2021/07/03

ソメイヨシノの花で採餌するセイヨウミツバチ♀

 

2021年4月下旬・午後14:20頃・晴れ 

神社の境内にあるソメイヨシノの老木で花が満開に咲いていました。 
桜の木の下に立つと、多数の蜂の羽音が合唱のようにワーン♪と響き渡っていました。 
忙しなく訪花していたのは、セイヨウミツバチApis mellifera)のワーカー♀でした。 
意外にもこの組み合わせは初見です。 
後脚の花粉籠に少量の橙色の花粉団子を運んでいます。 
マクロモードでカメラをギリギリまで近づけてもミツバチは採餌に夢中で、逃げたり刺したりすることはありませんでした。 

桜の花弁がハラハラと散っていて、最高の花見日和でした。 
ソメイヨシノの若葉も少し開いています。 

※ 蜂の羽音が聞き取れるように、動画編集時に音声を正規化して音量を強制的に上げています。

キジ♂が刈田で追手をまいて行方をくらます2つの方法(野鳥)

 

2021年4月中旬・午後17:45頃・くもり 

夕方で薄暗くなってきた刈田でキジ♂(Phasianus versicolor)を見つけました。 
長年この田んぼを縄張りとする個体で、私とは顔馴染みです。 
キジ♂は農道を横切ると、刈田に侵入しました。 
畦から一段下の刈田に降りたキジ♂を私は一瞬見失ってしまいました。 
手前の畦の死角に入ったキジ♂は全速力で右へ駆けて行きました。 
その先には隠れ家のヨシ原があるのです。 
ただしヨシ原は未だ芽吹いておらず枯れた状態で、おそらく隠れ家には使えないのでしょう。 
その手は食わぬぞ!と私は動画を撮り続けます。 
キジ♂は刈田を横断して畦道に登ると、立ち止まって周囲を見渡しています。 
いかにも母衣打ちを披露しそうな雰囲気ですけど、鳴きませんでした。 
キジ♂は夕方になると鳴かなくなるようです。 
私に見られていることに気づいたキジ♂は、ヨシ原へ逃げ込むことは諦めたようです。 
方向転換すると、畦道から奥の刈田に降りました。 
また死角に入ったキジ♂を私は見失ってしまいました。 
諦めてカメラをズームアウトすると、刈田を助走してから低空で墓地の左へ飛び去るキジ♂の姿が写っていました。(撮影中は気づいていません。) 
飛び去る時も敵に見つからないように低空で隠密飛行するのがポイントです。
キジ♂はヒトや天敵に見られていることを意識して、畦という死角を利用しながら走ったり飛んだりして行方をくらますことができると分かりました。 
緩急をつけた逃げ方が見事です。 
キジ♂に知性の片鱗を感じたのは初めてです。 
逃走および飛び立つ瞬間を1/5倍速のスローモーションでリプレイ。

この個体♂と出会う度に知恵比べのような隠れんぼが繰り広げられます。
つづく→
 

2021/07/02

リンゴの花蜜を吸うクマバチ♂

 

2021年4月下旬・午後14:10頃・くもり 

果樹園で訪花昆虫を観察するのが今春のテーマです。 
最近のリンゴ園はほとんどハウス栽培のようなもので、果実が育つ間は寒冷紗?やネットで木全体を覆っています。(鳥害対策?) 
しかし花が咲く時期は授粉を助けるハナバチ類が自由に訪花してくれるように、覆いをかけずに開放状態にしてあります。 
 白い花が満開に咲き乱れるリンゴ園の横を通りかかった時に重低音の羽音が近くで聞こえました。 
羽音の主を必死で探すと、樹冠部でキムネクマバチ♂(Xylocopa appendiculata circumvolans)がリンゴに訪花していました。 
 忙しなく飛び回るので、1/5倍速のスローモーションでリプレイしてみましょう。(@1:23〜) 
リンゴの花の手前でホバリング(停空飛翔)しながら、身繕いすることがありました。(@2:06および4:50) 

