ラベル 配偶行動 の投稿を表示しています。 すべての投稿を表示
ラベル 配偶行動 の投稿を表示しています。 すべての投稿を表示

2020/09/17

スズメ♀♂の交尾(野鳥)



2020年7月中旬・午後18:40頃・晴れ

夕方の市街地でスズメPasser montanus)の♀♂ペアが電線に止まり、交尾を繰り返していました。
スズメの交尾を目の当たりにするのは初めてです。
焦った私がカメラの起動に手間取りましたが、2回連続の交尾行動を観察することが出来ました。
幸い夕日を浴びた順光のアングルでよく見えました。
♂は♀にマウントする際に翼を小刻みに激しく羽ばたいてバランスを保っています。
その間、♀は完全に受け身で、電線上に身を伏せてじっとしています。

スズメは交尾中にヒヨヒヨヒヨ…♪と甘い鳴き声を発するらしいのですが、やや遠くて風切り音しか聞き取れませんでした。
※ スズメの鳴き声が遠くて聞き取りにくいので、動画編集時に音声を正規化して音量を強制的に挙げています。

自然カラーシリーズ26『スズメ』によると、

♂は、これぞと思う♀をみつけると、しきりにそのあとを追いかけます。つばさや尾羽をふるわせながら、ピイピイ、コロコロとスズメとも思えないきれいな声で鳴きます。 (さえずり:しぐま註) エンマコオロギのようにすんだきれいな声です。

つがいになると、♂は♀とならんで止まり、♀の羽毛をやさしく、つくろってやります。しかし、仲のよい夫婦ばかりとはかぎりません。♂が飛びのって、交尾しようとしたとたん、ぱっと飛び立って、どこかへいってしまう♀もいます。

♀が、からだをかがめると、その上に♂が飛びのり、またすぐに飛びおります。同じような動作が、4〜5回くりかえされます。これが交尾です。


大田眞也『スズメ百態面白帳』によれば、

交尾すると♀はすぐ身ごもり産卵するので、巣を先に用意しておかなければならない(中略)。
巣造りが一段落すると、♂は♀に付きまとうようになる。しかし、まだその気にならない♀は勝手気ままに行動し、その後を見失うまいと必死に追いかける♂の姿はけなげである。♀が立ち止まると、すぐその周りを、全身の羽毛を膨らませて大きく見せ、気取ったような格好で気ぜわしく歩きまわり、ヒヨヒヨヒヨ…と、これがスズメの鳴き声かと思うような甘く優しい声で愛をささやく。♀が移動すると、すぐその後を追い、止まると、また同じことをする。こんなことを何度も繰り返しているうちに♀もしだいにその気になってくるようで、体を低くして背を反らせ気味にして尾を上げ、下げた両翼の先を小刻みに震わせるとOKである。♂はすかさず♀の背に飛び乗り、羽ばたいてバランスをとりながら腰を低めて慎重に尾を交差させたかと思ったら、もう一回の終わりで、飛び下りている。この間ほんの数秒で、実にさばさばしており、こういうことを普通三、四回繰り返す。♀が羽繕いを始めたらもう終わりで、その後は♂がどんなに誘ってもだめである。 (p69より引用)

交尾。ヒヨヒヨヒヨ…と独特の甘い鳴き声で気づかされることが多い。 (p70より引用)


交尾直後の♂は隣の電線にピョンと飛び移り、嘴を足元の電線に擦り付けました。
鳥の交尾直後には♀の総排泄孔に付着した♂の精子が見えるものなのでしょうか?
映像では何も見えませんでした。

松原始『鳥類学者の目のツケドコロ』によると、

鳥の場合、総排泄口(哺乳類意外の脊椎動物の場合、排泄物も精液も卵もすべて出口がおなじなので、こう呼びます)を接触させて交尾するため、♀の協力がないと交尾は極めて難しくなります。


交尾中の♂は終始、羽毛を逆立てた「ふくら雀」の状態で、いかにも興奮していることが分かります。
そんな♂が交尾後に羽繕い。
最後は♂、♀の順に飛び去りました。
そろそろねぐら入りして寝る時刻です。

ちなみに、すぐ横の電線に止まっていたムクドリSturnus cineraceus)若鳥?は、スズメ♀♂の交尾に無関心でした。

この電柱の水平アーム(腕金)は端が塞がれているため、その中にスズメが営巣することは出来ません。


▼関連記事(3年前の撮影)
電柱の角パイプ内の巣に出入りするスズメ♀♂【野鳥:HD動画&ハイスピード動画】


次に機会があれば、求愛(囀りさえずり)からの交尾とスズメの配偶行動の一部始終を見届けたいものです。
求愛給餌するのかな?


尾が交わると書いて「交尾」

2020/09/02

雄蜂♂が出入りする巣の入り口でニホンミツバチ♀の群れが匂い扇風【HD動画&ハイスピード動画】



2020年6月上旬・午後15:54〜16:01・晴れ

農村部に立っているコンクリート電柱内部の空洞で自然営巣したニホンミツバチApis cerana japonica)の経年コロニーをときどき定点観察しています。

▼関連記事のまとめ
電柱内部に営巣したニホンミツバチの定点観察:2012〜2013年

巣口となったネジ穴の直径は18mm、地上からの高さ130cm、北向きに開口。

※「コンクリート電柱の断面」でGoogle画像検索すると、コンクリート電柱の中身は(おそらく軽量化とコストカットのために)空洞になっていることが分かります。

久しぶりに営巣地を通りかかったので様子を見ると、巣口の周囲に多数のワーカー♀が集まり、各自がその場で激しく羽ばたいていました。
以前も夏に同様の行動を見たことがあるので、巣を冷却するための扇風行動なのかと初めは思いました。


▼関連記事(6年前の撮影:2014年7月中旬)
巣を空冷するニホンミツバチ♀の扇風行動
※ この短い動画(30秒間)で♂は巣口に出入りしていません。


▼関連記事(7年前の撮影:2013年7月中旬・気温31℃)
ニホンミツバチ♀の巣を冷やす扇風行動【ハイスピード動画】
※ この動画で♂は巣口に出入りしていません。

気温を測りたいところですが、この日は生憎、温度計を持参していません。
しかし電柱に西日が当たっている面だけでなく、日陰になっている所でもニホンミツバチ♀は扇風していました。
直射日光で温められたコンクリート自体の放射熱でミツバチの扇風行動が発動するのかもしれませんが、どうやら巣冷却以外の目的もありそうです。


なぜ私がそう思うかというと、ニホンミツバチ♀が巣に冷気を送り込むための扇風行動なら、巣口から外側に頭を向けて並ぶはずです。

ニホンミツバチの生態についてバイブルになっている佐々木正己『ニホンミツバチ:北限のApis cerana』によると、

(ニホンミツバチは)セイヨウミツバチと扇風の向きが逆で、新鮮な冷気を外から中へ入れるように、頭を巣門の外に向けて気流を巣内に導くように翅を羽ばたく。1秒間に150回前後と飛翔時より少しビート数が少ない。(p34より引用)


しかし今回の扇風役は向きがバラバラでした。
特に、巣口からだいぶ離れたところで扇風している個体は、巣内に冷気を送り込む役目を全く果たしていないでしょう。
もしかすると、扇風経験の浅い若い個体なのかな?

動画をよく見ると、ワーカー♀の他に、複眼が大きく発達して体色が全体的に黒っぽい雄蜂♂もときどき登場します。
少数の♂が巣口から飛び去ったり(出巣)、帰巣したりしています。
電柱の表面をウロウロと歩き回っている♂もいました。

▼関連記事(7年前の撮影:2013年6月中旬)
ニホンミツバチの匂い扇風?
この動画を改めて見直すと、少数の♂が巣口に出入りしていました。


ニホンミツバチ♀の扇風行動を240-fpsのハイスピード動画でも撮ってみました。(@2:08〜)
巣に出入りする飛翔シーン(帰巣および出巣)やこまごまとしたドラマが繰り広げられているので、どう編集すべきか迷った挙げ句、撮影した素材をノーカットでお届けします。

例えばちょっと面白かったのは、帰巣した♂がホバリングしながら扇風役のワーカー♀に背後から抱きついても、気にせず巣口の横で扇風を続行したことです。(@14:40)
雄蜂♂が不妊のワーカー♀にもマウントを試みて交尾の練習をしているのでしょうか?

