2024/03/23

山道でウワミズザクラの葉を食べクマイチゴの葉に眼下腺マーキングするニホンカモシカ♂

 



2023年7月上旬・午後13:35頃・晴れ 

つづら折れの山道で座位休息してたニホンカモシカ♂(Capricornis crispus)がようやく立ち上がって歩き去ったので、そっと後をつけると、ほぼ平坦な区間でこちらを振り返っていました。 
直前まで山道横に自生する灌木の葉を採食していたようで、もぐもぐと咀嚼しています。 
やがて警戒を解くと、道端の木の葉の匂いを嗅いでから、あちこちで葉先を少しずつ口でちぎり取って食べました。 
下草にオカトラノオウツボグサの花が咲いているのに、それらは全く口にしませんでした。 
カモシカはいかにもbrowserらしく、灌木の葉の方が好みなようです。(シカは下草が好きなgrazer) 
股間に陰嚢(睾丸)が見える。

ここで生憎カメラの機材トラブルとなり、焦りながら再起動すると、カモシカ♂はつづら折れの曲がり角に達していました。 
道端に自生するキイチゴの仲間の枝葉に顔をゴシゴシと擦りつけていました。 
眼下腺マーキングが済むと、こちらを振り返って見上げました。 
舌舐めずりしてからゆっくりと倒木を跨いで山道を外れ、オオバクロモジユキツバキの藪の間に分け入って行きました。 
どうやらそこが(通い慣れた?)獣道になっているようです。 
オオバクロモジの葉にも通りすがりに軽く眼下腺マーキングしたようです。 

カモシカ♂が居なくなった後で、動画を撮りながら、現場検証しました。 
採食していた灌木の樹種は、おそらくウワミズザクラと思われます。 
眼下腺マーキングしていたのはキイチゴの仲間だと思われますが、花や実がついていない夏に種類を見分けるのは苦手です。 
葉の形状から、クマイチゴですかね?
右上に葉にカモシカの食痕?


 延べ16分半という長時間の連続観察をする幸運に恵まれましたが、この間、ニホンカモシカ♂が私に対して鼻息を荒らげて威嚇することは一度もありませんでした。 
フィールドで私という存在に慣れてもらうまで何年もかかって大変ですが、信頼関係を築き上げると観察が楽になります。


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モクゲンジを訪花中に求愛してくるオオチャバネセセリ♂と交尾拒否する♀

 

2023年7月上旬・午後16:10頃・晴れ 

民家の裏庭に咲いたモクゲンジに複数個体のオオチャバネセセリ♀♂(Zinaida pellucida)が訪花していました。 

まず、クゲンジの葉に乗っている個体に注目しました。 
♀が飛来するのを待ち伏せしている♂なのでしょうか? 
それとは別に、右の枝で訪花中の個体♀がいました。 
その♀が花から花へと少し飛ぶと、葉上の個体♂が目敏く見つけて追尾開始。 
花に止まった♀の周囲を♂がホバリング(停空飛翔)しながら飛び回りました。 
2頭はすぐに別れてしまったのですが、何が起きたのか1/5倍速のスローモーションでリプレイしてみましょう。(@0:24〜) 
ホバリングする♂の激しい羽ばたきで♀の翅にバシバシと何度も軽く触れていました。 
求愛を受けても♀は翅をしっかり閉じたままです。 
これが交尾拒否の姿勢なのでしょう。 
♂は諦めてすぐ飛び去りました。 

独りになった♀はようやく落ち着いて口吻を伸ばすと、モクゲンジの花蜜を吸い始めました。 
しばらくすると♀も次の花に飛び去りました。 
オオチャバネセセリは羽ばたきが速過ぎて、ハイスピード動画で撮らないと翅表の斑紋がしっかり見えませんね。



オオチャバネセセリ♀@モクゲンジ訪花吸蜜

2024/03/22

ニホンアナグマの幼獣2頭がスギ防風林でタヌキの溜め糞場を素通り【トレイルカメラ:暗視映像】

 



2023年7月上旬 

スギ防風林に残されたホンドタヌキNyctereutes viverrinus)専用の溜め糞場wbcを久しぶりにトレイルカメラで監視しています。 


シーン1:7/6・午後14:24(@0:00〜) 
明るい昼間にたまたま撮れた現場の状況です。 
スギ大木の左手前にこんもりとしたタヌキの溜め糞場wbcがあります。 
ちなみに、画面の右下の方向へ約5m離れた地点に実はアナグマ専用の溜め糞場stmpがあります。 


