2016年5月中旬
▼前回の記事
飛べ!ルイスアシナガオトシブミ
里山に生えたハルニレの幼木でルイスアシナガオトシブミ(Henicolabus lewisii)の♀♂カップルが若葉の裏面で交尾していました。
接写の大敵である風が絶え間なく吹いて悩まされるのですが、マウントしているだけで交尾器は結合していませんでした。
♂は交尾を済ませた後もライバル♂から♀を守っている(交尾後ガード)のでしょう。
♂の腹端に見える白いものは精子なのかな?(交尾器?)
一方、♀は揺籃作りの途中だったのかもしれません。
撮影後にペアを採集しました。
以下は標本写真。(掲載予定)
2015年6月中旬
野球場のフェンス(金網)にスズメ(Passer montanus)の群れが器用に止まっていました。
一度金網に止まれば楽々とすり抜け可能です。
方向転換も自由自在で、飛び立ってすぐ急旋回し、フェンスに止まり直すこともありました。
ただし、フェンスに向かって飛んできてそのまますり抜ける曲芸は見たことがありません。
最後に残った個体は頬の黒班が薄い幼鳥でした。
フェンスを登って天辺の鉄骨に移動。
遊びというか運動の練習なのかもしれません。
▼関連記事
グランドのフェンスから飛び立つシジュウカラ【野鳥】
2016年5月中旬
里山の小径に咲いたクマイチゴにコマルハナバチ♀(Bombus ardens ardens)が訪花していました。
忙しなく飛び回り採餌しています。
後脚の花粉籠に白い花粉団子を付けていました。
2016年5月中旬
里山に咲いたキリの花の主な送粉者はキムネクマバチ(Xylocopa appendiculata circumvolans)でした。
キリは釣鐘状の花筒が太いので、クマバチでも正当訪花で易々と潜り込むことが可能です。
クマバチと言えば穿孔盗蜜の常習犯として悪名高く、実は今回も内心それを期待していたのですが、桐の花が相手では盗蜜の必要は無いようです。
数カ所のキリの木でクマバチ複数個体を撮影。
山中に聳え立つ桐の高木を観察するには下から見上げるのではなく、急斜面を利用して花の咲いた枝と同じ高さまで登れば撮影が楽になります。
一方、クマバチの雄蜂は桐の木の周辺の草むらで各々が縄張りを張り、交尾相手の♀を待ち構えてホバリング(停空飛翔)していました。
クマバチ♂は縄張りにちょっとした侵入者が飛来する度に素早く反応して迎撃するので、占有飛行はとても撮れませんでした(私の反射神経の限界)。
もうひとつ面白かったのは、風が吹くと桐の枝から自然に落花することです。
大きな花筒がクルクルと回りながら落ちてくる様子を動画に撮りたかったのですけど、運任せ風任せで難しかったです。
落ちていた花を拾って手のひらに乗せてみました。
風が止むと私の好きな甘い芳香が辺りに充満し、むせ返りそうな強い芳香なのに上品なのです。
2016年5月中旬・午後19:03〜19:05
日が落ちてすっかり暗くなった水田でアオサギ(Ardea cinerea jouyi)を見つけました。
水を張った田んぼの水面に外灯の明かりが映り、カエルの大合唱♪が辺りに響いています。
ちなみに、この日の日の入り時刻は18:44。
互いに離れた位置に3羽のアオサギが居ました。
一番左側の個体Lは明らかに他よりも小さく、幼鳥のようです。
真ん中の個体Mが畦に登りました。
幼鳥Lが心配で、親鳥Mが様子を見に来たのでしょうか。
幼鳥Lが畦に近いところで何か餌を採食してから畦に登りました。
カメラをもう一度右へ振ったら警戒した成鳥Rが飛び立ち、少し離れた水田に着地しました。
更に私が動画を撮りながら横の道を歩いて近づくと、残るアオサギはL、Mの順に飛び立ち、別々の方へ逃げました。
少し離れた田んぼに着地。
最近のカメラはこんなに暗い条件でもなんとかズームが可能で、光学性能の良さに驚嘆します。(今回は赤外線の暗視映像ではありません。)
最近、野鳥の塒入りについて興味を持って調べています。
今回もし私が邪魔しなければ、家族水入らずで過ごしていたアオサギの群れはそのまま水田を塒として夜を過ごしたのでしょうか?
