2016年5月中旬
イタドリは里山に幾らでも生えている至極ありふれた雑草です。
イタドリのとある一株に繰り返し訪れるホソアシナガバチの仲間を見つけて、とても気になりました。
時期的にワーカー♀ではなく、単独営巣期の創設女王と思われます。
蜂の行動をよく見ると、イタドリの葉腋にある花外蜜腺を舐めて回っています。
イタドリの花外蜜腺を舐めるアリの話は共生関係の一例として有名です。
▼関連記事:8年前の撮影
ムネアカオオアリとイタドリの蜜月関係
アシナガバチも同様にイタドリの花外蜜腺を利用しているとは知らず、意外な発見でした。
動画に撮れただけでも計5回!同じ株のイタドリに繰り返し飛来して花外蜜腺を舐めていました。
イタドリは辺りに幾らでも生えているので、同一個体の蜂が気に入った蜜源の場所を記憶して(味をしめて)通ってきているのかと撮影中は思いました。
ところが映像をスロー再生で何度も見直して注意深く検討すると、驚いたことにヒメホソアシナガバチ(Parapolybia varia)およびムモンホソアシナガバチ(Parapolybia indica)という同属の近縁2種が代わる代わる来ていました。
頭楯の黒紋の有無によって2種を見分けます。
有望な餌場を見つけた個体がフェロモンでマーキングして仲間を呼び寄せている(リクルート)のか?と想像を逞しくしたものの、真相は分かりません。
通ってくる蜂を個体標識してみれば何か面白いことが分かったかもしれません。
イタドリの茎にしがみついたまま蜂が動かなくなることがありました。
見ていて退屈ですけど、休息シーンにも意味があるかもしれないので、編集で割愛しませんでした。
もしかして、ここに巣を作ろうとしているのでしょうか?
しかし花外蜜腺の近くに営巣するのは、アシナガバチの天敵であるアリが集まるため自殺行為のはずです。
それとも、そろそろ日が暮れそうな時刻なので、このまま寝る体勢に入るのかな?
花外蜜腺を一度舐めた後に再び滲み出てくるまで待っているのかもしれません。
並行して撮影していた別テーマのために、途中からこのイタドリの真上に三脚を立てる必要に迫られました。
途端にホソアシナガバチは来なくなってしまいました。
おそらく蜂の目から見ると周囲の景色が激変し、お気に入りのイタドリを見失ったのでしょう。
その場合、集合フェロモン仮説は否定できそうです。(突然現れた三脚を警戒したのでなければ。)
イタドリの花外蜜腺が本当に甘いかどうか、私も舐めて味見してみればよかったですね。
アリと同様にホソアシナガバチも花外蜜腺の報酬と引き換えにイタドリを食害するイモムシ類を捕食して、ボディーガードの役割を果たすようになる(共生関係)のでしょうか?
この日の山行で最もワクワク興奮した発見でした。
このイタドリの株には花外蜜腺を介して共生関係を結ぶアリは集っていませんでした。
また、このイタドリに来る蜂の全てが花外蜜腺が目当てな訳ではありませんでした。(次の記事を参照)
0 件のコメント:
コメントを投稿