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2025/09/15

アナグマ母子の営巣地を夜にこっそり横切るイエネコ(キジトラ白足袋)【トレイルカメラ:暗視映像】

 



2024年7月上旬・午前4:15頃・気温22℃・日の出時刻は午前4:20。 

ニホンアナグマMeles anakuma)の母子家族が転入した営巣地(セット)を自動撮影カメラで見張っていると、日の出直前に近所のイエネコFelis silvestris catus)がやって来ました。 
足先だけが白いキジトラ模様の個体で、久しぶり(約1ヶ月ぶり)の登場です。 

二次林内の獣道を左から右へこっそり通り抜けました。 
アナグマの家族が暮らしている巣口Lには立ち寄ろうとしませんでした。 


つづく→

2025/09/14

ニホンアナグマの幼獣が母親♀に尻を擦りつけて匂い付け(アロマーキング)【トレイルカメラ:暗視映像】

 



2024年7月上旬・午後21:18・気温23℃ 

平地の二次林にあるニホンアナグマMeles anakuma)の営巣地(セット)をトレイルカメラで見張っています。 
母親♀がミズキの木の下にやって来ると、寝ころがって(横臥)砂浴びを始めました。 
幼獣が近寄って来ると、母親♀が念入りに対他毛繕いしてやります。 
後から来た幼獣は、母親♀の体に尻を擦りつけて匂い付け(アロマーキング)したようです。 
対物で行うスクワットマーキングによる縄張り宣言と似ていますが、アナグマの家族間で行う点が違います。
互いにアロマーキングし合うことで、結果的に家族内で各自の体臭を共有することになります。
「家族の絆」は嗅覚によって保たれているのです。


1.5倍に拡大した上でリプレイ(@1:00〜)。 


つづく→

2025/09/13

アンズの落果には目もくれず走り去るホンドテン【トレイルカメラ】

 

2024年7月上旬 

シーン0:7/5・午後15:20・晴れ(@0:00〜) 
明るい昼間にたまたま撮れた現場の状況です。 
アンズ(杏)の木の下に散乱していた落果を拾い集めて1箇所にまとめ、監視カメラを設置してみました。 


シーン1:7/8・午前5:10・日の出時刻は午前4:21(@0:06〜) 
早朝に夏毛のホンドテンMartes melampus melampus)が走って横切りました。 
1/3倍速のスローモーションでリプレイ。(@0:15〜) 
意外にも、テンはアンズ落果の山に興味を示さずに素通りしています。 
たまたま何か急ぐ用事があったのでしょうか?
それともアミグダリン(青酸配糖体の毒)による青酸中毒を恐れたテンが、アンズの落果がまだ完熟していないことを人目で見抜いたのかな?
しかし、その後監視を続けてもテンはアンズの落果を食べてくれませんでした。

本当はアンズの樹上に実った状態の果実を食べに来る野生動物を観察したかったのですが、夏の時期は葉が生い茂っているためトレイルカメラ1台では撮影しにくいのです。 
次善の策として、落果を餌として使いました。 
ホンドテンは木登りが得意ですから、アンズの木に登って熟果を自分で選んで食べるのかもしれません。 



※ 動画編集時に自動色調補正を施しています。

2025/09/12

ニホンアナグマの母親が夜の巣外で居眠りしている間に餌を探し回る幼獣【トレイルカメラ:暗視映像】

 



2024年7月上旬・午後20:12・気温28℃ 

ニホンアナグマMeles anakuma)の母親♀がお気に入りの休息場所(ミズキの木の下)で横たわり、1匹の幼獣がまとわりついています。 
その幼獣も母親♀から離れると、営巣地(セット)をうろつき始めました。 
他にも少なくとも2頭の幼獣がばらばらに二次林の中で餌を探し歩いています。 
(4頭目の幼獣は、どこかカメラの死角にいるようです。) 

育児にもだいぶ手がかからなくなり、母親♀は寝転んだまま目を閉じてうたた寝を始めました。 
しかし、完全に寝落ちするまえに目を覚まし、周囲を見回しました。 


2025/09/11

野ネズミはアンズの落果を食べるか?【トレイルカメラ:暗視映像】

 

2024年7月上旬〜中旬

シーン0:7/5・午後15:20・晴れ(@0:00〜) 
明るい日中にたまたま撮れた現場の様子です。 
郊外に1本だけ植栽されたアンズ(杏)の木から黄色く熟した果実が落ちて散乱していました。 
放置されたまま誰も収穫に来ないので、野生動物がアンズの落果を食べに来る様子を自動撮影カメラで監視することにしました。 
撮影しやすいように、落果を拾い集めてアンズの木の下の1箇所にまとめました。 
ニホンザルやタヌキ、テンが拾い食いするのではないかと予想しています。 
野鳥では果実食のヒヨドリが甘い果肉を啄むかもしれません。 
昆虫では昼間にスズメバチ類が飛来して果肉を齧るかな? 

ちなみに、アンズの木の横の草地に野生動物が座り込んだ形跡がありました。 
カモシカやイノシシのねぐらではないかと予想しています。
そっちも気になるのですが、トレイルカメラの数が足りないので、アンズ落果の方を優先することにします。 

この餌場に野ネズミ(ノネズミ)が夜な夜な通ってくる様子を以下にまとめました。 


シーン1:7/7・午前0:21(@0:05〜) 
深夜に1匹の野ネズミが登場しました。 
ごちそうの山に前足を掛けてアンズ落果の匂いを嗅いでいました。 

黒い徘徊性甲虫(種名不要:オサムシ? カミキリムシ?)も落果に誘引されていたのですが、少し離れているので野ネズミは暗闇で気づいていないようです。 
もし野ネズミが甲虫を見つけていれば、獲物として捕食したはずです。 
謎の甲虫は、アンズ熟果の傷に頭部を突っ込んで甘い果肉を食べているのでしょうか? 
(発酵した果汁を吸汁しているのかな? )

野ネズミは手前に立ち去りました。 
1.5倍に拡大した上でリプレイ。(@0:31〜) 


シーン2:7/8・午後18:45(@0:56〜)日の入り時刻は午後19:07。 
翌日も日没前の夕方に早くも野ネズミが餌場に来ていました。 
アンズ落果の匂いを嗅ぎ回り、少し味見したようです。 

しかし野ネズミは何かに驚いたのか、落果の山から手前に素早く飛び降りて姿を消しました。 
アンズ落果に野ネズミの歯型が残っているかどうか、食痕を確認すべきでしたね。 


