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2025/02/18

越冬できずに死んだニホンアナグマの亡骸に群がるクロバエ

 



2024年3月下旬・午後13:30頃・晴れ 

平地の二次林でニホンアナグマMeles anakuma)が冬眠する営巣地(セット)を2台のトレイルカメラで長期間監視しています。 
カメラの電池とSDカードを交換するため久しぶりに現場入りすると、衝撃の展開が待ち構えていました。 
うららかな早春の日差しを浴びて雪解けが進む林床に、野生動物の死骸が横たわっていたのギョッとしました。 
場所はよりにもよって、巣口Rを北側から狙うトレイルカメラNを固定した灌木の真下でした。 

死骸は腐敗が進んでいて、辺りに死臭が漂っています。 
茶色の毛並みはボサボサでした。
一瞬タヌキかと思ったのですが、前足に鋭い爪があるのでアナグマと判明。 
なぜか左前脚の毛皮がずる剥けで、皮膚が露出しています。
後脚の太腿などに、スカベンジャー(カラス?)が死骸を損壊した形跡があります。 
むしり取られた茶色い毛玉が風で飛んだのか、少し離れた地面に落ちていました。 

自分では冷静を保っているつもりでも、やはり精神的なショックが大きかったようで、後で思うと現場での観察が色々と不充分でした。 
例えば横臥している死骸を裏返して反対側(右側面)も調べるべきなのに、やっていません。 
股間の外性器や乳首などを調べて性別を確認すべきだったのですが、とてもその気になれませんでした。 
ゴム手袋やビニール袋などを何も持ってこなかったので、死骸に触れることができない、という事情もありました。 
死んだのが若い個体(当歳仔)なのか成獣か、という点も気になるものの、分からずじまいです。 
成獣なら寿命かもしれません。 

解剖しない限り、アナグマの死因は不明のままです。 
今季は異常な暖冬で積雪量も例年より少なかったので、アナグマの冬眠と覚醒のリズムが狂って無駄に体力を消耗し、餓死したのではないか?と素人ながら疑ってしまいます。 
死骸は腐敗が進んでいるため、持ち帰って解剖する気になれませんでした。 
新鮮な死骸だったら、体重を計ったり、解剖して胃内容物や体脂肪の厚さを調べたりすれば、餓死かどうか分かったかもしれません。 
剖検して骨折などが見つかれば、車道に出た際に交通事故で負傷したまま、なんとか営巣地まで戻ってきて息絶えたというシナリオが考えられます。 
大型のスカベンジャー(鳥や哺乳類)が死骸を食べに来ているらしく、アナグマの死骸は毛皮の一部が剥ぎ取られ、露出した肉が食い荒らされていました。 

アナグマは餓死したのではなく、巣穴を乗っ取ろうとする他の野生動物に襲われて、殺されたのでしょうか? 
容疑者としては、ホンドギツネやホンドタヌキ、ホンドテン、ニホンイタチが考えられます。 
これらの動物はいずれも、ニホンアナグマの冬眠する巣穴に潜り込んで物色する姿がトレイルカメラに写っていました。 
「同じ穴のむじな」として平和に同居していると思っていたのに、まさか居候が家主を殺すでしょうか? 
タヌキは自分で巣穴を掘れないので、穴掘りの得意なアナグマに依存(片利共生)しないといけません。 

アナグマがいつ死んだのかも、私には分かりません。 
私が前回(16日前の3月中旬)現場に来たときはアナグマの死骸を見ていません。
そのときは雪の下に死骸が埋もれていた可能性もあり得ます。 
早春になって積雪が溶けた結果、アナグマの古い死骸が現れたのかもしれません。 
遺体の下は日陰となって、まだ残雪がありました。 
残雪と接地していることで死骸の右半分がずっと冷やされて続け(冷蔵保存)、腐敗の進行が辛うじて抑えられているようです。

次に、推理小説や刑事ドラマで最近よく活躍する法医昆虫学者の真似事をしてみました。 
素人が死亡時期を推定できるでしょうか? 
「寒の戻り」と言って寒波(雪)が断続的に戻って来る早春には昆虫がまだほとんど活動しておらず、腐肉食性昆虫相による死亡時期の推定は難しそうです。 

