ラベル 配偶行動 の投稿を表示しています。 すべての投稿を表示
ラベル 配偶行動 の投稿を表示しています。 すべての投稿を表示

2026/05/14

黄色型のモンキチョウ♀が♂と交尾中に同種および異種のあぶれ♂が誤認求愛

 

2024年4月下旬・午後12:40頃・くもり 

田園地帯の農道で交尾中のモンキチョウ♀♂(Colias erate poliographus)を見つけました。 
モンキチョウの♂は翅の色が常に黄色です。 
一方、♀は翅の色が白と黄色の2型ありますが、今回の個体は珍しく黄色型でした。 
(黄色型♀の交尾シーンは初見です。) 

 黄色い♀♂ペアが地上で交尾を始めた。 別個体も飛来して割り込もうとするが、諦めてすぐ飛び去った。

先を急ぐ用事があった私は、モンキチョウ♀♂が交尾を終えて別れるまで見届けられませんでした。 

農道で交尾するモンキチョウ♀♂ペアに別のあぶれ♂(独身♂)が横恋慕(求愛)していました。 
すでに交尾器を連結中なので、♀は交尾拒否姿勢を取れないようです。 
あぶれ♂は諦めて飛び去りました。 
続けてモンシロチョウ♂(Pieris rapae)が飛来したのも、モンキチョウ♀に対して誤認求愛したのでしょうか。 
モンキチョウのあぶれ♂およびモンシロチョウ♂によるモンキチョウ交尾♀への誤認求愛を1/5倍速のスローモーションでリプレイ。(@0:31〜1:53) 

モンキチョウの片方が羽ばたきながらパートナーを引きずって右へ右へと移動しようとしています。 
ようやくモンキチョウ♀♂が落ち着くと、私がそっと近づいて接写しても逃げませんでした。 
翅の色が共に黄色なので、私には性別が見分けられません。 
体格に差がありますが、必ずしも♂<♀とは決めつけられません。 

農道で交尾ペアが留まったシロツメクサ(クローバー)の葉は、モンキチョウ♀が産卵する食草(マメ科植物)でもあります。 

モンキチョウ♀♂の連結飛翔を撮りたくて、私が翅に軽く触れても、飛び立ってくれませんでした。 
小型の♂?が羽ばたいても、♀?は動じません。 
一旦交尾を始めると、忘我の境地で鈍くなるのかな? 
翅を広げたり羽ばかせたりしても、交尾器の結合部は見えませんでした。 




【考察】 
初めはPerplexity AIを使って調べ物をしていたのですが、専門的な細かい点で誤りがあったので、ChatGPTに切り替えました。 

Q1: モンキチョウの♀成虫は翅の色に黄色と白の二型がある。それぞれの出現頻度を教えて。

A1: モンキチョウの♀成虫に見られる黄色型(andromorph)と白色型(alba型)の出現頻度については、地域や個体群によって多少変動しますが、野外調査に基づくデータではおおよそ次のように整理できます。

代表的な報告例(日本の個体群)

  • 黄色型:15%未満(=少数派)

  • 白色型:85%以上(=多数派) (CiNii)

つまり、日本の多くの調査では
白色型が圧倒的に多く、黄色型は少数(およそ1割前後)
という比率になっています。


補足(解釈)

  • 白色型(alba型)は遺伝的に決まる形質で、エネルギー配分(翅の色素 vs 卵形成)と関係することが知られています。

  • 地域差や季節差はあるものの、「黄色型が優勢になる」ような極端な逆転は通常見られません。

  • 別資料でも「黄色型(andromorph)は低頻度」と繰り返し報告されています。 (KAKEN)



Q2: モンキチョウ成虫の性別を生かしたまま識別する方法は?


A2: モンキチョウ(モンキチョウ)の成虫を生かしたまま識別するには、野外観察でも使える外見形質がいくつかあります。捕獲してもダメージを与えずに確認できる範囲に限ると、主に次の方法です。


1. 翅色(最も実用的)

  • :基本的に鮮やかな黄色一色

    • 黄色型(♂に似るがややくすむことが多い)

    • **白色型(アルバ型)**が存在(これが決定的)

白い個体は確実に♀
→ ただし黄色い個体は♂か♀か判別が必要


2. 前翅外縁の黒帯の様子

翅を広げた状態で確認できます。

  • :黒帯が連続してはっきり太い

  • :黒帯が途切れがち(中に黄色や白の斑点が入り込む)

→ 黄色型♀と♂の識別で特に重要


3. 体の印象(補助的)

  • :やや小型で引き締まった印象

  • :やや大型でふっくら

→ 個体差が大きいので単独では不確実


4. 行動(参考程度)

  • :活発に飛び回り、他個体を追う(探索行動)

  • :産卵場所(マメ科植物)周辺でゆっくり飛ぶことが多い

→ 状況証拠にはなるが決定打ではない


現場での実際的な判別手順

  1. まず色を見る

    • 白 → 即♀

  2. 黄色なら

    • 翅の黒帯が「連続か/斑入りか」を確認



Q3: モンキチョウの翅の大きさ(前翅長や開張など)に性差はあるか? 例えば、翅が大きい個体は♀だろうと推定できるか?

A3: 結論から言うと、モンキチョウ(モンキチョウ)には弱い性的二型(♀のほうがやや大きい傾向)はあるものの、翅の大きさだけで性別を推定するのは実用的ではありません

大きさの性差(一般傾向)

  • :平均すると♂よりわずかに大きい

  • :やや小型

これは多くのチョウで見られる「産卵に関わる体サイズ増大」という一般傾向と一致します。


しかし識別には使えない理由

1. 個体差が大きすぎる

同じ性でも、

  • 栄養状態(幼虫期の餌)

  • 世代(春型・夏型)

  • 環境条件(気温など)

によってサイズがかなり変動します。

小さい♀や大きい♂は普通に存在する


2. 分布が大きく重なる

例えば前翅長や開張は、

  • ♂の上限と♀の下限が大きく重複

→ 「大きいから♀」という判定は統計的にほぼ成り立たない


3. 測定自体が現場では不安定

生体で正確に前翅長や開張を測るのは難しく、

  • 翅の開き具合

  • 個体の動き

などで誤差が大きくなります。


実用的な結論

  • 翅サイズ → 性判定には使わない

  • 代わりに:

    • 白色型 → ♀確定

    • 黒帯の連続性 → ♂/♀識別


研究的には?

統計的処理(多数個体の平均比較)では性差は検出できますが、
単一個体の識別指標としては無効という位置づけです。



Q4: 翅が黄色いモンキチョウ♀はandromorphと呼ばれるとのことだが、生殖器も雄化している訳ではありませんよね?


A4: 結論から言うと、その理解で正しいです。

モンキチョウ(モンキチョウ)の黄色い♀(いわゆる andromorph)は、外見(翅色や斑紋)が雄に似るだけで、生殖器は完全に雌型のままです。


andromorph の意味(この場合)

ここでの andromorph

  • 「雄に似た外見をもつ雌」
    という表現型レベルの用語であり、

  • 性染色体

  • 内部生殖器

  • 配偶子形成

といった性そのものが雄化していることは意味しません


生殖器について

モンキチョウの黄色型♀は

  • 交尾・産卵が可能

  • 卵巣・輸卵管などの構造も正常な雌型

つまり**機能的にも完全な♀**です。


何が「雄に似ている」のか

主に以下の点だけです:

  • 翅の地色が黄色(通常の♀は白色型が多い)

  • 外見が♂に近い

※ただし、黒帯のパターンなどは依然として♀的特徴を残します


補足(やや重要な背景)

白色型(alba型)と黄色型の違いは

  • 色彩だけでなく資源配分(色素 vs 卵形成)
    にも関係することが知られており、

これは

  • 性の転換ではなく

  • 雌内の戦略的多型(polyphenism / polymorphism)

と理解されています。


まとめ

  • 黄色い♀=andromorph

  • 外見のみ雄に類似

  • 生殖器は雌のまま(雄化していない)

  • 繁殖能力も通常の♀と同様にある



Q5: なぜこのような“雄に似た雌”が維持されているのか、進化的意味を説明して。

A5: では、モンキチョウ(モンキチョウ)において、なぜ「雄に似た雌(andromorph)」が進化的に維持されているのかを、研究で支持されている枠組みに沿って整理します。

基本構造:単なる色違いではない

まず重要なのは、
黄色型(andromorph)と白色型(alba morph)は“色彩多型”であると同時に、“生活史戦略の違い”でもあるという点です。


1. 資源配分のトレードオフ

最もよく知られている説明です。

  • 黄色型:

    • 翅にカロテノイド色素を沈着

    • 翅の発色に資源を使う

  • 白色型(alba):

    • 色素をほとんど使わない

    • 節約した資源を卵形成に回す

結果として:

  • alba型:成熟が速く、産卵開始が早い傾向

  • 黄色型:成熟がやや遅いが、別の利点を持つ

単純な優劣ではなく、戦略の違い


2. 雄の配偶者選択(性的選択)

雄は雌を視覚的に探します。

多くの研究で示唆されている傾向:

  • ♂は白色型(alba)をより好む場合がある

すると:

  • alba型:交尾機会が増える(利点)

  • 黄色型:やや不利

→ それでも黄色型が消えない理由が次に重要


3. 「雄に似ること」の利点(性的ハラスメント回避仮説)

黄色型♀は外見が♂に似るため:

  • ♂からの過剰な求愛・追跡を受けにくい

これには明確なコストがあります:

  • 追跡されると

    • 採餌時間が減る

    • 捕食リスクが上がる

    • 産卵効率が落ちる

→ 黄色型♀は
「交尾機会はやや減るが、行動の自由度が高い」


4. 頻度依存選択

ここが維持機構の核心です。

  • alba型が多いと:

    • ♂は白を狙う → 黄色型は「見逃される」利点が増す

  • 黄色型が増えると:

    • ♂が識別を変える → 利点が減る

どちらか一方に固定されず、一定割合で共存

これは
frequency-dependent selection
の典型例です。


5. 環境条件によるバランス変化

さらに、

  • 気温

  • 栄養状態

  • 個体密度

などによって、

  • どちらの戦略が有利かは変動します

完全な固定比率にはならない


まとめ(構造的理解)

モンキチョウの♀多型は:

  • alba型:

    • 早熟・高繁殖

    • ただし♂に見つかりやすい

  • 黄色型(andromorph):

    • 繁殖開始はやや遅い

    • ただし♂の干渉を回避しやすい

この

  • 資源配分

  • 性的選択

  • 行動コスト

  • 頻度依存

が組み合わさって、
両タイプが進化的に安定して維持される


Q6: 野外で興味深い事例を観察した。モンキチョウの黄色型♀(andromorph)と♂が地上で交尾していると、あぶれ♂が飛来して、交尾中の黄色型♀に求愛した。続いて、モンシロチョウ♂も飛来して、誤認求愛した。これまでの理論的解説と整合するか?


