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2025/08/24

ニホンアナグマの母子が引っ越してきた営巣地を突き止めスクワットマーキングを繰り返すヘルパー♂?【トレイルカメラ:暗視映像】

 



2024年6月下旬

シーン0:6/26・午後13:46・くもり・気温31℃(@0:00〜) 
明るい時間帯に撮れた現場の様子です。 
ニホンアナグマMeles anakuma)の母子家族が転入してきた営巣地(セット)を2台の自動撮影カメラで見張っています。 


シーン1:6/29・午後21:27・気温23℃(@0:03〜) 
二次林の獣道からやって来たアナグマ成獣が巣口Lの匂いを嗅いでから左へ向かいます。 
2つの巣口L、Rの中間地点で地面にスクワット・マーキングしました。 
横から腹面を見た際に乳房や乳首が見えないので、この成獣はいつもの母親♀とは別個体のようです。 
夜にトレイルカメラが照射する赤外線を反射する目のタペータムが母親♀は右目<左目と不均等なのですが、この個体は左右の目(タペータム)が同じ大きさ(正常)でした。 


シーン2:6/29・午後21:27・気温23℃(@0:29〜) 
別アングルで設置した監視カメラで続きが撮れていました。 
尻を地面に擦りつけて臭腺や肛門腺で匂い付けをするスクワットマーキングを2回連続で行いました。 
やはり腹面に乳房や乳首が見えず、左右の目が均等でした。 
鼻面がやや短いので、素人目には♂のようです。 
もしかしてヘルパー♂(同じ母親♀から前年に産まれた息子)なのでしょうか? 

巣穴Rにも入らず、右へ立ち去りました。 
アナグマ♂と入れ替わりでコウモリがセットに飛来しました。 


シーン3:6/29・午後21:30(@1:03〜) 
数分後に営巣地に戻ってきたアナグマ♂が巣口Lに顔を突っ込んで匂いを嗅いでいます。 
巣口Lに座って再度スクワットマーキングしてから、手前へノソノソと立ち去りました。 


シーン4:6/29・午後21:30(@1:03〜) 
別アングルの映像に切り替えます。 
巣口Lにスクワットマーキングしてから林内へ向かいます。 
林縁でスクワットマーキングを数回繰り返しました。 


【考察】 
ニホンアナグマの母子(母親♀と幼獣4頭)がこの営巣地に転入してきて以来、ヘルパー♂らしき成獣個体の登場は初めてです。 
母親♀が越冬・出産に使った営巣地がどこか別の場所にあるはずです。 
そこではヘルパー♂も同居して、巣穴の穴掘りなどを手伝っていたと思われます。 
幼獣が離乳して長距離を出歩けるようになると、母子はこの営巣地に引っ越してきたのです。 

ヘルパー♂は引っ越しに同伴しなかったのですが、転出した母子の居場所をヘルパー♂が今回ようやく探り当てたのではないかと想像しています。
 「ヘルパー♂参上!」と挨拶代わりにセットのあちこちにスクワットマーキングを念入りに繰り返していたのでしょう。 

このときアナグマの母子家族は巣内で休んでいたと思われますが、採食のため外出中だったのかもしれません。 
ヘルパー♂は巣内に入って家族と合流することはなく、あっさり営巣地から立ち去りました。 

私は暗視映像でアナグマが赤外線を反射する目の大きさの違いだけを頼りに母親♀(右目<左目)を辛うじて個体識別しているのですが、今回ヘルパー♂がたまたま夜に来てくれたおかげで、母親♀ではないと気づくことができました。 
もしも明るい昼間に来ていたら、てっきり成獣は母親♀だと思い込んでいたかもしれません。 


つづく→

2025/08/23

砂防ダムの堰堤で助走からロンダートするついでにススキの葉を食べる若いニホンザル

 

2024年6月中旬・午前11:00頃・晴れ 

里山から流れ出る沢を山麓の砂防ダムがいったん堰き止めています。 
その砂防ダムに野生ニホンザル♀♂(Macaca fuscata fuscata)の群れが集まっていました。 

独りで右から来たお調子者の子猿が、コンクリートの堰堤に両手をついて逆立ち?しかけました。 
その場に座り、痒い体を手で掻いてから左へ小走りに消えました。

何気ないシーンでしたが、1/5倍速のスローモーションでリプレイすると(@0:10〜)、実は子猿が一瞬で色んなことを素早くやっていました。 
右から助走してきた子猿が、砂防ダムのコンクリートの隙間から生えたススキの葉先を通りすがりにかじって食べていました。 


ちょっとスピードを出し過ぎた助走から急停止するために、体操の技のロンダートを決めたようです。 (やや中途半端?)
子猿が遊びで逆立ちしたときに興奮で失禁し、小便を撒き散らしたように見えたのですが(いわゆる「嬉ション」)、何度もスロー再生すると私の錯覚だったようです。 
このコンクリート堰堤から落ちると大怪我しそうな高さですが、堰堤の幅は230cmで余裕があります。
高所も平気なニホンザルにとっては、こんな軽業も朝飯前です。
しかし高所恐怖症のヒトにとっては、まるで細い平均台の上で助走からのローンダートを決めながらアクロバティックに採食しているようで、見ているだけで恐怖を覚えるかもしれません。

この子猿の性別を私にはしっかり見分けられません。 
一瞬見えた股間に小さな陰茎らしきものが見えたものの、睾丸は見えませんでした。 
素人目には若い♀のような気がするのですけど、胸に乳首は見えません。 

子猿は砂防ダムでススキを採食すると(文字通り道草を食うと)、座ってもぐもぐと口で咀嚼しています。 


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2025/08/22

ニホンアナグマ♀が縄張り侵入者を撃退する間に営巣地で独りで留守番する幼獣【トレイルカメラ:暗視映像】

 



2024年6月下旬・午後20:50頃 

シーン1:6/29・午後20:48・気温22℃(@0:00〜) 
ニホンアナグマMeles anakuma)の母親♀と幼獣1頭が夜の巣外で活動しています。 
母親♀が二次林の右奥を凝視してから、急に獣道を右に向かって突進して行きました。 
アナグマの営巣地(セット)や縄張りに来た侵入者を追い払いに向かったのでしょうか? 
幼獣は慌てて巣穴Lに逃げ込みました。 
このとき母親♀が幼獣に対して避難するように警戒声を発したかどうか、という点が気になります。 
音量を上げて何度も聞き直すと、カッカッ♪という音がかすかに聞こえますが(@0:07〜)、アナグマの鳴き声なのかカメラのノイズなのか、いまいち自信がありません。 

幼獣は巣口Rで上半身を出して周囲を警戒してから、結局は後退で巣穴Lに入りました。


シーン2:6/29・午後20:50(@0:47〜) 
警戒を解いて巣穴Lから延びるアクセストレンチで独り遊びしていた幼獣が、巣穴Lに戻りました。 
独りで留守番するアナグマ幼獣が小声で散発的に吠えていたのは、寂しくて母親を呼ぶ声なのかな? 
すぐにまた巣口Lから外に出てきました。 
身震いしてから獣道を右に歩き出し、母親を探しに行ったようです。 