それでも、クロバエ科の仲間(種名不詳)が2匹、アナグマの死骸に来ていました。 
クロバエは成虫で越冬しますから、気温が高ければ死臭を嗅ぎ取っていち早く飛来します。 
この日はよく晴れて、日向の気温は高そうです。 
(午後14:21の気温は27℃でした。)
クロバエは口吻を伸縮して死骸の表面で吸汁していました。 
特にアナグマ死骸の耳の穴や、後脚太腿の食い荒らされた傷口を舐めています。 
歩いてアナグマの左目に移動したものの、アナグマは目をしっかり閉じていたので水分の多い眼球を舐めることは出来ず、離れていきました。
食事の合間に左右の前脚を擦り合わせて身繕いしています。 
クロバエの複眼を見る限り、この個体は♀のようです。(左右の複眼が頭頂で接していない。) 
もし♀なら死骸に産卵するはずですが、腹端を見ても、動画には撮れていませんでした。 
卵胎生で幼虫を産み付ける(産仔)ニクバエ科と違って、クロバエ科の♀は産卵するそうです。
このクロバエの種類を見分けられる方がいらっしゃいましたら、教えて頂けると助かります。 
クロバエ科は(死体の)膨隆期まで、ニクバエ科は腐朽期まで入植が見られる。ニクバエ科は温暖期にのみ活動するが、クロバエ科は(中略)気温が低い時期はクロバエ属をはじめとするクロバエ類が活動している。 (三枝聖『虫から死亡推定時刻はわかるのか?―法昆虫学の話 』p61より引用)

クロバエ科・ニクバエ科意外のハエは通常、新鮮期の死体には入植しない。(同書p63より引用) 

筆者はブタの死体を着衣状態で野外に放置して、経過を調べる研究実験も敢行しています。

晩秋・早春など温暖期と寒冷期の移行期(寒暖境界期) は気温が低く、ブタ死体の腐敗分解はゆるやかに進行するため、顕著な膨隆期はみられず、乾燥が進行する。(p111より引用)

 

寒暖境界期に活動するクロバエのウジは、低温対策のためか死体内部に潜行する傾向があり観察が難しいこと、成長もゆっくりと遅いことから、死後経過時間推定の指標とするには体長の計測のみでは不充分である (p112より引用)


現場では気づかなかったのですけど、死んだアナグマの前足の肉球の隙間に、白いウジ虫が蠢いているようです。 
動画を見直して初めて気づいたのですが、死骸の毛皮に付着している数個の小さな茶色い紡錘形の物体は、ハエの蛹(囲蛹)ですかね? 
死骸に産み付けられたハエの卵が孵化して低温下で蛆虫を経て蛹になったとすれば、アナグマが死んでからかなりの日数が経過していることになります。 
それとも、謎の異物はひっつき虫などの植物由来かな? 
クロバエの蛹が死骸の毛皮に付着した状態で見つかるのは不自然ではないでしょうか?
クロバエが動物の死骸に産卵した場合、老熟した幼虫は死骸を離れて地中などで蛹化するはずです。 
Perplexity AIの回答によれば、
死骸の毛皮にクロバエの蛹が付着していることは、稀ではありますが、以下の状況では可能性があります 
・死骸の状態: 腐敗が進んでいない比較的新鮮な死骸の場合
・環境条件:周囲に適切な蛹化場所がない場合 
・幼虫の数:大量の幼虫が存在し、競争が激しい場合
いずれにせよ、私のやった現場検証は中途半端すぎて、アナグマの死後経過時間を推定できそうにありません。 
遺体や虫のサンプルを全て持ち帰って丹念に調べないことには無理だと実感しました。 

アナグマがこの地点で死んだとは限りません。 
例えば巣穴の中で死んだアナグマを、タヌキが外に引きずり出した可能性も考えられます。 
監視映像にはそのようなシーンは写っていませんでしたが、トレイルカメラにはすべての動きが記録されている訳ではない(どうしても撮り漏らしがある)という点が、もどかしいところです。 
また、どこか遠くで見つけたアナグマの死骸を他の動物に横取りされないように、タヌキがここまで運んできたのかもしれません。
積雪期なら、雪面に足跡や死骸を引きずった跡が残ったはずですが、残雪がどんどん溶けていく早春にはそのような手掛かりを得られませんでした。

当時の私は、「定点観察していたセットの主が死んだとは限らない」と自分に言い聞かせていました。 
発情した♀を探し求めて求愛する夜這い♂など、余所者のアナグマ個体が遠征してきて偶然ここで死んだ(行き倒れた?)可能性もあるからです。 
しかし、その後も営巣地(セット)で定点観察を続けると、ここでアナグマの姿をまったく見かけなくなりました。
次にアナグマが現れたのは、何ヶ月も先のことです。(映像公開予定) 



つづく→ 


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2025/02/17

雪解けが進む早春のニホンアナグマ営巣地に繰り返し単独で現れるホンドタヌキ【トレイルカメラ:暗視映像】

 