A6: 結論として、その観察は先ほどの枠組みと矛盾せず、むしろ補強的に解釈できます。

対象はモンキチョウ(モンキチョウ)の黄色型♀(andromorph)ですね。


1. 「ハラスメント回避」は確率の問題

理論で言う利点は

  • 平均的に求愛・追跡を受けにくい

というものであって、

  • 完全に回避できることは意味しません

今回のように

  • 交尾中(=動きが制限される)

  • 地上で目立つ状況

では、むしろ誤認リスクが上がるのは自然です。


2. 交尾中という特殊条件

交尾中の個体は

  • 姿勢が通常と異なる

  • 行動が不自然(静止・もつれた形)

ため、視覚的手がかりが変化します。

→ ♂にとっては

  • 「性別識別よりも“交尾対象らしきもの”」として検出される

可能性が高い


3. “あぶれ♂”の行動特性

未交尾の♂は一般に

  • 反応閾値が低い(多少あいまいでも接近・求愛)

  • 誤認コストより機会損失を嫌う

→ 結果として
誤認求愛は一定頻度で起きるのが前提


4. 異種(モンシロチョウ)による誤認

モンシロチョウ(モンシロチョウ)♂の関与は興味深い点です。

これは:

  • 種識別も完全ではない

  • 特に

    • 小型の白〜黄系のチョウ

    • 地表付近での静止個体

誤認されやすい

ことを示しています。


5. 理論との整合性

今回の観察はむしろ次を支持します:

  • 黄色型♀の利点は
    → 「完全な不可視化」ではなく
    平均的な検出率低下

  • ♂の探索行動は
    ノイズ(誤認)を含む確率的プロセス

  • したがって
    誤認求愛は系の“正常な振る舞い”の一部


6. もう一歩踏み込むと

今回の状況は

  • 通常:黄色型♀は「見逃されやすい」

  • 例外:交尾中などでは「むしろ目立つ」

という

文脈依存のシグナル効果

を示唆しています。


まとめ

  • 観察された誤認求愛は理論と矛盾しない

  • むしろ

    • 識別の不完全性

    • 行動の確率性

    • 状況依存性
      を具体的に示す好例


もし記録としてまとめるなら、

  • 「交尾中個体への誤認求愛」

  • 「異種♂による接近」

は短報レベルでも価値のある観察です。


Q7: あぶれ♂からの求愛が起きたのは、交尾中のモンキチョウ♀♂ペアが地上で羽ばたきながら歩き回っていたときです。交尾ペアが落ち着くと(静止して翅をしっかり閉じると)、あぶれ♂を誘引しなくなった印象です。交尾ペアが静止した場所はシロツメクサの葉の上で、保護色という訳ではありませんでした。つまり、色彩的に目立たなくなった訳ではない。


A7: その追加観察は、先ほどの説明とよく整合しますし、むしろ**鍵になっているのは色ではなく「運動シグナル」**だと解釈すると筋が通ります。対象はモンキチョウ(モンキチョウ)ですね。


観察のポイント整理

  • 交尾ペアが地上で羽ばたきながら歩行
    → あぶれ♂が飛来・求愛

  • ペアが静止し、翅を閉じる
    → 誘引が止む

  • 背景(シロツメクサ上)での色彩的な隠蔽は起きていない


解釈:視覚探索は「動き優先」

多くの昼行性チョウの♂は、配偶者探索において

  • 色や斑紋よりも

  • 動き(特に羽ばたきによるフリッカー)

に強く反応します。

今回の状況では:

1. 羽ばたき+不規則運動が「検出トリガー」

交尾中ペアの

  • 断続的な羽ばたき

  • 地表での不規則な移動

が、♂にとっては

  • 「近距離にいる飛翔個体(=潜在的な雌)」
    として検出されやすい刺激になります。


2. 静止でシグナルが消える

静止して翅を閉じると:

  • フリッカー(明滅)が消失

  • 輪郭変化も最小化

→ ♂の検出系に引っかからなくなる

ここでは色が目立つかどうかは二次的です。


andromorphとの関係

黄色型♀(andromorph)は

  • 静止時・通常飛翔時には
    → ♂からの検出率がやや低い(平均的な利点)

しかし今回のように:

  • 強い運動シグナルが出ている状況では
    → その利点はほぼ無効化される


異種誤認(モンシロチョウ)の説明

モンシロチョウ(モンシロチョウ)♂の飛来も同じ枠組みで説明できます。

  • 種識別の前段階で
    → 「動く小型鱗翅目」を検出

  • その後に近接して
    → 誤認のまま接近・求愛

つまり

  • 初期検出はかなり粗いフィルター


理論との対応づけ

この観察は次の点を具体的に裏付けます:

  • 「雄に似ること」の利点は
    視覚探索の初期段階における検出率低下

  • ただし
    強い運動刺激があると上書きされる


もう一段抽象化すると

♂の探索は二段階モデルで理解できます:

  1. 検出(detection)

    • 主に動き依存

  2. 識別(recognition)

    • 色・パターン

今回のケースは:

  • 検出が過剰に起きる
    → 識別が追いつかず誤認接近


まとめ

  • 誘引の有無は色ではなく運動状態で切り替わっている

  • andromorphの利点は状況依存的(特に静止・通常飛翔時)

  • 観察は「動き優先の視覚探索モデル」とよく一致



Q8: 同じシロチョウ科でも、モンシロチョウは紫外線で見たときに翅の斑紋に明確な性差があり、配偶行動に関与しています。モンキチョウは、自然光下では翅色に黄色や白の二型があってヒトにも区別しやすいのだが、紫外線下ではどう見えているか?


A8: 結論から言うと、モンキチョウ(モンキチョウ)はモンシロチョウほど明瞭な「紫外線での性差シグナル」を持つタイプではなく、UV域では“強い性差”よりも“雌の型間差(alba vs 黄色型)”が主に効いていると考えられています。


1. UVでの基本的な見え方(概略)

  • ♂(黄色):UV反射は弱い〜中程度(強く光るタイプではない)

  • ♀・黄色型(andromorph):♂にかなり近い反射特性

  • ♀・白色型(alba)UV反射が相対的に強い(明るく見える)

→ 人間の可視光での「白/黄」の差は、UV域では
**「albaがより明るい個体」対「それ以外(やや暗め)」**というコントラストに置き換わるイメージです。


2. 性差より「型差」が前面に出る

モンシロチョウ(モンシロチョウ)では

  • UVパターンが性識別シグナルとして強く機能

ですが、モンキチョウでは

  • ♂ vs ♀(黄色型)の差は小さい

  • alba型だけが明確に異なる

という構図です。

→ したがってUV視では
「雌の中の多型(albaか否か)」の識別がしやすい


3. 配偶行動との関係

実験的には、

  • ♂は視覚的に雌を探索するが

  • UV単独で厳密に性判定しているわけではない

と解釈されています。

むしろ:

  • 運動(飛翔パターン)

  • サイズ

  • 距離依存の色手がかり(可視+UVの合成)

を組み合わせた多要素識別です。


4. あなたの観察との整合

前の事例(交尾ペアに対する誤認求愛)とも整合的です:

  • 初期検出:動き優先(UVは補助的)

  • 近距離識別:色・パターン(可視+UV)

→ UVに明確な性差がないため
誤認(同種内・異種間とも)が一定頻度で起きる余地がある


まとめ

  • モンキチョウはUVでの強い性差シグナルを持たない

  • 代わりに

    • alba型のみがUVで際立つ

  • ♂はUVを含む複合的な視覚情報で雌を識別している




Q9: なぜColias属ではUVよりも色素多型(alba戦略)が前面に進化したのか、比較進化の観点で説明して。


A9: では、モンキチョウを含む Colias 属(ここでは代表として モンキチョウ)で、なぜ「UVシグナル」よりも「alba型という色素多型」が進化の前面に出たのかを、機能・制約・選択圧の組み合わせとして整理します。


1. 出発点:2つの戦略は競合する

大まかに言うと、雌の翅は

  • A:視覚シグナルとして最適化(例:UV反射を強める)

  • B:資源配分を繁殖に最適化(色素を節約=alba)

というトレードオフ関係にあります。


2. Colias の核心:カロテノイドという制約

Colias の黄色は主にカロテノイド色素です。

  • カロテノイドは

    • 抗酸化

    • 免疫

    • 卵形成
      などにも使われる有限資源

ここで重要なのは:

翅を黄色くする=生理的に有用な資源を消費する


alba戦略の本質

  • 色素沈着を抑える(白く見える)

  • 浮いた資源を卵生産へ再配分

これは単なる色違いではなく、
生活史戦略そのものの分岐です。


3. なぜUV強化に行かなかったのか

(1) UVは「節約」にならない

UV反射は主に

  • 鱗粉の微細構造(構造色)

  • または特定の色素配置

によって生じますが、

資源節約には直結しない

つまり

  • UV強化:配偶シグナルの改善

  • alba:繁殖投資の増大

で、利益の質が違う


(2) 雌側の選択圧が強い

Colias では進化の主戦場が

  • ♂の選好(性的選択)よりも

  • ♀の資源配分(自然選択)

に寄っていると考えられます。

結果:

  • 「より多く産む」戦略(alba)が強く効く


(3) ♂の識別が“粗くても成立する”

前の観察とも関係しますが、

  • ♂の探索は

    • 動き依存

    • 近距離で補完的識別

高精度なUV性識別に強く依存していない

そのため

  • UVで明確に区別できる必要性が低い


(4) 頻度依存選択との相性

alba vs 黄色型は

  • 頻度依存選択(先ほどの話)

で維持されます。

ここで重要なのは:

  • 「雄に似る」ことでハラスメント回避

  • ただし増えすぎると効果が薄れる

動的に安定する多型

一方、UV性差は

  • 固定的なシグナルになりやすい


4. モンシロチョウとの対比

モンシロチョウ(モンシロチョウ)では:

  • 翅は主にプテリン系(資源制約の性質が異なる)

  • 雌はUVで明確に識別される

  • 性的選択(識別精度)が重要

対して Colias は:

  • カロテノイド依存

  • 資源配分がボトルネック

  • → 色彩がそのまま「戦略の指標」になる


5. まとめ(進化的ロジック)

Colias で alba戦略が前面に出た理由は:

  1. カロテノイドが生理的に重要な有限資源

  2. 色素削減が直接的に繁殖成功に結びつく

  3. ♂の識別は高精度である必要がない

  4. 多型は頻度依存選択で維持される

→ 結果として
「信号(UV)を洗練する進化」よりも
「資源配分を最適化する多型進化」が優勢になった



Q10: モンキチョウ♀の黄色型(andromorph)の出現率は、理論的な遺伝子型では1/4=25%のはずだが、野外で実際に採集すると表現型として15%未満とさらに低くなっているのはなぜか?


