2013/07/27
ブヨを捕食するウスリーハエトリ♀(蜘蛛)
2013年6月中旬
ウスリーハエトリ♀(Heliophanus ussuricus)を接写していたら、私の顔の周りを小さなブヨが何匹も飛び回り始めました。
別名メマトイ(眼纏)とも呼ばれ、ヒトの涙を舐めようと眼に向かってしつこく集まるため山中では悩みの種です。※
一匹のメマトイが葉上に着陸した瞬間にウスリーハエトリが素早く捕食しました。
でかした!(残念ながら狩りの瞬間は撮り損ねました。)
初めは横向きでしたが、獲物を咥えたままようやく正面を向いてくれました。
顔を傾げてレンズを見上げる仕草が可愛らしい。
※ 余りにもひどい襲撃で撮影に集中できない場合のメマトイ対策として、私は頭から被る虫除けのメッシュネットおよび透明のゴーグルを常時携帯しています。
ボディーガードとして顔の上にハエトリグモを数匹放し飼いにしておくのも有効かもしれませんね(笑)。
気まぐれですぐに職場放棄するのが難点です。
眼球に向かってアタックするメマトイをいつかスーパースローカメラで撮影してみたいものです。
オオハナウドの葉を蚕食するキアゲハ終齢幼虫【微速度撮影】
2013年6月下旬
キアゲハの飼育記録1
大きく育ったキアゲハ(Papilio machaon)の幼虫を3匹採集して持ち帰り、飼育を始めました。
体長は5cm前後。
一緒に採取してきた食草のオオハナウドの葉に乗せてやるとモリモリと食べ始めました。
10秒間隔で3時間半(15:08 pm - 18:39 pm)撮り続けた1,135枚の写真を素材にこの早回し映像を制作しました。
脱糞シーンも撮れています。
それにしても猛烈な食欲です。
オオハナウドはとても大きな葉を付けますが、育ち盛りの子が3匹もいるとあっという間に丸坊主にされ食草の調達が大変かもしれません。
用水路沿いの大群落はそのうち一気に草刈りされてしまうのではないかと気が気ではありません。
つづく→「臭角を伸ばすキアゲハ終齢幼虫」
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食事,
微速度撮影
2013/07/26
身重のウスリーハエトリ♀(蜘蛛)
2013年6月中旬
道端の草むらでウスリーハエトリ♀(Heliophanus ussuricus)を見つけました。
メタリックに輝く美しいハエトリグモです。
2010年に動画を撮った個体とは異なり、今回の個体は頭胸部に対して腹部が不釣り合いなほどに大きく長いです。
一般的なハエトリグモの体型に比べてアンバランスな印象を受けます。
身重の♀なのか、徘徊中もほとんど跳躍しません。
外雌器を確認していませんが、おそらく成体と思われます。
つづく→「ブヨを捕食するウスリーハエトリ♀(蜘蛛)」
オオハナウドの実を食すキアゲハの幼虫
2013年6月中旬
用水路沿いの土手に背高く生い茂ったオオハナウドの群落でキアゲハ(Papilio machaon)の幼虫をあちこちに見つけました。
丸々と太っていて老熟幼虫のようです。
オオハナウドの白い花は咲き終わって緑色の実がなっています。
幼虫が葉ではなくその実を摂食しているシーンが撮れました。
キアゲハ幼虫の食草はセリ科植物ですが、実も食べるとは知りませんでした。
葉よりも栄養価が高いのでしょうか。
3匹採集して持ち帰り、飼育してみます。
(全て終齢幼虫だったことが判明します。)
つづく→「オオハナウドの葉を蚕食するキアゲハ終齢幼虫【微速度撮影】」
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チョウ・ガ(鱗翅目),
食事
2013/07/25
ナワシロイチゴに訪花するクマバチ♀
2013年6月中旬
川の堤防に生い茂った木苺の群落でキムネクマバチ♀(Xylocopa appendiculata circumvolans)が花から花へ忙しなく飛び回っていました。
花に脚をかけて止まっている間も羽ばたきはほとんど休みません。
後脚の花粉籠は空で、吸蜜に専念しているようです。
クマバチは盗蜜癖があることで知られますが、この浅い花に対して盗蜜の必要は無いようで、正当訪花でした。
キイチゴ類には疎いのですが、この赤紫色の花はナワシロイチゴでしょうか?
