2025/02/22

早春の夜に休耕地の巣穴に出入りする疥癬ホンドギツネ細尾【トレイルカメラ:暗視映像】

 



2024年3月下旬〜4月上旬

シーン0:3/27・午後15:47・晴れ・気温26℃(@0:00〜) 
明るい日中にたまたま撮れた現場の様子です。 
残雪がほとんど溶けた休耕地でホンドギツネVulpes vulpes japonica)がホンドタヌキから乗っ取った営巣地を自動センサーカメラで見張っています。 


シーン1:3/30・午後19:58・気温6℃(@0:03〜) 
夜霧が立ち込める晩にキツネが写りました。 
巣穴から外に出てきた直後なのか、それとも枯野を奥から手前に横切って来たのか不明です。 
巣口Mを点検してから手前の二次林へ向かってくると、なぜか忍び足になりました。 

近くでよく見ると、ヒゼンダニに感染して尻尾の脱毛が進行中の個体「細尾」でした。 
雪国の寒冷地で脱毛が進行する疥癬に罹ると体温を保てなくなり、致死率が高いそうなのですが、なんとか春まで持ちこたえたようです。


シーン2:4/7・午後22:13・気温10℃(@0:36〜) 
8日後の晩遅くに、キツネが営巣地に現れました。 
これも尻尾がみすぼらしい個体「細尾」ですた。
左から来たキツネが巣口Mの匂いを嗅いで通り過ぎ、身震いしてから慎重に巣穴Rに潜り込みました。 

その後に出巣Rシーンが監視カメラに撮れてないということは、私の知らない別の巣口とつながっているのでしょうか? 
しかし、トレイルカメラにも弱点(特有の癖)があり、例えば画角の縦方向の動きを動体検知しにくいことが分かっているので、ただの撮り損ねだと思います。 
理想を言えば、監視カメラを別アングルで(90°向きを変えて)もう1台増設したいところです。 
しかし、現場の事情でどうしても無理なのです。 


※ 動画の一部は編集時に自動色調補正を施しています。 


つづく→

エゾタンポポに訪花して吸蜜するフタモンアシナガバチ創設女王

 

2023年4月下旬・午前10:45・晴れ 

早春の田んぼの農道に咲いたエゾタンポポの群落でフタモンアシナガバチPolistes chinensis antennalis)の創設女王が訪花していました。 
筒状花に頭を突っ込んで吸蜜する蜂の胸部や脚、頭部はべっとりと黄色い花粉にまみれていました。 
アシナガバチがもし次もタンポポに訪花すれば、雌しべと雄しべに触れてタンポポの授粉を助けていることになります。 
しかし、蜂がどこに飛び去ったのか、見失ってしまいました。 


フタモンアシナガバチが飛び去った直後に、タンポポの頭花をめくって裏側の総苞片を調べ、普通種のセイヨウタンポポではなくエゾタンポポであることを確認しました。 
嬉しいことに、この区画はなぜか外来種セイヨウタンポポではなく在来種ばかりです。 



実は11日前にもまったく同じ場所で撮影していました。 
まさか同一個体の女王蜂がお気に入りの蜜源群落に通っているのだとしたら面白いのですが、それを調べるには個体識別のマーキング(標識)をする必要があります。

2025/02/21

右後脚を麻痺したホンドタヌキがニホンアナグマの死骸を貪り食う【トレイルカメラ:暗視映像】

 



2024年3月下旬・午後20:02〜20:17 

平地の二次林で雪解けした林床に横たわるニホンアナグマMeles anakuma)の死骸を自動撮影カメラで見張っています。 
日がとっぷり暮れた晩に、1頭のホンドタヌキNyctereutes viverrinus)が現れました。 

初めは警戒しているのか、アナグマの死骸になかなか近寄ろうとしません。 
木陰からようやく姿を表すと、このタヌキ個体の歩行異常に気づきました。 
右後脚に全く力が入らない様子で、下半身を引きずるように痛々しく移動しています。 
実は、ここから数百m離れた休耕地でも同一個体と思われるタヌキが監視カメラに最近写っていました。 


5日前よりも下半身の麻痺症状が進行しています。 
夜道で車にはねられた(交通事故)のではないかと心配です。 
それとも、どこか高い所から落ちたのでしょうか?
後脚の骨折・脱臼系の怪我というよりも、脊髄損傷などによる運動神経の麻痺ではないか?と素人ながら勝手に想像してしまいます。 
まさかとは思いますが、この営巣地(セット)で冬眠していたアナグマと死闘を繰り広げて、アナグマを殺した代わりにタヌキも重症を負ったのでしょうか? 
それとも、巣穴やパートナー♀を巡るタヌキ♂同士の争いで大怪我したのかな? 
しかし、同種間の闘争で相手を半殺しにするでしょうか?
映像を見る限り、出血などの外傷はなさそうです。 
右足が罠にかかって壊死した可能性はどうでしょう? 
「下肢の麻痺 原因 獣医学」というキーワードを組み合わせてネット検索すると、老齢犬の症状などいろいろ情報がヒットしました。 

