2011/09/16

オニヤンマ♀の挿泥飛翔産卵



2011年9月上旬

湿地の横の遊歩道を歩いていたら、何やらシャラシャラ音がします。
辺りを見回すと、飛びながら産卵しているトンボの羽音でした。
同定用の写真は撮れていませんが、おそらくオニヤンマ♀(Anotogaster sieboldii)だと思います。
交尾後も♂と「尾繋がり」することなく、♀単独で産卵します。
ホバリングしつつ気に入った場所に繰り返し尾端を突き刺して産卵する傾向があるようです。

激しい運動に疲れたのか、♀は一度湿地に着陸して少し休みました。
一息つくとすぐに産卵を再開しました。

産み終わって♀が飛び去るまでを映像に収めました。


2年前に撮った動画の記事はこちら→「オニヤンマ♀の連続打水産卵


【追記】
井上清、谷幸三『トンボのすべて(第2改訂版)』によると、
オニヤンマの♀は浅くて細い流れの上にやってくると、空中で少しホバリングしたあと、突っ立った姿勢のままストンと落下し、腹の先より突き出ている生殖弁を砂泥底に突き立てて産卵し、すぐ飛び上がり、また落下して産卵する。この動作をリズミカルにストンストンと繰り返します。(p69より引用)



【追記2】
(オニヤンマの)♀は♂に見つからないようにそっと静かな流れに入り、懸命にホバリングしながら体を垂直にして(泥の中に:しぐま註)産卵する。
♀は産卵中、♂に見つかると、連結されてどこかへと連れ去られ、産卵を中断させられてしまうことがある。そのため、懸命にホバリングして、大急ぎで産卵する。(p61より引用)
トンボの生態を記述した本で単独産卵中の♀に対する♂のハラスメントに言及している例は珍しいので、忘れないように抜書しておきます。
私は未だそのような事例を観察したことがありません。
オニヤンマは交尾後も尾繋がり状態のまま産卵したり、♂が♀の警護を続けたりしないので、交尾後の♀は♂のセクハラに悩まされることになるのでしょう。
産卵中の(オニヤンマ:しぐま註)♀を見つけた♂は、その後方で数秒ホバリングしたのちつかみかかって連結し、樹上へ連れ去って交尾する。交尾は2時間以上に及ぶ。(図鑑『ネイチャーガイド 日本のトンボ』p291より引用)
産卵を邪魔される♀の機会損失があまりにも大きいので、いずれ何か対抗戦略を進化させそうな気がします。
そもそもオニヤンマ♂は交尾後にどうして♀を警護しないのでしょう?





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