2024/02/10

昼間に巣穴のアクセストレンチを掘り始めたニホンアナグマのヘルパー♂【トレイルカメラ】

 



2023年6月上旬・午後12:43・気温19℃ 

ニホンアナグマMeles anakuma)の営巣地(セット)で珍しく明るい昼間から成獣2頭が巣外で活動しています。 
どちらが♀でどちらがヘルパー♂なのか、日中は個体識別できませんでした。 

左奥の巣穴Lから外に出てきた個体aがそのまま歩いて、右手前の巣穴Rに入りました。 
その一方、林縁にいた別個体bが巣口Lに歩み寄り、前足で地面を掘り始めました。 
巣口Lから右に向かってなだらかな傾斜(アクセストレンチ)を作り始めたようです。 
地中の浅いところから灌木の根っこを引っ張り出しました。 
アナグマの巣穴周辺に落葉灌木(マルバゴマキ)の細い灌木が自生しています。
夏になったらその葉が生い茂ってアナグマの巣穴を隠蔽し、撮影しにくくなるのではないかと懸念していました。
ところがアナグマの巣穴周辺だけきわめて生育が悪くて枯死しそうです。
これには以下のような複合的な理由がありそうです。
  1. 毎年冬に深い積雪の圧力で細い幹が捻じ曲げられる。
  2. 夏になっても林冠ギャップがほとんど無くて日照不足。
  3. 地中の根っこが頻繁にアナグマに痛めつけられている。

アナグマがアクセストレンチを掘る作業を別アングルの監視カメラでも同時に撮れていないのが残念でした。 
造巣の穴掘りはヘルパー♂の仕事とされているらしいので、個体bがきっとヘルパー♂(1年仔の若い息子)なのでしょう。 
幼獣4頭を育てる子供部屋が手狭になってきたとか、造巣の必要性や細かい指示を母親♀から受けているように見えないのですが、ヘルパー♂自身の判断でセットの巣穴やアクセストレンチが少しずつ拡張されているようです。 


ブラックベリーの花で採餌するニホンミツバチ♀【FHD動画&ハイスピード動画】

 

2023年6月上旬・午前 10:50頃・晴れ および 午後15:40頃・ くもり

民家の裏庭の生垣で咲いたブラックベリー(=セイヨウヤブイチゴ)ニホンミツバチApis cerana japonica)のワーカー♀が訪花していました。 
この組み合わせは初見です。 
後半に登場する個体は、後脚の花粉籠に少量の薄黄色の花粉団子を運んでいました。 

花から飛び立つ瞬間を狙って240-fpsのハイスピード動画でも撮ってみました。(@0:51〜) 
吸蜜後は花粉で汚れた顔と触角を前脚で拭ってから飛び立ちました。 
次の花に飛んで行く間にも口吻が伸びています。

2024/02/09

ニホンアナグマ♀が未だ歩けない幼獣を夜の巣外に放置したのは躾のためかネグレクトか?【トレイルカメラ:暗視映像】

 



2023年6月上旬 ・6/6・午後22:18〜22:41

ニホンアナグマ♀(Meles anakuma) の育児放棄という衝撃映像が撮れました。
トレイルカメラの電池が消耗しているために、細切れの映像になっています。 

母親♀が幼獣の首根っこ(というか今回は頭皮?)を咥えて、手前の巣穴Lから外へ引きずり出しました。 
いつものように巣口LRの中間地点に幼獣を下ろすと、その毛皮を念入りに舐め始めました(対他毛繕い)。 
小声でウキャキャキャキャ…♪という鳴き声が聞こえるのは、幼獣が発しているようです。 
ただし、画面に写っている幼獣の鳴き声とは限らず、巣内で待っている残りの幼獣3頭が鳴いている可能性もあります。 
※ 幼獣の鳴き声が聞き取れるように、動画編集時に音声を正規化して音量を強制的に上げています。 

次にトレイルカメラが起動したときには、なぜか母親♀の姿はなく、巣口Lから奥に伸びるアクセストレンチ上に幼獣が放置されていました。 
母親♀は一体どこに行ったのでしょうか?
野生動物の母親♀が育児放棄するとは驚きました。
巣外に放置された幼獣は未だ自力で歩けません。 
辺りをキョロキョロ見ているだけで、おとなしくじっとしています。 

このときの外気温は不明ですが、添い寝して温めてやらないと低体温症になるのではないか?と心配になります。 
夜の森でもしも肉食性のホンドテンやホンドギツネ、フクロウ※などに見つかったら、アナグマの捨て子は獲物として捕食されてしまうはずです。 
※ 近くのスギ防風林で昼間にフクロウの鳴き声を聞いています。@2024年3月上旬