逆光の条件でクマバチを撮ったので、初めは性別不明でした。 
写真ならストロボを焚けば逆光を克服できるのですが、動画派は編集時にひと工夫が必要です。 
いつものようにコントラストを上げると、逆光条件では被写体の影が強調されて黒く潰れてしまいます。 
単純に画面全体の明るさを上げると、不自然に白飛びする部分が出てきてしまいます。 
今回初めて動画編集ソフト(Kdenlive)でトーンカーブを調整して逆光を補正するテクニックを試してみました。 
具体的なやり方はYouTubeでチュートリアル動画が多数公開されているので助かりました。 
良い時代になったものです。 
逆光補正の結果、蜂が正面を向いた瞬間に、頭楯が白い雄蜂♂と判明しました。 
複眼も大きく発達しています。 
後脚の花粉籠が空荷に見えたのですけど、雄蜂♂は集粉しませんから花粉籠が無いのも当然です。 
逆光補正がこんなに簡単で効果抜群なら、他の動画でも手直ししたい作品が沢山あります…。 

余談ですが、同じ日に別の場所でホバリング(縄張り占有飛翔)するクマバチの雄蜂♂を複数見ています。(今季の初見日) 
マバチは雄性先熟ですから、♀が羽化する前に♂が栄養補給しているのでしょう。

 

産座の巣材として樹皮を拾い集めるハシボソガラス(野鳥)

 

2021年4月中旬・午後13:30頃・晴れ 

川沿いの雑木林が伐採された跡でハシボソガラスCorvus corone)が巣材を集めていました。 
伐採した枝を積み上げた横に、剥いた樹皮がまとめて捨てられていました。 
それをハシボソガラスが足で押さえながら嘴で引張り、細く裂いて拾い集めています。 
欲張ってたくさん束ねようとしても咥え切れずに樹皮を落としてしまうのが微笑ましいですね。 
ハシボソガラスが小枝以外の巣材(柔らかい産座用)を集めるシーンは初見です。 
(ハシブトガラスでは最近撮影済み
嘴に巣材の樹皮を限界まで咥えたまま、材木を積み上げた上にピョンと飛び乗ると、その台から飛び立ちました。 
強風に煽られながら必死に羽ばたいて川を飛び越えると、どこか樹上の巣に巣材を搬入したようです。 
手前の灌木が邪魔になり、肝心の営巣木を突き止められず残念でした。 
長距離を運ぶ間に巣材を落とさないのか心配になりましたが、映像を見直しても樹皮を落としてはいませんでした。 
多数の枝を組み上げて巣の外側を作った後に、内側に詰め込む産座としてカラスは樹皮も使うのでしょう。
巣材の小枝も同じ場所で集めていたのかもしれません。


2021/07/01

池で孵化したヤマアカガエル幼生の群れが遊泳・採食

前回の記事:▶ 浅い繁殖池の底に隠れるヤマアカガエルの群れ

2021年4月中旬・午後16:45頃・晴れ 

前回の観察から25日後、ヤマアカガエルRana ornativentris)の繁殖池Hを久しぶりに訪れました。 
岸辺に産みつけられた卵塊をチェックしてみると、透明なゼラチン質の中で初めは黒い点だったのが胚発生が進んでオタマジャクシの形が作られつつあります。 
しかし、これは遅い時期に産卵された卵塊のようです。 

ヤマアカガエルの産卵時期には数日のずれがあるようで、初めに産みつけられた卵塊からは既に多数の黒いオタマジャクシ(幼生)が孵化していました。 
多くの個体は卵塊付近の浅い水底に留まって静止しています。 
ときどき尾を左右に振って遊泳し、池の底の泥に頭を突っ込んで有機物を採食しています。 
この池Hには抽水植物が生えないぐらい水深が深く、素人目には栄養が乏しいのではないかと心配していたのですが、大丈夫そうです。 

たまに水面近くまで浮上する個体がいて、すぐに池の底に戻ります。 
息継ぎのための上下動かと一瞬思ったのですが、落ち着いて考えるとオタマジャクシは鰓呼吸ですから、息継ぎは不要のはずです。 

