2011/09/17

エンマコオロギ♂の歌唱力♫と身繕い



2011年9月上旬・深夜・室温26℃

エンマコオロギ♂(Teleogryllus emma)を一匹だけ飼育しています。

毎晩、激しく鳴いて美声を聞かせてくれるのですが、今夜の独奏は本気というか、かなりメロディアスです。
コロコロ♪と甘く長く(切々と)鳴き続けています。
言葉ではうまく説明できませんが※、聞きなれた従来の鳴き方とは明らかに違う気がします。
関連記事はこちら→「カボチャを食べながら鳴く♪エンマコオロギ♂
※鳴き声のソノグラム解析を勉強すれば声紋パターンを可視化できて面白そう。

  • 窓の外に居るライバル♂と鳴き交わしているのかな?
  • 飼育に馴れてリラックスしてるのだろうか? 上に被さった枯葉を除いたり卓上蛍光灯で明るく照らしても平気で鳴き続けました。
  • ♂が成熟して求愛歌を上手く歌えるようになった?
  • 気温や季節(日照時間)の変化で鳴き方を変えた?

鳴きながら触角や前脚を口で掃除することもあります。
コオロギが鳴き声を聞くための鼓膜は前足にあるらしいのですが、うまく接写のアングルを確保できず残念。


そろそろ、この♂に嫁がせるエンマコオロギ♀を探してきます。









2011/09/16

オニヤンマ♀の挿泥飛翔産卵



2011年9月上旬

湿地の横の遊歩道を歩いていたら、何やらシャラシャラ音がします。
辺りを見回すと、飛びながら産卵しているトンボの羽音でした。
同定用の写真は撮れていませんが、おそらくオニヤンマ♀(Anotogaster sieboldii)だと思います。
交尾後も♂と「尾繋がり」することなく、♀単独で産卵します。
ホバリングしつつ気に入った場所に繰り返し尾端を突き刺して産卵する傾向があるようです。

激しい運動に疲れたのか、♀は一度湿地に着陸して少し休みました。
一息つくとすぐに産卵を再開しました。

産み終わって♀が飛び去るまでを映像に収めました。


2年前に撮った動画の記事はこちら→「オニヤンマ♀の連続打水産卵


【追記】
井上清、谷幸三『トンボのすべて(第2改訂版)』によると、
オニヤンマの♀は浅くて細い流れの上にやってくると、空中で少しホバリングしたあと、突っ立った姿勢のままストンと落下し、腹の先より突き出ている生殖弁を砂泥底に突き立てて産卵し、すぐ飛び上がり、また落下して産卵する。この動作をリズミカルにストンストンと繰り返します。(p69より引用)



【追記2】
(オニヤンマの)♀は♂に見つからないようにそっと静かな流れに入り、懸命にホバリングしながら体を垂直にして(泥の中に:しぐま註)産卵する。
♀は産卵中、♂に見つかると、連結されてどこかへと連れ去られ、産卵を中断させられてしまうことがある。そのため、懸命にホバリングして、大急ぎで産卵する。(p61より引用)
トンボの生態を記述した本で単独産卵中の♀に対する♂のハラスメントに言及している例は珍しいので、忘れないように抜書しておきます。
私は未だそのような事例を観察したことがありません。
オニヤンマは交尾後も尾繋がり状態のまま産卵したり、♂が♀の警護を続けたりしないので、交尾後の♀は♂のセクハラに悩まされることになるのでしょう。
産卵中の(オニヤンマ:しぐま註)♀を見つけた♂は、その後方で数秒ホバリングしたのちつかみかかって連結し、樹上へ連れ去って交尾する。交尾は2時間以上に及ぶ。(図鑑『ネイチャーガイド 日本のトンボ』p291より引用)
産卵を邪魔される♀の機会損失があまりにも大きいので、いずれ何か対抗戦略を進化させそうな気がします。
そもそもオニヤンマ♂は交尾後にどうして♀を警護しないのでしょう?