2024年3月中旬〜下旬

シーン0:3/11・午後13:46・晴れ・気温(@0:00〜) 
明るい昼間にたまたま撮れた現場の状況です。 
残雪が消えつつある平地の二次林で、ニホンアナグマMeles anakuma)が冬眠する営巣地(セット)を2台のトレイルカメラで見張っています。 

近所のホンドタヌキNyctereutes viverrinus)が単独で登場したシーンをまとめました。 
 個体識別できていないので、計何頭のタヌキが出没しているのか不明です。 


シーン1:3/12・午前3:52・気温-2℃(@0:04〜) 
未明に林縁の残雪をタヌキが右から左へトボトボと歩いて横切りました。 


シーン2:3/14・午前4:17・気温-4℃(@0:16〜) 
気温が低いせいか監視カメラの起動が遅れがちで、タヌキがどこから来たのか不明です。 
アナグマの巣口Lの匂いを通りすがりに軽く嗅いで行きました。 
左へ立ち去りかけると、その動きでようやく対面の監視カメラが起動しました。


シーン3:3/14・午前4:16・気温-5℃(@0:27〜) 
別アングルで設置したもう1台の監視カメラに続きが記録されていました。 
右に立ち去るタヌキの尻尾だけ画面の右端にチラッと写りました。 


シーン4:3/15・午後16:19・晴れ・気温16℃(@0:34〜) 
日中に晴れると、林床の雪解けがさらに進行します。 


シーン5:3/15・午後20:14・降雪・気温13℃(@0:38〜) 
気温が暖かい晩ですが、強風が吹いて小雪も降っています。 
単独行動のタヌキが右からのそのそと登場しました。 
立ち止まってアナグマの巣口Lで立ち止まり、中を見下ろして匂いを嗅ぐと左へ向かいます。 
タヌキの毛並みが早春の強風(春一番?)に煽られて激しくなびいています。


シーン6:3/15・午後21:28・降雪・気温8℃(@0:38〜) 
獣道を右から左へ横切りました。 
小雪がちらついています。 


シーン7:3/20・午後21:01・降雪・気温0℃(@1:44〜) 
5日後の雪が降る晩に、タヌキが独りで奥の林縁からセットに来て手前に回り込み、アナグマの巣口Rの匂いを念入りに嗅いでから右へ向かいます。 


シーン8:3/21・午後19:08・気温-2℃(@2:25〜) 
翌日の晩にタヌキの登場で監視カメラが起動すると、林床はうっすらと雪で覆われていました。 
アナグマの巣口Rの匂いを少し嗅いでから右に向かいます。 


シーン9:3/21・午後19:26・気温-2℃(@2:36〜) 
18分後に、別個体らしきタヌキが奥の林縁を足早に左から右へ横切りました。 
巣口Rの横を通り、右下へ向かいます。 


シーン10:3/21・午後19:34・気温0℃(@2:47〜) 
8分後に奥の林縁でタヌキが落葉したミズキの根本に排尿マーキングしたように見えました。 
後脚を上げながら小便したかどうか(♂かどうか)、はっきりしません。 


シーン11:3/23・午前2:11・気温-4℃(@2:56〜) 
2日後の丑三つ時にタヌキの登場で監視カメラが起動すると、林床の雪は完全に溶けていました。 
奥の林縁を左から来たタヌキがアナグマの巣口Rで立ち止まり、右の方を警戒しています。 
なぜか慎重な足取りで右下へ向かいます。 
(※死角で見えませんが、アナグマの死骸の方へ向かっているのかもしれません。) 


シーン12:3/23・午前9:20・くもり・気温2℃(@3:19〜) 
7時間10分後、珍しく明るい午前中にタヌキが登場しました。 
地面の匂いを嗅ぎながらセットをうろつき、巣口Rで立ち止まって周囲を警戒してから巣穴Rの中に潜り込みました。 
その後、巣穴Rの外に出るシーンが撮れていないので、一時的な内見ではなく、巣R内で長居したようです。 


シーン13:3/24・午前4:14・濃霧・気温0℃(@3:58〜) 
翌日の未明、濃い夜霧が立ち込める中を1頭のタヌキが林縁を右から左へ。 
アナグマの巣口Lをピョンと跳び超えて左へ向かいました。 


シーン14:3/24・午前4:47・濃霧・気温0℃(@4:11〜) 
約30分後、依然として濃い霧が立ち込める中をタヌキが今度は左から右へ。 
同一個体が戻ってきたのか、それとも別個体なのか、私には見分けがつきません。 
手前に回り込んで巣穴Rに入りました。 
しばらくするとタヌキは頭から巣穴Rの外に出てきて、再び入巣R。 
現場検証できていないのですが、もしかすると巣口Rには実は左右2つの穴が開口していて、タヌキは別の入口に入り直したのかもしれません。 
木の根っこや落枝が巣口Rに散乱していて、入口が分かりにくくなっています。 


シーン15:3/24・午前4:50・濃霧・気温0℃(@4:47〜) 
どうも、タヌキの出巣Rシーンを毎回撮り損ねているような気がします。 
林縁を左から右へうろついてから立ち止まって周囲を警戒。 
巣口Rもちらっと覗き込みました。 
右の死角でアナグマの死骸を見つけたのか、あるいは死骸を食べている先客を警戒したのかな? 