A10: 結論から言うと、1/4(25%)という値は「単純なメンデル遺伝だけを仮定した場合の期待値」に過ぎず、野外ではその後にかかる複数の選択・バイアスで“黄色型♀(andromorph)”の見かけ頻度が下がると考えるのが自然です。対象はモンキチョウ(モンキチョウ)。


1) 25%は“特定条件下の交配”での期待値

alba 多型は大まかに「雌で発現する遺伝的多型(雌限定発現)」として説明されますが、常に Aa × Aa がランダムに起きるわけではありません。

  • 集団内の対立遺伝子頻度が 0.5 でない

  • 交尾が無作為でない(後述の♂の選好)
    などにより、遺伝子型比自体が25%から外れるのが出発点です。


2) 性的選択:♂の選好が黄色型♀を減らす

多くの研究で、♂は白色型(alba)を相対的に受け入れやすい/見つけやすい傾向が示唆されています。

  • 黄色型♀は交尾成立率がやや低い
    → 次世代にその遺伝子が残りにくく、集団頻度が押し下げられる


3) 自然選択:生活史の差(資源配分)

alba は色素(カロテノイド)を節約して卵形成に回すため、

  • 成熟が早い・初期産卵が多い
    といった利点が出やすい。
    一方、黄色型♀はその分だけ初期繁殖で不利になりやすい。

→ とくに季節が短い環境では、この差が効いてalbaが増えやすい


4) 行動生態:ハラスメント回避の利点は“条件付き”

黄色型♀の利点(♂に似て見つかりにくい)は

  • 個体密度

  • 行動状態(飛翔・静止・交尾中)
    に依存します。
    あなたの観察のように強い運動シグナルが出る場面では利点が消えるため、
    年間平均では利点が相殺されやすい


5) 頻度依存選択での平衡点

この多型は frequency-dependent selection により維持されますが、

  • 平衡点は25%に固定される必要はない

  • 性的選択+生活史の利得がalba側にやや強ければ、
    黄色型♀は10~20%程度に落ち着くことは十分あり得る


6) 観察・採集バイアス

野外での「見かけ頻度」には系統的なバイアスも入ります。

  • alba は発生・活動時期がやや早い → 採集時期で過大評価されやすい

  • 行動差(飛翔高度・滞在場所)

  • 視認性(白は見つけやすい/条件により逆も)
    実頻度よりさらに黄色型が少なく見えることがある


まとめ

  • 25%は単純モデルの期待値に過ぎない

  • 野外では

    1. ♂の選好(性的選択)

    2. albaの生活史的優位(自然選択)

    3. 条件付きのハラスメント回避

    4. 頻度依存選択の平衡

    5. 観察バイアス
      が重なり、
      黄色型♀はしばしば15%未満に落ち着く



Q11: モンキチョウ♂は、求愛相手の黄色型♀(andromorph)が♂ではなくて♀であることをいつ知るのか? 触れてみて初めて♀だと確信し、交尾行動へと移行するのか? じっくり時間をかければ視覚情報だけで識別できるのか? 性フェロモンのような化学情報は関与しているか?


A11: 結論を先に言うと、モンキチョウ(モンキチョウ)♂の配偶者認識は**単一の手がかりではなく段階的(多モーダル)**で、

**「遠距離=主に視覚(特に動き)→近距離=視覚の精査+化学・接触情報」**という流れで確度を上げていきます。
したがって andromorph(黄色型♀)を“いつ確実に♀と知るか”は一時点ではなく、段階的に確信が高まると考えるのが妥当です。


1) 遠距離(検出・接近):まずは動き主導

  • ♂は羽ばたきによるフリッカーや飛翔運動に強く反応して接近します。

  • この段階の識別は粗く、性別・種の誤認が起こり得る(あなたの観察と一致)。

  • andromorph は外見が♂に近いため、この段階では見逃されやすいが、動きが強いと上書きされる。


2) 近距離(追尾・定位):視覚の精査+接触の準備

  • 追尾中に翅のパターン・サイズ・飛び方などを追加的に評価。

  • ただし Colias は、モンシロチョウのようにUVで明確な性差を使うタイプではないため、
    視覚だけで完全に確定するとは限らない(誤認追尾が残る余地)。


3) 直前〜接触(最終判定):化学・接触情報が効く

  • 多くのチョウと同様、短距離の揮発性物質やクチクラ炭化水素(体表化学)、さらに**触角・脚での接触(tasting)**が関与すると考えられます。

  • この段階で不適切(♂や他種)なら離脱、適切なら交尾行動へ移行

  • 実際、他♂への誤認接近が接触前後で解消されることは一般的に観察されます。


4) 「触れて初めて確信か?」への答え

  • 極端に言えば**“触れてからが最終確定”に近いですが、
    それ以前にも
    確率的なふるい分け(視覚)**が働いています。

  • したがって

    • 視覚だけで十分に絞り込める場合もあるが

    • 最終的な可否判断は近接・接触情報で確定
      という理解が現実的です。


5) フェロモン(化学情報)の位置づけ

  • Colias で「長距離から強く引き寄せる雌フェロモン」が主役という証拠は強くなく、
    主導は視覚です。

  • ただし近距離での受容・拒否の判断に化学情報が関与する可能性は高い(完全に無関与とは考えにくい)。


6) andromorph特有の含意

  • andromorph は遠距離の誤検出を減らす(平均的な利点)一方、

  • 強い運動シグナルや交尾中の異常姿勢ではその利点が崩れ、誤認接近が増える。

  • しかし最終段階(近接・接触)で多くは是正されるため、系全体としては破綻しない。


まとめ

  • ♂は
    動きで見つけ → 視覚である程度絞り → 近接・接触(+化学)で確定
    する。

  • andromorph の「雄様外見」は主に初期検出段階に効き、

  • 最終的な性判定は近距離情報で担保される。


この枠組みで見ると、あなたの観察(動いているときだけ誤認求愛が起き、静止で止む)は、初期検出が運動に強く依存し、最終判定が近距離で行われることをきれいに示しています。


Q12: すでに交尾器を結合した状態の♀♂ペアに対して、後から来たあぶれ♂が求愛しても、蝶の場合は♀を強奪できるはずがない。なぜ無駄な求愛をするのか?


A12: 結論から言うと、あぶれ♂の「無駄」に見える求愛は、認識の制約と意思決定のコスト構造から自然に生じる行動です。完全に合理的(ゼロ誤認)に振る舞うより、多少の誤認を許してでも機会を取りに行く方が総合的に有利になります。対象はモンキチョウ(モンキチョウ)。


1) 検出は“粗いフィルター”で行われる

♂の探索はまず

  • 動き(羽ばたきのフリッカー)
    でトリガーされます。
    この段階は誤検出を許容する設計で、

  • 性別・種・交尾状態まで厳密に見分けてから接近する
    よりも、見つけたらとりあえず近づく方が機会損失を減らせます。


2) 交尾ペアは“超刺激(supernormal stimulus)”になりやすい

地上で羽ばたきながらもつれた2個体は

  • フリッカーが強い

  • 輪郭変化が大きい
    という点で、単独の雌よりも強い運動シグナルを発します。
    → ♂の検出系を過剰に駆動し、接近・求愛を引き起こす。


3) “交尾中かどうか”は遠距離では判別しにくい

  • 交尾器の結合は近接・接触レベルの情報

  • 遠距離では姿勢や個体数の異常としてしか見えない

したがって、♂は

  • まず接近 → 近距離で評価 → 不適なら離脱
    という段階的判断を取ります。


4) 誤認のコストは低く、見逃しのコストは高い

意思決定の非対称性が重要です。

  • 誤って接近するコスト:飛行エネルギーと時間(比較的小さい)

  • 本物の未交尾♀を見逃すコスト:交尾機会の喪失(大きい)

→ 進化的には**低閾値で反応(=誤認多め)**が有利。


5) andromorphの利点は“平均的”で、強い運動で上書きされる

黄色型♀(andromorph)は通常

  • ♂に似て検出されにくい
    が、今回のように

  • 強い運動シグナル(交尾中の羽ばたき)が出ると
    → その利点は上書きされ、誤認接近が増える。


6) なぜ「交尾中の個体に求愛」が残るのか

一見無駄でも、以下の理由で淘汰されにくい行動です。

  • 検出→接近→近距離評価という段階設計では、
    交尾中かどうかを“遠距離で完全に弾く”のが難しい

  • そのため、一定頻度で

    • 交尾ペア

    • 異種個体
      に対する誤認接近(ミス)は不可避

  • しかしそのコストは小さいため、行動様式として維持される


まとめ

  • あぶれ♂の求愛は「無駄」ではなく、
    誤認を許容して機会損失を最小化する戦略の副産物

  • 交尾ペアは強い運動シグナルで過検出されやすい対象

  • 最終的な不適合は**近距離で解消(離脱)**される


あなたの観察は、

  • 「動きが検出を支配する」

  • 「交尾状態は遠距離では判別されない」
    という点を非常に分かりやすく示しています。


Q13: モンシロチョウの配偶行動を扱った書籍は多いが、モンキチョウの配偶行動を扱った本や総説がなかなか見つからない


A13: これはかなり本質的な問題で、結論から言うと:

**「モンキチョウの配偶行動を体系的にまとめた“本”が少ないのは正常で、研究は主に個別論文として蓄積されている」**という状況です。


なぜ本が見つからないのか

1. 研究単位が「種」ではなく「理論」だから

モンシロチョウ(モンシロチョウ)は

  • 教科書的モデル種として扱われやすく

  • 紫外線シグナルなど「分かりやすいテーマ」がある

一方、モンキチョウ(モンキチョウ)は

  • 性的対立

  • 資源配分(alba多型)

  • 頻度依存選択

といった進化理論の事例として分散的に扱われる

→ その結果:

  • 「モンキチョウの配偶行動」という単独テーマの本は出にくい


2. 実際の研究は論文単位で非常に豊富

例えば:

  • ♂の求愛行動の詳細
    → ホバリング→接触→交尾という段階構造 (BioOne)

  • ♀の交尾経験による♂の選好変化
    → 黄色型・白色型への訪問や持続時間の違い (CiNii)

  • 拒否姿勢が出せない♀への♂の行動
    → 多数の♂が接近するが短時間で離脱するなどの動態 (J-STAGE)

  • morph間の繁殖成功や交尾頻度
    → albaと黄色型で差がある (バイオダイバーシティヘリテージライブラリー)

→ つまり
内容自体は十分に解明されているが、断片的に論文化されている


3. 「本」にまとまるテーマではない

モンキチョウの研究は

  • 配偶行動

  • 色彩多型

  • 生理学

  • 遺伝

  • 生態

が強く絡むため、

→ 単独種の行動本ではなく
「性的選択」「生活史進化」などの総説書に分散して収録される


4. 例外的に存在する“半まとまった資料”

完全な専門書ではないが:

  • 「モンキチョウの交尾行動」を扱った解説記事(渡辺守) (J-GLOBAL)

→ こういう形で部分的にまとまることはある


実務的な対処法(重要)

もし「体系的に理解したい」なら:

① キーワードで論文を束ねる

  • Colias erate courtship

  • alba polymorphism Colias

  • mate choice Colias

→ これでかなり全体像が見える


② 近縁種を含めて読む(非常に重要)

Colias 属全体で見ると:

  • Colias eurytheme
    などで

  • フェロモン

  • UV

  • 性的選択

の研究が豊富

行動の基本構造はかなり共通


③ 理論書で補完する

  • 性的対立

  • 頻度依存選択

→ モンキチョウは具体例として断片的に登場


まとめ

  • モンキチョウ単独の配偶行動本が少ないのは異常ではない

  • 研究はむしろ豊富で、論文として分散している

  • 全体像は
    複数論文+理論書で再構成するタイプのテーマ


補足(あなたの観察との関係)

