溜り
アキアカネ?♀♂:2ペア@連結打水産卵@水溜り

2019/04/16

アキアカネ♀♂の交尾



2018年10月中旬・午前10:54

稲刈りが済んだ田んぼの横を私が通りかかると、交尾態の赤トンボが飛来し、刈田に着陸しました。
そのまま地上で交尾を続けています。
♀の腹端と結合している♂副性器の辺りがヒクヒク動いていました。
♂は交尾中も油断なく辺りを見回していて、ときどき頭部がグリグリと動いています。
一方、首根っこを♂に掴まれている♀は頭部を自由に動かせないようです。

背側から撮った後に、しっかり同定するために胸部側面の斑紋を撮ろうと私が回り込んだら、逃げられてしまいました。
残念!
おそらくアキアカネSympetrum frequens)だと思うのですが、どうでしょう?

赤トンボの交尾を撮れたのは、意外にもこれが初めてかもしれません。
図鑑『日本のトンボ』でアキアカネの習性を調べると、

生殖活動は午前中から正午過ぎに集中する。
成熟♂は朝方に草地や樹上で探雌飛翔するほか、日中は水辺の植物や地面に止まって縄張り占有し、♀を見つけると捕えて交尾する。(p389より引用)

ということは、私は午前中にもっとフィールドに出掛けるべきですね。
確かに今回の撮影時刻も午前11時頃でした。

※ 動画編集時に自動色調補正を施しています。


アキアカネ?♀♂@刈田+連結交尾

2019/04/10

ナツアカネ♂の縄張り占有行動【HD動画&ハイスピード動画】



2018年10月中旬

湿地帯の端に生えた柳の灌木にナツアカネSympetrum darwinianum)の成熟♂が止まっていました。
翅を深く下ろして休んでいる間も大きな複眼で上空を油断なく見張っていて、頭部全体がグリグリと動きます。
どうやらこの止まり木を中心とした縄張りを張っているようで、飛び立ってもすぐにまた同じ場所に舞い戻ってきます。

昆虫の飛翔シーンを撮る際に私はよく物を投げつけて強引に飛び立たせることがあるのですが、今回は赤トンボが自発的に飛び立つまで辛抱強く待ちます。

止まり木に離着陸を繰り返す様子を240-fpsのハイスピード動画でも撮ってみました。(@1:16〜)
スローモーションで見ると、ナツアカネ♂は頭部が動いて狙いを定めてから、そちらの方向へ飛び立っています。
飛行中は畳んでいた脚を広げて着地します。



▼関連記事(4年前の撮影) 
稲穂に離着陸するナツアカネ♂の羽ばたき【HD動画&ハイスピード動画】

ナツアカネ♂が毎回飛び立った理由は、もっと引きの映像で記録しないとよく分かりません。
交尾相手となる♀が飛来するのを待ち構えているはずなので、それらしき飛影が上空を横切ったのを見てスクランブル発信したのかもしれません。
冒頭のシーンでは止まり木に戻ってきたナツアカネ♂が口をモグモグと動かしていました。
おそらく微小の昆虫を空中で捕獲し、すぐに食べてしまったのでしょう。
捕食(らしき)シーンが撮れたのはこの1回だけでした。

wikipediaの解説によると、

(ナツアカネの)成熟した雄は水域近くに縄張りを持つようになるが、本種は明確な縄張りの範囲を持たず、すぐに場所を変える。

図鑑『ネイチャーガイド日本のトンボ』でナツアカネの項目を参照すると、

成熟♂は水辺の植物に静止して♀を待ち、他の♂が近づくと追尾するが、はっきりした縄張り性はみられない。 (p375より引用)




※ 動画編集時に自動色調補正を施しています。


余談ですが、赤とんぼが止まった小枝の又の部分にイラガの空き繭が見えます。
繭の上端部に丸い穴が開いているのは羽化した跡です。



撮影地点は池や川の畔ではなく柳の林縁で、ナツアカネ♂は舗装された歩道の方を向いて止まっていました。
近くに♀が産卵できるような水はありませんでした。
ただし、私が座るためにキャンプ用の銀マット(クッション)を近くの歩道に広げていたので、それが反射してトンボの目には産卵可能な水溜りに見えた可能性があります。
トンボが誤認したとしたらそれはそれで面白いので、改めて検討(実験)してみます。


