2021/05/15

雪山に残されたニホンイノシシのフィールドサイン(その2)足跡、糞、小便跡、血痕など

 

2021年1月中旬・午前11:45〜午後14:00頃・晴れ  


逃げた2頭のニホンイノシシSus scrofa leucomystax)が雪面に残した蹄の足跡を辿り、猟師(マタギ)気分で追跡してみましょう。(アニマルトラッキング) 
この日の里山は雪面がクラストしている(凍っている)ため、スノーシュー(西洋かんじき)という文明の利器を履いた私は深い雪の中に全く足が沈まずにザクザクと軽快に歩けます。 
一方イノシシは一歩ずつ蹄が深い雪の中に潜ってしまうので苦行のラッセルになります。 

雪山の斜面をトラバースするようにしばらく進むと、杉林の中に湧き水が溜まった池がありました。 
泥浴びが好きなイノシシにとって絶好のヌタ場になりそうですが、慌てて逃げたイノシシは池に入らず素通りしていました。 
さすがに冬は泥浴びをしないのですかね?
恒温動物の哺乳類が厳冬期の雪山でわざわざ体を水で濡らすのは自殺行為ではないかと思います。
やがて、足跡(蹄跡)の上にイノシシの新鮮な糞が残されていました。 
糞塊の横に15cm定規を置いて採寸してみます。 
糞の前方に、黄色い小便で雪を溶かした跡がありました。 
立ち止まって大小便を同時に排泄したようです。

更に進むと、足跡の右横に小さくて新鮮な糞塊が2個転がっていました。 
小枝を使って2個の糞をほぐして糞内容物を調べてみました。
このイノシシ個体は山麓の果樹園でリンゴの落果を拾い食いしたことが痕跡(足跡、食痕、および糞)で分かっています。(詳細は次回の記事で)
リンゴ果実の種子が未消化のまま糞に含まれているかと期待したのですが、素人目では見つかりませんでした。
糞の付いた小枝の先を匂ってみても、普通の糞便臭がわずかにするだけで、イノシシに独特の匂いはありませんでした。
本来なら見つけた糞塊を全て回収して内容物をしっかり調べるべきなのですけど、そこまでの根性はありませんでした。




ニホンイノシシが雪深い雑木林を通り抜ける際に、ニホンカモシカCapricornis crispus)が歩いた足跡(蹄跡)と交差していました。 
カモシカが残した古い溜め糞が雪面に散乱していて、イノシシはその上を踏んで通り過ぎていました。 
カモシカ(ウシ科)とイノシシ(イノシシ科)は同じ有蹄類でも食性が違うので(草食と雑食)、糞の形状も色も全く異なります。 
イノシシが追跡者を惑わすためにわざとカモシカの溜め糞の上を通ったのだとしたら、興味深いです。(匂い消し?)
カモシカの溜め糞を通り過ぎてから少し離れた所でイノシシも脱糞していました。(小さな糞塊2個)
有蹄類(イノシシ、カモシカ)が雪面に残した足跡の特徴として、深雪から蹄を抜いて前方に踏み出す時に、雪面を蹄の先で引っ掻いたような2本の線が引かれていることがあります。 
これで足跡の進行方向を見極めることが出来ます。 
常に縦列で逃げる2頭のイノシシは、疲れないように先頭交代しながら雪山をラッセルしているのでしょうか?
イノシシとこの日初めて出会ったばかりの私は足跡だけで個体識別はできませんが、先頭個体を追い越すような足跡の乱れは無かったと思います。
ただし、山中の立木を回り込む際には縦列の足跡が乱れることがありました。(一度別れて再び合流)


雪に深く潜った蹄の跡の中に糞塊が連続して3個残されていました。 
逃走中のイノシシはかなり頻繁に排便していることが分かりました。
立ち止まって大量に排尿した跡も見つかりました。(血尿?)
 