ひょっとすると意外にも、夜通し水田で採食するのかもしれません。
それとも鷺山のコロニーなど別な場所にある塒に毎晩飛んで帰るのかな?
実際に、暗い夜空を飛んでいるアオサギを見たり鳴き声を聞いたりしたことがあります。
▼関連記事
未明の空を飛ぶアオサギ(野鳥)
2016年5月中旬
▼前回の記事
イタドリの花外蜜腺を舐めるホソアシナガバチ♀
花外蜜腺を舐めるために特定のイタドリに通って来るホソアシナガバチを待ち構えていると、次は全く別種の蜂が飛来しました。
薄暗い山中での撮影で分かり難いのですが、おそらくハバチの仲間だと思います。(未採集、未採寸)
この蜂はイタドリの花外蜜腺には全く興味を示さず、ウロウロと探索しています。
やがて葉の上で静止しました。
翅を休めるためにたまたま立ち寄っただけかもしれませんが、イタドリを寄主植物とする種類のハバチなのでしょうか?
別に面白い動画ではありませんが、全ての蜂がイタドリの花外蜜腺を目当てに来るのではないことを示す比較対照として示します。
また、このイタドリの株には花外蜜腺を介して共生関係を結ぶアリは集っていませんでした。
2016年5月中旬
線路の標識のてっぺんにモズ♂(Lanius bucephalus)が止まり、辺りの農地を見回して獲物を探しています。
鳴き声は発していませんでした。
後半は、羽ばたいて飛び立つ瞬間を狙って240-fpsのハイスピード動画に切り替えて撮ってみました。(@2:20〜)
実は2年前に今回と全く同じ場所に止まっている百舌鳥を撮影しています。
お気に入りの止まり木なのでしょう。
この辺りを縄張りとする同一個体なのかな?
▼関連記事
線路標識とモズ♂(野鳥)
2016年5月中旬
イタドリは里山に幾らでも生えている至極ありふれた雑草です。
イタドリのとある一株に繰り返し訪れるホソアシナガバチの仲間を見つけて、とても気になりました。
時期的にワーカー♀ではなく、単独営巣期の創設女王と思われます。
蜂の行動をよく見ると、イタドリの葉腋にある花外蜜腺を舐めて回っています。
イタドリの花外蜜腺を舐めるアリの話は共生関係の一例として有名です。
▼関連記事:8年前の撮影
ムネアカオオアリとイタドリの蜜月関係
アシナガバチも同様にイタドリの花外蜜腺を利用しているとは知らず、意外な発見でした。
動画に撮れただけでも計5回!同じ株のイタドリに繰り返し飛来して花外蜜腺を舐めていました。
イタドリは辺りに幾らでも生えているので、同一個体の蜂が気に入った蜜源の場所を記憶して(味をしめて)通ってきているのかと撮影中は思いました。
ところが映像をスロー再生で何度も見直して注意深く検討すると、驚いたことにヒメホソアシナガバチ(Parapolybia varia)およびムモンホソアシナガバチ(Parapolybia indica)という同属の近縁2種が代わる代わる来ていました。
頭楯の黒紋の有無によって2種を見分けます。
有望な餌場を見つけた個体がフェロモンでマーキングして仲間を呼び寄せている(リクルート)のか?と想像を逞しくしたものの、真相は分かりません。
通ってくる蜂を個体標識してみれば何か面白いことが分かったかもしれません。
イタドリの茎にしがみついたまま蜂が動かなくなることがありました。
見ていて退屈ですけど、休息シーンにも意味があるかもしれないので、編集で割愛しませんでした。
もしかして、ここに巣を作ろうとしているのでしょうか?
しかし花外蜜腺の近くに営巣するのは、アシナガバチの天敵であるアリが集まるため自殺行為のはずです。
それとも、そろそろ日が暮れそうな時刻なので、このまま寝る体勢に入るのかな?
花外蜜腺を一度舐めた後に再び滲み出てくるまで待っているのかもしれません。
並行して撮影していた別テーマのために、途中からこのイタドリの真上に三脚を立てる必要に迫られました。
途端にホソアシナガバチは来なくなってしまいました。
おそらく蜂の目から見ると周囲の景色が激変し、お気に入りのイタドリを見失ったのでしょう。
その場合、集合フェロモン仮説は否定できそうです。(突然現れた三脚を警戒したのでなければ。)
イタドリの花外蜜腺が本当に甘いかどうか、私も舐めて味見してみればよかったですね。
アリと同様にホソアシナガバチも花外蜜腺の報酬と引き換えにイタドリを食害するイモムシ類を捕食して、ボディーガードの役割を果たすようになる(共生関係)のでしょうか?
