2024/06/15

スギ防風林のタヌキ溜め糞場周辺で深夜に餌を探し歩く2匹の野ネズミ【トレイルカメラ:暗視映像】

 

2023年9月下旬・午前3:30頃 

ホンドタヌキNyctereutes viverrinus)がスギ防風林に残した溜め糞場wbcを自動センサーカメラで見張っていると、深夜未明に野ネズミ(ノネズミ)が登場しました。 
2匹が同時に林床をウロチョロしています。 
暗闇でもスギ落葉の上を歩くかすかな足音で互いの存在に気づいているはずなのに、喧嘩(縄張り争い)にはならず別々に探餌徘徊しています。 
同じ巣穴で暮らす家族なのでしょうか。 
タヌキの溜め糞場には特別興味を示さず、横を通り過ぎるだけでした。



集団吸水しながら排尿するキタキチョウ♂

 

2023年9月中旬・午後15:30頃・晴れ 

田園地帯の砂利が敷かれた農道の水溜まり付近に4頭のキタキチョウ♂(Eurema mandarina)が集まって吸水していました。 
キタキチョウの飲水シーンは初見です。 
砂利道で半乾きの泥から水を飲んでいました。 
体は静止していても、伸ばした口吻をしなやかに動かしてあちこちの地面を探っています。
着陸時はいつも翅をしっかり閉じているので、横風が吹くと翅が煽られてしまいます。 
地面のあちこちで味見をしてはすぐに飛び立ち、忙しなく移動しながら泥水を啜っています。
なかなかじっくり撮影させてもらえません。

吸水シーンの後ろ姿も何気なく撮っていたら、閉じた翅で隠された腹端から透明な液体をポタリと排泄していました。 
シロチョウ科で排泄シーンを観察できたのは初めてです。 
腹端から透明なおしっこを放出した瞬間を1/5倍速のスローモーションでリプレイ。(@2:25〜2:47) 
真横から撮った動画には残念ながら排尿シーンが写ってませんでした。 
セセリチョウ科のような吸い戻し行動ではなく、むしろアゲハチョウ科の吸水・排尿に近いです。 
泥に含まれる微量なミネラル成分を必要なだけ摂取するためには大量の水を飲む必要があり、余分な水分をどんどん排泄しているのでしょう。 
大量に飲んだ水で体を冷やす効果もありそうです。(水冷式冷却) 

私にはキタキチョウの性別を形態的に見分けられませんが、吸水という行動から全て♂としておきます。
(キタキチョウの)♂は湿った場所や川原などで好んで吸水し、時に集団も見られ、獣糞にも集まる。(フィールドガイド『日本のチョウ』p75より引用)
吸水後に飛び去る瞬間を1/5倍速のスローモーションでリプレイしてみると(@2:57〜) 、羽ばたいた際にちらっと見えた翅表の黒斑から、夏型♂と判明。 

もっと多数のキタキチョウ♂が集結して群れになる集団吸水シーンを期待したのですが、今回は2頭が並んだのが最大で、あとは別々に離れて吸水していました。 
ここの泥に含まれるミネラル成分が薄いのでしょうか。 

なぜ集団吸水する蝶の群れが形成されるのでしょうか? 
先客がいれば、ミネラル成分の濃度が高い地点を探してあちこち味見する手間が省けます。 
群れになることで捕食者に襲われる確率が下がりますし、周囲を警戒する目も増えます。 
キタキチョウの標本や黄色の紙片を水溜まり周辺に置いておくだけでキタキチョウが集まるかどうか、いつか実験してみたいものです。 


※ 編集ミスで動画の一部を消音してしまいました。 


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2024/06/14

スギ防風林の溜め糞場でホンドタヌキが排便しコウモリが飛び回る夜【トレイルカメラ:暗視映像】

 



2023年9月下旬・午後19:30 

スギ防風林でタヌキが通う溜め糞場wbcを5ヶ月ぶりにトレイルカメラで再び監視することにしました。 
雨上がりの晩に獣道を通って単独でやって来たホンドタヌキNyctereutes viverrinus)は毛皮が濡れているようです。 
 辺りを少しうろついてから、溜め糞wbc跨って右向き(東向き)で脱糞しました。 
共用の溜め糞場に自分の糞をピンポイントに追加するのではなく、広がりのある溜め糞エリアに各々が排便すると表現した方が良さそうです。 
実際は複数の糞塊が林床に点在しています。 
溜め糞場に通ってくる複数のタヌキをしっかり個体識別できれば、各個体が特定のお気に入りの地点に(あるいは気まぐれに)排便することが分かってくるのかもしれません。 

タヌキが排便していると、コウモリの一種が獲物を探しながら低空で飛来しました。 
この地点でコウモリは初見です。 
溜め糞場wbcに集まるハエなどの虫を補食しに来たのでしょうか? 
そう言えば、夜になるとハエは何処で寝るのか、今まで考えたこともありませんでした。
用を足してすっきりしたタヌキは、暗闇のスギ林でコウモリとの遭遇に気づいているのか不明ですが、何も反応することなく立ち去りました。 
タヌキの耳にはコウモリの発する超音波が聞こえているのでしょうか?