※ レンズに円偏光(CPL)フィルターを装着して撮影。 
最後にズームアウトすると、水面に反射した飛行機雲が写っています。 

いつかヤマアカガエルの卵塊を採集して、オタマジャクシを飼育してみたいものです。 
他にもやりたいことが多過ぎて、なかなか手が回りません。 

桜の花を摘み取って盗蜜するスズメ(野鳥)

 

2021年4月中旬・午後16:15頃・晴れ 

公園で満開に咲いたソメイヨシノの老木でスズメPasser montanus)の群れが訪花していました。 
スズメは桜の花柄を嘴で摘むと千切り取り、花の根元の花蜜だけ吸って捨ててしまいます。 
桜からしてみれば授粉の報酬として用意した花蜜をスズメに一方的に盗まれるだけなので、大損害になります。 
桜吹雪は花弁が風で散るだけですが、スズメが狼藉を働いた後は桜の木の下に無傷の落花が(花柄ごと)散乱することになります。 

この有名な盗蜜シーンを撮りたくて長年狙ってきたのですが、警戒心が強いスズメはいつも逃げてしまいがちです。 
今回のスズメは人馴れしているのか、桜の木の下に居た私をあまり気にせず盗蜜に没頭していました。 
動画の後半は、スズメの盗蜜行動を1/5倍速のスローモーションでリプレイ。(@1:19〜) 
2羽の個体を撮影した映像です。 

竹内将俊・飯嶋一浩・田村正人『桜をめぐる生きものたち』という書物によると、
桜が開花してまもなく、萼筒から切り落とされた花が目に付くようになる。満開になったソメイヨシノの下などは、かなりの数の花が落ちているのでお気づきの方もいるだろう。じつはこれ、スズメの仕業なのである。舌が短いスズメは花の正面から花蜜を吸うことが苦手である。そこで花蜜の溜まっている萼筒で花を切り取り、蜜を吸っては捨てるという行動を繰り返すのである。(p76より引用)
スズメの方は蜜を食べたいのだが、舌が短いので花を萼筒からちぎって、蜜を舐めては捨てるという行動を繰り返すことになる。桜にとっては将来実になる花をちぎって捨てるスズメは害鳥以外の何者でもない。 (同書p79より引用)

2021/06/30

ハルザキヤマガラシに訪花・吸蜜するナミハナアブ♀【HD動画&ハイスピード動画】

 

2021年4月下旬・午後13:45頃・晴れ 

田園地帯の農道に沿ってハルザキヤマガラシというヨーロッパ原産の帰化植物が菜の花のような黄色い花を咲かせていました。
その群落でナミハナアブ♀(Eristalis tenax)が訪花していました。 
黄色い花序を歩き回りながら花蜜や花粉を舐めています。 
ときどき前脚同士を擦り合わせたり顔を拭ったりと身繕いしました。 
シマハナアブと似ているのですが、ナミハナアブの脛節は中央が膨らんだ紡錘形なのが特徴です。 

ハナアブ類はヒトの気配に敏感なので、マクロレンズで接写できるほど近寄れないと判断し、望遠マクロで撮影しました。 
花から飛び立つ瞬間を狙って240-fpsのハイスピード動画でも撮ってみました。(@2:31〜) 
飛び立つと空中で方向転換し、すぐ隣の花へ着陸しました。

※ 『帰化&外来植物 見分け方マニュアル950種』のKindle版 (電子書籍)版が7/8までの期間限定で半額セール中です。

 

ノスリの鳴き真似♪をするカケス(野鳥)

 

2021年4月中旬・午後16:35頃・晴れ 

カケスGarrulus glandarius)が山麓の果樹園の方からゆっくりとした奇妙な飛び方で飛来しました。 
てっきり求愛ディスプレイのための特殊の飛び方なのかと思ったのですが、飛翔シーンを動画に撮り損ねたのは残念です。 
『フィールドのための野鳥図鑑:野山の鳥』でカケスを調べると「飛翔はふわふわと直線的。」と書いてあったので、これが普通の飛び方なのかもしれません。 