ときどき足跡の周囲の雪面に赤い血痕が点々と見つかるようになりました。 
イノシシ♀が経血を垂らして歩くという話は聞いたことがありません。
そんなことになれば、肉食獣に嗅ぎつけられて捕食されてしまうでしょう。
雌が周期的に出血する「月経」があるのは,ヒトのほかはチンパンジー,コウモリ,ハネジネズミなど一部の動物だけだ。(『日経サイエンス  2019年11月号』の特別リポート「抜け落ちた視点 月経の科学的解明」より引用)

もしイノシシが吐血・喀血していたら病気が疑われるので心配です。 
イノシシの糞や血痕には私の素手で触れないように気をつけました。(野生動物からの感染症対策) 
しかし吐血ではなくて、おそらく足の脛やふくらはぎを怪我して出血しているようです。 
慌てて逃げる際に灌木の枝が突き刺さってしまったのか、あるいは固く凍った雪面を一歩ずつ踏み割りながらラッセルする際にギザギザになった氷で脚を切ってしまったのでしょう。
イノシシの血液を採取してDNA解析すれば、2頭の性別や血縁関係なども突き止められたかもしれません。

雪で埋もれた沢を渡ってから横の急斜面を直登する足跡の中に再び大量の糞塊を見つけました。 
今回は先導する個体が排泄した糞を後続の個体が踏んで歩いたようで、糞塊が汚らしく潰れています。(@3:52) 


新たに見つけたフィールドサインとして、イノシシがラッセルした後の雪面に薄っすらと泥汚れが残っていました。 
見つけたのは1箇所だけではありません。 
泥浴びするのが大好きなイノシシの体毛は泥だらけと言われています。 
深雪に胴体の下面を擦ったときに泥汚れが雪面に移ったのではないかと想像しました。

(イノシシによる)深雪の歩行パターン。シカやカモシカと比べて足が短いので、腹がすれてトレンチ状になっている。
開いた副蹄の跡が残る。 (熊谷さとし、安田守 『哺乳類のフィールドサイン観察ガイド』p79より引用)

2時間以上も休みなく追跡してきましたが、残念ながら2頭のイノシシには二度と遭遇できませんでした。 
途中で何度か走り去る鼻息が聞こえたような気もするのですけど、動画には撮れていません。 
山腹の斜面をトラバースして道なき道を北上したイノシシは、林道にぶつかると、つづら折れの林道を獣道として利用するようになりました(南西へ)。 
ヒトが切り開いた林道は無茶な急勾配になりませんし、雪面がある程度踏み固められていて(ラッセル不要)、イノシシも歩きやすいのでしょう。 
行き当りばったりで逃げているかと思いきや、イノシシはこの辺りの地形や林道を熟知しているのかな? 

狩猟採集民の時代からヒト(ホモ・サピエンス)の強みは知恵と持久力です。 
短距離走では獣に負けても足跡をひたすら辿れば必ずや追いつけるはずです。 
イノシシが道中で脱糞する頻度も下がってきました。 
水や食糧を携帯している私と違ってイノシシは何も食べずに逃げ続け、かなり疲れているはずです。 
そう信じて追跡を続けてきたのですがイノシシには追いつけず、深い谷の手前で私は立ち尽くしてしまいました。 
雪山の急斜面(崖)を下って深い谷へ降りて行くイノシシのラッセル跡が残っています。 
もし私がスキーを履いていたとしても、直滑降で下るのは無理な急勾配です。 
しかし恐れを知らないイノシシは躊躇せず真っ直ぐに谷底へ滑り降りていました。

 
よく晴れた午後は気温が上がりました。(日陰の雪面はクラスト状態のまま
凍っていた雪がどんどん溶けて、スノーシューでも非常に歩きにくくなりました(いわゆる「腐れ雪」)。 
この重い雪質でスノーシューを履いた私が急斜面を蛇行しながら下ると、雪崩を引き起こす危険があります。 
また、一旦谷底へ降りてしまうと、日が暮れる前に帰宅できなくなりそうです。 
せっかく撮れたスクープ映像を持ち帰るために、無理をせずにここで諦めて引き返すという決断をしました。 
無事に帰宅するまでが遠足です。

逃げるイノシシが雪山の急斜面を一気に下ったのは、しつこい追手をまくための最終手段だったのかもしれません。
そのシーンを動画に記録したかったなー。
こういうときにドローンを飛ばして空撮できれば楽しそうです。
同じ有蹄類でもカモシカは逆に急峻な山にどんどん登って行って追手をまいてしまうことが知られています。(岩山でも雪山でも平気で急斜面を登る)


2021/05/14

川で潜水漁を繰り返すホシハジロ♂(冬の野鳥)

 

2021年1月上旬・午後12:15頃・晴れ 

冬の川に集まったカモ類の混群の中で、潜水漁を繰り返すホシハジロ♂(Aythya ferina)に注目してみました。 
水中に潜ると、次にどこから浮上するか予想できません。
小魚を捕食しているのか、それとも水底の水草などを採食しているのか、映像からはメニューを突き止められませんでした。 
同一個体か複数個体か不明です。 