一ヶ月後に再訪して赤く熟した実も確認しました。
味見すると酸味の強いキイチゴでした。
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訪花
羽繕い中のアオサギを追い払うハシボソガラス【野鳥:烏鷺の争い】
2013年6月中旬
川沿いの建物の屋根にアオサギ(Ardea cinerea)が止まっています。
アオサギは川の堰堤に着水して採食したいようですが、横の堤防に私が立って撮影しているため警戒してなかなか下りて来ません。
仕方なくアオサギは屋根の上で川を見下ろしながら念入りに羽繕いをしています。
飛び立って川の上を旋回しては元の屋根に戻る、という偵察飛行を何度も繰り返しています(関連記事はこちら)。
そこへ左手からハシボソガラス(Corvus corone)が登場。
映像では遠近感が分かり難いのですが、屋根の上でアオサギは奥に、カラスは手前に居ます。
羽繕いしているアオサギの目の前をカラスがピョンピョン跳んで通り過ぎます。
目障りなカラスを嫌ったのか、アオサギが急に飛び立ちました。
川の上空を旋回すると再び屋根に戻りました。
トラブルを避けてせっかく離れたのに、カラスは許してくれません。
またもや左手から屋根の上を歩いてハシボソガラスが再登場。
横歩きで挑発するようにアオサギに接近します。
体格では圧倒的にアオサギが勝るものの、カラスに怖気付く様子はありません。
遂にカラスが飛び上がってアオサギに空中からアタックを仕掛けました。
直接つついたり蹴ったりすることはなく、威嚇のようなモビング行動(偽攻撃)です。
アオサギは首をすくめるだけで反撃しません。
右手に着陸したカラスは跳ねながらアオサギの眼の前を再度横切りちょっかいをかけます。
カラスのしつこい嫌がらせに堪りかねたアオサギが遂に飛んで逃げました。
引きの絵にすると、いつの間にか屋根にハシボソガラスがもう一羽加勢しに来ていました。
ひょっとすると、近くで営巣してるのかもしれません。
川の水音がうるさくて、この間に鳴き声は聞き取れませんでした。
カラスが天敵の猛禽類に対してモビングを行うのは有名ですが、大型のサギ類にも嫌がらせをして追い払うようです。
関連記事→「ササゴイにモビングするハシボソガラス【野鳥:烏鷺の争い】」
【追記】
中村眞樹子『なんでそうなの 札幌のカラス』という本を読むと、「アオサギを追いかけるブト(ハシブトガラスの群れ:しぐま註)」と題したモビング(擬攻撃)の写真がp103に掲載されていました。
2013/07/24
木苺に訪花するビロウドツリアブの羽ばたき【ハイスピード動画】
2013年6月上旬
山腹の下草でビロウドツリアブ(Bombylius major)が木苺の群落に訪花していました。
高速の羽ばたきや飛び立ちを240-fpsのハイスピード動画に撮ってみました。
長い口吻を白い花に差し込んで花蜜を吸っている間もしばらくは羽ばたき続けていますが、足は葉に着陸しているのでホバリング飛翔とは言えませんね。
飛んで隣の花に移動しました。
やがて羽ばたきが止まり、吸蜜に専念しています。
最後は再び羽ばたいて飛び去りました。
キイチゴ類の見分け方には疎いのですけど、この花はクマイチゴでしょうか?