それとも、まさにこれがナサノフ腺フェロモンの♂に対する誘引効果を示しているのかもしれません。
外役ワーカー♀が帰巣する際にも着陸に失敗して巣口付近の他個体にしがみついてしまうことがあるので、私の考え過ぎですかね?

扇風役も含めて動画に登場するワーカー♀全個体は、後脚の花粉籠が空荷でした。
採餌に出かけた外役ワーカー♀が帰巣時にも花粉籠が空荷なのは謎です。
時間帯が遅いと、もう花粉を集めて来ないのでしょうか?(夕方になると野外の植物の花粉は枯渇してしまうのか?)

巣口の近辺を正面からズームインしてハイスピード動画に撮ると、扇風行動中の♀個体はほぼ全て、巣口を中心に頭を外側(放射状)に向けていました。
これだけ見ると、暑くなった巣を冷やすための扇風行動と思ってしまいます。
ただし例外があり、巣口を向いて扇風する個体を見つけてしまいました。(@6:48)

分蜂(巣別れ)群が新しい巣の候補地の位置を仲間に教えるための匂い扇風だった可能性も考えられますが、それだと巣に出入りする雄蜂♂の存在を私の頭では説明できません。

佐々木正己『ニホンミツバチ:北限のApis cerana』によると、

・(分蜂の)季節は4月から6月。その年最初の分蜂では出ていくのは必ず旧女王であり、母巣は娘の女王が継ぐ。そして群勢に余力があるときは、その後引き続いて何回かの処女王分蜂が繰り返される。(p137より引用)
・ニホンミツバチでは分蜂前にこのようにかなりの蜂が巣門に出てくる動きを見せる場合が少なくない。(p137より)
分蜂群が新たなすみかに入るときには、先着蜂がちゃんと外側に尻を向けて集合フェロモンを放出しながら扇風し、後続の仲間を誘導する。この場合は扇風の向きはセイヨウミツバチの場合と同じである。(p107より)

最後に引用したポイントは重要で、扇風役の向きから今回の行動が分蜂とは無関係と分かりました。

ときどき雄蜂♂が飛来し、帰巣しています。
ミツバチの結婚飛行について勉強不足の私は、一度巣を離れた♂はてっきり二度と帰巣しないのかと思い込んでいたので、門番♀が♂の再入巣を拒絶せずにあっさり受け入れる様子を見て驚きました。
結婚飛行で女王蜂と運良く交尾できた♂が空中で交尾しながら即死するのは有名な話です。
交尾できずにあぶれた♂が元の巣にすごすごと戻ってくるのでしょうか?

バイブル『ニホンミツバチ:北限のApis cerana』で結婚飛行について復習してみました。

・交尾飛行に出かける時刻は体内時計によって遺伝的に決められていて、ほぼ13:30から16:30の3時間に限られている。(p50より引用)

・ニホンミツバチのそれ(雄蜂♂の結婚飛行時間帯:しぐま註)は、(中略)日本での調査によると13:15〜16:30で、女王蜂の飛行時間帯もこれに同期して13:15〜17:00となっている。雄蜂、女王蜂ともに体内時計によりデートの時刻を決め、それにより交尾のチャンスを高めていることがわかる。(p139より)

実際に交尾してくる飛行の前に何回かの飛行が見られる場合が多い。しかしいずれもほぼ14:30〜16:30の間に出ていて、セイヨウミツバチより遅い。(p139より)

・巣門に出てきた♂と、すでに交尾飛行から帰巣した♂たち。マキの自然巣にて、残念ながら空高くで行われる交尾の瞬間を見ることはできない。(p51より)

今回の撮影時刻はまさにニホンミツバチが結婚飛行する時間帯でした。
巣に出入りする雄蜂♂は、気象条件などが結婚飛行に適しているかどうか見極めているのでしょう。(結婚飛行の下見?)

例えば動画(@10:15)に巣口から外にでてきた雄蜂♂は外に飛び出すことなく、すぐに巣内へ引き返してしまいました。
これでようやく私も状況が飲み込めてきました。
今回、私は女王蜂を一度も見かけませんでした。
もう少し粘って撮影していれば、結婚飛行の開始を見届けられたのかもしれません。

結婚飛行から戻ってくる雄蜂♂や女王蜂に対して巣口の位置を教えるために、匂い扇風に励んでいたのだろうと考えるようになりました。

再び『ニホンミツバチ:北限のApis cerana』によると、

ナサノフ腺フェロモンを放出し、扇風して仲間を巣門に誘導する(p35より引用)
この記述は結婚飛行と関係ないかもしれませんが、謎の「ナサノフ腺」という用語が気になりました。
『岩波生物学辞典 第4版』で調べると、

[英Nassanoff's gland]
ミツバチのワーカー(働き蜂)の腹部第六節背面に開口する分泌器官.多数の分泌細胞からなり,分泌物は袋状の凹所に貯えられる.この分泌物は働き蜂に強い誘引性があり,ミツバチの道しるべフェロモンとして作用する.分泌物にはゲラニオール,ネロリ酸,ゲラニウム酸(geranic acid),シトラールが含まれ,これらが混合して道しるべフェロモンとして働いていると考えられている.

下線部が本当だとすると、雄蜂♂や女王蜂に対しては誘引効果が無い(知られていない)のですかね?
英語版wikipediaでナサノフ・フェロモンを調べると、巣門で腹部を高々と持ち上げながら扇風してフェロモンを放出しているセイヨウミツバチ♀の写真が掲載されています。(分蜂群の先発隊が空の巣箱に仲間を誘導中)
気になるのは扇風時の姿勢で、私が撮った映像ではこんなに腹端を高く持ち上げていません。
セイヨウミツバチとニホンミツバチという種による違いでしょうか?

当然ながら、巣の傍に立つ私の鼻には特に何も匂いを感じませんでした。
もし扇風時の姿勢から匂い扇風が否定されるとなると、結局はやはり巣冷却のための扇風行動だということに落ち着きます。
(ナサノフ腺フェロモン以外に未知のフェロモンがあってもおかしくないと大胆な仮定をすれば、ロマンがありますね。)


今回の扇風行動に関する私の解釈(仮説)が正しいかどうか確かめるためには、通りすがりに短時間観察しているだけでは不十分であることが明らかになりました。
どうしても、この時期に集中して巣口を終日観察する必要がありそうです。(温度計と三脚を必ず持参すること。)
特に、結婚飛行(交尾飛行)のために女王蜂が巣から飛び立ち、やがて戻ってくる様子をいつか自分の目で見てみたいものです。
巣口に監視カメラを設置できれば理想的です。




【追記】
採餌する外役ワーカーが無事に帰巣できるように匂い扇風をしている、という可能性も考えられなくはありません。
しかし蜂は初めて巣を離れる際に定位飛行して視覚的に巣口の周囲を記憶することができます。
それを頼りに外役ワーカーは自力で帰巣するはずなので、匂い扇風は何か他に特別な目的があるはずだと思います。

ニホンミツバチ♀群れ@巣口:コンクリート電柱+匂い扇風(巣口でのすれ違い)
♀@帰巣
巣口の下縁で雄蜂♂が出巣

2020/08/29

ヒメジョオンの花蜜を吸うクモガタヒョウモン♂の群れ



2020年6月上旬・午後13:00頃・晴れ

峠道の横の斜面に咲いたヒメジョオンの群落でヒョウモンチョウの仲間が訪花していました。
半開きの翅を開閉しながら吸蜜しています。
ズームアウトすると、複数個体(4頭?)が訪花中でした。
探雌飛翔中の♂個体もいて、訪花中の別個体♂に誤認求愛しているようですが、私には性別がなかなか見分けられません。