育児放棄からの死亡も一種の子殺しと考えられますが、そんなことになったら、きわめて異例です。
アナグマ家族の食糧事情が急に悪化して母親の乳の出が悪くなり、口減らしのための子殺しが必要になったのか?などと良からぬことを考えてしまいます。

母親と一緒のときは甘えて鳴いていたのに、巣外に放置された幼獣は母親を呼ぶ声を全く発しなくなったのが意外です。 
下手に鳴いたら天敵の捕食者を呼び寄せてしまいますから、母親とはぐれて独りになっても鳴かないように本能でプログラムされているのかもしれません。
(ところが、わずか4日後に反例が出てきてしまいました。
その後も幼獣が腹這いのまま身動きする度にトレイルカメラのセンサーが反応して、短時間だけ録画してくれます。 

しばらくすると、幼獣は自力で這って向きを変えました(カメラに対して正面から横向きに)。(@1:05〜) 
覚束ない足取りで必死に匍匐前進しているようです。 
巣穴Lの方から嗅ぎ慣れた匂いがするはずなのに、幼獣は巣口Lには向かって行きませんでした。
ヘルパー♂が予め掘ったアクセストレンチと呼ばれる溝に沿って緩斜面を下れば入巣Lできるはずなのに、迷子の幼獣はアクセストレンチから横に逸れてしまいました。 

ようやく母親♀が巣穴Lの外に出て来たので安心しました。(@1:21〜) 
巣口Lで幼獣を見つけると、体を舐めてやります。 
幼獣は嬉しそうに鳴きました。 
♀の乳首にすぐ吸い付かなかったので、空腹ではなかったようです。

未だ歩けない幼獣を20分間も巣外に独り放置していた理由は何でしょう?
 幼獣4頭の子育てでてんてこ舞いの母親♀が何かのきっかけで巣穴に戻ったきり、巣外に出した幼獣1頭の存在をうっかり忘れてしまったのでしょうか? (過失)
育児経験の浅い若い♀なのかもしれませんが、根拠はありません。 
それとも、巣内で何か酷い悪さをしたやんちゃな幼獣に対してしつけやお仕置きのために(罰として)巣外にしばらく放置したのでしょうか? 
それなら、初めに幼獣に対して対他毛繕いしてやらない気がします。
幼獣の自立心を養うためなのかな?
我々ヒトが乳幼児に対してこんな子育てをすると、昔ならともかく今時はネグレクトの罪で通報され親が罰せられます。
しかし、アナグマの子育てにヒトの価値観で口出ししても仕方がありません。 
こういうときにヘルパー♂がどこで何をしているのか、気になります。

迷子になっていた幼獣を巣穴にすぐ連れ戻すかと思いきや、母親♀はその場で自分の体を掻いています。 
母子が身を寄せ合っています。 
母親♀の腹面に乳首が見えました。 
元気を取り戻した幼獣は、巣穴Lの方へ歩こうとしています。 
♀が立ち上がって身震いしたものの、すぐにまた幼獣の傍らに座りました。 

残念ながら記録された映像はここまでです。
母親が幼獣を巣穴Lに連れ戻すまで見届けられませんでした。
深夜(午後23:38)にカメラが起動したときには巣外にアナグマ母子の姿はなく、小雨が降っていました。(その映像は割愛) 


ニホンアナグマの営巣地を日中に訪れるホンドタヌキの♀♂ペア【トレイルカメラ】

 



2023年6月上旬 

ニホンアナグマMeles anakuma)の営巣地(セット)にやって来るホンドタヌキNyctereutes viverrinus)のシーンをまとめました。 
この時期は明るい昼間にばかり登場していました。 


シーン1・6/2・午前9:26・気温17℃(@0:00〜) 
小雨が降る朝に獣道を右へ通り過ぎるタヌキの側面がちらっと写っていました。 
一瞬の登場シーンを1/3倍速のスローモーションでリプレイ。 


シーン2・6/4・午前8:52・気温19℃(@0:14〜) 
2日後のよく晴れた朝に来たタヌキが登場。
林縁で立ち止まり、アナグマの2つの巣穴LRを見ても巣口には近寄りませんでした。 
アナグマが営巣地のあちこちに小便でマーキングしているので、まるで結界が張られているかのようにタヌキもアナグマ家族の縄張りを尊重しています。 
タヌキの鋭い嗅覚には強烈なアナグマ臭がするのでしょう。(私の鼻では何も嗅ぎ取れません。) 
巣内で寝ているアナグマに気づかれないように、抜き足差し足忍び足で林縁を右に立ち去りました。 
アナグマとタヌキのニアミスシーンを見てみたいのですが、なかなか叶いません。 

タヌキの毛皮が白っぽく見えるのは、老いた個体(銀髪?)なのか、それとも夏毛に生え変わったからですかね? 


