2015年10月上旬・午前10:22〜12:02
境界標に営巣したヒメクモバチの定点観察#10
ヒメクモバチ(旧名ヒメベッコウ;おそらくAuplopus carbonarius)♀bの採土および造巣活動を10倍速の微速度撮影で記録してみました。
前回は境界標の根元から採土している様子が写っていませんでした。
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泥巣を閉鎖するヒメクモバチ♀b【10倍速映像】
今回はもう少し引きの絵で撮影します。
母蜂は境界標に刻印された山形県の「形」の字の第7画目の書き始め部分(右上)の窪みに巣材の泥をせっせと詰めています。
境界標の直下での採土と側面での造巣の往復運動をひたすら繰り返しています。
採土ポイントは毎回決まっているようです。
境界標に侵入してきたアリをヒメクモバチ♀が追い払うシーンが写っていました(@0:45〜0:50)。
この日は水を飲みに出かける頻度が高い印象です。
採土前にほぼ毎回水を飲みに出かけることもあるようです。
すぐ喉が渇くほど気温が高くはありません。
水不足なのでしょうか?
前回と同じ水場(暗渠のドクダミ葉)に行ってみると、水を飲みに来たヒメクモバチ♀bを目撃しました。
人懐こく私のズボンの裾に乗ってきました。(動画撮り損ね)
水場から帰巣する前に寄り道して別な場所から採土するのではなく、いつもの場所(境界標の直下)から巣材集めする点も前回と違いました。
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巣材集めの合間に吸水するヒメクモバチ♀
ご覧の通り山形県に泥を塗る不届き者の蜂ですけど、洒落の分かる知事さん辺りが鶴の一声で「県の蜂」に指定してくれたら嬉しいなー!…なんてね。
ヒメクモバチは『ファーブル昆虫記』にも登場する由緒正しい蜂です。
ヒトを刺しに来ることはありませんし、大人しくて可愛らしい蜂ですので、成虫や泥巣を見つけても目の敵にしないで暖かく見守ってくださるようお願いします。
※ このジオラマモードで微速度撮影するのは便利なのですけど、チルトシフト効果で画面の上下部分をわざとぼかされてしまいます。
余計なエフェクト無しでも微速度撮影できるようメーカーさんには仕様の変更を強く要望します。
チルトシフト効果を入れずに録画したほうがバッテリーも長持ちするはずです。
つづく→#11:寄生蜂コクロオナガトガリヒメバチ♀と寄主ヒメクモバチの攻防:その2
2015年10月上旬・夜20:12
走光性で外灯の周りを飛び回っているクスサン(Caligula japonica japonica)♂を撮っていたら急に落下しました。
力尽きたのか、外灯の鉄柱に激突して落ちたのか、分かりません。
慌てて墜落現場に駆け寄ると、路上で翅がボロボロになっていました。
その翅に触れても、もはや暴れたり飛び立つ元気はありません。
「光害」被害を雄弁に語っています。
触角の形状が羽毛状なので♂ですね。
ギリシア神話のイカロスの悲劇を思い出しました。
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クスサン(蛾)の走光性
2015年10月上旬・午前10:14〜10:20
境界標に営巣したヒメクモバチの定点観察#9
前夜は泥巣b上に姿が見当たらなかったので、母蜂♀bの身に何かあったのかと心配でした。
翌日の午前中に様子を見に行くと、無事な姿を見れて一安心。
夜間はどこか別の場所で寝ていたのでしょう。
4日前とは打って変わり、この日ヒメクモバチ(旧名ヒメベッコウ;おそらくAuplopus carbonarius)♀bは活発に造巣活動に励んでいました。
朝露が残っている午前中に集中して造巣活動するのでしょうか?