コウモリとタヌキがニアミスしたシーンも初見かもしれません。
コウモリは暗闇でも超音波によるエコロケーションでタヌキの存在を認知しているはずです。
素早く飛び回るコウモリを捕食する天敵はほとんど居ない(フクロウ?)と思うのですが、他の野生動物が来ている間は遠慮してコウモリは現れないのかと思っていました。


根曲がり巣穴の横で落ち葉をめくって虫を探し歩くクロツグミ♂【野鳥:トレイルカメラ】

 

2023年9月下旬

平地のスギ防風林にある「根曲がり巣穴」を見張っていると、営巣地周辺の林床にクロツグミ♂(Turdus cardis)と思われる黒い鳥が登場しました。 


シーン1:9/23・午後13:56(@0:00〜) 
クロツグミ♂なら腹面は白いはずですが、上から見下ろすと真っ黒な背中しか見えません。 
巣口を取り囲む根曲がり灌木(樹種はマルバゴマギ?)を経由して、ホッピングしながら左へ向かいました。 



シーン2:9/25・午前8:08(@0:15〜) 
2日後は、珍しく日中にフルカラーで録画されていました。 
(旧機種のトレイルカメラは昼間の録画の挙動が不安定で悩まされます。) 
右上の朽ちた風倒木に黒い鳥が止まっています。(赤丸に注目) 
林床に飛び降りると、採食行動(落ち葉めくり?)を始めたようですが、後ろ姿で肝心の口元が見えません。 


シーン3:9/25・午前8:11(@0:55〜) 
同一個体?のクロツグミ♂が戻ってきたようです。 
林床の落ち葉を嘴で左右に素早く跳ね除けて、下に隠れた虫を探しています。 

クロツグミ♂の嘴は黄色いはずですが、この動画ではそう見えないので、私の同定が間違っているのかと不安になります。 

高木清和『フィールドのための野鳥図鑑:野山の鳥』を紐解いてクロツグミの食性を調べると、
地上を跳ね歩いて餌を採る姿はツグミに似て落葉や土をくちばしでかき分けて餌を探す。(中略)食性:昆虫類、幼虫、クモ類、ミミズ類、木の実(p86より引用)

バードリサーチニュースの生態図鑑でクロツグミの食性を調べると、
主に地上で昆虫やムカデ,ミミズなどを食べる.木の頂で飛翔性の昆虫を捕食することもある.キヅタ,ヒョウタンボク,サクラ類などの実も食べる.ヒナにはミミズを多く運ぶ. 

 

まさに図鑑の記述通りの採食行動をしています。 
ただし、落葉めくりをする鳥は何種類も知られています。


シーン3:9/25・午前9:30・晴れ(@1:13〜) 
驚いたことに、根曲がり巣穴の中にクロツグミ♂が一時侵入していたようです。 
なぜ私が驚いたかというと、もしもテンやイタチなど肉食獣の巣穴だとしたら下手すると自殺行為になるからです。
逆に、野鳥が恐れることなく巣穴に入ったということは、(今は)肉食獣が棲む巣穴ではないのでしょう。
入巣シーンは撮り損ねたものの、巣穴から外に出て来る様子が撮れていました。 
ピョンピョンと跳んで(ホッピング)出巣すると、そのまま右へ飛び去りました。

この時期の根曲がり巣穴には、野ネズミぐらいしか野生動物(哺乳類)は住んでいないようです。 
他には暗所を好む昆虫(カマドウマ類?)が巣穴の奥に集結しているようで、それを狙ってタヌキが捕食しによく来ます。 


今回のクロツグミ♂も、虫を食べるため巣穴に潜り込んだのでしょう。 


※ 動画の一部は編集時に自動色調補正を施しています。 


こんな平地の森にもクロツグミが生息しているとは知りませんでした。 
以前、この近くで猛禽?に捕食された黒い鳥の謎がこれで解けました。 


つづく→ 


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2024/06/13

夜の水場に飛来するコウモリに狩られないよう必死で逃げ惑う蛾ほか【トレイルカメラ:暗視映像】

 

2022年8月中旬〜下旬 

山中で湧き水が溜まった泉に自動センサーカメラを設置すると、夜な夜なコウモリが飛来します。 
コウモリが飛びながら一瞬だけ着水するのですが、このとき水を飲んでいるのか水浴びしているのか突き止めたくて、しつこく撮影しています。 


シーン0:8/19・午後13:32(@0:00〜) 
明るい時間帯にたまたまフルカラーで撮れた現場の状況です。 
池から溢れた水は画面の奥に向かって流れ、沢の源流となります。 


シーン1:8/19・午後20:21(@0:03〜) 
晩になると、レンズに覆いかぶさるようにザトウムシの一種がうろついています。 
細長い歩脚が至近距離で動くと目障りです。
奥の森から飛来したコウモリは、このザトウムシを獲物として狩ろうとしませんでした。 
低空で飛びながら池に一瞬だけ着水すると、急旋回して何度も着水を繰り返してから森に戻ります。 
着水の度に泉の水面には波紋が広がります。 

コウモリが飛びながら超音波を発したはずなのに(エコロケーション)、ザトウムシは全く逃げませんでした。(緊急逃避行動なし) 


