2013年6月中旬・天気:小雨
コンクリートの電柱の内部に営巣したニホンミツバチ(Apis cerana japonica)の定点観察です。
巣口として使われているネジ穴の直径は18mm、地上から高さ130cm、穴の方角は北向き。
昨年秋にキイロスズメバチに襲われコロニーが全滅崩壊したかと案じていたのですが、無事に越冬したようです。
巣口に出入りする蜂の他に、電柱に多数の蜂が止まっています。
時期的に結婚飛行や分封(巣別れ)の準備なのでしょうか?
映像をよく見ると、集まったワーカーが電柱にしがみ付いたまま激しく羽ばたいています。
巣内を冷やす扇風行動だとしたら、ミツバチでは初見です。
しかし、巣口から離れた場所でいくら羽ばたいても巣内に風は入らないはずで、冷却効果は期待できそうにありません。
ましてや電柱全体を冷やそうとするのは徒労でしかありません(焼け石に水)。
残念ながら現場ではこの行動に気づかなかったため気温を測りませんでしたが、小雨が降っており体感ではそれほど暑くありませんでした。
それよりも撮影中は巣口の右に小さく固まった小集団が♂ではないかと思い込み、そちらに気を取られていました。(写真を見直すと実際はワーカー♀でした。)
【追記】
映像を見直すと、全身が黒っぽい雄蜂♂が数匹、巣に出入りしていることに気づきました。
後日、セイヨウミツバチの養蜂を扱った本『カラー自然シリーズ41:ミツバチ』p19を読んでいたら、別の解釈があることを知りました。
働き蜂は、腹部の最後の節に匂いの出る腺(ナサノフ腺)をもっています。匂いを出す時、働き蜂は節を下に曲げて、この腺を開きます。巣の入口で羽を震わせて風を送ると、匂いは後ろの方へ流れていきます。こうした行動は、なにかの拍子で巣の入口の近くに、なかまがたくさんふり落とされたとき、よく見られます。更にインターネット検索で見つけた「ナサノフ腺フェロモンの使用法」PDFファイルによれば、
群が事故で無王になった場合、処女王が交尾に外界に出た時などは、これをうまく呼び返そうとして盛んにする行動である。また空中移動中の分封群が集結し始める時、先に到着した蜂が他の蜂を引き寄せるためにこの「におい旋風」をする。
つまり巣を冷やすための扇風行動ではなく匂い扇風だとしたら、巣から落ちた若い蜂に巣の場所を教え誘導するため門番がフェロモンを放出していた可能性があります。
あるいは結婚飛行に出た新女王を巣に呼び戻そうとしていたのかもしれません。
それとも独立した分封群がこの電柱に去年全滅した古巣を見つけて再利用しようと集まっているところなのでしょうか。
定点観察で後日、巣内を冷やすための純然たる扇風行動も別に観察しています。
つづく→「ニホンミツバチ♀の巣を冷やす扇風行動【ハイスピード動画】」
巣口の右下で身を寄せ合うワーカー♀の群れ |
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