奥の二次林へ入っていったものの、林内で振り返るタヌキの目が白く光って見えます。 


シーン16:3/24・午前6:54・くもり・気温1℃(@5:35〜) 
2時間後の明るい朝にタヌキが来て監視カメラが起動すると、林床のあちこちに再び薄っすらと雪が積もっていました。 

林縁で落葉灌木の匂いを嗅いでから身震いし、そのまま周囲を警戒しながら佇んでいます。 
ゆっくり手前に歩き出したところで、録画時間が終わりました。 


シーン17:3/24・午前7:24・くもり・気温2℃(@6:35〜) 
30分後、タヌキはアナグマの巣口Lに顔を突っ込んで匂いを嗅いでいました。 
そのまま獣道を左へ。 


※ 動画の一部は編集時に自動色調補正を施しています。 



【考察】 
前回の♀♂ペア編と今回の単独行動編でお伝えしたように、この時期はタヌキの登場頻度がなぜか急増しました。 
何か異変が起きたようです。 

これ以上隠し切れないので先にネタバレしてしまうと、巣穴の主と思われる1頭のアナグマが営巣地(セット)の近くで死んでいました。(死骸は監視カメラの画角の外で、写っていません。) 

近所のタヌキは、空き巣になったアナグマの営巣地(セット)を早速乗っ取ろうとする意図が一つあるようです。 
数百m離れた休耕地にあるタヌキの営巣地でこの時期に巣穴の一つが疥癬ホンドギツネに乗っ取られたので、タヌキの♀♂ペアは新たな引越し先(営巣地)を探し求めているのかもしれません。

タヌキの意図としてもう一つは、アナグマの死骸が気になって(スカベンジャーの血が騒ぎ)、昼夜を問わずに繰り返しうろついているようです。 
問題なのは、アナグマの正確な死亡日時が分からないことです。 
監視カメラに写ったタヌキの(いつもとは違う)行動と法医昆虫学的な手法から総合的に推理するしかありません。 


つづく→

子猫を連れて路地裏を歩く親のイエネコ♀が尿スプレーで縄張りをマーキング

 

前回の記事:▶ 庭を探索する3匹の子ネコ 


2023年9月中旬・午後14:10頃・くもり 

民家の庭から逃げた子ネコを追いかけて横の路地裏に回り込むと、白黒模様のイエネコFelis silvestris catus)が歩き去るところでした。 
背側は真っ黒で、下半身は白色の毛並みでした。 
左右非対称の模様が個体識別に使えそうです。 
右後脚が腿まで白く、左側だけ、黒い耳の後ろに白点があります。 

やがて奥の道端で座り込んで待っていた成獣の別個体と合流しました。 
この個体も白黒の模様で、鼻先が黒いです。 子ネコ?に近寄りながら小声で鳴いて挨拶しているようですが、少し遠くて聞き取れません。 
この2頭が親子だとすれば、成獣の個体は母親でしょう。 
イエネコ♂は一般に我が子を認識できず、子ネコの世話をすることはありません。 
腹面に乳首がないかどうか目を凝らしてみても、私には分かりませんでした。 
この時期にはおそらく子ネコも離乳しているはずです。 
母親♀は路上に座って、右首の痒い部位を右後足で掻きました。 

立ち上がると、親子で道端の茂みが気になるようで、見上げたり匂いを嗅ぎ回ったりしています。 
親猫だけが尻尾を高々と上げて、道端に生えた雑草の茂みに対して何度も排尿マーキング(尿スプレー)をしたようです。 
縄張りに尿スプレーをするのは雄猫♂だけだと思い込んでいた私は、辻褄が合わなくなって意外に思いました。 
Perplexity AIに相談してみると、雌猫♀も発情したときなどに尿スプレーをすることがあるのだそうです。 
この時期に見かける子ネコは春から初夏にかけて生まれた可能性が高く、生後少なくとも3〜4ヶ月程度経過していると推測され、既に離乳を完了しているでしょう。 
離乳が済んだ母猫♀は再び発情し、この時期に縄張り内に尿スプレーを始めても不思議ではありません。 