シーン2:8/19・午後20:31(@0:49〜) 
画面の下端に注目してください。 
池の中の落枝に小型のキリギリス?カマドウマ?がよじ登りました。 
次に飛来するコウモリはこれを獲物として狩るかと期待したのですが、いつの間にか居なくなっていました。 
この位置の虫を狙ってコウモリが飛びながら狩ろうとすると、池畔の崖に激突しそうというリスクがあるのかもしれません。 


シーン3:8/22・午後19:43(@1:06〜) 
今回の記事で一番の目玉となるのは、このシーンです。 
3日後の晩に、コウモリがいつものように水場に飛来すると、珍しく虫が慌てて逃げ惑いました。
こんなシーンをこれまで撮れたことがありません。

1/3倍速のスローモーションでリプレイすると、よく分かります。(@1:09〜) 
奥から手前に向かって飛んでくるコウモリの前を、不規則なジグザグ高速飛翔で夜蛾が必死で逃げていたのです。 
夜蛾はなんとかコウモリに狩られずに逃げ延びました。 
このときコウモリは珍しく着水せずに急旋回したので、たまたまコウモリの飛行ルートに夜蛾が迷い込んでしまったというよりも、コウモリは夜蛾を狩ろうと追いかけていたように思います。 

夜行性の蛾にとって最大の天敵はコウモリです。 
エコロケーションの超音波を感知すると、捕食されないように飛翔パターンを急激に変えたり、ジャミング(妨害)する超音波を自ら発する蛾もいるのだそうです。 
体表がコウモリの超音波を反射しにくいように進化した虫もいるそうです。(ステルス擬態)
超音波を使った熾烈な軍拡競争が夜な夜な繰り広げられているのです。



続けて、手前のレンズ付近をガガンボが慌てたように右から左へ飛んで横切りました。 
高速で飛来するコウモリの超音波を感知して、ガガンボが逃げ惑っているのでしょうか? 
ガガンボの飛び方は、元からこんな感じかもしれません。 

この水場に飛来したコウモリが見事に獲物を狩った決定的瞬間を撮れたことが一度もありません。
旧機種のトレイルカメラはフレームレートが15fpsしかなくて、低過ぎる(太刀打ちできない)ようです。
そもそもコウモリが飛びながら夜行性昆虫を追いかけるシーンが撮れたのも今回が初めてです。
コウモリは狩りが目的でこの水場に飛来している訳ではないという印象を受けています。

我々ヒトの耳にはコウモリのエコロケーションを全く聞き取れませんが、バットディテクターという電子機器で超音波を可聴域に変換することが可能です。 
トレイルカメラとバットディテクターを組み合わせてコウモリの捕食行動を記録してみたいのですが、なかなか実現できていません。 
飛翔時のエコロケーションを声紋解析するだけで、コウモリの種類が同定できる可能性がある点が魅力的です。 
コウモリが狩りモードになると、独特のエコロケーションに切り替わるはずです。

モエギザトウムシ?♀♂の求愛と交尾拒否

 



2023年9月上旬・午後12:40頃・晴れ 

ホンドタヌキNyctereutes viverrinus)の溜め糞場phがある周辺のスギ林床で多数のモエギザトウムシ♀♂(Leiobunum japonicum)?が活動していました。 
基本情報として、ザトウムシは体格に性的二型があり、基本的に♀の方が大きいのだそうです。(♀>♂) 
また、鋏角は♂の方が大きいらしい。(♀<♂) 
つまり外見でザトウムシの性別を見分けることが出来ます。 

下草(ヤブコウジ実生の葉)の上に居たモエギザトウムシ?♀個体が方向転換し、移動を始めました。 
林床を奥から歩いて来た別個体♂がこの♀を見つけると、♀に向かって積極的に突進してきました。 
そのまま正面から向き合うと、いきなりがっぷりと組み合いました。 
体格差があるのに、長い歩脚を屈伸しながら口器で互いに噛み合っているようです。 
短いキスを交わしただけで、♀♂2匹はすぐに別れました。 
今までこんな行動を見たことがなかった私はてっきり喧嘩(闘争)なのかと思ったのですが、調べてみると求愛行動だったと分かりました。 
クモの♂は触肢に移精してから♀の外雌器に挿入します(交接)。 
それに対して、ザトウムシ♂は陰茎を♀の交尾器に挿入する点で配偶行動が大きく異なります。 

林床を逃げていく♀個体に注目して撮り続けると、すぐにまた別個体の♂と遭遇しました。 
♀の背後から追いかけてきた♂は回り込んで、今回も互いに正面から向かい合って口器でがっちり噛み合いました。 
数秒後にはすぐ♀♂ペアを解消して別れました。 
しかし長い歩脚が絡み合って、別れるのに少し苦労しているようです。 

しばらくすると、一旦別れた♂が再び♀に迫りました。 
♀は嫌がっているようですが、そこへ3匹目が乱入してきました。 
この混乱に乗じて、♀は♂のしつこいセクハラから逃げ延びたようです。 

