2023/09/09

雪崩に埋もれた渓谷を渡りかけて諦めるニホンカモシカ【トレイルカメラ】

前回の記事:▶ 深い雪に埋もれた渓谷を夜にラッセルして渡るニホンカモシカ【トレイルカメラ:暗視映像】 


2023年2月下旬 

雪山で深い渓谷を渡る野生動物を自動センサーカメラで見張っています。 
カメラの電池を交換するために現場入りすると、深い沢が雪崩で完全に埋もれていて仰天しました。 
渓谷の両岸よりも高くブロック状の雪の塊がゴロゴロと積み上がっています。 
こんな大きな雪塊が高速で急斜面を下ってきたら、ひとたまりもありませんね。
トレイルカメラを固定した杉の木のすぐ手前まで雪崩が迫っていました。 
雪崩でスギの大木ごとなぎ倒されてカメラが流出・破損してもおかしくありませんでしたが、奇跡的に無事でした。 
辺りの地形をよくよく確かめると、毎冬のように雪崩が繰り返される多発地帯だったようです。 
というか、毎年の雪崩とその雪解けによって山肌が侵食された結果、この渓谷やカールのような地形が形成されたのかもしれません。 

雪崩に埋もれかけたトレイルカメラを回収して撮れた動画を見直しても、残念ながら雪崩の起きた瞬間は記録されていませんでした。 
雪崩はいくら動きが激しくても極低温なので、カメラの熱源動体感知センサーが反応しません。 
トレイルカメラに記録された最後の動画は2/9の未明(4:30)でした。 
それから2/27までの期間で、雪崩がいつ発生したのか不明です。 
近くに地震計が設置してあれば、分かるかもしれません。
この雪崩跡が夏まで残れば雪渓と呼ばれますが、ここは標高の低い低山ですから初夏までに残雪は全て溶けて消失します。
高山で真夏でも溶けずに残る雪渓は、万年雪と呼ばれます。
雪崩跡を越えて左から右へ続く足跡。
驚いたことに、雪崩跡を横切るように野生動物の足跡が残されていました。 
2月に雪崩が発生した結果、カモシカなど野生動物はむしろ渓谷を渡河しやすくなったようです。 
雪崩で渓谷が埋もれて高低差が無くなり、険しい崖を登り降りする必要が無くなったからです。 

私もカモシカの蹄跡を辿りながら、雪崩に埋もれた渓谷を渡ってみようか迷いましたが、スノーブリッジの空洞を踏み抜いて崩落する危険があるので踏みとどまりました。 
渓谷を埋めた雪がみっしり詰まっていれば別に問題なく渡れるのですが、谷底を流れる沢によって雪が溶け、空洞が次第に大きくなるはずです。
その隠れた空洞の状態を予測できないのが危ないのです。
どうしても渡りたければ、長いポールを持参するなどの工夫が必要です。
雪面に突き刺して空洞の有無を探りながら渡るのです。
単独行で更に保険を掛けるのであれば、物干し竿くらい長いポールをもう1本用意して、腰の辺りに水平にしっかり固定してから渡ります。
まるで綱渡りのようですけど、バランスを取るためのポールではありません。
もし万一、空洞を踏み抜いて崩落しても、ポールに引っかかってクレバスの途中で体が止まるだろうという安全策です。
極地での単独行を得意とした冒険家、植村直己の本を子供の頃に読んだ際に確か書いてあったと記憶しています。

トレイルカメラは無事だったので、今度は雪崩で埋もれた谷を渡る野生動物を監視することにしました。 
別のスギ大木の幹にカメラを設置し直します。 
雪崩が毎年繰り返されるとしても、それに淘汰されずに残っている植林地の大木は安全だろうと判断しました。 
明るい昼間はセンサーカメラの誤作動が多いので、夜間のみ(17:00〜7:00)撮影するようにタイマーで設定しました。 
誤作動による無駄撮りを減らし、電池の節約にもなります。 
前置きはこのぐらいにして、撮れた映像をご覧ください。 

 

2023年3月上旬・午前6:30頃・(日の出時刻は午前6:09) 

早朝から1頭のニホンカモシカCapricornis crispus)が単独で此岸(右岸)に現れました。 
対岸まで先行者の足跡が続いているのに、この個体は雪崩で埋もれた谷になかなか足を踏み出せないでいます。 
久しぶりに来て地形の激変に戸惑っているのか、それともクレバスなどの危険性を知っていて逡巡しているのでしょうか? 
頭を上げたカモシカは、舌をペロペロ出し入れしていました。 
もしかして雪を食べていたのかな? 