言葉では表現しにくいのですが、シーン1から遠くでジュルジュルジュル…♪とかビルビルビル…♪というような音がずっと聞こえています。(ジェジェジェビーム? ただのノイズ?) 
監視カメラの死角から母親♀が鳴き続けているのでしょうか?
幼獣が言うことを聞かずに巣穴の外に出てきてしまっているので、警戒声の意味ではなさそうです。 


シーン3:6/29・午後20:51(@1:47〜)
留守番する幼獣が小声で吠えながら、獣道を右往左往しています。 
母親♀がなかなか戻ってこないので、私も心配になってきました。 
しばらくすると、静かになりました。 


シーン4:6/29・午後20:53(@2:36〜) 
ようやく母親♀が獣道を右から営巣地に戻ってきました。 
巣口Lでググ、ググ♪(グルル♪?)と低く鳴いてから、中に潜り込みました。 

入巣L後は謎の連続音(ジェジェジェビーム♪?)が聞こえなくなり、辺りは静かになりました。 


※ 鳴き声が聞き取れるように、動画編集時に音声を正規化して音量を強制的に上げています。 


【考察】 
アナグマの縄張りに何者が不法侵入したのか、最後まで分からずじまいでした。 
前回イノシシ母子が営巣地にずかずかと侵入した際にアナグマの母親♀は巣穴に籠城するだけだったのに、今回は積極的に追い払いに向かったということは、今回の敵はあまり大きくない動物(タヌキやネコなど)ではないかと想像しています。 



今回登場した幼獣は1匹だけでした。 
他の兄弟姉妹3匹がどこにいるのか、不明です。 


2025/08/21

山中の湿地で夜に水を飲み採食する2頭のニホンイノシシ【トレイルカメラ:暗視映像:フィールドサイン】

 



2024年6月下旬

シーン0:6/24・午後12:41・くもり(@0:00〜) 
シーン0:6/24・午後13:17・くもり(@0:00〜) 
山林の中に少し開けた湿地帯があります。 
様々な野生動物や野鳥が水場として利用する、湧き水や雨水が溜まった水溜りを2台の自動センサーカメラ(旧機種)で見張っています。 


シーン1:6/27・午後20:11(@0:07〜) 
ある晩にニホンイノシシSus scrofa leucomystax)が登場しました。 
水溜まりSに口をつけて泥水を飲んでいます。 
飲み終わると、そのまま此岸の泥濘を右へ向かいます。 
今回のイノシシは単独ではなく、後続個体が縦列でついて歩いていました。 
普通なら母子なのですけど、今回のペアには体格差がありません。 
なんとなく、若い兄弟姉妹のような気がします。 
ただし体表に縦縞模様はありませんでした。(ウリ坊ではない)。
横から腹面を見ても、乳房や乳首、外性器などは見当たりません。 


シーン2:6/27・午後20:11(@0:29〜) 
湿地帯の反対側に設置した監視カメラでも続きが写っていました。
2頭のイノシシは、湿地の泥濘を右から左へゆっくり歩いています。 
先行個体はどんどん左へ立ち去りますが、後続個体は一箇所に立ち止まっています。 
鼻面で泥濘を掘り返し、餌を探しているのでしょう(採食行動)。

残念ながら、手前の泥水溜りNには近づきませんでした。


シーン3:6/27・午後20:12(@1:12〜)
後続個体が対岸の左奥で立ち止まり、林縁で何か採食しているようです。 
左に立ち去った後で、イノシシが重低音で鳴く声♪がかすかに聞こえました。 


※ 動画の一部は編集時に自動色調補正を施しています。 
※ イノシシの鳴き声が聞き取れるように、動画編集時に音声を正規化して音量を強制的に上げています。 


シーン4:6/28・午後13:10・(@0:00〜) 
翌日に現場検証すると、前夜に来たイノシシは、水が澄んだ浅い水溜りではなく、わざわざ白濁した左の深い水溜りから水を飲んでいたようです。 

約17時間前にイノシシ2頭が続けて歩いた泥濘に、蹄の跡がくっきりと残っていました。 
私はまだフィールドでニホンカモシカとニホンイノシシの蹄跡をしっかり見分けられる自信がないのですけど、今回はトレイルカメラの証拠動画が残っているので、間違いなくイノシシの足跡です。 

イノシシの足跡はスギ林の方へ向かっていました。 
採食痕のフィールドサインも現場でじっくり撮影すべきでしたね。


余談ですが、「所さんの目がテン!」という動物系長寿番組の2024年8月18日放送回は、「いきものの森SP:見られなくなった植物復活?タイムカプセル実験」というタイトルでした。 
埋土種子の発芽実験を実演した上で、「イノシシやアナグマなど、表土(腐葉土)を大規模に掘り返す動物は、撹乱して埋土種子が発芽しやすくしているのかもしれない」と専門家がコメントしておられました。 
ヒトのせいでイノシシやアナグマが絶滅した森は、植物の多様性が予想以上に劣化し、貧弱で貧相な森になってしまうでしょう。


つづく→

ブロック塀の下で昼寝するイエネコ(キジトラ)

 

2024年5月中旬・午後12:35頃・晴れ 

郊外の住宅地で、ブロック塀の下、側溝(融雪溝)の横の細いスペースにイエネコFelis silvestris catus)がのんびり寝そべっていました。 
目をつぶって昼寝しています。 
寝顔にズームインすると、口から舌を少し出していました。 
焦げ茶色の濃淡が複雑な毛並み(太り気味のキジトラ?)でした。
ブロック塀の下は日向と日陰の微妙な境界になっていて、ほどよく温かくて暑すぎない場所なのでしょう。

私が横を歩いて通り過ぎても猫は起きなかったので、振り返ってから撮影しました。
昼寝しながらも私の足音を油断なく聞いているはずですが、野生動物では考えられないほど飼い猫は無防備です。


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2025/08/20

セットで暮らすニホンアナグマの家族:6/24昼夜の諸行動【トレイルカメラ:暗視映像】

 



2024年6月下旬・午前0:03〜午後17:44・ときどき小雨 

平地の二次林でニホンアナグマMeles anakuma)の親子(母親♀と幼獣4頭)が転入してきた営巣地(セット)を自動撮影カメラで見張っています。 
6/24に撮れた記録をまとめました。 
最後は記録メディアの容量を使い切ってしまいました。 

面白そうな行動は個別の記事で紹介したので、その残り物です。 
採食、毛繕い、遊びなどの行動が写っています。 


※ 鳴き声が聞き取れるように、動画編集時に音声を正規化して音量を強制的に上げています。 


2025/08/19

ニホンザルと白斑ススキ

 