ナツアカネ♂:側面@銀マット


2019/01/09

水たまりで単独打水産卵するウスバキトンボ♀?【HD動画&ハイスピード動画】



2018年9月下旬

砂利が敷かれた農道の轍に水溜りができていて、そこで単独打水産卵しているトンボ♀が居ました。
いわゆる「赤トンボ」ではなくて、黄色っぽい体色です。
水で濡れた腹端が白く光って見えます。

動画を優先したのでトンボの種類を同定できる高画質の写真は撮れておらず、採集もできませんでした。
なんとなく、ウスバキトンボ♀(Pantala flavescens)ではないかと思うのですが、どうでしょうか。

図鑑『日本のトンボ』でウスバキトンボの産卵を調べると、

交尾後は連結態のまま広範囲に飛び回り、間欠的に打水産卵する。♀は単独でも産卵し、♂が警護飛翔を行うこともある。(p451より引用)

ウスバキトンボだとすると、今季に世代交代をしながら北上してきたのでしょう。
南方性のトンボですから、ここ北国では幼虫(ヤゴ)が卵から孵化しても越冬できず死滅してしまいます。

ウスバキトンボ?♀の単独打水産卵を240-fpsのハイスピード動画でも撮ってみました。(@0:16〜)
飛行中は脚を畳んで体に引き付け、空気抵抗を減らしています。
ホバリング(停空飛翔)で狙いを定めると、羽ばたきを一瞬止めて自由落下でスーッと高度を下げます。
墜落しないように再び羽ばたき始めると同時に腹端が下がり、その勢いで水面を叩いて腹端から産卵します。
浅い水溜りに打水産卵する度に水面に波紋が広がります。
水溜りの岸辺に近い浅い所を狙って産卵しているような印象を受けました。
決して深い中央部では産卵していません。

♀が単独で産卵中に近くで警護しているはずの♂が見当たらないのも不思議です。
撮影中は気付かなかったのですが、もしかすると水溜りの奥の草に止まっている赤っぽくて細長い物体(ピンぼけ)がウスバキトンボ♂ですかね?

※ 動画編集時に自動色調補正を施しています。



2019/01/03

シャグマユリの花から離着陸を繰り返して縄張り占有するアキアカネ成熟♂【HD動画&ハイスピード動画】



2018年9月下旬

農村部の物置小屋の前に咲いたトリトマ(別名シャグマユリ)の花穂の天辺にアキアカネSympetrum frequens)成熟♂が止まっていました。
腹部が赤く色づいて「赤とんぼ」になっているのは性的に成熟した証です。
花穂からときどき飛び立っても、またすぐに舞い戻って来ます。
見晴らしの良いここを縄張りの拠点として、交尾相手の♀や獲物が飛来するのを待ち構えているようです。


(アキアカネの)成熟♂は朝方に草地や樹上で探雌飛翔するほか、日中は水辺の植物や地面に止まって縄張り占有し、♀を見つけると捕えて交尾する。(『日本のトンボ』p389より引用)

止まったまま時間が経っても、翅を深く下げた休息姿勢になりません。
翅を水平よりやや持ち上げた姿勢のままで、いつでも飛び立てる臨戦状態を保っています。
大きな複眼のある頭部がときどきグリグリと動き、辺りを油断なく見張っています。

ちなみに、ときどきバーン!と聞こえるのは、銃声ではなく近くの田んぼに設置されたスズメ追いの爆裂音です。

▼関連記事
収穫前の田んぼからスズメ(野鳥)を追い払う爆音機♪
この爆裂音が鳴ってもアキアカネ♂は驚いて逃げたりしませんでした。
もうすっかり慣れてしまって気にならないのか、それともトンボは聴覚があまり発達していないのでしょうか。