ようやく意を決したように、雪崩谷を渡り始めました。 
雪崩の雪塊の表面は意外にもグズグズの腐れ雪でした。 
カモシカはすぐに立ち止まって、雪面の匂いを頻りに嗅いでいます。 
早朝の最低気温でも雪質が柔らかくて足元が悪いのでは、対岸へ安全に渡るのは無理だと賢明に判断したようです。 
カモシカの体重を支え切れずに蹄が雪に深く潜って歩きにくいだけでなく、下手するとスノーブリッジの空洞を踏み抜いてクレバスに落ち、脱出できなくなる恐れもあります。 

遂に渡河を諦めたカモシカは、此岸をカメラに向かって歩いて来ます。 
スギ林縁は日陰なので雪面はやや凍っていて、カモシカは蹄が深く潜らず楽に歩けます。 
旧機種のトレイルカメラは、動画撮影時に気温のデータが記録されないのが困ります。 
この個体は対岸へ安全に渡れるポイントを探して、渓谷の右岸を少し下るのでしょうか? 
雪国のカモシカの危険察知能力が高いこと(動物の第六感)を物語る映像でした。 
雪山で「勇気ある撤退」ができる臆病で慎重な個体が生き残るのでしょう。(自然淘汰)

雪崩に巻き込まれたり、クレバスに落ちて足の骨を折ってしまうと致命的です。 
毎年春になると、雪の溶けた沢筋でカモシカの死骸がよく見つかると聞いたことがあります。 
今度探してみようかな? 




【追記】
ダーウィンが来た!2024年5月19日放送回高山に異変!カモシカ大調査』で、雪山に暮らすニホンカモシカの興味深い生態が紹介されました。
雪崩が頻発する長野県の高山では、雪崩が発生する度にニホンカモシカがわざわざ雪崩跡の急斜面に集まってきて、雪の下から露出した植物を採食するのだそうです。

私がカモシカを観察しているフィールドは、標高が低い低山ですし、ニホンジカが暮らせない多雪地帯なので、状況がまるで違います。
私はこれまで、雪崩が発生した跡の急斜面でカモシカを見たことはありません。
シカと餌を奪い合う必要がない当地のカモシカは、厳冬期でもそれほど餌に困っていないようです。


以下の写真は、2月下旬に撮った同じ低山の別な(軽微な)雪崩跡です。 
問題の雪崩谷へ向かう途中で撮りました。
尾根に雪庇が発達しています。雪崩多発地帯の急斜面に樹木はほとんど生えていません。
ロール状に成長しながら転がる雪塊が斜面の途中に止まっています。


雪解け水の貯まった早春の池で水中を泳ぐクロゲンゴロウ?

 

2023年3月上旬・午後14:55頃・晴れ 

里山の雪がようやく溶け始め、山腹の池がようやく姿を現しました。 
残雪の雪解け水が貯まった池の水は冷たそうです。 
ヤマアカガエルの繁殖期が始まり、第一陣の♀が産み付けた卵塊が岸辺にありました。 
水面にはマツモムシが背泳ぎしています。 
それらは毎年早春に見られる風物詩ですが、今回は嬉しい初物との出会いがありました。 
池の水中を大型の黒い甲虫が泳いでいたのです。 

後脚で水を掻き、水面下をスイスイ泳いでいます。 
いわゆる普通のゲンゴロウにしては、鞘翅の黄色い縁取りがありません。 
おそらくクロゲンゴロウCybister brevis)ではないかと思うのですが、どうでしょうか。 

釣りをしない私は水生昆虫に疎く、生きたゲンゴロウを見たのは生まれて初めてでした。 
こんな早春に雪山の池で見られるとは驚きです。 
調べてみると、ゲンゴロウの仲間は成虫が池の枯れ草の下に潜って越冬するらしく、これは越冬明けの個体になります 

左右の足を同時に掻いて平泳ぎのように進みます。 
ゲンゴロウの仲間はてっきり太く発達した後脚だけをオールのように使うのかと思いきや、同時に前脚も使って泳いでいました。 

クロゲンゴロウ?は雪渓や沢からの雪解け水が流れ込む岸辺に達すると、泳ぎを止めました。 
池の水温を測りたいところですが、温度計を持ってきていませんでした。 

春風で水面が波立っているために、水中の姿がくっきりと撮れません。 
レンズに偏光フィルターを装着すれば、もっと明瞭に撮れたかな? 
クロゲンゴロウ?の左鞘翅の表面に白い傷のような線がついているように見えますが、鞘翅表面の光沢なのか、付着したゴミなのか、斑紋なのか、分かりません。
あいにく採集用の網を持ってきておらず、詳しく調べられなかったのが残念です。 

次に機会があれば、捕食シーンを観察してみたいものです。
飼育しないと無理かな?
レッドデータブックによれば、クロゲンゴロウは山形県で絶滅危惧種Ⅱ類(VU) に分類されているので、採集禁止かもしれません。


2023/09/08

残雪が溶ける早春に中州横の溜め糞場に通うホンドタヌキ【トレイルカメラ:暗視映像】

 



2023年3月上旬〜中旬 

川沿い(中州横)の雪原に残されたホンドタヌキNyctereutes viverrinus)の溜め糞場wnをトレイルカメラで監視しています。 
残雪が溶ける前後の記録をまとめました。 
この時期は単独個体ばかりが写りました。