ヒョウモンチョウ仲間を見分けるのは慣れるまで難しく、私はこれまで『札幌の昆虫』という図鑑のお世話になっていました。
北方系の昆虫がたくさん掲載されていて、東北地方の昆虫を調べる際にとても参考になるのです。
この図鑑のおかげ
で私もヒョウモンチョウの種類を見分けられるようになりました。
ところが今回撮った個体はミドリヒョウモンと似ているものの、図鑑との絵合わせではどうにも翅裏の斑紋が一致しません。
そこで最新の別な図鑑『フィールドガイド:日本のチョウ』で調べると、クモガタヒョウモン♂(Nephargynnis anadyomene)とようやく判明しました。
クモガタヒョウモンは北海道にも分布しているらしいのですが、『札幌の昆虫』に未掲載なので、分からなかったのも当然です。








2020/08/06

ナツグミ訪花中のクマバチ♂同士で誤認求愛



2020年5月上旬・午前11:55・晴れ

庭園に咲いたナツグミの黄色い花でキムネクマバチ♂a(Xylocopa appendiculata circumvolans)が次々と吸蜜していると、探雌飛翔中の別個体の雄蜂♂bがやって来ました。

♂aが次の花へ向かおうとナツグミの花から飛び立った途端に背後から♂bが狙いを定めて襲いかかり、空中であわや衝突しそうになりました。(♂bが躊躇した?)
♂bが再び飛びかかって相手を掴まえようとした瞬間に♂aは奇襲攻撃をかわし、ナツグミの花から急発進で高速離脱しました。
♀との交尾はとにかく早い者勝ちなので、雄蜂♂は焦っているのでしょう。
一瞬の誤認求愛をまずは1/5倍速のスローモーションでご覧ください。
その後にリアルタイム(等倍速)でリプレイ。

別の解釈としては、誤認求愛ではなくて、自分の縄張りからライバル♂を追い払おうとする行動かもしれません。


2020/07/15

オナガガモ♀を囲い込む♂の求愛誇示:水はね鳴き、そり縮み(冬の野鳥)その3



2020年1月上旬・午後15:00・くもり

岸に近い川面で1羽のオナガガモ♀(Anas acuta)が6羽の取り巻き♂を引き連れていました。
独身♂が首を上下に伸縮させたり、求愛誇示の「水はね鳴き」と「そり縮み」を♀に見せつけています。
1/5倍速のスローモーションでリプレイ。


水はね鳴き ― ♀から離れた位置で行われ、しかも、♀に対してどの方向からも行われます。前方に伸ばした嘴を引き寄せるときに嘴の先で水をはね上げ、頸(くび)が突き上げられたときに笛声を出します。

そり縮み ― 「水はね鳴き」の後に続いて行われる、セットになったディスプレイです。オナガガモやコガモでは、引き上げられた尾の側面にある、下尾筒(かびとう)のクリーム色の羽部分が視覚的に強調されます。このディスプレイの後、目当ての♀のほうに嘴を向けます。 (福田道雄『人前で求愛ディスプレイをするオナガガモ』 『動物たちの気になる行動〈2〉恋愛・コミュニケーション篇 』(ポピュラー・サイエンス・シリーズ)p27〜29より引用)


2020/07/14

モミ樹上の巣で求愛給餌するハシボソガラスの♀♂つがい(野鳥)



2020年3月上旬・午後17:05頃

池の岸に聳え立つモミ高木を見に行くと、この日は天辺の枝にカワウは止まっていませんでした。
梢の巣に運び込まれた巣材(小枝)の量が前回よりも増えていたので、造巣作業が進行中のようです。
その巣に2羽のハシボソガラスCorvus corone)が出入りしている証拠映像を初めて撮ることができました。
このモミ樹上の巣はカワウが作ったものではないか?と内心期待していたのですが、予想(願望)が外れました。
暖冬の影響で例年よりもカラスの造巣開始が早いかもしれません。

♂と思われる1羽が帰巣すると、在巣の個体(おそらく抱卵中の♀)に口移しで何か白い塊を給餌しました。
慌てて巣にカメラを向けて撮った一瞬の出来事なので、まずは1/5倍速のスローモーションでご覧ください。
その後に等倍速でリプレイ。
給餌メニューは不明です(拾ってきたパン?)。
夫婦間の求愛給餌だろうと思うのですが、交尾行動は見ていません。


▼関連記事(3年前の撮影)
ハシブトガラス♀♂の求愛給餌と相互羽繕い(野鳥)

♀が巣に残って抱卵するかと思ったのに、下からカメラを向けている私を警戒しているのか、残念ながら2羽ともすぐに巣から飛んで逃げてしまいました。
別々の方向に飛び去ったうちの1羽は私の頭上を飛び越えて行ったので、縄張り内をうろついては営巣木を見上げる怪しい奴を偵察に来たのでしょう。
しかしハシボソガラスはハシブトガラスに比べると穏健でヒトに寛容なので、無礼な私に対して怒って鳴いたり威嚇するなどの攻撃的な行動はありませんでした。






2020/07/06

求愛の囲い込みから脱落するオナガガモ♂(冬の野鳥)



2020年1月上旬・午後15:30頃

川面で7羽のオナガガモ♂(Anas acuta)が1羽の♀を取り囲んでいます。(「囲い込み」)
♂が首を繰り返し伸縮させているのは♀への求愛アピールでしょう。(「あご上げ」または「げっぷ」)
♀が向きを変えて逃げようとする度に、取り巻きの♂たちも向きを変えて追走します。
♂同士の争いはありませんでした。

しばらくすると、手前の♂1羽が水面から此岸に向かって飛び立ちました。(@0:18)
この個体は♀から最も遠く、選ばれる見込みのない劣位♂なので、諦めて囲い込みから離脱したようです。

やがて、突然♀も上流へ向かって飛び去りました。(@0:44)
それにつられて♂も続々と飛び立ち、♀を追いかけて行きます。
飛び立つ瞬間を1/5倍速のスローモーションでリプレイ。
川岸からしつこくカメラを向けている私を警戒して逃げたというよりも、求婚されている♀はときどき自発的に飛んで場所を変えるようです。
もしかすると、どの♂の反射神経が一番優れていて真っ先に飛び立ってくれるか、♀はテストしているのかもしれませんね。(♀による♂の選り好み)
飛翔中も♂は♀に求愛誇示することがあるらしいのですが、私は見ていません。
♀は少し飛んだだけで同じ川に着水し、♂による囲い込みおよび求愛誇示が再開されます。


2020/07/04

オナガガモ♀を囲い込む♂の求愛誇示:水はね鳴き、そり縮み(冬の野鳥)その2



2020年1月上旬・午後15:05頃・くもり


▼前回の記事
オナガガモ♀を囲い込む♂の求愛誇示:水はね鳴き、そり縮み(冬の野鳥)その1

川面で2羽のオナガガモ♀(Anas acuta)がそれぞれ複数の取り巻き♂を引き連れて川面を遊泳しています。(♂による♀の囲い込み)
登場する個体数が多い上に、群れがときどき入り交じるので、どうしても目移りしてしまいます。

♂による一連の求愛誇示(ディスプレイ)のレパートリーの中で、特に「水はね鳴き」と「そり縮み」を♂が披露する度に、1/5倍速のスローモーションにしてみました。(直後に等倍速でリプレイ)
今回は♂同士が♀を巡って争うシーンはありません。

♂が嘴で左に水飛沫を跳ね上げ(水はね鳴き@1:07)、続けてそり縮みも披露しました。(@1:17)
画面で♀aは♂の右に居るので不思議に思っていたら、もう1羽別個体の♀bが登場しました。
♂は後半のそり縮みの際に左を向いたので、この♂は一貫して左の♀bに気があることが分かります。
オナガガモ♂は意中の♀に対して水飛沫をかけ、そり縮みの直後に嘴を向けるのです。
川面で複数の♀♂が入り混じっていても混乱すること無く、まるで「フィーリングカップル」の電光掲示板のように好意(求愛)の対象は明確に伝わるようになっています。

