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2024/02/14

棚網で捕らえたニホンミツバチ♀を住居に運んで捕食するクサグモ(蜘蛛)

 

2023年6月上旬・午前10:00頃・晴れ 

家屋の外壁をイワガラミという蔓植物で壁面緑化してあります。 
初夏に白い花が咲くと、ニホンミツバチApis cerana japonica)のワーカー♀が採餌のために訪花します。 

関連記事(7年前の撮影@山林)▶ イワガラミの花で採餌するニホンミツバチ♀ 


室内から窓の外を覗くと、イワガラミにクサグモAgelena silvatica)が張り巡らせた棚網にニホンミツバチ♀が捉えられ、逃れようと必死に暴れていました。 
私が急いでカメラを取りに行って動画撮影を始めたときには、住居から出てきたクサグモの毒牙に噛まれてミツバチはもうおとなしくなっていました。 

クサグモが住居から出てきてミツバチに噛み付いて毒液注入・制圧。 獲物に毒が回るまで、クサグモは一旦住居に戻った。 しばらくすると獲物を取りに戻る。 ミツバチの足の先が非粘着性の網目の細かい棚網に引っかかっていて、運ぶのに苦労している。 ようやく住居の中に搬入。 じっくり体外消化を開始。 獲物を貯食している? 棚網上で噛み付かれた獲物は毒液が回って暴れない。 


ニホンミツバチ♀は毒針を持つのに、クサグモとの決闘で自分の身を守れなかったようです。 
よく見ると、ニホンミツバチ♀の触角がかすかに動いています。(「虫の息」状態) 
クサグモは獲物の腹背に噛み付いているようですが、口元の毒牙が見えません。 
麻痺したニホンミツバチ♀が毒針を伸ばしているかどうかも、不明です。 
噛み付いている途中でクサグモは歩脚を動かして棚網上で踏ん張り、体勢を安定させました。(@1:03〜) 

獲物を離した後も、しばらく獲物にあちこち触れながら留まっています。(@1:30〜) 
次にクサグモは獲物をラッピングするかと思いきや、そのまま獲物から離れて棚網上をうろつき始めました。(@2:27〜) 
画面の下部には何かが棚網上に残されています。 
食べかけの獲物かと私は思ったのですが、よく見ると植物由来の異物(落花?)のようです。 
捕らえたニホンミツバチ♀をその場に残したまま、クサグモは窓枠の近くにある筒状の住居に戻りました。(@2:50〜) 
歩脚で棚網を引き締める動きをしたのは、次の獲物がかかった時に振動を感知できるよう準備しているのでしょう。(待ち伏せによる狩り) 

1分20秒後、管状住居内で休んでいたクサグモが外に出て来ました。 
棚網に引っかかった異物を調べています。 
棚網の構造上、異物を除去したくても簡単にはできないのかもしれません。 
先程捕らえたニホンミツバチ♀の居場所を探るために、歩脚で棚網を引き締めました。 
視覚ではなく棚網の糸に伝わる振動覚によって、獲物の位置を正確に定位するということがよく分かります。 

ミツバチに噛み付いた後で毒液が完全に回るのを今まで待っていたようです。 
獲物に絡みついた非粘性の糸を噛み切ってから、棚網から強引に引き剥がそうとしても、引っかかってなかなか動かません。 
(手際の悪さが幼体の証かもしれません。) 
ようやく獲物を棚網から引き剥がすと、その部分が破れて穴が開きました。 
獲物を咥えて住居に向かって引きずるように運び始めたものの、途中で何度も棚網に引っかかり、運搬に苦労しています。 

突然、バーン♪という銃声のような音が辺りに響き渡りました。(@5:59〜) 
近所で大工作業をしていた職人が金属パイプか何かをうっかり落としたようです。 
その瞬間にクサグモは反射的に獲物からパッと離れました。 
造網性のクモにとって聴覚と振動覚は同じですから、衝撃音を聞いて身の危険を感じたのでしょう。 
警戒を解くと、クサグモは慎重に獲物を取りに戻りました。 

獲物の向きを変えて抱き合うように持ち上げると、蜂の足先が棚網に引っかからず楽に運べるようになりました。 
ようやく管状住居に獲物を搬入できました。(@6:35〜) 

撮影アングルを変えると、管状住居内にクサグモのシルエットが見えるようになりました。
獲物のニホンミツバチ♀に軽く触れながら、その周りをグルグル回っています。 
おそらく、糸を張り巡らせて獲物を住居内に軽く固定しているのでしょう。 
なぜか細いトンネルをくぐって反対側の出口に行ってから戻って来ました。 
何度か獲物を抱えるように持ち上げています。 
あまり空腹ではないらしく、獲物に噛み付いて体外消化を始めようとしません。 
ところで、採餌直後のミツバチを体外消化したら、イワガラミの花蜜由来の果糖や花粉がクサグモの吸胃から検出されるでしょうか? 