小さい方の白黒ネコは子猫(当歳仔)だと思っていたのですが、私の勘違いかもしれません。 
数分前に見た白黒模様の子猫とは明らかに別個体で、しかも子猫より少し大人に見えます。 
今回の動画で私の解釈は根本的にどこか間違っているのではないかと、自信がありません。

街なかで暮らす野良猫を本格的に観察するのも面白そうですが、大人が本気でフィールドワークすると不審者として通報されそうです。 
小学生ならまだ許されそうなので、子供の自由研究向きのテーマかもしれません。


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2025/02/16

雪が溶けた早春の林床で活動を始めた野ネズミ【トレイルカメラ:暗視映像】

 



2024年3月中旬

シーン0:3/15・午後16:19・晴れ・気温20℃(@0:00〜) 
明るい日中にたまたま撮れた現場の状況です。 
平地の二次林でニホンアナグマMeles anakuma)が冬眠している営巣地(セット)を自動センサーカメラで見張っています。 
久々に野ネズミ(ノネズミ)が写ったシーンを集めてみました。 

林床のあちこちに残雪がまだあります。 
巣穴の奥に見える常緑の低灌木の群落はヒメアオキです。 


シーン1:3/15・午後19:27・気温14℃(@0:04〜) 
風が強い晩に、右手前から奥のヒメアオキ群落の方へ野ネズミがチョロチョロと走り去りました。 


シーン2:3/15・午後19:43・気温15℃(@0:14〜) 
ヒメアオキの群落内を徘徊しています。 
野ネズミの動きが緩慢なので、5倍速の早送りでお見せします。 
その辺りに野ネズミの巣穴がありそうな気がしてきました。 


シーン3:3/15・午後19:45(@0:29〜) 
ヒメアオキの群落から野ネズミが手前のセットに出てきました。 
アナグマの巣穴Lには立ち寄らずに横を通過。 


シーン4:3/15・午後19:53(@0:46〜) 
ヒメアオキの群落内で野ネズミの白く光る眼が動いています。 
5倍速の早回し映像でお見せします。 


シーン5:3/15・午後19:59・気温7℃(@0:46〜) 
ヒメアオキの茂みを透かして、林床を活動する野ネズミの眼が白く光って見えます。 


シーン6:3/16・午前0:05・気温7℃(@1:26〜) 
日付が変わった深夜にも、奥のヒメアオキ群落から野ネズミが出てきて林床をチョロチョロと走り回っています。 
アナグマの冬眠営巣地には近寄らず方向転換して、左上奥の残雪エリアの方へ向かいました。 


※ 動画の一部は編集時に自動色調補正を施しています。 


【考察】 
この地点で野ネズミが写ったのは実に久しぶりです。(11月上旬以来) 
雪国の積雪期でも野ネズミは冬眠しないで活動しているはずですが、冬には監視カメラにまったく写りませんでした。 
おそらく雪の下にトンネルを掘って暮らしていたと思われます。 
秋の間にドングリやクルミの堅果など大量の食料を拾い集めて貯食し、冬の間はそれを食べて暮らしますから、そもそも危険を冒して外に出る必要がなかったのでしょう。 
根雪がほぼ溶けた早春になってようやく、林床を元気に走り回って餌を探す姿を見せてくれました。 

強風が吹き荒れる(春一番?)夜に探餌徘徊していました。 
激しい風揺れでトレイルカメラが誤作動したのかと思いきや、動画を丹念に見直すと野ネズミが写っていました。 

ヒメアオキの群落周辺に野ネズミの巣穴がありそうなので、現場入りしたときに探してみます。

つづく→

2025/02/15

早春に雪解けした休耕地で巣穴に出入りする疥癬ホンドギツネ細尾【トレイルカメラ:暗視映像】

 



2024年3月中旬〜下旬

シーン0:3/11・午後13:08・晴れ・気温27℃(@0:00〜) 
明るい日中にたまたま撮れた現場の様子です。 
残雪に覆われた休耕地で、疥癬ホンドギツネVulpes vulpes japonica)がホンドタヌキNyctereutes viverrinus)から乗っ取った巣穴Rを自動撮影カメラで見張っています。 


シーン1:3/14・午後12:12・くもり・気温13℃(@0:04〜) 
昼過ぎに、疥癬の症状で尻尾が脱毛しつつあるキツネ「細尾」が写りました。 
右の雪原から来たのか、それとも巣穴Rから出てきたばかりなのか、判断できません。 
手前に回り込むと慎重に巣口Mfの匂いを嗅ぎ、中に潜り込みました。 
この巣穴MfにはこれまでホンドタヌキとニホンアナグマMeles anakuma)が出入りしていて、疥癬キツネ「細尾」が入ったのは初めてです。 
この営巣地は複数の巣口が内部でつながっているような気がするのですけど、確かめる方法が思いつきません。 
強風が吹き、監視カメラを固定した灌木が大きく揺れています。 