シーン1:3/3・午後20:30・(@0:00〜) 
私が現場入りしてカメラの電池を交換したその日の晩に早速タヌキが現れました。 
夜霧が立ち込めています。 
川のすぐ横なので湿度が高く、霧がよく発生するのです。 
私が歩き回った雪面の匂いを嗅いだだけで、左下に立ち去りました。 


シーン2:3/4・午前3:40・(@0:14〜) 
7時間10分後、日付が変わった深夜にタヌキが再登場。 
今回も溜め糞場wnを素通りし、濃霧の中をタヌキの白く光る目が左に横切りました。 


シーン3:3/4・午後17:03・(@0:23〜) 
カメラの誤作動で明るい夕方にたまたま撮れた現場の様子です。 
ちなみに日の入り時刻は午後17:38。 

実は今回、トレイルカメラをこれまでとは逆の、川の方に向けて設置していました。 
画面の右から左に向かって川が流れていて、奥には中州が見えます。 
川岸は未だ残雪で覆われています。 
此岸の雪面に残されたタヌキの溜め糞(画面中央)は黒いので、昼間に太陽熱を吸収してどんどん雪の中に沈降します。 


シーン4:3/4・午後22:09・(@0:30〜)
晩になると、右(上流)から川辺りを歩いて来たタヌキが立ち止まってカメラを向いていました。 
凍結した雪面に座ると、体をねじって後足で右脇腹をボリボリと掻きました。 
そのまま左(下流)へ足早に立ち去りました。 


シーン5:3/7・午後21:01・(@0:43〜) 
3日後の晩に来たタヌキが、ようやく溜め糞場wnの雪の凹みに跨っていました。 
排便したかどうか気になるところですが、肝心なときにカメラのトラブルが発生して上手く撮れていません。 
(私の予想では、脱糞していません。)
タヌキは溜め糞場wnの窪みから出ると身震いしてから、右(上流)に立ち去りました。 


シーン6:3/8・午前1:46・(@0:59〜) 
どうやらタヌキがペアで来たのに、カメラの起動が遅れて先行する個体を撮り損ねたようです。 
後続の個体が川岸を左から右へ(上流へ)横切りました。 
溜め糞場には立ち寄りませんでした。 

余談ですが、白くて細い糸がいつの間にか画面の左上から右へ張り巡らされていて、夜風にそよいでいます。 
クモの幼体が糸を吹き流して空を飛ぶバルーニングに関係した糸でしょうか? 
啓蟄(大地が温まり冬眠をしていた虫が穴から出てくるころ)を過ぎた早春と言っても、ここは雪国です。
こんなに残雪があって未だ寒い時期にバルーニングするクモが居るとは知りませんでした。
東北地方の一部で雪迎え(秋のもの)、雪送り(春のもの)などと称する。(wikipediaより引用)
冬の季語である「雪迎え」は知っていましたが、これは「雪送り」なのかも。 
名著『飛行蜘蛛』を昔読んだはずなのに、内容をすっかり忘れてしまっています。 
また読み返さないといけません。 
筆者の錦三郎氏は山形県出身の偉大なるナチュラリストです。 
ただし、実際にこの目で観察しないことにはクモの糸とは決めつけられません。
例えば芋虫が越冬明けの早春に吐糸したのかもしれませんが、それならそれで面白い現象です。


シーン7:3/9・午後23:02・(@1:10〜) 
翌日の小雪が降る深夜。
溜め糞場wnをチェックしただけで、タヌキは右(上流)に立ち去りました。 


シーン8:3/10・午前3:46・(@1:20〜) 
4時間45分後、日付が変わった未明に同一個体が戻ってきたのでしょうか? 
奥の川岸を右から左へ(下流へ)歩いて行きます。 
残雪の表面は固く凍っているようで、タヌキが歩いても足が全く潜りません。 
途中で立ち止まって右を振り返りました。 
後続のパートナーを待っているのかな? 


シーン9:3/14・午前1:17・(@1:31〜) 
3日後の深夜にタヌキが左(下流)から登場。 
溜め糞場wnを素通りして右(上流)へ移動します。 
雪が溶けた地面の匂いをタヌキが念入りに嗅ぎ回っているのは、ネコの残り香が気になるのかもしれません。 
実は直前に猫が通りかかったのです(映像公開予定)。 


シーン10:3/15・午後23:05・(@2:02〜) 
翌日の晩遅くにタヌキがやって来ました。 
川岸の残雪が完全に溶けて、枯れ草に覆われた地面が現れました。 
タヌキは溜め糞wnの匂いを嗅ぐと右(上流)へ立ち去りました。 


シーン11:3/15・午後23:16・(@2:20〜) 
10分後に右(上流)から戻ってきたタヌキが、左岸の水際を下流へ歩いて行きます。 


【まとめ】
この時期のタヌキは溜め糞場wnに排便しなくなりました。
この川の流域のどこかに、未知の大規模な(メインとなる)溜め糞場があるはずです。

溜め糞場にトレイルカメラを長期間設置すると、どうやらタヌキはカメラの存在に気づいて嫌がり、次第に来なくなってしまうようです。
赤外線の暗視カメラなら野生動物に気づかれずに隠し撮りできるという宣伝文句は嘘(誇大広告)じゃないか?という気がしています。