シーン3:7/9・午後19:45(@1:39〜) 
その次の日も、晩に野ネズミがチョロチョロと餌場に登場しました。 
手前からアンズ落果の山に来ると、落果(腐果)を少し食べたようです。 


シーン4:7/10・午前0:44(@2:38〜) 
日付が変わった深夜に、野ネズミが再び登場。 
しかし、なぜか餌場には近寄らずに立ち去りました。 


シーン5:7/10・午前0:57(@2:56〜) 
約10分後に、野ネズミがアンズ落果の山に通りかかりました。 
ところがアンズにはあまり興味を示さず、林床をうろついて餌を探しています。 


シーン6:7/10・午前2:13(@3:18〜) 
アンズ落果の少し右、下草の陰に野ネズミが来ていたのですが、奥へ立ち去りました。 


シーン7:7/10・午前3:33(@3:40〜) 
野ネズミがアンズ落果の匂いを嗅いでいました。 
果肉を食べていると、画面の左下から黒い甲虫(種名不詳)が歩いて登場。 
ニアミスしたものの、アンズに夢中の野ネズミは甲虫には見向きもせず、何事もなくすれ違いました。 


シーン8:7/10・午前3:40(@4:40〜) 
野ネズミはアンズ落果の山の上で少し場所を変え、別な落果を齧っていました。 

最後に画面の上端の草むらから別個体の野ネズミが現れたようで、白い目が光っています。(@5:35〜) 
餌資源を巡って野ネズミ同士が争うのか、成り行きを見届ける前に残念ながら1分間の録画が終わってしまいました。 


シーン9:7/10・午前3:46(@5:40〜)
アンズ落果の山の上に野ネズミが陣取って、食事をしています。 


シーン10:7/10・午後19:01(@6:40〜) 
雨が降る晩に、野ネズミが餌場の左上エリアをうろちょろしていました。 


シーン11:7/11・午前3:30(@7:00〜) 
日付が変わった未明に野ネズミが左から登場。 
林床に鼻面を突っ込んで匂いを嗅ぎながら歩き回ります。 

ようやく餌場に来ると、腐りかけたアンズ落果を選んで食べ始めました。 


シーン12:7/11・午後20:22(@8:00〜) 
同じ日の晩にも野ネズミが餌場に来ていました。 
雨は止んでいました。 
アンズ落果の山に乗っていたカキノキ落ち葉の匂いを嗅いだだけで、左へ立ち去りました。 


シーン13:7/11・午後22:01(@8:28〜)
 約1時間40分後にも野ネズミが餌場の左下エリアをうろついていました。 
監視カメラの電池がだいぶ消耗しています。 


シーン14:7/12・午前4:21(@8:44〜)日の出時刻は午前4:23。 
翌日の日の出直前に登場した野ネズミは、アンズの腐果を少しかじっただけ(匂いを嗅いだだけ?)で立ち去りました。 


※ 動画の一部は編集時に自動色調補正を施しています。 


【考察】 
本当はアンズの樹上に実った状態の果実を食べに来る野生動物を観察したかったのですが、夏の時期は葉が生い茂って撮影しにくいのです。
次善の策として、落果を餌として使いました。

野生動物への給餌(餌付け)を、特に人家に近い場所でやるのは色々と問題をはらんでいます。 
しかし今回は、私が餌を外から持ち込んだのではありません。 
果樹の下に散乱していた落果を移動して一箇所にまとめただけなので、給餌には該当しません。 
(個々の移動距離はせいぜい数m。)
もちろん私はアンズの落果を1個も持ち去っていませんし、味見もしていません。
専門的にはアンズ落果のパッチ操作実験、資源配置操作実験、自然資源集積実験、落果集積実験などと色々な言い方をされるらしいのですが、ちょっとした実験の真似事をしてみたのです。 

野ネズミは初めなかなかアンズ落果を食べようとしませんでした。
監視カメラを警戒していたのではなく、アンズの落果が完全に熟するまで待っていたようです。 

結局、野ネズミはアンズの熟果を少し食べただけで、熱狂的に食い漁るほどではありませんでした。(期待はずれ)
野ネズミが慎重だったのは、アンズの未熟な果実や種子にはアミグダリンという青酸配糖体の毒が含まれていることを知っていたのでしょう。

発酵したアンズの果肉を食べすぎると、野ネズミはアルコールの過剰摂取で酔っ払うのではないか?、と予想したものの、酩酊状態は観察されませんでした。

ドングリやクルミなどの堅果だと野ネズミは持ち去って貯食するのですが、アンズの果実(核果)を運ぶことは一度もありませんでした。 


ちなみに後日(7月下旬)に定点観察すると、アンズ果肉が腐り果てた後に残された種子の多くがいつの間にか持ち去られていました。 
種子散布の過程を見逃してしまったことになります。
おそらく野ネズミの仕業(アンズの種子を貯食した?)だと思われますが、そこまで長期間トレイルカメラで見届ける忍耐がありませんでした。 


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2025/09/10

夜の営巣地で寝転んで土を浴びるニホンアナグマ♀【トレイルカメラ:暗視映像】

 



2024年7月上旬

シーン0:7/2・午後13:03・くもり・気温33℃(@0:00〜) 
シーン0:7/2・午後13:38・くもり・気温33℃(@0:03〜) 
明るい時間帯にたまたま撮れた現場の状況です。 
平地の二次林でニホンアナグマMeles anakuma)の母子(母親♀と4頭の幼獣)が暮らす営巣地(セット)を2台の自動撮影カメラで見張っています。 


シーン1:7/2・午後20:07・気温21℃(@0:07〜) 
晩に母親♀が定位置のミズキの木の下に座り込むと、次々に駆け寄って来る幼獣に対他毛繕いを始めました。 
赤外線の暗視映像で見ると、母親♀は左右の目(タペータム)の大きさが違う(右目<左目)のが特徴です。 
腹面には乳房や乳首が見えます。

ときどき母親♀は砂浴びをします。 
寝転んだまま前足で地面を掻き、土を自分の腹に掛けるのです。 

立ち上がった♀が伏せて左を凝視しました。 
その視線の先から、最後の(4頭目の)幼獣がセットに戻ってきました。 


シーン2:7/2・午後20:08(@1:07〜) 
家族全員がミズキの下に勢揃いしました。 
母親♀は対他毛繕いの合間に、また砂浴びを始めました。 
(実際にはアナグマ♀が浴びているのは砂ではなく、サラサラの表土です。) 