境界標に刻印された山形県の「形」の字の第7画目の書き始め部分(右上)の窪みに巣材の泥をせっせと詰めています。
蜂が働いている横で境界標の右側面にザトウムシの一種が居ました。
モエギザトウムシですかね?(当てずっぽうで自信なし)
蜂は気づいていないのか無害だと知って無視しているのか、ザトウムシを追い払わず吸水に出掛けました。
次に帰って来た蜂が泥巣を「形」作る行動レパートリーを1ラウンド全て動画に記録できました。
境界標の根元から採土し、吐き戻した水と混ぜて泥玉を作ると、腹端の背側を鏝のように使って巣材を伸ばして泥巣に追加します。
つづく→#10:山形県に泥を塗るヒメクモバチ♀【10倍速映像】
2015年10月上旬
里山でイシサワオニグモ♀の円網を徹夜で監視している間に、椅子に座ったまま居眠りしてしまったようです。
内心ツキノワグマの出没を恐れていたのですが、現れたのは意外にもニホンカモシカ(Capricornis crispus)でした。
一度目のニアミスは午前4:06。
うたた寝していたら、至近距離からカモシカが鼻息を荒げながら走り去りました。
その前にカモシカが藪の斜面を登り砂利道を踏みしめる蹄の音を夢うつつで聞いたような気がしました。
深夜徘徊していたカモシカが山道で私に気づき、驚いて逃げて行ったのでしょう。
慌てて暗視ビデオカメラで撮り始めるも、赤外線が届かない範囲で姿は見えません。
寝惚けてレンズカバーの開閉をミスったのも私の狼狽っぷりを物語っています。
鳴き声(鼻息威嚇)だけでも録音することにしました。
暗闇でパニックになったカモシカに突進して来られるのは怖いので、追い払うため懐中電灯を点灯したら逃げて行きました。
カモシカが夜行性とは知りませんでした。
用心のために熊撃退スプレーを携帯していたのですが、寝落ちして野生動物が接近する気配に気づかなかったのが一番の不覚です。
この辺りが獣道だとしたら、カメラトラップ(トレイルカメラ)を仕掛けてみたら面白そうです。
二度目の遭遇は午前6:30。
夜が明けた早朝にもカモシカが再登場しましたが、やはり鼻息を聞いただけで姿は見つけられませんでした。
今度はハンディカムを掴んで鼻息を頼りに追跡してみたものの、藪の中に隠れてしまったのか、遭遇できませんでした。
同一個体が縄張りを巡回しているのでしょうか?
ひょっとして鳴き真似上手のカケスに騙されているのではないか?とふと疑問になりました。(本当にカモシカだったのかな?)
2015年10月上旬・午前9:23〜9:28
▼前回の記事
条網を綱渡りする夜のオナガグモ【蜘蛛:暗視映像】
真夜中に見かけたオナガグモ(Ariamnes cylindrogaster)と翌朝に再会しました。
前夜とほぼ同じ位置に居て、枝間に張り渡した水平の条網で綱渡りしていました。
身繕いしているのか糸屑を食べているのか不明です。
やがて条網上で方向転換しました。
それまで持っていた白い糸屑を条網の三叉路合流点に付けたように見えました。
最後は松葉のように体を伸ばして静止しました。
何をしていたのかよく分かりませんが、糸疣に注目すると条網を張る造網行動(または条網の張り替え)なのかもしれない、という気がしてきました。
「クモ生理生態事典 2016」でオナガグモの移動法に関して次のような記述がありました。
糸上を前進する時には第1・2脚で糸をたぐり,第3脚で糸を丸める.この時,右1脚で確保された糸は左2脚へ送られ左3脚で丸められる. 方向転換の時は前方と後方の糸を糸いぼの箇所でつなぎ,転換して,前部で糸を切断してから,新しい糸を糸いぼから出しながら前進する. 上方へ進む時には糸いぼから前へ糸がつながっている点が水平の糸上を進む時と異なる点である〔新海明AT49/50〕.
これを読んで、オナガグモが綱渡り中に糸屑のようなものを持っている理由が判明しました。
不要な糸を丸めるのは良いとして、なぜ食べてタンパク質を再利用しないのでしょう?
欲を言えば、もう少し拡大してスローモーションで接写したかったです。
いつかオナガグモが条網でクモ狩りを行うシーンを観察してみたいものです。
鳴らした音叉で条網に触れるとオナガグモがどんな反応するか、興味があります。(駆け寄ってくるのかな?)
