2020/07/04
池の岸から小魚を捕食するダイサギ(冬の野鳥)
2020年2月中旬・午後16:18〜16:28
日本庭園で池の岸で白鷺が佇んだり、ゆっくりと歩き回ったりしていました。
ダイサギ(Ardea alba)です。
飾り羽が美しいですね。
少量の残雪が積もった岸から何度も長い嘴を水中に素早く突っ込んで獲物の捕食を試みています。
何度か失敗したり獲物に逃げられたりしたものの、私が見ている間に少なくとも二度は小魚の捕食に成功しました。
池の水面には、細かく溶けた氷(雪かも?)が浮いています。
ダイサギは岸の水際に忍び寄り、鋭い眼光で水中を見つめています。
日本庭園の庭木は冬の間、雪囲いされています。
水中に獲物を見つけると、ダイサギは頭を低く下げた姿勢で忍び寄ります。
狙いを定め、池の水際の岸に嘴を電光石火の早業で突き刺しました。
見事に咥えた長い嘴の先には小魚(種名不詳)がピチピチと暴れていました。
獲物を丸呑みすると、首を左右に振って嘴から水を振り落としました。
川で魚を捕食するダイサギは今まで何度も観察してきましたが、池での漁は初見です。
川での漁と異なる点として、食後に嘴を水でゆすぐ行動をしませんでした。
今回、食後のダイサギは首を左右に振って嘴の水気を切っただけで、すぐに次の獲物を探しに歩き出しました。
おそらく、池の静水で嘴をゆすいだりすると魚に警戒され逃げられてしまうからでしょう。
もう一つ大きな疑問として、川では「足踏み追い出し漁」がダイサギの得意技なのに、池では水中に入って歩き回らないのは何故でしょうか?
単なる個体差なのかな?
釣りをやらない私は想像するしかないのですが、池と川では効率的な漁のやり方が異なるのかもしれません。(池の魚の方が警戒心が強い?)
止水の池で足踏みすると水底から舞い上がった泥で濁ってしまい、肝心の獲物が見えなくなりそうです。
一方、川で足踏み追い出し漁をやる場合は、川底から舞い上がった泥は川の水ですぐに川下へ流されますから、ダイサギの視界は良好に保たれるはずです。
飛び立つ瞬間を1/5倍速のスローモーションでリプレイ。
実はこの飛翔シーンは一番最初に撮りました。
この記事は捕食行動が主題なので、ストーリーの演出上、編集で後回しにしました。
私が対岸からカメラを構えたら警戒し、少し飛んで死角に逃げてしまいました。
木の橋を飛び越えて逃げる際にアオサギのように鳴いて騒いだり脱糞したりしないのが、優雅な白鷺らしいと思いました。(たまたまかも?)
それでも私は辛抱強くダイサギを追いかけて粘り、なんとか捕食シーンを撮ることができました。
オナガガモ♀を囲い込む♂の求愛誇示:水はね鳴き、そり縮み(冬の野鳥)その2
2020年1月上旬・午後15:05頃・くもり
▼前回の記事
オナガガモ♀を囲い込む♂の求愛誇示:水はね鳴き、そり縮み(冬の野鳥)その1
川面で2羽のオナガガモ♀(Anas acuta)がそれぞれ複数の取り巻き♂を引き連れて川面を遊泳しています。(♂による♀の囲い込み)
登場する個体数が多い上に、群れがときどき入り交じるので、どうしても目移りしてしまいます。
♂による一連の求愛誇示(ディスプレイ)のレパートリーの中で、特に「水はね鳴き」と「そり縮み」を♂が披露する度に、1/5倍速のスローモーションにしてみました。(直後に等倍速でリプレイ)
今回は♂同士が♀を巡って争うシーンはありません。
♂が嘴で左に水飛沫を跳ね上げ(水はね鳴き@1:07)、続けてそり縮みも披露しました。(@1:17)
画面で♀aは♂の右に居るので不思議に思っていたら、もう1羽別個体の♀bが登場しました。