ようやく右から回り込んでアナグマの死骸に辿り着くと、ハシブトガラスに食われて傷口が大きく開いた下半身の匂いを嗅いでいます。 
死肉になかなか口をつけませんでした。
ようやく跛行タヌキは、アナグマ死骸の左前脚の根元に恐る恐る食いつきました。 
カラスが食べかけた部位を避けたのが興味深いです。(たまたまなのかな?) 
死骸の左耳も齧ったように見えました。 

タヌキの死肉食(腐肉食)を実際に観察するのは初めてです。 
テンポよくお見せするために、ところどころ5倍速の早回しに加工しました。 
タヌキは生きた獲物を狩るのはあまり得意ではなく、専らスカベンジャー(見つけた死骸を食べる)なのだそうです。 
少し移動すると、今度はアナグマ死骸の左尻の辺りを食べ始めました。 
下半身にハンディキャップがあると毎日餌を探し歩くのは大変でしょうから、これほど大量の肉を見つけて嬉しそうです。 
歯も丈夫そうで、毛並みも汚れていません。 
足に大怪我を負っても食欲旺盛なのはなによりです。 
食事の合間に樹上をキョロキョロ見回す余裕がでてきました。 

一度立ち上がって死骸から右に少し離れて、立木の匂いを嗅いでいます。 
再び戻ってきて食事を再開。 
次は死骸の左脇腹の肋骨?骨盤?を齧っているようです。 
アナグマの毛皮も死肉と一緒に飲み込みました。 
タヌキの溜め糞にときどき獣毛が含まれているのも納得です。 
死骸の周辺に生えている細い枯れ茎?(蔓?)が食事の邪魔になり、口で咥えて引っこ抜こうとしたものの、抜けずに諦めました。 (@x:xx〜)

ところで、タヌキは死肉を貪り食っている間に喉が渇かないのでしょうか? 
足が悪いと、水を飲みに行くのも大変そうです。 

どうやら満腹したようで、タヌキは向きを変えると痛々しく跛行しながら右上奥に立ち去りました。 
アナグマの死骸はまだ一部を食べられただけです。
タヌキは食べ残しを隠したり持ち去ったりすることはありませんでした。


※ 動画の一部は編集時に自動色調補正を施しています。 




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↑【おまけの動画】 
早回し加工しないでオリジナルの素材動画をそのまま連結しただけの長編です。(12:04) 
需要があるか分かりませんが、ブログ限定で公開しておきます。


さえずりが下手くそな早春のウグイス♂(野鳥)ぐぜり鳴き♪

 

2023年4月上旬・午後12:40頃・晴れ 

早春の里山を下山中に、ウグイス♂(Horornis diphone)がさえずる声を今季初めて耳にしました。(初鳴き) 
ホーホケキョ♪という有名な鳴き声は、ウグイス♂が縄張り宣言をして♀を誘惑する鳴き声です。 
しかし、この日は繁殖期に入ったばかりらしく、まだ調子っ外れで下手糞な歌い方でした(鳴き方のメロディが不安定)。 
若い♂個体がホーホケキョ♪と上手に囀る練習をしているのでしょう。 
このような未熟なさえずりは、ぐぜり鳴き(サブソング)と呼ばれます。

どこで鳴いているのか、ウグイス♂の姿を見つけられませんでした。 
隣接する縄張りの♂同士が鳴き交わしている可能性もあります(歌合戦)。 


※ 鳴き声が聞き取れるように、動画編集時に音声を正規化して音量を強制的に上げています。 
ウグイス♂のぐぜりを声紋解析したいのですが、春風の風切り音がノイズとなって耳障りです。 


関連記事(11年前の撮影@4月下旬)▶ ウグイス♂の鳴き声♪を声紋解析してみる【野鳥】



松田道生鳥はなぜ鳴く? ホーホケキョの科学 でぐぜり鳴きについて調べると
 さえずり初めは、まだ鳴き方がおぼつきません。「ホー」が短い、あるいは、ないこともあります。「ホケキョ」も「ホケ」だけということも。「ホケキョ」は複雑な技巧を必要とするのでしょう。この節回しが、なかなかできないでいます。(中略)そもそも声が小さくて張りがありません。しかし、ときどき思い出したように「ホーホケキョ」としっかり鳴けて、(中略)わずか1週間ほどの練習で上手に鳴くことができるようになる  (p76〜78より引用)