落葉樹(おそらく樹種はオニグルミ?)の枝に止まったカケスが甲高くピーエ♪と鳴いたので驚きました。(@0:07〜0:09) 
カケスの鳴き声と言えばジェージェー♪という濁声ですが、他種の鳥の鳴き真似をすることも知られています。 
今回はおそらくノスリButeo japonicus)の鳴き真似だと思います。 
嘴の動きと鳴き声が同期したので(リップシンクロ)、この個体の鳴き声で間違いありません。 
三重県総合博物館のホームページによると
カケスはしゃがれた声で「ジャー」とか「ジェーイ」と鳴きます。カケスの英語名の「Jay」は、鳴き声そのものです。また、他の鳥や動物の鳴き声を真似することが得意で、ノスリやサシバなどの鳥や、ネコの鳴き声、さらには「おーい」という人の声なども真似たりします。
後ろを向いていたのに下からカメラを向けている私に気づいたようで、二声しか鳴いてくれませんでした。 
近くの針葉樹の高木(カラマツ?)の茂みに逃げ込んだカケスを私は見失ってしまいました。 (撮影はここまで。) 
最後はジェージェー♪と警戒声を発して飛び去りました。 

カケスの鳴き真似を実際に観察できたのは初めてで、とても嬉しい収穫でした。 
声紋解析してみたいのですが、近くを流れる用水路の水音がピンクノイズとなり、きれいな声紋が得られませんでした。 

動画ではホオジロ♂?(自信なし)の囀りさえずりも聞こえますけど、カケスとリップシンクロしないので、これは近くで本当にホオジロ♂?が鳴いているのでしょう。 
今回のカケスは鳴き真似をしたことで周囲に「嘘をついた」ことになります。 
他の小鳥が怖がって縄張りに近寄らない効果がありそうだ、と思いつきました。(虎の威を借る狐) 
しかし大型の猛禽であるノスリは小鳥を狩るのは得意でないので、ノスリの鳴き声を聞いた小鳥が果たして本当に怖がるかどうか疑問です。 

※ 鳴き声が聞き取れるように、動画編集時に音声を正規化して音量を強制的に上げています。

 
比較のために、ノスリが実際にピーェ、ピーェ♪と繰り返し鳴いている動画を載せておきます。 
このとき周囲の小鳥(オオヨシキリなど)は囀りを止めたりパニックになって逃げ出したりすることはありませんでした。


【追記】
ピッキオ『鳥のおもしろ私生活:森の野鳥観察図鑑』でカケスを調べると、
まねた相手がいなくなってからも、その声を自分の鳴き声のレパートリーとしてもち続ける。(p66より引用)


2021/06/29

シダレザクラの樹上で花見しながら羽繕いするハシボソガラス(野鳥)

 

2021年4月中旬・午前10:25頃・晴れ 

民家の庭でシダレザクラ(枝垂桜)の花が咲いています。 
その樹上でハシボソガラスCorvus corone)が念入りに羽繕いしていました。 
途中、足で頭を掻いています。 
急に嗄れ声鳴き始め♪、飛び去りました。

飛んで止まり木をあちこち変えるノスリ(野鳥)

 

2021年4月中旬・午後15:30頃・晴れ 

春の田園地帯で顔馴染みのノスリButeo japonicus)と出会いました。 
初めは刈田の畦道に立っていました。 
普段は見晴らしの良い止まり木で獲物を探しているノスリを地上で見かけるのは珍しいです。
野ネズミを狩ろうとして失敗したのかな?