♂は後半のそり縮みの際に左を向いたので、この♂は一貫して左の♀bに気があることが分かります。
オナガガモ♂は意中の♀に対して水飛沫をかけ、そり縮みの直後に嘴を向けるのです。
川面で複数の♀♂が入り混じっていても混乱すること無く、まるで「フィーリングカップル」の電光掲示板のように好意(求愛)の対象は明確に伝わるようになっています。
囲い込みに参加する♂は一途で、特定の♀をひたすら追い回し、川面で寝ている別の♀とすれ違っても無関心でした。
♂が途中で求愛対象を別個体♀に乗り換えるかどうか、興味があるところですけど、今のところそのような浮気症の♂は見ていません。
婚活に参加しないでのんびり寝ている♂も居ます。
2020/07/03
キブシつぼみの開花運動:雄花序【7200倍速映像】
2020年3月下旬
早春に咲くキブシの開花運動を微速度撮影するために、記憶を頼りに里山へキブシを探しに行きました。
林道沿いに並んだキブシの灌木から蕾のついた枝を採取してきました。
蕾は未だ固く閉じているものの、よく見ると上の蕾から少しほころんでいます。
室内の花瓶に活け、キブシの花芽を30秒間隔で丸3日間、接写しました。(インターバル撮影)
計8617枚の連続写真を元に作成した7200倍速の早回し速度をご覧ください。
予想通り、総状花序の上から下に順に咲きました。
個々の花をよく見ると、雌しべおよび雄しべを有する雄花序でした。
次に機会があれば、もう少し広角で花序全体を収めて微速度撮影をやり直したいものです。
また、雌しべしか無い雌花序の開花も微速度撮影してみるつもりです。
つぼみの段階で雌雄を見分けられるか自信がないのですが、雌花序は雄花序よりも短いらしい。
↑【おまけの動画】
早回し速度を落とした1800倍速映像をブログ限定公開しておきます。
ツタウルシの実を食べるアカゲラ♂(冬の野鳥)
2020年2月中旬・午後15:15頃・くもり
平地の雑木林で啄木鳥の鳴く声が聞こえます。
落葉したハンノキの幹を登りながらアカゲラ♂(Dendrocopos major)がキョッキョッ♪と断続的に鳴いていました。
逆光で分かりにくいのですが、後頭部が赤いので♂ですね。(@1:12)
ハンノキ高木に巻き付いた蔓植物の果実を食べに来たようです。
蔓のあちこちにかたまってついた小さな丸い実(核果)を啄んでいます。
被写体の前後に茂みがあるため、カメラのオートフォーカスAFがなかなか合わず撮影に苦労しました。
※ 鳴き声が聞き取りにくかったので、動画編集時に音声を正規化して音量を強制的に上げています。
さて、この蔓植物の名前は何でしょう?
完全に落葉していて特徴が乏しいです。
てっきりイワガラミやツルアジサイかと思ったものの、枯れた装飾花が1枚も蔓に残っていないのは変です。
ちなみに常緑の蔓植物ツルマサキもハンノキの幹に巻き付いていたのですが、ツルマサキの赤い実とは明らかに違います。
6月中旬に現場の雑木林を再訪しました。
ハンノキの枝には鬱蒼と葉が茂っていました。
予想していたイワガラミの花は咲いていませんでした。
残念ながら謎の蔓植物の花は既に散り終わった後で、未熟な実がついていました。
蔓から枝葉をナイフで切って採集し、持ち帰って図鑑と見比べるとようやくツタウルシと判明しました。
無知ゆえに私は無謀にも素手で枝葉を採集したり、(つぼみかと思って)未熟果を爪で割って調べたりしてしまいました。
ところが、なぜかその日は全くかぶれませんでした。
ツタウルシでもなかったのでしょうか?