ホシハジロの方が珍しいのに、この日の私はなぜかキンクロハジロの潜水漁に気を取られてしまい、ホシハジロの撮影に集中できませんでした。

生ごみのサツマイモを採食する雪国のハシボソガラス(冬の野鳥)

 

2021年1月中旬・午前9:25頃・晴れ 

明け方の放射冷却現象のせいで、トウモロコシ畑に積もった雪の表面が固く凍っています。
クラスト状態の雪原をハシボソガラスCorvus corone)がトコトコ歩いて来ました。 
嘴には何か餌を咥えています。 
奥に見える小山のように盛り上がった雪の下には籾殻の山が積み上げてあり、家庭から出た生ごみと一緒に堆肥を作っているようです(コンポスト)。 
カラスはその生ゴミを漁り、サツマイモの輪切りを拾ってきたようです。 

そのご馳走をハシボソガラスは屋敷林(生垣)の根元にこっそり隠そうとしたものの、諦めて再び雪原に出てきました。 
私に隠し場所を見られていることを嫌ったのか、あるいはカチカチに凍った雪を掘ることができずに貯食を諦めたのでしょう。 

サツマイモの輪切りを足で押さえながら嘴でつついたものの、カチカチに冷凍されていて食べられません。 
カラスは左足で頭を掻くと、場所をあちこち変えながらなんとかサツマイモの輪切りを食べようとしています。 
サツマイモを咥えたまま真上に軽く飛び上がり、生垣の細い枝の茂みに着陸しました。 
何をしたいのか分かりません。(フラストレーションの転移行動?) 
餌を持て余したカラスは咥えたまま飛び立つと、奥の生ゴミ捨て場(堆肥)に戻りました。 
雪山の死角に入ってしまい、結局サツマイモの輪切りを貯食したのかそれとも凍ったまま食べたのか、不明です。 

私がもう少し離れたところから隠し撮りしていれば、貯食シーンを観察できたかもしれません。

生ごみにしては状態が良いサツマイモなので(腐ったりしていない)、誰かが冬の野鳥に給餌しているような気もしてきました。
餌を撒く現場を見た訳ではないので、ただの個人的な想像です。

2021/05/13

ツグミとヒヨドリが赤い実がついたハナミズキの並木道で縄張り争いの心理戦(冬の野鳥)

 

2021年1月上旬・午前後12:50頃・雪
前回の記事:▶ 冠雪したハナミズキ樹上および電線から脱糞して飛ぶツグミ(冬の野鳥)【HD動画&ハイスピード動画】
雪が降り続く昼下がりに街路樹のハナミズキ(別名アメリカヤマボウシ)の枝から飛び立ったツグミTurdus eunomus)は、車道を渡って反対側の歩道の街路樹に止まり直していました。 
大量に冠雪した枝が屋根代わりになっていて、降りしきる雪がかかりません。 
この木には赤く熟した果実が残っているので採食シーンを撮りたかったのですが、待てど暮せどツグミはハナミズキの熟果を食べてくれません。 
私のことを警戒しているのでしょうか? 

しばらくすると、同じ木に2羽のヒヨドリHypsipetes amaurotis)が相次いで飛来しました。 
初めヒヨドリはツグミから離れた枝に止まっていたのに、さり気なく近くの枝に移動したり、振り返ってツグミを見たりしています。 
結局、先客のツグミは赤い実を食べずに飛び去ってしまいました。 
数で勝るヒヨドリの心理的圧迫(多勢に無勢)に負けて逃げ出したように私には見えました。 
ツグミの追い払いに成功した(ように見えた)ヒヨドリは別の方向に飛び去り、少し離れた街路樹ハナミズキに止まり直しました。 
そこで赤い実を次々に採食しています。 
先客のヒヨドリと後から来たヒヨドリがハナミズキ樹上で鉢合わせになり驚いたようですが、喧嘩にはならず仲よく赤い熟果を啄んでいました。 

縄張り争いというほどあからさまな闘争をしなくても、神経戦でライバルのツグミを追い払ったようです。 
飛び立つ瞬間を1/5倍速のスローモーションでリプレイ。 
逃げたツグミはハナミズキの並木道を見下ろす電線に止まり直しました。

仮にヒヨドリの群れがいなければツグミがハナミズキの熟果を食べるシーンが撮れたはずだと信じているのですけど、もしかするとツグミの口に合わない(好みではない)のですかね? 