囲い込みに参加する♂は一途で、特定の♀をひたすら追い回し、川面で寝ている別の♀とすれ違っても無関心でした。
♂が途中で求愛対象を別個体♀に乗り換えるかどうか、興味があるところですけど、今のところそのような浮気症の♂は見ていません。
婚活に参加しないでのんびり寝ている♂も居ます。


2020/07/02

オナガガモ♂の求愛誇示と♀のけしかけ(冬の野鳥)



2020年1月上旬・午後15:45頃・くもり

冬の川面で6羽のオナガガモ♂(Anas acuta)が1羽の♀を取り囲んでいます。
♂はときどき首を上下に伸縮させて♀に求愛しています。
これが本に書いてあった「あご上げ」や「げっぷ」ですかね?
本の解説を読んでも挿絵を見ても、私にはこの2つの求愛誇示行動がどうも区別できません…。
♂αが前方のライバル♂の尾羽根を嘴でつついて追い払いました。

囲い込む♂の行動は今までの観察と同様ですが、♀に注目すると新たな動きがありました。
取り巻き♂を引き連れた♀は川面をあちこち遊泳しながら、ときどき羽繕いしています。
そして♀は嘴を背中越しに斜め下に振る動作を頻りに繰り返していました。
これが本に書いてあった「けしかけ」ディスプレイですかね?
「けしかけ」中に♀が低い鳴き声を忙しなく発したかどうか、私には聞き取れませんでした。
川の水音や周囲で鳴き騒ぐオナガガモ大群の喧騒に掻き消されてしまうのです。
高性能の集音マイクを使えば解決するのかな?

福田道雄『人前で求愛ディスプレイをするオナガガモ』によると、

 観察していて、「囲い込み」で取り囲まれた♀が、どの♂を選んだかは、なかなかわかりません。♀は「囲い込み」が始まったときにはすでに♂を選んでいるか、数秒か数分のうちには選ぶと言われています。♀はときどき選んだ♂のほうに向きを転じることで選んだことを示します。そして、選ばれたことがわかった♂は、ほかの♂よりも「あご上げ」と「げっぷ」をより多く行うようになります。選ばれなかった♂は「水はね鳴き」と「そり縮み」をより多く行います。そして、1羽の同じ♂が、ほかの♂に向かって攻撃をしかける光景が次第によくみられ始めます。
 つがいができると、♂は顎をまっすぐに立てて頭の羽を膨らませ、後頭部が♀に見えるようにし、先導して泳ぎます。このディスプレイは「後頭さし向け」と呼ばれます。♀は、近寄る♂に背を向け、嘴を背越しに斜め下に振り、低い鳴き声をせわしく出しながら「けしかけ」のディスプレイをします。このディスプレイはカモの仲間に広く共通する♀の代表的なディスプレイです。なお、この二つのディスプレイは、つがい形成のうえで重要な役割をはたすとされています。その後、つがいは群れから少し離れて過ごすことが次第に多くなり、ほかの♂もほとんど近寄らなくなります。  (ポピュラー・サイエンス・シリーズ『動物たちの気になる行動〈2〉恋愛・コミュニケーション篇 』p30より引用)

今回の動画で♀が繰り返している行動が「けしかけ」の誇示行動(ディスプレイ)ではないかと思うのですが、どうでしょう?
本書には「けしかけ」しているオナガガモ♀および「後頭さし向け」中の♂を描いた図(簡略化したスケッチ)もp31に掲載されているのですが、抽象化した静止画ではどうしても行動のイメージが湧きません。
最近出版された生き物関係の書籍では少しずつ行動を示す動画が添付されるようになりましたが、これからは必須になるでしょう。(動画サイトへのリンクを掲載するなど)

後半になると囲い込みに参加する♂が少なくなり、解散したように見えました。
しかし♀を先導して「後頭差し向け」する♂は見ていません。(私が見落としているだけ?)
最終的に♀がどの♂を選んだのか、観察歴の浅い私には見分けられませんでした。
この♀の動向をもっと長く撮り続けるべきでしたね。

※ いつものように動画編集時に手ブレ補正処理をすると副作用で不自然な映像になってしまったので、今回は止めました。
背景となる川面の波紋が手ブレ補正のアルゴリズムを惑わせてしまうようです。


2020/06/30

オナガガモ♀を囲い込む♂の求愛誇示:水はね鳴き、そり縮み(冬の野鳥)その1



2020年1月上旬

川面を遊泳する2羽のオナガガモ♀(Anas acuta)に♂の取り巻きがそれぞれついて回っています。(求愛の囲い込み)
2つの求愛群が入り混じったりすれ違ったり、ただ水面に浮かんで寝ている他のオナガガモ大群に一時的に紛れ込んだりして、とても分かりにくい状況です。
登場する個体数が多過ぎて目移りしてしまいます。
求愛する♀を途中で乗り換える移り気な(浮気症の)♂もいるのではないでしょうか。

囲い込みに参加する♂が次々に奇妙な行動を披露していることに気づきました。
求愛誇示のレパートリーの中の「水はね鳴き」および「そり縮み」だとようやく私にも見分けることができました。
1/5倍速のスローモーションでまずはご覧ください。
その直後に当倍速でリプレイ。

『動物たちの気になる行動〈2〉恋愛・コミュニケーション篇 』という本(ポピュラー・サイエンス・シリーズ)に収められた、福田道雄『人前で求愛ディスプレイをするオナガガモ』が挿絵付きでとても参考になりました。

 オナガガモの代表的なディスプレイには、つぎのものがあります。ただし多くの場合、一つのディスプレイは単独で行われることはなく、組み合わせられたり、一連の行動として行われます。
a あご上げ ― 攻撃と逃避の入り交じった気分を示すもので、♂・♀共に幼鳥時から行われる、生活するうえでの基本的なディスプレイです。
b げっぷ ― ♀にマウントしようとする意図が込められていて、♀の後方に近づいた♂がよく行います。嘴を引き、上げた頭を下げるときに「ピュー」という笛声を出します。
c 水はね鳴き ― 「げっぷ」のときよりも、♀から離れた位置で行われ、しかも、♀に対してどの方向からも行われます。前方に伸ばした嘴を引き寄せるときに嘴の先で水をはね上げ、頸(くび)が突き上げられたときに笛声を出します。
d そり縮み ― 「水はね鳴き」の後に続いて行われる、セットになったディスプレイです。オナガガモやコガモでは、引き上げられた尾の側面にある、下尾筒(かびとう)のクリーム色の羽部分が視覚的に強調されます。このディスプレイの後、目当ての♀のほうに嘴を向けます。 (p27〜29より引用)

水はね鳴きをする♂は、水面に少し浸した嘴を素早く横に振り、意中の♀の方向へ水をすくい上げています。
直後に♂は伸び上がり、尾羽を左右に激しく振ります。
このとき♂は特徴的な笛声を発するらしいのですが、川の流れる水音やオナガガモ大群の喧騒に掻き消されてしまい、私には聞き取れませんでした。

よく恋愛ドラマで若いカップルが海辺で相手に水をはね飛ばしてふざけ合うシーンがあります。
海水をかけ合って嬌声を上げています。
相手の気を引くためにヒトもオナガガモと似たような求愛ディスプレイをしていたのですね。

♂による「そり縮み」は、確かに「水はね鳴き」の直後に行われていました。
首と尾羽を同時に高く持ち上げ、水面で海老反り姿勢になっています。
ただし、水はね鳴きだけで終わる場合もあり、必ずしもそり縮みをするとは限らないようです。
そり縮みの直後に♂は確かに意中の♀の方へ嘴を向けていました。
この2つのディスプレイをよく見ていれば、♂がどの♀を狙っているのか傍目にもよく分かるようになります。