【追記】
ウグイスのさえずりには方言があるので、今回のが「ぐぜり鳴き」だと言うには、同じ縄張りで定期的に録音して、歌い方が次第に上手になることを示す必要がありますね。


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2025/02/20

左右の角の先が欠けたニホンカモシカが早春の雪山で灌木に眼下腺マーキングと角研ぎを繰り返す

 

2024年3月下旬・午後13:20頃・晴れ 

早春の里山に登ると、尾根道は残雪に覆われていました。 
晴れて気温が上がり、雪質はシャーベット状(ジャリジャリ)のいわゆる腐れ雪でした。
スノーシューを履いて尾根道を縦走していると、雪面にニホンカモシカCapricornis crispus)が通ったばかりの新しい蹄跡を発見。  
足跡を辿って進むと、前方に居たカモシカが驚いて右から左へ尾根道を横切り、斜面を少し登って落葉灌木林の陰に隠れました。
 (映像はここから。) 

逃げたカモシカは、落葉した藪の隙間から、尾根道に立つ私を正面から見下ろしています。 
手前の茂みが邪魔でよく見えないのですが、黒い角の先端が左右両方で欠けているようです。 
個体識別をする上で、これほど分かりやすい特徴はありません。
カモシカの股間に注目しても外性器が見えず、性別不明です。 
過去の記録を遡ってみると、「左角欠け」と「左耳裂け右角欠け」という個体が居ましたが、左右両方とも角が欠けている個体は初見です。 

カモシカが奥に少し移動して姿が見えなくなる度に、私も静かに追いかけて、撮影を続けます。
どうやら、尾根道に並行して一段高い獣道があるようです。 
カモシカは、自分が相手よりも高所にいれば心理的に安心するのです。 

しばらくするとカモシカは、立木(落葉樹)の幹の匂いを嗅いでから、顔の眼下腺をゴシゴシと擦りつけてマーキングし始めました。 (@2:00〜)
尾根沿いを右へ右へと少しずつ歩いて移動しながら、次々と立木に眼下腺で匂い付けしています。 

ニホンカモシカがこれほど頻繁かつ連続して眼下腺マーキングしたのは初見です。 
これまでトレイルカメラ(無人カメラ)による観察では、画角が限定されているために、カモシカは単発でしか眼下腺マーキングしないのが普通だと思っていました。

したがって、今回の個体は明らかに近くで見ている私を意識して無言の縄張りアピールをしているようです。 (縄張り宣言の誇示行動。) 

次にカモシカが頭を低く下げたので、採食しているのかと思いきや、細い落葉灌木に角を擦りつけていました。(@3:46〜) 
同じ灌木で何度も角研ぎしています。 
自分の角の先端が欠けたことを自覚していて、それを研ぎ直そうとしているのだとしたら面白いのですが、この行動もやはり、しつこく追いかけて撮影する私に対する誇示行動(縄張り宣言)なのでしょう。 
角を研いだり磨いたりしたいのなら、もっと太くて頑丈な幹を選ぶはずです。 
今回は細い灌木を角で傷つけて樹皮を剥ぎ、マーキングするのが目的のようです。 

カモシカの角は骨で出来ています。
Perplexity AIに教えてもらったのですが、カモシカの角に神経は通っていないので折れても痛みは感じないらしいです。
角を研ぐ際に違和感があって、折れたと自覚しているかもしれません。
シカと違ってカモシカの角は毎年生え変わることはありません。
したがって、カモシカの角が一度欠けると再生することはなく、個体識別するのに最適な特徴となります。

カモシカは道中で更にもう1本の別な細い立木でも眼下腺マーキングしました。 
カモシカは私を一瞥してから、右にどんどん歩き去ります。 
約10分間の遭遇中に、この個体は鼻息を荒げる威嚇を一度もしませんでした。 
いくら私が忍び足で追跡しようとしても、スノーシューで腐れ雪の上を歩くとザクザクと音を立ててしまいますから、カモシカは気づいているはずです。
おそらく私の汗の匂いを嗅ぎ取って、「またいつもの変な奴か…」と認識してくれているのかもしれません。 


最後に私は初めに遭遇した地点まで戻って、残雪に残るカモシカの蹄跡を録画しました。 
私に気づいたカモシカが慌てて走って逃げた様子が足跡から読み取れます。 
カモシカが角研ぎした現場を検証して、写真を撮ったり樹種を確かめるべきでしたね。 
例えば、この辺りではオオバクロモジの木がよく自生しています。
クロモジの木を傷つけるとミントのような清々しい芳香がするのですけど、カモシカもこの匂いが好きだとしたら、面白い話です。