むしろ今回のような

  • 交尾中個体への誤認求愛

  • 異種まで含む誤認

といった現象は、

既存の論文をつなぐ“隙間”にある観察で、
こういう記録がまとまっていないのも、上の構造の結果です。


必要なら、「最低限これだけ読めば全体像がつかめる論文セット」を具体的に選んで提示できます。



【アフィリエイト】 
チョウの生態「学」始末 共立スマートセレクション 
 ・博士の愛したジミな昆虫 (岩波ジュニア新書)

2026/05/11

雪原の営巣地で朝に日光浴する合間に巣口の雪かきをするホンドタヌキ♀♂【トレイルカメラ】

 



2025年2月中旬・午前8:10〜8:30頃

雪深い休耕地でホンドタヌキNyctereutes viverrinus)の家族が越冬する営巣地を自動撮影カメラで見張っています。 


シーン1:2/15・午前8:09・晴れ・気温7℃(@0:00〜) 
おそらく出巣直後と思われる♀♂ペアが、前足で巣口の雪かきをしています。 
外に出てくると、身震いしました。 


シーン2:2/15・午前8:11・晴れ(@1:00〜)
タヌキのペアが巣口で互いに逆方向(左右)を向いて佇んでいます。 
周囲を警戒しつつ、日向ぼっこしているのでしょう。 
やがて右の個体が欠伸をしましたが、口から出る白い湯気は見えませんでした。 (気温が高かったせいでしょう。) 
逆方向を向いているパートナーに欠伸は伝染しませんでした。 

しばらくすると、左の個体が身震いしました。 


シーン3:2/15・午前8:13・晴れ(@2:01〜)
休憩が終わり、玄関(巣口)の雪かきを再開。 
前足で積雪を後方に勢い良く跳ね上げています。 
除雪作業の合間に身震いしました。 


シーン4:2/15・午前8:16・晴れ(@3:01〜)
ペアのうち1頭が雪原を右下手前へ歩き出しました。 
凍った雪面には新雪がうっすらと積もっていて、タヌキが歩くと足跡が残ります。 
林縁で立ち止まって振り返っても、パートナーは付いて来ません。 


シーン5:2/15・午前8:18・晴れ(@4:02〜)
結局、先行個体(体格の大きな♂)は右下の林縁から巣穴に戻って来ました。 
♂が外出に誘っているのに、この日の♀は出不精なのでしょう。 
♂が巣口に顔を突っ込んで念入りに匂いを嗅いだものの、中には入りませんでした。 
そのまま後ろ向きで外に出てくると、ペアが巣口で並びました。 
タヌキは言葉を交わせないのに、パートナーの意図をどうやって汲み取るのですかね? 


シーン5:2/15・午前8:20・晴れ(@5:03〜) 
巣口で日光浴していた個体が毛繕いを始めました。 
ペアが巣口で身を寄せ合っていますが、互いに逆方向を向いています。 


シーン6:2/15・午前8:22・晴れ(@6:03〜)
ペアの片方が巣口に潜り込んで雪かきしている最中に、外で待っている個体が欠伸しました。 

♂が巣外に出て身震いし、♀の尻の匂いを嗅ぎました。 
♀の発情状態を確認してるようです。 
(残念ながら、尻切れトンボで録画が打ち切られました。) 


シーン7:2/15・午前8:26・晴れ(@7:04〜)
 ♂が再び巣口の窪みに入り、雪かき作業を再開。 
♀は横で佇んでいるだけです。 
♂もすぐにさぼって、並んで日光浴を始めました。 


シーン8:2/15・午前8:27・晴れ(@8:05〜)
♂が完全に巣穴に潜り込んだようです。 
雪かきを♂に任せて巣口で待機していた♀もようやく入巣。 


つづく→

2026/04/30

交尾中のキリウジガガンボ♀♂

 

2024年4月下旬・午後14:45頃・晴れ 

田んぼの農道でキリウジガガンボTipula aino)の♀♂ペアがイネ科植物の葉に止まって交尾していました。 

互いに逆を向いて腹端の交尾器を連結しているかと思いきや、下の♂個体が腹部を前方に屈曲して♀と同じ向きで結合していました。
草葉に止まるために♂が体をねじって、たまたまこのような体勢になっただけかもしれません。 
先日観察したペアは、互いに互いに反対方向を向いて交尾していたからです。 

2026/04/02

ブロック塀の上を群飛するフタモンアシナガバチ♂:探雌飛翔と誤認求愛【FHD動画&ハイスピード動画】

 

2024年10月中旬・午後12:25頃・晴れ 

秋晴れの昼下がりに、民家の庭を取り囲むブロック塀の上に沿ってフタモンアシナガバチPolistes chinensis antennalis)の雄蜂♂が何匹も飛び回っていました。 
ブロック塀の上に止まって休憩している個体をよく見ると、顔(頭楯)が白くて触角の先端がカールしているので、雄蜂♂と見分けられます。 

繁殖期の群飛とかレック(集団お見合い場)と呼ぶには♂の個体数が少なかったのですが、交尾相手の新女王を探して飛び回っているようです。 
巣から飛び立った新女王が来るのを今か今かと待ち構えているのでしょう。 
雄蜂♂たちは、まるでラインセンサスするように、ブロック塀の上を低空で往復しています。 
アシナガバチの交尾は早い者勝ちらしいなので、雄蜂♂はとにかく焦っています。 
とにかく同種の蜂なら何でも飛びかかって交尾を挑もうとします。 
触れてみて初めて相手の性別が分かるようです。 
相手の性別を遠くからじっくり見極めてから求愛するのでは、他のライバル♂との♀獲得競争に負けてしまうのでしょう。 

フタモンアシナガバチ♂の探雌飛翔を240-fpsのハイスピード動画でも撮ってみました。(@0:36〜) 
複数個体の雄蜂♂が、ブロック塀の上を間隔を開けて低空で飛び交っています。 
直線状に飛ぶだけでなく、たまに途中で進路変更することもありました。 
先行個体に追いつきそうになったら減速していました。 
2匹の雄蜂♂が空中ですれ違った直後に、片方の個体が減速して相手を振り返りましたが、追いかけることはありませんでした。(@1:03〜) 

飛び疲れた♂がブロック塀の上に着陸して休んだり身繕いしたりしていると、飛来した別個体の♂がいきなり襲いかかりました。(誤認求愛) 
相手も雄蜂♂だと分かると、すぐに離して、相次いで飛び去りました。(@3:18〜3:25) 
ライバル♂を攻撃して縄張りから追い払った、という訳ではありません。 

ブロック塀の上で並んで仲良く日光浴(♀を待ち伏せ?)していた2匹の雄蜂♂には、体格に個体差がありました。 
幼虫期の給餌量に応じて、羽化した後の体格に差が出るのでしょう。 

松浦誠『社会性ハチの不思議な社会』p74-75によれば、
日本産のアシナガバチ類の交尾は、9〜10月の晴天の日の日中、午前10時から午後1時ごろまでのあいだ、となっている。 種類によって、交尾のおこなわれる場所とその方法が異なり、つぎのような行動型に区別される。(1)巣口待ち伏せ型、(2)一定コース飛びまわり型、(3)縄張り型、(4)空中交尾型 そしてフタモンアシナガバチは「♂は、樹冠の頂部、林縁、山道にそって一定のコースを飛びまわり、そこを通過する新女王をとらえて交尾する」タイプ(2)

私は未だにアシナガバチの群飛からの交尾行動を野外で観察できたことがありません。
毎年探し歩いているのですが、なかなか幸運に恵まれません。


関連記事(5、11、14年前の撮影)▶  


【アフィリエイト】

2026/03/22

雪山のスギ林で厳冬期の夜に活動するニホンノウサギ【トレイルカメラ:暗視映像】

 

2025年1月上旬〜2月下旬 

シーン0:12/19・午後13:55・降雪・気温9℃(@0:00〜) 
里山でニホンカモシカがねぐらとして使っているのではないか?と思い込んだ場所があり、どうしても確かめないと気が済まなかったので、自動センサーカメラで見張っています。 
雪が積もったスギ植林地の端で、画面の右上奥にはカラマツの植林地が広がっています。 
画面の手前から奥に向かって斜面が登っています。 


ニホンノウサギLepus brachyurus angustidens)の登場シーンをまとめました。 


シーン1:1/8・午後21:26・降雪・気温-3℃(@0:03〜) 
年が明けて雪の降る晩に、冬毛のノウサギが左の斜面を奥に登って行く姿が写っていました。 


シーン2:1/15・午前2:41・降雪・気温-1℃(@0:30〜) 
ちょうど1週間後の深夜未明に、ノウサギが雪山のスギ林を左から右へトラバースするようにゆっくり通り抜けました。 


シーン3:1/16・午後17:45・気温-4℃(@0:38〜)日の入り時刻は午後16:48。 
日がとっぷり暮れた晩に、スギ木立の間を右から左へノウサギが走り去りました。 
1/3倍速のスローモーションでリプレイ。 

手前の雪面が凸凹に荒れているのは、おそらく樹上から落雪した直後なのでしょう。 
雪面に足跡は残っていません。 


シーン4:1/27・午前2:27・気温-3℃(@0:47〜) 
手前の斜面を右から左へトラバースするように、冬毛の真っ白なノウサギが駆け抜けました。 
雪面は凍結していて、ノウサギの足がまったく潜りません。 

ノウサギは左奥の斜面で立ち止まると、落葉灌木の枝先の匂いを嗅ぎました。 
この後に枝先を食べたかどうか、映像ではよく分かりませんでした。 
その後は座り込んだまま休んでいます。 
長い耳だけ動かして左右を警戒しています。 
やがて俯いて、毛繕いを始めたようです。 


シーン5:1/27・午前2:32(@1:33〜)
 3分後に、ノウサギはようやく立ち上がると、雪山の斜面を奥へ登り始めました。 
すぐに立ち止まると、落葉灌木(または蔓?)の樹皮をかじっているようです。(匂いを嗅いだだけ?) 
最後は左に立ち去りました。 


シーン6:2/27・午後17:55・気温0℃(@2:17〜)日の入り時刻は午後17:33。 
ちょうど1ヶ月ぶりに、監視カメラが起動しました。 
今季は記録的な大雪が積もり、1ヶ月で雪面がかなり上昇していました。 
その結果、奥のスギ並木がまったく写らなくなりました。 

日没後の晩に、ガリガリに凍った雪面を手前から奥に2羽のノウサギが続けて駆け抜けました。 
縄張り争いなのか、繁殖期の求愛行動や♂同士の♀をめぐる争いなのかな? 
1/3倍速のスローモーションでリプレイ。
私には性別が見分けられないので、行動の解釈ができません。

この後は、スギの幹に固定してたトレイルカメラが雪にほとんど埋もれそうになり、野生動物は何も写らなくなりました。 


シーン7:3/13・午前0:27・気温3℃(@2:39〜) 
3月も中旬になると里山の雪がだいぶ溶けて雪面が下がり、奥のスギ林が見えるようになりました。 


※ 動画の一部は編集時に自動色調補正を施しています。 


【考察】
スギの植林地なんてノウサギにはほとんど価値がない場所で、来る理由がないと思っていたのですが、結構トレイルカメラに写っていました。
厳冬期の食事シーンがしっかり撮れなかったのが残念です。