この日の山行で最もワクワク興奮した発見でした。
このイタドリの株には花外蜜腺を介して共生関係を結ぶアリは集っていませんでした。
また、このイタドリに来る蜂の全てが花外蜜腺が目当てな訳ではありませんでした。(次の記事を参照)
2016年5月中旬
里山でヒヨドリ(Hypsipetes amaurotis)がキリの木の横に伸びた枝に止まって喧しく鳴いていました。
満開に咲いた桐の花の高貴な芳香が辺りに漂っているので、ヒヨドリも花蜜を吸うのではないかと期待しました。
▼関連記事桜の花蜜を吸い鳴くヒヨドリ(野鳥)
しかし私が桐の大木に近づいたらヒヨドリは逃げてしまいました。
もう少し粘って待てば良かったのですが、来季の宿題としておきます。
2016年5月中旬・午後18:27
日没が迫り茂みをかき分けつつ下山していると、沢の水を堰き止めた砂防堰堤に2羽のカルガモ(Anas zonorhyncha)を見つけました。
この池をいつ訪れても必ず2羽のカルガモが居るので、おそらく番のでしょう。
▼関連記事:丁度1年前に撮影
カルガモの尾脂腺(羽繕い@砂防堰堤)
カルガモは警戒して水から上がってコンクリートの堰堤へ登り、いつでも逃げられる体勢でこちらの様子を伺っています。
私は静かに撮影していたのですが、最後は痺れを切らしたように鴨はガーガー♪鳴きながら(警戒声)二手に分かれて飛び去りました。
日の入り時刻は18:44ですが山中ではそれよりもずっと早く太陽が山陰に沈んだ途端に暗くなります。
2016年5月中旬
民家の庭に植えられたキングサリ(=キバナフジ)で満開に咲いた花にキンケハラナガツチバチ♀(Megacampsomeris prismatica)が来ていました。
吸蜜した後は風で揺れるキングサリの葉にしがみつき、しばらく動かずに日光浴していました。
個人的に、ツチバチをこの時期に見るのは初めてかもしれません。
『ハチハンドブック』p45によれば、
(キンケハラナガツチバチは)秋に多いが春にも見られることがあるので、一部が成虫越冬するものと思われる。
2016年5月中旬
川沿いの農道でキジ(Phasianus versicolor)の♂♀番を見つけました。
初めは警戒してリンゴの木の下に隠れていたのですが、私が辛抱強く動きを止めていると徐々に大胆になり、農道や畑に出てきて採食を始めました。
おそらく様々な雑草の実を啄んでいるのでしょう。
地味な♀の採食シーンを観察するのは初めてです。
キジの♀は完璧な保護色で、動いていないとまず見つけられません。
番が互いに寄り添うように離れず、草むらで採食しています。
♂は定期的に縄張り宣言の囀り(ケーン、ケーン♪)と母衣打ち(羽ばたき)をセットで行い、アピールに余念がありません。
その間も♀は無関心そうに♂の近くで採食を続けています。
後半になると、各々が単独で(バラバラに別れて)採食行動するようになりました。
私の勝手な想像では、♂は先導して♀を安全な場所(営巣適地?)へ連れて行きたがっていたように感じました。
ところが♀は♂に比べて臆病かつ慎重で、開けた場所にあまり行きたがらない(農道を横断したくない)印象を受けました。
もてるキジ♂は複数の♀を囲ってハーレムを作ることもあるそうですが、この縄張りでは一夫一妻のようです。
先日はこの近くでキジ♂が♀に求愛ディスプレイを行う様子を動画で撮影しました。
この時期の♀は未だ巣作りや抱卵を始めないのでしょうか?
実は近くに巣があるのかな?