そのままカモシカを追跡しようか迷ったのですが、足取りは遅くても私がスノーシューでは踏破できそうもない急峻なルートを選んで歩き去るので、諦めました。 
次善の策として、先回りしてカモシカが来るのを待ち構えようとしたのですが、この日はもう再会できませんでした。 
よく晴れた日の雪山登山で野生のニホンカモシカと濃密な時間を過ごせて、最高の気分でした。


【追記】
ニホンカモシカの角が折れる原因について調べると、AIによって異なる回答を得ました。
まずはPerplexityの回答はこちら。
野生のニホンカモシカで角が折れたり欠けたりする主な原因は、同種間の闘争(縄張り争い)ではありません。カモシカの角の損傷には、以下のような要因が考えられます:

1. 事故や怪我:カモシカが崖から転落したり、木の枝に引っかかったりすることで角が損傷する可能性があります[4]。

2. 人為的要因:
   - くくりわなによる錯誤捕獲:シカやイノシシを捕獲するためのくくりわなに、カモシカが誤って捕まることがあります。この際に角が損傷する可能性があります[1][4]。
   - 防鹿ネット:農林業被害対策として設置された防鹿ネットに絡まることで、角が損傷する事例が報告されています[4]。

3. 生息環境の変化:近年、シカの生息域拡大によりカモシカとの競合が増加しています。これにより、カモシカの行動パターンが変化し、事故や怪我のリスクが高まる可能性があります[2]。

カモシカの角は、シカの「枝角」とは異なり、「洞角」と呼ばれる種類です。カモシカは角を主に縄張りのマーキングに使用し、激しい闘争には使用しません。そのため、同種間の闘争による角の損傷は稀であると考えられます。

カモシカの角の損傷は、主に環境要因や人為的要因によるものが多いと言えます。保全活動においては、これらの要因を考慮し、カモシカの生息環境の保護や、錯誤捕獲の防止などの対策が重要となります。
Perplexityの回答に珍しく納得できなかったので、セカンドオピニオンとしてGemini2.0にも同じ質問をしてみました。
同種間の喧嘩の結果であるかどうか、という点について真逆の回答を返したのが興味深く思いました。
学習データが違うのでしょう。
ただし、GeminiはPerplexityとは違い、推論の根拠となった出典を示してくれません。
ニホンカモシカの角が折れたり欠けたりする原因として、同種間の闘争(縄張り争い)は可能性の一つとして考えられます。

ニホンカモシカは、オスもメスも生涯を通じて角を持ち、成長とともに伸び続けます。角は、ニホンカモシカにとって、外敵から身を守る武器であると同時に、同性間(特にオス)の争いにおける道具でもあります。

特に繁殖期になると、オスはメスを巡って激しく争います。その際、角をぶつけ合ったり、突き合ったりすることがあります。そのような争いの結果、角が折れたり、欠けたりすることがあります。

ただし、ニホンカモシカの角は、先端が尖っているわけではなく、比較的丸みを帯びています。そのため、角の先端を使って相手を傷つけるような戦い方をするとは考えにくいかもしれません。むしろ、角をぶつけ合って相手を押し倒したり、威嚇したりする際に、角が折れたり欠けたりする可能性が高いと考えられます。

また、角が折れたり欠けたりする原因は、同種間の闘争だけではありません。

*   **自然な摩耗:** 角は、日常生活の中で自然に摩耗していきます。特に、岩場や木の枝などに角を擦り付けることで、少しずつ削れていくことがあります。
*   **事故:** 崖から落ちたり、他の動物に襲われたりする際に、角が折れたり欠けたりすることがあります。
*   **病気:** 角の病気によって、角がもろくなり、折れやすくなることもあります。

ニホンカモシカの角が折れたり欠けたりする原因は、様々な要因が複合的に関わっていると考えられます。同種間の闘争もそのうちの一つですが、それ以外にも、自然な摩耗や事故、病気なども原因として考えられます。


キタテハ秋型の道教え?:砂利道を舐めてミネラル摂取

 

2023年10月上旬・午前10:50頃・晴れ 

砂利が敷かれた農道で秋型のキタテハPolygonia c-aureum)2頭がミネラル摂取のために集まっていました。 
私はキタテハの性別を外見で見分けられませんが、性成熟に必要なナトリウムやアンモニア塩を摂取するのはおそらく♂と思われます。 