アキアカネ♂の離着陸や飛翔シーンを240-fpsのハイスピード動画でも撮ってみました。(@1:11〜)
離陸シーンでは、前方に飛び出すだけでなく、いきなり急上昇することも斜め後方に飛び上がることもありました。
縄張りを軽く一回りした後、シャグマユリの花穂に近づいてホバリング(停空飛翔)しながら畳んでいた脚を広げて着陸します。
花穂に止まる向きが決まっているせいか、着陸時はいつも同じ方向からアプローチしています。
戻ってきたアキアカネ♂をよく見ても、獲物は何も捕らえていません。

渡辺守『トンボの生態学』によると、

ノシメトンボの採餌飛翔の経路は、静止場所の上空を通過しようとする小昆虫に向かってほぼ一直線に飛翔し、捕獲成功の有無にかかわらず空中で反転し、もとの静止場所に戻ってくるという8の字型である。(p48より引用)

今回のアキアカネ♂の行動も採餌飛翔(捕獲失敗)の繰り返しなのかもしれませんが、もう少し引きの絵で撮らないと飛翔経路が8の字型になっているかどうか分かりませんね。

※ 動画編集時に自動色調補正を施しています。

余談ですが、この園芸植物の「トリトマ」という呼称は旧属名から来ているらしいので、そのうち使われなくなりそうです。
現在の分類体系ではユリ科Tritoma属ではなくツルボラン科Kniphofia属とのこと。


アキアカネ成熟♂@シャグマユリ花序天辺+縄張り占有
アキアカネ成熟♂@シャグマユリ花序天辺+縄張り占有
アキアカネ成熟♂@シャグマユリ花序天辺+縄張り占有

2018/11/16

夜明けの山中を群れで飛ぶ謎のヤンマ【暗視動画&HD動画&ハイスピード動画】



2018年8月中旬・午前4:49〜5:18(日の出時刻は4:51)

里山で定点観察しているコナラの樹液酒場を夜明け直前に観察していたら、耳元で聞こえる昆虫の羽音が気になりました。
樹液目当てに飛来したスズメガ類がホバリング(停空飛翔)しているのかと初めは想像したのですが、振り返ってみるとその正体は意外にもトンボでした。
丑三つ時の里山に登ってきた今回の定点観察で一番興奮した収穫はこれでした。
通い慣れたフィールドも、時間帯を変えてみると新たな発見がありますね。

暗がりで目を凝らすと大型のトンボなので、おそらくヤンマの仲間でしょう。
まずは赤外線の暗視カメラで撮ってみました。
「群飛」と呼べるほどではありませんが、複数個体が代わる代わる飛来し、林縁のコナラ樹液酒場のすぐ横をひたすら往復しています。
撮影地点は林道の横の崖を少し登ったところです。
斜面の山側は雑木林で少し藪になっているのですが、トンボは林の奥には行かずに、開けた谷側(林道沿い)を好んで飛んでいるようです。

コナラの樹液酒場に群がる小さなショウジョウバエなどを捕食しに来たのでしょうか?
それとも樹液とは無関係で、明け方に林縁を飛んで往復する習性があるのかもしれません。
現場の近くに沢や水場はありませんでした。

東の空に太陽が昇り少し明るくなったので、通常のHD動画に切り替えました。(@1:32〜)
実際は未だ暗いのですけど、動画編集時に自動色調補正を施して、無理やり明るく加工しています。

明け方の雑木林の林縁を飛んで往復するヤンマ類を240-fpsのハイスピード動画でも撮ってみました。(@1:59〜)
どこに置きピンするか難しいのですが、適当です。
光量不足でかなり粗い画質です。
スローモーションで見れば、暗くて羽ばたきは分からなくともトンボであることは確実です。