シーン2:7/7・午前3:00頃・(@0:03〜) 
深夜未明にやって来たのは、2頭のニホンアナグマMeles anakuma)幼獣でした。 
この間までよちよち歩きだった幼獣が、だいぶ成長して足取りがしっかりしてきました。 
この時期は未だ母親♀に引率されて出歩くはずなのに、おそらくカメラの起動が遅れて先行する♀を撮り損ねたようです。 
♀がカメラの死角を通った可能性もあります。 
1頭の幼獣が獣道で立ち止まり、体を掻きました。 
タヌキの溜め糞wbcには興味がないようで、立ち寄りませんでした。 
画面奥にある枯れ水路の方へ姿を消しました。 

※ 動画編集時に自動色調補正を施しています。 


水田の畦道を闊歩するキジ♂(野鳥)

 

2023年7月上旬・午後12:55頃・晴れ 

私が水田の農道を歩いていると、すぐ横の畦道に潜んでいたキジ♂(Phasianus versicolor) が慌てて走り去りました。 
少し離れて落ち着くと、草刈りされた畦道をキョロキョロしながら歩き去ります。 
道中でときどき採食しながら、隠れ家としているヨシ原の方へ向かっているようです。 

ヨシ原の端に達すると立ち止まり、背伸びして周囲を見渡しました。 
てっきり縄張り宣言の母衣打ちをするかと思いきや、再び前傾姿勢で歩き始めました。 
繁殖期が終わるともう鳴かなくなるのでしょう。 
結局ヨシ原には逃げ込まず、畦道から横の水田に降りて採食を始めたようです。 

稲が青々と育つ田んぼでカラフルなキジ♂はよく目立ちます。 
私の好きな被写体の一つなので、見つけると取りあえずカメラを向けてしまいます。 

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2024/03/21

スギ防風林でアナグマ専用の溜め糞場を夕方に素通りするホンドタヌキの♀♂ペア【トレイルカメラ】

 



2023年7月上旬・午後17:47・(日の入り時刻は午後19:08) 

スギ防風林にあるニホンアナグマMeles anakuma)専用の溜め糞場stmpを自動撮影カメラで監視していると、やや薄暗くなった夕方にホンドタヌキNyctereutes viverrinus)の♀♂ペアが奥から登場しました。 
アナグマの溜め糞場の横を通り過ぎたものの、立ち止まって匂いを嗅いだりしませんでした。 
古い機種なのに、今回はなぜか珍しくフルカラーで録画されています。 
ホンドタヌキのペアが向かった方向には約5m先にタヌキ専用の溜め糞場wbcがあるのですけど、運用しているトレイルカメラの台数が足りなくて、そっちは監視できていません。 

画面下端のやや左寄りの所に朽ち果てた切株があります。 
画面の右下隅から斜めに左上へ林床に掘られた古い用水路跡の溝にスギの落ち葉が溜まって埋もれかけ、今や獣道となっています。 
その溝を挟んで切株の反対側に古い手押し車(猫車)が捨てられたまま朽ち果てて、錆びた金属のフレームだけが残っています。 
そのフレームのすぐ左に黒々としたアナグマ専用の溜め糞stmpが写っています。 


手まり咲きの白いアジサイの花で振動集粉♪するクロマルハナバチ♀

 

2023年7月上旬・午後16:55頃・くもり 

郊外の住宅地で民家の庭に植栽された白い手まり咲きのアジサイ(紫陽花)クロマルハナバチBombus ignitus)のワーカー♀が訪花していました。 
この組み合わせは初見です。
ガクアジサイから変化し、花序が球形ですべて装飾花となったアジサイは、「手まり咲き」と呼ばれる。(wikipedia:アジサイより引用)

クロマルハナバチ♀がアジサイの白い装飾花の奥に潜り込んでしまい、採餌シーンがしっかり観察できません。 
断続的にプーン♪という羽音が聞こえるということは、振動集粉をしているようです。 
実際には羽ばたかずに、胸部の飛翔筋を高速で激しく収縮させています。 
全身を細かく震わせて雄しべの葯から花粉を揺すって落とし、自らの体毛に付着した花粉を効率よく集める採餌法です。 
後脚の花粉籠には白い花粉団子を集めています。 
最後に蜂が飛び去る羽音はブーン♪という重低音で、振動集粉よりも周波数が低く聞こえます。 
つまり、飛翔時の羽ばたきよりも高速で飛翔筋を伸縮させて振動集粉していることが分かります。