キタテハは翅を開閉しながら砂利道を歩き回り、口吻の先端であちこち舐めて味見しています。 
お気に入りの(塩分の濃い)地点を探り当てると、一箇所に落ち着いて一心不乱にミネラル摂取に励みます。 
農道の轍に水溜りができているのですが、そうした水たまりの岸の泥よりも、乾いた砂利の表面を好んでキタテハは舐めていました。 
おそらく、水分が蒸発して塩分が濃縮された場所が好みなのでしょう。 
少量の唾液を吐き戻して小石の表面の塩分を溶かしてから、それを吸い戻していると推測されます。 

最後に、路上からキタテハが飛び立つ瞬間もついでに記録しようと、私が動画を撮りながら歩いて近づいてみました。 
しかし飛び立ったキタテハは少し飛んで遠ざかっただけで、すぐに同じ農道に再着陸しました。 
また私が近寄ると、同様に少しだけ飛んで逃げただけでした。 
ハンミョウの「道教え」を連想しました。 

関連記事(7年前の撮影)▶ ナミハンミョウの道教え【HD動画&ハイスピード動画】
人が近づくと飛んで逃げ、1 - 2 m程度飛んで着地し、度々後ろを振り返る。往々にしてこれが繰り返されるため、その様を道案内に例え「ミチシルベ」「ミチオシエ」という別名がある[4]。 (wikipedia:ハンミョウより引用)
もちろんキタテハにそんな意図は無く、ミネラル摂取を邪魔されてもお気に入りの塩場から離れたくないだけなのでしょう。 


※ 説明・演出のため、動画編集時に素材の順番を変えました。 
一番伝えたいポイントを出し惜しみしないで先に見せるようにしないと、ショート動画が全盛の昨今では視聴者が途中で離脱してしまうからです。 
実際には、望遠マクロで吸汁シーンを撮ってから、キタテハに近づいて離着陸を繰り返す様子を撮影しました。 

キタテハが地面を舐めてミネラル摂取する行動はこれまで何度も撮影してきたのですが、「道教え行動?」は初見で、ちょっと面白いと思いました。 



2025/02/19

右後脚を痛々しく跛行しながら早春の営巣地を横切るホンドタヌキ【トレイルカメラ:暗視映像】交通事故の怪我?

 



2024年3月下旬 

シーン1:3/19・午後13:16・晴れ・気温26℃(@0:00〜) 
明るい時間帯にたまたま撮れた現場の様子です。 昼間に晴れると、ホンドタヌキ♀♂(Nyctereutes viverrinus) が営巣する休耕地の残雪がどんどん溶けていきます。 

監視カメラの設置角度を失敗してしまい、画角が斜めに傾いてしまいました。 
一番奥に見えるスギ防風林の手前で左右に走る農道(雪道)は、本来は坂道ではなく水平線に見えるはずです。 


シーン2:3/22・午後19:01:頃・気温0℃(@0:04〜) 
ある晩、営巣地の枯野をタヌキが単独で左から右に横切りました。 
引き返してから、キツネに乗っ取られた巣口Rの匂いを嗅ぎ、右奥へ立ち去りました。 

骨盤を骨折したのか、後脚が不自然な痛々しい歩き方です。 
足の裏にノイバラの棘が刺さったときの跛行とは明らかに違います。 
原因は不明ですが、夜の車道で交通事故に遭ったのではないかと心配です。
キツネやアナグマなどと喧嘩しても、これほどの重症を負うことはない気がします。 
それとも、下半身の運動神経が一部麻痺した症状なのでしょうか。
今のところ命に別状はなさそうですが、どこか骨折しているとなると、自然治癒するのは難しそうです。
例えば、走るのはもう無理ではないでしょうか?

負傷タヌキの奇妙な跛行を1.5倍に拡大した上でリプレイ(@0:58〜)。 


※ 動画編集時に自動色調補正を施しています。 
早春の雪解けで雪面によるレフ板効果がなくなると、監視カメラの赤外線が遠くまで届きにくくなります。
暗視映像を強引に明るく加工すると、どうしてもモザイク状のノイズが乗ってしまいます。 


つづく→


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ニホンアナグマの死骸を食べ漁り、肉片を繰り返し持ち去るハシブトガラス(野鳥)

 

前回の記事:▶ 越冬できずに死んだニホンアナグマの亡骸に群がるクロバエ 


2024年3月下旬・午後16:43〜17:16・晴れのち曇り 

早春に平地の二次林でニホンアナグマMeles anakuma)の死骸を食べに来るスカベンジャーを記録するために、急遽トレイルカメラを新たに設置することにしました。 
野生動物の死骸が様々な生きものに食べられ微生物に分解され、土に戻るまで見届けられるでしょうか? 
もしかすると、野鳥が巣材としてアナグマ死骸の体毛を集めに来るかもしれません。 
死骸を営巣地から遠ざけて置き直すべきか迷いましたが、そのまま放置することにしました。 
臨機応変にぶっつけ本番でやるしかありません。 