囲い込みが混み合ってくると、♂α(♀に最も近い個体)が進路を塞ぐライバル♂βを嘴でつついて追い払いました。
その隙に♀が方向転換すると、取り巻きの♂たちも慌てて追いかけます。
ドサクサに紛れて♀の近くに割り込もうとした♂γを許さずに、♂αが攻撃しました。

オナガガモの複雑な求愛行動を紐解いて少しずつ見えてくると、ますます観察が面白くなってきます。
本の解説を読んだり挿絵や写真を見るだけではどうしても素人には分かりにいです。
やはり動画の説得力は段違いで、スロー再生しながら解説を読み直すとようやく理解できました。

つづく→オナガガモ♀を囲い込む♂の求愛誇示:水はね鳴き、そり縮み(冬の野鳥)その2


【追記】
YouTubeの動画に英語の解説を付ける際に、それぞれの求愛誇示行動に対応する正しい用語を知る必要があります。(英訳の問題)
All about birdsのサイトなどを参考にしました。

Northern Pintails are generally social birds and rarely fight with other ducks. But when one male threatens another, they jab at their rival with their bill open and chase them with their head hanging low, just above the surface of the water. Males and females also lift their chins to greet each other and sometimes tip their chins when threatened. Pairs form on the wintering grounds, but males often mate with other females on the breeding grounds, and pairs only stay together for a single breeding season. Courting males stretch their necks up and tip their bills down while giving a whistle call. Males also preen behind their wing to expose the green speculum. Interested females follow males with head bobbing, preening, and clucking.

また、カモ類の求愛行動を解説した記事:How To Recognize Duck Courtship Displaysが挿絵もあって勉強になりました。

1968年と少し古いですが、「カモ類の求愛行動の進化」と題した比較行動学の論文がPDFで全文公開されていたので、オナガガモのところだけ拾い読みしてみました。
Johnsgard, Paul A. "The Evolution of Duck Courtship." Papers in Ornithology (1968): 31.
The pintail, however,lacks the down-up display, and in this species there is a significant, although delayed, linkage between the grunt-whistle and the head-up-tail-up, which usually occur about one second apart. The pintail also seemingly lacks a functional nod-swimming display, although it is present in an extremely rudimentary form.
確かに私も、オナガガモ♂がnod-swimming ディスプレイをするのは一度も見ていません。


2020/06/26

川面でオナガガモ♀を囲い込んで求愛する♂の群れ(冬の野鳥)その3:少数♂による囲い込みの例



2020年1月上旬・午後15:45頃・くもり


▼前回の記事
川面でオナガガモ♀を囲い込んで求愛する♂の群れ(冬の野鳥)その2:喧嘩に負けた♂が♀に八つ当たり

川面で4羽のオナガガモ♂(Anas acuta)が1羽の♀を取り囲んで求愛しています。
今まで見てきた「取り囲み」よりも集団婚活に参加する♂が少ないせいか、♀へのマークが甘くルーズな群れでした。
♀の一番番近くに居た♂αがライバル♂βに突進すると威嚇して追い払いました。
しかし♀の傍には別のライバル♂γδが2羽も残っているので油断できません。(漁夫の利を狙うかも)

♀から離れてしまった♂αが、慌てて♀の元に飛んで戻ろうとしたら、驚いた♀が飛び立ってしまいました。
残りの♂γδも即座に♀を追いかけて飛び立ちます。

私の勝手な妄想ですが、もしかするとこの♀は強くても♂αのことがあまり好きではなくて、逃げるチャンスを窺っていたのかもしれません。
囲い込みに参加しないで川面に浮いているだけの♂もたくさん居る点が興味深く思います。(若鳥の可能性は?)
婚活中のオナガガモは♂も♀も互いに選り好みしているようです。

一連の行動を1/5倍速のスローモーションでリプレイしてみましょう。
此岸に向かって飛行中も、♂αが♀の左横でぴったりと密着マークしています。
逃げた♀は少し飛んだだけで同じ川にすぐ着水し、♂4羽による求愛の囲い込みが再開されます。

【追記】
求愛の囲い込みに4羽の♂しか参加しなかったからと言って、この♀があまり人気がないとは限りません。
♂同士の争いで囲い込みから♂が次第に脱落していき、残り4羽まで花婿候補が絞られたのかもしれません。
♀は最後に残った♂と交尾すると思われますが、未だそこまで観察できていません。


2020/06/23

オナガガモ♂の同性愛?(冬の野鳥)



2020年1月上旬・午後15:10・くもり

川の水面で群れから離れた2羽のオナガガモAnas acuta)が暴れていました。
♀♂が交尾中なのかと思いきや、♂2羽の喧嘩でした。
疑似交尾のように背後からのしかかるようにマウントして嘴で相手をつつくと、やられた個体がたまらず飛び去りました。

その場に残った勝者♂は尾羽根を左右に振りながら頭部を繰り返し、水面下に漬けて儀式化された水浴をしました。
続けてその場で羽ばたきながら伸び上がり、羽根の水気を切りました。
これは転位行動だと思われます。
川面を遊泳し、群れに合流しました。
戻った先に複数♂による♀の囲い込み(求愛行動)はありませんでした。

1/5倍速のスローモーションでもう一度ご覧ください。
近くに♀が居なかったので、喧嘩の原因は不明です。
群れ内で♂の順位を決める争いがあるのでしょうか?
♀を巡る争いや交尾前ガードではないすれば、同性愛の行動という可能性があります。
そもそも私はオナガガモ♀♂による異性愛の交尾行動を未だ観察できていないのですけど、カルガモ♀♂の交尾行動と似ていました。

▼関連記事(1ヶ月前の撮影)
カルガモ♀♂の求愛・交尾行動(冬の野鳥)

参考:「動物の同性愛」@wikipedia

マガモなど野生のカモ類には同性愛カップルが多いという話を聞いたことがあります。
しかし、同性愛が報告された鳥類の種名リストにオナガガモは含まれていませんでした。

そもそも私はオナガガモ♀♂による異性愛の交尾行動を未だ観察できていないので、これ以上は何とも言えません。
逃げた♂が嫌がっているとしたら強姦になりますし、受け入れて♀の役割を果たしているようにも見えます。
同性愛行動と証明するには、個体識別したり♂の射精を確認したりしないといけないのですかね?
アマチュアは観察事例を地道に積み重ねるしかありません。
♂同士の同性愛だとしたら、求愛行動を始めるところから観察してみたいものです。
同じ相手とつがい形成して同性愛的な交尾を繰り返すのでしょうか。


2020/06/21

川面でオナガガモ♀を囲い込んで求愛する♂の群れ(冬の野鳥)その2:喧嘩に負けた♂が♀に八つ当たり



2020年1月上旬・午後15:15頃


▼前回の記事
川面でオナガガモ♀を囲い込んで求愛する♂の群れ(冬の野鳥)その1:♂同士の喧嘩

冬の川面で1羽のオナガガモ♀(Anas acuta)を7羽の♂が囲い込んで婚活(求愛)しています。

♀を先導するように一番近く(♀の眼の前)に居た♂aが左前のライバル♂bを嘴でつついて追い払いました。
やられた♂b個体が一旦離れてから戻って来ると、驚いたことになぜか♀に向かって突進し、嘴で攻撃しました。
喧嘩に負けた弱い♂の八つ当たりにしか見えないのですが、♂から♀に対するこれほど本気の攻撃は初見です。
♂bに激しくつつかれた♀は慌てて水面から飛び去りました。

逃げた♀を追うように、♂の群れも続けて一斉に飛び立ちます。
1/5倍速のスローモーションでリプレイすると、更に驚きの行動が記録されていました。
追いかけてきた劣位♂bが♀を追い越す際に、隣で飛ぶ♀を嘴でつつこうとしたのです。
かなり♀を恨んでいる(根に持っている)様子です。
劣位♂bは他の♂とは異なり、嘴を半開きで飛んでいました。
鳴いてるのかもしれませんが、周囲のオナガガモ大群の喧騒に掻き消されて、私には聞き取れませんでした。