井上清、谷幸三『トンボのすべて 第2版改訂版』によると、

これらの種はおもに日中は藪陰などで眠っていて、夕方薄暗くなりかけ、気温が下がり始めると飛び出します。これを黄昏飛翔(たそがれひしょう)と言います。この時間帯に飛ぶ小昆虫を摂食するためですが、交尾する種もあります。黄昏飛翔は夜明け前の薄暗い時間帯にも見られます。
 黄昏飛翔は大空を駆けめぐる種ばかりでなく、低いところを忙しく飛び回る種にも見られます。カトリヤンマは昼間は藪陰で眠っていて、夕方になると木立に囲まれた農家の庭先や軒先などに出てきて忙しく低く飛び回って蚊を食べます。ミルンヤンマは丘陵地の道路の上を低く飛ぶのが見られます。アメイロトンボやオオメトンボ、コフキオオメトンボなどは暗い池の上を低く飛び、産卵に訪れる♀を待ちます。(p91より引用)



帰宅後に、黄昏飛行するトンボを図鑑『日本のトンボ』で検討してみました。


カトリヤンマは、東北地方ではほぼ絶滅している。
マルタンヤンマは山形県には分布しない。
今のところ有望な候補としては、ミルンヤンマとコシボソヤンマが考えられます。
特に、ミルンヤンマは過去にこの里山の麓で撮影しています。

▼関連記事
ミルンヤンマ♂

生態学の基本的な用語に「ニッチ」という考え方があります。
生き物は環境を空間的に細分化して住み分けているだけでなく、時間的にも住み分けて共存しているのです。
里山の全く同じ場所を昼行性の昆虫、夜行性の昆虫、薄明薄暮性の昆虫が住み分けています。

薄暗がりを飛び回るトンボをストロボ写真に撮って同定する芸当は私には無理そうです。(ピントを素早く合わせられない)
捕虫網を持参して採集し、謎のトンボの正体を突き止めるのが、来季の宿題です。
もし樹液酒場に集まるハエなどを目当てにトンボが飛来したのであれば、捕食の瞬間を動画に撮りたいところです。
しかし私は、トンボが嗅覚に優れているという話を聞いたことがありません。
トンボは、樹液の発酵臭と獲物の多さを関連付けて学習、記憶することが可能なのでしょうか?



午前5:16に測った現地の気温は21℃でした。

ちなみに月齢は1.7とほぼ新月の状態で月の出は午前6:37でした。
したがって、撮影時刻に月明かりはありません。


【追記】
渡辺守『トンボの生態学 (ナチュラルヒストリーシリーズ) 』という分厚い専門書を拾い読みしてみたところ、残念ながら「黄昏飛行」を特別に扱った章はありませんでした。
むしろ筆者は少し否定的なニュアンスで書いていたのが印象的でした。
前に読んだ井上清、谷幸三『トンボのすべて』と見解の違いがあるようです。

成虫が夜間に活動する種も存在し、ときどき灯火採集の光に引き寄せられている例があったという。確かに、海や大きな湖で、夜間に航行中の船舶の明かりに飛び込んできた個体は長距離を飛翔中といえ、実際に夜に「渡りをする種」も存在する。しかし、偏光に対する感受性が強く、黎明薄暮時にも採餌活動ができるからといって、月光を利用した採餌活動を主たる栄養源にしている種が存在すると結論づけるには無理があろう。夜間の活動は特殊例といわざるをえない。大多数の種は昼行性であり、それぞれの種で、独自の日周活動パターンをもっていると考えるべきである。 (p77〜78より引用)


2018/11/15

池で縄張り占有飛翔するギンヤンマ♂



2018年8月下旬

池でギンヤンマ♂(Anax parthenope julius)が縄張り占有飛翔していました。
一瞬の飛翔シーンを1/5倍速のスローモーションでリプレイ。
水面近くを低く飛ぶトンボを試しに流し撮りしてみたら、意外と上手く撮れ、ギンヤンマ♂と判別できました。

この池はアオコが発生して緑色に濁っており、水質は決して良くありません。
この程度の池でもギンヤンマが暮らしているのですね。

(ギンヤンマの)成熟♂は日中、池沼の上を飛んで縄張り占有し、他の♂が侵入すると激しく追い払う。(中略)朝夕の薄暮時には摂食飛翔を行う。(『日本のトンボ』p207より引用)