急に畦道から飛び立つと、少し飛んでから畦道に突き刺してあるポールの天辺にフワリと止まりました。 
飛翔シーンを流し撮りすると、羽ばたく際に翼の裏面の斑紋からノスリと確定しました。 
フワフワと柔らかそうな脛の白い羽毛が春風になびいています。 
よく晴れているため、背後の刈田から陽炎が立ち昇っています。 

ポールの天辺から再び飛び立つと、力強い羽ばたきと滑翔を交互に繰り返し、用水路を渡る橋の欄干(ガードレール)の天辺に着地しました。 
そこでしばらく休んでいたノスリが前屈みになり、尾羽をゆっくりと持ち上げると総排泄孔から少量の白い液状便を排泄しました。 
糞は橋の上に落ちたようです。 
真後ろからのアングルで脱糞シーンを撮影できたのは初めてで、総排泄孔の位置がよく分かりました。 

私が撮りながら近づくと、ノスリは後ろを向いていたのにすぐに気づいて飛び去りました。
今度は山麓の農村部に立つ電線に止まりました。
そこでノスリは胸の羽毛を嘴で整えています。 

飛び立ちと脱糞の瞬間を1/5倍速のスローモーションでリプレイ。

2021/06/28

畑の土からミネラル摂取するモンシロチョウ♂

 

2021年4月中旬・午後15:00頃・晴れ 

畑でモンシロチョウ♂(Pieris rapae)が低空で飛び回っていました。 
この春に羽化したばかりの個体です。 
やがて畑に着陸すると、口吻を伸ばして湿った土を舐め始めました。 
翅はやや半開きのままで一心不乱に吸水を続けています。 
土壌に含まれるミネラル成分を摂取しているのでしょう。
関連記事(2、5年前の撮影)▶  
畑の土で吸水するモンシロチョウ 
畑の土を舐めてミネラル摂取するモンシロチョウ♀♂
先を急ぐ用事があった私は、蝶が飛び立つまで待てませんでした。 
撮影を止めて私が動いた途端にモンシロチョウ♂は飛んで逃げました。 
この畑にはおそらくアブラナ科と思われる野菜を植えた畝があるので、産卵しに飛来する♀を♂は虎視眈々と待ち構えているようです。

キジ♀につきまとう♂:配偶者ガード(春の野鳥)

 

2021年4月中旬・午後15:10頃・晴れ 

何か作物を昨年刈り取った後の畑なのか、郊外の休耕地でキジPhasianus versicolor)の♀♂つがいを見つけました。 
私にとって♂よりも♀の方が珍しいので、♀の行動に注目することにしました。 
キジ♀は地味な色ですけど、未だ枯れ草の多い原っぱでは見事な保護色となって紛れ込んでいます。 
静止していたらまず見つけられないでしょう。 
歩き回って餌を探しているようです。 
冒頭で、キジ♀が軽く屈みながら脱糞していました。(@0:06
一方、派手な色の♂は♀の後を少し離れてついて来ます。 
先導するキジ♀が車道に近づいたものの、大型トラックが轟音を立てて走り抜けると驚いて原っぱに駆け戻りました。 
自由気ままに地上採食しているように見える♀も、やはりいざとなると♂の傍が安心するようです。
しばらくすると再び♀が移動を始め、舗装された車道を遂に横断しました。 
♂も♀の後を追って車道を渡り始めました。 
向こうから軽トラが走って来たので最後は焦って少し小走りになり、無事に♂も車道を渡り切りました。 
田舎の道でも昼間は交通量が結構あります。 
目の前でキジ♀♂が車に轢かれずに済んで、私もホッとしました。 

キジ♀♂のペアは、枯れ草や蔓植物の藪に覆われた空き地を移動しています。 
♂は歩きながらときどき地面をついばみました。 
ラッパスイセンの黄色い花が咲いている横を素通りすると、 段差を跳び上がって、原っぱから隣の駐車場の敷地に侵入しました。 