シーン3:7/2・午後20:09(@2:07〜) 
母親♀が相変わらず定位置で独り砂浴びを繰り返しています。 
ときどき目を閉じてうたた寝しているようです。 

コウモリがセットの上空を飛び回っています。 
アナグマの家族はコウモリに全く気づいていないのか、無視しています。 

散開して遊んでいる幼獣の中に、自分で体を掻いたり毛繕いしたりしている個体がいます。 


シーン4:7/4・午後21:18・気温23℃(@3:07〜) 
2日後の晩にも、母親♀がミズキの木の下に寝ころがり(横臥)、砂浴びを始めました。 


【考察】 
営巣地(セット)の中でもミズキの下の表土がよほど砂浴びに適していて、お気に入りなのでしょう。 
砂浴び中の母親♀は意外にがさつで、近くにいる幼獣に土が掛かっても気にしません。 
幼獣は嫌がって逃げていきます。 
母親♀の左右非対称な目が眼病だとすれば、穴掘りや砂浴びで目に土や雑菌が頻繁に入ることが原因ではないかと勝手に想像しているのですが、どうでしょう? 

私はまだ砂浴びをする幼獣を一度も見たことがありません。
今のところ、成獣に特有の行動です。 
幼獣が砂浴びするようになったら、一人前になった証かもしれません。




2025/09/09

砂防ダムでレスリングしたり、オニグルミの木に何度も跳び移ったりして遊ぶ若いニホンザル

 

2024年6月中旬・午前11:05頃・晴れ 

山麓の砂防ダムに集まっているニホンザル♀♂(Macaca fuscata fuscata)の群れを観察しています。 

コンクリートの堰堤に居残って子猿2頭が取っ組み合いを始め、相手を組み伏せました。 
本気の喧嘩ではなく、ただの遊びです。 
ようやく離れた1頭aが、堰堤の右に自生するオニグルミの横枝に跳び移りました。 
猿の体重で横枝が大きくしなるスリルを味わっているようです。 
樹上の猿aは、幹を横に移動すると堰堤に飛び降りました。 

堰堤に残った個体♂bには、左上腕に黒くて大きなホクロがあります。 

仲間bのいる元の場所に戻ってきたと思ったら、aはすぐにまたさっきと同じオニグルミの横枝に飛び移り、アトラクションを何周も楽しんでいます。 
♂bも仲間aの後を追いかけるように、オニグルミの枝に飛び移りました。 

コンクリート堰堤の左奥には別のニホンザル母子も居ました。 
その母親も堰堤の右に生えたオニグルミ灌木に跳び移りました。 
堰堤に取り残された子猿は、揺れるオニグルミの枝葉を手で掴もうとしています。 

最後はおまけで、毛繕いしていたシーンも追加しておきました。

2025/09/08

昼間にニホンアナグマの幼獣4頭だけで遊んで留守番【トレイルカメラ】

 



2024年6月下旬

シーン1:6/30・午前9:14〜午後14:59・くもり後雨 

ニホンアナグマMeles anakuma))の母子が暮らす営巣地(セット)を自動センサーカメラで見張っています。 
母親♀の姿が写っていないのに、昼間の営巣地で幼獣4匹だけが遊んでいる様子をまとめてみました。 

母親♀は独りで採食に出かけたのか、それとも疲れて巣内で寝ているのか、不明です。 

アナグマは基本的に夜行性だと言われているのに、幼獣は昼間でも巣外で活動するときがあるのです。 
幼獣たちだけで元気いっぱいに遊び回っていますが、巣穴からあまり離れることはありません。 
 疲れを知らない幼獣は、兄弟姉妹で取っ組み合いをしたり、追いかけっこをしたり、後足で立ち上がって木に登ろうとしたり、林床で餌を探したりしています。 


※ 鳴き声が聞き取れるように、動画編集時に音声を正規化して音量を強制的に上げています。 


2025/09/07

山中の水溜りに母親と一緒に来て水を飲むニホンカモシカの幼獣【トレイルカメラ】

 



2024年7月上旬

シーン1:7/1・午後12:25・雨・気温27℃(@0:00〜) 
山林にある湿地帯で湧き水が滲み出す水溜りを自動撮影カメラで見張っています。 
梅雨の時期なので雨が降り、水溜りの水量が増えました。 


シーン2:7/3・午後12:37・くもり・気温20℃(@0:04〜) 
ニホンカモシカCapricornis crispus)の母子が水場にやって来ました。 
母親が先導して、水溜りの横を通って湿地帯の泥濘を右から左へ横切りました。 
横から腹面を見ても♀の乳房や乳首が見えません。 

後続の幼獣は毛皮が白っぽく、たてがみが黒く、角は未だとても短いです。 
幼獣は喉が渇いているのか、水面の匂いを嗅ぎ、舌を出してペロっと舐めました。 
水を少し飲んだだけで、慌てて走って母親を追いかけます。 

母子ともに雨上がりで全身の毛皮が濡れていました。 

シーン3:7/3・午後13:12・くもり・気温21℃(@0:20〜) 
約35分後に、同一個体と思われるカモシカの幼獣が左から水場に戻ってきました。 
水際で頭を下げると、泥水を飲みました。 

幼獣は迷子になったのではなく、左奥の茂みの陰から母親♀が現れました。 
幼獣を待っている間に、母親♀は何か下草の葉をむしゃむしゃ食べていました。 
喉の乾きを癒やした幼獣が母親♀に駆け寄っても授乳しませんでした。 


※ 雨音や水を飲む音が聞き取れるように、動画編集時に音声を正規化して音量を強制的に上げています。 


【考察】 
ニホンカモシカの幼獣が水を飲んだということは、てっきり離乳した後なのだろうと推測しました。 
しかしPerplexity AIに問い合わせると、カモシカの幼獣は授乳期でも乳とは別に水を飲んで水分を補給する必要があるらしく、離乳後と決めつけることはできないのだそうです。 


つづく→

2025/09/06

セットで暮らすニホンアナグマの家族:6/30昼間の諸活動【トレイルカメラ】

 


2024年6月下旬 

6/30・午前9:08〜午後16:42 

ニホンアナグマMeles anakuma)は一般的に夜行性と言われていますが、私が営巣地(セット)で定点観察している母子(母親♀と幼獣4頭)は昼間も元気です。 
この日の特筆すべき行動は個別の記事で紹介済みなので、今回は残り物の映像をまとめました。 
それでも家族団らんの様子は微笑ましいですね。 
午後から一時雨が降りました。 