 一連の求愛行動および交尾拒否を1/5倍速のスローモーションでリプレイしてみましょう。(@2:02〜) 
ポイントとなるのは、♂が陰茎を伸ばして♀と結合したかどうか、です。 
1回戦で♀と正面から組み合った際に、♂が白い陰茎を伸ばしかけたように見えたのですが、どうでしょうか?(@3:04〜) 
2回戦は背側からの撮影アングルだったので、交尾に成功したのかどうか、素人目には分かりませんでした。
うまくいく場合は、オスはススッとメスの脚をすり抜け(メスが寛容になる)胴体を潜らせ胴体を鉢合わせます。(関連動画『ザトウムシのコミュニケーション』by 生きもの観察記録さんの解説より引用)
私の動画では♀♂ペアが互いに腹面を合わせなかったので、今回も♀が交尾拒否したようです。
♀が受け入れても、ザトウムシの交尾はせいぜい5秒ぐらいで終わってしまうのだと教えてもらいました。
ザトウムシ♂は既交尾♀と交尾する前に陰茎を使ってライバル♂の精子を♀の性器から掻き出す行動(精子置換)をしないのでしょうか?


【参考動画】
↑「モエギザトウムシの求愛(拒絶するメス)①」 by 生きもの観察記録さん

モエギザトウムシのメスが交尾を拒絶する場合、胴体を倒立させることがある(他には前脚でオスの胴体をはさむ等)。

オスはちょこまか動くメスの脚をくぐり抜け、最後にはこの鉄壁の拒絶を突破していかないといけない。オスメスの頭と頭が付き合わさらないと、交尾に至らない。

「モエギザトウムシの求愛(メスの交尾拒絶行動)」と題した同じ動画が別サイト「動物行動の映像データベース」にも掲載されていました。

ちなみに、私の動画では、♀は倒立による交尾拒否はしていません。

↑「モエギザトウムシの求愛(拒絶するメス)②」

オス(下側)のからの交尾を拒絶するメス(上側)のモエギザトウムシ。第1脚を閉じてオスの胴体の侵入を防いでいる。
これまでの飼育下では、メスの交尾拒絶行動は①胴体を倒立させる、②脚を閉じる、の2パターンが観察された。
私の動画で、モエギザトウムシ♀が脚を閉じて♂の求愛を拒絶したかどうか、素人目には見分けられませんでした。


「ザトウムシの交尾」で画像検索してみると、交尾中のザトウムシ(モエギザトウムシとは別種)を接写した見事な写真が土壌動物写真家ジーク氏のブログ記事に掲載されていました。
♂が長い陰茎を伸ばして♀と結合した様子が側面からしっかり見えます。
私も次回はザトウムシの交尾に成功するシーンを動画で記録したいものです。


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2024/06/12

根曲がり巣穴に夜な夜な出入りする野ネズミ【トレイルカメラ:暗視映像】

 



2023年9月上旬〜中旬 

謎の「根曲がり巣穴」をトレイルカメラで見張っていると、最も頻繁に写るのは野ネズミ(ノネズミ)でした。
夜な夜な餌を探し求めて林床をチョロチョロと徘徊するだけでなく、ときどき巣穴に出入りしていました。 
同一個体の野ネズミが繰り返し写っているのか、それとも複数個体いるのか、私には見分けが付きません。
初めは他のもっと大きな野生動物が掘った巣穴だと思いますが、現時点では野ネズミが「根曲がり巣穴」に住んでいると考えざるをえません。
単純な巣穴ではなく、大小さまざまな穴が複雑に開いて繋がっているようです。
監視カメラを設置するのが遅かったのでこのような結果になりましたが、巣穴の本来の主を知るには野生動物が出産・育児をする繁殖期に調べ直すべきでしょう。


シーン1:9/7(@0:00〜) 


シーン2:9/8(@0:31〜) 


シーン3:9/9(@3:46〜) 


シーン4:9/10(@10:18〜) 


シーン5:9/11(@10:40〜) 


シーン6:9/12(@11:27〜) 
雨夜にも登場しました。 


シーン7:9/13(@11:42〜) 


シーン8:9/14(@12:09〜) 


シーン9:9/15(@12:33〜) 
これ以降、カメラの電池が消耗したせいで、毎回わずか数秒間しか録画してくれなくなりました。 


シーン10:9/16(@13:05〜) 


※ 動画の一部は編集時に自動色調補正を施しています。 


ヒヨドリの腐乱死体に群がるハエとヨツボシモンシデムシ(野鳥)

 

2023年9月中旬・午後13:40頃・晴れ 

里山で急斜面の細い沢を下っていると(沢登りの逆)、急に強い死臭がしました。 
辺りを探すと、沢の横でヒヨドリHypsipetes amaurotis)の死骸が仰向けで転がっていました。 
死後数日経っているようで、腐敗が進んでいます。
ヒヨドリの死因が不明です。 
沢の水を飲んだり水浴びしていたヒヨドリが捕食者に襲われたのだとしたら、どうして死骸が何日もまるごと残っているのでしょう?