2024年6月下旬・午前11:00頃・くもり 

山麓の民家の裏庭の端でニホンザルMacaca fuscata fuscata)が背を向けて座っています。 
立ち上がって遊動するまで撮り続けるつもりだったのですが、周囲で群れのメンバーが様々な行動を繰り広げているために、目移りしてしまいました。 

この記事のメインはニホンザルではなく、その横に生えていた斑入りの園芸植物についてです。 
調べてみたら色々と面白いことが分かったので、紹介します。
まるでクマザサのように葉身の両側の縁が白くなっている(隈取りがある)イネ科の植物です。 
ChatGPTに相談し、写真も検討してもらうと、斑入りのススキと教えてもらいました。 
植物の斑入りには様々なタイプが知られていますが、このススキは縁斑えんふです。

再確認:画像の植物の特徴

  • イネ科で葉が細長く、立ち上がり気味。

  • 白い縁取り(縁斑)が明瞭で、葉幅は中程度。

  • 群落形成している。

  • 植栽地:山形県の山麓の裏庭(耐寒性必須)

  • 撮影時期:6月下旬(十分展開している)


結論:やはり最有力候補は

Miscanthus sinensis 'Variegatus'(斑入りススキ)


理由(山形県の環境と整合性がある点)

  1. 耐寒性が高い(東北地方で越冬可)
     Miscanthus sinensisは在来種ススキと同種であり、耐寒性が非常に高く、山形県でも屋外越冬が可能です。海外品種(例:‘Cosmopolitan’)は地域によっては冬枯れが激しくなることもあるためやや不利。

  2. 葉の展開時期が早く、6月下旬で十分育っている
     ‘Morning Light’など一部の細葉品種は春の立ち上がりがやや遅く、6月下旬ではまだボリューム不足な場合もあります。‘Variegatus’は早めに展開する傾向があります。

  3. 庭園用途での定番斑入りススキ
     日本の民家の庭では、最もよく植えられてきた「斑入りススキ」はこの‘Variegatus’(日本語では単に「斑入りススキ」)で、昭和〜平成期の和風庭園や公園で頻繁に見られました。


ニホンザルは野生株のススキの葉を食べることがあるのですが、今回の個体は斑入りススキを採食しませんでした。
葉全体が緑色の正常な野生株と比べて、白斑ススキはサルにとって栄養価が低い(と判断した)のでしょう。

関連記事(8、9年前の撮影)▶  


ススキは風媒花で、種子も風散布される植物です。
斑入りの品種が風任せで近所にどんどん分布を広げているようには見えないのは不思議です。なぜでしょうか?

ススキは通常、種子によって風散布されますが、斑入り園芸品種(たとえば 'Variegatus')が自然分布を広げることはほとんどありません。その理由は、以下のような遺伝的・生理的・繁殖的制限によるものです。


理由1:斑入りはしばしば劣性または不安定な変異で、種子に遺伝しにくい

  • 斑入り(特に縁斑)は、多くの場合、色素合成に関わる遺伝子の変異によって生じます。

  • これはしばしば**栄養変異(体細胞変異)**であり、種子を通して子に安定して遺伝しないことが多い。

  • 仮に種子ができても、斑のない(緑一色の)実生になる可能性が高い。

→ よって、「風で飛んだ種から新たな斑入り個体が生える」ことは非常にまれ。


理由2:斑入り品種は種子をほとんどつけないことがある

  • 一部の斑入りススキ園芸品種は、

    • 花芽が形成されにくい

    • 花粉が不稔(不完全)

    • 種子がほとんど実らない(不稔性)
      などの性質を持っていることがあります。

  • これは、園芸的に選抜された変異株であるため、野生の繁殖力とは異なる場合があるのです。

→ そのため、そもそも風で散布できる種子ができないというケースも多い。


理由3:斑入りは光合成効率が落ちるため、野外では競争力が低い

  • 白い部分には葉緑体が少ない(または欠如)しており、光合成効率が緑葉より劣る

  • 自然環境では、緑葉型に比べて成長・生存に不利になる。

  • たとえ実生や株分けで逸出しても、雑草型のススキ(緑葉)に駆逐されやすい

→ 野生環境では定着しにくく、拡散力が低い


理由4:広がる場合は主に地下茎(栄養繁殖)による

  • 'Variegatus'などは地下茎で少しずつ広がるが、それは植えられた場所の近傍に限定される。

  • 自然分布のように広範囲に散布されることはほとんどない。


補足:例外もあるが極めて稀

  • ごくまれに、斑入り形質を種子を通じて遺伝可能な系統もありますが、

  • それは非常に限られた交雑系統や栄養固定化された特殊株であり、

  • 一般に庭園に植えられている‘Variegatus’のような品種では起きにくい現象です。


まとめ

斑入りススキ園芸品種が近所に自然に拡散しない主な理由は:

  1. 種子に斑入りが遺伝しにくい(栄養変異)

  2. 花や種子が不稔のことがある

  3. 光合成能力が劣り、自然環境で競争力がない

  4. 繁殖しても地下茎による局地的な広がりのみ


このため、斑入りススキが**「庭にあるのに、周囲には広がらない」のはごく自然な現象です。
もし逸出していたとしても、それは
緑葉型の実生(原種返り)**である可能性が高いでしょう。


つまり、斑入りススキは地下茎のクローンで増やす園芸品種らしい。

Miscanthus sinensis 'Variegatus' は百年以上にわたって世界各地の庭園に生き続けている、まさに「園芸植物の古典」と言える存在です。

しかもこの品種は、地下茎によって安定してクローン維持され、極寒にも耐える丈夫さを持ち、美しい斑入りを毎年確実に再現する──という点で、遺伝的にも環境適応的にも非常に優秀な系統です。


縁斑とは別のタイプの斑入り品種のススキも見たことがあるのを思い出しました。

昔の記憶を頼りに、後日写真を撮りに某集落へ行ってきたら、タカノハススキでした。


ススキ(Miscanthus sinensis)には「縁斑」以外にも、さまざまなタイプの斑入り品種が存在し、日本では古くから**和名付きの系統(地方名や意匠名)**として親しまれてきました。

以下に、代表的な斑のタイプごとにススキの品種名と特徴を整理します。


◼️ ススキの斑入り品種の分類(代表例)

斑のタイプ品種名(和名)特徴備考
縁斑(えんふ)白斑ススキ、‘Variegatus’葉の縁が白く抜ける最も一般的。海外でも人気
中斑(ちゅうふ)タカノハススキ(鷹の羽薄)葉の中央に太く白または黄の筋鷹の羽の模様に例える。華やか
縞斑(しまふ)ヤハズススキ(矢筈薄)葉に細い白筋が多数並行に入る“矢筈”模様に見立て
矢羽状散斑ヤバネススキ(矢羽薄)不規則な白斑が左右交互に出る(矢羽模様)細かな白斑が点在・交錯する
点斑・モザイク状斑点ススキ(仮称)まばらな点斑稀に見られる。葉緑体の変異由来
全体白化型(極端な白化)シロススキ、白覆輪ススキなど白地にわずかな緑縞栄養が乏しく成育がやや劣る