2011/09/15

アメリカシロヒトリ幼虫(蛾)の集団食害



2011年9月上旬

堤防に生えた何かの幼木で白い毛虫が大発生していました。
葉がすっかり丸坊主にされており、樹種は不明です。

食痕(虫食い)というレベルではなく、葉脈と糞しか残されていません。
悪名高きアメリカシロヒトリ幼虫だと思います。
分散前の老熟幼虫でしょうか。






2011/09/14

舗装路で産卵を試みるヒガシキリギリス♀



2011年8月下旬

舗装された農道の坂を登っていたら、路上に褐色型のキリギリスが居ました。
当地に分布するのはヒガシキリギリスGampsocleis mikadoです。


産卵管をアスファルトに突き立てようと産卵姿勢になっていました。
しかし土の地面よりも固い舗装路なので、しっかり刺さっておらず、産卵管は地中に貫通していないようです。
舗装が劣化した山道でアスファルトの小さな穴に産卵中のフキバッタ♀を昔見たことがありますけど、今回の舗装路には土の部分(穴)は見えていません。


道の両脇は草むらや畑が広がっていてキリギリスの産卵場所には事欠かないはずなのに、どうしてわざわざ固くて熱い舗装路に出てきて産卵しようとするのか不思議でなりません。
単純に、これが落ち着く静止姿勢なのだろうか?(6本脚+産卵管で体を支える)


同様の産卵姿勢で静止している個体を何匹も連続して目撃したのですが、産卵姿勢に至る様子(産卵管を突き立てようとする初めの行動)は観察できませんでした。


映像に登場するのは同一個体ではなく、同じ道で続けて撮った複数個体の映像をまとめたものです。


一匹は産卵姿勢を途中で解除して草むらに歩き去りました。


撮りながらじっと見ていても触角や口髭がたまに動くだけで進展がありません。
特に踏ん張ったり力を入れて産卵管を深く刺そうとしている風でもなく、呆然としている様子。
怠け者の(動かない)キリギリスの横を働きアリがせわしなく動き回っている様はまるで『イソップ童話』です。
痺れを切らしてヒガシキリギリス♀をそっと手掴みしてみたら、一匹あっさり捕獲することができました。
油断したら頑丈な大顎で指を噛まれ、結構痛い思いをしました。







2011/09/13

交尾中のギンモンシマメイガ(蛾)が連結逃走



2011年9月上旬

堤防を歩いていると、足元で赤く美しい蛾が地面を這うように暴れていました。
近づいてよく見ると、交尾中のギンモンシマメイガPyralis regalisと判明。
尾端の交尾器で連結したまま、慌てて逃げようとしています。
どうやら連結したまま飛べるほど強い飛翔力は無いようです。
野暮は承知の上で、恥ずかしがって逃げ回るカップルをしつこくパパラッチしてみました。


本種の幼虫はスズメバチ類の巣に寄生して育ちます。
私が過去に観察した関連記事はこちら→「コガタスズメバチの巣に寄生する蛾の幼虫」、「コガタスズメバチの巣から羽化したギンモンシマメイガ
獰猛な肉食性であるスズメバチの目を盗んで巣に接近、産卵するギンモンシマメイガ♀の行動をいつか観察してみたいものです。









2011/09/12

繭作り中に排泄するクワコ幼虫(脱糞と排尿)



2011年8月下旬

クワコ(蛾)の飼育記録#3

終齢幼虫から飼育してきた二頭のクワコBombyx mandarina)がようやく繭を紡ぎました。
関連記事はこちら→「繭を紡ぐクワコ終齢幼虫(蛾)の微速度撮影

口元から金色の絹糸を吐く様子を接写しました。
まず足場糸を張り、葉を左右から引き寄せシェルターを作る初めの工程です。

育ち盛りの終齢幼虫は恐ろしい勢いで桑の葉を食べては糞をモリモリ出していたのですが(快食快便!)、撮りたくても毎回脱糞の予兆が掴めませんでした。
ようやく脱糞シーンを動画に撮ることが出来ました(1:19)。
繭を紡ぐ様子を観察していたら偶然撮れたので、ぎりぎりのタイミングでした。