管状住居内に謎の微小な昆虫が迷い込んでいるのが気になりました。 
クサグモにどんどん接近する様子は、なんとも思わせぶりです。 
棚網上を自由に歩けるのは不思議で、何か対策してるはずです。 
もしかして寄生蜂♀が寄主を求めて積極的に侵入したのかな? 
しかし、クサグモの仲間に寄生産卵する専門家であるニッコウクモヒメバチ♀とは大きさも体型も全く違います。 



どうやら、ハエが迷い込んで逃げられなくなっただけのようです。 
クサグモの食べ残しに誘引されたとしたら面白い生態ですけど、動画撮影中の私は気づいておらず、じっくり調べていません。 

時期的にクサグモは未だ成体ではなく、幼体または亜成体だと思うのですが、真面目に検討するには採集しないといけません。 
少なくとも、触肢の発達した成体♂ではありませんでした。 
クサグモの幼体なら頭胸部の色が赤く、腹部が黒光りしているはずです。
(発生発達ステージの問題はともかく、コクサグモと見分ける頭胸部の斑紋をしっかり撮れませんでした。)


※ 動画の後半は編集時に自動色調補正を施しています。 
雪国(寒冷地)に特有の二重窓を通して室内から撮影したので、画面全体がやや不鮮明になっています。 


【アフィリエイト】 
・共立スマートセレクション『まちぶせるクモ 網上の10秒間の攻防』 
・観察の本『クモたちの狩り 上』 

2023/11/23

夜の池に飛来するコウモリは岸を歩くザトウムシを捕食するか?【トレイルカメラ:暗視映像】

 

2021年10月中旬・午後17:50頃・日の入り時刻は午後16:59。 

山中の水場に自動センサーカメラを設置して見張っています。 
設置アングルをミスってしまい、肝心の池がほとんど写っていませんが、崖の穴から湧き水が絶えず流れ込んでいる様子が分かります。 

晩にコウモリが低空で飛来しました。 
崖にぶつかる前にUターンしました。 
その直後、泉の水際をザトウムシの一種が手前に向かって歩き始めました。 
画面の黄色い丸に注目してください。 

コウモリとザトウムシのニアミスシーンはこれまで何度か見ています。 

関連記事()▶  


暗闇の山中でコウモリがザトウムシを狩って捕食する決定的瞬間が撮れるのではないかと密かに期待するのですけど、今回もコウモリは戻ってきませんでした。 
そもそもコウモリはザトウムシを獲物としてみなしていないのかもしれません。 
超音波によるエコロケーションの解像度がどれぐらいなのか知りませんが、ザトウムシの歩脚は細過ぎて認識できないのかな? 
単に獲物として好みではないのでしょうか? 

バットディテクターでコウモリのエコロケーションを聞きつつトレイルカメラで飛翔シーンを録画してみたいという構想を何年も温めているのですけど、他にあれこれ手を広げ過ぎてしまい、なかなか余力がありません。 
コロナ禍の最中は、バットディテクターの通販も無くなっていました。
一時期は「野生のコウモリの研究調査自体が未知の病原菌やウイルスに感染するリスクが高くて危ない!」という風潮で、コウモリの研究者・愛好家が絶滅するんじゃないかと心配でした。 

2023/10/22

台所の濡れ布巾を舐めて吸水するイエユウレイグモ(蜘蛛)

 

2023年4月上旬・午後23:20頃 

深夜に水を飲もうと暗い台所に行って照明を点灯すると、驚きの光景を目にしました。 
皿を洗ってから、キッチンカウンター(ワークトップ)の水滴を拭いた雑巾を絞って広げ、乾かしています。 
その上でなんと、イエユウレイグモPholcus phalangioides)が吸水していたのです。 
イエユウレイグモの飲水行動は初見です。 
というか、そもそも造網性クモが自発的に水を飲むシーンを見たことがありませんでした。
慌ててカメラとハンディカムを持ってきて、薄暗い台所で動画撮影することにしました。

補助照明としてハンディカム内蔵の白色LEDを点灯しても、かなり薄暗いです。 
ハンディカムを近づけても、クモは逃げませんでした。
歩脚が長いイエユウレイグモが、うずくまるような前傾姿勢で濡れ布巾に口を直接付けています。 
天井からぶら下がっている「しおり糸」は見えませんでした。 