チゴハヤブサ親鳥に餌乞い♪し、ヤンマを給餌してもらう幼鳥(野鳥)



2018年8月中旬


▼前回の記事
チゴハヤブサ幼鳥にヤンマを給餌する親鳥(野鳥)

チゴハヤブサFalco subbuteo)の止まり木に更に少し近づいたのですが、相変わらず逆光で後ろ姿です。

飛んで来る親鳥の姿を見つけた3羽の幼鳥が嬉しそうに餌乞いを始めました。
近づいた甲斐あって、キーキーキー♪という幼鳥の甲高い鳴き声が聞こえるようになりました。
ヒノキ横枝の止まり木で幼鳥が方向転換してくれたおかげで、赤褐色の脛毛をかろうじて確認できました。
これでようやくチゴハヤブサと判明したのです。

飛来した親鳥が止まり木の下段に着陸すると、その右で待っていた幼鳥aが慌てて駆け寄り、巣外給餌を受けました。(@0:16)
私がこれまで観察してきた他の種類の幼鳥とは異なり、幼鳥が餌乞いする際に両翼を持ち上げる仕草をしないのが興味深く思いました。
シルエットから獲物は今回も大きなトンボで、おそらくヤンマの一種でしょう。
幼鳥aは足で獲物を押さえつけ、早速食べ始めました。
トンボの透明な翅を毟り取って捨て、肉を食べています。
さっきから幼鳥aばかりが続けざまに給餌を受けているのは親鳥の依怙贔屓にように思えますけど、兄弟の中で一番空腹な個体なのでしょう。
止まり木の上段に居る2羽の幼鳥b,cは、下段で給餌を受ける兄弟の幼鳥aをキーキー♪鳴きながら見下ろしているだけで、獲物を奪い取りには行きませんでした。

そこへ別個体が左から鳴きながら飛来しました。(@0:49)
ヒノキの梢をかすめるように高速で飛びましたが、止まり木のチゴハヤブサ家族群4羽に威嚇され、そのまま逃げたようです。
もう1羽の親鳥が家族の様子を見に来たのでしょうか?

幼鳥aはヤンマの胴体を美味そうに飲み込み、翅は下に捨てました。
食後も満足せず、左隣りで待っている親鳥に対してすぐに鳴いて♪おかわりを催促しています。
幼鳥aは餌乞いの合間に足元の枝で嘴を拭いました。

再び別個体が高速で飛来しました。(@2:03)
枯枝の上段と下段の間を猛スピードで通過しました。
親鳥かと思ったのですが、これは縄張り争いのような、威嚇の誇示行動なのでしょうか?
止まり木の家族群4羽は一瞬だけ警戒して迎撃態勢になりました。
このときに発したキーキーキー♪という警戒声は幼鳥の甘えるような餌乞いよりもテンポが早くて切迫しています。

やがて、止まり木の上段から一羽が急に左へ飛び去りました(@2:38)。
餌乞いしていたのでてっきり幼鳥だと思っていたのに、これで分からなくなりました。
(飛び去る様子をスロー再生しても、素人目には成鳥には見えません。)
巣立ち雛(幼鳥)の中でも発育の度合いに個体差があるのでしょう。

※ 動画編集時に自動色調補正を施しています。

つづく→止まり木の周囲で飛行訓練を繰り返すチゴハヤブサ幼鳥の群れ(野鳥)

【追記】
チゴハヤブサはこの辺りに多いドバトを襲って捕食するのではないかと予想したのですが、私が観察した捕食シーンや幼鳥への給餌メニューはいつも昆虫、特にトンボでした。
平凡社『日本動物大百科3鳥類I』でチゴハヤブサの習性を調べると、

食物としてはトンボやセミなどの飛翔性昆虫からスズメ、メジロ、ツバメなどの小鳥類、ヒヨドリやイカルなどの中型の鳥まで、すぐれた飛翔力をいかして空中で捕食する。 (p172より引用)