私が近づくと死骸からハエの群れが飛び立ち、辺りを飛び回るハエの羽音がウヮーンと鳴り響きます。 

死肉食性の昆虫を観察するために、拾った小枝でヒヨドリの死骸を裏返してみると、鮮やかなオレンジ色が目に付きました。 
少なくとも6匹のヨツボシモンシデムシNicrophorus quadripunctatus)が腐敗の進む死骸の下面に潜り込んでいて、腐肉を食べていました。 
腐肉に執着しているようで、ヨツボシモンシデムシを小枝でつついても逃げようとしません。
仰向けにひっくり返り、起き上がろうともがいている個体もいます。 
「頭隠して尻隠さず」の状態で腹端を振っているのは、威嚇行動かもしれません。 
死骸の横の小石の下にもヨツボシモンシデムシが隠れていました。

後になって気づいたのですが、ヒヨドリが死んだ地点は必ずしも沢の横とは限りません。
ヨツボシモンシデムシは死骸を見つけるとその下に潜り込み、力を合わせて運んでから地中に埋めるからです。


現場では気づかなかったのですが、フラッシュを焚いて撮った写真を見直すと、ヨツボシモンシデムシ以外の小さな甲虫も数匹写っていました。 
謎の甲虫の名前が分かる方がいらっしゃいましたら、教えて下さい。
しばらくすると、キンバエLucilia caesar)の仲間やニクバエの仲間が死骸に舞い戻ってきました。 

足元が不安定な崖で体勢が悪かったこと、死臭をなるべく吸い込まないように息を止めて撮影していたこと、飛び回るハエが私の顔に絶え間なくぶつかってくるのに閉口したことから、撮影が雑になってしまいました。 
状況説明の動画を撮る際に、カメラを焦って振り回してしまう悪癖が出ました。 
酔いそうな映像になってしまったので、仕方なくスローモーションに加工しました。 

ヒヨドリの死骸ごと採集してヨツボシモンシデムシを飼育すれば、有名な育児行動を観察できたかも知れません。 
今回はあまりの強烈な腐臭にたじろいでしまい、そこまでする根性がありませんでした。 
野鳥の腐乱死体を運んでいる途中で警察に職務質問されたりしたら、説明するのが厄介です。
それが無理でもヨツボシモンシデムシを採集して、鞘翅の裏面の色を確かめるべきでしたね。 



自然界でヒヨドリの死骸が生物分解される様子を微速度撮影しても面白そうです。 
残念ながら今回はトレイルカメラなどの機材を持ってきていませんでした。 

沢登りしていると清流に見えて、沢の水を直接飲みたくなります。
しかし、源流域で野生動物が沢に糞尿を排泄したり死骸が転がっているのを知ると、そんな気は失せてしまいます。
関連記事(1年前の撮影)▶ 


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・舘野鴻『しでむし』 

2024/06/11

根曲がり巣穴に潜り込んで虫を捕食しようと奮闘するホンドタヌキ【トレイルカメラ:暗視映像】

 



2023年9月中旬〜下旬 

スギ防風林で根こそぎ風倒したスギの根元に謎の巣穴が掘られています。 
巣口を取り囲むようにマルバゴマギ?灌木が冬の雪圧のせいで曲がりくねって伸びているため、「根曲がり巣穴」と呼ぶことにします。 
巣穴の主を突き止めるために、トレイルカメラで見張り続けています。 

シーン0:9/7・午後15:00(@0:00〜) 
明るい昼間にたまたまフルカラーで撮れた「根曲がり巣穴」の様子です。 
巣穴を上から見下ろすように監視しています。 


シーン1:9/11・午後15:35(@0:04〜) 
2匹のホンドタヌキNyctereutes viverrinus)が連れ立ってやって来ました。 
立ち止まって相互毛繕いしたかもしれませんが、画角の外でよく見えません。 
1頭は太い木の根っこを甘噛みしているようです。 
タヌキを真上から見下ろす撮影アングルは新鮮です。 
背中に黒い十文字があるのですね。 
巣口を迂回するように下へ立ち去りました。 


シーン2:9/12・午後21:03(@0:50〜) 
カメラの起動理由は不明ですが、本格的に雨が降っています。 
トレイルカメラを下向きで設置すれば、レンズが雨で濡れることはありません。 


シーン3:9/15・午前4:50(@0:56〜) 
タヌキが根曲がり巣穴から出てきた瞬間を撮り損ねたのでしょうか? 
それとも、ただ通過しただけかな?
一瞬の登場を1/3倍速のスローモーションでご覧ください。 
右上へ立ち去りました。 


シーン4:9/15・午後14:54(@1:05〜) 
タヌキ2頭のペアが登場しました。 
先頭個体aは根曲がり巣穴に顔を突っ込んで、中の匂いを長々と嗅いでいます。 
後続個体bは倒伏したスギの根元に跳び乗りました。 


シーン5:9/15・午後14:55(@2:05〜) 
2匹のタヌキがしつこく巣口の匂いを嗅ぎ回っています。 
代わる代わる巣穴に侵入・内検していますが、すぐに外へ出てきます。 
巣口で何か虫を捕食したようです。 
カメラ目線で舌舐めずりしました。(@2:45〜) 


シーン6:9/15・午後14:56(@3:05〜) 
味をしめた個体が居残って、巣口を飛び回る昆虫を狩ろうとしています。 
飛んで逃げる虫を追いかけて下へ立ち去りました。 
獲物の正体は不明です。 


シーン7:9/16・午後12:01(@3:37〜) 
タヌキが下から右上に走り去りました。 
おそらく、これは後続個体で、先行個体が横切ったのを撮り損ねたようです。 
1/3倍速のスローモーションでリプレイ。 