◼️ それぞれの品種の特徴を少し詳しく

タカノハススキ(鷹の羽薄)

  • 葉の中央に明瞭な太い黄白色の筋

  • 鷹の羽根のような勇壮な姿から命名

  • 江戸時代から観賞用に使われる伝統的品種

  • 夏〜秋にかけて斑が明瞭になる

ヤハズススキ(矢筈薄)

  • 細くシャープな白い縞が平行に数本ずつ入る

  • 葉の縁や中央のラインが複数走り、スタイリッシュ

  • やや繊細な外観で、茶庭などにも使われる

ヤバネススキ(矢羽薄)

  • 葉の表面に不規則な白斑が左右交互に斜めに交錯する

  • 独特の装飾性で、名前どおり矢羽根に見えることから命名


◼️ 斑入りススキ品種の文化的背景

  • これらの品種は、日本の伝統園芸において「意匠的な美しさ」が重視され、名前に**動物や武具の名(鷹、矢筈、矢羽など)**を用いてきました。

  • 鑑賞されるのは、花穂よりも葉の美しさ・風に揺れる姿

  • 茶庭や坪庭、路地植えに利用され、季節の移ろいを表す植物として愛されてきました。

 

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2025/08/18

昼間に営巣地で欠伸するニホンアナグマ♀【トレイルカメラ】

 



2024年6月下旬 

シーン1:6/24・午前11:54・気温24℃(@0:00〜) 
ニホンアナグマMeles anakuma)の母親が2つの巣口LRの中間地点に座って休みながら、口を大きく開いて欠伸をしました。 
おもむろに立ち上がると巣口Lに歩み寄り、痒い体を掻きました。 
移動の際に、腹面に乳房と乳首が見えます。 
巣口Lで出迎えてくれた2匹の幼獣を母親♀が順番に対他毛繕いしてやります。 

昼前なのにモノクロで録画されたのは、夏は林冠に鬱蒼と葉が茂って日光を遮り、かなり薄暗いからです。 


シーン2:6/24・午後17:23(@0:56〜) 
同じ日の夕方、留守番する幼獣の姿が巣口Lに写っています。 
画面右の林床で採餌していた母親♀が営巣地(セット)にノソノソと戻ってきました。 
体を掻き、欠伸してから巣穴Lに入りました。 
この個体には、モノクロでも右腰に白斑が認められます。 


2025/08/17

アナグマの空き巣を内見に通うホンドタヌキ♀♂:6月中旬【トレイルカメラ:暗視映像】

 



2024年6月中旬 

シーン0:6/11(@0:00〜) 
平地の二次林でニホンアナグマMeles anakuma)の旧営巣地(セット)を2台の自動センサーカメラで見張っています。 
ホンドタヌキ♀♂(Nyctereutes viverrinus)の登場シーンをまとめました。 
面白そうな行動は個別の記事に取り上げたので、今回は残り物です。 
アナグマの家族がセットに転入してくる前の出来事です。 


シーン1:6/12(@0:07〜) 
暗い夜に何度も登場し、アナグマの巣穴L(空き巣)を頻繁に内検しています。 
そんなに気に入ったのなら住み付けばよいのに、巣内Lで何をしているのか不明です。 
春に巣内Lで餓死した「いざりタヌキ」の死骸が白骨化して奥に転がっているはずなので、それが気になるのでしょうか? 
(まさか仲間の墓参りに来ている?) 
穴居性の虫や死骸に群がるスカベンジャーの虫を捕食しにタヌキはせっせと通っているのかな? 


シーン2:6/14(@4:09〜) 
もう一つの巣穴Rもたまに内検しています。 


 シーン3:6/15(@6:13〜) 

シーン4:6/17(@7:02〜) 

シーン5:6/18(@10:40〜) 
夜だけでなく、明るい日中にも登場しました。 


シーン6:6/19(@16:54〜) 


※ 動画の一部は編集時に自動色調補正を施しています。 
※ 鳴き声が聞き取れるように、動画の一部は編集時に音声を正規化して音量を強制的に上げています。 


つづく→

2025/08/16

営巣地で暮らすニホンアナグマの母子が空砲を聞くと…【トレイルカメラ】

 



2024年6月下旬・午前11:00頃・晴れ・気温24℃ 


ニホンアナグマMeles anakuma)の母子家族が転入してきた営巣地(セット)を自動撮影カメラで見張っています。 
昼前に3匹の幼獣と母親♀が巣外で活動していました。 
幼獣が兄弟姉妹で格闘遊びを繰り広げたり、木漏れ日が眩しい林床で採食したりしている間に、母親♀は近くにいる幼獣に毛繕いしてやっています。 

突然、遠くから乾いた銃声が一発響きました。 
田畑に出没した野生動物(ニホンザルやニホンイノシシ)を追い払うために、誰か近隣住民が空砲を撃ったり爆竹を鳴らしたりしたのでしょう。 
それを聞いた途端に、3匹の幼獣は全員が巣穴Lに慌てて逃げ込みました。 
その一方、ここで生まれ育った母親♀は空砲の破裂音に対してすっかり馴れが生じてしまっていて(ただの虚仮威しこけおどしであることを学習していて)、全く平気で巣外に留まっています。 
空砲を聞いた母親♀が幼獣に対して咄嗟に「巣穴に入れ!」と命じる警戒声を発した訳ではないので、幼獣が巣穴に避難した反応は空砲音に対する生得的な本能行動と言えそうです。 

しばらくすると、警戒を解いた幼獣が巣外に出てきました。 
最初に近寄ってきた個体の体を母親♀が舐めてやり(対他毛繕い)、安心させています。 


※ 空砲や鳴き声が聞き取れるように、動画編集時に音声を正規化して音量を強制的に上げています。 


【追記】
今回聞こえた単発の破裂音は、もしかすると空砲ではなくて車やバイクのバックファイアー(アフターファイヤー)だったのかもしれません。
しかし現場は車道から遠く離れた林内なので、エンジン音などは聞き取れませんでした。
音量を上げてじっくり聞き直すと、問題の破裂音は単発ではなく減衰しながら3発ぐらい連続していますね。
反響(エコー)でしょうか。


2025/08/15

裏庭に捨てられたタマネギの鱗茎を生で食べ漁るニホンザルの群れ

 

2024年6月下旬・午前11:00頃・晴れ 

山麓の農村部で山から降りてきた野生ニホンザル♀♂(Macaca fuscata fuscata)の群れが民家の裏庭に忍び込んでいました。 
手前に電気柵が見えているものの、この時期はおそらく通電していない上に大きな隙間が開いていて、猿は侵入し放題です。 