私が立ち去ると、アナグマの死骸の近くに真っ先に現れたのは、カラスでした。 
上から見下ろす撮影アングルではハシボソガラスとの区別が微妙なのですが、ハシブトガラスCorvus macrorhynchos)のようです。 
しかし監視カメラの存在に目ざとく気づいたようで、警戒したカラスはホッピングで逃げていきました。 
その後はアナグマの営巣地(セット)をあちこち探索して安全を確かめています。 
死骸は、巣穴を見張る監視カメラの画角の外で、セットの端に横たわっています。 

ようやく警戒を解くと、ハシブトガラスは死骸の左腿の損傷部(傷口)から死肉を啄み始めました。 
死骸の同じ箇所から繰り返し食べています。 
太くて強力な嘴をもつハシブトガラスは、アナグマ死骸の下半身の毛皮を引きちぎるように剥ぎながら、死肉を食べています。
カラスはその場で屍肉を食べて飲み込むのではなく、喉袋いっぱいに肉片を詰め込んでいました。 
そのまま左に飛び去りました。 
しばらくするとまた戻ってきたので、喉袋に詰めた肉片をどこかに貯食してきたのでしょう。 

食事中に遠くの仲間に呼びかけられて、カーカー♪鳴いて応じました。 
つがいのパートナーや仲間を呼び寄せて死骸をシェアするのかと期待したのですが、カラスが集まってくることはありませんでした。 
ただの挨拶だったようで、この個体は死骸をこっそり独り占めしています。 
死んだアナグマの肉片を喉袋いっぱいに詰めて運び、どこかに隠してくる貯食行動を繰り返しています。 
後半になるとハシブトガラスは死骸の腹膜を破り、白い内臓(脂肪? 腸?)を食べ始めました。 

最後にカラスが飛び去ったのは午後17:16で、この日はもう戻ってきませんでした。 
おそらく日没前にねぐら入りしたのでしょう。 


【考察】 
代表的なスカベンジャーであるハシブトガラスが真っ先に通って来たのは予想通りですが、いつも単独で現れました。 
仲間を呼び寄せることもなく、大量の餌を独り占めしています。 
群れ(同種またはハシボソガラスとの混群)で一緒に死骸を食べ漁らないのは意外でした。 
ハシブトガラスの♀♂ペアがすでに自分たちの営巣地周辺に縄張りを確立していて、他のカラスが入ってこれないのかもしれません。 
北国でこの時期のカラスはまだ営巣・繁殖を始めていないと思うのですが、今季は暖冬の後で春の到来が早いです。 
もしもカラスの繁殖開始が早まっているとすると、巣内で抱卵するハシブトガラス♀に♂がアナグマの肉をせっせと給餌しているのかもしれません。 

日向に放置されて腐りかけたアナグマ死骸の肉は、凍っていませんでした。 
もしも厳冬期で死骸の肉がカチカチに凍っていると、カラスは死骸をいち早く見つけても食べることが出来ません。 
北米での観察記録によると、そのようなときワタリガラスはオオカミの群れを呼び寄せるのだそうです。 
鋭い強力な牙を持つオオカミに死骸を先に引き裂いたり食べたりしてもらい、ワタリガラスはその後で残り物を食べるらしい。 


【アフィリエイト】 
ワタリガラスの謎   すごい面白い本なのに、和訳した題名が地味すぎますね。原書は 
Bernd Heinrich - Mind of the Raven: Investigations and Adventures with Wolf-Birds  (その続編。和訳本『カラスの賢さ、カラスの知恵』は絶版) 


今回のハシブトガラスが死骸を食べる様子を観察しても、いったん死骸の皮膚にどこか穴が開いてしまえば、そこから穴を広げて毛皮を引きちぎったり内臓を引き出したりするのはお手の物でした。 
無傷の新鮮な状態の死骸から日本のカラスが最初にどのように穴を開けて引き裂くのか、機会があれば観察してみたいものです。 
目玉や肛門、鼠径部など、皮膚が薄い部分を狙うはずです。 




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2025/02/18

越冬できずに死んだニホンアナグマの亡骸に群がるクロバエ

 



2024年3月下旬・午後13:30頃・晴れ 

平地の二次林でニホンアナグマMeles anakuma)が冬眠する営巣地(セット)を2台のトレイルカメラで長期間監視しています。 
カメラの電池とSDカードを交換するため久しぶりに現場入りすると、衝撃の展開が待ち構えていました。 
うららかな早春の日差しを浴びて雪解けが進む林床に、野生動物の死骸が横たわっていたのギョッとしました。 
場所はよりにもよって、巣口Rを北側から狙うトレイルカメラNを固定した灌木の真下でした。 