※ 振動集粉の音が聞き取れるように、動画編集時に音声を正規化して音量を強制的に上げています。 


関連記事(7、11年前の撮影)▶  
エゾアジサイの花で採餌するトラマルハナバチ♀ 


クロマルハナバチ♀の振動集粉を声紋解析してみる

いつものように、オリジナルの動画ファイルから音声パートをWAVファイルとして抽出してから、振動集粉および羽ばたく羽音を切り出し、それぞれスペクトログラムを描いてみました。 
遠くでニイニイゼミ♂(Platypleura kaempferi)が絶え間なく鳴いていますし、私が手に持ったカメラからギシギシときしむ音を立ててしまったので、ピンクノイズが多いです。 
音程の違いだけでも可視化したかったのですが、説得力のあるきれいなスペクトログラムを得られませんでした。

振動集粉のスペクトログラム(2回分)

 
羽音のスペクトログラム


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2024/03/20

夕方のスギ防風林を駆け抜けるホンドテンの親子連れ【トレイルカメラ:暗視映像】

 

2023年7月上旬

平地のスギ防風林にあるアナグマの溜め糞場stmpに設置した監視カメラの映像です。
この地点でホンドテンが登場したのは初めてです。

シーン1:7/7・午後16:36・くもり(@0:00〜) 
明るい昼間にたまたま撮れた現場の様子です。 
画面下端のやや左寄りの所に朽ち果てた切株があります。 
画面の右下隅から斜めに左上へ林床に掘られた古い用水路跡の溝にスギの落ち葉が溜まって埋もれかけ、今や獣道となっています。 
その溝を挟んで切株の反対側に古い手押し車(猫車)が捨てられたまま朽ち果てて、錆びた金属のフレームだけが残っています。 
そのフレームの下がニホンアナグマMeles anakuma)専用の溜め糞場stmpとなっています。 


シーン2:7/8・午後18:51(@0:04〜)日の入り時刻は午後19:07。 
日没前の薄暗い夕暮れに、何か謎の幼獣が2頭、前後して獣道を通り抜けて左奥の茂みへ走り去りました。 
トレイルカメラの起動が少し遅れた上にあまりにも一瞬の登場なので、1/3倍速のスローモーションでまずはご覧ください。 
直後に等倍速でリプレイ。 

幼獣の後に左下からホンドテンMartes melampus melampus)が登場しました。 
テンは朽ちた切株の上に跳び乗ってから、先行する幼獣2頭を追いかけるように、奥のスギ林床を走り去りました。 
テンは急いでいたのか、アナグマの溜め糞に全く興味を示しませんでした。

最初に登場した幼獣の種類によって、動画の解釈が変わってきます。
もしもテンだとすると、親子が一緒に夕方のスギ防風林を出歩いていることになります。 
謎の幼獣がテン以外の哺乳類という可能性はどうでしょうか? 
例えばアナグマの幼獣を狩ろうと、テンが追跡しているのかもしれません。 
改めて動画を見返すと、冒頭の幼獣は走り去る後ろ姿しか写っていませんが、尻尾が長くて体型が細長いのでアナグマではなさそうです。 
という訳で、私としては「ホンドテンの親子」説を取ることにします。 


吉見光治『テン:種をまく森のハンター』によると、
 食べ物が豊富な4月から5月、テンは2頭ほどの子を産み樹洞や山の斜面の岩穴などで育てる。7月にはテンの子が巣穴から出歩くようになる。テンの子は家族で過ごしながら、食べられる木の実や、小動物の捕獲方法、危険な動物などを学習し生きる術を身につけていくものと考えられる。 (p2より引用)


動画の撮影日は7月上旬ですから、まさに本に書いてある通り、テンの親が幼獣を連れ歩いて採食法(狩り)などを教育しているのでしょう。 



つづく→アナグマ専用の溜め糞場を調べ、虫を捕食し、排尿マーキングするホンドテンの♀♂ペア【トレイルカメラ:暗視映像】

タヌキの溜め糞場でキンバエを狩れないアカバトガリオオズハネカクシが同種間で喧嘩

 

2023年7月上旬・午後12:20頃・くもり 

里山の急峻な尾根道でホンドタヌキNyctereutes viverrinus)が残したと思われる溜め糞場qをときどき定点観察しています。 
この日は新鮮な糞が追加されていました。 
タヌキの糞には、未消化の種子だけでなく獣毛も含まれていました。 
ウグイス♂のさえずる鳴き声♪が聞こえます。 

キンバエの仲間(種名不詳)、ニクバエの仲間(種名不詳)、キバネクロバエMesembrina resplendens)など多数のハエが泥状の獣糞に群がって吸汁していました。 