まったく動かないので、死んでいるのかと心配になりました。 
雑巾の繊維に絡まって身動きできないのでしょうか? 
私が左手の人差し指でイエユウレイグモの歩脚にそっと触れると、慌てふためいて「引き糸」を登り返し、シンク(流し)の真上から照らす蛍光灯のフードに辿り着きました。 
その辺りにはイエユウレイグモの不規則網が張り巡らされているのですが、映像では見にくいです。 
大慌ての逃避行動を1/5倍速のスローモーションでリプレイ。(@1:09〜) 

この個体は喉が渇くと不規則網から夜な夜なシンクに懸垂下降して水分補給しているのでしょうか? 
監視カメラを設置してみたら面白そうです。
もし私が邪魔をしなければ、濡れ雑巾から延々と吸水を続けていたかもしれません。
濡れ雑巾は決してきれいではなく、アンモニア臭(雑巾臭)がしたりします。
イエユウレイグモはむしろ、雑巾が吸い取ったミネラル成分やアンモニアなどが気に入って摂取していた可能性もありそうです。

時期的にイエユウレイグモの幼体または亜成体と思うのですが、しっかり調べるためには一時捕獲して採寸したり外雌器の状態を精査しないといけません。
少なくとも触肢の発達した成体♂ではありませんでした。

世の中にはイエユウレイグモをモデル生物(実験動物)として飼育している研究者もいるそうです。
飼育下ではどうやって水を飲ませているのでしょうね?


関連記事(8、9、12、14年前の撮影)▶ 

2023/08/16

ヤマオニグモ(蜘蛛)の垂直円網に囚われて暴れるヒグラシ

 

2022年7月中旬・午後14:00頃・晴れ 

里山の斜面を直登する細い山道が廃れて使われなくなり、左右から灌木の枝が伸び放題になっていました。 
そこを少し整備すると、ヤマオニグモAraneus uyemurai)などが網を張るようになりました。 
クモの巣に捕らわれたセミが逃れようと必死に羽ばたいて暴れていました。 
(私が獲物をクモの網に給餌したヤラセ映像ではありません。) 
鳴き声を発してないので♀かもしれません。

同定のために暴れるセミを手にとってじっくり接写すべきでしたが、夏の廃道登山でヘロヘロにへばっていた上に先を急いでいたので動画に撮っただけです。 
腹部全体が茶色く透けて見えるのでエゾハルゼミまたはヒグラシだと思うのですが、エゾハルゼミは時期的に少し遅いです。 
周囲でカナカナカナ…♪と寂しげに鳴き交わしているのは、ヒグラシ♂(Tanna japonensis)でした。 

セミがかなりパワフルに羽ばたいても、粘着性のあるクモの横糸は強力で切れません。 
獲物が疲れておとなしくなるまで、網の主はどこかに避難しているようです。 
以前ここにヤマオニグモAraneus uyemurai)が造網しているのを見ています。 


2023/08/12

夏の夜にスギ林道でトレイルカメラに写った人魂の正体は蜘蛛の粘球?【暗視映像】

 

2022年8月下旬・午後18:07・気温24℃ 

里山のスギ林道にあるタヌキの溜め糞場sを自動センサーカメラで見張っていると、謎の現象(物体)がときどき写ります。 

地平線に日が沈む日の入り時刻は午後18:21ですが、現場は山の東斜面なので、それよりもずっと早くから太陽が山の端に隠れて暗くなります。 
トレイルカメラは熱源の動きを検知して起動する仕組みですから、昆虫やクモなどの変温動物が動いても反応しないはずです。 
動画の冒頭には何も写っておらず、今回はなぜ起動したのか不明です。 
おそらく飛来したコウモリが素早く横切ったのかもしれません。 

やがて夜蛾らしき小さな昆虫が飛来し、右から左に高速で横切りました。 
そして画面の左端から明るく白く光る謎の玉がちらっと登場します。 
まるで人魂(火の玉)や怪しいUMAが空中に漂っているように見えますが、おそらく日没直前に造網を始めたクモの糸の粘球ではないかと思います。 
幽霊の正体見たり枯れ尾花。 

クモの粘球にしても巨大で、しかも一つだけブラブラしているということは、珍種のナゲナワグモなのか?と期待が膨らみます。 
日本の北国ではナゲナワグモの仲間は生息していないことになっているからです。
日本でナゲナワグモの習性を持つのは、コガネグモ科イセキグモ属に属するマメイタイセキグモとムツトゲイセキグモの2種である。いずれも熱帯系のクモであり、日本では本州南部以南に分布し、採集例はきわめて少ない。(wikipedia:ナゲナワグモより引用)