逃げた♀は少し飛んだだけですぐに同じ川へ着水し、♂による求愛の囲い込みが再開されます。
もしも場所を変えれば♀を取り囲む♂同士の順位(どれぐらい♀に近づけるか)もご破算になるのだとしたら、劣位♂にも再びチャンスが巡ってきますから、わざと♀を飛び立たせたのも作戦なのだろうと納得できます。
もう一つの可能性は、♂bと♀が元々仲が良くてつがい形成しそうだったのに、急に♀が他の魅力的な♂に乗り換えようとしたので、♂bが怒ってしまったのかもしれません。

それとも選り好みの激しい♀が♂同士を長々と競わせるので、いい加減早く相手を決めてくれよ…と♀に苛立ったのでしょうか。
そんなことをあれこれ妄想するほど、非常に興味深い事件でした。



つづく→川面でオナガガモ♀を囲い込んで求愛する♂の群れ(冬の野鳥)その3:少数♂による囲い込みの例

2020/06/20

交尾中のオオヒラタシデムシ♀♂が別れるまで



2019年8月中旬・午後15:30〜15:38・晴れ


▼前回の記事
交尾中のオオヒラタシデムシ♂が♀の触角を噛んで引っ張る性癖について

堤防上の細い砂利道で交尾しているオオヒラタシデムシ♀♂(Necrophila japonica)を見つけました。
前回の記事と同じ日にほぼ同じ場所で別の♀♂ペアaを続けざまに撮りました。

♀の背後からマウントした♂が♀の右触角に噛みついてグイグイ引っ張り、♀の体勢をしっかり保定しています。
触角を強く引っ張られた♀は首を右に曲げたままじっとしていますが、大顎を開閉しています。
(我々はどうしても♀を見て「苦しげな体勢」とか「DV(性的虐待)だ!」などと擬人化しがちですが、これがオオヒラタシデムシの交尾法なのです。)
交尾中の♂が♀の胸部を触角でやさしく撫でているのは宥めの信号を送っているのでしょう。

採寸代わりに1円玉を並べて置いてみました。
背面ではなく横から撮ると、♂が腹端を強く屈曲して♀に交尾器を結合している様子が見えました。

やがて、♀が交尾中の♂を背負ったまま前に歩き始めました。
立ち止まると♀は身繕いを始めました。
前脚の先を交互に舐めています。
♀はますます落ち着きがなくなり、ギクシャクと方向転換した拍子に♂の交尾器が外れました。
♂は慌てて再交尾を試みます。
マウントした姿勢で左右にガタガタ揺さぶっているのは、♀が♂を振り落とそうとしている交尾拒否行動なのか、それとも♂が交尾器を挿入する角度を調節しているのでしょうか?
♀の抵抗がますます大きくなると、遂に♂が諦めて♀の触角を口から離し、ペアを解消しました。

交尾直後の♂が一目散に走り去った姿には笑ってしまいました。
交尾を済ませると配偶者♀にはもはや未練は無いようで、♂は♀を残したままスタコラサッサと逃げていきます。
♀はしばらく路上で身繕いしてから、道端の草むらへ逃げ込みました。
空はよく晴れているのですが、現場が河畔林の小径なので、砂利道に落ちた木漏れ日がチラチラと動きます。

本種の交尾を最後まで見届けることができたのは今回が初めてです。
出歯亀(=私)に交尾をずっと撮られているのを嫌がって中断してしまった可能性もありますかね?
次に機会があれば、♀♂の出会いから交尾を始めるまでの過程(求愛行動)を観察してみたいものです。
交尾の所要時間はどのくらいなのでしょう?




2020/06/19

川面でオナガガモ♀を囲い込んで求愛する♂の群れ(冬の野鳥)その1:♂同士の喧嘩



2020年1月上旬・午後14:55頃・くもり

冬の川に集結したオナガガモ♀♂(Anas acuta)はあまりにも大群なので、求愛行動を観察したくても、どの個体に注目すべきか目移りしてしまいます。
しばらく眺めていると、複数の♂に囲まれて追い回されている地味な♀に注目すれば良いことが分かりました。

この動画では、川面を遊泳する1羽の♀に計8羽の♂が取り囲みながら並走し、求愛誇示を繰り返してしています。
この状態を「囲い込み」と呼ぶそうです。

『動物たちの気になる行動〈2〉恋愛・コミュニケーション篇 』という本(ポピュラー・サイエンス・シリーズ)に収められた、福田道雄『人前で求愛ディスプレイをするオナガガモ』がとても参考になりました。


囲い込み行動はオナガガモだけにみられるもので、他種のカモ類は行いません。オナガガモが多数飛来した水辺で、1〜2月ごろに注意深く観察していると、数羽以上の♂が一羽の♀を囲むようにして、追いかけながら泳いでいく光景がよくみられます。(中略)「囲い込み」が始まると、集まったメンバーはほとんど入れ替わることなく続けられます。その周囲に浮かんでいるカモたちは、この集団にほとんど関心を示さず、この一団だけがまとまって群れの中を移動して行くので、よく目立ちます。そしてこの集団の♂たちが、♀に対して求愛のディスプレイを繰り返し行います。(p22より引用)

囲い込む♂同士で頻繁に牽制しあい、嘴でつついて激しく攻撃しています。
まずは1/5倍速のスローモーションでご覧ください。
その後に等倍速でリプレイ。

♀の前に居た1羽の♂aが横のライバル♂bを急に嘴でつついて攻撃し、追い払いました。(@0:11)
やられた方も珍しく反撃し、大喧嘩になりました。
ライバル♂bが堪らず逃げ、♀から少し離れました。
喧嘩直後の♂2羽はともに尾羽根を左右に振りました。
続けて勝者♂aが川面で水浴びを始めました。(儀式的水浴びに続けて転移性羽ばたき)

その隙をついて別の♂cが♀に向き直ると接近し、首を伸ばして求愛しました。(漁夫の利?@1:03)
怒った♂aはライバル♂cの右脇腹を嘴で激しくつつき、そのまま相手を嘴でグーッと押し続けました。(@1:13)
どうやら今のところ♂aが最も喧嘩に強く、♀の一番近くの位置を死守しているようです。
ところが、せっかく♂aの優位性が決まりかけたのに、急に群れが一斉に飛び立ちました。
1/5倍速のスローモーションでリプレイしてみると、初めに♀が飛び立ち、♂も慌てて後を追って飛び去ったことが分かりました。
撮影に集中していた私は、群れがどうして急に飛び立ったのか理由が分かりませんでした。
川岸の通行人に警戒したのかと思ったのですが、その後も囲み込み求愛からの飛翔という行動を川のあちこちで何度も観察したので、どうやら♀が自発的に飛び去ったのだろうと分かりました。
本にもそのように書いてありました。(下線を引いたのは私しぐま)


 オナガガモの代表的なディスプレイには、つぎのものがあります。ただし多くの場合、一つのディスプレイは単独で行われることはなく、組み合わせられたり、一連の行動として行われます。
a あご上げ ― 攻撃と逃避の入り交じった気分を示すもので、♂・♀共に幼鳥時から行われる、生活するうえでの基本的なディスプレイです。
b げっぷ ― ♀にマウントしようとする意図が込められていて、♀の後方に近づいた♂がよく行います。嘴を引き、上げた頭を下げるときに「ピュー」という笛声を出します。
c 水はね鳴き ― 「げっぷ」のときよりも、♀から離れた位置で行われ、しかも、♀に対してどの方向からも行われます。前方に伸ばした嘴を引き寄せるときに嘴の先で水をはね上げ、頸(くび)が突き上げられたときに笛声を出します。
d そり縮み ― 「水はね鳴き」の後に続いて行われる、セットになったディスプレイです。オナガガモやコガモでは、引き上げられた尾の側面にある、下尾筒(かびとう)のクリーム色の羽部分が視覚的に強調されます。このディスプレイの後、目当ての♀のほうに嘴を向けます。
また、このようなディスプレイがみられる水辺では、「囲い込み」の一団が、♀を追って飛び立ち、飛行する光景もみられます。よく観察すると、♂たちは飛びながら、頸(くび)を動かしたり、胸をそらしていて、飛行時用に変形した前記の求愛ディスプレイをしていることがわかります。 (同書p27〜29より引用)