私の皮膚はツタウルシの毒性分ラッコールに対して耐性がある特異体質なのか?と安心していたら、2日後から急激に痒みを伴う多数の発疹、ミミズ腫れ、水疱が両腕に出て、酷い目に遭いました。
これでもうツタウルシの名前は絶対に忘れません。
過去にも山野を歩いた後に似たような激しいかぶれ症状が出たことが何度かあり、それも知らず知らずのうちにツタウルシに触れたせいだろうと今になって分かりました。
それでも懲りずに、来春は改めてツタウルシの花と送粉者を観察しに行くつもりです。
ツタウルシ:3出複葉 |
ツタウルシ@ハンノキ幹 |
ツタウルシ:未熟果+前年の核果 |
2020/07/02
雪が残る畑の地中から食物を掘り出すハシボソガラス(冬の野鳥)
2020年2月中旬・午後12:45頃・晴れ
例年なら厳冬期なのにこれほど積雪量が少ない今年は異常な暖冬です。
郊外の畑で採食中のハシボソガラス(Corvus corone)を見つけました。
わずかな残雪で覆われた畑を嘴でほじくり返したカラスは、浅い地中から何か薄茶色の物体を掘り出しました。
シャーベット状に凍った食物を嬉しそうに咥えて飛び去りました。
予め食料を貯食(冷蔵保存)していた可能性もありそうです。
オナガガモ♂の求愛誇示と♀のけしかけ(冬の野鳥)
2020年1月上旬・午後15:45頃・くもり
冬の川面で6羽のオナガガモ♂(Anas acuta)が1羽の♀を取り囲んでいます。
♂はときどき首を上下に伸縮させて♀に求愛しています。
これが本に書いてあった「あご上げ」や「げっぷ」ですかね?
本の解説を読んでも挿絵を見ても、私にはこの2つの求愛誇示行動がどうも区別できません…。
♂αが前方のライバル♂の尾羽根を嘴でつついて追い払いました。
囲い込む♂の行動は今までの観察と同様ですが、♀に注目すると新たな動きがありました。
取り巻き♂を引き連れた♀は川面をあちこち遊泳しながら、ときどき羽繕いしています。
そして♀は嘴を背中越しに斜め下に振る動作を頻りに繰り返していました。
これが本に書いてあった「けしかけ」ディスプレイですかね?
「けしかけ」中に♀が低い鳴き声を忙しなく発したかどうか、私には聞き取れませんでした。
川の水音や周囲で鳴き騒ぐオナガガモ大群の喧騒に掻き消されてしまうのです。
高性能の集音マイクを使えば解決するのかな?
福田道雄『人前で求愛ディスプレイをするオナガガモ』によると、
観察していて、「囲い込み」で取り囲まれた♀が、どの♂を選んだかは、なかなかわかりません。♀は「囲い込み」が始まったときにはすでに♂を選んでいるか、数秒か数分のうちには選ぶと言われています。♀はときどき選んだ♂のほうに向きを転じることで選んだことを示します。そして、選ばれたことがわかった♂は、ほかの♂よりも「あご上げ」と「げっぷ」をより多く行うようになります。選ばれなかった♂は「水はね鳴き」と「そり縮み」をより多く行います。そして、1羽の同じ♂が、ほかの♂に向かって攻撃をしかける光景が次第によくみられ始めます。
つがいができると、♂は顎をまっすぐに立てて頭の羽を膨らませ、後頭部が♀に見えるようにし、先導して泳ぎます。このディスプレイは「後頭さし向け」と呼ばれます。♀は、近寄る♂に背を向け、嘴を背越しに斜め下に振り、低い鳴き声をせわしく出しながら「けしかけ」のディスプレイをします。このディスプレイはカモの仲間に広く共通する♀の代表的なディスプレイです。なお、この二つのディスプレイは、つがい形成のうえで重要な役割をはたすとされています。その後、つがいは群れから少し離れて過ごすことが次第に多くなり、ほかの♂もほとんど近寄らなくなります。 (ポピュラー・サイエンス・シリーズ『動物たちの気になる行動〈2〉恋愛・コミュニケーション篇 』p30より引用)
今回の動画で♀が繰り返している行動が「けしかけ」の誇示行動(ディスプレイ)ではないかと思うのですが、どうでしょう?