獲物のクモが条網を歩いて来る振動と音叉の振動とは周波数が違う気がします。
今回の個体は手の届かない高所に居たため、指を咥えて眺めているしかありませんでした。
2015年8月上旬
川沿いに蔓延るヤブガラシの群落でナミテントウ(Harmonia axyridis)の親子(成虫および幼虫)を見つけました。
成虫は紅色型十九紋型(上翅の紋:2-3-3-1)でした。
吸蜜なのか、アブラムシ目当てなのか不明です。
止まっている場所も開花した花の上ではありませんね。
この日は先を急いでいたので、マクロレンズで口元を接写する暇がありませんでした。
現場でアブラムシは見つからなかったですけど、後で調べてみるとヤブガラシには例えばワタアブラムシがよく付くらしい。
2015年10月上旬・深夜3:08〜3:46・気温11.8℃
イシサワオニグモ♀の垂直円網を一晩中見張っていると、深夜未明に意外なクモが登場しました。
緑色の細長いオナガグモが空中を綱渡りして移動しています。
初めは居候クモの仲間かと思いきや、オナガグモ(Ariamnes cylindrogaster)でした。
赤外線の暗視ビデオカメラで撮ると、AF頼みではピント合わせに難儀しました。
(冒頭で撮影アングルが定まらないのは奥ピンになりがちなAFでなんとか合焦しようと背景が抜けたアングルを探しているためです。)
オナガグモは「クモを食べるクモ」として知られているので、まさかイシサワオニグモ♀を積極的に捕食しに来たのかと思い、緊張で一気に眠気が吹き飛びました。
しかし様子を見ていると、隠れ家に潜んでいるイシサワオニグモを誘き寄せたり狩ろうとしてるのではなさそうで、ただの「通りすがり」のようでした。
草木も眠る丑三つ時に細長い異形のクモが宙に浮かんでいる様子はちょっと幻想的です。
上の木の枝から糸を引いて懸垂下降して来たのかもしれません。
イシサワオニグモの円網の手前に居ました。
オナガグモは横に張られた糸を伝って左上に移動します。
自ら吹き流しをして張った糸なのかな?
もしかすると条網を張る造網行動なのかもしれません。
しかし図鑑や「クモ生理生態事典 2016」を参照してもオナガグモの造網時刻について記述はありませんでした。
土手に生えたキイチゴ?の葉先に条網の端は固定されているようです。
最後の映像では歩脚の先を舐めて身繕いしていました。
「クモ生理生態事典 2016」でオナガグモの移動法に関して次のような記述がありました。
糸上を前進する時には第1・2脚で糸をたぐり,第3脚で糸を丸める.この時,右1脚で確保された糸は左2脚へ送られ左3脚で丸められる. 方向転換の時は前方と後方の糸を糸いぼの箇所でつなぎ,転換して,前部で糸を切断してから,新しい糸を糸いぼから出しながら前進する. 上方へ進む時には糸いぼから前へ糸がつながっている点が水平の糸上を進む時と異なる点である〔新海明AT49/50〕.
しかし、今回の映像ではその奇妙な移動法を確認できませんでした。(明るい昼間にしっかり接写すべき)
ちなみに、午前3:20に測定した気温は11.8℃、湿度100%。
つづく
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写真で性別を見分けられるか? |
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葉に包まれた白い構造物はクモの卵嚢か蛾の繭か? |
2015年10月中旬
キイロスズメバチ巣の定点観察#7
巣の下で弱々しく徘徊していたキイロスズメバチ(Vespa simillima xanthoptera)♂を生け捕りにして持ち帰りました。
▼前回の記事
体内寄生されて弱ったキイロスズメバチ♂
毒瓶は使用していませんが、翌日には採集容器内で息絶えていました。
死骸の傍らでハリガネムシの一種が蠢いていて仰天しました!
生きているハリガネムシを見るのはこれが初めてです。
宿主から脱出したハリガネムシ(おそらく成虫)の色は乳白色で、表面は艶があります。
ちなみに円形プラスチック容器の直径は3cm。
ハリガネムシは宿主の体長の何倍あるでしょうか。
やがてハリガネムシはとぐろを巻きました。
活発に動いている方が頭部なのでしょうか。
頭部に目はあるのかな?と思い、マクロレンズで強拡大しても眼点などは見つかりませんでした。
できれば宿主の腹端から脱出する様子を見たかったですね。
キイロスズメバチの営巣地の横には渓流が流れていました。
ハリガネムシの生活史から、次のようなストーリーが考えられます。
ハリガネムシに寄生された中間宿主の水生昆虫や直翅類(コオロギやカマドウマなど)をキイロスズメバチのワーカー♀が狩って、その肉団子を給餌された蜂の子が体内寄生されたまま成虫♂まで育ったと思われます。
スズメバチの成虫の主食は巣内の幼虫から貰う栄養交換液であって、固形の獲物を自らは食べられません。
また、雄蜂は狩りを行いません。
したがって、ハリガネムシに寄生されたのは成虫の時期ではなく、その前からに違いありません。
もし中間宿主内のハリガネムシが成虫だったら肉団子にする際に噛み殺されてしまったはずです。
ハリガネムシの小さな幼虫が運良くキイロスズメバチ♂幼虫に飲み込まれたのでしょう。
キイロスズメバチが蛹になっても変態が完了するまでハリガネムシは身を潜めていて、成虫になってから一気に成長したと思われます。
巣の外に捨てていた多数のキイロスズメバチ幼虫も同じくハリガネムシに体内寄生されていたのかもしれない、と想像しました。
(もちろん、キイロスズメバチ幼虫の大量遺棄事件とハリガネムシの寄生は無関係である可能性もあります。)
もし私が採集しなければ、ハリガネムシに寄生されたキイロスズメバチ♂はヨロヨロと渓流に向かい、入水自殺したでしょうか?