シーン8:9/19・午後17:34(@4:00〜) 
タヌキが根曲がり巣穴に上半身だけ入って中を調べ、何か虫を捕食したようです。 


シーン9:9/19・午後17:35(@5:01〜) 
下からタヌキが戻って来ました。 
慎重に根曲がり巣穴へ入ったものの、「頭隠して尻隠さず」の状態です。 


シーン10:9/19・午後17:37(@5:53〜) 
巣穴の外に出たものの、素早く逃げ回る虫を狩ろうと巣口で悪戦苦闘しています。 


シーン11:9/21・午前2:26(@6:53〜) 
雨でタヌキの毛皮が濡れてます。 
巣口を覗き込んでいたものの、トレイルカメラの電池がすっかり消耗していて、わずか1秒間しか暗視動画を撮影してくれませんでした。 


シーン12:9/21・午前3:00(@6:56〜) 
次に起動したときには、タヌキが画面の下端を左へ向かう姿が1秒間だけ記録されていました。 


※ 動画編集時に自動色調補正を施しています。 



【考察】 
謎の根曲がり巣穴で監視カメラにホンドタヌキが繰り返し写るようになりました。 
しかし動画を見ると、どうやらタヌキはこの巣穴に住んでいるのではなく、採餌のついでに立ち寄っているだけのようです。 
巣穴に侵入するのも恐る恐るで、全身を完全に潜り込むことはありませんでした。 

野生動物の巣穴を見ると私はどうしても、「誰の巣穴またはねぐらなのか?」「異種間で隙あらば巣穴の乗っ取りがあるのではないか?」「最も頻繁に縄張り宣言の匂い付けをするのは誰か?」などと住環境として捉えてしまいがちです。 
しかし、繁殖期が終わったこの時期にタヌキが繰り返し根曲がり巣穴を訪問して内見するのは、むしろ中に隠れている昆虫を捕食するのが目当てなのだと分かってきました。 
小さな獲物の正体を映像から見分けられませんが、素早く逃げ回り暗所に隠れたがることから、例えばカマドウマの仲間が候補として考えられます。 
つまり、現時点で根曲がり巣穴はただの空き巣(または野ネズミの巣穴?)であり、「タヌキの狩場」として捉えた方が良さそうです。 


身繕いしてから飛び去るキナコハリバエ【FHD動画&ハイスピード動画】

 

2023年9月中旬・午後12:45頃・くもり 

里山で荒れた林道を歩いていたら、見慣れないハエが太い丸太の断面に止まっていました。 
法面に生えていた朽木が根こそぎ風倒して山道を塞いでいたので、通行できるように一部をチェーンソーで切断したようです。 

体色がこんなに黄色っぽいハエを見たことがありません。 
背景の年輪が黄土色なので、よく紛れて保護色になっています。 
翅の前縁は黒味がかっています。 
体型が寸詰まりというか、やや頭でっかちに見えました。 

後脚同士を擦り合わせた後は前脚で複眼を念入りに拭っています。 
しばらく休んでから、今度は前脚同士を擦り合わせ始めました。 

調べてみると、どうやらヤドリバエ科のキナコハリバエSenometopia excisa)のようです。 
確かに名前の通り、「きな粉」をまぶしたような色のハエです。
白いキノコが生えかけた朽木に来ていたことに何か意味があるかと初めは思いました。(※ 追記参照)
しかしヤドリバエ科ということは、朽木と関係なくて、虫に寄生するのでしょう。 
寄主はマツカレハなど蛾の幼虫なのだそうです。
(ヤドリバエ科のハエは、左右の複眼が離れていても♀とは言えない?) 

朽木の断面から飛び立つ瞬間を狙って240-fpsのハイスピード動画でも撮ってみました。(@1:40〜) 
鬱蒼とした森の中はかなり薄暗かったので、カメラの設定で明るくしてから撮影したのですが、それでも暗いです。 
なかなか自発的に飛んでくれないため、痺れを切らした私はキナコハリバエの近くで手を振って飛び立たせました。 
あまりにも素早いので更に1/4倍速のスローモーションでリプレイしてみると、手前に向かって蛇行するように高速で逃げていました。 


※【追記】
後で思いついたのですが、もしもこの朽木がアカマツだとすると、切断されたことでマツ特有の芳香(松脂臭?)が辺りに漂い、キナコハリバエは本能でその匂いに誘引されたのかもしれません。
マツ類の生木さえ見つければ、マツカレハの食樹ですから、その葉を丹念に探索すれば、寄主であるマツカレハDendrolimus spectabilis)の幼虫を見つけるのは容易でしょう。


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2024/06/10

夜の旧営巣地を1〜2頭で訪れるニホンアナグマ:9月上旬〜下旬 【トレイルカメラ:暗視映像】

 



2023年9月上旬〜下旬 

二次林の旧営巣地にニホンアナグマMeles anakuma)が1〜2頭で夜に戻ってきた様子をまとめました。 
幼獣が成長した結果、素人目には幼獣なのか成獣なのか、見分けがつきにくくなりました。
2頭が一緒に元気で遊び回っているのは、いかにも幼い行動から、幼獣の兄弟姉妹だと思います。