シーン3・6/7・午後14:11・気温26℃(@0:42〜) 
更に3日後の晴れた午後に、今度はタヌキの♀♂ペアが連れ立って登場。 
林床の木漏れ日が風に揺れ、きれいですね。 
2頭のタヌキが前後して二次林の林縁を右から左へやって来ました。 
明るい日中にタヌキがペアで徘徊するのは初見です。 
食欲旺盛な幼獣4頭が巣穴で待っているので、昼間も共働きで採餌しているのでしょう。 
採餌に出かける途中でアナグマの巣穴が気になって寄り道するようです。
逆に、夜になるとタヌキはアナグマの営巣地に全く近づかないのが不思議です。 
アナグマは夜行性が強いので、鉢合わせするのが怖いのでしょう。 

先行する個体aがアナグマの巣口Lを覗き込んで匂いを嗅いでから、左へ立ち去りました。 
後続個体bはそそくさと獣道を通って奥の二次林へ立ち去りました。 
しばらくすると、タヌキaが画面の左下隅から再登場。 
アナグマのセット(営巣地)をぐるっと回り込んでも、アナグマの巣口Rには近づこうとしませんでした。 
最後は手前の獣道へ姿を消し、パートナーbとは別行動になりました。 

別アングルに設置したトレイルカメラ(旧機種)でタヌキ夫婦の訪問を同時に録画できなかったのが残念です。 
そっちは夜間のみ起動するように設定していました。 



2024/02/08

自分の体を掻けるようになったニホンアナグマ幼獣【トレイルカメラ:暗視映像】

 



2023年6月上旬・午後22:13 

ニホンアナグマMeles anakuma)の営巣地で母親♀が幼獣の毛皮を舐めてやっている(対他毛繕い)間に、幼獣が地面に座り自分で痒い部位の体を掻きました。 
トレイルカメラの電池が消耗しているために、わずか4秒間の細切れ動画ですが、記念すべき映像です。 
アナグマの幼獣が順調に成長して、初めて自力で体を掻けるようになったからです。 

ちなみに、画面の左上で動いている謎の物体は、手前の灌木の枝間に糸を張り巡らせた造網性のクモ(種名不詳)です。 
白飛びしている上に、ピンぼけ(不鮮明)になっているのは、カメラに近過ぎて赤外線を強く反射しているからです。 




タヌキの溜め糞場で激しい空中戦を繰り広げるキイロコウカアブとコウカアブの群れ【FHD動画&ハイスピード動画】

 

2023年6月上旬・午後13:10頃・くもり 

平地のスギ防風林にホンドタヌキNyctereutes viverrinus)が残した溜め糞場wbcに定点観察に来てみると、互いに少し離れて3つ並んでいる溜め糞のうち1つ(wbc-2)だけ異様な活況を呈していました。 
黄色と黒の昆虫2種類が糞塊の上すれすれを高速でブンブン群飛していたのです。 
てっきり私は、溜め糞場で黒いハエを狩ろうとスズメバチが集まってきたのかと初めは思いました。 

関連記事(2、3、11年前の撮影)▶  


昼間でもかなり薄暗いスギ林床でよく目を凝らすと、黄色っぽい昆虫はスズメバチやベッコウバエではなくキイロコウカアブPtecticus aurifer)のようです。 
同じ溜め糞場で以前、下草に止まっているキイロコウカアブを撮っています。
黒い昆虫を写真鑑定した結果、おそらくコウカアブPtecticus tenebrifer)と思われます。 
性別までは見分けられませんでした。 
採集用の捕虫網を持参していれば、しっかり同定できたかもしれません。 
しかし、網をひと振りで仕留めないと、皆逃げてしまって戻ってこないでしょう。 
黄色と黒の体色が同種の性的二型だと群飛の説明がしやすいのですが(求愛飛翔)、同じミズアブ科でも体色の異なる別種のコウカアブでした。 
各種が複数個体で溜め糞の上すれすれを低空で飛び回っています。 