 

関連記事(10月中旬、下旬の撮影)▶ 

未だ撮影例が少ない(n=2)のですが、この謎の人魂?粘球?は秋にしか現れないのかと思っていました。
トレイルカメラの映像記録を遡って見返すと夏にも写っていたので、記事にしておきます。
今回でようやく3例目です(n=3)。
記録が蓄積すれば、通年見られるありふれた現象だと分かってくるかもしれません。

残念ながら粘球を作った主(クモ?)がいつも写っていないのが、もどかしいです。
粘球が自ら発光しているのか、それとも暗視カメラが照射する赤外線を強く反射しているだけなのか、突き止めたいところです。 
前者だとしたら、グローワームのように糸で生物発光して獲物を誘引する新種の虫かもしれず、ロマンがあります。 
夜に現場入りして実際に探すしかなさそうですが、ツキノワグマが出没すると分かってからは二の足を踏んでいます。 


2023/07/26

夜の池に張られた網を自ら取り壊すクモ【蜘蛛:トレイルカメラ:暗視映像】

 

2022年8月中旬・午前0:15頃 

里山の湧き水が溜まった泉を自動センサーカメラで見張っていると、コウモリが飛来する合間に小さなクモが写っていました。 
画面の左上から造網性クモ(種名不詳)が下に降りてきました。 
引き糸(しおり糸)にぶら下がりながら懸垂下降しているのか、何度もバウンドするように池の水面に触れています。
このクモはまさか水を飲んでいるのでしょうか? 
こしきから降りてきたクモが水面の落枝などに引き糸を固定したはずです。 
引き糸の上部で強く光る白点は円網のこしきなのでしょう。 
途中からクモが大きく見えるようになったのは、カメラに対して近づいたからです。 
どうやら左岸から此岸へ斜めに円網の枠糸が張り渡してあったようです。 
以上、クモの動きから推理すると、池の上に張った網を自分で壊しながら登り返しようです。 

こんな真夜中に破網するということは、網にたくさんの獲物がかかって破け、使い物にならなくなり、張り替えるのでしょう。 
あるいは夜霧が立ち込めるようになり、円網の横糸に水滴が付いて粘着性が落ち、捕虫網として使い物にならなくなったのかもしれません。 
飛来したコウモリに網を壊されて獲物を盗まれた可能性もありそうです。 



2023/07/24

夏の夜の水場でコウモリが狩りに成功?【トレイルカメラ:暗視映像】

 



2022年8月上旬・午後21:45頃 

里山の水場をトレイルカメラで見張っていると、夜な夜なコウモリ(種名不詳)が飛来します。 
奥の森から飛来したコウモリが此岸で急旋回して引き返しました。 
このときは水面に触れていないので、飲水行動ではありません。 

飛び去るコウモリの足に何か細長い物がぶら下がっていました。 
1/4倍速のスローモーションでリプレイしてみましょう。 
動画のフレームレートが25fpsでは何が起きたか、いまいちよく分かりません。
どうやらコウモリは此岸の灌木の辺りで素早く狩りをしたようです。 
泉から水草を採取して行ったようにも見えますが、この池に水草は生えてないので除外できます。 
池の上に張られたクモの網にかかって暴れていた獲物をコウモリが掠め取ってきたのではないか?と想像しました。 
あるいは網に占座するクモそのものを網ごと狩ったのかもしれません(一網打尽)。
破れたクモの網がコウモリの足にまとわりついたまま飛び去った、という解釈です。 
コウモリの狩りの成功シーンらしきものがトレイルカメラで撮れたのは初めてです。 
どこか安全な止まり木に逆さまにぶら下がってから、落ち着いて獲物を食べたり、足にべっとり付着したクモの巣を毛繕いで取り除いたりするのでしょう。


後半は続きの5倍速の早回し映像です。 
蛇足かもしれませんが、コウモリが飛び去った後も何事もなかったように水面に多数のアメンボが泳いだり、周囲を夜蛾が飛び回ったりしています。 

つづく→

2023/07/21

初雪で凍死したジョロウグモ♀の遺作(蜘蛛)

 

2022年12月上旬・午前11:40頃・晴れ 

初雪が降った翌日に里山で急坂の山道を登ると、道端の枝間に張られたジョロウグモ♀(Nephila clavata)の垂直円網に霜が付着して真っ白に光っていました。 
網の主であるジョロウグモ♀は中央のこしきに占座したまま、だらりと力なくぶら下がっていました。 
私が指で触れても全くの無反応です。 
前日の初雪で凍死したようです。 
初冬になるともう網にかかる獲物がほとんどいませんから、卵嚢を産めるだけ産んで天寿を全うしたのでしょう。 