甲虫では、少なくとも3匹のアカバトガリオオズハネカクシ(旧名アカバハネカクシPlatydracus brevicornis)がタヌキの溜め糞場qに集まっていました。 
肉食性なので、糞塊の上をうろついて近くのハエに襲いかかろうとしています。 
しかしハエの方が反射神経でも敏捷性でも優れており、アカバトガリオオズハネカクシが近距離までにじり寄っても横歩きや後退りであっさり逃げてしまいます。 
ハエ類は警戒を怠らず、肉食性ハネカクシから常に安全な距離を取りながら、吸汁しています。 
アカバトガリオオズハネカクシの中には、獲物を追い回すのを諦めて、溜め糞上の小さな巣穴に潜り込んで獲物を待ち伏せする作戦に切り替えた個体もいます。 
それでも狩りは失敗続きです。 
三脚を立てて長時間じっくり動画撮影しないと、狩りの成功シーンを撮るのは難しそうです。 
肉食性のハネカクシ類はハエの幼虫(蛆虫)も狩るはずなので、産卵前のハエ♀を追い払うのは得策ではないはずです。 



複数のアカバトガリオオズハネカクシが獲物を追い込んで挟み撃ちにする高度な協同作戦はしませんでした。 
それどころか、アカバトガリオオズハネカクシ同士が出会う度に激しい喧嘩になります。 
狩場を巡る縄張り争いがあるのでしょう。(占有行動) 
アカバトガリオオズハネカクシ同士の喧嘩は初見です。 
喧嘩は毎回一瞬で終わり、すぐに離れます。 
相手構わず(獲物にも同種にも)襲いかかるということは、アカバトガリオオズハネカクシはよほど飢えていて殺気立っているのかな? 
狩りに失敗続きのアカバトガリオオズハネカクシが苛々して同種に八つ当たり? 

アカバトガリオオズハネカクシ同種間の闘争を1/5倍速のスローモーションでリプレイしてみましょう。(@3:08〜) 
2匹が出会い頭に相手の大顎にすばやく噛み付きました。 
大顎で噛み合いながら、やや小型の個体は腹部を前方に曲げて腹端を相手に向けました。 
腹端にある一対の棘(正式名称は?)で相手の頭部を狙ってサソリのように攻撃するのでしょうか? 
この行動は同種間の喧嘩で繰り返し見られましたが、スロー再生すると実際に相手を刺してはいませんでした。 
腹端を相手に向けて排泄物や分泌物などを放出したようにも見えません。 
したがって、ただの威嚇や儀式的な攻撃と考えられます。 
ハネカクシの性別の見分け方を私は知らないのですが、もしかして♂が腹端の把握器で♀を確保しようとする配偶行動だったりしますかね? 
大型個体も噛み合いながら少しだけ腹端を上に持ち上げていました。 

喧嘩は一瞬で決着が付き、2匹は離れて行きます。 
大型個体が常に勝利を収めるようで、小型個体が逃げ出します。 
殺し合いではなく、ライバルを狩場から追い払いたいだけのようですが、逃げた相手もすぐにまた戻ってくるので埒が明きません。 
アカバトガリオオズハネカクシが同種間で共食いする可能性もあるのでしょうか? 
ラストシーンでは、獣糞の下の隠れ家から追い出された個体が振り返って反撃…したように見えました。 
しかしスローモーションを何度も見直すと、横の落ち葉の下に潜んでいた別個体が糞塊の外に出てきた個体を攻撃していました。 
(アカバトガリオオズハネカクシ3匹の喧嘩) 


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2024/03/19

朽ちた切株の根元にある巣穴に出入りする野ネズミ【トレイルカメラ:暗視映像】

 



2023年7月上旬

スギ防風林にあるニホンアナグマMeles anakuma)専用の溜め糞場stmpを自動センサーカメラで監視していると、毎晩のように野ネズミ(ノネズミ)がよく写ります。 
野ネズミについて、ささやかながら新しい発見(進展)がありました。

シーン0:6/29・午後14:46・晴れ(@0:00〜) 
明るい日中にたまたま撮れた現場の状況です。 
トレイルカメラの設置アングルを失敗してしまい、肝心の溜め糞場stmpが画角の外にはみ出してしまいました。 
おかげで、普段なら監視外の林床エリアでの野ネズミの活動を知ることが出来ました。
朽ち果てた切株が画面の左下にあり、アナグマの溜め糞は更にその左下です。 
切株の右下には、貯食したオニグルミ堅果をアカネズミが食べた後の殻が大量に捨ててあります。(食痕つき) 