この地点でキツネがうろついていたのは、獲物のノウサギを探し歩いていたのかもしれません。

関連記事(同所同時期の撮影)▶ 雪山のスギ林をうろついて獲物を探すホンドギツネ【トレイルカメラ:暗視映像】 


つづく→

2026/02/13

晩秋のアナグマの空き巣をうろつき落枝を噛むホンドタヌキ♀♂【トレイルカメラ:暗視映像】

 



2024年11月下旬・午後19:45頃 

落葉した二次林でニホンアナグマMeles anakuma)の営巣地(セット)に♀♂ペアと思われる2頭のホンドタヌキNyctereutes viverrinus)が晩に登場しました。 
頻繁にやって来るのに、なぜかアナグマの巣穴に潜り込もうとはしません。 

巣口LRの中間地点で♀が身震いし、林床で何か虫を採食すると、林縁に居た♂個体が駆け寄りました。 
分け前をねだるような素振りをしてから、パートナー♀の尻の匂いをすれ違いざまに嗅ぎました。 
晩秋からこの行動が増えてきたのですが、おそらくタヌキ♂が♀の発情状態を確認しているのでしょう。 

タヌキ♀はアナグマの巣口Rを点検してから右へ立ち去りました。 
後続個体♂が♀の後をぴったり付き添って追いかけながら、再び♀の尻の匂いを嗅ぎました。 

最後に♂は、目の前にぶら下がっていた落枝の端を噛んで味見をしました。 
よほど空腹なのでしょうか。 
何か欲求不満の転移行動なのかもしれません。


※ 動画の一部は編集時に自動色調補正を施しています。 


2026/02/05

スッポンタケのグレバに集まり交尾するベッコウバエ♀♂

 

前回の記事:▶  


2024年11月上旬・午後13:40頃・晴れ 

落葉した二次林の林床にニョッキリ生えたスッポンタケを見つけたとき、直前まで別の撮影で使っていたハンディカムを手に持っていました。 
古いハンディカムなので画質も手ブレ補正機能もいまいちなのですが、グレバに誘引されたハエを接写してみました。 

グレバに留まって交尾していたベッコウバエ♀♂(Dryomyza formosa)に注目しました。 
動画をじっくり見直すと、交尾器はまだ結合していませんでした。
♀の背後からマウントした♂は交尾器を伸ばして結合しようと悪戦苦闘しています。 
その間、♂を背負った♀は口吻を伸縮させてグレバの粘液を一心不乱に舐めています。 

ハンディカムをそっと近づけても、ベッコウバエ♀♂は逃げませんでした。 
スッポンタケの悪臭に誘引されて別種のハエが次々に飛来する羽音♪が聞こえます。 
飛来したキンバエが交尾中のベッコウバエにぶつかっても、ベッコウバエ♀♂は飛んで逃げることはありませんでした。 

残念ながら、高画質のデジカメではベッコウバエ♀♂の交尾シーンを撮れませんでした。(逃げてしまった?)


2026/02/03

アナグマの営巣地でホンドタヌキ♂がパートナー♀の発情チェック:11月中旬【トレイルカメラ:暗視映像】

 

前回の記事:▶ アナグマの営巣地を1〜3頭でうろつくホンドタヌキ:11月上旬〜中旬【トレイルカメラ:暗視映像】 


2024年11月中旬 

シーン1:11/12・午後17:06・気温13℃(@0:00〜)日の入り時刻は午後16:33 

平地の二次林でニホンアナグマMeles anakuma)の営巣地(セット)をトレイルカメラで見張っていると、日没後にホンドタヌキNyctereutes viverrinus)が単独でやって来ました。 
風の匂いを嗅ぎながら忍び足で慎重に近づき、アナグマの巣口Lの匂いを嗅ぎました。 

シーン2:11/12・午後17:07・気温12℃(@0:50〜) 
別アングルの監視カメラに続きが撮れていました。 
耳を澄ますと、タヌキはクゥーン♪と小声で鳴いていました。 
パートナーを呼ぶ声なのかな?(コンタクトコール?) 

獣道を右へ立ち去る際に、オニグルミ立木の根元にマーキングしました。 
このとき右後足を上げて小便したので、♂と判明。 

シーン3:11/12・午後17:11(@1:22〜) 
さっきの個体がまだ居残っているのか、セットをうろつき、アナグマの巣口Rを点検しています。 

シーン4:11/12・午後17:11(@1:52〜) 
別アングルの監視映像に切り替えます。 
右奥の暗い林内から別個体のタヌキ(後続個体)がセットにやって来ました。 
しかし、先行個体がセットから林内に立ち去るまで、なぜか林縁で待機しています。 

シーン5:11/12・午後17:14(@2:52〜)
アナグマのセット(営巣地)で2頭のタヌキが合流しました。 
この撮影アングルでは分かりにくく、対他毛繕いかと思ったのですが、パートナーの発情状態を確認したようです。(後述) 
その後、1頭♂は獣道を左上奥へ走り去りました。 

セットに残った♀個体は風の匂いを嗅ぎ、アナグマの巣口Lも調べています。 

シーン6:11/12・午後17:14(@3:52〜)
 別アングルの監視映像でも撮れていました。 
パートナーの尻の匂いをしつこく嗅いでいるので、♂が♀の発情状態をチェックしているようです。 
素人目には、♀は無反応でした。 

その後、♂は巣口Rの落葉したマルバゴマキ灌木の根元に小便でマーキングしてから、手前へ元気に走り去りました。 

シーン7:11/12・午後17:15(@4:52〜)
 セットに居残ってアナグマの空き巣を調べたタヌキ♀が、ようやくパートナー♂の後を追ってノソノソと歩きさりました。 


※ 動画の一部は編集時に自動色調補正を施しています。 
※ 鳴き声が聞き取れるように、動画編集時に音声を正規化して音量を強制的に上げています。 


【考察】 
今回撮影されたタヌキの♀♂ペアの行動について、Gemini AIに色々と相談してみました。


Q1: 夜行性のホンドタヌキは単独徘徊中に小声でクゥーン♪と鳴くことがある。
擬人化すると寂しげに聞こえるのだが、はぐれてしまったパートナーを呼ぶ声(パートナーに居場所を知らせる鳴き声)なのか? 
ニホンザルでいうところのコンタクトコールのようなものか? 
それとも発情期に特有の鳴き声なのか? 
鳥のさえずりのように、異性を呼び寄せる鳴き声なのか?

A1: **ホンドタヌキの「クゥーン♪」という鳴き声について**

ホンドタヌキの鳴き声は、状況や個体によって様々な意味合いを持つと考えられています。あなたの質問にあるように、「クゥーン♪」という鳴き声は、以下の可能性が考えられます。

* **パートナーを呼ぶ声:** あなたの推測のように、パートナーと離れてしまい、その居場所を探している際に発する可能性があります。ニホンザルのコンタクトコールと同様に、群れから離れてしまった個体が仲間を呼ぶ際に発する鳴き声と言えるでしょう。
* **警戒のサイン:** 危険を感じたり、警戒している時に発する可能性もあります。
* **単なるコミュニケーション:** 特に意味を持たない、単なるコミュニケーションとしての鳴き声の場合もあります。

**発情期との関連性**

発情期には、繁殖行動に関連した特有の鳴き声が発せられることがあります。しかし、「クゥーン♪」という鳴き声が必ずしも発情期に特有の鳴き声であるとは限りません。

**なぜ様々な解釈ができるのか?**

動物の鳴き声は、人間の言葉のように明確な意味を持っているわけではありません。状況や個体によって、同じ鳴き声でも異なる意味を持つことがあります。また、鳴き声だけでなく、体の動きや周囲の状況なども総合的に判断する必要があります。

**まとめ**

ホンドタヌキの「クゥーン♪」という鳴き声は、状況や個体によって様々な意味を持つ可能性があります。パートナーを呼ぶ声、警戒のサイン、単なるコミュニケーションなど、様々な解釈が可能です。より詳しく知りたい場合は、専門家への相談や文献調査などが有効です。

**補足**

* **個体差:** 動物の行動は、個体差が大きいものです。同じ種類の動物でも、個体によって鳴き声や行動パターンが異なる場合があります。
* **環境の影響:** 周囲の環境や季節によっても、鳴き声の意味合いが変化することがあります。


Q2: ホンドタヌキの「クゥーン♪」という鳴き声は、性別によって頻度が違うか? ♀♂どちらがそのように鳴くことが多いか?

A2: **残念ながら、明確な科学的なデータに基づいた回答は、現時点では難しいです。**

なぜなら、以下の理由が考えられます。

* **個体差の大きさ:** 動物の行動は、個体差が非常に大きいです。同じ種類の動物でも、個体によって鳴き声の種類や頻度が大きく異なることがあります。
* **状況依存性:** 鳴き声は、周囲の状況や個体の心理状態によって変化します。「クゥーン♪」という鳴き声も、状況によって異なる意味を持つ可能性があります。
* **観察の難しさ:** 野生のホンドタヌキを長期間にわたって観察し、個体識別を行いながら鳴き声を分析することは、非常に困難な作業です。

**これまでの研究や観察から得られる情報**

これまでの研究や観察から、以下のことがわかっています。

* **様々な鳴き声:** ホンドタヌキは、状況に応じて様々な種類の鳴き声を発します。「クゥーン♪」以外にも、唸り声や吠え声など、様々なパターンがあります。
* **コミュニケーション手段:** 鳴き声は、ホンドタヌキ同士のコミュニケーション手段の一つです。危険を知らせる、仲間を呼ぶ、求愛行動など、様々な状況で鳴き声を利用します。

**性別による違いの可能性**

性別によって鳴き声の頻度やパターンが異なる可能性は、全くないとは言えません。例えば、繁殖期には、メスがオスを呼び寄せるために特有の鳴き声を発するかもしれません。

しかし、現時点では、ホンドタヌキの性別による鳴き声の違いに関する具体的なデータは不足しています。

**今後の研究**

今後、より詳細な観察や実験を通して、ホンドタヌキの鳴き声の性別差が明らかになる可能性はあります。特に、個体識別技術の発展や音声分析技術の進歩によって、より精度の高い研究が可能になると考えられます。

**まとめ**

ホンドタヌキの「クゥーン♪」という鳴き声は、性別によって頻度が異なるのか、どちらの性別がより多く発するのか、という質問に対する明確な答えはまだ出ていません。個体差や状況依存性など、様々な要因が考えられるため、より多くの研究が必要となります。


Q3: ホンドタヌキは♀♂ペアで行動することが多い。11月中旬に♂が♀の腰の辺りの匂いを念入りに嗅いだのは、♀の発情状態を確かめたと考えてよいか? つまり、11月中旬はもう繁殖期(交尾期)に入った可能性があるか?

A3: 11月中旬にオスのホンドタヌキがメスの腰の辺りの匂いを念入りに嗅いだという状況は、繁殖行動の一環である可能性が非常に高いです。

なぜそう考えられるのか?