家庭から出た生ごみをきちんとコンポスト容器に入れずに、裏庭の片隅に山積みに捨ててあるだけです。 
てっきりニホンザルは残飯や野菜くずを貪り食べに来たのかと思いきや、よく観察すると捨てられたタマネギの球根を選り好みして食べていました。 
撮影する私をニホンザルたちはチラチラと見ているものの、食事に夢中で逃げようとしません。 

タマネギを生で食べると、硫化アリルなどのピリッとした辛み成分があるはずなのに、猿たちが喜んで食べているのが意外でした。 
新玉ねぎは猿の味覚でも甘いのかな? 
玉ねぎの茶色い薄皮や緑の葉を手で器用に剥いて、白い鱗茎を食べていました。 
成獣だけでなく若い子猿も平気で生のタマネギを次々に食べています。 
猿に玉ねぎを与えると「むいてもむいても中身がなくて怒り出す」という都市伝説があるのですが、そんなことはありませんでした。 
タマネギが腐っていればドロドロに溶けて異臭を放つはずですが、猿が皮を剥いたタマネギは新鮮で美味しそうです。 

ニホンザルが野山で採食する野生植物の中で、タマネギ(ユリ科ネギ属)の球根と似たもの、つまり「地中にできる栄養貯蔵器官(球根・塊茎・根茎など)」を食べる例は、検索しても見つかりませんでした。
草本の根や地下茎を食べる例はごく限定的で、主に地上部を採食する傾向が強いのだそうです。


つまり当地のニホンザルたちがタマネギの鱗茎を好んで食べるようになったのは、最近学習した結果です。

ペットのイヌやネコを飼っている人はよくご存知のように、動物の種類によっては、タマネギ中毒の問題があるので決して与えてはいけません。 
今回のニホンザルたちはタマネギを自発的に貪り食っていますが、平気なのでしょうか?
サルなどは、用量依存性の障害が生ずることはあっても(過剰に摂食し過ぎると障害が起こる。ヒトも同様)、いわゆる低用量で障害を起こすようなタマネギ中毒にはならない。(wikidpediaより引用)

動画を撮影中に、黒いポロシャツを着た民家の住民♂が車庫のシャッターを開けて外に出て来ました。 
裏庭に集まった猿の軍団を眺めても、住民は突っ立ったまま黙認・静観しています。(諦めの境地?) 
私がカメラで撮影しているのを意識して、猿を庭から追い払わなかったのかもしれません。
住民を警戒して逃げだしかけたニホンザルたちも、タマネギの山にすぐ戻ってきて採食を再開しました。 

この状況は典型的な「野生動物への意図していない餌付け」の状態になっています。 
野生のニホンザルがタマネギの美味しさを一度覚えてしまうと、次はタマネギ畑から球根を掘り起こして食害するようになるのは時間の問題です。 
農村部では深刻な猿害の原因となるので、農業残渣や家庭の生ゴミは頑丈なコンポスト容器などに密封して処分すべきです。 
今回は生のタマネギ球根(腐っていない状態)を地上にまとめて放置していたのが問題でした。
せっかく田畑や家庭菜園に電気柵を設置したのなら、通電してしっかり保守管理すれば、ニホンザルを近づけさせない効果があるはずです。 
一番手っ取り早い猿害対策は、家の外で番犬を飼う(できればイヌを数匹放し飼いする)ことだと思うのですが、最近では農村部でも室内飼いが一般的になってしまいました。

ちなみに、画面の右奥にあるサトイモ畑を取り囲むように、鳥害対策で銀色のテープが張り巡らされていました。 
しかし猿害対策としては全く効果がなくて、ニホンザルの群れは平気で(怖がらずに)裏庭に侵入しています。 

この記事を書くために、Perplexity AIと問答を繰り返し、最後に一丁前なレポートにまとめてもらいました。
細かい点でAIの筆が走ってしまったところ(私はそんなことは言ってない、ハルシネーション)をあちこち手直ししたいのですが、そのままコピペしました。

ニホンザルの採食行動に関する観察記録

ニホンザル(Macaca fuscata)は、日本の森林地帯に広く生息する雑食性の霊長類であり、その採食行動は生息環境や季節、個体群によって多様に変化することが知られています。
本レポートでは、山麓の民家周辺で観察されたニホンザルのタマネギ球根採食行動を中心に、その生態と適応能力について記録する。

採食行動の観察

  • 食性の基本:ニホンザルは本来、果実や種子、葉、新芽、花、樹皮、昆虫など多様な食物を採食するが、特に果実や種子を好む傾向が強い。しかし、果実の利用可能性が低い季節や環境では、繊維質の多い葉や草本類を多く食べることもある。ecology.kyoto-u+1

  • 季節による変化:春には若葉や花を、秋には果実や種子を多く採食し、食物構成は植物のフェノロジー(季節的な成長・結実の変化)と強く連動している。jstage.jst

  • 環境適応:生息地の標高や植生、年ごとの結実量の変動に応じて、採食物が柔軟に変化する。たとえば、堅果類が豊富な年はそれを主要食物とし、少ない年は液果類など代替食物に切り替える。jstage.jst

  • 学習と社会的伝播:新しい食物を発見した個体が食べ始めると、他の個体も模倣して採食を開始する。この社会的学習は、群れ内での食性の拡大や新たな食物資源の利用に寄与している。

  • 人間生活圏への進出:本来の生息域外である民家の裏庭などにも進出し、生ゴミや未収穫野菜を採食する事例が増加している。今回の観察では、タマネギの球根(新タマネギ)が地上にまとめて放置されていたため、ニホンザルが緑の葉や茶色い薄皮を剥いて白い部分(鱗茎)を採食していた。成獣だけでなく若い個体も抵抗なく食べており、腐敗していない新鮮な球根を選好する傾向がうかがえた。

  • 味覚選好:タマネギの外側(苦みが強い部分)は避け、内側の甘く水分の多い部分を選んで食べる行動が観察された。これは、ニホンザルが味覚に対して敏感であり、摂取する部位を選別していることを示唆する。

  • 野生植物との比較野生下では、タマネギ球根のような地中貯蔵器官を積極的に採食する習性はほとんど確認されていない。タマネギの採食は、人間の生活圏に近づいたことで新たに獲得した食習慣と考えられる。

考察

ニホンザルの採食行動は、環境の変化や食物資源の availability(利用可能性)に応じて柔軟に変化する。また、学習能力が高く、新しい食物資源を速やかに取り込むことができる。今回のタマネギ球根の採食は、従来の野生下での食性の範囲を超える「新たな適応」の一例であり、人間活動がサルの行動圏と食性に与える影響の大きさを物語っている。jstage.jst