私がちょっと面白いと思ったシーンは、
シーン1:6/30・午前9:11・晴れ気温24℃(@4:00〜) 
母親♀が獣道から巣穴Lにゆっくり戻ってくる途中で立ち止まり、後足を広げて排尿マーキングしたようです。 
この地点でやるのは初見です。 
頭をカメラに向けているため、残念ながら肛門や尿道が見えません。 
排泄中に1頭の幼獣が近寄り、母親♀の尻の匂いを嗅いで身震いしました。 

その後、巣口Lまで来た母親♀がカカッ♪と鋭く鳴きました。(@4:44〜) 
その鳴き声を聞いた途端に周囲で遊んでいた幼獣3頭が巣口Lに位相で殺到したので、警戒声なのかもしれません。 
しかし、警戒の対象が何だったのか、分かりません。 
母親♀が幼獣を試した避難訓練だったのでしょうか。 
カカッ♪と鳴いた同じシーンが別アングルに設置した監視カメラでも撮れていました。(@3:44〜) 


※ 鳴き声が聞き取れるように、動画編集時に音声を正規化して音量を強制的に上げています。 


2025/09/05

ニホンザルの若い♂を巡って争う2頭の♀(非繁殖期のマウンティング)

 



2024年6月中旬・午前11:05頃・晴れ 

山麓の砂防ダム堰堤に5頭のニホンザルMacaca fuscata fuscata)が集まり、寝そべった1頭の♂の毛繕いをしています。
私に気づいて警戒した猿たちが解散したかと思いきや、対他毛繕いを受けていた若い♂が立ち上がって年上の♀aの背後からマウンティングしました。 
♀♂ペアが交尾?を始めると、周りの個体が慌てて離れていきます。 
マウントされた♀aは、背後の♂を仰ぎ見ることはありませんでした。 
また、♂はマウントしながら腰を動かす(ペルビック・スラスト)ことがなかったので、本当の交尾行動ではなさそうです。 
そもそもニホンザルの交尾期は主に秋から冬であり(10月~3月頃)、6月は出産期です。 
したがって、6月中旬に見られるマウンティング行動は、繁殖(交尾)目的ではないと考えられます。 

この若い♂個体の左上腕に黒い大きなホクロがあって、目を引きました。 
まさか人為的な入れ墨なのでしょうか? 
昔は野生動物の研究で個体識別するために入れ墨をした事例もあったそうなのですが、最近では廃れました。 
近年は顔や体の自然な特徴(ホクロや斑紋、傷、毛色など)や、AIによる顔認識技術を用いて識別するのが主流です。 
したがって、入れ墨ではなくて、生まれつきの黒子ほくろなのでしょう。 
今後の個体識別で使えそうな分かりやすい特徴です。 

この♂左腕黒子は、若いのに群れ内の順位が高いのか、それとも♂としてよほど魅力的なのか、周りの♀bがすぐに近寄ってきて機嫌を取るようにノミ取りを始めました(毛繕い)。 
さっき♂にマウントされた年上♀aも、寝そべった♂への対他毛繕いに参加したそうに、ノミ取りを覗き込んでいます。 

手前の茂みが撮影の邪魔なので、私はそっと移動して、堰堤の端から撮影を再開しました。 
幼い子猿たちは私に気づくと怖がって逃げていきます。 

堰堤に残った3頭(♂1♀2)の三角関係がとても興味深いです。 
若い♀bが♂左腕黒子の横に並んで対他毛繕いしようとすると、年上の♀aが嫉妬して、その間に何度もさり気なく割り込もうとするのです。 
遂に怒った(嫉妬に狂った?)♀aが、眼の前に居た若い♀bを攻撃し始めました。 
♀aがライバル♀bを掴まえようと襲いかかると、若い♀bは歯を剥き出し恐怖の表情(あるいはガーニーgurneyと呼ばれる服従の表情)をしながら必死で手前に逃げて堰堤の左下に降りました。 
しかし、逃げる♀bは悲鳴を上げませんでした。
「ガーニー(gurney)」は、サル類の行動学で使われる用語で、上下の歯を見せて口を横に大きく開く表情行動を指します。これは、リップスマッキング(唇をパクパクさせる親和的サイン)と並んで、服従や緊張緩和、親和的なコミュニケーションの場面でよく見られます。 ガーニーは、特に相手に対して敵意がないことや、優位性を認めていることを示すサインとして使われることが多く、**「服従の意を示す表情」**とも言われます。 (Perplexity AIの回答を引用)
♀同士の小競り合いを仲裁するかのように♂が年上♀aを追いかけ、背後から再びマウンティングしました。 
今回♀aは♂を仰ぎ見て、口をパクパクと動かしています(リップスマッキング)。 
怒った♀を宥める社会行動としてのマウンティングなんてあるのでしょうか? 
ニホンザルのマウンティングは、順位の確認だけでなく、個体の興奮や緊張をしずめる目的でも行われることがあるそうです。 

一連の三角関係を1/5倍速のスローモーションでリプレイ。(@1:29〜) 


※ ニホンザルの鳴き声が聞き取れるように、動画編集時に音声を正規化して音量を強制的に上げています。 


【考察】 
素人には解釈が難しい行動なので、この記事を書くためにPerplexity AIと問答を繰り返しました。 

交尾期(繁殖期)ではないので、性欲に駆られた行動ではないはずです。 
登場したニホンザルの尻を見ても、赤く発情していません。
したがって、今回の事件を面白おかしく「三角関係」と呼んでも良いのかどうか悩みます。 

♂はマウンティングの対象としては2回とも年上♀aを選んでいるので、♂が積極的に他の♀に浮気をしているようには見えません。 
それでも♀aは♂の寵愛を独占したいのか、ライバルの若い♀bに対して激しく嫉妬して追い払いました。 
♀aが♀bに割り込んだり威嚇したりする行動は、単なる「嫉妬」ではなく、♂との関係や自分の社会的地位を守ろうとする社会的競合の表れと考えられます。ニホンザル社会では、特定の個体との親和的な関係(毛繕い、接近、同席など)が他個体との間で競争の対象となることがよくあります。