飛翔シーンのスローモーションを見直しても、♂が♀に求愛ディスプレイし続けていたかどうかまでは分かりませんでした。
飛び去る群れをしっかり流し撮りする必要がありそうです。
ビデオカメラも発達していない時代にここまで詳細に一連の求愛行動を記録した専門家(研究者)の観察眼に感服します。
大群の喧騒のせいで、求愛時の鳴き声(笛声)を聞き取ることはできませんでした。
オナガガモ観察歴の浅い私には、本に書いてあるほど細かい求愛行動はとても未だ見分けられません。
それでも野外でオナガガモの求愛行動が少しずつ分かってくると面白くなってきました。

♂にしつこくつきまとわれている♀が嫌がって(?)飛んで逃げても、♂は即座に飛び立ち一斉に追尾します。
どうしても擬人化したりヒトの心情を勝手に投影したりしがちですが、♀が本当に♂の求愛(セクハラ?)を嫌がっているかどうかは分かりません。
♀は交尾相手を決めるために何度も飛んで逃げて、付いて来れない♂を篩いふるい落としているのかもしれません。(♀による♂の品定め)

つづく→川面でオナガガモ♀を囲い込んで求愛する♂の群れ(冬の野鳥)その2:喧嘩に負けた♂が♀に八つ当たり




2020/06/18

オナガガモ(冬の野鳥)のラブコメ:♂aを追い払う♀に求愛する♂b



2020年1月上旬・午後15:15頃・くもり


▼前回の記事
川岸で配偶者♀を一途にガードするオナガガモ♂(冬の野鳥)

川岸にオナガガモ♀♂(Anas acuta)の群れが休んでいます。
水際に居た1羽の♀aが突然、目の前の♂aの尾羽根を嘴でつついて追い払ったので驚きました。
「邪魔だよ、どいてどいて」
♀から♂への攻撃はこれまで記憶にありません。
♂を追い払った♀は、コンクリート護岸に並んでいる群れの間に割り込みました。
背後から♀aに攻撃された♂aは反撃しませんでした。
不意をつかれて慌てて逃げた♂aは、少し離れたところで尾羽根を左右に震わせました。

そんな勝気な♀aを見て魅力的に感じる♂bが近くに居ました。

恋人と喧嘩別れしたときが求愛のチャンスだ!と思ったのかもしれません。
♀aとの間に別の♀が2羽並んでいたのに、それには目もくれず、♂bは回り込むとコンクリート護岸に佇む♀aの右横に割り込みました。
♂bは首をしゃくり上げるように伸ばして左横の♀aに見せつけました。(求愛誇示)
その後はしつこい求愛をしませんでした。
♀aも♂bに気があるのか分かりませんが、少なくとも攻撃はしませんでした。
すでにつがい形成したカップルなのかもしれません。

それまで岸でぼーっと立っていた♂aが歩き出すと、目の前の♀dに接近して嘴で軽く牽制しました。
なんとなく、この♂aは求愛下手な若い個体なのかな?と勝手に想像してしまいます。

オナガガモの大群が居ると、どの個体を観察しようかと目移りしてしまいます。
実は群れの中でもさりげない恋愛ドラマが絶えず繰り広げられているようで、注意して観察するとなかなか面白いです。
脚輪を付けて個体標識すれば、きっと更に面白くなりそうです。



つづく→川面でオナガガモ♀を囲い込んで求愛する♂の群れ(冬の野鳥)その1:♂同士の喧嘩

2020/06/13

川岸で配偶者♀を一途にガードするオナガガモ♂(冬の野鳥)



2020年1月上旬・午後15:20頃・くもり

オナガガモ♀♂(Anas acuta)の大群が川面だけでなく、一部は岸に上陸して休んでいます。
陸上で配偶者ガード(配偶者防衛)している♀♂カップルを見つけました。
オナガガモはとても分かりやすい性的二型なので、野外で配偶行動の観察がしやすくて助かります。

渥美猛『オナガガモの奇妙なつがい形成』によると、

鮮やかな羽毛に換羽した♂は、♀に気に入られようと、ポンプ、げっぷ、水はね鳴き、そり縮みといったさまざまな求愛行動をします。つがいになった♂と♀は、一定の距離を保って、寄り添うように行動します。(中略)つがい♂は、つがい♀に求愛したり、接近する他の♂に対して攻撃します。この行動を配偶者防衛行動と呼びます。 (上越鳥の会 編『雪国上越の鳥を見つめて』p126より引用)

♂は♀を獲得すると採餌に専念できるのです。(中略)攻撃する頻度が一番多いのはつがい♂です。攻撃される相手はつがい♀に近づく独身♂やつがいにうっかり近づく独身♀でした。つがい♀はつがい♂に守られているため攻撃される頻度はごくわずかでした。(同書p127より引用)

これは主に水面上で繰り広げられる配偶者防衛行動について記述したものですが、今回の観察で、陸上でも続けられることが分かりました。

陸上で寝ている地味な♀aの横に♂が歩いて来ると、並んで止まりました。
♀は薄目を開けて♂の様子をこっそり見ています。
♂は首を上下に伸縮し始めました。
♂に特有の白い首筋を♀にアピールする求愛誇示行動なのでしょう。
このとき小声で鳴いているかどうか気になったのですが、周囲の大群の鳴き声にかき消されてよく聞き取れませんでした。
♂は求愛の合間に羽繕いもしています。

驚いたことに、♂が求愛しながら♀に胸で軽く体当りしました。(@0:27)
「プロポーズしてるのに無視すんなよ!」という「構ってちゃん」なのかな?と、どうしても擬人化しそうになります。
驚いた♀は歩き出しました。
もしかすると、♂はパートナーの♀を群れから離れたどこか静かな場所に誘導し、交尾したいのかもしれません。
その後の様子を見ていると、♂aはライバル♂から♀aを少しでも遠ざけたいのだ、と分かってきました。
しかし♀aはすぐに立ち止まると、片足立ちで寝始めました。

その間♂は、近寄ってきたライバル♂を目掛けて突進すると、追い払いました。
すぐに♀の傍らに戻って来ると、♂は求愛を繰り返します。
ライバル♂が近づきそうになると、♀との間に割り込むように地面に座りました。

座位休息しながらも♂は眠らずに、首を上下に伸び縮みさせて横の♀に白い首筋を見せつけています。(求愛誇示)
♂がときどき尾羽根を左右に激しく振る行動も何か意味がありそうです。

寝ている♀の横で♂が再び立ち上がりました。
ライバル♂が目の前を横切ろうとするだけで、♂は突進して撃退します。
♀の傍に戻って来ると、♂は必ず首を伸ばして求愛を披露します。
尾羽根を左右に振りながら♂は♀の横に座り込み、羽繕いを始めました。

♂は座りながらも油断なく配偶者防衛を続けます。
♂がまたすぐに立ち上がると、♀に求愛を再開。
ライバル♂が目の前を横切ろうとすると、♂は突進して尻を激しくつつき、追い払いました。

注目している♀♂ペアの背後でも、別の♀♂ペアが同様の求愛誇示および配偶者ガードを繰り広げています。

配偶者防衛に奮闘する♂aをよそに♀aはのんびりと片足立ちで寝ていました。
ようやく♀が目覚めると、歩いて川の方へ移動し始めました。
慌てて♂は求愛しながら、ぴったりと♀の横を付いて歩きます。
護岸の水際までやって来ると、♀a♂aが並びました。
このとき、♂aが右隣の♀b(無関係の♀b)をつついて追い払ったので驚きました。(@4:20)
オナガガモの♂から♀への攻撃を見たのは初めてかもしれません。
繁殖期のオナガガモ♂はとても一途で、配偶者以外の♀には興味が無いのでしょうか?
それとも発情していない♀には用が無いので追い払ったのかな?
そして♂aは左隣りのパートナー♀aに求愛誇示を続けます。

一旦逃げた♀bが戻って来て同じ場所に割り込むと、そのまま川に入りました。
最後はオナガガモの群れ全体が何か(通行人?)に驚き、岸から川へ一斉に飛ぶと、大騒ぎしながら逃げて行きました。
せっかく長時間、配偶者ガードを続けたのに、♂がこの混乱でパートナー♀とはぐれたのではないか?と心配になります。
同種の大群の中からどうやってパートナーを互いに個体識別しているのでしょうか?