以前、熟柿を巡るツグミとヒヨドリの喧嘩を観察したことがあります。 
体長ではヒヨドリの方がツグミよりもやや大きいのですが、このときの力関係はほぼ互角のようでした。
▼関連記事(8年前の撮影) 
ツグミとヒヨドリの喧嘩【冬の野鳥:ハイスピード動画】

雪山に残されたニホンイノシシのフィールドサイン(その1)寝床?、牙研ぎ跡、糞

 

2021年1月中旬・午前11:30頃・晴れ
前回の記事:▶ 雪山をラッセルして逃げるニホンイノシシ2頭@山形県
ニホンイノシシSus scrofa leucomystax)2頭が直前まで隠れていた場所をじっくり調べてみましょう。 
この日の雪質はフカフカの新雪ではなく表面が固く凍っていました。(クラスト状態) 
スノーシュー(西洋かんじき)を履いた私がザクザク、ガリガリと騒々しい足音を立てながら登って来たのに、至近距離までイノシシに近づけたということは、きっとぐっすり寝ていたのでしょう。 
山麓の果樹園(標高295m地点)で前日(または夜)に落果を採食した後で雪深い山林に戻り、ここ(標高335m地点)をねぐらとして寝ていたようです。 

踏み固められた寝床の周囲の雪面には黄土色の新鮮な糞が大量に残されていました。 
複数回に分けて排便したようなので、ここに長時間留まっていたか、定期的に何度もここのトイレに戻って来た(溜め糞?)ということを物語っています。 

スギ(杉)の木の根元の雪が深く掘り返され、土が露出するほどの穴が開いていました。 
穴の底には雪解け水がわずかに溜まっていたのですけど、泥浴びをするための「ヌタ場」を自分で作ろうとしていたのでしょうか? 
ヌタ場にしては狭すぎる気がします。 
穴の底に小さな水たまり

寝床の横に立つスギの幹には、イノシシが牙を研いだような新鮮な傷跡が残っていました。 
縄張り宣言のマーキングをした「サインポスト」なのでしょうか? 
剥がされたスギの樹皮や落ち葉が寝床の雪面に散乱していたので、イノシシは寝心地を良くするためのクッション(断熱材の敷きわら・寝わら)を意図的に集めて敷き詰めたのかもしれません。 
雪深い里山でも寝床を作る習性がイノシシには残っているようです。
子育て・出産をするために作る「巣」と「寝床」は違いますが、作り方は共通したところがあるらしいです。 

スギ幹に牙研ぎ跡


川道武男、川道美枝子『けものウォッチング』という本を読むと、兵庫県六甲山系の禁猟区でニホンイノシシを追跡調査した話が書いてありました。
イノシシは昼行性である。(中略)日が沈み始めると、それまで土を掘っていそがしく餌を探していたイノシシが、きまって寝床に移動を始める。イノシシの寝床は地面を鼻で掘った楕円形の窪地で、ふつうその上に落葉などが敷かれている。寝床は使われるたびに整地し直され、また落葉がかき入れられるが、暗くなる頃には寝床の準備も終わる。 
 イノシシはいったん寝床にゴロンとなると翌朝まで起きない。そのうえ朝寝坊である。場合によっては、明るくなってから2時間、3時間もしないと起きない。そのため、睡眠時間は12時間を越えることが多い。寝ているときは静かであるが、よく寝返りを打っている。(p46より引用)
イノシシは蹄をもつけもの(有蹄類)の中で例外的に巣を作る。(同書p47より)

今泉忠明『アニマルトラック&バードトラックハンドブック』によると、
 イノシシは湿地で転げ回り、全身を泥まみれにする習性がある。これを“ヌタを打つ”といい、それをする場所が“ヌタ場”である。泥浴びした後イノシシは近くのマツの木の根元に行って、幹を牙で削り(牙かけ)、体をこすって松やにをつけ、体毛を磨く。(p13より引用)

ポケット版『学研の図鑑9:フィールド動物観察:足あと、食べあと、ふん』によれば、
イノシシのふんは、イノシシが土をほりかえした場所の近くや、ぬた場の近くなどでよく見つかります。(p82より引用) 
・ニホンイノシシが地面をほりかえしたあと:きばと鼻の先を使ってほりおこしますが、まるでトラクターでほりおこしたようになります。 
・ニホンイノシシがほりかえしたあな:はば1m以上になるようなあなもあります。(p48より)