シーン2:3/14・午後18:35・気温5℃(@0:20〜)日の入り時刻は午後17:48。 
6時間20分後、すっかり日が暮れた晩に、疥癬キツネ「細尾」が巣穴Mfから外に出てきたようです。 
途中で2回身震いしてから雪原を右へ向かい、餌を探しに行きました。 
うっすらと積もった新雪にキツネの足跡が残ります。 


シーン3:3/19・午後13:16・晴れ・気温26℃(@0:32〜) 
5日後の昼間、監視カメラが誤作動した映像です。 
休耕地の雪解けが、手前から奥に向かって進行中です。 


シーン4:3/20・午前1:51・気温-1℃(@0:37〜) 
なんと6日ぶりに疥癬キツネ「細尾」が現れました。 
深夜に左から来て、巣口LおよびMfの匂いを嗅ぎ回っています。 
巣口Rには立ち寄らず、右へ立ち去りました。

この動画を初めて見た私は「巣口Mfの手前で排尿マーキング?」とメモを残しているのですが、今見返すと、ただ素通りしただけに見えます。 


シーン5:3/20・午後20:42・気温0℃(@1:05〜) 
18時間50分後の晩遅くに、疥癬キツネ「細尾」が左から戻ってきました。 
枯野を横切ると巣口Rの手前で地面の匂いを嗅ぎ、右へ立ち去りました。 


シーン6:3/22・午後19:31・気温0℃(@1:27〜) 
2日後の晩に左手前から来た疥癬キツネ「細尾」が躊躇うことなく巣穴Rに入りました。 


シーン7:3/22・午後21:23・気温-2℃(@1:42〜) 
1時間50分後、疥癬キツネ「細尾」が左から来て巣口Lの匂いを嗅いでいました。 
監視カメラの起動が遅れて、出巣Rする瞬間を撮り損ねたのか、それとも疥癬キツネ「細尾」は実は複数いるのかもしれません。
(辻褄が合わず、まるで狐につままれた気分です。) 
巣口MおよびRの匂いも順に嗅いでから、奥の農道に向かって立ち去りました。 


シーン8:3/22・午後22:05・気温-2℃(@2:07〜) 
40分後、疥癬キツネ「細尾」が軽快な足取りで枯野を左下隅に走り去りました。 
1/3倍速のスローモーションでリプレイ。
巣穴Rから外に出てきた直後のようにも見えますが、それだとシーン7との辻褄が合いません。

※ 動画の一部は編集時に自動色調補正を施しています。 


【考察】 
積雪期には雪面がレフ板になってトレイルカメラの赤外線が遠くまで届き、暗視映像がきれいに撮れていました。 
ところが早春に残雪が溶けて地面が露出すると、赤外線が遠くまで届かなくなった結果、非常に暗い暗視動画しか撮れなくなり、もどかしいです。 

疥癬キツネ「細尾」として個体識別していたつもりだったのですが、脱毛の進行度合いが異なる複数個体のホンドギツネが出没している可能性が出てきました。 
もっときっちりキツネを個体識別できるようにならないといけません。 


疥癬キツネ「細尾」がこの営巣地で子育てを始めるのではないかと期待していたのに、残雪が溶けると留守がちになりました。
他にもっと良い営巣地を見つけたのかな?
最近では、たまに休む場所として使っているだけのようです。


つづく→

2025/02/14

早春にホンドタヌキ♀♂がパートナーの発情状態を調べ、ニホンアナグマの冬眠巣穴を何度も内見【トレイルカメラ:暗視映像】

 



2024年3月中旬〜下旬 

平地の二次林でニホンアナグマMeles anakuma)が冬眠する営巣地(セット)を自動センサーカメラで見張っています。 
ホンドタヌキ♀♂(Nyctereutes viverrinus)が一緒に登場したシーンをまとめてみました。 


シーン1:3/17・午前4:46・気温-3℃(@0:00〜) 
未明に右から来たタヌキが途中で通りすがりにアナグマの巣口Lの匂いを嗅ぎました。 
やがて後続個体も右から登場し、巣口Lを跳び超えて左へ向かいました。 


シーン2:3/21・午後18:54・気温-2℃(@0:36〜) 
寒の戻りで少し雪が降ったようで、林床にうっすらと雪が積もっています。 
晩にタヌキがセットを左へ通り過ぎました。 
右下から登場した後続個体は、アナグマの巣口R、Lを順に覗き込み、点検して回ります。 


