2022年6月下旬・午後16:10頃・くもり
細い尾根道を縦列でこちらに向かって来る2頭のうち、後続の個体が座って道草を食い始めました。
手前に自生するイヌツゲ?の低木が邪魔でよく見えないのですけど、何か1本の植物を選ぶと根こそぎ手で引っこ抜いたようです。
その茎を口に咥えたまま、山道を私の方へ歩いて来ます。
再び座り込んで食餌を再開。
茎全体を手でしごいて葉や細根、泥を取り除いてから、少し膨らんだ太い根を食べました。
ニホンザルが餌に付いた泥をきれいに落としてから食べる行動を初めて実際に観察した私は、ちょっと感動しました。
かの有名な「幸島の猿の芋洗い行動」を連想したからです。
興味深いことに、ニホンザルが食べたのは膨らんだ根だけで、葉や茎は全く食べずに捨てました。
食べた根の切り口は白く見えます。
この膨らんだ根っこはデンプン質に富む球根や鱗茎、塊根なのでしょうか?
問題の採食シーンを1/5倍速のスローモーションでリプレイ(@1:22〜)してみても、私にはこの植物の名前が分かりません。
ズームインしても少し遠い上に、花や果実などの分かりやすい特徴が無いのです。
そもそも草本植物なのか、木本植物の幼木なのかも、分かりません。
少なくともヤマノイモのような蔓植物ではなさそうです。
もしかすると、ヒトの食用(サバイバルの非常食)にもなる山菜なのかな?
山菜採りをしない私は、知識がありません。
撮影直後に猿の食べ残し(茎と葉)を回収するか、猿が採取した辺りの植物をじっくり調べてみるべきでしたね。
このときの私は遊動するニホンザルの群れにノコノコついて行ってしまったのです。
しかし撮影地点の標高は約610m(ブナ帯よりも少し標高の低いミズナラ帯、冷温帯落葉樹林)で、分布する生息環境が違います。
葉の形状、葉脈を映像と見比べると、ノビルやニンニクっぽくありません。
文献検索(Google Scholar)でヒットした次の論文のPDFをダウンロードして読むと、ノビルもギョウジャニンニクもリストに含まれていました。
三戸幸久. "ニホンザル採食植物リスト." Asian paleoprimatology 2 (2002): 89-113.ニホンザルが食べた謎の根っこの植物名をご存知の達人がいらっしゃいましたら、是非教えてください。
【追記】
中川尚史『サルの食卓―採食生態学入門 (平凡社 自然叢書)』によると、
地上部分に対して根や根茎など地下部分はススキやツワブキなど一部のものを除いて、ニホンザルはほとんど利用しない。(p71-72より引用)
今回ススキは明らかに除外できます。
当地(里山の尾根筋)で常緑のツワブキが自生するかどうか、分布域から考えると微妙なのですが、ツワブキを候補として探してみることにします。
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