捕虫網を構成する糸の1本1本が白い霜をまとい、馬蹄形垂直円網の構造が見事に可視化されています。 
クモの網の構造を観察するために霧吹きで水滴を噴霧するテクニックがあるのですが、自然な霜の美しさには叶いません。 
あえて逆光で撮ってもフォトジェニックです。 
美しい芸術作品に昇華されました。 
暖かな日差しに照らされて気温が上がると、網に付着した霜はじきに溶けてしまうでしょう。 
ギリギリのタイミングで「ある女郎蜘蛛の死」を劇的(フォトジェニック)に撮れたことになります。 

ジョロウグモの網が微風で揺れていて、霜が付いても網全体の柔軟性は保たれていることが分かります。 
極寒の条件ではクモの網全体が凍結して脆くなり、パリパリと壊れたりするのでしょうか? 
(例えば液体窒素に漬けるとどうなる?)
霜によって横糸の粘着性は失われているかと思いきや、アカマツなどの落ち葉が少し網に付着していました。 

この後、野鳥がジョロウグモ♀の死骸を見つけて捕食するのでしょうか? 
トレイルカメラを設置すれば決定的瞬間が撮れたかもしれません。 
ちなみに、この日下山すると平地でもジョロウグモ♀が円網で凍死していました。(映像なし) 


2023/05/30

雨夜にカラマツの幹を登るザトウムシ【トレイルカメラ:暗視映像】

 

前回の記事:▶  


2022年10月下旬 
山林でドングリを給餌した餌場をトレイルカメラで見張っていると、未明にザトウムシの一種が2回登場しました。 

シーン1:午前3:40頃 
画面の赤丸に注目して下さい。 
雑木林の斜面をザトウムシがゆっくり登って行きます。 


シーン2:午前4:30頃 
約50分後、雨が降っています。 
画面の赤丸に注目して下さい。 
おそらく別個体だと思うのですが、ザトウムシがいつの間にかカラマツの幹を登っていました。 
少し登ってから立ち止まると、長い歩脚で謎の屈伸運動をしています。 
幹を滴り落ちる雨水を飲んでいるのかな?と想像したりするものの、定かではありません。
以前の観察で、笹の葉から水滴を飲んでいたザトウムシは、上下動せずに歩脚を曲げたままでした。

関連記事(12年前の撮影)▶ 水を飲むザトウムシ

ちなみに、この日の日の出時刻は午前5:52。 
撮影時刻は夜明け前で、最低気温になっているはずです。 
秋の寒い雨夜でもガガンボが飛来したり、小型の直翅目(コノシタウマ?)がドングリ給餌場の下の斜面を徘徊したりと、意外に賑わっています。 
このトレイルカメラ旧機種は、動画撮影時に気温の測定値が記録されないのが残念です。

ザトウムシは変温動物なので、いくら動き回ってもトレイルカメラのセンサーは反応しません。 
温血動物の野ネズミが餌を探し回って画面を横切ったときに偶然録画されるだけです。 

※ 動画編集時に自動色調補正を施して明るく加工しています。 

2023/05/26

秋の夜にスギ林道でトレイルカメラに写った人魂の正体は蜘蛛の粘球?【暗視映像】

 

2022年10月下旬・午後17:50頃・気温14℃ (日の入り時刻は午後16:56) 

晩のスギ林道を野ネズミ(ノネズミ)が横切り、監視カメラが起動しました。 
野ネズミよりも気になる怪奇現象?が赤外線の暗視映像に撮れていました。 
画面の左端で、人魂のように光って動いている塊は何でしょうか? 

なんとなく、クモの糸の粘球ではないかと思います。 
後半は複数の粘球が付いた1本の糸が風に吹かれているように見えます。 
小雨が降り始めて、水滴がクモの糸に付着したのかもしれません。 
それにしても、これほど大きな粘球を作る造網性のクモがいるのでしょうか? 
まさかナゲナワグモ…? 
造網を始めたクモが枠糸を吹き流しているのだとして、吹き流しの糸の先端部には重りとして粘球をつけるのかな? 