匂いによるコミュニケーション: タヌキは、尿や分泌物などを通じて様々な情報をやり取りします。特に、メスの性ホルモンの分泌量の変化は、その匂いに反映されます。オスがメスの腰の匂いを嗅ぐ行為は、この匂い変化を感知し、メスの発情状態を判断する重要な行動です。
繁殖期の到来: 一般的に、ホンドタヌキの繁殖期は冬から春にかけてです。11月中旬は、繁殖期に入る直前、あるいはすでに始まっている時期と考えられます。
ペア形成: ホンドタヌキは、一夫一妻のペアを形成し、共同で子育てを行うことが知られています。オスがメスの発情状態を確かめる行動は、ペア形成の第一歩と言えるでしょう。
ただし、注意すべき点もいくつかあります。

個体差: 動物の行動は、個体差や環境条件によって大きく左右されます。全ての個体が同じタイミングで繁殖行動を開始するわけではありません。
その他の要因: 匂い以外に、視覚的なサインや音声によるコミュニケーションなど、様々な要因が繁殖行動に影響を与える可能性があります。
結論として、

11月中旬にオスがメスの腰の匂いを嗅いだという事実は、繁殖期が近づいている、あるいはすでに始まっていることを示唆する有力な証拠です。ただし、より確実な判断をするためには、長期的な観察や専門家への相談が必要となります。

Q4: もしホンドタヌキ♀が発情していたら、その匂いを嗅いだパートナーの♂はフレーメン反応をするのか?

A4: **残念ながら、ホンドタヌキのフレーメン反応に関する具体的な研究データは、現時点では多くありません。**

### フレーメン反応とは?

フレーメン反応は、多くの哺乳類に見られる行動で、フェロモンを含む物質を鼻腔内に取り込むために、上唇を巻き上げたり、口を開けて鼻を突き出すような動作のことです。これにより、より多くのフェロモンを嗅覚器官に到達させ、情報を収集すると考えられています。

### ホンドタヌキにおける可能性

ホンドタヌキも哺乳類であり、他の動物と同様にフェロモンを介したコミュニケーションを行っている可能性は十分にあります。そのため、発情期のメスの匂いを嗅いだオスがフレーメン反応を示す可能性も否定できません。

しかし、以下の点から、確証を得るにはさらなる研究が必要となります。

* **個体差:** 動物の行動は個体差が大きいため、全ての個体がフレーメン反応を示すとは限りません。
* **状況依存性:** 状況によって反応が異なる可能性があります。例えば、非常に興奮している状態ではフレーメン反応を示さない場合もあるかもしれません。
* **研究の難しさ:** 野生のホンドタヌキを観察し、フレーメン反応を正確に捉えることは容易ではありません。

### 今後の研究

今後の研究では、以下の点に着目することで、ホンドタヌキのフレーメン反応についてより深く理解できる可能性があります。

* **飼育下での観察:** 飼育下のホンドタヌキを用いて、発情期のメスの尿や分泌物をオスに提示し、その反応を観察する。
* **野生個体の観察:** 野生個体を長期間にわたり観察し、発情期におけるオスの行動パターンを詳細に記録する。
* **生理学的分析:** フレーメン反応に伴うホルモン分泌の変化や脳活動の変化を調べる。

### まとめ

現時点では、ホンドタヌキのオスが、発情期のメスの匂いを嗅いだ際にフレーメン反応を示すかどうか、確実なことは言えません。しかし、他の哺乳類と同様に、フェロモンを介したコミュニケーションを行っている可能性は高いと考えられます。今後の研究によって、この謎が解き明かされることが期待されます。

**ご自身の観察と記録**

もし、ご自身がホンドタヌキを観察する機会があれば、以下の点に注意して観察してみてください。

* **オスの行動:** メスの近くでオスがどのような行動をしているか(嗅ぎまわる、舐める、フレーメン反応のような動作をするなど)
* **メスの状態:** メスがどのような状態であるか(発情期と思われる行動をしているかなど)
* **周囲の環境:** どんな場所で観察しているか(開けた場所、茂みの中など)

これらの情報を記録することで、ホンドタヌキの行動パターンをより詳細に把握し、フレーメン反応に関する新たな発見につながるかもしれません。

Q5: 私が観察したのは、トレイルカメラの映像です。ホンドタヌキの♂が♀の腰の匂いを嗅ぎました。その間、♀は少し腰を引けてましたが、それほど嫌がりませんでした。直後に♂は近くの灌木の根本に小便してから、急に興奮したように走り去りました。フレーメン反応は見られませんでした。

A5: ### 今回の行動について

* **オスの興奮:** 
    * ♀の発情期を察知し、交尾意欲が高まった可能性が高いです。
    * しかし、フレーメン反応が見られなかったことから、まだ確信が持てなかったのかもしれません。
    * 近くの灌木に小便をしたのは、マーキング行動で、自分の存在をアピールしたり、縄張りを示したりする意味合いがあると考えられます。
* **メスの反応:**
    * 少し腰を引けていたことから、オスの接近を完全に歓迎していたわけではない可能性があります。
    * しかし、それほど嫌がっていなかったということは、オスを受け入れつつある状態だったのかもしれません。

### フレーメン反応が見られなかった理由

* **個体差:** すべての個体がフレーメン反応を示すとは限りません。
* **状況:** 興奮状態すぎて、フレーメン反応をする暇がなかったのかもしれません。
* **観察角度:** カメラの角度によっては、フレーメン反応が捉えにくかった可能性もあります。

### 興奮して走り去った理由

* **交尾への準備:** 交尾場所を探したり、他のオスとの競争に備えたりするため、興奮して走り去った可能性があります。
* **警戒心:** 周囲に危険を感じて、素早くその場を離れたのかもしれません。

### まとめ

今回の観察から、ホンドタヌキの繁殖行動の一端を垣間見ることができました。しかし、動物の行動は複雑で、一概に断定することは難しいです。

**今後の観察のポイント**

* **繰り返し観察:** 同じ個体を継続的に観察することで、個体間の関係性や行動パターンをより深く理解できます。
* **他の個体の行動:** 他の個体がどのように反応するかを観察することで、今回の行動の意味をより明確にできるかもしれません。
* **環境の変化:** 季節や天候の変化が、動物の行動にどのような影響を与えるかを観察することも重要です。

### その他考えられること

* **メスがまだ完全に発情期に入っていなかった可能性:** 発情期は数日~数週間と個体差があり、今回の行動が交尾の前兆であるとは限りません。
* **他のオスとの競争:** その場に他のオスがいた可能性もあり、オスが警戒していたのかもしれません。


このトピックについて、AIの回答は歯切れが悪く、そもそも学習データ(ヒトによるタヌキ研究の蓄積)が不足しているという印象を強く受けました。
よく分かってないのなら、地道に観察と記録を続けるしかありません。


2026/01/08

交尾したまま飛ぶツマグロヒョウモン♀♂【FHD動画&ハイスピード動画】連結飛翔

 

2024年10月上旬・午後12:10頃・くもり 

稲刈りが済んだ田んぼの農道で、ツマグロヒョウモン♀♂(Argyreus hyperbius)が交尾していました。 
腹端の交尾器を連結した状態で反対向きに交尾しています。 
その場で翅をゆっくり羽ばたいています。 
交尾中の♀♂ペアは初見です。 



飛び立つ瞬間を狙って、240-fpsのハイスピード動画に切り替えました。(@0:55〜) 
チョウは一旦交尾を始めると、危険が迫っても連結したままで飛び去ります。 
本種は翅の斑紋に性的二型があり、翅表の翅頂付近に目立つ白帯があるのが♀です。
今回のツマグロヒョウモンのペアでは、♀Lが先に反応して飛び立ち、♂Rを引きずるように飛び去りました。 
このような連結飛翔を「←♀+♂」と表記します。 
♀に連行される♂は空気抵抗を少しでも小さくするために、翅を閉じています。 
もしも逆向きにつながった♀♂ペアが各自バラバラに羽ばたいたら、連結部が千切れてしまうはずです。

急いで高画質のFHD動画モードに切り替え、飛び去る♀♂ペアを撮影しました。 
少し飛んだだけで農道に着地したのですが、私が動画を撮りながら近づいたら、再び連結したまま飛び去りました。 
あまりにも手ぶれが酷い動画になってしまったので、この部分だけ1/2倍速のスローモーションにしました。(@1:07〜) 
2回目の飛び立ちも、♀が主導権を握る「←♀+♂」タイプでした。

ツマグロヒョウモン♀♂は横の刈田に着陸すると、ようやく落ち着いて交尾を続けています。(@1:40〜) 
♀♂共に、その場で翅を軽く開閉していて、その場で方向転換しました。 

♂の翅を注意深く観察すると、後翅に左右対称の損傷がありました。 
これは天敵の鳥に襲われかけたビークマークです。 
命拾いした後で♀と無事に交尾できたラッキーな♂個体であることが分かります。 
一方、♀の翅は無傷できれいな状態でした。 

交尾中も翅の開閉を続けているのは、何か危険が迫ったらいつでも飛んで逃げられるように、準備運動しているのかもしれません。 


【考察】 
チョウの連結飛翔は、個人的にしつこく追求しているテーマの一つです。
チョウの種類によって「←♀+♂」「←♂+♀」飛び方のタイプが違うという説があるので、ハイスピード動画でコツコツ撮り溜めています。

保育社『原色日本昆虫生態図鑑IIIチョウ編』(1972)という古い図鑑には次のような記述があります。
交尾しながら飛ぶときに♂が飛ぶか、♀が飛ぶかは種によって一定していて、属や科についても通則がある。(中略)Donzel (1837)は「交尾中の飛翔形式は一つの属のすべての種類について一定しており、従って属の限界を決定する重要な特徴となり得る」と強調しており、後世これはDonzel説と言われている。 (p88〜89より引用)
現代でもこのDonzel説は科学的に正しいと考えられているのでしょうか?
チョウに関する本で、最近このトピックを扱わなくなったということは、否定されたのかな?
ChatGPTに質問してみると、かなり否定的な見解でした。
こんなマニアックな話題にもしっかり回答してくれる最近のAIは恐るべしですね。

要点だけ先にまとめます。

  • **Donzel説(交尾中の飛翔様式が属や科で一定し、分類形質になり得る)**は、
    現代では基本的に支持されていません

  • 現在の鱗翅目分類・系統学では、分類形質として扱われていないのが実情です。

  • 最近の本でこの話題がほとんど出てこないのは、研究史的価値はあるが、実証的裏付けに乏しいと判断されているためです。

以下、理由を整理します。


1. Donzel説が生まれた背景(19世紀)

Donzel(1837)の主張は、

  • 当時は

    • 形態形質が限られていた

    • 行動も「種に固有で安定したもの」と考えられがちだった

  • 交尾中に

    • ♂が牽引する

    • ♀が主に飛翔する
      という違いが目立ちやすく、繰り返し観察されるため、

→「これは属レベルで固定した形質ではないか」と解釈された

という、自然史的帰納に基づく説でした。


2. 現代的な評価:なぜ支持されないか

(1) 行動形質は可塑性が高い

その後の観察・実験研究により、

  • 交尾飛翔の主導個体は

    • 個体サイズ

    • 性比

    • 攪乱(捕食者・人為的刺激)