つづく→

落葉樹上で採食するエナガ(冬の野鳥)

 

2023年2月下旬・午前11:00頃・晴れ 

雪深い里山の入山口から少し登り始めた地点で、エナガAegithalos caudatus)の群れが落葉樹(樹種不明)の樹上にいました。 

動画の冒頭で小枝を啄んでから、嘴を小枝で拭いました。 
おそらく何か小さな虫を捕食したのでしょう。 
モフモフの羽毛で覆われた体を掻いてから枝から枝へ飛び回り、見失いました。

エナガの群れは賑やかに鳴き交わしていたのですが、マイクに入る風切り音のノイズで鳴き声がかき消されそうです。 

※ 動画編集時に音声を正規化して音量を強制的に上げています。 

 

2023/09/07

晩冬の雪山でスギ林を遊動するニホンザルの群れ【トレイルカメラ】

 

2023年3月上旬・午前9:06〜9:57・気温0℃ 

まだなお雪深い里山の杉林道をトレイルカメラで見張っていると、久しぶりにニホンザル♀♂(Macaca fuscata fuscata)の群れが現れました。 
初めは晴れていたのに、小雪がちらついたり、急に激しく雪が降ったりと不安定でした。 
低山とは言え、雪山の天気は変わりやすいことがよく分かります。 

ニホンザルの群れ全体としては山腹の斜面を左から右へトラバースしています。 
三々五々と遊動する群れのメンバーは老若男女さまざまでした。 
かなり毛並みの悪い老いた個体や子猿も通りかかったので、なんとか無事に厳しい冬を越せそうです。 

林道を選んで歩く猿は、トレイルカメラの方をちらちら見ながら通過する個体が多いです。 
このスギ林道にはタヌキの溜め糞場sが雪の下に埋もれているはずですが、猿は全く興味を示しませんでした。

スギ林の林床は雪面が固く凍結しているために、ニホンザルは体力を消耗することなく軽快に歩いたり走ったりすることが可能です。 
前夜はおそらくよく晴れて放射冷却現象だったのでしょう。
明け方の最低気温がぐっと冷え込むと、雪面がカチカチに凍ることがあります。

常緑の針葉樹林にはニホンザルの餌となる食料はないはずなのに、わざわざ杉林に来たということは、何か理由があるはずです。 
スギ植林地に入れば足が雪に潜らずラッセルが不要だと学習した賢い個体が先導し、スギ林を経由して遊動するようになったのかもしれません。 
スギ植林地に入れば、雪崩に巻き込まれる心配もまずありません。
雪崩の多発地帯に杉を植林することはないからです。
仮に強引に植林したとしても、杉の苗が大きく育つまでに雪崩でなぎ倒されてしまうでしょう。


【追記】
日本の森林/多様性の生物学シリーズ3『獣たちの森』という専門書によると、
 積雪寒冷地帯では野生動物に雪や寒さを防ぐ冬の退避場を用意することを忘れてはならない。冬も活動する哺乳類には針葉樹の密な林が重要である。泊まり場として用いられる針葉樹林は林間が高い閉鎖性を持ち、近くに採食の場所があることが重要である。積雪寒冷地帯では主な採食場となる広葉樹林の中に、針葉樹林がモザイック(原文ママ)に配置されていると野生哺乳類の生息地としての価値が上がる。 (p212より引用)


雪国で川の上空を帆翔するトビ(冬の野鳥)

 



2023年2月中旬・午後12:50頃・晴れ 

スノーシューを履いて川沿いの雪原を探索中に、上空を飛ぶトビMilvus migrans)を発見。 
快晴の青空を背景に弧を描いて帆翔しています。 
たまにフワフワと軽く羽ばたくだけで、上昇気流に乗って滑空しながら下界の餌を探しています。 
今回のトビは飛びながら鳴き声を発していませんでした。 

空を飛ぶ猛禽類を同定する大きなポイントは、翼の下面の模様です。 
しかし空を見上げて撮るので逆光となり、細部が見えづらいことが多いです。 
そのため、写真や動画に後で逆光補正処理を施すことがあります。 
今回は川沿いの広大な雪原が日光を反射する巨大なレフ板となり(雪原からの照り返し)、トビの翼下面が過去最高に明瞭に見えました。

2023/09/06

晩冬に林道の両側に立つスギの幹に続けて眼下腺マーキングするニホンカモシカ【トレイルカメラ:暗視映像】

 