猿害対策への提言

ニホンザルによる農作物や生ゴミの食害は、地域住民にとって深刻な問題となっている。
今回の観察から得られた知見を踏まえ、効果的な猿害対策を以下に提言する。

物理的対策の徹底

  • 生ゴミ・収穫物の管理:タマネギをはじめとする生ゴミや未収穫野菜は、サルがアクセスできない場所(屋内や厳重に管理されたコンポスト容器など)で保管する。腐敗したタマネギはサルも忌避するが、新鮮なものは積極的に採食するため、地上への放置は絶対に避ける。

  • 電気柵の適正管理:電気柵は隙間なく設置し、定期的に点検・補修を行う。サルは器用で学習能力が高いため、わずかな隙間からでも侵入を試みる。柵の外側から手を伸ばして作物を取られないよう、柵と作物の間に十分な距離を確保する。

  • 容器の選択:コンポスト容器は、サルが開けられない頑丈な構造(鍵付きや特殊なロック機構)のものを選ぶ。プラスチック製でも蓋が簡単に開くものは効果が不十分である。

地域ぐるみの対応

  • 情報共有と連携:一軒だけ対策しても隣家の生ゴミや未収穫野菜が放置されていれば、サルはその地域に居着いてしまう。地域全体で生ゴミや作物の管理を徹底し、情報を共有する。

  • 追い払いの徹底:サルが民家周辺に近づいた際は、威嚇や追い払いを徹底して「ここは危険な場所」「エサは得られない」と学習させる。

  • 餌付けの防止:サルに食べ物を覚えさせないことが最も重要。意図的・非意図的な餌付けは、猿害を深刻化させる最大の要因である。

教育的・啓発活動

  • 住民への啓発:サルの生態や猿害のメカニズム、対策の重要性を地域住民に周知する。特に、生ゴミの適切な管理と餌付けの危険性について理解を深める。

  • 持続的なモニタリング:サルの行動や食性の変化を継続的に観察し、対策の効果を検証しながら適宜見直す。

総括

ニホンザルの採食行動は環境変化に柔軟に対応し、人間の生活圏への進出と新たな食物資源の利用が進行している。
猿害を防ぐには、物理的対策の徹底と地域ぐるみの連携が不可欠である。生ゴミや作物の適切な管理、餌付けの防止、持続的なモニタリングを通じて、人間と野生動物の共存を目指すことが求められる。

  1. https://www.ecology.kyoto-u.ac.jp/~hanya/study2.htm
  2. https://www.jstage.jst.go.jp/article/psj/28/2/28_28.015/_pdf
  3. https://sites.google.com/view/yosukekurihara/%E7%A0%94%E7%A9%B6%E5%86%85%E5%AE%B9
  4. https://www.jstage.jst.go.jp/article/psj/38/1/38_38.004/_pdf
  5. https://repository.kulib.kyoto-u.ac.jp/dspace/bitstream/2433/164104/1/apk02000_072_3.pdf
  6. https://kaken.nii.ac.jp/ja/grant/KAKENHI-PROJECT-02640509/
  7. https://core.ac.uk/download/pdf/39291841.pdf
  8. https://agriknowledge.affrc.go.jp/RN/2010552225.pdf
  9. https://kaken.nii.ac.jp/ja/grant/KAKENHI-PROJECT-15H00449


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2025/08/14

引っ越してきた翌日、ニホンアナグマ家族の晩の諸行動【トレイルカメラ】

 



2024年6月下旬・午後19:16〜23:39 

ニホンアナグマMeles anakuma))の母親♀が4頭の幼獣を連れて旧営巣地(セット)に転入してきた次の日の日没後(晩)の行動をまとめました。 
ちなみに、この日は東北地方南部に梅雨入りが宣言されました。 


※ 鳴き声が聞き取れるように、動画編集時に音声を正規化して音量を強制的に上げています。 


2025/08/13

山腹の獣道を真昼間に登るニホンカモシカの母子【トレイルカメラ】

 



2024年6月下旬・午前11:50頃・晴れ・気温22℃ 

ニホンカモシカCapricornis crispus)の母親♀が先導し、里山の獣道を左から右へ登って行きます。 
後続の個体は角が細いので幼獣と分かります。 
カモシカの母子は、共に溜め糞場sr2の匂いも嗅がず、興味を示さずに素通りしました。 


つづく→

2025/08/12

営巣地に近づくニホンイノシシに対するニホンアナグマ家族の警戒・避難行動【トレイルカメラ:暗視映像】

 



2024年6月下旬 

シーン1:6/23・午後23:39(@0:00〜) 
二次林にある巣穴の外で深夜にのんびり活動していたニホンアナグマMeles anakuma)の家族(母親♀と4頭の幼獣)の様子がなぜか急変しました。 
母親♀が独りで左に走って行きました。 
2匹の幼獣a,bが続けざまに巣口Lに飛び込みました。 
母親♀が警戒声♪を発したのかどうか、私には聞き取れませんでした。 
右奥から幼獣cが戻ってきて、同じく巣穴Lに入りました。 
左から戻ってきた♀がセット(営巣地)を駆け回り、左へ突進しました。 
林床に散らばった4匹の幼獣たちを呼び集めている(点呼招集)のかと思ったのですが、このとき母親♀は、巣外に残ったままの幼獣に巣穴へ戻るよう促しませんでした。 
しかし、母親♀のただならぬ様子で緊急事態を察したのか、外に居た幼獣cもようやく自発的に入巣Lしました。 
最後に右からセットに戻ってきた幼獣dは、巣穴Lには入らず、呑気に左へ向かいました(母親と合流したいのかも)。 

巣口Lから別個体の幼獣が顔だけ出して外の様子を心配そうに伺っています。 
緊急時の対応を見ても、4匹の幼獣には明らかに性格の違いがあるようで、興味深く思いました。 


シーン2:6/23・午後23:39(@1:00〜) 
別アングルに設置した監視カメラでも撮れていました。 
何者かがセットに接近するのを察知して警戒し、巣外で活動していたアナグマの家族が次々に2つの巣穴L、Rに潜り込んで避難しています。 

初めに巣口Rで警戒していた母親♀(右目<左目)が、なぜか警戒声も発さずに幼獣を放置したまま反対側に走り去りました。 
しかしすぐに駆け戻ってきて、慌てて巣穴Rに入りました。 
もうひとつの巣口L付近に居る幼獣は放ったらかしです。 
巣口Rから恐る恐る顔を出した母親♀(右目<左目)が、巣口Rで警戒しています。 
逃げ遅れた幼獣が1匹、母親♀がいる巣口Rに向かってゆっくり前進しています。 


シーン3:6/23・午後23:41(@2:00〜) アナグマの営巣地に深夜侵入したのはニホンイノシシSus scrofa leucomystax)の母子でした。 
セットをうろつき、林床の匂いを嗅ぎ回っています。 
既報なので、10倍速の早回しでお届けします。 