シーン3:3/24・午前4:52・霧(@1:25〜) 
3日後の夜霧が立ち込める未明に、2頭のタヌキが登場。 
1頭は奥の林内へ入り、もう1頭はアナグマの営巣地をうろついて巣口Rを点検。 


シーン4:3/24・午前4:54・霧(@2:25〜) 
手前の獣道を右往左往していた個体aがセットに戻ってきたら、いつの間にか巣穴Rに潜り込んでいた別個体bが外に出てきて出迎えました。 
アナグマが巣内Rで冬眠しているはずなので、「同じ穴のむじな」の状況になっていたことになります。 

タヌキbは巣口Rで身震い。 
タヌキのペアはばらばらに右へ立ち去りました。 


シーン5:3/24・午前5:24・気温0℃(@3:26〜) 
30分後、1頭のタヌキが右に立ち去り、しばらくするともう1頭が出巣Rしました。 
辺りを警戒しながら奥の灌木林へ向かいます。 

明け方に夜霧から雪に変わったようで、林床はっすらと雪化粧していました。 


シーン6:3/24・午前5:24・気温2℃(@4:00〜)日の出時刻は午前5:34。 
日の出前ですが、もう明るくなっていました。 
♀♂ペアと思われる2頭のタヌキが奥の二次林から手前のセットに来て、1頭が迷わず巣穴Rに潜り込みました。 
内見しただけで、しばらくすると外に出てきました(出巣R)。 
尻尾に黒班が無い個体です。 
セットをうろついている間に、もう1匹は二次林に残ったまま待っています。 


シーン7:3/24・午前5:33・気温3℃(@5:00〜) 
20秒後(日の出直前)に監視カメラが再び起動すると、1匹のタヌキは二次林で伏せたまま不動でした。 
もう1匹も奥の林内へ向かう途中で、林縁のミズキ灌木の根元に排尿マーキングしました。(@ 〜) 
このとき右後脚を持ち上げたので、♂と判明。 
♀だと思っていたパートナーは、なぜか♂について行かず、林内に座ったまま見送るだけでした。 


シーン8:3/24・午前6:48・気温0℃(@6:00〜) 
すっかり明るくなった早朝に、2頭のタヌキがアナグマの巣口R周辺をうろついていました。 
一方のタヌキがパートナーに寄り添って、尻(肛門?)の匂いを念入りに嗅ぎました。 (@6:05〜)
おそらく♂が♀の発情状態を確認しているのでしょう。 
♀は嫌がらずに尻尾を少し上げました。
♂が♀の尻の辺りを舐めて毛繕いしているようにも見えます。(対他毛繕い) 


※ 動画の一部は編集時に自動色調補正を施しています。 


【考察】 
ニホンアナグマが冬眠していた営巣地(セット)にホンドタヌキが♀♂ペアで現れる頻度がなぜか急に上がりました。
巣穴Rを何度か内見しているようです。 
もしかして、空き巣なのでしょうか?

タヌキ♀の発情状態を、付き添う♂がチェックしています。
(先にお伝えしておくと、今季各所に設置したトレイルカメラにホンドタヌキ♀♂の交尾シーンは写っていませんでした。)
タヌキ♀の出産に備えて、アナグマの巣穴を乗っ取るつもりなのでしょうか。 

監視カメラには写っていませんが、実はこの時、巣穴の主であるアナグマの身に極めて重大な事件(死亡・殺害?)が起きていた可能性があります。 
(あー、次の急展開を早く言いたい…。)


2025/02/13

早春にニホンアナグマの冬眠用営巣地に来たホンドテン【トレイルカメラ:暗視映像】

 



2024年3月中旬〜下旬

シーン0:3/11・午後13:46・気温29℃(@0:00〜) 
シーン0:3/15・午後16:19・気温16℃(@0:00〜) 
明るい昼間にたまたま撮れた現場の状況です。
平地の二次林でニホンアナグマMeles anakuma)が冬眠する営巣地(セット)をトレイルカメラで監視しています。 
林床の雪解けが進み、地面があちこちで露出しています。 


シーン1:3/15・午後19:08・気温11℃(@0:00〜) 
小雪が風に舞う晩に、右上奥の暗い獣道からホンドテンMartes melampus melampus)がやって来ました。 
アナグマの営巣地にはなぜか近づかず、急に身を翻して奥の林内へ走り去りました。 
短い登場シーンを1.5倍に拡大した上で1/3倍速のスローモーションでリプレイ。(@0:18〜) 
ニホンイタチならもっと尻尾が短いはずなので、テンだと判断しました。 

獲物となる野ネズミを探し歩いているのでしょう。(探餌徘徊)
実はこの後、同じ監視カメラに野ネズミの活動が何度も記録されていました。(映像公開予定) 