2023年2月下旬〜3月上旬 

雪深い里山でスギ林道に通うニホンカモシカCapricornis crispus)を自動センサーカメラで記録しています。

シーン1:2/27・午後19:46・気温-2℃・(@0:00〜) 
私がトレイルカメラの電池を交換した当日の晩にカモシカが右からやって来ました。 
雪面には私がスノーシューで歩いた巨大な足跡が残されています。 
カモシカが1歩踏み出す度に中途半端に凍った雪面が割れるので、足がズボズボと雪に潜って、とても歩きにくそうです。 

画面左端に立つスギ大木の下で立ち止まり、幹に顔をゴシゴシ擦り付けて眼下腺マーキングしているようです。 
残念ながら、肝心の頭部が見切れてしまっています。 
カメラをもう少し左に向けて設置するべきでした。 

秋にカモシカたちが眼下腺マーキングしていたお気に入りのスギ落枝は、深い根雪の下に埋もれてしまっています。 (画面の左)

対面に見えるスギの木には立ち寄らず、そのまま左へ立ち去りました。 
左右どちらの杉の木に眼下腺マーキングするのかは、気分次第で決まるのか、それとも個体によって違うのでしょうか? 


シーン2:2/28・午後13:33・気温6℃・(@0:31〜) 
翌日の晴れた午後にカモシカが右から登場。 
気温が上がると、雪が溶けてシャーベット状の重い「腐れ雪」の状態になり、ますます歩きにくくなります。 

今回もニホンカモシカは画面左端にあるスギ大木の下で立ち寄ると、幹の匂いを嗅いでから眼下腺マーキングしたようです。 

次に林道を渡って、対面の法面に立つスギへ向かいました。 
カモシカは首を伸ばしてスギの幹に顔を擦り付けて、眼下腺マーキングしました。 

縄張りで念入りに匂い付けを済ますと、踵を返して左へ立ち去りました。 
林道を挟んで左右のスギ両方に眼下腺マーキングするのを見たのは初めてかもしれません。 

シーン3:3/5・午前11:22・気温2℃・(@1:47〜) 
5日後の晴れた昼前にもカモシカが右からやって来ました。 
雪面は固く凍結していて、カモシカが歩いても蹄がほとんど潜らず、楽に歩けるようになりました。 
個体識別ができていませんが、今回の個体はなんとなく体型が小柄で、若い個体のような気がします。 
食料に乏しい厳しい冬を乗り切って体脂肪を使い切り、やせ衰えて見えるだけかもしれません。 

いつものように左のスギ大木で眼下腺マーキングした後は、そのまま左に歩き去りました。 
右を向いて対面のスギを見たものの、今回は立ち寄りませんでした。 

シーン4:3/8・午前1:47・気温4℃・(@2:29〜) 
3日後の深夜にカモシカがいつものように右から登場。 
逆に左から右へ行くシーンが全く撮れていないのが不思議です。 
積雪期は一方通行の決まったルート(一筆書き)で縄張りを巡回しているようです。 

雪面だけが最中もなかのように凍っているために、一歩ずつ割れて足が雪に沈み、歩きにくそうです。 
雪国在住者にとっては馴染みのある現象ですけど、暖地のヒトには経験しないとこの感覚は分からないでしょう。
画面左外のスギ幹に眼下腺マーキングしてから左に立ち去りました。 

実はこの日の昼過ぎに、私もトレイルカメラの電池交換のために現場入りしました。
12時間前に雪面を歩いたニホンカモシカの蹄跡を写真に撮りました。

雪面にカラマツの落枝
カモシカの進行方向と同じアングルだと、緩やかな下り坂になっているスギ林道。道端の左右両側に立つスギの幹にカモシカが眼下腺マーキングしている。


樹上でパタンパタン♪と尾羽を鳴らすジョウビタキ♂の謎(冬の野鳥)

 

2023年2月下旬・午後16:10頃・大雪 

雪が激しく降り始めた午後、郊外の住宅地で道端の看板の上に乗っていたジョウビタキ♂(Phoenicurus auroreus)にカメラを向けると、少し飛んで横の街路樹に逃げ込みました。 
(映像はここから。) 
私が少し近寄っても、樹上では枝から枝へ少し飛んで移動するだけです。 

落葉したハナミズキ(別名アメリカヤマボウシ)の枝に止まったジョウビタキ♂が、何やら奇妙な音を立てています。 
ジョウビタキが尾羽根を上下に振り立てるのは馴染みのある行動ですが、このときカタンカタン(パタンパタン、ペチンペチン)♪という音が鳴ります。 
これは周囲の混み合った枯れ枝に尾羽がうっかりぶつかる音なのか、それとも尾羽そのものから意図的に鳴らしている(発音)のでしょうか? 
なんとなく、近くで撮影する私に対する威嚇音♪ではないかと思いました。 
マイクに入る風切り音(ノイズ)のせいで、肝心のカタンカタン♪が聞き取りにくいですね。 
後半はいつものように、ヒッヒッ♪と高音で繰り返し鳴きました。 