結構長い時間、番が行動を共にしたものの、求愛行動や交尾は行いませんでした。
監視している私の目を盗んで死角(リンゴの木陰)に隠れた一瞬で事が行われた可能性はあります。
それとも♂が死角で求愛したのに、♀に振られたのかもしれません。
キジ♂が日向に出ると羽毛の光沢のある模様が美しく、我々が見ても惚れ惚れしますね。
単独行動の♀はやがて畑を越え、住宅地へ向かう斜面の草むらを登りつつ採食しています。
♂も♀を追いかけて土手を登り始めましたが、どうやら草深い斜面で♀を見失ったようです。
映像後半に見られた♂の囀りと母衣打ちは、離れてしまった♀を引き止めたり呼び戻そうとする意図がありそうです。
2016年5月中旬
春に咲くキリの花は素晴らしく上品で強い芳香を放ち、野生の木の花の中では個人的に一番好きかもしれません。
今季の目標の一つは、桐の花の送粉者を突き止めることです。
キリは高木となるため、下から枝を見上げるのでは花を観察しにくいのが難点です。
急斜面に聳え立つ桐の高木を探して、花が咲いた枝の高さが目線に近くなるまで私が斜面を登れば観察しやすいだろうと考えました。
山麓で見つけたキリの高木で、まず最初に訪花したのはトラマルハナバチ♀(Bombus diversus diversus)でした。
梢に咲いた大きな花筒に潜り込む正当訪花で採餌していますが、後脚の花粉籠は空荷でした。
2016年5月中旬
里山で林道脇に生えたコナラ幼木の茂みにムモンホソアシナガバチ(Parapolybia indica)♀が飛び込みました。
この時期は未だワーカー♀ではなく、創設女王ではないかと思います。
獲物を狩る瞬間が撮れるのではないかと期待していると、アワフキムシの仲間の幼虫が枝に作った白い泡巣を見つけた蜂が顔を突っ込みました。
中に潜んで枝から吸汁しているアワフキムシの幼虫を狩るのが目的ではなく、あくまでも泡を舐めています。
満足した蜂は飛び去りました。
初めて見る謎の行動に興奮したあまり、泡巣を調べて中の幼虫を同定するのを忘れてしまいました。
…と思ったら、実は7年前にも観察していました。
▼関連記事
アワフキムシの泡巣を舐めるキアシナガバチ女王
Polistes属のアシナガバチだけでなく、Parapolybia属の蜂でも見られる行動だとこれで分かりました。
『日本動物大百科8昆虫Ⅰ』p136によれば、
(アワフキムシ類の)幼虫がつくる泡の素材は排泄液(尿)由来のアンモニアと腹部第7節、第8節にあるバテリ(Batelli)腺から分泌されるロウ脂質由来の脂肪酸とのアンモニア塩の鹸化物で、腹部を伸縮させて空気を送り込み排泄液中の水分とともに泡立て、繊維状タンパク質を混ぜて強度を高めている。
アシナガバチは水分補給や巣材集めに泡巣を舐めた可能性も考えられます。
【追記】
小松貴『虫のすみか―生きざまは巣にあらわれる (BERET SCIENCE)』p183によると、
アワフキムシのつくる泡の巣は、アリのような小型の外敵から身を守るのに非常に有効です。石鹸水でできているため表面張力が働かず、小さな虫がうかつに泡に触ると容易に全身が石鹸水まみれになり、気門を塞がれて呼吸ができぬまま死んでしまいます。
今回のアシナガバチは顔だけを泡に突っ込んでいるので、呼吸は問題ないのでしょう。
2013年3月下旬
雪に覆われた里山の尾根道でホンドギツネ(Vulpes vulpes japonica)のものと思われる足跡を雪面に見つけました。
強い風が吹き付ける稜線ではなく、並行する細い林道を選んで歩いています。
タヌキと異なり、キツネは前足跡の上に後ろ足を重ねて歩くため、足跡の歩行パターンはほぼ一直線になるのが特徴です。
このようなハンター歩きをすることで地面に残る足跡の数が半分になり、追跡する獲物に気づかれにくくなると考えられています。(『哺乳類のフィードサイン観察ガイド』より)
▼関連記事
・泥に残されたタヌキの足跡
・雪山でタヌキの足跡を追跡してみる
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15cm定規を並べて置く。 |
2016年5月中旬
里山でハルニレの灌木(幼木?)に、小さくて真っ赤なオトシブミが何匹も集まっていました。
葉先でモジモジした後で翅をパカッと広げて飛び立つシーンが撮れました。
見たことのない種類なので帰ってから調べてみると、ルイスアシナガオトシブミ(Henicolabus lewisii)と判明。
揺籃を作る樹種の一つとしてハルニレが含まれていました。