シーン1:9/7(@0:00〜) 
明るい日中にたまたまフルカラーで撮れた旧営巣地の様子です。 
新旧2台の自動センサーカメラで見張っています。 


シーン2:9/11(@0:52〜) 
初めは単独で来たのに、途中から後続個体が合流して2頭になりました。 


シーン3:9/12(@1:50〜) 
巣口Rにスクワットマーキング。(@1:55〜) 


シーン4:9/13・午後18:15・気温25℃(@2:26〜) 
巣口Lの横で木質の細長い蔓が不自然に揺れています。 
獣道を走ってきたアナグマが入巣Lする前に、この蔓にぶつかったようです。 
巣口Lでは2頭のアナグマがふざけて格闘遊びを繰り広げています。 
少し離れて対峙した際に一方が(右の個体が)口を大きく開けて威嚇したのに、鳴き声を聞き取れませんでした。 
2頭は相次いで左に走り去りました。 
その後、左の死角からアナグマの軽く吠える声だけが聞こえます。 


シーン5:9/20(@3:11〜) 
毛繕い 


シーン6:9/24・午後18:31・気温19℃(@4:11〜) 
入巣Lおよび出巣L(巣穴Lを内検) 



ホンドタヌキが捕食したコオロギ類の未消化クチクラが大量に含まれた溜め糞

2023年9月上旬・午後13:00頃 

スギ防風林に点々と残されたホンドタヌキNyctereutes viverrinus)の溜め糞場wbcにときどき通って定点観察しています。 
この日は新鮮な糞塊が残されていました。 

果実(液果)の種子が未消化のまま糞内容物に含まれているのは、いつもと同じです。 
果実を食べるタヌキは、糞と一緒に種子を遠くに散布することになります。 

今回撮れた写真を見直すと、タヌキが捕食した昆虫の翅が未消化のまま大量に糞に含まれていました。 
真面目に糞分析をする余力はありませんでしたが、素人目にはコオロギ類(またはゴキブリ類やカマドウマ類?)の硬いクチクラのように見えます。
あるいはもしかすると、翅が茶色に見えるのは大便に混じっているからで、水で洗い流せば本来の色に戻るのかもしれません。

タヌキのこんな糞を私はこれまで見たことがありませんでした。
季節の移り変わりに伴ってタヌキの食性(メニュー)が劇的に変化したことが伺えます。
溜め糞場を共有する複数のタヌキが互いの糞の匂いを嗅ぐことで、生息域に旬の食べ物が新たに出現したことを知り、餌資源の情報を共有していると考えられています。(ほんまかいな?)


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捕食したコオロギ類の未消化クチクラが大量に含まれたタヌキの糞。
木の実の種子が含まれる糞。
溜め糞場wbc1の全景

携帯電話の基地局鉄塔の天辺にノスリの♀♂ペアが並んで止まり頭を掻く(野鳥)

 


2023年9月中旬・午後15:20頃・晴れ 

広大な田園地帯にぽつんと建っている巨大な携帯電話基地局(電波塔)にノスリButeo japonicus)が2羽止まっていました。 
ここはノスリのお気に入りの止まり場になっています。
電波塔最上部の円形ステージに取り付けられた手すりに仲良く並んでいます。 
2羽が寄り添うように並ぶのではなく、同時に翼を広げてもぶつからない程度には離れていました。

遠近法で奥の個体が小さく見えるはずなのに逆ですから、明らかにこの2羽には体格差があります。 
図体の大きな右の個体が♀で、小さい左の個体が♂なのでしょう(♂L<♀R)。 
親子の可能性とか考え出すとややこしいので、とりあえず♀♂つがいとしておきます。 
(ノスリが子別れする時期はいつ?) 

雲がほとんどない青空を背景にして、ノスリの勇姿が西日を浴びてよく撮れています。 
吹きさらしの高所では羽毛が風で逆立ち、なびいています。 
眼下に広がる田園地帯を眼光鋭くキョロキョロと見回して、 獲物を探しているようです。
ときどき右の♀が右足の鋭い鉤爪で痒い頭部をポリポリと掻きました。 
獲物を捕らえるために発達した凶器の鋭い鉤爪を使って、自分を傷つけないように繊細な動きもできるのですね。
ノスリ♀の頭部の羽毛がまるで冠羽のように逆立ってボサボサになりました。 

近くでカラスの鳴き声がします。 
カラスが飛来したものの、なぜか猛禽の♀♂ペアに対してモビング(嫌がらせ)をしないで通り過ぎました。 

私が長々とカメラを向けていても、少しずつ電波塔に近づいて撮っても、ノスリ♀♂が飛び立つ気配が全くありません。 
三脚を持ってこなかった私は、強風下でカメラを長時間構える腕が疲れてしまい、撮影を打ち切りました。 


※ 動画の素材を撮影順から入れ替えました。 


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2024/06/09

風倒木の根元の巣口で立木に排尿マーキングしてから仲間と追いかけっこするホンドタヌキ【トレイルカメラ】

 



