2014年8月下旬
川沿いの堤防の草むらでコガタスズメバチ(Vespa analis insuralis)のワーカー♀が獲物を求めて飛び回っていました。
ヘラオオバコの群落で枯れた穂先になぜか執着してしがみつき、大顎で齧っていました。
この謎の行動は、芋虫など何か獲物と誤認したのでしょうか?
スズメバチを誘引する匂いが付いていたのかな?
過去にここで行った狩りの成功体験が忘れられずに通ってきているのかもしれません。
とにかく、単に翅を休めて身繕いしていたようには見えませんでした。
ヘラオオバコは風媒花なので、花蜜を分泌しないはずです。
しかし今回と同様の事例を以前ドロバチ科(フタスジスズバチ)でも観察しています。
▼関連記事
ナガボノシロワレモコウを訪花するフタスジスズバチ
細長い花序が狩蜂に芋虫と誤認させる超正常刺激になっているとか?
だとしたら狩蜂がもっと殺到している筈ですね。
植物側の擬態による全く新しい虫媒花や種子散布のシステムが進化しつつあるのか?などと勝手に妄想してみました。
私の考え過ぎかもしれませんけど…。
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ヘラオオバコの実 |
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ヘラオオバコの葉 |
2014年9月上旬・くもり
堤防に繁茂するクズの群落でイチモンジセセリ(Parnara guttata)が訪花していました。
吸蜜しながら腹端から透明な液体をポトリと一滴排泄しました!(@0:52)
飛び立つ直前に軽量化を図ったようです。
2014年8月下旬
川沿いのちょっとした原っぱでオオハラナガツチバチ♀(Megacampsomeris grossa matsumurai)が念入りにお化粧していました。
飛び立つ寸前に横を向いた際に見えた腹部の白い横線が3本で頭頂部の毛が少ないので、キンケハラナガツチバチではなくオオハラナガツチバチと分かりました。(『ハチハンドブック』p45より)
獲物(コガネムシ類の幼虫)を狩るため地中に潜ったかと期待したのですが、茂みの下で見失ってしまいました。
ちなみに、少し離れたところでは同種の♂がスペアミントを訪花していました。
互いの存在を気づいていないのか、交尾行動などは見られませんでした。
2014年8月下旬
▼前回の記事
夜モンスズメバチの巣に忍び寄るシロスジカラスヨトウ(蛾)【暗視映像】
モンスズメバチの巣の定点観察9
クヌギ樹洞の巣口で門衛を務めるモンスズメバチ(Vespa crabro flavofasciata)のワーカー♀が巣内の温度を冷やすための扇風行動をしています。
映像後半では二匹のワーカーが巣門の前後で扇風隊を務めています。(直列二連!)
もしかすると更に樹洞の奥にも並んでいてリレー式に送風しているのかもしれません。
激しく羽ばたいて巣内に送風している間にも他の外役ワーカーが頻りに出入りしています。
外気温は23〜24℃でした。
ところで前回の観察と比べて、樹洞の右側にある小さな穴に営巣していた小型のアリ(種名不詳)のコロニーが幹を登る蟻道を構築していました。
材料は木屑や糞なのかな?
アリが樹洞内に侵入しないのが不思議です。
こちらも色々と興味があるのですけど、蜂の巣が危ないので間近で調べることが出来ません…。
つづく→シリーズ#10:涼しくても扇風行動を続けるモンスズメバチ♀の謎
2014年7月中旬
農道の脇に生えたタケニグサの群落で黒っぽい小さな蜂が盛んに訪花していました。
後脚の花粉籠に白い花粉団子を付けて運んでいるので、ハナバチの仲間の♀ですね。
一瞬ニホンミツバチかと思いきや、たぶんヒメハナバチの一種ではないかと思います。
♀が採餌していると、そこへ別個体(頭楯が白い?)が飛来し、ニアミスしました。
交尾相手を探している♂なのか、それとも♀なのか不明ですけど、交尾には至らずすぐに別れました。(♀による交尾拒否?)
花から花へ忙しなく飛び立つ瞬間を狙って240-fpsのハイスピード動画でも撮ってみました。
もう少し粘れば、訪花中の♀に♂が飛び付いて交尾を試みる瞬間がスローモーションで撮れたかもしれません。
複数個体を撮影。
同定のため、撮影後に1匹だけ採集しました。
以下は標本写真
いつもお世話になっている「蜂類情報交換BBS」に投稿して問い合わせたところ、青蜂@管理人さんより以下の回答を頂きました。
このヒメハナバチは、ミツクリフシダカヒメハナバチ(Andrena japonica)です。
腹部の各背板が強く反り返っているのが特徴です。
ミツクリフシダカヒメハナバチは手元にある『ハチハンドブック』p81にも載っていました。
撮影・採集は7月中旬ですから、夏型ですね。
生態に関する情報はヒゲおやじさんのサイトを参照。
2化性種であるミツクリフシダカヒメハナバチは典型的な広食性である。(以下の参考文献より)
【参考文献】(PDF論文)
前田泰生, 藤原光博, and 北村憲二. "ミツクリフシダカヒメハナバチの生態的知見." 昆蟲. ニューシリーズ 7.4 (2004): 155-171.