今回の若い♂が群れ内で順位が高い(いわゆるボス猿、アルファ♂)のであれば、その♂と懇ろになった♀も自動的に群れ内での立場や順位が上がります。 
つまり、♀同士の権力闘争という側面もありそうです。
ニホンザルは母系社会で、オスは群れを移籍する一方、メスは生まれた群れで一生暮らします。そのため、メスの順位は主に母系を中心に決まりますが、特定の強いオスとの関係がメスの社会的地位向上に影響することもあります。 特に、アルファオスと親しい、あるいは多くのメスから注目されるオスと懇ろなメスは、群れ内での支持や優位を得やすくなります。ただし、順位関係は単純なものではなく、メス同士の家系的なつながりや群れの社会構造も複雑に関与しています。 また、オスの順位は戦いや競争で決まるだけでなく、メスの支持や社会的協力も重要な要素です。つまり、オスとメスの順位関係は相互に影響し合う社会的なものだと言えます。
しかし、今回2頭の♀が取り合った♂はボス猿(α♂)にしては若すぎる気がします。 
♀たちにとって、よほど魅力的な(優しいなど)♂なのでしょうか。
ニホンザルの社会において、順位の低いオスを巡っても、そのオスが特に魅力的であったり、優しい性格であったりする場合には、メス同士が争うことは十分にあり得ます。 理由としては、順位が低いオスでも、彼が持つ個別の魅力や社会的なつながり、例えば育児協力や防御の面で有利であることが評価されるためです。実際、繁殖相手としてだけでなく、社会的ネットワークや安全保障の観点から特定のオスを好むメスもいます。 また、順位の高いオスが必ずしも全てのメスから支持されるわけではなく、メス個体の選好や関係性が多様であることも知られています。そうした状況下で、順位の低いオスを巡ってメス同士が競合することは自然な社会的現象です。


知能の高いニホンザルは、生存のための基本的な行動以外にも社会生活が複雑です。

群れの全個体を識別した上で長期観察すれば、色々と面白いドラマが見えてくるはずです。

しかし、それだけでライフワークになってしまいます。

2025/09/04

昼間の営巣地で独り寝そべって欠伸するニホンアナグマ♀【トレイルカメラ】

 



2024年6月下旬 

シーン1:6/30・午前5:40・気温17℃(@0:00〜)日の出時刻は午前4:17。 

まだ少し薄暗い早朝に、ニホンアナグマMeles anakuma)の母親♀がミズキの根元に座って体を後足で掻いていました。 
やがてその場にゴロンと横になり、欠伸をしました。 
この時期はもう幼獣に授乳をしていませんが、腹面に乳房や乳首が見えます。 
仰向けに背伸びをしながら再び欠伸。 


シーン2:6/30・午前8:15・気温22℃(@0:31〜) 
約2時間半後、すっかり明るくなった時刻にもお気に入りの休憩場所で母親♀が横臥していました。 
林縁にも木漏れ日が落ちて暑そうです。 

途中で体を起こして痒い部位を掻いてから、再び横臥。 
やがて腹式呼吸以外の動きがなくなったので、寝落ちしたようです。 


シーン3:6/30・午後13:28・気温24℃(@0:56〜) 
昼下がりの時刻なのに、葉が生い茂った二次林の林冠が日光を遮っているために暗く、低照度に反応した監視カメラがモノクロで起動しました。 
(しかし暗視モードではなく、赤外線を照射していません。)
おそらく左の巣穴Lから出てきたと思われる母親♀が、巣口Rの手前で腹ばいになり、欠伸をしました。 
巣口Rを覗き込み、周囲を警戒してから、再び口を大きく開いて欠伸。 
ようやく巣穴Rに潜り込みました。 

今回の動画に幼獣は1匹も登場しませんが、4頭全員が巣内で寝ているのでしょう。 




【アフィリエイト】

2025/09/03

アナグマの営巣地に忍び込み排尿マーキングして帰るホンドタヌキ♀♂【トレイルカメラ:暗視映像】

 



2024年6月下旬〜7月上旬

シーン0:6/26・午後13:46・くもり・気温31℃(@0:00〜) 
平地の二次林でニホンアナグマMeles anakuma)の母子が引っ越してきた営巣地(セット)を自動撮影カメラで見張っています。 

ホンドタヌキNyctereutes viverrinus)の登場シーンを以下にまとめます。 


シーン1:6/27・午前2:01・気温13℃(@0:04〜) 
深夜に獣道を左から単独で来たタヌキが、アナグマの巣口Lに忍び寄ると、匂いを嗅いでから恐る恐る中に侵入しました。 
巣穴Lに全身を潜り込ませる前に、後退で外に出てきました。 

獣道に合流する手前でマルバゴマギ灌木の根元に通りすがりに軽く排尿マーキングしました。 
このとき左後脚を持ち上げて小便したので、♂と判明。 
獣道を右に立ち去りました。 

アナグマの家族は巣内に籠城したまま出て来ません。 


シーン2:6/27・午前2:02・気温14℃(@1:04〜) 
別アングルに設置した監視カメラで、同一個体のタヌキ♂が排尿マーキングしながらセットから立ち去る様子がちらっと写っていました。 


シーン3:6/28・午後22:20・気温19℃(@1:13〜) 
翌日の晩に右から来たタヌキの♀♂ペアの片方が、アナグマの巣口Lに忍び込みました。 


シーン4:6/28・午後22:20・気温18℃(@1:29〜) 
別アングルの映像に切り替えます。 
先行する♂個体が獣道を右に立ち去る際に、ミズキ立木の根元に左後脚を上げながら排尿マーキングして行きました。 

その間に、パートナーの♀が大胆にもアナグマの巣穴Lに侵入しました。 
及び腰の内見ではなく、奥まで入って完全に姿が見えなくなりました。 
その後の出巣Lシーンが撮れていません。 
アナグマの母親♀は不在なのか、不法侵入のタヌキが撃退されないのは不思議です。 
同じ穴のむじな)として仲良く同居できるのかな? 