本書には「けしかけ」しているオナガガモ♀および「後頭さし向け」中の♂を描いた図(簡略化したスケッチ)もp31に掲載されているのですが、抽象化した静止画ではどうしても行動のイメージが湧きません。
最近出版された生き物関係の書籍では少しずつ行動を示す動画が添付されるようになりましたが、これからは必須になるでしょう。(動画サイトへのリンクを掲載するなど)
後半になると囲い込みに参加する♂が少なくなり、解散したように見えました。
しかし♀を先導して「後頭差し向け」する♂は見ていません。(私が見落としているだけ?)
最終的に♀がどの♂を選んだのか、観察歴の浅い私には見分けられませんでした。
この♀の動向をもっと長く撮り続けるべきでしたね。
※ いつものように動画編集時に手ブレ補正処理をすると副作用で不自然な映像になってしまったので、今回は止めました。
背景となる川面の波紋が手ブレ補正のアルゴリズムを惑わせてしまうようです。
2020/07/01
オオウバユリ種子の風散布を実演してみる
2020年2月中旬
平地のスギ(杉)林の薄暗い林床に立ち枯れしたオオウバユリを見つけました。
(ウバユリは)関東地方以西から四国・九州に分布する。中部地方以北・樺太・千島には大型の変種オオウバユリ( C. cordatum var. glehnii )が分布する。(wikipediaより引用)
完全に熟した実は割れていて、中には平べったい翼の付いた種子が詰まっていました。
枯れた茎を手で揺すると、乾いた蒴果が飛散しました。
オオウバユリの種子は、秋から冬の寒風に吹かれて分布を広げるのです。
そのために茎ができるだけ背高くまっすぐ伸びるのでしょう。
秋山恵生『Winter Field Guide Snow Forest 冬の森へ』というハンドブックによると、
木ではなくユリの仲間です。地味な白い花のあとに、種子をいっぱい詰め込んだ実ができます。種を飛ばしたあとのサヤは、リースの材料としてよく利用されます。雪の降りはじめのころまでは、野に立っています。(p39より引用)
平らな種子には、薄く角のまるい三角形の翼があります。このためゆっくりと回りながら風に飛ばされていきます。(p54より引用)
オオウバユリの実は翼果ではなく蒴果(2つ以上の心皮が合わさっていて、縦に裂ける)に分類される。(p64より引用)
初夏になったらオオウバユリの花の写真を撮りに行くつもりです。
モミと桜の樹上で採食するエナガの群れ(冬の野鳥)
2020/06/30
池の止まり木で脱糞、羽繕いする繁殖羽のカワウ(冬の野鳥)
2020年2月上旬・15:05頃・晴れ
桜の折れた枝が池の中に突き刺さっていて、様々な野鳥の止まり木となっています。
この日はカワウ(Phalacrocorax carbo hanedae)とカルガモ(Anas zonorhyncha)が1羽ずつ止まって休んでいました。
カメラを向けた途端にカワウが白い液状便を大量に排泄しました。
首周りの白い婚姻色(繁殖羽)が美しく、強い日差しを浴びて白飛びするほど光っています。
水面からの照り返しが鳥の体表で煌めいていて、なかなか絵になる光景です。
日向ぼっこで眠そうに見えるのは、照り返しが眩しいのかもしれません。
排便ですっきりした後のカワウは、辺りをキョロキョロ見回したり、羽繕いしたり、のんびり過ごしていました。
何度も通ってくる私のことを慣れて人畜無害だと認識してくれたのか、長々と動画を撮っても飛んで逃げることはなくなりました。
よく晴れているのに、カワウはなぜか翼を広げて羽根を乾燥させる行動をしませんでした。
そう言えば、この池では潜水漁や水浴びをするカワウを未だ見たことがありません。
観察する時間帯の問題かな?