シーン1:7/1・午後20:38(@0:04〜) 
画面中央付近の下草が生い茂る林床を野ネズミが右へ探し歩いています。 
途中でなぜかスギの落ち葉をピョンと跳び越えました。 


シーン2:7/1・午後23:38(@0:29〜) 
林床に掘られた溝(画面の上下方向に掘られている古い用水路跡)を野ネズミが右から横切り、切株へと向かいました。 
切株の根元にどうやら巣穴があるようで、その中に入りました。 
規模は小さいながらも、いちおう樹洞と呼べるかも知れません。
昼夜の様子を切り替えて、巣穴の位置をお見せします。
その巣穴(赤丸○)から野ネズミがすぐにまたピョン!と外に出て来ました。 
その場にしばらく佇んでいますが、カメラに背を向けているため何をしているのかよく分かりません。 
おそらく毛繕いしているようです。 
再び巣穴に戻りました。 

この地点(アナグマの溜め糞場stmp)で野ネズミがトレイルカメラに写る頻度があまりにも多いので、近くに巣穴があるはずだという私の予想が当たりました。 
実は野ネズミの巣穴は一つだけでなく、すぐ近くのスギ林床に少なくとももう一つあることが後に判明します。(映像公開予定) 


シーン3:7/2・午前2:00(@1:32〜) 
画面の右上で林床をウロチョロと探餌徘徊していた野ネズミが、右上に立ち去りました。 


シーン4:7/4・午後21:53(@2:05〜) 
奥に見える茂みの下をうろついてから、左へ消えました。


※ 動画の一部は編集時に自動色調補正を施しています。 


山道を横切り道端の草に登るタケカレハ(蛾)の幼虫

 

2023年7月上旬・午後15:35頃・くもり 

里山の林道でタケカレハEuthrix albomaculata directa)の幼虫を見つけました。 
砂利道を横断すると、道端に生えたイネ科の草(種名不詳)に辿り着くや否や、葉先から伝ってよじ登り始めました。 
イネ科の草がタケカレハ幼虫の食草ですから、食草に向かって移動していたのは、ごく自然な行動です。 

私が草むらをかき分けて接写しようとすると、タケカレハ幼虫は警戒して動きを止めました。(擬死?) 
大きさの比較対象として、私の左手の指を横に並べてみました。 
このときうっかり指が幼虫の毛先にちょっと触れてしまいましたが、その後タケカレハの毒毛にかぶれた記憶はありません。
(タケカレハの)幼虫は長い毒針毛の束を頭部付近と尾部付近に1束ずつ持っている。カレハガ、マツカレハなどの幼虫とは違い、刺激を受けても、この束は膨らまない。 (wikipediaより引用)
黄色に黒い斑点が並ぶ配色は目立ちますから、おそらく天敵(捕食者)に対して毒毛の存在を誇示する警告色なのでしょう。 
素手で直接触れませんから、近くの葉をちぎりとって、その葉先で毛虫をツンツン突いてみました。 
すると慌てて活動を再開しました。(逃避行動) 
頭部をときどき左右に振って探索しながら、全身の蠕動運動で草の葉身を登って行きます。 
足場の葉が細いため、綱渡り中にときどき体重のバランスを崩して左右に転がり落ちそうになりますが、腹脚および胸脚で葉をしっかり掴んでいるため落ちません。 

「冒頭でタケカレハ幼虫の近くにヤドリバエ(寄生ハエ)が来てたかも?」と野帳に記してあるのですが、映像を見直してもハエは写っていません。 
クロアリをハエと誤認したのかな?

関連記事(11年前の撮影)▶ タケカレハ幼虫に寄生したヤドリバエ科の一種 


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2024/03/18

つづら折れの山道に座り込んで休むニホンカモシカ♂がどいてくれるまでひたすら待つ

 

2023年7月上旬・午後13:20頃・くもり 

里山の急斜面をつづら折れの細い山道を辿って静かに下山していると、前方にニホンカモシカCapricornis crispus)を発見。 
どうやら最近、この山道の左右を誰かがきれいに草刈りしたばかりのようです。 
その山道でカモシカが立ち止まり、毛繕いしていたようです。 
ズームインしてみると、つづら折れの曲がり角でカモシカが向きを変えた際に、股間に睾丸が見えたので♂と判明。
角や耳介にこれと言って特徴はありませんが、すっかり顔馴染みになった♂個体でした。 

こちらを見上げたのに、逃げ出すこともなく、落ち着き払っています。 
私の方が少し高所にいるのに、警戒する素振りを見せませんでした。 
野生のカモシカにしてはあり得ない振る舞いです。
山中でカモシカを追いかけると、最後には上へ上へ逃げますから、敵を見下ろす位置の方がカモシカとしては落ち着くようです。
外敵が急斜面を駆け下りながら襲ってくる方が怖いのでしょう。
近視で私の姿がよく見えてないだけかもしれません。 