私が溜め糞wbc-2に近づいたせいでコウカアブ類が警戒して溜め糞から飛び立ったのかと思ったのですが、私がその場で長時間静止していても糞塊に着陸せずに群飛を繰り広げています。 
耳を澄ますと、ブンブンという羽音だけでなく空中で互いにバチバチと激しくぶつかる衝突音が頻繁に聞こえます。 
2種共に♀は産卵目的で獣糞に来ますから、ニッチが重なる同属2種間で熾烈な縄張り争いがあるのでしょうか? 
それとも、交尾相手の♀を溜め糞場で待ち伏せしている♂が飛来した♀を空中で捕獲しようと、必死で飛び回っているのでしょうか?(求愛のための群飛) 
溜め糞の周囲で交尾中の♀♂ペアを見かけませんでした。
彼らにとっても暗過ぎて、高速飛翔中に障害物を回避できないだけかもしれません。(空中衝突不可避)
コウカアブ類の成虫は肉食性ではありませんから、狩りのための探餌飛翔ではありません。 

キイロコウカアブとコウカアブの群飛を240-fpsのハイスピード動画でも無理して撮ってみました。(@0:50〜) 
確かに空中で互いに突進してぶつかり合っていることが分かりました。 
ライバルを縄張りから追い払おうと肉弾戦を挑んでいるのか、それとも誤認求愛の結果で衝突しているのか、素人目には見分けられません。 
現場はただでさえ暗いのに、ハイスピード動画モードに変えてフレームレートを4倍に上げると、単純計算で明るさが1/4に落ちてしまいます。
黒っぽい溜め糞を背景にすると、黒いコウカアブは見えにくいです。 
黄色いキイロコウカアブはまだ辛うじて目立ちます。 

溜め糞wbc-2の表面ではいつものように、クロボシヒラタシデムシOiceoptoma nigropunctatum)の成虫および幼虫が徘徊していました。 
キンバエ類と並んで、うんちレストランの常連客です。 


※ 動画編集時に自動色調補正を施して暗い映像を明るく加工しました。 
※ アブの羽音や衝突音が聞き取れるように、音声を正規化して音量を強制的に上げています。


明らかに光量不足の薄暗いフィールドで生態動画を撮りたいとき、補助照明を使うべきでしょうか? 
写真撮影の場合はフラッシュを焚けば済む話ですが、問題は動画撮影です。 
赤外線の暗視カメラを使うほどではない、薄暗い条件が一番厄介です。 
特にハイスピード動画モードに切り替えてフレームレートを4倍に上げると、単純計算で明るさが1/4に落ちてしまいます。
私はいつも照明を使わずにカメラ本体の設定を変えてなるべく明るく写るようにしてから撮影し、編集時に更に明るく加工するようにしています。 
しかし、そのやり方では、どうしても画質が粗くなってしまいます。 

よほど明るい強力なライトを使わないと効果がありませんし、何よりも人工的な光を照射すると生き物の自然な行動が撮れなくなってしまうという懸念があります。 
野鳥や野生動物なら新たな眩しい光源に警戒してそれまでの行動を中断して逃げてしまいますし、昆虫には正または負の走光性があるので、照明自体が行動観察に悪影響を及ぼしてしまいます。 
時間をかけて照明に少しずつ慣らしてやるのが定石の撮影テクニックですけど、そんな悠長なことは言ってられない場合があります。(すぐに撮りたい場合) 
※ 昆虫にはあまり見えない赤色光のライトを使ってみるのがよさそうですが、我々ヒトが見た時にどうしても不自然な色味になってしまいます。

きれいに撮れない(見栄えが悪い)薄明薄暮の生態動画は誰も撮りたがりませんから、ある意味では未開拓のフロンティアかもしれません。 
BBCの動物カメラマンが使っているような超高感度のカメラやサーモグラフィカメラを私も使ってみたいのですけど、あまりにも高価で手が出ません(高嶺の花)。 
そうした軍事用カメラの需要が高まっている昨今、民生品の値段も下がってくれないかな〜?と密かに期待しています。

2024/02/07

営巣地のあちこちに排尿マーキングするニホンアナグマ♀とヘルパー♂【トレイルカメラ:暗視映像】

 



2023年6月上旬

ニホンアナグマMeles anakuma)が営巣地で排尿するシーンをまとめてみました。 


シーン1:6/6・午前1:47・(@0:00〜) 
深夜に巣口RLの中間地点で佇んでいたアナグマがやや腰を屈めて、股間から透明の液体を少量排出したような気がします。 
1.5倍に拡大しながら1/3倍速のスローモーションでリプレイしてみましょう。 
小便がキラッと一瞬光ったような気がするのですけど、どうでしょうか? 
この個体は♀なのかヘルパー♂なのか、識別できていません。 
(尿を放出した方向から見て♂かも?) 