前回撮れたのも秋(10月中旬)だったのは偶然でしょうか? 
季節の風物詩のように毎年写る現象なら、もう少し真面目に調べる価値があるかもしれません。 (追記参照)

今回の場合は明らかに、恒温動物の野ネズミが動いたことが原因でカメラのセンサーが熱源を動体検知して起動しました。
その前後にも謎の巨大粘球がカメラの前をぶらぶら動いていたはずなのに、それは録画されていないということは、巨大粘球自体は熱を帯びていないことになります。
もし人魂が冷光ではなく炎のように発火する現象だとすれば、熱を発しているはずなので、単独でもトレイルカメラのセンサーが反応して録画されているはずです。

海外の洞窟内で光るグローワームを連想したのですが、もし日本の里山に居たら大発見かも?と妄想・ロマンが捗ります。
(ニュージーランドとオーストラリアに生息する)ヒカリキノコバエ属の幼虫は捕食活動に発光を用いており、粘着性の高い糸へユスリカ等の飛行昆虫を誘き寄せている。(wikipediaより引用)



※【追記】

実は同じ地点で夏にも同様の現象が撮れていました。

したがって、秋だけの怪奇現象ではありません。

関連記事(2ヶ月前の撮影)▶ 夏の夜にスギ林道でトレイルカメラに写った人魂の正体は蜘蛛の粘球?【暗視映像】 



↑【おまけの動画】
"Glow Worms Trap Insects With Bioluminescent 'Fishing Lines'🪱 Into The Wild New Zealand " by Smithsonian Channel

2023/04/25

夜中のドングリ餌場でザトウムシとニアミスした野ネズミ【トレイルカメラ:暗視映像】

 



2022年10月中旬 

シーン1:10/14・午前1:50 
カラマツの根元にドングリを置いた餌場に野ネズミ(ノネズミ)が来ています。 
次に持ち去るミズナラ堅果を選んでいる間に、ザトウムシの一種が餌場に向かって斜面を下から長い歩脚でえっちらおっちら登って来ました。 
ザトウムシが餌場にやって来たのは、ただの偶然でしょう。
暗闇で野ネズミと鉢合わせしたザトウムシは、慌てて左下へ逃げて行きました。 
野ネズミはドングリを咥えて右へ走り去りました。 

ドングリの方がザトウムシよりも栄養価が高そうですし、この場面で野ネズミがドングリを優先するのは理解できます。 
もしもドングリ餌場と関係のない場所でニアミスした場合、野ネズミはザトウムシを捕食(しようと)するのですかね? 
夜の森でザトウムシを狩る天敵がいるのかどうか、興味があります。 
天敵として脊椎動物(哺乳類・爬虫類・鳥類)・他の節足動物(昆虫・クモ・サソリ・ムカデなど)・扁形動物などが知られ[50][51][52][15]、あらゆる生物群(細菌・真菌・原生動物・条虫・吸虫・ハリガネムシ・ハチ・ダニなど)の病原体や寄生生物に宿主ともされる[53]。(wikipedia:ザトウムシより引用)

関連記事 ▶  
夜の雑木林で斜面を歩くザトウムシをコウモリが襲う?【トレイルカメラ:暗視映像】 
夜の泉に飛来するコウモリは岸のザトウムシを捕食するか?【トレイルカメラ:暗視映像】

ザトウムシは危険が迫ると歩脚を自切して逃げたり臭腺から忌避物質を分泌する仕組みを進化させたということは、捕食圧が高いはずです。


シーン2:10/15・午後18:16 (@0:22〜) 
翌日も同じ場所でザトウムシが夜に登場しました。 
左からやって来て餌場を横切り、斜面を右へトラバースして行きます。 
そもそもザトウムシは変温動物のはずですから、このときトレイルカメラがなぜ起動したのか不明です。 
恒温動物の野ネズミは画角内に来ていません。 

※ 動画編集時に自動色調補正を施して明るく加工しています。

ザトウムシは結構好きなので、いつかしっかり調べてみたいものです。
月面探査とか火星探査用のロボットにザトウムシ型のロボットを採用してくれないかな〜と勝手にロマンを抱いています。


2023/04/23

キタキチョウ♂の叶わぬ恋?:キカラスウリの黄葉に誤認求愛

 

2022年10月中旬・午後14:35頃・晴れ 

民家の外壁を覆うように雑草の蔓植物が繁茂して、天然の壁面緑化のようなマント群落を形成しています。 
軒下にはジョロウグモNephila clavata)が網を張り巡らせています。 
その壁際になぜか執着して1頭のキタキチョウEurema mandarina)が思わせぶりな飛び方をしていました。 
近くにはセイタカアワダチソウの花が咲いていて、蜜源植物には事欠かないはずなのに、わざわざ壁際に固執する理由が分かりません。 
遠目からはクモの網に何度もアタックしているように見えたので、不思議に思ってズームインしてみました。 
クモの網に捕まった♀に対して♂が求愛しているのかと初めは思ったのですが、その予想も外れました。