カモシカ♂は左耳の裏が痒いらしく、左後脚の蹄で器用に掻きました。 
身震いしてペロペロと舌舐めずりしながら、またこちらを見ました。 
次は体を曲げて、左の脇腹を舐めました。 
吸血性の昆虫に刺されて痒いのでしょう。 

ようやく、ゆっくりと歩き出して、右カーブを曲がりました。(@0:31〜) 
手前に自生するユキツバキ群落の死角に入ると、一旦立ち止まってブルブルッと身震いしました。 
そのままつづら折れの山道を歩き去ります。 
私が足音を忍ばせて追跡すると、次の曲がり角でカモシカ♂に追いつきました。(@0:56〜) 

意外にも、カモシカ♂は山道にどっかりと座り込んでいました。 
手前に自生する茂みの陰に隠れたつもりでいるようです。 
後ろ向きで座っているものの、横目で油断なくこちらの様子を伺っています。 
撮影アングルを確保するために、私が動画を撮りながら左にそっとずれたら、カモシカは気づいて振り返りました。 
私が少しずつ重心移動しても、うっかり枯れ葉を踏んでしまうと、その物音でカモシカに気づかれてしまいます。 
私は動きを止めて撮影に専念します。 

カモシカ♂の濡れた黒い鼻面がヒクヒクと動いています。 
いくらカモシカが近視でもさすがにこの近距離では私の姿は見えているでしょうし、私の体臭も嗅ぎ取っているはずです。 
「またお前か!」と認識しているようです。 
しばらくすると警戒を解いて、谷側に向き直りました。 
私を見上げようとすると、体をひねってかなり無理な体勢になるから疲れるのでしょう。 
それでも油断なく両耳をそばだてています。 

ヤブサメ♂(Urosphena squameiceps)という野鳥がどこか近くでシシシシシ…♪と鳴き始めました。(@1:18〜) 
ヤブサメ♂が断続的に鳴いている他、遠くからホトトギス♂やウグイス♂のさえずる声♪もときどき聞こえてきます。 

再び撮影アングルを確保するために、私が慎重に左へ移動する度に、カモシカ♂はすかさず振り返って見上げました。(@2:30〜) 
舌をペロッと出しただけで、顔の向きを谷側に戻しました。 
まるでカモシカ♂と「だるまさんが転んだ」をして遊んでいるようです。 
急斜面の山道で立ち止まって長撮りする私は足元が不安定なので、手足の筋肉が疲れてきます。 
カモシカを刺激したくないのはもちろんですが、足場が安定した平らな地点まで隙を見て少しずつ移動したくてたまりません。 
(軽量化のために、この日は三脚を持ってきてませんでした。)
カモシカはもう振り返らなくなりましたが、私が左にそっと移動する度に谷側を向いたまま緊張して神経を研ぎ澄ませています。 
いざとなったらすぐに立ち上がって逃走する準備はできているのでしょう。 
山道に座ったまま居眠りすることはありませんでした。
私も突っ立ってないで、もしも山道に座って撮影したら、カモシカは安心して長居してくれたかな? (次回に試してみることにします。)

カモシカ♂が呼吸する度に胴体が膨張収縮を繰り返しています。 
胴体の皮膚の一部が不規則にピクピクッと動くのは、飛来する吸血性昆虫が体に止まらないように追い払う行動です。 
座っているカモシカの口元を見ても反芻していないということは、リラックス状態では無さそうです。 

山道に座って休むカモシカ♂の頭部に後方からズームインしてみても、傷や欠損はありませんでした。(@7:28〜9:00) 
木の幹でゴシゴシと角研ぎしたばかりなのか、細かい木屑(樹皮のカス?)が角の根元に付着しています。 