※ 警告音?と鳴き声が聞き取れるように、動画編集時に音声を正規化して音量を強制的に上げています。 


残念ながら録画の途中でカメラの電池が切れてしまいました…。 
吹雪でカメラをあまり濡らしたくないので、どのみち長時間の撮影は無理でした。
カメラを守る防水カバーを取り出して装着したときには、ジョウビタキ♂はもう居なくなっていました。





石井直樹『鳴き声から種を同定するための日本鳥類鳴き声大辞典』でジョウビタキの項目を参照すると(p146-147)、「カタカタカタ」という「嘴を鳴らす音」が収録されていました。 
コウノトリがやるクラッタリングのような発音行動だと言いたいのでしょう。
しかし今回の映像をスローで見直してもジョウビタキ♂は嘴を閉じたままなので、筆者の見解には同意できません。 
尾羽を打ち鳴らす音ではないかと私は思います。 
ジョウビタキのカタカタカタ♪は、地鳴きでも囀りさえずりでもなく、ドラミングの一種と同書では分類されています。
ドラミングには、嘴どうしを打ち合わせたり、尾羽を通過する風により音を立てたりする場合など、発声器官以外で音を出す場合を全て含んでいる。(p14より)
との但し書きが巻頭にありました。 
「尾羽を通過する風による音」という表現もしっくりきません。
本書がデータベースとして労作なのは認めますが、活字だけなのが残念です。
付属のCD-ROMに実際の音声や動画が収録されているかと期待して買ったのに、エクセルファイルが収められているだけでした。
表紙に声紋(スペクトログラム)が載っているのも紛らわしいです。
様々な鳴き方のひとつひとつに実際の動画(せめて音声)を付けて欲しいものです。
マルチメディアの鳴き声データベースで私が満足できる完全版が無ければ、人任せにせずに、自分でコツコツ撮りためて自作するしかありません。

2023/09/05

中州横の雪原の溜め糞場へ夜な夜な排便に通う雪国のホンドタヌキ♀♂【トレイルカメラ:暗視映像】




2023年2月中旬
中洲横の雪原でホンドタヌキNyctereutes viverrinus)の溜め糞場wnを自動撮影カメラで監視していると、三夜連続でタヌキが訪問していました。 

シーン1:2/11・午後22:10・(@0:00〜) 
単独行動しているタヌキが夜霧が立ち込める晩にニセアカシア立木の根元で雪に埋もれた溜め糞場wnに跨がり、奥を向いて(北向き)排便していました。 
横を向くと、霧の中でも、片目(右目)が白く爛々と光って見えます。 
その後タヌキは雪原を右上に(下流へ)立ち去りました。 


シーン2:2/11・午後22:23・(@0:42〜) 
12分後になぜかトレイルカメラが起動すると、霧が晴れていました。 
カメラ本体の発熱でレンズの結露が飛んだのかな? 
画面の左下の雪面に突如出現した新しい落枝によって監視カメラが誤作動したようです。 

溜め糞場wnの雪面にさきほどタヌキが排泄したばかりの新鮮な糞が黒々と見えます。 
ホカホカの糞が冷めるまで、雪面を溶かしながら糞は少し沈降していました。 


シーン3:2/12・午後23:17・(@0:49〜)
翌日の晴れた深夜、タヌキが♀♂ペアで登場しました。 
昼間は気温が上がって溶けるので、雪面がボコボコしています。 
先行する個体sが前回と同じく、ニセアカシア立木の根元にある雪上トイレに跨ると、右(北東)を向いて排便しました。 
用を足している最中に、パートナーの後続個体bが河畔林を歩いて左からやって来ました。(@1:15〜) 
後続個体bは溜め糞場wnには立ち寄らず、♀♂ペアと思われる2頭abが連れ立って右上(下流)に立ち去りました。 
放射冷却現象で雪面は固く凍結し、タヌキは足が雪面に潜ることなく楽々と歩くことができます。 


シーン3:2/13・午前2:39・(@1:25〜) 
約3時間20分後、日付が変わった未明にまたタヌキが来て、溜め糞場wnの匂いを嗅いでいました。 
前回のペアのうち排便しなかった方の個体が便意を催して戻って来たのか、あるいは単独行動の別個体かもしれません。 
(個体識別ができていません。)

やがて奥を向いて(北向き)排便を始めました。 
食料の乏しい冬はどうしても便秘になるらしく、コロコロとした丸く小さな糞が雪面に転がり落ちました。 
もしもその状態の丸い糞粒を冬のフィールドで見つけたら、ノウサギの糞と見分けがつくでしょうか?

その後は右上(下流)に立ち去りました。 

※ 動画編集時に自動色調補正を施しています。 



キジ♂が雪原を闊歩しながら初鳴き♪(冬の野鳥)ぐぜり?警報鳴き?