シーン2:6/8・午後22:23・気温23℃(@0:16〜) 
2日後の晩遅くに、別アングルで設置した新機種のトレイルカメラにも写っていました。 
奥から歩いて来たヘルパー♂が右の巣穴Rを跨いで素通りした後、巣口Rの縁で腰を落として排尿マーキングしたようです。 
跳ねるように(ご機嫌で?)右の二次林内に入って行きました。 


シーン3:6/9・午後14:42・気温19℃(@0:32〜) 
翌日の明るい昼間、セット(営巣地)の奥に歩いて行くアナグマが写っていました。
林縁で立ち止まると腰を落として排尿したようです。 
身震いしてから更に奥へ立ち去りました。 

林内で立ち止まり、何か作業しています。 
後足で立ち上がって木の葉を採取しているようです。(巣材集め) 
ということは、この個体は♀だろうと推察できます。 



自分の巣穴の近くで小便して尿の匂いで縄張りを主張する行動(匂い付け)は、我々ヒトには理解し難いだけに、なかなか興味深いです。 
営巣地の広場にまるで結界を張っているようです。
幼獣がもう少し育てば巣外をうろつきだしますから、幼獣が迷子にならないように縄張りをマーキングしてやっているのかもしれません。


後日、排尿マーキングのもっと決定的な証拠映像が撮れましたので、お楽しみに。(映像公開予定) 

固定した定点カメラに対してアナグマがどちらを向いて排尿するかという撮影アングルの問題なので、完全に運任せです。 
大便は決まった溜め糞場にするので予めトレイルカメラを設置することも可能ですが、小便する場所は特に決まってないようです。


白鳥の北帰行(冬の野鳥)

 

2023年3月下旬・午前9:10頃・晴れ 

雪解けが進む田園地帯で数日前まで採食していたコハクチョウの大群が忽然と居なくなっていました。 
田んぼの餌(落ち穂など)を食べ尽くして、餌場を変えたのでしょうか? 

刈田の上空から白鳥の鳴き声がするので見上げると、白鳥の群れが見事なV字編隊を組んで北に飛び去るところでした。 
群れの個体数を数えてみると、計20羽と大きな群れでした。 
ちょうど私の頭上を通り過ぎたので、飛び去る白鳥を見送るために動画を撮りながら振り返りました。 (白鳥が旋回した訳ではありません。) 
北へ向かって飛び去ったので、日本での越冬を無事に終えた白鳥がシベリアなど北の繁殖地へ帰るところなのかもしれません。 

飛びながら散発的に鳴き交わしています。 
※ 鳴き声が聞き取れるように、動画編集時に音声を正規化して音量を強制的に上げています。 
鳴き声を声紋解析すれば、オオハクチョウかコハクチョウか識別できるかな? 
渡りの際に2種の白鳥が混群の状態で編隊飛行することは無いと思われますが、どうやって確かめたら良いでしょうか?

2024/02/06

雨夜に2匹の野ネズミがアナグマの営巣地で餌を探し歩く【トレイルカメラ:暗視映像】

 



2023年6月上旬・午後20:15頃・雨天

ニホンアナグマMeles anakuma)の営巣地を自動センサーカメラで監視していると、雨が降る晩に2匹の野ネズミ(ノネズミ)が同時に林床をチョロチョロと走り回る様子がちらっと写りました。
1/3倍速のスローモーションでリプレイ。 
1分30秒間の録画時間の残り7秒間に写っていたので、2匹がニアミスしたシーンは残念ながら記録されていませんでした。 
暗闇でも出会い頭に縄張り争いや逃走劇が勃発したでしょうか? 


あるいは同じ巣穴から出てきた♀♂つがいが探餌徘徊していたのかもしれません。 




 

↑【おまけの動画】 
"Someone has been cleaning my shed every night — it’s a tidy mouse" by New York Post 

1ヶ月くらい前に話題になった動画です。 
室内に設置したトレイルカメラで撮れた映像というていをとっていますが、私は一見して「誰かがCGアニメで制作したフェイク動画だ!」と思いました。 
私は家ネズミについて詳しい訳ではありませんが、ネズミの尻尾や髭の動きがどこか不自然に思いました。 
まるでネズミを描いたファンタジーアニメのようです。 
ペットのネズミに餌報酬を与えて整理整頓を芸として仕込んだとしても、物を移動させる動きがあまりにもスムーズで無駄がありません。 

各社ニュースサイトが真に受けているのが可笑しくて、それでもいずれはフェイク動画と気づいて続報が出るだろう(作者がジョーク動画だと告白するだろう)と予想していました。 
ところが私の知る限り、続報が何も出てきません。 
皆さんはどうお考えでしょう? 