キジの婚姻形態は一夫多妻のハーレムもあり得るのですけど、今回は一夫一妻でした。 
キジ♂は♀を先導することは一度もなく、ただ♀の後を従順について歩くだけでした。 
♂は頭を下げて歩きますが、ときどき頭を高く上げて背伸びして、先を行く♀の姿を探します。 
交尾のチャンスが巡ってくるまで♀がライバル♂に奪われないように「配偶者ガード」しているのでしょう。 
キジ♂の縄張りの外に♀が出そうになった時も「去る者は追わず」なのか、興味深いところです。
▼関連記事(4、5、8年前の撮影) 
田んぼで♀の尻を追いかけるキジ♂(野鳥) 
農道で採食するキジ(野鳥)の♂♀つがい 
春の湿地帯で採食するキジの♂1♀2ハレム(野鳥)
採食しながらどんどん移動を続ける♀は、低い土手を登りました。 
最後だけ♂が先導するように土手を越えて向こう側に降りました。 
♀も♂の後を追って土手を越えました。 
満開の桜(ソメイヨシノ)や落葉樹が植栽された土手の奥は某施設の駐車場になっていて、ヒトや車がよく通るはずですが、忍び込んだキジ♀♂は大丈夫かな? 
ここで私は見失ってしまいました。 
キジ♀は一体どこに営巣するのでしょう? 

今回、配偶者ガード中のキジ♂はなぜか一度も縄張り宣言の母衣打ち♪をしませんでした。 
石塚徹『歌う鳥のキモチ』という本を読んでいたら、その理由がしっかり書いてありました。
一般的には、つがい形成前に歌いたいキモチのピークが来て、♀の受精可能期間には、♂はそのガードに専念するため、あまり歌わない鳥が多い。
また、同書を読んで最も意外で勉強になった(目から鱗が落ちた!)のは、キジ♂の母衣打ち♪を鳥の専門家は囀りさえずりとは呼ばないということです。
私はここの理解があやふやでした。
 一般的に、鳴禽類(小鳥目=スズメ目)と亜鳴禽類(ヤイロチョウなど)が「歌う鳥」だ。それ以外の、キツツキ、アマツバメ、ハト、カッコウ、カワセミ、キジ、それに猛禽や水鳥などは「歌わない鳥」扱いとされる。それでも、音声コミュニケーションが発達していないわけではない。(中略)キジやヤマドリの♂は翼を自分の体に打ちつけ「ドドドドッ」と音を出す(ほろ打ち)(中略)小鳥(スズメ目:しぐま註)の歌が学習によるものなのに対し、小鳥以外のこれらの音声は本能によるものだ。すなわち遺伝的にインプットされたものなので、再生までのからくりが小鳥の歌とは違う。機能としては同じでも、小鳥以外の「繁殖期の特別な音声」は、厳密には歌とは定義されない。

2021/06/27

飛びながら池で水浴する2羽のツバメ【ハイスピード動画】(野鳥)

 

2021年4月中旬・午後15:15頃・晴れ

溜池の上を飛び回る2羽のツバメHirundo rustica)が高速で飛びながら池の水面に何度も飛び込んでいました。 
これはツバメに独特の水浴法です。 
240-fpsのハイスピード動画で撮ってみました。 
波紋が広がる水面に置きピンします。 

高速で飛ぶツバメが画面を何度も横切ります。 
水面にツバメがダイブすると水飛沫が上がりますが、潜水する訳ではありません。
まるで水切りの石投げ遊びのように、そのままツバメは飛び去ります。 
水面から飛び去る際に、濡れた尾羽を不規則に振っていました。 
これをツバメは何度も繰り返して行水するのです。 
その結果、池の水面に同心円状の波紋が広がります。 
池の中でも水浴に飛び込む地点は大体決まっているようでした。

逆光のアングルなのでツバメのシルエットしか写っていませんが、念願だったツバメの水浴飛翔を動画に記録できて大満足です。 
今回はハイスピード動画での撮影を優先しました。 
高画質のHD動画に切り替えようとしたら、ツバメはもう居なくなってしまいました。 
よく晴れて暑い日でしたが、気温を測るべきでしたね。 

菅原光二『科学のアルバム:ツバメのくらし』によると、  
ツバメはむかし、がけなどのかべに巣をつくっていたといわれています。そのため、歩くことのすくなくなったツバメの足は退化し、現在では、物にとまるぐらいの役めしかしません。しかし、空中で虫をおいかける生活をつづけたツバメのからだやつばさは、大空を自由にとべるように発達しました。(中略)  水あびや水のみも、ほとんどの鳥は地上におりたってしますが、ツバメは水面すれすれにかすめとび、瞬時に水あびをしたり、水をのんだりします。ツバメは、空中生活者なのです。(p44-45より引用)