この間、アナグマの家族は全員が巣内で籠城しているようです。 


シーン4:6/23・午後23:45・雨天(@2:16〜) 
しばらくセットに長居したイノシシの親子が立ち去った後、雨が降り出しました。 
ちなみに、この日は東北地方南部に梅雨入りが宣言されました。
巣口Rから外に出てきたと思われるアナグマ♀が、イノシシの残り香を嗅ぎ回り、辺りを警戒しています。 


シーン5:6/23・午後23:59・雨天(@3:16〜) 
アナグマの母親♀(右目<左目)が巣口LRの中間地点で警戒している間に、1匹の幼獣が不安そうに巣口Rから外に顔を出したものの、すぐに奥へ引っ込みました。 
母親♀が巣口Lの匂いを嗅いでから、中へ慎重に潜り込みました。 


シーン6:6/23・午後23:59・雨天(@3:42〜) 
別アングルの監視映像でも入巣Lシーンが撮れていました。
左から来が母親♀が巣口Lの匂いを嗅いでから入巣L。 

旧営巣地に転入してきたばかりのアナグマの家族にとって、激動の一日がようやく終わりました。 


※ 鳴き声が聞き取れるように、動画編集時に音声を正規化して音量を強制的に上げています。 


【考察】 
イノシシは肉食獣ではないので、アナグマの幼獣が捕食される心配はありません。 
しかし当地でイノシシはまだ個体数が少なく、山中でも滅多に遭遇できません。 
ましてや人里に隣接する平地の二次林で暮らすアナグマにとって、イノシシは初見の(未知の)怪獣だった可能性すらあります。 

営巣地(セット)にイノシシ2頭がズカズカと侵入したのに、アナグマの母親♀が縄張りから撃退したり幼獣を積極的に守ったりする行動をしなかったのが、とても意外でした。 
逃げ遅れた幼獣の首筋を咥えて強引に巣穴に連れ戻すかと期待したのですが、アナグマの母親♀はパニックのように右往左往したり、我先に巣穴Rに逃げ込んだりするだけで、素人目には全く頼りにならない体たらくでした。 
野生動物が子を守る母性本能というのは、ヒトが勝手に投影する幻想、願望、神話に過ぎないのでしょうか。
イノシシは肉食性ではないので、アナグマの幼獣が捕食される心配はありません。 
今回の侵入者は図体がでかくても危険性がないことをアナグマの母親♀は冷静に見切っていたのでしょうか。
今回アナグマの母親♀は、ただ己の保身に走ったようにも見えますが、幼獣に対して巣穴に籠城する避難行動の手本を示したと解釈することもできそうです。
もしもアナグマのヘルパー♂が母子と同居していれば、イノシシを撃退したり、幼獣を守ったりしたでしょうか?

♀が走り回ってカッ♪と鳴いたのが警戒声なのかな? 
アナグマが発する鳴き声のレパートリーの中で警戒声が分かっているのなら、録音した警戒声をスピーカーから再生すると、アナグマは巣穴に一目散に逃げ込むはずです。
ニホンアナグマに対して、そのようなプレイバック実験は行われていないようです。



2025/08/11

里山の獣道を通る夏毛のニホンノウサギ:6月下旬【トレイルカメラ:暗視映像】

 



2024年6月下旬 

シーン0:6/21・午後12:55・気温32℃(@0:00〜) 
明るい昼間にたまたま撮れた現場の様子です。 
里山でニホンカモシカCapricornis crispus)が通う溜め糞場sr2を自動センサーカメラで見張っています。 

現場は雑木とスギの混交林で、基本的には画面の左から右に向かって上り坂になっていますが、溜め糞場の付近はほぼ平坦になっています。 

夏毛のニホンノウサギLepus brachyurus angustidens)が登場したシーンを以下にまとめました。 


シーン1:6/22・午後19:32・気温23℃(@0:03〜) 
晩に右の茂みを左から右へピョンピョン跳んで横切りました。 


シーン2:6/25・午後19:14・気温21℃(@0:10〜) 
3日後の晩にも同じルートでノウサギが現れました。 


シーン3:6/27・午前0:35・気温15℃(@0:16〜) 
2日後の深夜にもノウサギが獣道を左から右へ、ピョンピョン跳びながら斜面を登って行きました。 

新機種のトレイルカメラなのに、毎回なぜか起動が遅れています。 
もしかすると、左からではなく奥から来たニホンノウサギが左折して斜面を登ったのかもしれません。
ノウサギがカモシカの溜め糞場に立ち止まることは一度もありませんでした。

1/3倍速のスローモーションでリプレイ。(@0:21〜) 
※ 後半は動画編集時に自動色調補正を施しています。 


つづく→

2025/08/10

引っ越してきた翌日、ニホンアナグマ家族の昼間の諸行動【トレイルカメラ】

 



2024年6月下旬・午前9:45〜午後16:51・くもり時々雨 

ニホンアナグマMeles anakuma)の母親♀が幼獣4頭を連れて旧営巣地(セット)に転入してきた翌日の昼間の行動をまとめました。 
この日はときどき雨が降りました。 
ちなみに、この日は東北地方南部に梅雨入りが宣言されました。
二次林の樹冠は木の葉が密に生い茂り、晴れた昼間でも林内は暗くなるために、白黒の暗視映像に切り替わることが多いです。 

幼獣たちは離乳しているようで、空腹になれば自力で林床を掘って採餌しています。 
元気に遊び回る幼獣を母親♀が1匹ずつ掴まえて、対他毛繕いしてやります。 
特に尻の辺りを舐めてやります。 
四つ子が離乳した後もシングルマザーのワンオペ育児は大変そうです。 


※ 鳴き声が聞き取れるように、動画編集時に音声を正規化して音量を強制的に上げています。 


2025/08/09

民家のトタン屋根に登る若いニホンザル

 

2024年6月下旬・午前11:00頃・晴れ 

山麓の農村部で民家の庭に来ていた野生ニホンザルMacaca fuscata fuscata)の群れを観察していたら(映像公開予定)、物置小屋の錆びたトタン屋根に子猿が登っていました。 
しばらくすると、子猿は縁から少し登ってトタン屋根の反対側に隠れてしまいました。

2025/08/08

山中の湿地の草むらで深夜に餌を探し歩くニホンアナグマ【トレイルカメラ:暗視映像】

 

2024年6月下旬 

シーン0:6/19・午後13:07・晴れ(@0:00〜) 
明るい時間帯にたまたまフルカラーで撮れた現場の状況です。 
山林に湧き水が年中滲み出す湿地があり、浅い水溜りをトレイルカメラ(旧機種)で見張っています。 


シーン1:6/22・午前0:14(@0:04〜) 
深夜に湿地帯の奥の草むらを謎の中型野生動物がうろついています。 
常に頭を下げて動き回り、下草が揺れています。 
ときどき顔を上げて警戒しています。 