シーン1:3/24・午後23:44・気温0℃(@0:42〜) 
9日後の深夜にもテンが写っていました。 
監視カメラの起動が遅れ、どこから来たのか不明です。 
林縁をうろついてから方向転換して、アナグマの巣口Lの横を通って左下の獣道へ立ち去りました。 


※ 動画の一部は編集時に自動色調補正を施しています。 


つづく→

早春にトウホクサンショウウオの繁殖池をタイムラプス動画で監視してみると…#1:ニホンザルの登場

 

2024年3月上旬〜下旬

山中の湧き水が溜まる浅い池で毎年早春にトウホクサンショウウオHynobius lichenatus)が繁殖していることが分かっています。

産卵行動を観察・撮影するのが今季の目標です。 
3月上旬に現場入りしてみると、暖冬のためか池は雪に埋もれていませんでした。 
この日は未だヤマアカガエルやトウホクサンショウウオの卵嚢は1つも見つかりませんでした。 
親の姿もまったく見当たりません。 
繁殖期はまだ始まっていないようです。 
(ちなみに、標高の低い山麓の池ではヤマアカガエルの産卵が始まっていました。) 
前年は水中に半分沈んだアカマツの落枝にトウホクサンショウウオの卵嚢が産み付けられていたので、今年は産卵基質として常緑の葉の付いたスギの落枝を池に投入してみました。 
(私のこの行為が、余計なお世話だったかもしれません。)

両生類は変温動物ですから、いくら活発に動き回っても通常のトレイルカメラでは検知できません。 
仕方がないので、次善の策としてタイムラプス専用カメラを設置して繁殖池を監視することにしました。 
明るい昼間のみ1分間隔でインターバル撮影した連続写真をタイムラプス動画に加工しました。 
(この機種では、夜間の暗視撮影はできません。)
まる2週間のインターバル撮影で計4.7 GiBのAVIファイルが生成されました。

野生動物で唯一写っていたのは、 3/8の夕方(PM 17:10〜17:11)に登場した1頭のニホンザルMacaca fuscata fuscata)だけでした。 
他の季節にこの水場でニホンザルが飲水するシーンがときどきトレイルカメラで撮れていたので、今回も群れで遊動する途中に水を飲んだり水浴するために立ち寄ったのでしょうか? 
雪解け水の冷たい泉にわざわざ入ってジャブジャブ横断したということは、何か餌を探していたのかもしれません。 
早春は樹々が芽吹くまでニホンザルの餌がきわめて乏しい季節ですから、空腹の猿がカエルやサンショウウオの成体や卵嚢を探して捕食する可能性も十分あり得ます。 
しかし、ニホンザルが監視カメラに写ったのは、2週間でこの一度きりでした。 
もし捕食に成功していたら、味をしめて何度も同じ池に通っていたはずです。 
あるいは、カエルやサンショウウオの成体または卵嚢を味見したのに、ニホンザルの口に合わなかった(不味かった)のかもしれません。
ニホンザルの糞を分析して、両生類のDNAが検出できれば捕食した有力な証拠となるでしょう。 

低山でもときどき寒の戻りで雪が降っていました。 
早春の積雪量は少なく、すぐに溶けてしまいます。 
カメラのレンズに雪が付着しても、晴れると溶け落ちてすぐに視界は良好に戻ります。 
晴れると池の周囲の雑木林の影がまるで日時計のように刻々と移動しています。 

画面の下端に写っている、池畔に自生するスギ幼木の枯れた横枝が邪魔なのですが、上下に日周運動していることが分かりました。 
昼間に晴れると枝が立ち上がり、曇りや雨雪など悪天候になると垂れ下がります。 
つまり死んだ枯れ枝ではなく、生きているようです。 

水中に浸ったスギの落枝はいつまで経っても葉が緑色のままで、茶色に枯れることはありませんでした。 
いくら目を凝らして動画を見直しても、水中のスギ落枝にサンショウウオやカエルが集まって産卵する様子は写っていませんでした。 
たまに岸辺近くの水中で両生類?がウロチョロしていたかもしれませんが、タイムラプスの早回し映像ではあまりにも早すぎてよく分かりません。 

後に現場入りすると、監視カメラの画角の外の、対岸の水面に浮いていたスギの落ち葉にトウホクサンショウウオの卵鞘が産み付けられていました。(映像公開予定) 
スギの生葉から水に溶け出したエキスをトウホクサンショウウオが嫌って寄り付かなくなってしまった可能性なども懸念してしまいます。
完全に枯れたスギ枝葉を池に投入すべきだったかもしれません。 

期待外れの結果で残念でしたが、もう少し続行します。

つづく→ 


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