シーン5:6/30・午後23:53・気温25℃(@1:42〜) 
2日後の深夜にもタヌキが単独で来たものの、ちらっと写っただけです。 


シーン6:7/2・午前6:05・くもり・気温18℃(@1:49〜) 
さらに2日後の早朝にタヌキが登場。 
獣道を右へゆっくり歩き去りました。 
画面の右端で立ち止まって身震いする姿が写っています。

今回もアナグマとのニアミスはありませんでした。 


つづく→

2025/09/02

深夜にニホンアナグマの幼獣4頭だけで遊んで留守番【トレイルカメラ:暗視映像】

 


2024年6月下旬 

シーン0:6/26・午後13:46・くもり・気温31℃(@0:00〜) 
ニホンアナグマMeles anakuma)の母子が暮らす営巣地(セット)を自動撮影カメラで見張っています。 


シーン1:6/30・午前1:52〜3:30・気温17℃(@0:04〜) 
母親♀の姿が写っていないのに、深夜の営巣地で幼獣4匹だけが遊んでいる様子をまとめてみました。 
母親♀は独りで採食に出かけたのか、それとも疲れて巣内で寝ているのか、不明です。 

幼獣たちだけで元気いっぱいに遊び回っていますが、巣穴からあまり離れることはありません。 
疲れを知らない幼獣は、兄弟姉妹で取っ組み合いをしたり、追いかけっこをしたり、後足で立ち上がって木に登ろうとしたり、林床で餌を探したりしています。 


※ 動画の一部は編集時に自動色調補正を施しています。 
※ 鳴き声が聞き取れるように、動画編集時に音声を正規化して音量を強制的に上げています。 


2025/09/01

ニホンザル♀の採食メニュー(アキノノゲシやノブドウの若葉、イモムシ、など)

 

2024年6月下旬・午前11:05頃・くもり 

山麓の農村部で広い裏庭の端っこにニホンザル♀(Macaca fuscata fuscata)が独りで座って休んでいました。 
猿は正面からチラチラと私を見ていますが、実際にはだいぶ離れているので落ち着いています。 
胸にあるやや長い乳首を見れば、経産♀と分かります。 
右手を腰に回してボリボリと掻きました。 

やがて立ち上がると、左へ歩き始めました。 
蔓植物ノブドウのマント群落の中に草丈高く伸びたアキノノゲシの柔らかな若葉を右手でむしり取ってムシャムシャと採食しました。(@1:00〜) 
アキノノゲシはレタスの仲間です。
ブランチの前菜は生野菜サラダから、という感じでしょうか。
初めはアザミの仲間かと思ったのですけど、アザミににしては葉に鋭いトゲがありません。 
その場に再び座り込むと、何かを選び取って食べたのですが、カメラに背を向けているのでよく見えません。 
ノブドウの若葉も少しだけ味見しました。(@2:19〜) 

ニホンザルは菜食主義ではなく、雑食性です。 
ノブドウの蔓にしがみついている緑色の芋虫(蛾の幼虫)を見つけると、蔓ごと左手で引き寄せて捕食しました。(@1:20〜) 
濃い緑色の苦い内臓(おそらく糞の詰まった腸)は吐き捨てました。 
他にもあちこちの植物から虫を手で器用に摘みとって食べています。 
最後にヨモギの株からも何か小さな虫を捕食したようです。(@2:24〜) 
例えばヨモギハムシかもしれない、と推測したのですが、食べても苦くないのかな? 
ニホンザルは、なかなかバランスの取れたメニューを食べているようです。


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2025/08/31

セットで暮らすニホンアナグマの家族:6/30夜の諸行動【トレイルカメラ:暗視映像】

 


2024年6月下旬

平地の二次林でニホンアナグマMeles anakuma)の母子家族(母親♀と幼獣4匹)が暮らす営巣地(セット)を自動センサーカメラで見張っています。 
6/30夜の活動をまとめました。 
前半は深夜から未明にかけて(午前1:58〜3:27)、後半は雨が降る晩(午後18:56〜19:17)の様子です。

アナグマは基本的に夜行性らしく、幼獣たちも元気いっぱいです。 
疲れ知らずの幼獣は、4頭の兄弟姉妹で互いに鬼ごっこをしたり取っ組み合いをしたりして、ひたすら遊んでいます。(追いかけっこ遊び、格闘遊び) 
林縁で株立ちしたミズキの根元付近がお気に入りの遊び場らしく、なんとか乗り越えようと頑張っている幼獣個体もいます(木登り挑戦?の遊び:例えば@4:00〜)。 
遊びながら幼獣がときどき吠える声がかすかに聞こえます。 

母親♀(右目<左目)は幼獣に対他毛繕いしてやったり、幼獣の遊び相手をしてやったりしています。 

林床をうろついて餌を探し回ったりしています。 
幼獣はもう離乳済みらしく、母親が採食に出かけると、幼獣も一緒について行きます。 

2つの巣口L、Rが並んでいますが、巣穴Lはほとんど使われておらず、巣穴Rに家族の居室があるようです。 


※ 動画の一部は編集時に自動色調補正を施しています。 
※ 鳴き声が聞き取れるように、動画編集時に音声を正規化して音量を強制的に上げています。 


2025/08/30

砂利道を歩き去り木に登るニホンザル♀

 

2024年6月中旬・午前10:55頃・晴れ 

麓の入山口から私が登り始めると、前方にニホンザル♀(Macaca fuscata fuscata)を発見。 
砂利が敷かれた林道を小走りで逃げて行きます。
道端の草むら(シロツメクサ群落)に立ち止まって座ると、振り返って私を見ています。 
ようやく警戒を解いて立ち上がると、乳首が目立つ若い♀でした。 
砂利道をゆっくり歩いて登ります。 
砂利道の左には白いガードレール、右には果樹園の電気柵が見えます。 

再びサルに追いつくと、おそらく同一個体だと思うのですが、道端の木の幹(樹種不明、落葉性広葉樹)をよじ登り始めました。 
樹冠の枝葉が激しく揺れ、猿の姿が見えなくなりました。

2025/08/29

転入した巣穴を拡張し、掘った土と一緒に古い巣材を外に捨てるニホンアナグマ♀【トレイルカメラ】

 



2024年6月下旬 

シーン1:6/30・午前10:53・気温27℃(@0:00〜) 
平地の二次林でニホンアナグマMeles anakuma)の母子家族が暮らす営巣地を自動センサーカメラで見張っています。 
 鬱蒼と生い茂る雑木の枝葉が日光を遮るために昼間でも薄暗い環境です。
トレイルカメラが自然光で撮れる限界照度の閾値付近では、モノクロとフルカラーで交互に録画される症状が出ます。 

巣外で4頭の幼獣が2組に別れて格闘遊びを繰り広げています。 
やがて、母親♀らしき成獣が巣穴Rから後ろ向きで外に出てきました。 
巣内の土や古い巣材を前脚で外に掻き出しているのです。 
手前のアクセストレンチに土を捨てると(排土)、再び巣穴Rに戻って穴掘りを再開します。 