2023年9月中旬・午後15:00頃


シーン0:9/7・午後15:00・晴れ(@0:00〜) 
明るい時間帯にたまたまフルカラーで撮れた現場の状況です。 
スギ防風林で風倒木の根元に掘られた謎の巣穴をトレイルカメラで見下ろすように監視しています。 
巣口を取り囲むように、根元が雪圧で強く湾曲した落葉灌木(樹種はマルバゴマギ?)が生えています。 


シーン1:9/7・午後14:57(@0:03〜) 
1頭のホンドタヌキNyctereutes viverrinus)が画面の下から登場しました。 
曲がりくねって伸びるマルバゴマギ灌木の匂いを嗅ぎ回り、根元に排尿マーキングしました。 
左後脚を上げながら小便したので、タヌキの性別は♂と判明。 
その後も巣口で落ち葉の匂いを嗅いだりして、なかなか立ち去ろうとしません。 


シーン2:9/7・午後14:58(@1:04〜) 
続けてトレイルカメラが起動したときには、さっきの個体aは画面の左端に移動して佇んでいました。 
そこへ右から別個体bがやって来ました。(@1:14〜) 
すると先行個体aが後続個体bに襲いかかり、一緒に走り去りました。 
唸り声や吠える声♪などは聞き取れず、本気の縄張り争いというよりも、家族間(幼獣の兄弟姉妹?)での追いかけっこ遊び(鬼ごっこ)のように見えました。 


※ 動画編集時に自動色調補正を施しています。 


【考察】 
本命のタヌキがようやくトレイルカメラに写りました。 
謎の巣穴から外に出てきた直後なのか、それとも通りかかっただけなのですかね? 
なんとなく後者のような気がしているのですけど、巣穴の主の正体はまだはっきり分かりません。 

現場は風倒木や灌木が藪のように入り組んで生い茂っているためにトレイルカメラが非常に設置しにくく、巣穴を上から見下ろす今回の撮影アングルでは画角が非常に狭いのが問題です。 
野生動物が画角内を素早く横切ったり巣穴に出入りしたりすると、監視カメラのセンサーが起動したときには間に合わずに何も写っていないということが多いようです。 
センサーの感度を上げると、風揺れで誤作動が頻発します。 
起動スピードが速い新機種のトレイルカメラに交換すべきかもしれません。 
もっと引きの絵で(離れた位置から)巣穴を監視したいのですけど、藪の中にある巣穴なので、どうしても無理です。 
かと言って、撮影アングルを確保するために巣穴周辺の藪を勝手に伐採したりすると、「営巣地の安全が脅かされた!」と怯えた巣穴の主が逃去してしまうことが予想されます。 





ホンドタヌキの糞を食べるモエギザトウムシ?

 

2023年9月上旬・午後12:40頃・晴れ 

平地のスギ防風林で風倒木の横にホンドタヌキNyctereutes viverrinus)が残した溜め糞場phを定点観察しています。 
この日はタヌキの新鮮な糞塊が追加されていました。 
丸呑みにした果実(液果)の種子が未消化のまま糞と一緒に大量に排泄されていました。 
なんとなくウワミズザクラの種子かな?と予想したのですが、真面目に糞分析をして種子散布を調べる余力がありません。 
久しぶりに大雨が降った後のスギ林内は蒸し暑いものの、食糞性の様々な虫たちが生き生きと活動していました。 

ザトウムシの仲間が林床を徘徊中に溜め糞場を横切るシーンは、これまで何度も見てきました。 
ところが今回見つけたザトウムシは、溜め糞上に居座って黒い糞塊に口を付けていました。 
おそらくモエギザトウムシLeiobunum japonicum)だと思うのですけど、どうでしょうか? 

ザトウムシが食糞するとは知らず、とても驚きました。 
獲物を体外消化するクモと違って、ザトウムシは固形物を咀嚼・嚥下して体内消化できることになります。
溜め糞場ph周辺の林床では、多数のモエギザトウムシ♀♂が配偶行動を盛んに繰り広げていました。(映像公開予定) 
どうやら彼らの繁殖期のようです。 
ザトウムシの食糞行動は繁殖期限定の食性なのでしょうか? 
鱗翅目のように、性成熟に必要なミネラル成分を汚物から摂取しているのかな? 
それとも、獣糞に群がる微小なダニなどを捕食しているのでしょうか? 

あいにくマクロレンズを持ってこなかったので、肝心の口器の動きを接写できませんでした。 
口元で触肢が動いたのは見えました。 
最長の第2歩脚をゆっくり動かして、触角のように辺りを探っています。 
私が下手に近づくと、モエギザトウムシは警戒して逃げてしまいます。 
仕方がないので、望遠マクロで撮影しました。 

ザトウムシの他には、ニクバエ、キンバエ、ワラジムシ、アリ、シデムシ幼虫などがタヌキの溜め糞場phに群がっていました。 
溜め糞上をモエギザトウムシが歩き始めると、飛び回るハエが細長い歩脚にぶつかりました。 
飛び回るキンバエが何度もぶつかってザトウムシを追い払ったようにも見えます。 
ハエの卵や幼虫(ウジ虫)がザトウムシに捕食されないように、ハエの成虫が守っている(ガード)しているとしたら大発見ですが、ただの偶然かな…?



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・鶴崎展巨『ザトウムシ』  ザトウムシ・ファン待望の書籍が発売予定です!(予約開始)

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