カワウ若鳥の姿をこの池で最近見なくなりました。
ひょっとすると
オナガガモ♀を囲い込む♂の求愛誇示:水はね鳴き、そり縮み(冬の野鳥)その1
2020年1月上旬
川面を遊泳する2羽のオナガガモ♀(Anas acuta)に♂の取り巻きがそれぞれついて回っています。(求愛の囲い込み)
2つの求愛群が入り混じったりすれ違ったり、ただ水面に浮かんで寝ている他のオナガガモ大群に一時的に紛れ込んだりして、とても分かりにくい状況です。
登場する個体数が多過ぎて目移りしてしまいます。
求愛する♀を途中で乗り換える移り気な(浮気症の)♂もいるのではないでしょうか。
囲い込みに参加する♂が次々に奇妙な行動を披露していることに気づきました。
求愛誇示のレパートリーの中の「水はね鳴き」および「そり縮み」だとようやく私にも見分けることができました。
1/5倍速のスローモーションでまずはご覧ください。
その直後に当倍速でリプレイ。
『動物たちの気になる行動〈2〉恋愛・コミュニケーション篇 』という本(ポピュラー・サイエンス・シリーズ)に収められた、福田道雄『人前で求愛ディスプレイをするオナガガモ』が挿絵付きでとても参考になりました。
オナガガモの代表的なディスプレイには、つぎのものがあります。ただし多くの場合、一つのディスプレイは単独で行われることはなく、組み合わせられたり、一連の行動として行われます。
a あご上げ ― 攻撃と逃避の入り交じった気分を示すもので、♂・♀共に幼鳥時から行われる、生活するうえでの基本的なディスプレイです。
b げっぷ ― ♀にマウントしようとする意図が込められていて、♀の後方に近づいた♂がよく行います。嘴を引き、上げた頭を下げるときに「ピュー」という笛声を出します。
c 水はね鳴き ― 「げっぷ」のときよりも、♀から離れた位置で行われ、しかも、♀に対してどの方向からも行われます。前方に伸ばした嘴を引き寄せるときに嘴の先で水をはね上げ、頸(くび)が突き上げられたときに笛声を出します。
d そり縮み ― 「水はね鳴き」の後に続いて行われる、セットになったディスプレイです。オナガガモやコガモでは、引き上げられた尾の側面にある、下尾筒(かびとう)のクリーム色の羽部分が視覚的に強調されます。このディスプレイの後、目当ての♀のほうに嘴を向けます。 (p27〜29より引用)
水はね鳴きをする♂は、水面に少し浸した嘴を素早く横に振り、意中の♀の方向へ水をすくい上げています。
直後に♂は伸び上がり、尾羽を左右に激しく振ります。
このとき♂は特徴的な笛声を発するらしいのですが、川の流れる水音やオナガガモ大群の喧騒に掻き消されてしまい、私には聞き取れませんでした。
よく恋愛ドラマで若いカップルが海辺で相手に水をはね飛ばしてふざけ合うシーンがあります。
海水をかけ合って嬌声を上げています。
相手の気を引くためにヒトもオナガガモと似たような求愛ディスプレイをしていたのですね。
♂による「そり縮み」は、確かに「水はね鳴き」の直後に行われていました。
首と尾羽を同時に高く持ち上げ、水面で海老反り姿勢になっています。
ただし、水はね鳴きだけで終わる場合もあり、必ずしもそり縮みをするとは限らないようです。
そり縮みの直後に♂は確かに意中の♀の方へ嘴を向けていました。
この2つのディスプレイをよく見ていれば、♂がどの♀を狙っているのか傍目にもよく分かるようになります。
囲い込みが混み合ってくると、♂α(♀に最も近い個体)が進路を塞ぐライバル♂βを嘴でつついて追い払いました。
その隙に♀が方向転換すると、取り巻きの♂たちも慌てて追いかけます。
ドサクサに紛れて♀の近くに割り込もうとした♂γを許さずに、♂αが攻撃しました。
オナガガモの複雑な求愛行動を紐解いて少しずつ見えてくると、ますます観察が面白くなってきます。
本の解説を読んだり挿絵や写真を見るだけではどうしても素人には分かりにいです。
やはり動画の説得力は段違いで、スロー再生しながら解説を読み直すとようやく理解できました。
つづく→オナガガモ♀を囲い込む♂の求愛誇示:水はね鳴き、そり縮み(冬の野鳥)その2
【追記】
YouTubeの動画に英語の解説を付ける際に、それぞれの求愛誇示行動に対応する正しい用語を知る必要があります。(英訳の問題)
All about birdsのサイトなどを参考にしました。
Northern Pintails are generally social birds and rarely fight with other ducks. But when one male threatens another, they jab at their rival with their bill open and chase them with their head hanging low, just above the surface of the water. Males and females also lift their chins to greet each other and sometimes tip their chins when threatened. Pairs form on the wintering grounds, but males often mate with other females on the breeding grounds, and pairs only stay together for a single breeding season. Courting males stretch their necks up and tip their bills down while giving a whistle call. Males also preen behind their wing to expose the green speculum. Interested females follow males with head bobbing, preening, and clucking.