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アブ・ハエ・カ・ガガンボ(双翅目),
スローモーション,
飛翔,
訪花
2013/07/23
キリウジガガンボ♀の打水産卵
2013年6月中旬
里山の渓流でまるでトンボのように飛びながら浅い流水に腹端をちょんちょんと付けて打水産卵する虫が居ました。
ハイスピード動画に切り替えるどころか虫体にピントを合わせる余裕もなくすぐに飛び去ってしまいました。
一瞬の産卵シーンを1/8倍速のスローモーションに加工してリプレイしてみます。
初めはトンボかと思いきや、飛んだ先を目で追い渓流横の草むらに止まったところでガガンボの一種と判明。
同定用の写真はストロボを焚いて遠目から1枚撮っただけで逃げられてしまいました。
胸部が黒く、日本最大のガガンボらしい。
幼虫は水生で腐食物などを食べるそうです。
ネット検索でヒットした「河川生態ナレッジデータベース」というサイトによると、
ミカドガガンボの幼虫は山地の湧水や渓流付近の土砂の中にすんでいる。
ガガンボの産卵を動画に撮ったのはこれが二度目です。
5年前は林道で歩きながら湿地に挿泥産卵していました(種名不詳:素人目にはなんとなくキリウジガガンボかな?)。
今回のガガンボとは産卵行動が明らかに違いますね。
ガガンボもトンボのように種類によって産卵場所や産卵様式が違ってくるのでしょうか。
【追記】
昔は当てずっぽうで無茶苦茶な誤同定をしていて、お恥ずかしい限りです。
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アブ・ハエ・カ・ガガンボ(双翅目),
産卵
ニホンミツバチの匂い扇風?
2013年6月中旬・天気:小雨
コンクリートの電柱の内部に営巣したニホンミツバチ(Apis cerana japonica)の定点観察です。
巣口として使われているネジ穴の直径は18mm、地上から高さ130cm、穴の方角は北向き。
昨年秋にキイロスズメバチに襲われコロニーが全滅崩壊したかと案じていたのですが、無事に越冬したようです。
巣口に出入りする蜂の他に、電柱に多数の蜂が止まっています。
時期的に結婚飛行や分封(巣別れ)の準備なのでしょうか?
映像をよく見ると、集まったワーカーが電柱にしがみ付いたまま激しく羽ばたいています。
巣内を冷やす扇風行動だとしたら、ミツバチでは初見です。
しかし、巣口から離れた場所でいくら羽ばたいても巣内に風は入らないはずで、冷却効果は期待できそうにありません。
ましてや電柱全体を冷やそうとするのは徒労でしかありません(焼け石に水)。
残念ながら現場ではこの行動に気づかなかったため気温を測りませんでしたが、小雨が降っており体感ではそれほど暑くありませんでした。
それよりも撮影中は巣口の右に小さく固まった小集団が♂ではないかと思い込み、そちらに気を取られていました。(写真を見直すと実際はワーカー♀でした。)
【追記】
映像を見直すと、全身が黒っぽい雄蜂♂が数匹、巣に出入りしていることに気づきました。
後日、セイヨウミツバチの養蜂を扱った本『カラー自然シリーズ41:ミツバチ』p19を読んでいたら、別の解釈があることを知りました。
働き蜂は、腹部の最後の節に匂いの出る腺(ナサノフ腺)をもっています。匂いを出す時、働き蜂は節を下に曲げて、この腺を開きます。巣の入口で羽を震わせて風を送ると、匂いは後ろの方へ流れていきます。こうした行動は、なにかの拍子で巣の入口の近くに、なかまがたくさんふり落とされたとき、よく見られます。更にインターネット検索で見つけた「ナサノフ腺フェロモンの使用法」PDFファイルによれば、
群が事故で無王になった場合、処女王が交尾に外界に出た時などは、これをうまく呼び返そうとして盛んにする行動である。また空中移動中の分封群が集結し始める時、先に到着した蜂が他の蜂を引き寄せるためにこの「におい旋風」をする。
つまり巣を冷やすための扇風行動ではなく匂い扇風だとしたら、巣から落ちた若い蜂に巣の場所を教え誘導するため門番がフェロモンを放出していた可能性があります。