川沿いで待ち構えていれば、そのような宿主操作による異常行動が観察できるのかな?
成虫になったハリガネムシは宿主の脳にある種のタンパク質を注入し、宿主を操作して水に飛び込ませ、宿主の尻から出る。(wikipediaより)
ハリガネムシに寄生された昆虫は生殖能力を失うらしい。
死んだキイロスズメバチ♂を解剖して精巣の状態を調べるべきでしたね。(乾燥標本にしてしまったので無理かも…?)
今回は動揺してしまったので(正直言って確かにグロい!)、次回の宿題です。
ハリガネムシを記念にエタノール液浸標本として保存してみることにしました。
するとハリガネムシはコイル状に丸まりコンパクトになりました。
死んで乾燥すれば針金のようにカチカチに硬くなるらしい。
▼関連記事
カマドウマ♀に寄生したハリガネムシの最期
エタノール漬けにした後で思ったのですが、脱出したハリガネムシを水槽で飼うことは可能ですかね?
1匹だけでは交尾・産卵行動を見るのは無理ですけど、水中で泳ぐシーンだけでも動画に撮れば良かったですね。(ハリガネムシは皮膚呼吸なのかな?)
『スズメバチの科学』を紐解いてみると、スズメバチの天敵のひとつとしてセンチュウが紹介されていました。
しかし、p65に掲載された写真「キイロスズメバチの体内から現れたセンチュウ」はハリガネムシの間違いではないでしょうか?
陰山大輔『消えるオス:昆虫の性をあやつる微生物の戦略 (DOJIN選書)』p43によると、
ハリガネムシ(線虫とは分類学的には少し異なる類線形動物門に属する寄生虫)も宿主の行動を操作して水辺に向かうことが知られており…(後略)。
つづく→#8:キイロスズメバチ♀による外被の増築と巣口の拡張【6倍速映像】
2015年10月上旬・午前5:44〜5:52
花を食べる造網性クモの謎#7:再現実験2
網の張り替えを期待して徹夜で監視していたら、夜が白々と明けてきました。
赤外線の暗視カメラを使わなくても普通のカメラでなんとかギリギリ映るぐらいの明るさになりました。
※ 動画編集時に自動色調補正を施してあります。
映像冒頭でまず信号糸を説明します。
キイチゴ?葉裏の隠れ家に居るイシサワオニグモ♀(Araneus ishisawai)は、歩脚の先で信号糸に触れています。
その信号糸を下に辿ると、垂直円網の甑につながっています。
円網を横から撮ると、縦糸とは別に信号糸が甑から直接隠れ家まで伸びていることが分かります。※
網の右下はだいぶ破損が激しいですね。
もし信号糸をこっそり切ると、クモは網に獲物がかかっても気づかなくなるのでしょうか?
異変に気づいて信号糸をすぐに張り直すでしょうか?(いつかやってみたい実験です)
※【追記】
『田んぼの生きものたち:クモ』p28によると、オニグモの仲間が張るのは「呼糸円網」と呼ぶらしい。
網の中心部から一本の糸(受信糸)を円網の外に引いて、葉の中などに住居をつくる。
眠気覚ましに懸案の花給餌実験をしつこく繰り返してみました。
近くに生えたアメリカセンダングサの頭花を摘んできてイシサワオニグモ♀の垂直円網に向かって投げつけると、画角から外れ網の下部に付いてしまいました。
隠れ家(キイチゴ?葉裏)に潜んでいたクモがすかさず信号糸を伝って甑まで急行します。
歩脚の先で恐る恐る花に触れると、周囲の糸を噛み切り始めました。
捕帯による梱包ラッピングを行わず、異物を網から捨てました。
その場で網を引き締めて揺らし、他の異物の有無を確かめています。
甑に戻ってからも同様の確認作業を繰り返します。
下向きに占座すると、歩脚の先を舐めて身繕い。
網の引き締めを繰り返すのは、網を張り替えるべきかどうか全体の破損状況を評価しているのでしょうか?