 

2023年2月下旬・午後14:25頃・晴れ 

雪で埋もれた郊外の畑からケッケッケ…♪という鳴き声がします。 
鳴き声の主はキジ♂(Phasianus versicolor)でした。 
辺りをキョロキョロ見回しながら雪原をゆっくり歩き、ケッケッ♪と鳴き続けています。 
固く凍結した雪面に新雪がうっすらと積もっていて、その上にキジ♂の足跡が浅くきれいに残ります。 
雪原を横断したキジ♂は、無雪の車道に降りたようですが、住宅地の死角に消えて見失いました。 

これが今季のキジの初鳴きでした。 
雪国の厳しい冬が終わりを迎え、これからキジの繁殖期が始まります。 
ケッケッケッ♪と繰り返す鳴き方はあまり聞いたことがありませんが、いかにも不完全で下手糞な鳴き方です。 
ケンケーン♪と本格的に鳴いて縄張り宣言する前に、鳴き方を練習しているのでしょう。 
日照時間が長くなり、衝動の高まりで鳴き始めた、というべきでしょうか。 
あるいは変声期の若鳥♂なのかな? 
ある種の若鳥や繁殖期以外の成鳥が出す不規則な小さな鳴き声を「ぐぜり」と呼びます。 


【追記】
この奇妙な鳴き方について、キジの専門家が別の見解を示している記事を見つけました。
WEB版よりもPDF版の方が詳細に記述されています。)
林暁央「バードリサーチニュース 生態図鑑 キジ」Bird Research News Vol.14 No.1 2017.1.5.より引用
ケッケッケッ(警報鳴き・Alarm call):他の雄がなわばりに侵入した時や危険な状況になった時に鳴く. 
言われてみるとそうかもしれませんが、今回の動画を見て分かるように、撮影時には手前の立木のせいで私の視界が限られていました。
被写体となったキジ♂の視線の先に別個体♂がいたかどうか見定められませんでした。
また、キジ♂の足取りがゆっくりしていたので、リラックスしている(危険を感じていない)と判断しました。
もし危険を感じたら、走ったり飛んで逃げたりするはずです。

という訳で、素人ながら私の「ぐぜり説」も今のところ捨てがたいので、両論併記しておきます。

繁殖期のキジ♂がケンケーン♪と鳴きながらドドドド♪と力強く羽ばたく母衣打ち(ドラミング)を専門家は囀りさえずりとは言わないそうです。
そもそもキジはキジ目に属し、歌わない鳥に分類されています。
♂が歌う(囀るさえずる)鳥はスズメ目(鳴禽類)に属する小鳥たちです。
キジ♂の母衣打ち行動は、雛や幼鳥の時期に見聞きして学習する必要がない本能行動です。
ということは、ケンケーン♪という鳴き声は「ぐぜり」で自主練する必要がないかもしれません。
つまり、ケッケッケ…♪という未熟な(下手糞な)ぐぜりを経てケンケーン♪という勇壮な鳴き方になる、という私の仮説は怪しくなりました。
この点に思い至り、急に「ぐぜり説」への自信がなくなってきました。
キジ♂を雛から育ててみれば鳴き方の変化を検証できるはずですが、残念ながら野鳥の飼育は法で禁じられています。
もし「ぐぜり説」が正しければ、この時期にあちこちで同様の鳴き声が聞こえるはずです。

キジ♂のぐぜり?を声紋解析してみる

いつもの手順で、オリジナルの動画ファイルから音声をWAVファイルに抽出してから、ノイズの少ない部分を適当に2箇所切り出し、スペクトログラムを描いてみました。





2023/09/04

中州横の雪原で夜に獲物を探す冬毛のホンドテン【トレイルカメラ:暗視映像】

 

2023年2月中旬・午後20:55頃

河畔林で中洲横の雪原に残されたタヌキの溜め糞場wnを自動センサーカメラで見張っていると、ある晴れた晩に冬毛のホンドテンMartes melampus melampus)が登場しました。 
画面の左端で、雪に埋もれかけた藪の中(枯れたクズの群落)に頭を軽く突っ込みました。 
野ネズミなどの獲物を探し歩いているのでしょう。 
急に身を翻して右上へ(下流へ)走り去りました。 

固く凍結した雪面にうっすらと新雪が積もっているだけで、テンが駆け回っても足がほとんど潜りません。 
足跡が薄く雪面に残るだけです。 
動画の冒頭で雪原を右から来たテンが残したように見える目立つ足跡は、実はこの日の早朝に来た別の動物による古い足跡です。 
そのときはカメラの起動が遅れて動画撮影に失敗しましたが、ノウサギの足跡かもしれません。 

1/3倍速のスローモーションでリプレイ。(@0:09〜) 
左右の足を揃え、2+2足で尺取虫のように飛び跳ねて走ります。 
※ スロー映像のみ動画編集時に自動色調補正を施しています。 

今回のテンは、雪に埋もれたタヌキの溜め糞場wnには全く興味を示しませんでした。 
同じ流域で数百m下流へ行った地点にある別の溜め糞場bLでは、ホンドタヌキとホンドテンが溜め糞場を共有していたのに、いつもそうとは限らないようです。