私も夜の山林で、野ネズミが林床の落ち葉を1枚ずつ集めて運んできては巣穴の入口に被せて隠蔽する、という驚きの行動をトレイルカメラで何度か撮影することが出来ました。(映像公開予定) 
他にはクルミやドングリなどの木の実を貯食する行動もしますし、ネズミが意図を持って複数の物体を1箇所に移動できるという能力には疑う余地がありません。


【アフィリエイト】
今泉忠明『ネズミの超能力

クリの雄花に集まり花粉を食べるクロハナムグリとコアオハナムグリの混群

 

2023年6月上旬・午前11:30頃・晴れ 

初夏になり、あちこちでクリ(栗)の花が咲き始めました。 
山道の横で育つクリの木で コアオハナムグリGametis jucunda)とクロハナムグリGlycyphana fulvistemma)がブンブン飛び回り、花穂に群がっていました。 
クロハナムグリとクリの組合せは初見です。 

関連記事(9年前の撮影)▶ 栗の花とコアオハナムグリ 


栗の木の白くて細長い花序は雄花なのだそうです。(雌花は雄花の基部に小さく咲く。) 
多数派のコアオハナムグリと少数派のクロハナムグリは、花穂を歩き回って花粉や花蜜を食べています。
コアオハナムグリの中には、少数ながら赤銅型も混じっていました。 

よく晴れて気温が高いせいか、ハナムグリたちはハエのような羽音を立てて元気にブンブン♪飛び回ります。 
※ 虫の羽音が聞き取れるように、動画編集時に音声を正規化して音量を強制的に上げています。 


私はハナムグリの性別の見分け方を知りませんが、クリの雄花で2匹のコアオハナムグリがニアミスしても、求愛行動や争いはまったく見られませんでした。 
交尾中の♀♂ペアも見当たりません。 

最後に花穂の風揺れを止めようと手で摘みながら動画撮影しようとしたら、異変に気づいたハナムグリたちは警戒して一斉に飛び去ってしまいました。 (映像は割愛)

田中肇『昆虫の集まる花ハンドブック』でクリの送粉生態学について調べると、
風媒花から虫媒花に進化の舵を切り変えた花。 雄花は蜜を出し、雌花は蜜を分泌しないので昆虫はまれに触れるだけ。(p63より引用)
クリが風媒花だとすると無駄なぐらい大量の花粉を放出しますから、毎年初夏にクリの花粉症になるヒトがいても不思議ではありません。
クロハナムグリ(左下)とコアオハナムグリ
緑型と赤銅型のコアオハナムグリ

2024/02/05

幼獣を巣外に連れ出して念入りに毛繕いしてやるニホンアナグマ♀【トレイルカメラ:暗視映像】下の世話

 



2023年6月上旬

ニホンアナグマ♀(Meles anakuma)が幼獣を巣の外に連れ出して対他毛繕いする様子をまとめました。 


シーン1:6/5・午後22:33・(@0:00〜) 
晩に♀が奥の巣口Rから1頭の幼獣を外に連れ出していました。 
母親♀が幼獣の肛門の辺りを重点的に舐めてやっています。 
幼獣の間は糞尿を垂れ流しなのでしょう。 
幼獣がキュンキュン♪(またはキャンキャン♪)と鳴く声がかすかに聞こえます。 
幼獣は自力では未だ歩けず、なんとか這い回ろうとするだけでした。 
母親♀が方向転換した際に、腹に乳首が見えました。

もっと長く撮りたかったのに、残念ながらトレイルカメラの電池が消耗していて、録画が途中で打ち切られてしまいました。 
この後も細切れの映像になります。 


シーン2:6/6・午後22:12・(@0:26〜) 
翌日も晩に母親♀が巣口LRの中間地点に幼獣を置いて、尻の辺りを重点的に汚れた毛皮を舐めてやっています。(対他毛繕い) 
幼獣を隣の巣穴へ運ぶ途中で休憩してるのかな? 