2018/11/11

チゴハヤブサ幼鳥にヤンマを給餌する親鳥(野鳥)



2018年8月中旬


▼前回の記事
親鳥に巣外給餌してもらい食後に脱糞するチゴハヤブサ幼鳥(野鳥)

チゴハヤブサFalco subbuteo)の止まり木に少し近づいてから撮影を再開。
相変わらず逆光のアングルでシルエットしか写っていませんが、幼鳥への巣外給餌を再び観察することができました。

ヒノキ横枝の下段に居る幼鳥aの右に再び親鳥が飛来し、狩ってきた獲物を幼鳥に与えました。(撮り損ね)
獲物はどうやらオニヤンマやギンヤンマなど大型のトンボのようです。
翅をむしったり肉をついばんだりする幼鳥の横(右)で親鳥が見守っています。
獲物を平らげた育ち盛りの幼鳥aが食べ残しを下に落とし、物足りないようで隣の親鳥におかわりを求めました。
餌乞いの鳴き声は周囲の喧騒で聞き取れませんでした。
催促された親鳥は、すぐにまた採餌に出かけました。(@0:55)

その間に新しい個体が飛来し、横枝の上段に居る幼鳥bのすぐ左に並んで止まりました。(@0:20)
幼鳥bに巣外給餌しなかったので、これは親鳥ではなく幼鳥cなのかもしれません。
逆光で羽根の色が全く分からないので、成鳥か幼鳥か見分けられないのです。
これで計4羽の家族群となりました。
親鳥の♀♂つがいは体の大きさで性別が見分けられるらしいのですが(♀>♂)、観察を始めたばかりで慣れていない私には未だよく分かりません。

※ 動画編集時に自動色調補正を施しています。

つづく→チゴハヤブサ親鳥に餌乞い♪し、ヤンマを給餌してもらう幼鳥(野鳥)



【追記】
平凡社『日本動物大百科3鳥類I』でチゴハヤブサの習性を調べると、
巣立ちして間もないヒナは親の姿を見つけると「キーキー」と鋭い声でくりかえし鳴いては食物を催促する。その後、1ヶ月から1ヶ月半ぐらい親鳥から給餌を受け、10月ごろ独り立ちする。 (p172より引用)



2018/10/07

止まり木から飛び立つ未成熟オオシオカラトンボ♂の羽ばたき【HD動画&ハイスピード動画】



2018年7月中旬

山麓の用水路沿いでオオシオカラトンボOrthetrum triangulare melania)の未成熟♂が枯れた小枝の先に止まっていました。
翅を深く下げて休息中です。
頭部をグリグリ動かして、大きな複眼で辺りを油断なく見回しています。
体色は♀と同じですが、腹端が大きく膨らんでいないので未成熟♂ですね。

▼関連記事
飛べ!オオシオカラトンボ♂【HD動画&ハイスピード動画】


飛び立つ瞬間を狙って240-fpsのハイスピード動画で撮ってみました。
後半は更に1/5倍速のスローモーションでリプレイ。
物を投げつけて飛び立たせたら、同じ小枝には戻って来ませんでした。
離陸直後に脚を胴体に引き付けて畳み、空気抵抗を減らしています。

※ 動画編集時に自動色調補正を施しています。





2018/09/01

飛べ!オオシオカラトンボ♂【HD動画&ハイスピード動画】



2018年7月上旬

オオシオカラトンボ♂(Orthetrum triangulare melania)が水たまりのある農道脇の草むら(枯れ茎など)に止まっていました。
枯れ茎のてっぺん付近に止まり、翅を深く下げて休んでいます。
大きな複眼の付いた頭部が時々ぐりぐりと動いています。

飛び立つ瞬間を狙って240-fpsのハイスピード動画で撮ってみました。(@0:15〜)