どうやらキタキチョウはキカラスウリの黄葉に興味を示しているのに、手前に張られたクモの網が邪魔で近づけないことが分かりました。 
同じキカラスウリでも緑の葉には興味がありません。
♂による誤認求愛だとすると、非常に興味深い行動です。 
障害があるほど恋心が燃え上がるのでしょうか。
もしクモの巣が無ければキカラスウリの黄葉に着地して足で触れてみて、同種の♀ではないと確かめて飛び去るはずです。 

キタキチョウ幼虫の食草はマメ科植物(クズは除外)なので、成虫♀が産卵目的で飛来したという訳でもなさそうです。 
マント群落にはキカラスウリの他にクズ(マメ科)の葉も生い茂っていますが、それに対してキタキチョウは全く興味を示しませんでした。 

もう一つ別の可能性として、茂みの奥に羽化間近の♀の蛹があるのかもしれません。 
羽化したら真っ先に交尾しようとキタキチョウ♂が引き寄せられたのでしょうか? 
しかし映像を何度見直しても、蛹は見当たりません。 


最後にキタキチョウはようやく諦めて飛び去りました。
その間、馬蹄形円網の主のジョロウグモ♀は全く無反応でした。 
誘蛾灯の近くに造網するクモがよく育つように、周囲の植生が黄葉し始めたおかげでジョロウグモの捕虫網にキタキチョウ♂がよく掛かるようになったら面白いですね。

キタキチョウが落ち着きなく飛び回るので、肝心の性別が見分けられませんでした。 
ハイスピード動画に切り替えれば良かったかもしれません。 
キタキチョウの性別は、大雑把に言うと翅の黄色が濃い方が♂で、薄い(白っぽい)方が♀です。
今回の飛翔個体は黄色い♂のような気がするのですが、日差しが強くて白飛び気味の映像になり、確信がもてませんでした。

紫外線カメラで撮ればキタキチョウの性別を簡単に見分けられるのだそうです。
・シロチョウ科のキタキチョウは♂の黄色い部分が紫外線を反射し、♀は吸収した。(中略)このキタキチョウの♂の翅は撮影する角度によってその紫外線反射量が変化した。これは構造色の発色のしかたと似ている。 (p24より引用)
・♂のキタキチョウはモルフォチョウと同じ構造で紫外線だけを反射している。それも少し角度が変わるだけで大きく変化する。(中略)キタキチョウは紫外線反射により、互いに雌雄を容易に見極めている。 (p25-26より引用)

紫外線カメラでキカラスウリの黄葉を写真に撮ったら、キタキチョウ♀と似て見えるかどうか、誰か調べてみませんか?

 

2023/04/07

夜の雑木林で斜面を歩くザトウムシをコウモリが襲う?【トレイルカメラ:暗視映像】

 



2022年10月上旬・午前4:13 

雑木林の山腹を自動撮影カメラで監視しています。 
冒頭シーンは明るい昼間に撮った現場の状況です。 
画面の右上隅が泥汚れの付いたカラマツの根元になっています。 

深夜に何かが高速で横切りました。 
1/3倍速のスローモーションでリプレイしてみると、どうやらコウモリが低く飛来したようです。 
その直前に謎の虫が左の斜面を登っていて、そのすぐ上を掠めるように一瞬遅れてコウモリが飛びました。 
狩りを試みて失敗したのかな? 

後半は斜面を徘徊するザトウムシの一種が写っていました。 
赤い丸で囲んだ位置に注目してください。(@0:29〜) 
細長い歩脚でヒョコヒョコと林床を歩いています。 
ザトウムシは変温動物ですから、本来ならトレイルカメラの前を横切っても起動しないはずです。 
たまたま恒温動物のコウモリが飛来した直後なので、ザトウムシの活動がついでに記録されていました。 

コウモリがザトウムシを狩る決定的瞬間がいつか撮れないかな〜?と密かに期待しているのですけど、コウモリの超音波でザトウムシのような特殊な体型の虫を探知して狩ることができるのでしょうか?

トレイルカメラで撮影するようになって分かったことは、山林のどこに設置してもザトウムシが結構頻繁に写るということです。 
その一方でクモ類は、造網性クモしか写ったことがありません。 
夜の林床は徘徊性クモではなくザトウムシの天下なのでしょうか。 
考えてみると徘徊性クモは視覚に頼って獲物を狩るので、完全な昼行性なのでしょう。
ザトウムシの飼育も一度はやってみたいと思いつつ、余力がなくて先延ばしになっています。

※ 動画編集時に自動色調補正を施して明るく加工しています。 

2023/03/22

カラマツの下の林床を夜な夜な歩き回るザトウムシ【トレイルカメラ:暗視映像】

 

2022年9月下旬 

里山の雑木林の斜面で泥汚れのついたカラマツを監視カメラで見張っていると、ときどきザトウムシの一種が写ります。 
ザトウムシは変温動物ですから、本来はトレイルカメラが反応しないはずです。 
おそらく、野ネズミなどの恒温動物が横切ったついでに記録されたのでしょう。 
フィールドのあちこちにトレイルカメラを設置してみて気づくのは、ザトウムシはどこにでも出没するということです。 


シーン0:9/19・午後14:18 
明るい昼間に撮った現場の状況です。(参考映像) 
強く湾曲した根元の幹に泥汚れが付いています。(イノシシの仕業?) 