また、カモ類の求愛行動を解説した記事:How To Recognize Duck Courtship Displaysが挿絵もあって勉強になりました。
1968年と少し古いですが、「カモ類の求愛行動の進化」と題した比較行動学の論文がPDFで全文公開されていたので、オナガガモのところだけ拾い読みしてみました。
Johnsgard, Paul A. "The Evolution of Duck Courtship." Papers in Ornithology (1968): 31.
The pintail, however,lacks the down-up display, and in this species there is a significant, although delayed, linkage between the grunt-whistle and the head-up-tail-up, which usually occur about one second apart. The pintail also seemingly lacks a functional nod-swimming display, although it is present in an extremely rudimentary form.
確かに私も、オナガガモ♂がnod-swimming ディスプレイをするのは一度も見ていません。
2020/06/29
サンシュユ蕾の開花運動【5400倍速映像】
2020年3月中旬
早春に咲くサンシュユ(別名ハルコガネバナ、アキサンゴ、ヤマグミ)の開花運動を微速度撮影してみました。
秋になる果実の形状だけを見てアキグミかと昔は思い込んでいたのですが、全く別種の植物でした。
花芽の付いた枝先を採取し、水切りしてから花瓶に活けました。
30秒間隔で3日間インターバル撮影しました。
続けてマクロレンズを装着し、接写で更に3日間30秒間隔のインターバル撮影を行いました。
大量の連続写真を元に作成した、5400倍速の早回し映像をご覧ください。
編集で順序を変え、マクロ動画を先にしました。
まるで黄色い花火が弾けるように小さな散形花序が次々に咲く様子が艶やかですね。
個々の花は小さく、蕾の開花運動を接写すると4枚の黄色い花弁が反り返っているのが分かります。
開花直前の蕾の花柄がくるくると旋回しているのが興味深く思いました。
回転する向きは一定していないようです。
広角で撮った動画では、サンシュユの小枝を謎のイモムシ(蛾の幼虫?)が徘徊していました。
越冬休眠個体が暖かい室内で目覚めたようですが、撮影中は気づきませんでした。
↓【おまけの動画】
早回し速度を落とした2パターンの動画(3600倍速および1800倍速)をブログ限定で公開しておきます。
早回し速度を落とした2パターンの動画(3600倍速および1800倍速)をブログ限定で公開しておきます。
【おまけの写真】
2021年10月下旬
秋に赤く熟したサンシュユ(ヤマグミ)果実の写真を撮りました。
つづく→サンシュユの赤い熟果と種子
熟柿をついばむツグミ、ヒヨドリ、ヒレンジャクの混群(冬の野鳥)
2020年2月上旬・午後15:45頃
川沿いの民家の庭に植栽されたカキノキで野鳥の混群が熟柿を食べに来ていました。
ツグミ(Turdus eunomus)とヒヨドリ(Hypsipetes amaurotis)がメインですが、撮影中はヒレンジャク(Bombycilla japonica)も1羽来ていることに気づきませんでした。