低音でグルルル…♪と鳴く声が聞こえました。(@0:36〜) 
これは母親♀が発している声だと思います。 
素人の耳には、繁殖期に聞いた♂の求愛声(ジェジェジェビーム)と似ている気がします。 

幼獣が母親の腹の下に正面から潜り込もうとしているのは、授乳目当てなのでしょう。 
なんとか四足で立っていた幼獣がコテンと横に転びました。(@0:48〜) 
母親♀は幼獣の首筋を咥えて運ぶと手前の巣口Lから伸びるアクセストレンチに置いて、幼獣の毛皮を念入りに舐めています。 
幼獣の奇妙な鳴き声(カエルみたい?)がときどき聞こえます。 


シーン3:6/8・午後18:53・(@1:20〜)日の入り時刻は午後19:03。 
2日後の日没前の夕方。
アナグマが手前の巣穴Lから外に出てきました。 
薄暮の撮影は赤外線の暗視モードではないため消費電力が少なくて、動画を長く撮れるのは助かります。 
アナグマは巣口Lの匂いを嗅ぎ回ってから、また巣穴Lに戻りました。 
しばらくすると、アクセストレンチを後退しながら幼獣1頭を咥えて外に引きずり出しました。 
この個体は♀ではなくヘルパー♂のような気もするのですけど、個体識別に自信がありません。 

巣口LRの中間地点で幼獣を地面に置くと、汚れた毛皮をていねいに舐めてやります。 
その合間に♀自身が痒い体を自分の足で掻きました。 
母親♀が前脚を使って結構手荒に幼獣を転がしたり向きを変えたりしながら、対他毛繕いを続けます。 
幼獣はほとんど為されるがままで、おとなしくしています。 
母親の腹の下に潜り込んで乳首を探したり、巣穴の方へ歩いて戻ろうとしたりするときがあります。 


シーン4:6/8・午後21:22・(@4:07〜) 
暗くなった晩に起動したときには、いつの間にか再び♀が幼獣を外に出していました。 
幼獣に対他毛繕いをする様子が4秒間だけ写っていました。 


シーン5:6/9・午後14:30・気温19℃(@4:11〜) 
翌日の真昼間に別アングルで設置してある新機種のトレイルカメラが起動しました。 
明るい昼間なのに、なぜか暗視モードで起動しました。

林縁の広場に座っている♀が幼獣を連れていました。 
覚束ない足取りで動き回る幼獣を♀は前足で倒して毛繕いしています。 
しまいには、幼獣の首根っこを咥えて連れ戻し、二次林の奥へ運んで行きました。 
幼獣を連れてどこか別の巣穴へ引っ越すのかと思いきや、途中で座って幼獣に対他毛繕いしています。 
フルカラーで撮れなかったのが残念です。 
夜だけでなく明るい昼間も♀は幼獣を外に連れ出して毛皮を舐めてやることが分かりました。

次にカメラが起動したときには、♀が幼獣を咥えて右の巣穴へ帰巣Rするところでした。 
本格的な引っ越しではなくて一安心。

今度は正常のフルカラー録画に戻っていました。 
新機種のトレイルカメラは風揺れなどの誤作動で無駄撮りすることは少なく、電池の持ちが良いものの、旧機種よりも撮り漏らしが多い印象です。 
トレードオフの関係にあるので、センサーの感度の閾値をどう設定するか、悩ましいところです。 

※ 幼獣の鳴き声が聞き取れるように、動画の一部は編集時に音声を正規化して音量を強制的に上げています。 


【考察】
以前、母親♀は頻繁に幼獣を運んで2つの巣穴L⇔巣穴Rを交互に引っ越しを繰り返していました。
次第に巣穴LRの中間地点に幼獣を下ろして過ごす時間が長くなりました。
別の巣穴へ引っ越すのが目的で幼獣を巣外に連れ出すのではなく、幼獣への毛繕いが目的であることがはっきりしてきました。
おそらく、いわゆる「下の世話」(排泄後のケア)なのでしょう。
幼獣は便意や尿意を催しても、未だ自力で巣外に出て排泄することができません。
幼獣を地上(巣外)の環境刺激に少しずつ慣らす目的もあるはずです。


ホンドタヌキの営巣地を深夜に横切るホンドギツネ【トレイルカメラ:暗視映像】

 