その様子を間近で見学している幼獣個体は、将来のヘルパー♂候補なのかもしれません。 
(私は幼獣の性別を見分けられません。)


シーン2:6/30・午前10:55・くもり・気温27℃(@0:41〜) 
フルカラー録画に戻りました。 
2頭の幼獣が母親♀の後に続けて巣穴Rに潜り込んだせいで、穴掘り作業する母親♀の邪魔になっているかもしれません。 
幼獣はすぐに外へ出てきました。 


シーン3:6/30・午前10:56・くもり・気温28℃(@1:20〜) 
モノクロ録画に戻りました。 
アナグマの母親♀は、腐葉土と化した古い巣材を巣外に掻き出して、手前のアクセストレンチに捨てています。 


【考察】 
穴掘りしている成獣の後ろ姿で股間からブラブラと垂れ下がって見えるのは、♂の睾丸ではなく、♀の乳房です。 

アナグマ♀(シングルマザー)が女手一つで4つ仔を育てるワンオペ育児は大変そうです。 
ニホンアナグマの場合、重労働の巣穴掘り作業はヘルパー♂(同じ母親♀が前年に産んだ息子のうち選ばれた1頭)が分担するらしいです。
ところが、最近この営巣地に転入してきたのは母子(母親♀と当歳仔の幼獣4頭)だけで、男手が足りないのです。 


2025/08/28

ニセアカシア葉軸の毒味を繰り返すニホンザルの群れ

 

2024年6月中旬・午前11:10頃・晴れ 

山麓にある砂防ダムの堰堤に集まった3頭のニホンザルMacaca fuscata fuscata)に注目しました。 
成獣には胸に小さな乳首が見えたので、若い♀(ヤンママ?)のようです。 
授乳を経験すると♀の乳首は細長く伸びたままになります。
この3頭はおそらく母子で、子猿abは兄弟姉妹の関係なのだろうと推察しています。 

成獣♀がコンクリートの堰堤に落ちていたニセアカシアの落ち葉を手で拾い上げて匂いを嗅いだものの、口にしませんでした。 
背後にオニグルミの木が見えますが、葉の形が明らかに違います。 
次に成獣♀は眼の前に垂れ下がったニセアカシアの枝葉を引き寄せてむしり取り、葉柄の匂いを嗅いでから少し食べました。 
横に居る子猿もニセアカシアの葉柄を少し齧りました。 
ニセアカシアの丸い小葉ではなく、千切った葉柄の根元を少し食べています。 

突然、左から別の子猿dが乱入し、立ち上がってニセアカシアの枝葉を手で掴もうとするも失敗しました。 
自分が上下に跳躍するので、ニセアカシアの枝も一緒に揺れています。 
ニホンザルがよくやる威嚇の木揺すりディスプレイとは違うようです。 
枝に飛び移りたかったのかな? 
母親♀がその様子を横で呆れたように見ていて、はしゃいでいる子猿dを乱暴に掴んで堰堤に組み伏せ、強引に対他毛繕いを始めました。 
やんちゃ盛りの子猿dは、嫌がって母親♀から逃れようとしています。 

その右に独りで座っている子猿bが食べているのは、奥に見えているオニグルミの葉ではなく、やはりニセアカシアの葉でした。 

わんぱくな子猿dが母親♀から逃げながら、ニセアカシアの枝葉を拾って咥えました。 
母親♀がそれを追い回しています。 

その間に、手前で別個体の子猿bが立ち上がり、ニセアカシアの枝葉を引き寄せようとしています。 
しかし、枯れた枝葉しか毟り取れませんでした。 
母親♀がこの子猿bを歩いて追いかけ、毛繕いを開始。 


ニホンザルがニセアカシアを味味するシーンを1/5倍速のスローモーションでリプレイ。(@1:05〜) 


【考察】 
後で現場検証すると、ニホンザルが集まって居た砂防ダムの堰堤の岸にニセアカシア(別名ハリエンジュ)がオニグルミと並んで自生していました。 
今回ニホンザルがニセアカシアの小葉を食べそうで食べず、葉柄(葉軸の根元)をちびちびと齧るだけだったのが気になりました。 
実は数年前に観察したときも、ニセアカシアの木に登ったニホンザル♂は若葉と未熟な豆果を少ししか食べませんでした。 



いつものようにPerplexity AIに相談してみたところ、ニセアカシアには食害から身を守るための毒があるという衝撃の事実を教えてもらいました。 
私はそれまで有毒だとは知りませんでした。
A1: ニセアカシア(ハリエンジュ)の葉には毒性成分が含まれています。具体的には、葉、樹皮、枝、種子には「ロビン」や「ロビチン」といった毒素があり、これらによって家畜(特に馬)が中毒を起こすことが報告されています。人間が摂取した場合も過去に中毒例があり、吐き気や腹痛、下痢、呼吸困難、心拍異常などの症状が出ることがあります。 一方で、花には毒が含まれておらず、花だけは食用にされることもありますが、それ以外の部分は毒性があるため注意が必要です。ニセアカシアの葉をニホンザルが少しだけ味見するような行動は、この葉の毒性のために摂取を控えている可能性が高いと考えられます。 したがって、ニセアカシアの葉には毒が含まれており、ニホンザルが食べる量が少ないのは毒に対する本能的な回避行動である可能性が高いです。ニセアカシアの葉を摂取すると、中毒症状を引き起こす可能性があるため、摂取は控えられる傾向にあります。 以上のことから、ニホンザルがニセアカシアの葉を少ししか食べなかった理由は、葉に含まれる毒性成分のためであると考えられます。
しかし、「ロビン」や「ロビチン」は正式な化学物質名や広く認められている学術名称ではなく、詳細な英語名や構造式を示す文献は見当たりません。
より正確にはマメ科特有の有毒タンパク質群(レクチンなど)や関連物質として理解するのが適切です。 

A2: ニセアカシアの果実(豆果)についても、葉や樹皮などと同様に毒性があるとされています。若い未熟な豆果も含め、果実に毒性成分が含まれているため、食べることは注意が必要です。特に若い緑色の果実は見た目がおいしそうに見えますが、摂取は避けるべきとされています。 ニホンザルが未熟な豆果を少しだけ食べたという行動も、毒性のある部分を本能的に回避しつつ、少量を試し食い(味見)している可能性が考えられます。毒性成分は主に「ロビン」や「レクチン」といったマメ科特有のもので、消化器症状や神経症状を引き起こすことがあるため、果実も摂取は控えられるのが普通です。 まとめると、ニセアカシアの果実(豆果)にも毒があるため、ニホンザルが少量しか食べなかったのは毒性に対する防御的な行動と見るのが妥当です。 