オナガガモの♂は♀が浮気しないように一瞬も気が休まらず、見ていて気の毒になるほどでした。
この時期の♂はほとんど不眠不休、飲まず食わずで配偶者防衛に専念するのですかね?(男はつらいよ)
しかし上記の本を読むと、私の印象とは異なり、研究結果は意外なものでした。

つがいを形成した♀は、配偶者防衛行動により、♂に守ってもらえるため餌をとることに専念でき、繁殖のための栄養源を確保できるというのが従来の説です。(中略)
 つがい形成は♂にメリットはあるのでしょうか。オナガガモの場合、♂はつがいになったほうが採餌に専念できます。つがいになることは、♂にとって♀を獲得できるという最大のメリットのほかに餌をたくさん食べられるというメリットがあります。越冬期にたくさん餌を食べ、栄養を蓄えた♂は渡りや繁殖において栄養不足の♂よりも有利と考えられます。(同書p127〜128より引用)
本の記述はつがいが完全に形成されて落ち着いた後の話で、私が見ていたのはその前の段階だったような気もします。

つづく→オナガガモ(冬の野鳥)のラブコメ:♂aを追い払う♀に求愛する♂b




【追記】
松原始『鳥類学者の目のツケドコロ』によると、♀は♀で次々と迫ってくる♂の相手をいなしたりかわしたりする必要があり大変なようです。
(カモ類の)♂がやっているのは、「まずは自分が♀をナンパする」「ナンパに成功したら他の♂がつきまとわないよう、ひたすら♀をガードする」という行動なのです。 もし、このようなガードがなかったら、♀はつきまとってくる♂を追い払うのに多大な時間とエネルギーを費やすことになります。こういった無法な♂どもが寄ってくることのストレスや行動の不自由も馬鹿になりません。論文でも文字通りに「ハラスメント」と表現されることがあります。その結果、♀の栄養条件や健康状態が悪化する例もあることが知られています。 (電子書籍版より引用)

カモの繁殖には大きな特徴があります。せいぜい産卵のあたりまで♂は♀を厳重にガードするが、その後は何もしない、ということです。(同書より引用) 






2020/06/10

訪花中のベニシジミにヒメウラナミジャノメが誤認求愛?



2019年6月中旬・午後15:40頃

川沿いの堤防に咲いたキリンソウの群落でヒメシジミ♂(Plebejus argus micrargus)とベニシジミLycaena phlaeas daimio)が仲良く並んで花蜜を吸っていました。

吸蜜中のヒメシジミ♂は青い翅表を全開にしていますが、ベニシジミは半開きだった翅を途中からしっかり閉じてしまいました。
右に居たヒメシジミ♂が先に飛び去った後で、ちょっとした面白い事件が起こりました。
まずは1/5倍速のスローモーションでご覧下さい。
その後に等倍速でリプレイします。

ヒメウラナミジャノメYpthima argus)が左から低空で飛来すると(@1:13)、一度は通り過ぎたのに戻って来ました。
そしてベニシジミの真上で激しく羽ばたいてホバリング(停飛)しました。
これは誤認求愛なのでしょうか?
所属する科も違うのに、たまたま翅を閉じていたベニシジミの翅裏の色合いや斑紋がヒメウラナミジャノメの目には同種の異性(他人の空似)に見えたのかもしれません。
急にちょっかいをかけられたベニシジミが飛んで逃げると、ヒメウラナミジャノメはすかさず追尾します。
しかしすぐに相手が別種だと気づいたようで、ヒメウラナミジャノメはどこかへ飛び去りました。
ベニシジミは一回り飛んだだけで、近くのキリンソウの花にすぐ舞い戻ってきました。
もし蜜源植物を巡る縄張り争いだとしたら、ヒメウラナミジャノメは戻って来たベニシジミを許さず執拗に追い払うはずです。

一瞬の出来事で、残念ながら私にはヒメウラナミジャノメおよびベニシジミの性別が見分けられません。
映像だけで性別が分かる達人がいらっしゃいましたら教えてください。
ヒメウラナミジャノメ♀♂の正常な求愛行動も未見です。


【追記】
かなり古い本ですが、『原色日本昆虫生態図鑑IIIチョウ編』(1972年)でヒメウラナミジャノメについて調べると、
樹林を好むジャノメチョウ科としては珍しく花によく集まり、(中略)♂は互いに追飛を行なうがなわばりはつくらない。交尾飛翔型は←♀+♂。(p243より引用)



ベニシジミ春型(左)+ヒメシジミ♂(右)@キリンソウ訪花吸蜜

2020/05/31

川面で周囲の♂を次々に追い払うマガモ♀(冬の野鳥)



2019年12月下旬・午後15:50頃・くもり

▼前回の記事
ライバル♂を♀から遠ざけるマガモ♂(冬の野鳥)

川面にマガモAnas platyrhynchos)の♂が3羽、♀が1羽、浮いています。
自由に遊泳して互いに位置を刻々と変えています。
♂同士が♀を巡って小競り合いするのは珍しくないのですが、今回は地味な♀が周囲の♂を追い払う行動が興味深く思いました。

♀が水面に嘴の先を漬けながら突進すると、進行方向で休んでいた♂が慌てて身を翻して逃げ出したのです。(@0:29)
別個体の♂も♀が横に並ぶとなぜか遠慮したように離れて行きました。(@0:42)
最後に残った♂とつがい形成済みなのかと思いきや、その♂の方に♀が向き直って牽制しただけで、♂は逃げ腰になりました。
とにかく「私に近づかないで!」という苛立ちのように見えました。
マガモの繁殖期のはずですが、この♀個体は未だ性的に成熟していなくて♂と交尾する気がない(発情していない)のでしょうか。
繁殖期になると♂共が求愛のためしつこく集まってくるので、♀は鬱陶しいセクハラに悩まされているのかもしれません。
♀はどの♂とつがいになるか決めかねているのかな?

他の解釈を無理やりひねり出してみると、♀が♂に求愛しても相手にされていない(もてない♀)という可能性もありますかね? 
あるいは川面の一定区画に♀の縄張りがあったりするのでしょうか?


2020/05/27

ライバル♂を♀から遠ざけるマガモ♂(冬の野鳥)



2019年12月下旬・午後15:56・くもり

夕方の川面にマガモAnas platyrhynchos)の♀♂ペアが2組浮いています。
♂は♀をガードするようにぴったり寄り添っています。
ライバル♂に♀が寝取られないよう厳重に配偶者防衛しているのでしょう。

♀aの横でガードしている♂aが、少し離れた所でのんびり羽繕いしていた単独♂bにスーッと向かって行き、相手♂bの尻を横から嘴で軽く突く素振りをしました。
大騒ぎするほどの攻撃ではありませんが、♂aに牽制された♂bは反撃せずにさりげなくその場を離れます。
その結果、むしろ♂bが♀aに近づいてしまったので、♂aは♀aの方へ慌てて戻りました。

社会的距離をあれほど保っていても嫉妬深い♂から牽制されるとは、ちょっと驚きでした。
たまたま虫の居所が悪かったのでしょうか?
それでもマガモは日が暮れると群れで集まって(カルガモとの混群)寝るはずなので、昼間よりも攻撃性や排他性が次第に低下すると思われます。


ランダムに記事を読む