2015年11月中旬
▼前回の記事マダラスジハエトリ幼体(蜘蛛)同士の対決
石灯籠の雪囲いで見つけたマダラスジハエトリ(Plexippoides annulipedis)。
支柱の上下に♀タイプの幼体2匹(a, b)が居るものの、横棒に阻まれてお互いに見えていません。
共に丸々と太った個体です。
♀aは支柱をどんどん登って行きます。
柱の天辺付近で方向転換すると、今度は歩いて降り始めました。
櫓を組むもう一本の支柱と交差する部分に隠れてしまいました。
日当たりの良い南面なので、日光浴なのですかね?
実は撮影直前に♀aの近くにトンボが止まっていて、狩りをするかと期待したのですけど、先にトンボが飛び立ってしまいました。
2015年12月上旬
コガタスズメバチ巣の定点観察@祠・軒下#4
軒下から採集してきたコガタスズメバチ(Vespa analis insularis)の古巣を持ち帰りました。
忙しくてそのまま9日間も室内に放置してしまいましたが、ようやく中の様子を調べてみました。
まず外被をノギスで採寸すると、長径13.5cm、高さ10.5cmでした。
(採集容器がギリギリの大きさだったため、持ち帰る際に外被がやや潰れてしまいました。)
巣全体の乾燥重量を量ればよかったですね…。
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巣口 |
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軒下から削ぎ落とした面。巣盤の天井部が見える。 |
外被の薄皮を少しずつ壊すと、一層の巣盤が現れました。
未だサンプル数は少ないのですが、これまで私が調べたコガタスズメバチの巣盤はいつも一層です。
ここ雪国ではコガタスズメバチの営巣期が短いために、二層以上の巣盤を作る期間が足りないのかもしれません。(※追記参照)
今回の巣盤はなぜか2つに別れた奇妙な形をしています。
巣盤の天井部は一つ(共通)なのに、下部の育房は隔壁で仕切られていました。
春先に2匹のコガタスズメバチ女王が協同して創設したのか、それとも途中で巣の乗っ取りが行われたのかな?
あるいは寄生蛾の幼虫などに冒された巣盤を途中で隔離したのかもしれません。
小さい巣盤の育房数は15室。
大きい巣盤の育房数は33室。
正六角形をした育房の1辺の長さは約5mm。
巣盤の隔壁部をナイフで割ったら、中は白カビが生えていました。
まず見つけたのはフタモンアシナガバチ(Polistes chinensis antennalis)の新女王です。
3匹が同じ外被ポケットに潜り込んで集団越冬していました。
休眠が深く、なかなか覚醒しません。
目覚めてもおとなしく身繕いするぐらいで、飛び立つ元気はありません。
薄いパルプと空気の層を重ねた外被は断熱効果に優れているため、その隙間(空気室)で様々な昆虫が越冬していました。
意外な居候としては、オオトビサシガメ(Isyndus obscurus)が一匹。(動画はありません)
その一方でコガタスズメバチ新女王は自分の育った巣では越冬しないようで、一匹も見つかりませんでした。
つづく→#5:越冬休眠していたフタモンアシナガバチ新女王の覚醒
※【追記】
『都市のスズメバチ』p38によると、
(コガタスズメバチの)女王バチが健在にも拘わらずあまり大きくならない巣が少数ながら存在する。
2014年3月下旬
平地の住宅地で1羽のスズメ(Passer montanus)が電線に止まっていました。
飛び立つ瞬間を狙って240-fpsのハイスピード動画に撮ってみました。
後半は更に1/5倍速のスローモーションでリプレイ。
2015年12月上旬
コガタスズメバチ巣の定点観察@祠・軒下#3
小雨が降る深夜、久しぶりにコガタスズメバチ(Vespa analis insularis)の巣の様子を見に行きました。
コロニーは解散しているようで、蜂は不在でした。
赤外線の暗視カメラで巣口の奥を撮っても動きはありません。
古巣の外被のあちこちに小さな穴が開いていました。
これは風化や劣化によるものか、それとも居候の虫に食い荒らされた虫喰い穴なのでしょうか。
(活動期のコロニーならワーカーが直ちに修復するはずです。)
撮影直後に、この古巣を採集しました。
外被の巣柄をナイフで慎重に削ぎ落としました。
容器に入れて持ち帰ると、古巣の中には意外な居候が潜んでいました。
つづく→コガタスズメバチの古巣で集団越冬するフタモンアシナガバチ新女王
2015年11月下旬
夕方の河川敷上空をカラス(ハシブトガラスかハシボソガラスか不明。混群かも?)の群れが鳴き交わしながら飛んで行きます。
塒がどこにあるのか、位置を突き止めたいものです。
2015年11月中旬
雪国では庭や神社の石灯籠が積雪で倒壊しないように、晩秋になると木材を組み合わせ荒縄で縛った「雪囲い」で石灯籠を一つずつ保護します。(庭木や生け垣なども同じく丹念に雪囲いします。)
雪囲いの陽の当たる南面でマダラスジハエトリ(Plexippoides annulipedis)を3匹、見つけました。
同種のハエトリグモばかり雪囲いに集まっていたのは偶然でしょうか?
図鑑『日本のクモ』p301によると、本種は「冬季はスギ、ヒノキなどの樹皮下に袋状住居を作って越冬する」とのこと。
越冬場所を探索していたのかもしれませんが、冬籠りするには未だ少し気が早い気がします。
しかも3匹とも♀タイプでした。
マダラスジハエトリ成体の斑紋は性的二型を示すので、未熟な幼体はすべて♀タイプの体色なのかもしれません。(要確認)
一匹の♀cに注目して撮り始めると、こちらに向き直ってビデオカメラのレンズを見つめました。
カメラへの距離を測ると、マダラスジハエトリ♀cは板からカメラに跳び移りました。
そのまま私がビデオカメラを雪囲いの横木にそっと近づけると、♀cは自ら飛び移ってくれました。(映像なし)
すると右上の支柱に居た別個体の♀bが、♀cを目ざとく見つけました。
2匹の幼体は発育状態が異なり、体長の目測では♀b>♀c。
大型の♀bが♀cをめがけて横木に跳び下りました!
縄張り争いのような闘争(小競り合い)なのか、捕食行動(狩り)なのか、どちらでしょう?
跳びかかって来られた瞬間に、狙われた小型の♀cはしおり糸を引きつつ横木から緊急離脱しました。
相手を見失った♀bは、横棒を左に歩き去りました。
難を逃れた♀cはいつの間にか宙吊り状態から雪囲いに戻り、荒縄の上に居ました。
※ 動画編集時に自動色調補正を施しています。
つづく→雪囲いを登るマダラスジハエトリ♀(蜘蛛)