繭が出来上がってきてからも、クワコ幼虫は作業の合間に脱糞していました。

尾端をシェルターの外に出してから排泄するという行儀良さに感心しました。
繭の中を糞で汚したりしません。


一番驚いたのは、作業の終盤で作りかけの繭から下半身を思いっ切り出して大量の液体をジャーッと排泄したことです。
上の映像(4:07〜)に映っているのは排尿がほぼ終わり、尾端から雫が滴り落ちている状態です(カメラが間に合わず…)。
下に敷いておいた新聞紙がびっしょり濡れるほどの量でした。
初めて見たので病気なのかと心配しましたが、すっきりすると何事もなかったように繭へ戻り、作業を再開しました。
この後で繭の底を絹糸で綴って塞ぎます。

営繭終盤の大量排尿は二頭とも見られたので一般的な行動と思われます。
体内に蓄えておいた余分な水分をこの段階で排泄しておくのでしょう。(蛹化・変態への準備?)
口から吐く絹糸の成分が後半になると変わるのかもしれません。


蛾のネタついでに、最近聞いた秀逸な回文で閉めます。
「ガガの頭にまたあの蛾が」

(つづく→シリーズ#4「クワコ♀の羽化と性フェロモン放出」)


【追記】
桑原保正『性フェロモン:オスを誘惑する物質の秘密』を読むと、この排泄行動も記述されていました。
 カイコは最後のトイレを済ませてから一気に繭を作って中に籠もるが、クワゴは最後には繭の中に籠もるものの、繭を作りながら、途中までトイレに抜け出すための穴を用意する。そして最後のトイレを済ませると、安心して繭を完成する。 (p44より引用)







2011/09/11

ワカバネコハエトリ?♂vsヤガタハエトリ♀異種間の威嚇誇示行動




2011年5月下旬

別種のハエトリグモが出会うとどのような行動を取るでしょう?

室内で別々に捕獲して飼い始めたワカバネコハエトリ?♂(体長〜4.5mm)とヤガタハエトリ♀(Pseudeuophrys erratica体長〜3.5mm)を一時的に同じ容器に同居させてみました。
たまたま♂♀のペアとなりましたが、優れた視覚を有するハエトリグモは当然ながら違う種の間で求愛・交接を行ないません。
種特異的な求愛ダンスを踊ることが性的隔離のメカニズムの一つと考えられています。


このワカバネコハエトリ?♂は捕獲した時から左の第一脚を欠損しています。
容器内でヤガタハエトリ♀の存在を認めるとワカバネコハエトリ♂は一本しか無い第一脚を高々と振り上げました。
この行動はハエトリグモではよく見られる威嚇ディスプレーと思われます。
それを見たヤガタハエトリ♀は特に歩脚や触肢を使った示威行動を取ることなく、おとなしく退却しました。


体格差が多少あるものの、狩りなどの直接攻撃に至ることもありませんでした。


前の記事で報告したように、後に同じ個体のヤガタハエトリ♀を用いて同種と思われるヤガタハエトリ♂と同居させました。
ところが、なぜかペアリング(求愛・交接などの繁殖活動)が上手くいきませんでした。
このヤガタハエトリ♀は奥手なのか気難しいのか出会いに消極的で、異種のハエトリグモ♂に対する反応と同じでした。
関連記事はこちら→「ヤガタハエトリ♂♀飼育記録:プラトニックな関係(求愛拒否?)


今思えば、ヤガタハエトリvsワカバネコハエトリの対決をどうせやるなら♂同士の方がクモ合戦として面白いはずなんですけど(文字通り異種格闘技)、試すのを忘れました。





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