ちなみに、テンが立ち去ってから12分後にノウサギが現れました。
もしニアミスしていたら、ノウサギはテンに狩られていたかもしれません。


山麓のガードレールを伝い歩くニホンザルの群れ

 

2022年9月中旬・午前10:45頃および11:15頃・くもり 

里山の麓近くの林道でガードレールの上をニホンザルMacaca fuscata fuscata)の小群が渡り歩いていました。 
カメラを向けた私を警戒して、1頭の子猿はガードレールの反対側に飛び降りました。 
もう1頭はバランスを崩してガードレールから落ちたようです。 
画面の手前に張り巡らされた果樹園の電気柵のせいで、カメラのAFが奥に居る猿になかなか合いません。 

30分後にも同様のシーンを撮りましたが、今度は藪の奥にガードレールがあり、ニホンザルの姿が藪に隠れてよく見えません。 
ヒトに対して警戒心の強い群れでした。

2023/09/03

雪山でスギの幹に眼下腺マーキングするニホンカモシカ【トレイルカメラ:暗視映像】

 



2023年2月上旬〜中旬〜下旬 

雪深い里山のスギ林道で溜め糞場sを監視する自動撮影カメラの設置アングルを逆向きにしてみました。 
同じ地点ですが、従来よりも広角で撮れるようになりました。 
ニホンカモシカCapricornis crispus)の登場した映像をまとめました。 


シーン1:2/9・午前6:22・気温-4℃(@0:00〜) 日の出時刻は午前6:34
小雪がちらつく日の出前に、カモシカが雪道をトボトボとゆっくり歩いて左から登場しました。 
雪面が凍結しているために、カモシカが蹄を踏み出してもあまり沈みません。 
これまで長らくトレイルカメラを固定していたスギの幹に歩み寄ると、匂いを嗅いでからゴシゴシと顔を擦り付けました。 
眼下腺マーキングの直後は、いつものように舌をペロペロと出し入れしています。 
そのまま林道を右へ立ち去りました。 


シーン2:2/11・午後19:17・気温-1℃(@0:34〜) 
2日後の晴れた晩にもカモシカが左から右へ通り過ぎました。 
今回は眼下腺マーキングしませんでした。
雪面がクラストしているようで、足があまり潜りません。  


シーン3:2/21・午前4:55・気温-6℃(@0:47〜) 
トレイルカメラが起動した理由は不明ですが、未明に激しい吹雪のシーンが撮れました。 


シーン4:2/21・午後12:09・気温-3℃(@0:58〜) 
スギの枝葉に積もった雪の塊がドサッと一気に林道上へ落ちる様子がたまたま記録されていました。 


シーン5:2/23・午後19:04・気温0℃(@1:09〜) 
前回の登場から12日後、珍しくこれまでとは逆の右から左へ雪道を通過しました。 
新雪が積もった後でも雪面にカモシカの足があまり潜らず、ラッセルというほど大変ではなさそうです。 
画面左端のスギ大木(胸高直径60.5cm)の下で立ち止まり、おそらく眼下腺マーキングを施したようです。 
カメラの画角をもう少し左にずらして設置すべきでした。

昨年に逆アングルから撮った動画が分かりやすいです。

根雪が積もる前には、画面左(林道脇)から突き出たスギの落枝の先端部にカモシカは好んで眼下腺マーキングしていたのですが、それは深い雪の下に埋もれてしまっています。


シーン6:2/26・午前1:06・気温-4℃(@2:02〜) 
再び激しい吹雪のシーンが深夜に撮れていました。 
トレイルカメラが起動した理由は不明です。 
低山でも雪山の厳しさが伝わるかと思います。 



雪国で晩冬(2月中旬)に早咲きしたネコヤナギの花

 

2023年2月中旬・午後13:10頃・晴れ 

スノーシューを履いて川沿いの雪原を探索していると、水際に生えたネコヤナギの1株だけが早くも開花していました。 
白くてフワフワの花が咲き始めたばかりで、雄花か雌花か不明です。 
(ネコヤナギは雌雄異株らしいです。)
ネコヤナギは他の柳類よりも早く3月頃から咲くとされています。 
雪国で2月中旬に咲き始めるのはいくらなんでも早過ぎでしょう。 
ヒメハナバチなど花粉を媒介する昆虫(送粉者)は未だ越冬中(羽化していない)ですから、早咲きのネコヤナギは実を付けられないことになります。
急激な地球温暖化の進行で狂い咲きしたのかな?と心配になりますが、開花したのはこの1株だけなので、個体変異なのでしょう。
生物の進化の定義というか原動力として、同種の集団内に様々な変異個体がいるのが普通です。
今後本当に温暖化が更に進むのであれば、早咲きの変異個体が環境に適応して集団内に広まることでしょう。
それと同時に送粉者の昆虫も従来より早くに休眠越冬を終えて羽化してくる必要があります。

次に機会があれば、ネコヤナギが開花する様子を微速度撮影してみたいものです。

後半は、対岸の雪原に見つけた野生動物にズームインしてみました。 
渡河した形跡はありません。






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