実は最近、同一個体のニホンカモシカ♂と出会った際には、私が山道を下から通せんぼした形になり、困らせてしまいました。 
関連記事(1ヶ月前の撮影)▶ 細い山道に座り込んで反芻するニホンカモシカ♂ 
このときは結局、カモシカ♂が山道から逸れて行き、私に道を譲ってくれました。 
そのときとは上下関係が逆転していて、今回は私がカモシカを見下ろす位置に立っています。 
実は同一個体のカモシカ♂がそのときのことを根に持って、私に対する仕返しとして山道を長時間塞いでいるのかもしれません。 (通せんぼ)
だとすれば、向こうも私を特定のヒトとしてしっかり個体識別した上で記憶し、少し意地悪な感情や悪戯心をもっていることになります。 
「やられたらやり返す。倍仕返しだ!」 
あるいは、山中でよく出会う私を人畜無害だと信頼してくれた上で、逆に興味津々で観察しているのかも知れません。 
少しずつ近づいてくる私の意図を察した上で、度胸試し(チキンレース)のつもりで座っているのでしょうか。 
私に対して鼻息を荒げる威嚇行動を一度もやりませんでした。 
野生動物に餌付けしなくても、ブラインドに隠れなくても、長い年月をかけて信頼関係を築けばここまで近寄れるようになり、長時間観察できる、と身をもって証明できました。(「ヒト付け」という手法です)

座位休息しているニホンカモシカ♂のほぼ全身が見えるようになりました。 
カモシカの座った横の地面には、踏みしだかれた下草が見えます。 
周囲の葉に食痕は見当たりません。 
この山道は昼間も登山客の往来が少ないので、もしかするとカモシカの寝床(ねぐら)なのかもしれません。

遂に、カモシカ♂が前脚、後脚の順に立ち上がりました。(@12:00〜) 
このときも股間の睾丸を確認できました。 
私を振り返って見上げると、舌舐めずりしてから左脇腹を舐めました。 
次は右後脚の蹄の先で顎の下をそっと掻きました。 
こんな繊細な掻き方もできるのか、と感銘を受けました。 
同じ右後脚の蹄で次は右脇腹を掻きました。 
目の前の灌木の枝葉の匂いを嗅いだものの、眼下腺を擦り付けるマーキングはしませんでした。 
再びこちらを見上げて舌舐めずり。 
カモシカがよくやる舌舐めずりは、どんな意味があるのですかね? 
フレーメン反応の一種なのかと思ったこともあるのですが、どうでしょう? 
ナーバスになっている緊張の現れなのかな? 
つづら折れの山道をゆっくり歩いて右へ下り始め、手前に生えた灌木の茂みの死角に消えました。 





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ナンテンの花で採餌するトラマルハナバチ♀

 

2023年7月上旬・午前11:05頃・くもり 

街なかで民家の軒下に植栽されたナンテンの灌木にトラマルハナバチBombus diversus diversus)のワーカー♀が訪花していました。 
この組合せは初見です。 
吸蜜・集粉する蜂の後脚を見ると、花粉籠に橙色の花粉を満載していました。 

焦った私がレンズを近づけ過ぎてしまい、トラマルハナバチ♀を警戒させてしまったかも知れません。 
レンズを掠めるように飛び去る際にブーン♪という低い羽音が聞こえました。 
短い出会いを1/5倍速のスローモーションでリプレイ。(@0:11〜)


ヒメハナバチの一種♀も同時に訪花していましたが、互いに無関心でした。 

2024/03/17

ニホンアナグマの幼獣4頭を溜め糞場に連れて来て排便およびスクワットマーキングした母親♀【トレイルカメラ:暗視映像】

 



2023年7月上旬

スギ防風林にあるニホンアナグマMeles anakuma) 専用の溜め糞場stmpを自動センサーカメラで見張っています。


シーン1:6/29・午後14:46(@0:00〜) 
明るい日中にたまたま撮れた現場の様子です。 
トレイルカメラを設置するアングルに少し失敗してしまいました。 
画面の左下に朽ち果てた切株が見えます。 
その少し下にアナグマの溜め糞場stmpがあるのですけど、画角内にしっかり写っていません。 


シーン2:7/4・午後20:11(@0:06〜) 
アナグマの母親♀が溜め糞場stmpで排便していました。
その周囲を3頭の幼獣がウロチョロしています。 

用を足し終えた母親♀が林床に掘られた溝(古い用水路の跡?)に沿って奥へ立ち去る途中で立ち止まり、尻を地面の落ち葉に擦り付けました。(@0:21〜) 
スクワットマーキングと呼ばれる匂い付けの行動です。 
更に奥へ進んでから左折し、茂みの中に姿を消しました。 
しばらくすると、4頭目の最後の幼獣個体が慌てて家族群を追いかけて行きます。 
はぐれかけながらも、迷子にならず良かったです。 
下草の匂いを嗅ぎ回り、道草を食っています。 
発育の遅い個体という訳でも無さそうで、独立心・冒険心の強い性格なのかも知れません。 