死骸は腐敗が進んでいて、辺りに死臭が漂っています。 
茶色の毛並みはボサボサでした。
一瞬タヌキかと思ったのですが、前足に鋭い爪があるのでアナグマと判明。 
なぜか左前脚の毛皮がずる剥けで、皮膚が露出しています。
後脚の太腿などに、スカベンジャー(カラス?)が死骸を損壊した形跡があります。 
むしり取られた茶色い毛玉が風で飛んだのか、少し離れた地面に落ちていました。 

自分では冷静を保っているつもりでも、やはり精神的なショックが大きかったようで、後で思うと現場での観察が色々と不充分でした。 
例えば横臥している死骸を裏返して反対側(右側面)も調べるべきなのに、やっていません。 
股間の外性器や乳首などを調べて性別を確認すべきだったのですが、とてもその気になれませんでした。 
ゴム手袋やビニール袋などを何も持ってこなかったので、死骸に触れることができない、という事情もありました。 
死んだのが若い個体(当歳仔)なのか成獣か、という点も気になるものの、分からずじまいです。 
成獣なら寿命かもしれません。 

解剖しない限り、アナグマの死因は不明のままです。 
今季は異常な暖冬で積雪量も例年より少なかったので、アナグマの冬眠と覚醒のリズムが狂って無駄に体力を消耗し、餓死したのではないか?と素人ながら疑ってしまいます。 
死骸は腐敗が進んでいるため、持ち帰って解剖する気になれませんでした。 
新鮮な死骸だったら、体重を計ったり、解剖して胃内容物や体脂肪の厚さを調べたりすれば、餓死かどうか分かったかもしれません。 
剖検して骨折などが見つかれば、車道に出た際に交通事故で負傷したまま、なんとか営巣地まで戻ってきて息絶えたというシナリオが考えられます。 
大型のスカベンジャー(鳥や哺乳類)が死骸を食べに来ているらしく、アナグマの死骸は毛皮の一部が剥ぎ取られ、露出した肉が食い荒らされていました。 

アナグマは餓死したのではなく、巣穴を乗っ取ろうとする他の野生動物に襲われて、殺されたのでしょうか? 
容疑者としては、ホンドギツネやホンドタヌキ、ホンドテン、ニホンイタチが考えられます。 
これらの動物はいずれも、ニホンアナグマの冬眠する巣穴に潜り込んで物色する姿がトレイルカメラに写っていました。 
「同じ穴のむじな」として平和に同居していると思っていたのに、まさか居候が家主を殺すでしょうか? 
タヌキは自分で巣穴を掘れないので、穴掘りの得意なアナグマに依存(片利共生)しないといけません。 

アナグマがいつ死んだのかも、私には分かりません。 
私が前回(16日前の3月中旬)現場に来たときはアナグマの死骸を見ていません。
そのときは雪の下に死骸が埋もれていた可能性もあり得ます。 
早春になって積雪が溶けた結果、アナグマの古い死骸が現れたのかもしれません。 
遺体の下は日陰となって、まだ残雪がありました。 
残雪と接地していることで死骸の右半分がずっと冷やされて続け(冷蔵保存)、腐敗の進行が辛うじて抑えられているようです。

次に、推理小説や刑事ドラマで最近よく活躍する法医昆虫学者の真似事をしてみました。 
素人が死亡時期を推定できるでしょうか? 
「寒の戻り」と言って寒波(雪)が断続的に戻って来る早春には昆虫がまだほとんど活動しておらず、腐肉食性昆虫相による死亡時期の推定は難しそうです。 

それでも、クロバエ科の仲間(種名不詳)が2匹、アナグマの死骸に来ていました。 
クロバエは成虫で越冬しますから、気温が高ければ死臭を嗅ぎ取っていち早く飛来します。 
この日はよく晴れて、日向の気温は高そうです。 
(午後14:21の気温は27℃でした。)
クロバエは口吻を伸縮して死骸の表面で吸汁していました。 
特にアナグマ死骸の耳の穴や、後脚太腿の食い荒らされた傷口を舐めています。 
歩いてアナグマの左目に移動したものの、アナグマは目をしっかり閉じていたので水分の多い眼球を舐めることは出来ず、離れていきました。
食事の合間に左右の前脚を擦り合わせて身繕いしています。 
クロバエの複眼を見る限り、この個体は♀のようです。(左右の複眼が頭頂で接していない。) 
もし♀なら死骸に産卵するはずですが、腹端を見ても、動画には撮れていませんでした。 
卵胎生で幼虫を産み付ける(産仔)ニクバエ科と違って、クロバエ科の♀は産卵するそうです。
このクロバエの種類を見分けられる方がいらっしゃいましたら、教えて頂けると助かります。 
クロバエ科は(死体の)膨隆期まで、ニクバエ科は腐朽期まで入植が見られる。ニクバエ科は温暖期にのみ活動するが、クロバエ科は(中略)気温が低い時期はクロバエ属をはじめとするクロバエ類が活動している。 (三枝聖『虫から死亡推定時刻はわかるのか?―法昆虫学の話 』p61より引用)