    • 飛翔時点(交尾初期か後期か)
      によって変化し得る

ことが分かってきました。

👉 「常に一定」という前提が崩れた


(2) 系統と一致しない(ホモプラシー)

近代以降の系統研究(形態+分子)では、

  • 交尾中飛翔様式は

    • 近縁種間でも異なることがある

    • 離れた系統で似た様式が独立に現れる

収斂(ホモプラシー)が強い行動形質と理解されています。

これは分類形質としては致命的です。


(3) 分類学の主軸が変わった

20世紀後半以降:

  • Genitalia(交尾器)

  • 翅脈

  • 幼虫形態

  • 分子系統(DNA)

が分類の中核となり、

👉 一時的・状況依存的な行動形質は切り捨てられた

という流れがあります。


3. なぜ最近の本で扱われないのか

あなたの感じている通りで、

  • 現代のチョウの生態・行動学の本では

    • 交尾中飛翔は「逸話的事実」

    • または「逃避行動の一形態」
      として触れられる程度

  • 分類学的意義には触れられないか、完全に省略される

理由は単純で、

分類に使えないことが分かってしまったため

です。


4. 現在の位置づけ(総括)

Donzel説は現在では:

  • ❌ 分類学的通則 → 否定的

  • ⭕ 行動進化・性行動の歴史的仮説 → 研究史的価値あり

  • ⭕ 種ごとの傾向を記述する補助情報 → 限定的に有用

という位置づけです。


結論

Donzel説は
「当時としては鋭い観察に基づく仮説だったが、
現代の科学的基準では支持されていない」

と評価するのが最も妥当です。

古い図鑑がこの説を紹介しているのは、
1970年代当時でもすでにやや古典的だが完全には否定されていなかった名残と考えてよいでしょう。


私もこれまで連結飛翔の事例を撮り溜めながら考察を続け、最近ではDonzel説に対して懐疑的になっていました。
素人ながらあと一歩のところまで来ていたことになります。

前年の個人的考察を再掲します。
その定説はどうも眉唾のような気がしてきました。 
交尾中の♀♂ペアはとても無防備なので、互いに逆を向いて見張りを分担し、360°油断なく見張っているはずです。 
物を投げつけたり敵が襲ってきたりした場合、それを先に見つけた個体が性別に関係なく逃避行動を開始するのが自然ではないでしょうか? 
主導権を握って羽ばたく個体が離陸直後に切り替わる♀♂ペアを私は今まで一度も見たことがありません。 
つまり、試行回数(観察サンプル数)を充分に増やせば、連結飛翔のタイプはチョウの種類に関係なく半々の確率に落ち着くのではないかと私は予想しています。
スローモーションで動画が手軽に撮れる時代が来る前に、昔の先人たちが少ないサンプル数の直接観察から早まった結論に達したのではないか?と私は密かに疑っています。
物を投げつけて交尾ペアを飛び立たせた場合は、どちらの方向からどこを目がけて物を投げたのか(♀♂どちらが先に危険に気づくか)も、記録しておく必要がありそうです。 
交尾中の♀♂ペアが自発的に飛んだ場合でも、上空を別のお邪魔虫や鳥がどの方向から飛来したのか、などの条件によって連結飛翔の結果が影響されそうです。 

生物観察や撮影のアイディアを得られるので、古い本を読むのも私は好きです。
昔の時代の方が観察結果を丁寧に記述してあったりしますから、古い解釈を鵜呑みにさえしなければ、温故知新でそれなりに価値があると思います。

2026/01/07

秋の夜に営巣地で長時間の格闘遊び中にマウンティングする2頭のニホンアナグマ(幼獣?)【トレイルカメラ:暗視映像】

 




2024年10月中旬 

シーン1:10/12・午後17:45・気温17℃(@0:00〜)日の入り時刻は午後17:09。 

どこから来たのか、2頭のニホンアナグマMeles anakuma)が営巣地(セット)の端に生えた株立ミズキの根元で対峙していました。 
そこはまさに、先月にナラタケモドキというキノコが群生していた場所です。 



アナグマの個体識別ができていませんが、この2頭はどういう関係なのでしょうか? 
最近では、母親♀が大きく育った当歳仔の幼獣の遊び相手になってやることもありました。 
母親♀なら左右の目(赤外線を反射するタペータム)の大きさが不均等(右目<左目)なのですが、この2頭は両目の大きさが同じです。 
したがって、元気があり余って遊びたい盛りの幼獣たち(当歳仔の兄弟姉妹)だと思います。 

1頭aが挑発するように跳ねながら相手の周囲を走り回っています。 
もう1頭bは、根元で分岐したミズキの股の部分に陣取っています。 
ときどきフガフガ♪と短い唸り声が聞こえます。 
aが強引に割り込んだところで1分間の録画終了。 


シーン2:10/12・午後17:48(@1:00〜) 
アナグマは2頭ともに株立ミズキから横の地面に降りていました。 
セットで軽い追いかけっこ遊びを繰り広げ、その流れで片方が再びミズキ根元の股に陣取りました。 
遂にミズキの下で取っ組み合いが勃発しました。(@1:55〜) 


シー3:10/12・午後17:49(@2:00〜) 
激しい格闘遊びの最中に相手の背後を取り、マウント体勢になりました。(@2:06〜) 
これは偶然なのか、それとも交尾の練習、擬交尾なのでしょうか? 
しかし本当の交尾とは違って、背後を取った♂がパートナー♀の首筋に噛み付いて保定することはありませんでした。 
この2頭の幼獣?の性別を知りたいところですが、外性器が見えず、私には見分けがつきません。 
とりあえずマウント時の位置関係から、♂役、♀役と呼び分けることにします。 

マウントされた♀役が相手を振りほどき、再び取っ組み合いに戻りました。 
セットを逃げ回って巣口Rに潜り込みかけた(頭隠して尻隠さず)♀役の背後から♂役の個体が再びマウントしました。(@2:26〜) 
巣口Rの窪みに嵌った状態で、2頭が組んず解れつしています。 


シーン4:10/12・午後17:50(@3:00〜)
いつの間にか2頭が離れたようで、巣口Rに残った個体aと、株立ミズキの股に移動した個体bが対峙しています。 
♂役bが♀役aに駆け寄り、再びマウントしました。(@3:08〜) 


シーン5:10/12・午後17:52(@4:00〜)
株立ミズキの根元に2頭のアナグマが移動していました。 
対峙しつつ身震いすると、再び格闘遊びが再開。 

小休止の後に、左へ駆け出して追いかけっこ遊びになりました。 
巣口Lを経由して、またもや株立ミズキの根元に戻りました。 


シーン6:10/12・午後17:53・気温16℃(@5:00〜)
別アングルで設置した監視カメラにも撮れていました。 
巣口Lの周囲でも追いかけっこ遊びと格闘遊びを繰り広げています。 
手前の死角へ走り去った後も、アナグマが暴れ回る物音や鳴き声だけが断続的に聞こえます。 


シーン7:10/12・午後17:54(@5:09〜)
また別の監視映像に切り替えます。 
2頭のアナグマは株立ミズキの根元でぴったり並んでいました。 
組んず解れつのレスリングごっこが続いています。 

♂役が♀役の背後を取り、マウント体勢になりました。(@5:28〜) 
今回は♂役が逃げようとする♀役の首筋を噛んでいることに注目です。(@5:49〜) 
これは本当の交尾行動で♂がやる保定行動です。 


シーン8:10/12・午後17:55(@6:09〜) 
別アングルの映像に切り替えます。 
主に画角の外で格闘しているようで、鳴き声(唸り声)がときどき聞こえます。 


シーン9:10/12・午後17:55(@6:29〜) 
株立ミズキの根元で取っ組み合いが続いています。 
少し離れると、追いかけっこに移行しました。 
すぐにまた格闘遊びになりました。 


シーン10:10/12・午後17:56(@7:29〜) 
格闘遊びの流れで、また♂役が♀役に背後からマウントを取りました。(@7:38〜) 

1頭がミズキ根元から走って巣口Lに逃げ込みました。 
残された個体もしばらく待ってから、相手を追いかけて入巣L。 
巣口Lの窪みで格闘遊びが続いているようですが、トレイルカメラの赤外線が充分に届かず、暗くてよく見えません。 
巣口Lの内外で対峙しながら短く吠える声が聞こえました。 


シーン11:10/12・午後17:58(@8:18〜) 
いつの間にか2頭とも巣穴Lから外に出て、互いに少し離れていました。 
別々の巣口LRに別れて小休止。 

左の個体が、巣口Lの近くで地面を前脚で掘り返し、匂いを嗅いでいます。
格闘遊びで体力を消耗jし、空腹になって餌を探しているようです。 
すると右の個体が周囲を跳ね回って挑発しました。 
挑発に乗って格闘遊びが再開し、巣穴Lに籠城した個体と巣口Lで対峙。 


シーン12:10/12・午後17:58(@9:18〜) 
別アングルの映像に切り替えます。 
巣口Lに顔を突っ込んで点検していた個体が振り返ると、アクセストレンチの一箇所を前脚で掘り、鼻面を突っ込んで頻りに匂いを嗅いでいます。(探餌行動) 
もう1頭はまだ遊び足りないようで、巣口Rの方から戻って来ると、餌を探している個体を挑発しました。 

挑発に乗って格闘遊びが再開し、巣穴Lに籠城した個体と巣口Lで対峙しました。 
籠城した個体に対して口を大きく開けて、「噛み付くぞ!」とばかりに相手を牽制しています。 
もちろん怪我をさせるほど本気で相手に噛み付く訳ではありません。


※ 動画の一部は編集時に自動色調補正を施しています。 
※ 鳴き声が聞き取れるように、動画編集時に音声を正規化して音量を強制的に上げています。 


【考察】 
ニホンアナグマの幼獣が格闘遊びを延々と繰り広げるのはもう見慣れた光景です。
しかしときどき背後から相手にマウントするのが気になりました。
これは偶然なのか、それとも交尾の練習や擬交尾なのでしょうか? 
後半になると、本当の交尾のように、背後を取った♂役が♀役の首筋に噛み付いて保定することもありました。 
この2頭の幼獣?の性別を知りたいところですが、外性器が見えず、私には見分けがつきません。 
♂役の後ろ姿で股間をじっくり見ても、陰嚢の有無がよく分からないのです。 

ニホンアナグマの交尾期は早春です。 
実は今回と同様の交尾練習?が翌2025年7月中旬にも同所で撮影できました。(映像公開予定) 
♀♂つがいの絆を深めるスキンシップとして擬交尾するのでしょうか? 
一夫一妻のタヌキならその解釈も分かるのですが、乱婚のアナグマに当てはまるとは思えません。 

素人目にはアナグマ幼獣同士の無邪気な遊びであって、本気の喧嘩(闘争)ではなさそうです。
あるいは遊びを通じて力比べをして、兄弟姉妹間で順位を決めているのかもしれません。
越冬地(冬眠用の巣穴)を巡る争奪戦も兼ねているとしたら面白いのですが、どうでしょうか。 



2026/01/06

モンシロチョウの婚活会場となった花咲くゴーヤ畑で♀に求愛した♂が振られる(交尾拒否)