つづく→逃げたイノシシの追跡を再開



【追記】
高橋春成『泳ぐイノシシの時代 (びわ湖の森の生き物)』によれば、
 かつて私(筆者:しぐま註)は、滋賀県の雪深い伊吹山地を猟場とする狩猟者から、イノシシがマツやスギの大木の下に雪を取り除いた浅い凹地を作って雪をしのいでいるといった話を聞いたことがあり、実際にそのような現場を目撃した。 (p111より引用)
今回私が見つけた現場をまさに説明するような記述でした。


2021/05/12

マガモ♂の求愛誇示 その3:♂同士の小競り合いなど(冬の野鳥)

 

2020年11月中旬・午後15:25頃・くもり 

西日が射す夕方の川でマガモ♀♂(Anas platyrhynchos)の群れが求愛ディスプレーを繰り広げています。 

♂が水はね鳴き、そり縮み、見せかけ羽繕いを披露しています。 
ただし、どの♀個体に対するアピールなのか私には不明でした。 

突進遊泳(しぐま造語)は♀♂共にやっていました。 
♀の「突進遊泳」は♂をけしかけているのだそうです。 

♀の行動でもう一つ気になるのは、♂の後を斜め後ろから追いかけるように川面を遊泳しながら、閉じた嘴で水面を斜めに漕ぐような仕草です。 
自身の左右どちら側にでも嘴を水面に差し込んで漕いでいます。 
このとき嘴を閉じたままなので、水面採食行動ではなさそうです。 
私が見る限り♀しかやらないので、一種の求愛誇示(おそらく♂へのけしかけ)だと思います。 
「嘴漕ぎ遊泳」と勝手に造語してみました。 

求愛の合間に夕方の行水を始める♀♂個体がいました。 
水浴も求愛誇示(アピール手段)のレパートリーのひとつなのでしょうか? 
それならもっと頻繁にやる気がします。 

群れのあちこちで色んな行動が並行して巻き起こるので、1/5倍速のスローモーションでリプレイしてみます。(@1:55〜) 

♂同士の小競り合いもときどき勃発しました。 
背後から近づく♂に驚いて♂が慌てて飛び退くように逃げました。(@3:54) 
背後で羽繕い(見せかけ羽繕い?)していた♂が急に振り向くと、背後に居たライバル♂を軽く追い払いました。(@5:00) 
それと同時に、♀に一番近く(背後)でぴったりマークしていた別個体♂(おそらくα♂)が♀の右にいる♂に嘴でつつくような素振りを見せて「俺の♀に近づくなよ!」と牽制しました。

精米所の前で屑米を拾い食いするスズメの群れとハクセキレイ♂(冬の野鳥)

 

2021年1月中旬・午後15:30頃・晴れ 

大通り沿いにあるコイン精米所(無人精米所)の屋根や看板にスズメPasser montanus)が集まっていました。 
しばらくすると、スズメの群れは除雪された歩道に次々に舞い降りました。 

チュンチュン♪鳴き交わしながら、歩道の溝の水たまりから何かを啄んでいます。 
おそらく精米所に出入りするヒトが落としてしまった(こぼした)米粒や、精米機のメンテナンスで洗い流した屑米(米粉?)が側溝の横に散乱しているのでしょう。 
餌の乏しい雪国の野鳥にとって貴重な食糧です。 
ヒトの暮らしに依存したシナントロープであるスズメらしい食生活ですね。 
初めはスズメが水たまりで飲水しているようにも見えたのですが、水中に嘴を突っ込んだ直後に首を素早く左右に振り、水気を切ってから米粒を食べているようです。 

交通量の多い大通りの反対側から撮影したので、車が通るたびに画面が遮られて邪魔ですね…。 
横を車が走っても腹を空かせたスズメは気にせずに採食しています。 
食餌に夢中でも歩行者が通りかかるとスズメの群れ(計16羽?)は一斉に飛び立ち、近くの民家の庭木(落葉灌木)やコイン精米所の屋根、看板などに一時避難します。 
危険が去ると再び精米所前の歩道に戻って来て、屑米の採食を再開。 