井上清、谷幸三『トンボのすべて(第2改訂版)』によれば、

トンボは前翅と後翅を互い違いに上げ下げできるので、真っ直ぐに飛べるし、またヘリコプターのように空中の同じところでじっと飛び続けること(ホバリングといいます)もできます。止まっていて急に飛び立つときには、両方の翅を一緒に打ち下ろし、高速度で逃げたり餌を追いかけたりもできます。(p90より引用)


飛び立っても大体同じ場所に止まるので、縄張りがありそうです。

※ 動画編集時に自動色調補正を施しています。


▼関連記事
止まり木から飛び立つ未成熟オオシオカラトンボ♂の羽ばたき【HD動画&ハイスピード動画】


オオシオカラトンボ♂@枯茎

2018/05/20

ノシメトンボ♀♂の交尾と連結打空産卵



2016年9月下旬

稲穂が実る田んぼでノシメトンボ♀♂(Sympetrum infuscatum)が尾繋がり状態で飛びながら卵をばらまいていました(連結打空産卵)。
タンデムで停空飛翔(ホバリング)し、卵をほぼ同じ地点に何度も繰り返し産み落としています。
飛翔中は空気抵抗を減らすために、脚を体に引き寄せていることが分かります。
稲穂に別の♀♂カップルが止まって交尾しています。

稲田のあちこちでノシメトンボ♀♂が何組も同様に産卵していました。

図鑑『日本のトンボ』によると
(ノシメトンボは)連結産卵から♀単独での産卵に移行することも多く、♂が近くを飛んで警護する
らしいのですが、単独産卵は未だ見たことがありません。

▼関連記事(丁度2年前に撮った映像は短いので、撮り直しました。)
ノシメトンボの連結打空産卵

ノシメトンボ♀♂@飛翔+連結打空産卵
ノシメトンボ♀♂@飛翔+連結打空産卵+交尾

2018/04/16

交尾しないニホンカワトンボ♀♂の謎



2016年6月上旬

用水路沿いの草むらでニホンカワトンボ♀♂(Mnais costalis)が同じ笹の葉で隣り合うように止まっていました。
同じ方向を向いて止まっています。
橙色翅型の成熟♂が翅を開閉したのは♀へのアピールでしょうか。
しかし冒頭で一度やっただけで止めてしまいました。
無色翅型の♀は翅を閉じたまま静止しています。

目の前に居る♀に対して♂が求愛交尾を始めないのは不思議でなりません。
「据え膳食わぬは男の恥」じゃないの?
図鑑『日本のトンボ』でニホンカワトンボの配偶行動について調べると、

橙色翅型の♂は水辺の植物や石に止まって縄張り占有し、近づく♂を激しく追い払う。♀が現れると目の前でホバリングして求愛した後、連結して移精、交尾を行う。(p37より引用)

右側に居る♀は性的に未熟なのか、それとも未成熟な透明翅型♂(♀に擬態したスニーカー♂[間男]※)なのでしょうか?
右側の個体の腹端の形状は、閉じた翅に隠れて分かりづらいものの、素人目には♀だと思います。

※ サテライト
[英satellite]
【同】衛星雄
なわばり防衛や求愛などを行わず,他の雄の繁殖努力に便乗して,あるいはその隙をついて繁殖を行う雄個体.ただしこの語の用法は研究者によってかなり異なる.例えば,ブルーギル・サンフィッシュの繁殖戦略を研究したM.Grossは,水草の陰に潜んでいて,産卵放精中のペアを見つけると突進して放精する小形雄をスニーカー(sneaker),そのような行動をスニーキング(sneaking)とよび,その後成長して雌擬態によって繁殖中のペアに近づくようになったものをサテライトとよんで区別した.しかし,両者を特に区別せず用いたり,またギンザケにおける同様な雄をジャック(jack)とよび,またブルーヘッドベラやササノハベラの一次雄が雌とペア産卵している二次雄のところに突進する行動をストリーキング(streaking)とよぶなど,対象動物によって固有の用語をあてることも多い. (岩波『生物学辞典 第4版』より引用)
カワトンボ科カワトンボ属に関して、ここ東北地方はニホンカワトンボの単独生息域であり、橙色翅型♂、無色翅型♂および無色翅型♀の組み合わせが同所的に見られるそうです。(図鑑『日本のトンボ』p41より)