2014年8月下旬
道端に咲いたペパーミントの群落でベニシジミ(Lycaena phlaeas daimio)が2頭訪花していました。
そのうち1頭は翅が黒っぽく明らかに夏型でした。
仲良く吸蜜していて、互いに没交渉です。
争ったり求愛交尾したりしないのは同性だからでしょうか?
(残念ながら私にはベニシジミの性別が見分けられません。)
2014年8月下旬
林道脇に生えたススキの葉に乗って交尾中のアオクチブトカメムシ(Dinorhynchus dybowskyi)を発見。
側角の形が鋭く尖っていることから、ツノアオカメムシではなくアオクチブトカメムシのようです。
大柄な個体が♀なのでしょうか?
小柄な個体は前脚を伏せています。
残念ながら、交尾器の結合部は翅に隠れて見えません。
互いに逆を向いてじっと静止しています。
※ 動画編集時に自動色調補正を施してあります。
2014年8月下旬
平地の原っぱに咲いたスペアミントの群落でフタモンアシナガバチ(Polistes chinensis antennalis)のワーカー♀が2匹訪花していました。
小さなクロアリ(種名不詳)も多数、花に群がっています。
2014年8月下旬
川に近い建築現場のメッシュフェンスに蔓延るヤブガラシの群落でモンスズメバチ(Vespa crabro flavofasciata)のワーカー♀が訪花していました。
工事の騒音も気にせず吸蜜しています。
初めはちら見して「なんだ、キイロスズメバチか」と素通りしようとしたのですが、「待てよ、もしや…?」と引き返してみたらモンスズメバチでした。
こんな平地で見かけるのはちょっと珍しいです。
2014年8月下旬
川沿いのちょっとした原っぱに咲いたスペアミント※の群落でオオハラナガツチバチ♂(Megacampsomeris grossa matsumurai)が訪花していました。
触角の長い♂が2匹来ています。
同じ花でニアミスしても特に争うでもなく、1匹が飛び去りました。
腹端に棘状の突起あるかどうか興味があるのですが、採集しないと分かりませんね。
最近買った『ハチハンドブック』のおかげでオオハラナガツチバチの名前を知りました。
初めはてっきり近縁種のキンケハラナガツチバチ♂だと思い込んでいました。
これまでよく分からぬままキンケハラナガツチバチ♂としてきた記事も再検討が必要かもしれません。
※ この花の名前について。
茎に触れると断面が四角形だったのでシソ科だろうと見当がつきました。
ハッカやミントの仲間かな?と思うものの、手元の野草図鑑にはハーブ類は載っていなくていつも困ります。
植物の画像掲示板で問い合わせたところ、スペアミントだろうとご教示頂きました。
ハーブ図鑑も買わなきゃなー。
2014年8月下旬
キャンプ場の休憩所(東屋)でなぜかメスグロヒョウモン♂(Damora sagana liane)が飛び回り、軒下に止まったりしていました。
行動の目的が分からず、夏眠する傾向があるのかな?と首を捻りつつじっと眺めていたら、私が持参したビニール傘に止まりました。
口吻を伸ばして柄を舐め始めました。
翅を開閉しながら長時間ひたすら舐め続けます。
かなりマニアックなフェチですけど、ミネラル摂取の行動なのでしょう。
すぐ横のベンチの背もたれに汗で濡れたシャツを干しているのに、それには興味を示しませんでした。
洗剤の残り香やグレーの色が嫌いなのかな?
汗をかいた腕を差し出してもその手に乗りませんでした。
ヒトの汗というよりも皮脂が目当てなのでしょうか。
濃縮した塩分が固体表面に析出した状態が好みなのかもしれません。
▼関連記事
金属管を舐めるミドリヒョウモン♂
2014年8月上旬
▼前回の記事
ハグロトンボ♀の翅紋誇示
民家の庭でハグロトンボ♂(Calopteryx atrata)が何匹も集まっていました。
草木の葉っぱや地面に止まり、独特のリズムで翅を開閉しています。(縄張り争いの誇示行動)
飛び立つ瞬間を狙って240-fpsのハイスピード動画に撮ってみました。
複数個体を撮影。
2014年8月下旬
民家の庭先に咲いたミソハギの群落でトラマルハナバチ(Bombus diversus diversus)のワーカー♀が訪花していました。
後脚の花粉籠に橙色の花粉団子を付けて運んでいます。
葉が茎を抱かないので、エゾミソハギではなくミソハギです。