七尾純『テクテク観察:ツバメ日記』によれば、
 水しぶきがあがりました。ツバメが池に飛びこんだのです。水浴びです。ツバメはからだを水面にたたきつけるように飛びこむと、水しぶきを飛ばしながら上空にまいもどりました。  池のあちこちで、水しぶきがあがっています。まるでショーを見ているようです。(中略) 「ああ、水浴びですよ。虫をおいかけながら、ときどきああやって水浴びをして、からだを冷やしたり、からだについたダニやよごれを落とすんですよ。」(中略) えさをつかまえるのも、水浴びをするのも、飛びながらです。そのかわり足が小さく、どろ集めのとき以外はめったに地面におりません。 (p64より引用)
ツバメが高速で飛びながら水面の水をすくって飲むシーンもハイスピード撮影してみたいテーマのひとつなのですけど、なかなかチャンスがありません。 
そもそもの問題として、私のフィールドで近年はツバメの数が激減している気がしてなりません。
おそらくツバメは住宅難(営巣地不足)で困っているのでしょう。
普通種のツバメがレアな鳥になる時代が来るなんて…。 

【追記】
1.5ヶ月後に同じ池でツバメの水浴シーンを高画質のFHD動画で撮影できました。

ツバメとカワラヒワの鳴き真似♪をするモズ♂(野鳥)

 

2021年4月中旬・午後15:40頃・晴れ 

田畑に灌漑する用水路沿いの落葉灌木(おそらくオニグルミ)にモズ♂(Lanius bucephalus)が止まって尾羽を上下に振り立てながら賑やかに鳴いていました。 
しかしよく耳を澄ますと、モズらしくない奇妙な鳴き声です。 
 ※ 動画編集時に音声を正規化して音量を強制的に上げています。 

撮影中はヒバリの囀りを真似しているのかと思ったのですが、動画で何度も聞き直すとカワラヒワ♂(Carduelis sinica)の鳴き真似でしょう。 
前半はツバメHirundo rustica)の鳴き真似と思われます。 
もしかするとムクドリの鳴き真似も混じっていますかね? 
絶対音感の無い私は鳥の鳴き声の聞きなしも苦手なので、間違いなどありましたらコメントお願いします。 

このとき、鳴き真似のモデルとなった種類の鳥はモズ♂の周囲におらず、反応を見れなかったのは残念です。
 
【追記】
大庭照代『鳴き真似の世界:鳥類の音響擬態』という総説を読むと、
 残念だが日本では私の知っている限り、またモズを丁寧に観察する人々の間でも、モデルの鳥がモズの鳴き真似に誘い出される様子は観察されていない。 (『擬態―だましあいの進化論〈2〉脊椎動物の擬態・化学擬態』p109より引用)

私が想像するに、♀に対する求愛歌(囀り)として鳴き真似のレパートリーを誇示するように熱唱していたと思うのですが、実際に近くでモズ♀が聞いていたのかどうか不明です。  
鳴き真似中のモズ♂は腹話術のように嘴をしっかり閉じているので、ほとんどリップシンクロしていません。(嘴の動きと鳴き声がほとんど一致しない。) 
百舌鳥はその名の通り鳴き真似の名手で、一流の腹話術師でもあることが分かりました。 

モズ♂の鳴き真似を声紋解析してみたいのですが、風切り音と私の背後を流れる用水路の水音がピンクノイズとなってきれいな声紋が得られそうにありません。 

最後にモズ♂は白い糞をポトリと1滴排泄すると止まり木の枝で方向転換し、飛び去りました。
▼関連記事(5〜8年前の撮影) 
モズ♂の鳴き真似♪と虫捕食、ペリット嘔吐【野鳥】 
モズ♂(野鳥)の鳴き真似♪を声紋解析してみる 
電線で鳴き真似♪を練習するモズ♂(野鳥) 
モズ♂(野鳥)がオオヨシキリの鳴き真似?

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