アナグマの母親♀が4頭の幼獣を引率して縄張りを連れ歩き、溜め糞場stmpの位置を教えたことになります。 
今回、幼獣はどの個体も排便しませんでした。 
幼獣の成長はめざましく、母親について一緒に歩き、夜の森を探餌徘徊できるほど体力がついていました。
母親♀は幼獣を引き連れて夜の森を歩く際に、幼獣を誘導する鳴き声(ジェジェジェビーム♪)を発していませんでした。
(音量を上げても聞き取れず) 
ヘルパー♂は同伴していませんでした。(育児には参加しないのでしょう。)
アナグマの家族がこの溜め糞場stmpに来る頻度は低いので、縄張り内のどこか別な場所にも溜め糞場があることが予想されます。 

アナグマの母子の姿が営巣地(セット)から忽然と消えたので、天敵に捕食されて全滅したのではないか?と内心では不安でした。 
母子ともに無事が確かめられて一安心。 
幼獣が生まれた巣穴を離れてどこか別の巣穴へ母子が転出したということが、これではっきりしました。 


※ 動画編集時に自動色調補正を施しています。 
※ 鳴き声が聞き取れるように、動画編集時に音声を正規化して音量を強制的に上げています。 



ニホンザルの糞に群がる虫たち:キンバエ、キバネクロバエ、ムネアカオオアリ♀、サビハネカクシなど

 

2023年6月下旬・午前11:30頃・くもり 

里山の整備が行き届いていない山道を冬に倒れた倒木が何本も塞いだまま放置されています。 
重いザックを背負ったままで1本ずつ跨いで乗り越えるのが大変でした。 
(登山客の往来がほとんどない廃道の方が、実は自然が多く残されていますから、私は廃道が結構好きです。) 
ニホンカモシカがフシュ♪と鼻息を荒らげて威嚇する鳴き声を繰り返し聞いたものの、藪が密生していて姿を見つけられませんでした。

朽ちた倒木の端の上にこんもりと残されている新鮮な獣糞を見つけました。 
倒木の樹種はスギ(またはアカマツ?)だと思います。
山中で倒木の上という目立つ場所(サインポスト)にあったことから、初めはホンドテンMartes melampus melampus)の糞かと思いました。 
しかし、形状がテンの糞とは明らかに違います。 
植物質の餌を多く食べたようで、緑がかった色でした。 
ゴマ粒大の未消化の種子が糞に含まれています。 
どうやらニホンザルMacaca fuscata fuscata)の糞でした。 
棒で獣糞をほぐして中身を探るなど、もう少し真面目に糞分析すれば、何を食べたのか(食性)より詳しく分かったはずです。
熊谷さとし、安田守『哺乳類のフィールドサイン観察ガイド』で調べると、
(サルの)フンは基本的にはいくつかの節に分かれた「モスラの幼虫」形だ。ただし、季節や食べ物により色や形にバリエーションがある。(中略)春夏に新芽や若葉を食べると、フンは緑色でやわらかく、節目がわかりにくくいソーセージ状。(p40より引用)
同じ日の山行であちこちで見つけたニホンザルと思われる糞の写真(節目のある典型例)を最後に掲載しておきます。 
長い倒木が山道を塞いでいたことから、群れと一緒に遊動中のニホンザルが丸木橋のように渡る途中で腰掛けて排便したのかもしれません。 
山道の横は荒れたスギ植林地でした。 

獣糞の横で私がじっとしていると、逃げていたハエが続々と糞に戻ってきました。 
ほとんどが緑色の金属光沢に輝くキンバエの仲間(種名不詳)で、最大8匹が集まりました。 
キンバエ間で求愛や交尾などの配偶行動は始まらず、獣糞を舐めて吸汁しているだけです。 (色気より食い気)
1匹だけキバネクロバエMesembrina resplendens)も倒木上を歩いて獣糞に接近しました。 

肉食性のサビハネカクシOntholestes gracilis)が獣糞に集まるハエ類を狙って付け回しています。 
しかしキンバエの方がすばしこくて、サビハネカクシが忍び寄る前に易々と飛んで逃げてしまいます。(ハエ狩りに失敗) 

ムネアカオオアリCamponotus obscuripes)のワーカー♀も倒木上を歩いて来ました。 
獲物を待ち伏せしているサビハネカクシにすばやく触れたものの、慌てて逃げ出しました。 
ようやく獣糞に到着すると、触角で少し調べただけで離れて行きました。 




この日の山行でニホンザルには出会えなかったものの、あちこちに糞が落ちていました。 
その写真(節目のある典型例)を最後に掲載しておきます。
ガードレールの側面にへばりついた糞は、路上の猿が逆立ちしながらガードレールに擦り付けるように排便したのではなく、ガードレールの上に座りながら脱糞したのでしょう。


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