最後は信号糸を伝い隠れ家に戻りました。
上から伸びた信号糸を甑で切って手繰り寄せながら登ると同時に、新たに信号糸を張り直しているようにも見えます。
途中でピンぼけになり、良く分かりませんでした(薄暗い条件ではカメラのAFが効きにくいのです)。
ちなみにこの日の日の出時刻は公式発表で5:42。
アメリカセンダングサの花を繰り返し給餌しても二度と食べてくれず、私は落胆しました。
なぜだ…?
逆に5日前にはどうして食べてくれたのか、不思議になります。
花の種類を変えてみるのはどうでしょう?
つづく→#8:イシサワオニグモ♀(蜘蛛)の網にノコンギクの花を給餌すると…?
2015年10月上旬
キイロスズメバチ巣の定点観察#6
巣の下の壁際でキイロスズメバチ(Vespa simillima xanthoptera)♂が地面を弱々しく徘徊していました。
日光浴しているようにも見えますが、飛べなかったり歩行がぎこちなく前脚が震えています。
交尾を済ませ寿命が近いのでしょうか?
それとも体内寄生による神経症状なのかな?
撮影後に捕獲し、持ち帰りました。
スズメバチ好きとしては、手元に置いておくための雄蜂の標本を一匹ぐらい欲しかったからです。
そして翌日、私の予想は的中しました!
捨てずに良かった。
この雄蜂を採集したのは「虫の知らせ」だったのかもしれません。
果たして獅子身中の虫の正体は…?
つづく→#7:宿主キイロスズメバチ♂から脱出したハリガネムシ
2015年10月上旬・午前5:24〜5:38・気温11.3℃
イシサワオニグモ♀(Araneus ishisawai)が夜中に網を張り替えることを期待して徹夜で観察していると、夜が少しずつ明けてきました。
退屈のあまり、私は居眠りしてしまったようです。
いつの間にかクモが垂直円網の甑に占座していました。
慌てて赤外線の暗視カメラで撮り始めました。
歩脚で周囲の糸を引き締めて揺すると、すぐ左下に付着していた蚊の存在に気づいたようです。
私が網に生き餌を給餌したのではなく、自然に網にかかった物です。
おそらく私の血を吸おうと飛んできた藪蚊が天然の蚊帳に囚われたのでしょう。
こんな小さな獲物が網にかかってもイシサワオニグモは隠れ家に居ながらにして感知できるとは、信号糸の感度の良さに驚かされます。
梱包ラッピングするまでもない小さな獲物なので、クモはその場で噛み付いていきなり捕食しました。
甑に戻ると再び網を引き締めて揺らし、他の獲物の有無を確認しています。
そのまましばらく下向きに占座。
それまでこの個体は昼も夜も基本的に隠れ家に潜んでいて必要に迫られなければ網に出てこなかったので、甑に堂々と占座する様子は新鮮でした。
隠れ家に戻る様子を撮り逃さないよう通常のカメラに切り替え、三脚に据えて監視記録してみます。
夜明け前でかなり暗いものの、補助照明無しでもなんとか写っています。
※ この中盤(@1:14〜1:55)の映像のみ動画編集時に自動色調補正を施して、自然光下の暗い映像を増感しています。
やがてクモはゆっくりと信号糸を登り、隠れ家に戻りました。
午前5:00および5:30に測った気温はともに11.3℃、湿度100%
ちなみにこの日の日の出時刻は公式発表で5:42。
2015年10月上旬
キイロスズメバチ巣の定点観察#5
巣口の真下からキイロスズメバチ(Vespa simillima xanthoptera)コロニーの活動を狙ってみました。
外被が画面上では縦に長い楕円球に見えます。
巣口ではワーカー♀が活発に出入りして、外被上ではあちこちで増築作業をしています。
この時期にも尚、キイロスズメバチが巣を拡張しているとは知りませんでした。
キイロスズメバチのワーカー♀が巣内から幼虫を引きずり出して外に捨てる瞬間は残念ながら撮れませんでした。
唐突に部外者のキアシナガバチが外被に着陸し、慌ててすぐに飛び去った事件が興味深く思いました。(@1:30)
実は、近所にあるキアシナガバチのコロニーが繁殖期を迎えたらしく、この軒下を群飛していました。(映像なし)
家屋の板壁や材木に止まって休む個体もいますが、巣材集めではありません。
新女王と交尾するために雄蜂が飛び回ったり、新女王が越冬場所を探しているのでしょう。
つづく→#6:体内寄生されて弱ったキイロスズメバチ♂