クロバエ科・ニクバエ科意外のハエは通常、新鮮期の死体には入植しない。(同書p63より引用) 

筆者はブタの死体を着衣状態で野外に放置して、経過を調べる研究実験も敢行しています。

雪国の岩手県で研究なさっているので、勝手に親近感を覚えます。

晩秋・早春など温暖期と寒冷期の移行期(寒暖境界期) は気温が低く、ブタ死体の腐敗分解はゆるやかに進行するため、顕著な膨隆期はみられず、乾燥が進行する。(p111より引用)

 

寒暖境界期に活動するクロバエのウジは、低温対策のためか死体内部に潜行する傾向があり観察が難しいこと、成長もゆっくりと遅いことから、死後経過時間推定の指標とするには体長の計測のみでは不充分である (p112より引用)


現場では気づかなかったのですけど、死んだアナグマの前足の肉球の隙間に、白いウジ虫(ハエの幼虫)が蠢いているようです。 
気温がまだ低い早春には、死骸に湧いたウジ虫を捕食するハネカクシ類などが活動していません。

動画を見直して初めて気づいたのですが、死骸の毛皮に付着している数個の小さな茶色い紡錘形の物体は、ハエの蛹(囲蛹)ですかね? 
死骸に産み付けられたハエの卵が孵化して低温下で蛆虫を経て蛹になったとすれば、アナグマが死んでからかなりの日数が経過していることになります。 
それとも、謎の異物はひっつき虫などの植物由来かな? 
クロバエの蛹が死骸の毛皮に付着した状態で見つかるのは不自然ではないでしょうか?
クロバエが動物の死骸に産卵した場合、老熟した幼虫は死骸を離れて地中などで蛹化するはずです。 
Perplexity AIの回答によれば、
死骸の毛皮にクロバエの蛹が付着していることは、稀ではありますが、以下の状況では可能性があります 
・死骸の状態: 腐敗が進んでいない比較的新鮮な死骸の場合
・環境条件:周囲に適切な蛹化場所がない場合 
・幼虫の数:大量の幼虫が存在し、競争が激しい場合
いずれにせよ、私のやった現場検証は中途半端すぎて、アナグマの死後経過時間を推定できそうにありません。 
遺体や虫のサンプルを全て持ち帰って丹念に調べないことには無理だと実感しました。
ハエの囲蛹らしき謎の物体だけでも採集して、飼育下で羽化するかどうか調べることも可能でした。 

アナグマがこの地点で死んだとは限りません。 
例えば巣穴の中で死んだアナグマを、タヌキが外に引きずり出した可能性も考えられます。 
監視映像にはそのようなシーンは写っていませんでしたが、トレイルカメラにはすべての動きが記録されている訳ではない(どうしても撮り漏らしがある)という点が、もどかしいところです。 
また、どこか遠くで見つけたアナグマの死骸を他の動物に横取りされないように、タヌキがここまで運んできたのかもしれません。
積雪期なら、雪面に足跡や死骸を引きずった跡が残ったはずですが、残雪がどんどん溶けていく早春にはそのような手掛かりを得られませんでした。

当時の私は、「定点観察していたセットの主が死んだとは限らない」と自分に言い聞かせていました。 
発情した♀を探し求めて求愛する夜這い♂など、余所者のアナグマ個体が遠征してきて偶然ここで死んだ(行き倒れた?)可能性もあるからです。 
しかし、その後も営巣地(セット)で定点観察を続けると、ここでアナグマの姿をまったく見かけなくなりました。
次にアナグマが現れたのは、何ヶ月も先のことです。(映像公開予定) 



つづく→ 


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山地の路上を歩くオオセンチコガネ

 

2023年10月上旬・午後13:15・くもり 

つづら折れの峠道でオオセンチコガネPhelotrupes (Chromogeotrupes) auratus auratus)が舗装路をゆっくり歩いて横断していました。 
金属光沢(メタリック)に輝く赤紫色がいつ見てもきれいですね。 
近くを探しても、獣糞は見つかりませんでした。 

最後にクロヤマアリFormica japonica)のワーカー♀とニアミス。 


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