もしかすると、交尾、産卵も済ませた♀♂ペアが別れて休んでいるのかな? (しかし、♂は用済みの♀をすぐに縄張りから追い払いそうな気がします。)

直後に私は別の被写体に気を取られてしまい、気になる♀♂ペアのその後の顛末を見届けられませんでした。



▼関連記事 
ニホンカワトンボの情事
この動画を見直すと、今回見た行動は交尾直後の束の間の休息だったのかもしれません。


2018/04/15

睡蓮の葉で翅を開閉誇示するハグロトンボ♂



2017年7月下旬

白いスイレンの花が咲いていた池でハグロトンボ♀(Calopteryx atrata)が葉に止まって翅を開閉していました。
ハグロトンボが地上で翅を繰り返し開閉するのは、縄張りを主張する誇示行動なのだそうです。
ちょっとフォトジェニックな映像になりました。
一向に飛び立つ気配がありません。

『日本のトンボ』でハグロトンボの習性を調べると、
成熟♂は日中、川辺の植物や石に静止して縄張り占有する。気温の高い日には、時おり翅をパッと開く。 (p47より引用)

▼関連記事
ハスの葉で翅を開閉誇示するハグロトンボ♀




2018/04/04

ミヤマアカネ♀♂連結打水産卵からの♀単独打水産卵



2017年9月上旬・午後12:13〜12:16

正午過ぎに街中の側溝でミヤマアカネ♀♂(Sympetrum pedemontanum elatum)が連結飛翔しながら連続で打水産卵していました。
用水路を流れる水深はかなり浅かったです。
産卵地点は流れの中央ではなく、コンクリートの護岸付近のようです。(死角でうまく撮れず)
本種は卵で越冬するそうです。

しかし、こんな水草も生えていない殺風景なコンクリート三面張りの水路に産卵しても、無事に孵化してヤゴが育つとは思えません。
冬は融雪溝として使われるため水量が激増し、大量の雪が連日投下されるからです。

やがて、この♀♂ペアは尾繋がりを解消してしまいました。
私が近づいたから焦って連結が外れてしまったのかと申し訳なく思ったのですけど、後に本種の産卵習性を知るとどうやら自然に別れたようです。
驚いたことにミヤマアカネ♀は単独でも産卵を続け、♂はその近くでホバリング(停空飛翔)しながら警護していました。
本種は分かりやすい性的二形(雌雄異型)なので、観察しやすくて助かります。
成熟した♂は目にも鮮やかな「赤とんぼ」ですが、♀は地味な黄色っぽい体色です。

その後、♀だけが近くの路上で暫し休息(日光浴?)しました。
私が♀の写真を連写している間に♂の姿を見失ってしまいました。
次の♀を探しに行ったのかもしれません。


図鑑『日本のトンボ (ネイチャーガイド)』でミヤマアカネについて調べると、まさに観察した通りの産卵行動が書いてありました。

交尾後のペアは連結態のまま浅い流れを訪れ、水面や泥面を腹端で打って産卵する。♂の警護飛翔を伴い、♀が単独で産卵することもある。飛翔中は翅の模様がちらつくように目立つ。(p405より引用)

wikipediaでも同様の記述でした。

産卵は打水産卵または打泥産卵で、緩やかで浅い流れの上を通常は雌雄が連結して行う。流速が早い場所、水深の深い場所は産卵には適していないようである。産卵の途中で「キ」の字に連なったまま植物などにつかまり休息することも多い。その後連結を解いて雌の単独で産卵に移行することもあり、その場合は短時間ではあるが雄が上空で警護飛翔をする。


ミヤマアカネ♀♂@用水路+連結打水産卵
ミヤマアカネ♂@用水路+警護飛翔
ミヤマアカネ♀@路上+休息:産卵直後

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