 

2024年10月上旬・午後12:40頃・晴れ 

山間部の農村の畑に支柱を立てて蔓植物を栽培しています。 
そこに黄色い花が咲いていて、モンシロチョウ♀♂(Pieris rapae)が多数集まっていました。 
夏型のモンシロチョウが忙しなく訪花を繰り返し、翅を閉じて吸蜜しています。 

一方、♂は蜜源植物のゴーヤ畑で交尾相手の♀を探して飛び回っています。(探雌飛翔) 
訪花中のモンシロチョウ♀を見つけた♂は、その近くで激しく飛び回り、求愛します。 
♂から熱烈なプロポーズを受けた♀は、閉じていた翅を全開にして腹端を高々と持ち上げました。 
これはシロチョウ科の♀に特有の交尾拒否の行動です。 
♂が諦めて飛び去ると♀は上げた腹端をゆっくり下ろしますが、しつこい♂が戻ってきて(あるいは別個体の♂が飛来して)求愛飛翔を再開すると、♀は再び高々と腹端を持ち上げます。 
ただの儀式的な意思表示ではなく、♀がこの体勢になると♂は強引に交尾することが物理的に不可能なのです。 
モンシロチョウ♂が交尾するには、♀の協力(受け入れ姿勢)が不可欠らしいのですが、私はまだ♂の求愛が成就して交尾に至るシーンを実際に観察したことがありません。 

いつもの私なら、ゴーヤの花蜜を吸うシーンと交尾拒否のシーンとを別々に紹介するのですけど、今回は訪花シーンを納得のいく映像に撮れなかったので、一緒にまとめました。 
日向で撮影するとどうしてもモンシロチョウの翅が白飛びしてしまい、性別が分かりにくくなってしまいます。

関連記事(4ヶ月前、2、4、8年前の撮影)▶  


ゴーヤについて。
私には見慣れない作物だったのですが、独特の葉の形状からおそらくゴーヤ(別名ツルレイシ、ニガウリ)だろうと判明しました。 
Perplexity AIに解説してもらうと、
ゴーヤ(Momordica charantia)の葉は、掌状に深く裂けた独特の形状を持ち、植物学的に記述すると「掌状複葉(palmately compound)または掌状深裂葉(palmately deeply lobed)」で、通常5–7裂片からなり、各裂片の縁に粗い鋸歯(serrate)が並ぶのが標準です。 品種により葉の大きさや裂け込みの深さが異なり、小葉型から鋭く伸びたものまで多様ですが、共通して深いローブと鋸歯縁が識別点です。巻きひげと対生する傾向があります。
ゴーヤの果実は収穫した後なのか、10月上旬にはほとんど残っていませんでした。
食材となるゴーヤの果実は、夏(6月〜9月)が旬の時期らしい。 
写真に写っていた唯一の果実は表面が滑らかでした。 
てっきり未熟果なのかと思いきや、ゴーヤの果実は未熟なときから既に表面がブツブツ(ゴツゴツ)しているらしく、イボなしゴーヤの品種(苦味が少ない)もあるそうです。


【アフィリエイト】

2025/12/30

ナワシロイチゴの葉裏に隠れたキタキチョウ♀に求愛する♂(交尾拒否)

 

2024年10月上旬・午後14:25頃・くもり 

草むらで三つ葉の裏面に隠れるように止まっていたキタキチョウ♀(Eurema mandarina)に♂が飛来して熱烈に求愛すると、♀は閉じていた翅を開閉して交尾拒否しているようです。 
シロチョウ科の♀は腹端を高々と持ち上げて交尾拒否するはずですが、見下ろすアングルでは肝心の腹部が見えませんでした。 
♂が諦めて飛び去っても、♀は葉裏で翅を閉じたまま静止しています。 

脈なしと悟ると、求愛していたキタキチョウ♂はあっさり諦めて飛び去ります。 
無駄にしつこく求愛したり強引に交尾しようとしたりしないで紳士的に振る舞うのが、シロチョウ科の特徴です。 
それだけ♀の交尾拒否行動が効果的なのでしょう。 
(腹端を持ち上げていれば♂は絶対に交尾できない。) 

関連記事(4、8年前の撮影)▶  

この植物は細い茎に棘が生えているので、おそらくナワシロイチゴと思われます。 
ナワシロイチゴはバラ科なので、キタキチョウ♀が産卵する食草(マメ科)ではありません。 
したがって、キタキチョウ♀がナワシロイチゴの葉裏に留まっていたのはたまたまで、♂から隠れていただけでしょう。 
♀が羽化直後だったという可能性も考えましたが、未交尾の♀なら♂と交尾したはずです。 

単線の線路を敷設するために砂利(バラスト)を盛った土手に雑草が繁茂していて、そこでの出来事でした。

2025/12/24

生ゴミに集まるコウカアブ♂の群飛【FHD動画&ハイスピード動画】

 

2024年9月下旬・午前10:05頃・晴れ 

山麓の農村部で道端に開放型のコンポスト(堆肥)があり、そこにハエ類が群がっていました。 
民家の裏庭の片隅に枯れ草を積み上げ、その上に家庭の台所から出た生ゴミがまとめて捨てられていたのです。 
コンポスト容器を使わず、剥き出しのままです。 
隣にある家庭菜園は、野生動物が侵入しないように電気柵で囲われていました。(害獣対策) 

キンバエLucilia caesar)やニクバエの仲間が生ゴミに来て吸汁しているのは別に普通です。 
それよりも、低空でブンブン飛び回っている多数の黒い昆虫が気になりました。 
おそらくコウカアブ♂(Ptecticus tenebrifer)だと思います。 
他に候補となる種類もいるのですが、動画撮影を優先した私は、同定用の写真を撮るのを忘れてしまいました。 

コウカアブ?の群れは低空で激しく飛び回るものの、いつまで経っても生ゴミには決して着陸しませんでした。 
この行動はおそらく♂の群飛で、生ゴミに吸汁・産卵しに来る♀と交尾しようと待ち伏せしているのだろうと想像しました。 
だとしても、ユスリカの蚊柱とは違い、この状態を「レックを形成している」とは言えません。 
レックの定義をwikipediaで確認してみましょう。
資源とは特に関係の無い場所に集まった雄が、そこで小さな縄張りを作り、求愛のディスプレイを行う。このような行動をする雄たちをレック (lek) という。
生ゴミはコウカアブにとって食料および産卵場所として価値の高い資源だからです。 


関連記事(2ヶ月前、1、4年前の撮影@林内の堆肥)▶  


生ゴミの野菜屑をよく見ると、腐りかけのニンジン(人参)バナナの皮、萎びたナス(茄子)などが含まれていました。 
黄色くて表面がブツブツしている謎の野菜が気になりました。 
トウモロコシにしては変だな?と首をひねりながら撮ったのですが、熟して開裂したゴーヤ(別名ツルレイシ)の果実だと後になって知りました。 
ゴーヤと言えば、果皮が緑色の状態しか当時は知りませんでした。 
生ゴミ(野菜くず)の中でゴーヤの熟果だけがハエ類に人気がなく、滅多に留まらなかったのが不思議です。
しかし黄色くなって捨てられたゴーヤを裏返せば、熟した果肉の内側にウジ虫が湧いているのかもしれません。 


コウカアブ♂?の高速群飛を240-fpsのハイスピード動画でも撮ってみました。(@0:44〜) 
秋晴れで陽射しが強いので、絶好のハイスピード動画撮影日和です。 
コウカアブ♂?は低空で素早く飛び回るだけでなく、空中でホバリング(停飛、停空飛翔)しながら方向転換したり、小回りがききます。 
高速で飛びながらときどき空中で互いに衝突していました。 
おそらく♂が交尾相手の♀を待ち伏せしている探雌飛翔なのでしょう。 
生ゴミの上空に縄張りを張ってライバル♂を追い払っているのかもしれませんが(縄張り占有飛翔)、ライバルの数が多過ぎます。 
キンバエやニクバエなど他種のハエを生ゴミから追い払うことは滅多にありませんでした。(@4:34〜4:40) 
※ コウカアブ♂が積極的に追い払ったのではなく、ハエが近寄ってきたコウカアブ♂を警戒して逃げただけのように見えます。
高速で飛び回っているので、対向する相手を避けきれずに正面衝突してしまうだけかもしれません。 

後半は、やや引きの絵(広角)でハイスピード動画を撮りました。(@4:51〜)

ときどき赤トンボ(種名不詳)が飛来したものの、生ゴミ付近には着陸しないで飛び去りました。(@6:30〜6:50) 
トンボが空中でハエやコウカアブを狩って捕食するかと期待したのですが、ハエ類の方が飛翔能力が高く、逃げられてしまうのでしょう。 


【アフィリエイト】 

2025/12/10

リョウブの花で見張りクマバチを縄張りから追い払うキアゲハ夏型♂

 

2024年7月中旬・午後14:05頃・晴れ 

尾根道に咲いたリョウブキアゲハPapilio machaon hippocrates)の夏型♂が訪花していました。 
リョウブの花蜜を吸っているのかと思いきや、よく見ると口吻を伸ばしていませんでした。 
翅を半開きのまま静止しています。 
日が射すとようやく翅を全開にしてくれて、翅表の斑紋からキアゲハの夏型♂と同定できました。 

このキアゲハ♂は尾根道に咲いたリョウブの花を見張り場所として、交尾相手の♀が来るのを待ち構えているようです。 
キアゲハの成虫は交尾のため山頂に集まることが知られていますが、この里山はすっきりと目立つ山頂を形成しないので、尾根に集まるようです。
上空を何か虫が飛来するとキアゲハ♂は見張り場所からすぐに飛び立って追いかけるので、一見すると好戦的に縄張りを防衛している(占有行動)ようです。
しかし実は目の識別能力があまり高くなくて、誤認求愛で追いかけ回しているだけなのだそうです。 
キアゲハ♂は尾根道に沿って何度も往復すると、同じリョウブの花に舞い戻ってきます。 
このような行動は、縄張り防衛のためチョウが蝶道を形成しているのだと説明されてきましたが、それも誤認求愛による追尾の結果かもしれません。 

一方、キムネクマバチXylocopa appendiculata circumvolans)の雄蜂♂もリョウブの花の近くで縄張りを張り、停空飛翔(ホバリング)していました。 
クマバチ♂の目的も同じで、蜜源植物の近くの空域で縄張りを張り、交尾相手のクマバチ♀を待ち構えているのです。 
クマバチの交尾は早い者勝ちのため、近くを飛ぶ物にとにかく早く飛びつくのが肝心で、相手をじっくり見分けている暇はありません。 
石ころを投げつけても誤認してクマバチ♂は全速力で追いかけて行くぐらい慌てものです。 


この2種がリョウブの花の近くで出会うと、キアゲハ♂が見張り場所から飛び立ち、クマバチを追い払いました。 

リョウブの花から飛び立ったキアゲハ♂が蝶道を何度か往復してから同じ見張り場所に戻ってくる様子を証拠映像に撮りたかったのですが、予想が外れ、なぜか戻って来ませんでした。 
うーん、生き物の観察はなかなか思い通りに行きません。


【アフィリエイト】

ランダムに記事を読む