実は近くの針葉樹(ヒノキ?)にヒレンジャクの大群が集まっていたのですが、柿の木を占有しているヒヨドリやツグミに遠慮して順番待ちをしていたのかもしれません。
動画冒頭で、下の枝にメジロもチラッと写っていたような気がするのですけど、川の対岸から撮っていた私はすぐにカメラを上にパンしてしまい残念。
もっとじっくり撮影すべきでしたね。
途中で2羽のヒヨドリが小競り合いを繰り広げながら飛来しました。
連鎖反応で計3羽のヒヨドリが三つ巴の空中戦になりました。
ツグミの飛び立ちおよびヒヨドリの喧嘩を1/5倍速のスローモーションでリプレイ。
▼関連記事(7年前の撮影)
・雪の庭で熟柿を採食するツグミ、ヒヨドリ、ヒレンジャクの群れ【冬の野鳥:HD動画&ハイスピード動画】
・ツグミとヒヨドリの喧嘩【冬の野鳥:ハイスピード動画】
2020/06/28
川面で羽繕いの合間に水を飲む独身オナガガモ♀(冬の野鳥)
2020年1月上旬・午後15:05頃・くもり
このオナガガモ♀(Anas acuta)は不思議なことに周囲の♂から求愛の対象になっていないようで、囲い込みされていません。
未だ性的に成熟していない独身の若鳥♀なのですかね?
それとも既に
川面の独身♀が岸近くを泳ぎながら、嘴で水を一口すくって飲みました。
嘴を再び水で濡らすと羽繕いを始めました。
羽繕い後にまた川の水を飲みました。
▼関連記事(1.5カ月前に撮った飲水動画は短過ぎるので差し替えます。)
川面を遊泳中に水を飲むオナガガモ♀(冬の野鳥)
電線から飛び立つカワラヒワの群れ(冬の野鳥)
2020年1月上旬・午後12:55頃・くもり
郊外で計11羽のカワラヒワ(Carduelis sinica)が電線3本に並んで止まっていました。
五線譜に並ぶ音符♪を連想します。
寒そうに羽毛を膨らませたり身震いしたりしています。
風切り音で鳴き声は聞き取れませんでした。
カメラを向けると次々に飛び去り、2羽だけが残りました。
厳冬期にカワラヒワを見かけるのは珍しい気がするので、動画で記録しておきます。
記録が無いと「存在が無かった」ことにされてしまいますから、面白くない記録でもとりあえず残しておく価値があるのです。
図鑑でカワラヒワは留鳥とされています。
しかし、種子食性の鳥は豪雪地帯で餌を探すのが困難になりますから、南の地方に渡って行くはずです。(漂鳥)
今年は雪が異常に少ない暖冬なので、雪国でも落ち穂拾いなどをして餌を確保できているのでしょう。
冬季の採餌行動を動画に撮りたくてカワラヒワを探し歩いたのですが、目的を果たせませんでした。
もっと少数の群れで行動していることが多く、私が気づくより早く飛んで逃げてしまうのです。
来年以降に持ち越しですが、例年並みの積雪になるとカワラヒワの数は減ってしまうだろうと予想されます。
例えばスズメは草の種の他に熟柿を食べたりして、冬でも雪国に残って逞しく生き残ります。(留鳥)
その一方で、柿の木の熟果をカワラヒワが食べに来るシーンを一度も見たことがありません。
▼関連記事(3年前の3月下旬に撮影)
カワラヒワが群れで桜の冬芽を採食(冬の野鳥)
【追記】
山形新聞社『やまがた野鳥図鑑』によると、
冬季に観察されるのは大陸からくる亜種オオカワラヒワのようだ。(p55より引用)
今まで私はカワラヒワの亜種の違いを区別してこなかったので、新たな宿題ができました。
また同図鑑によれば、山形県内でカワラヒワが特によく見られる時期は、4月上旬〜8月中旬と記されていました。
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