少しずつ手前に近寄ってくれたものの、水溜りには来てくれませんでした。 
イタチならカエルやオタマジャクシを狩ろうと水辺に来るはずです。 


やや遠くて被写体の動きが緩慢なので、まずは5倍速の早回し映像をご覧ください。 
次は1.5倍に拡大した上でリプレイ。 
オリジナルの等倍速動画は、最後にお見せします。 
等倍速動画を先にすると、何を見せられているのかよく分からない視聴者が離脱しそうなので、説明のために順番を入れ替えました。
今回は早回しのダイジェストを先に見せていることになります。

おそらくニホンアナグマMeles anakuma)が採餌しているのでしょう。 
この地点でアナグマは初見です。 


シーン2:6/22・午前0:15(@0:04〜) 
アナグマが活動している林床で、ときどき下草や灌木が揺れています。 
水溜りで泥水を飲んだり浴びたりすることが目的ではなく、湿地帯で地面を掘り起こしてミミズを捕食しに来たのではないかと推測しています。 


つづく→

2025/08/07

山中の湿地帯や林道を横切るニホンザルの群れ【トレイルカメラ】

 



2024年6月中旬 

シーン0:6/7・午後13:14・晴れ(@0:00〜) 
シーン0:6/7・午後13:40・晴れ(@0:04〜) 
明るい昼間にたまたまフルカラーで撮れた現場の状況です。 
山林に湧き水が年中滲み出す湿地があり、浅い水溜りを2台のトレイルカメラ(旧機種)で見張っています。 

ニホンザルMacaca fuscata fuscata)の群れが水場に登場したシーンを以下にまとめました。 
この期間、メインの監視カメラは夜だけ起動する設定にしていたので、昼間は全景を撮るもう1台のカメラでしか撮れていません。


シーン1:6/11・午後14:37(@0:07〜) 
群れの本体は、奥の林道を左から右へ続々と遊動して行きます。 
途中で道草を食っている個体もいます。(採食行動) 

どこかでウグイス♂(Horornis diphone)の囀りさえずりや谷渡り♪が聞こえます。 


シーン2:6/11・午後14:42(@1:07〜)


シーン3:6/16・午後13:55(@1:20〜) 
5日後の昼下がりにもニホンザルの群れが水場を通過しました。 
群れにはアルビノ(または白変種)の個体が混じっていました。

ニホンザル同士が小競り合いをする激しい悲鳴♪が響いた直後に(@1:27〜)、トレイルカメラの画角が急に左右に激しくぶれました。 
群れ内で喧嘩になり、劣位個体がスギの木に登って逃げる途中でぶつかったのでしょうか? 
それとも、悪戯好きの個体がトレイルカメラを取り外そうとして、ストラップやワイヤーロックを引っ張ったのかもしれません。 
猿から手荒な扱いを受けても幸いトレイルカメラは壊されずに済み、画角も少しだけ左にずれただけです。 

奥の林道を遊動する子ザルがキュルキュル、キャッキャッ♪と鳴いています。 


シーン4:6/16・午後13:58(@2:20〜) 
右へ遊動する個体の中には、子ザルを腰におんぶしている母親♀がいます。 
奥の林道を左から来て立ち止まり身震いした個体は、どうやら黒い首輪を装着しているようです。(@2:40〜) 
テレメトリー調査のために、GPSや電波発振器を内蔵した首輪なのでしょう。 


シーン5:6/16・午後14:01(@3:20〜)


※ 動画編集時に自動色調補正を施しています。 
※ 鳴き声が聞き取れるように、動画編集時に音声を正規化して音量を強制的に上げています。 


つづく→

2025/08/06

独りで外出する前に必ず営巣地に匂い付けするニホンアナグマ♀【トレイルカメラ:暗視映像】

 



2024年6月下旬 

シーン1:6/23・午前0:41・気温22℃(@0:00〜) 
左から来たニホンアナグマMeles anakuma)の母親♀が、巣口Lから延びるアクセストレンチの手前で立ち止まり、後脚を広げました。 
どうやら排尿したようですが、手前に生えたマルバゴマギの枝葉が邪魔で見えませんでした。 

そのまま獣道を歩いて右上奥へ向かいます。 
独りで採餌に出かけるようです。 


シーン2:6/23・午前3:34・気温23℃(@0:16〜) 
約3時間後にも、小雨がぱらつく深夜に母親♀が単独で営巣地(セット)を離れて外出しました。 


シーン3:6/23・午前3:34・気温20℃(@0:24〜) 
別アングルに設置した監視カメラでも撮れていました。 
獣道を右上奥へ向かう途中で、ちょっと座って地面に尻を擦りつけました。(スクワットマーキング) 

今回も母親♀が外出から帰巣するシーンがなぜか撮れていません。 


シーン4:6/23・午前9:03・くもり・気温18℃(@0:42〜) 
明るい朝になると、雨は止んでいました。 
右から来た母親♀が、巣口Lの匂いを嗅いでを軽く点検してから、いつものように獣道を通って採餌に出かけます。


シーン5:6/23・午前9:03・くもり・気温18℃(@1:00〜) 
別アングルの監視映像に切り替えます。 
母親♀が獣道との合流点で、後足を左右に開くと放尿したようです。 
マーキング用の短い放尿ではなく、しっかり長いこと小便しました。 
排泄する後ろ姿を1.5倍に拡大した上でリプレイしても(@1:42〜)、♀の尿道口は見えず、事後に地面が濡れたかどうかも定かではありません。 
雨上がりなので、元から地面は湿っていたからです。 
肛門から排便しなかったことだけは確かです。 



シーン6:6/23・午後16:51・気温20℃(@2:07〜) 
夕方にはまだ早い時刻なのに、鬱蒼と葉が茂る二次林内は薄暗く、トレイルカメラが暗視モードで起動しました。 
また雨が降り出していますから、雨雲のせいでより暗いのでしょう。 

出巣R直後と思しき母親♀が巣口RLの中間地点に立ち止まって、排尿したかもしれません。 
手前のマルバゴマギ灌木が邪魔でよく見えませんでした。 
身震いしてから巣口Lの横を通り過ぎ、いつもの経路で外出します。 


※ 雨音が聞き取れるように、動画編集時に音声を正規化して音量を強制的に上げています。 


【考察】
ニホンアナグマの母子が旧営巣地に転入した翌日の出来事です。
同じ日にこれほど何度も念入りにマーキングを繰り返したのは、転入後間もないので、近隣のタヌキなどに対して表札代わりにしつこく縄張り宣言をする必要があるのでしょう。

ときどき雨が降る日だったので、 匂いが落ちやすかったのかもしれません。

留守番する幼獣たちを母親の匂いで安心させ、営巣地から離れて迷子にならないようにする目的もあるのではないかと推測しています。

ちなみに私の鼻では、アナグマがマーキングした匂いを嗅ぎ取れたことはありません。(さすがに糞の匂いは分かります。)


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