スズメの群れに混じって1羽のハクセキレイ♂若鳥(Motacilla alba lugens)も歩道を走り回って屑米を採食していました。 
嘴の根元が黄色っぽい若鳥でした。 
ハクセキレイ♂の方がスズメよりも図太く、ヒトが歩いて来てもギリギリまで精米所の前に居残っていました。 

撮影後に精米所前の歩道を現場検証したのですけど、生米や籾米、屑米などは見つけられませんでした。 
全て野鳥が食べ尽くしてしまったようです。 
採食シーンの動画撮影は切り上げ時の見極めが大切で、採食メニューが分からないときは早めに撮影を打ち切って現場検証しないといけません。 

精米所の周辺は冬に限らずスズメが集まっていそうなので、今後も新たなバードウォッチング・ポイント(街なかの探鳥地)として注目していくつもりです。

 

2021/05/11

飛びながら脱糞し、雪原で羽繕いするダイサギ(冬の野鳥)

 

2021年1月中旬・午後15:10頃・晴れ 

雪が積もった田園地帯の横の道路を私が通りかかると、近くに居たらしい1羽のダイサギArdea alba)が飛んで逃げました。 
一面の銀世界を低空で飛び去る白鷺は絵になりますね。 
前半は優雅に羽ばたき、後半は滑空しました。 
空中で白い液状便を大量に排泄してから(@0:10)、雪原に着陸しました。 
着陸前に排便するのは珍しく思いました。 
脱糞シーンおよび、減速・着陸シーンを1/5倍速のスローモーションでお楽しみください。 
直後に等倍速でリプレイ。 
減速と同時に両足を前方に伸ばし着陸に備えていました。 

雪面はクラストしている(硬く凍っている)ようで、ダイサギが歩いても足が潜りません。 
その後は雪原にひたすら佇んでいました。 
田んぼの用水路に移動して小魚などの獲物を捕食するかと期待したのですが、動きませんでした。 
私が立ち去るのを待っているのか、あるいは用水路も雪で完全に埋もれてしまって採餌できないのかもしれません。 
ダイサギは長い首を伸ばしたり辺りをキョロキョロ見回したりしています。 
やがて胸元の羽毛を嘴で整え始めました(羽繕い)。 

サギ類が冬の田んぼで野ネズミを捕食するという話を読んだので、もしや…と期待したのですが、このダイサギは雪原にただ突っ立って休んでいるだけでした。
冬の水田のあぜ道にアオサギが突っ立っていることがしばしばあり、いったい何をしているのかと思っていたのですが、哺乳類の研究者に「あれはネズミが穴から出てくるのを待っているんだ」と言われたことがありました。(松原始『鳥類学者の目のツケドコロ』より引用)
野ネズミを捕食する決定的瞬間を動画に撮るのは、よっぽど幸運が巡ってこないと難しそうです。
雪が積もらない暖冬の年ならチャンスがあるかもしれません。 

この冬は少し離れた別の場所(ヒマラヤスギ林)にあるダイサギの集団塒について調べていました。 
今回の個体も日が暮れるとそこへ塒入りするのか、あるいは背後に見えている別のスギ林に就塒するのか(新しい冬塒?)、気になりました。 
しかし、この日の私はとても疲れていて、塒入りまで見届ける気力がありませんでした。 
しつこくカメラを向けていると警戒心の強いダイサギは逃げてしまうので、ブラインドを使うか充分に離れるか、工夫しないといけません。

民家の外壁にオオカマキリ♂

 

2020年9月下旬・午後14:45頃・晴れ 

山間部の集落で民家の庭を羽ばたいて高く飛んでいるカマキリがいました。 
慌ててカメラを向けたものの、貴重な飛翔シーンを撮るには間に合いませんでした。 
白い外壁に止まった後でズームインすると、褐色型のオオカマキリ♂(Tenodera sinensis)ですかね? 
身軽に飛んだ(=体重が軽い)ことと、触角がやや長いことから、♂だろうと思います。 
(チョウセンカマキリ♂の可能性は?) 
外壁は垂直で滑りやすく、カマキリは体重を支えきれず今にも滑落しそうです。 
再び飛ぶかと期待してしばらく長撮りしても、休んだままでした。(退屈なのでカット) 
♀なら日当たりのよい西向きの外壁の高いところに産卵してもおかしくありませんが、♂は一体何をしに来たのでしょう? 
高いところから♀を探しているのでしょうか?(探雌飛翔に疲れた?) 
それとも、毎晩暗くなると外灯が点いて獲物となる虫がよく集まるのかもしれません。

 

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