あるいは結婚飛行に出た新女王を巣に呼び戻そうとしていたのかもしれません。
それとも独立した分封群がこの電柱に去年全滅した古巣を見つけて再利用しようと集まっているところなのでしょうか。
定点観察で後日、巣内を冷やすための純然たる扇風行動も別に観察しています。
つづく→「ニホンミツバチ♀の巣を冷やす扇風行動【ハイスピード動画】」
巣口の右下で身を寄せ合うワーカー♀の群れ |
2013/07/22
ウスイロヒゲボソゾウムシ
2013年6月中旬
イタドリの葉にきれいな薄緑色のゾウムシを発見。
右後脚に赤いダニ?が付着しています。
今にも飛び立ちそうな予感がしたのですけど、いざ撮り始めると全く飛んでくれません。
図鑑で調べてみると、ウスイロヒゲボソゾウムシ(Phyllobius mundus)でしょうか。
クロバナエンジュの花蜜を吸うヒメシジミ♂♀
2013年6月中旬
道端に咲いたイタチハギ(別名クロバナエンジュ)の潅木で多数のヒメシジミ(Plebejus argus)が訪花していました。
口吻を伸ばして花蜜を吸っています。
初めの動画が♀(翅表が褐色)で、次が♂(翅表が青色)です。
近くに雌雄が揃っているのに各々が食事に夢中で交尾行動が見られないのは不思議でした。
羽化直後で性成熟していないのかな?
複数個体を接写。
ヒメシジミ♀ |
ヒメシジミ♂ |
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チョウ・ガ(鱗翅目),
訪花
2013/07/21
ヒバリ♂(野鳥)の囀りを声紋解析してみる
2013年6月中旬
農耕地の上空でヒバリ♂(Alauda arvensis japonica)が賑やかに囀りながら天高く飛んでいました。
これぞまさしく美空雲雀♪
何度もぐるぐる旋回している範囲が縄張りなのでしょうか。
意外に狭い気がします。
飛んで飛んで飛んで…回って回って回る〜♪
映像の前後半で別個体だったかもしれません。
急降下して地上に着陸した映像はあまり上手く撮れなかったので割愛。
ヒバリのさえずりを声紋解析してみる
いつものようにオリジナルのMTS動画ファイルから音声をWAVファイルに抽出してから囀りを適当に切り出し、スペクトログラムを描いてみました。
なかなか複雑な声紋が現れました。
個体によって鳴き方にレパートリーの違いや微妙な個性があるのですかね?
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映像の前半部より |
![]() |
映像の後半部より |
ヒバリの囀りが2分以上も息が続く秘密は、『スズメの少子化、カラスのいじめ:身近な鳥の不思議な世界』p36によると
鳥は、吐く息でも吸う息でも声が出せるので休まず鳴き続けることができる。
【追記2】
野上宏『小鳥:飛翔の科学』を読むと、さえずり飛翔について一章を割いて詳しく解説してありました。
ヒバリのさえずり飛翔(song flight high overhead)上昇中の上り鳴き、滞空飛翔中の空鳴き(舞鳴き)、下降中の下り鳴きを使い分けている。繁殖期の縄張り宣言である。(p105より)
繁殖期のヒバリは”上り鳴き”をしながら次第に高度をとり、”空鳴き”または”舞鳴き”の滞空飛翔へ移行する。 旋回やホバリングで滞空飛翔をしていたヒバリは”下り鳴き”に移り着地するが、地上近くになったら、時には羽ばたきも滑翔もなく、翼を広げたまま水平位でバランスを保ちながら垂直に下降し、目標地点に着地する技量を持っている。 しかし時には”下り鳴き”を続けながら翼を畳み、頭を下にしてハヤブサのようにほぼ垂直に急降下してくることもある。(p31より)
【追記3】
水野仲彦『野鳥のくらし―卵から巣立ちまで』によれば
天空でのさえずりは、他のヒバリの侵入を許さない縄張り宣言なのである。領空上でぐるぐると、ゆるやかな円を描きながらさえずり、チュールリ、チュールリと鳴き方が変わると降り始め、最後の20〜30メートルは翼をすぼめて石のように落下、縄張りの中の草原に降り立つ。(p24より引用)
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