2023年6月上旬・午前2:27・気温11℃ 

ホンドタヌキNyctereutes viverrinus)の巣穴がある原っぱ(休耕地)を自動センサーカメラで見張っていると、草木も眠る丑三つ時にホンドギツネVulpes vulpes japonica)が左からやって来ました。 
夜の原っぱで野ネズミを狩りに来たのでしょう。
奥にあるタヌキの巣穴に侵入して幼獣を捕食するかと思いきや、迂回するように右へ立ち去りました。 
親ダヌキが巣内で籠城・威嚇しているのでしょうか?
トレイルカメラの存在を気にしているようにも見えます。
キツネは長い尻尾がふさふさしていて、タヌキよりも動きが軽快です。 




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2024/02/04

巣穴の外で仮眠するニホンアナグマ:入眠時のジャーキング現象【トレイルカメラ:暗視映像】

 



2023年6月上旬 
ニホンアナグマMeles anakuma)が巣外で仮眠を取るシーンをまとめてみました。 
4頭の幼獣を子育てしている♀は、お疲れのようです。 


シーン1:6/3・午後23:20・気温13℃(@0:00〜) 
深夜に手前の巣口Rの横の広場に座った♀が左後足で痒い体を掻いていました。 
そのまま地面に伏せ(伏臥)、しばらくすると寝返りを打って横臥になりました。 
腹に乳首が見えたので、ヘルパー♂ではなく授乳期の♀と分かります。 

寝ながら足が空を掻きました。(@0:29〜) 
これはジャーキング(入眠状態へ移行するときに発生する不随意の筋肉の痙攣)と思われます。
ジャーキングの原因は不明であるが、ある仮説では、入眠時の筋肉の弛緩を、眠っている状態で高所から落下したと、脳、脊髄が間違って神経伝達するのだとされている。長時間起きているときや、眠いのを我慢しているときや、疲れている時にジャーキングは起こりやすい[2]。(wikipediaより引用)
そのまま巣外で寝たのだとすると、巣内は寝苦しいのかもしれません。 


シーン2:6/7・午前4:05・気温16℃(@0:38〜)日の出時刻は午前4:14。 
3日後の日の出直前、アナグマが林縁に座って体を掻いています。 
伏臥になって目を瞑りました。 
しかし寝付けないようで再び起き上がり、体を掻いたり毛繕いしたりしています。 
巣口Rに戻りかけたところで、録画終了。 
この個体は識別できませんでした。 


シーン3:6/7・午前5:21・気温15℃(@1:11〜) 
すっかり明るくなった早朝に、再び林縁で体を掻いているアナグマがいます。 
そのまま腹這いで休んでいます。 
この個体は識別できませんでした。 


シーン4:6/8・午前0:21・気温15℃(@1:43〜) 
翌日の深夜、アナグマが手前の巣口Rの横に座って体を掻いています。 
そのまま横臥で入眠したようです。 
5倍速の早回しに加工すると、呼吸で胸が規則正しく上下しています。 
この個体は識別できませんでした。 


シーン5:6/8・午後18:50・(@2:03〜)日の入り時刻は午後19:03。 
別アングルのトレイルカメラ(旧機種)で撮れた映像です。 
日没前の夕方に手前の巣口Lから♀がアクセストレンチに身を乗り出していました。
 2つの巣口LRの中間地点で腹這いになって休みました。 
明るい日中は黒い過眼線のせいで、目を閉じているかどうか判別できません。 

寝付けないのか、起き上がって仰向けになり毛繕いを始めました。 
腹部に乳首が見えるので、♀と分かります。 


シーン6:6/8・午後21:56・気温19℃(@2:55〜) 
晩に林縁で横臥しています。 
手前の灌木が邪魔でよく見えないのが残念です。 
暇つぶしに前足で地面を掻いているのか、体を掻いているのか、しばらく落ち着きなく動いていました。 
後半は動かなくなったので、仮眠しているようです。 


 ※ 動画の一部は編集時に自動色調補正を施しています。 


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つづく→

ブラックベリーの花蜜を吸うヒメシジミ♂

 

2023年6月上旬・午前10:50頃・晴れ 

民家の裏庭に咲いたブラックベリー(=セイヨウヤブイチゴ)の生垣でヒメシジミ♂(Plebejus argus micrargus)が訪花していました。 
この組み合わせは初見です。 
翅をしっかり閉じたまま口吻を伸ばして吸蜜しています。 
素早く飛び立つ瞬間を1/5倍速のスローモーションでリプレイすると、開いた翅表が淡青色だったので♂と判明。 

手前の花壇に咲いているイモカタバミのピンクの花に今回のヒメシジミ♂は見向きもしませんでした。 
関連記事(7年前の撮影)▶ イモカタバミの花蜜を吸うヒメシジミ♂

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