しかし「蓼食う虫も好き好き」という諺があるように、ニセアカシアの葉を食べるイモムシもいます。
進化の過程でニセアカシアの毒成分に対する解毒能力や耐性を獲得したのでしょう。

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今回のニホンザルの群れは砂防ダムでニセアカシアの葉柄を毒味していたようです。 
近くにオニグルミの葉(無毒)も生えていたのに、わざわざニセアカシアの葉柄(有毒)を選び取って何度も味見していたのが不思議です。 
A3: オニグルミの葉には毒性成分(ジュグロン)が含まれますが、ニセアカシアのような明確な哺乳類毒はなく、ニホンザルが積極的に避ける理由にはなりにくいと考えられます。ニホンザルがニセアカシアの葉をあえて味見する行動は、好奇心・変わった食物の探索や、他の要因(例:食物の多様化、タンパク質の補給など)が影響しているかもしれません。 
もしかすると、有毒成分に特有の刺激的な味覚がニホンザルにとってスパイスのように少し癖になっている(中毒性のある嗜好品?)のかもしれません。 
そして幼い子猿が有毒植物をあまり大量に食べ過ぎないように、成獣♀(若い母親? 姉?)が子猿から取り上げようとしているようにも見えます。 
しかしニホンザルの採食行動は全て自己責任であり、危険な有毒植物を子猿が食べようとしていても、母親は叱ったり強く制止したりすることはないのだそうです。

A4: 野生のニホンザルにおける食草の毒味は基本的に各個体が自己責任で行う行動と考えられています。特に毒性のある植物や部分を少量ずつ試す「味見」は、個体ごとの経験や感覚によって判断されることが多く、親や群れの成獣が明確に制止や教育を行う様子が観察されることは稀です。

これは、毒の感受性や個体差があるため、個別の体験を通じて安全か危険かを学ぶ必要があることや、毒味行動自体が自己防衛の意味を持つためと考えられます。成獣が子猿の行動を特に制止しなかったという観察は、この自己責任の性質を反映していると言えます。

また、ニセアカシアのように毒を含む植物は味わいながら摂食量を調整するなど、適応的な習慣が形成されている可能性が高いです。こうした行動は、食物の利用可能性や栄養のバランス確保に不可欠であり、個々のサルが自らの判断で安全な食べ方を模索するための重要な生存戦略となっています。


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2025/08/27

営巣地で寝そべって土を浴びるニホンアナグマ♀【トレイルカメラ:暗視映像】

 



2024年6月下旬

シーン0:6/26・午後13:46・くもり・気温31℃(@0:00〜) 
明るい日中にたまたま撮れた現場の様子です。 
平地の二次林でニホンアナグマMeles anakuma)の母親♀と4頭の幼獣が転入してきた営巣地(セット)を自動撮影カメラで見張っています。 

同じ日に繰り返し見られたアナグマ♀の砂浴び行動について以下にまとめます。 


シーン1:6/30・午前2:07(@0:03〜) 
深夜にアナグマの母子家族が巣外で活動しています。 
母親♀は林縁に横臥して右前脚で土を掘り、自分の体にかけています(砂浴び?)。 


一方、4頭の幼獣はセットに散開し、格闘遊びを繰り広げたり、木登りに挑戦したり、採食したりと、思い思いに過ごしています。
取っ組み合いをしている幼獣2頭が近くに来ると、母親♀は掴まえて毛繕いしてやっています。 


シーン2:6/30・午前4:28・気温18℃(@1:03〜)日の出時刻は午前4:17。 
日の出時刻は過ぎましたが、辺りはまだ薄暗いようで、トレイルカメラがモノクロで起動しました。 
林縁のミズキの根元で横臥していた母親♀がガバッと起き上がって左奥を凝視しています。 
やがて警戒を解くと、前足で地面を掻いて再び横たわりました。 
寝ながらたまに身震いしたり砂浴びしたりしています。 
そのまま少し居眠りしたのか、ときどき寝ぼけてビクッとジャーキングしています。 


シーン3:6/30・午前6:53・気温18℃(@1:38〜) 
すっかり明るくなった営巣地を母親♀がうろついています。 
林縁を右からセットに戻ってきたのか、それとも巣穴Rから外に出てきた直後なのかもしれません。 
いつものお気に入りの場所で(林縁のミズキの下)再び横臥しました。 

手持ち無沙汰なのか、前足で地面を掻いて少し掘り、その土を自分の体に掛けました。(砂浴び行動?) 

アナグマ♀の砂浴び(土浴び)行動を、1.5倍に拡大した上でリプレイ。(@2:38〜) 


【考察】
この地点で長期間ひたすら定点観察しているのに、アナグマの砂浴び行動を見たのはこれが2回目です。


つまり、滅多に見られない珍しい行動です。
観察例が少な過ぎる(n=2)のですが、今のところ成獣に特有の行動で、幼獣はやりません。 
しかし、アナグマの砂浴び行動は翌月にも観察できました。(映像公開予定)

暇つぶしの独り遊びのため、あるいは前足の爪を研ぐために、地面を引っ掻いているだけなのでしょうか?

鳥の砂浴びと同じく、アナグマも体についた体外寄生虫や余分な脂分を取り除くために土を浴びるのでしょう。
砂や土の粒子との摩擦で体外寄生虫が寄主の体表から物理的に剥がれ落ちることが期待できます。
また、砂浴び後の体毛は乾燥します。

体外寄生虫が蔓延しているのなら、体が痒くて頻繁に掻くはずです。
しかし、砂浴びを繰り返したアナグマ♀個体は、特に体が痒そうというわけでもありませんでした。
したがって、体外寄生虫に寄生されていると自覚したから対策として砂浴びを始めたのではない、ということになります。

アナグマの土浴びは渇水期でなくても行われることから、単なる水浴び不足の代替とは言えません。

サラサラの土を自分の体にかけると、体温よりもひんやりして気持ちが良いのだろうか?
土や砂は体の熱を吸収し肌表面を冷やす効果があるとされています。
ニホンアナグマは汗腺が発達していない動物なので、土浴びにより直接的に体温調節ができる利点がありそうです。


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