シーン1:9/22・午後21:26・小雨?  (@0:04〜)
画面の赤丸に注目してください。 
カラマツの木を回り込むように、雑木林の斜面をザトウムシが降りてきました。 
極細の長い歩脚でヒョコヒョコと歩行します。 


シーン2:9/24・午後19:36・晴れ (@0:35〜) 
2日後の晩には、逆に画面下から斜面を登りかけたものの、カラマツの根元まで来るとなぜか再び下りました。 

※ 動画編集時に自動色調補正を施して明るく加工しています。 


日本は出版される図鑑の種類が非常に豊富でありがたいのですが、なぜか「ザトウムシの図鑑」がいつまで経っても出ないのが困ります。 
ザトウムシは種分化の問題がややこしいので、初めから専門家が満足するような「完璧な図鑑」を出すのは難しそうです。 
それでも誰か元気な(無謀な)アマチュアが思い切ってエイヤッと「暫定的な図鑑」にまとめてくれれば良いのに…といつも思います。
市場調査で「ザトウムシの図鑑」は需要が無いと予想されてるのかな?(出版社のシビアな経営判断)
写真集の被写体としてもザトウムシは非常に魅力的だと思います。



2023/01/28

垂直円網を完成直後に改めて張り直すワキグロサツマノミダマシ♀(蜘蛛)

 

2022年8月下旬・午後15:10〜15:23頃・晴れ 



ワキグロサツマノミダマシ♀(Neoscona melloteei)の造網作業を腹面から動画撮影した私は、背面の写真も撮ろうと用水路を渡って対岸へ行きました。 
驚いたことに、この間になぜかワキグロサツマノミダマシ♀はせっかく作ったばかりの網を張り直し始めました。 
造網性クモのそのような行動を今まで見たことがありません。 
網に下手に近づいた私がうっかり周囲の枠糸を切ってしまったという自覚はないのですが、最初の網の出来栄えが気に入らなかったのかな? 
破網の行動を見逃してしまったのが残念です。(網を壊しながら糸を食べてしまうのはあっという間なのでしょう。) 

今度は背面から造巣行動を動画で記録します。 
夏空を背景としたすっきり抜けたアングルなので、今回はカメラの自動焦点AFにお任せできます。 
せっかく腹背が美しい緑色なのに、逆光でクモの体のシルエットしか映りません。 
肝心のクモの糸や網がほとんど見えなくなりました。 
特に足場糸、縦糸が全く見えないのが致命的です。 
歩脚の動かし方で作業内容を想像するしかありません。 
放射状の縦糸は切らずに前回張った縦糸をそのまま再利用していました。 (再造網が早く終わったのは、そのためでしょう。)

網を張り直す際も一時的な足場糸をかけ直してから横糸を張るはずですが、この点が逆光でよく分かりませんでした。 
網を取り壊すついでに足場糸を張ったのだとすれば、無駄がなくて効率的です。
私が慌てて動画撮影を始めたときには既に粘着性のある横糸を張っていました。 
腹側から見て右回り(時計回り)で内側に向かって螺旋状に横糸を張っています。 
円網の外側の枠糸に雨の水滴が多数付着しています。
改めて横糸を張り終えると、中央部のこしきを丸く食い破りました。 
これも前回と同じ手順です。 
完成した垂直円網に下向きで占座し、網を歩脚で引き締めました。 
アングルを変更して横から狙うと、腹背の緑色および脇黒がよく見えるようになりました。 
ときどき網を歩脚で引き締めています。 

作り直した垂直円網のこしきから地面までの高さは約165cmでした。 
背後はスギ林(平地の防風林)で、網の下には用水路(幅140cm)が流れています。 
地面から深さ90cmに流水面があります。 
雨上がりのせいか、結構激しい流れでした。 
夕方から水路の上に集まる蚊柱や夜の林縁を飛ぶ蛾などを狙ってワキグロサツマノミダマシ♀はここに造網したのでしょう。

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