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2025/04/23

ニワハンミョウ♂の求愛と♀による交尾拒否

 



2024年4月下旬・午後14:55・くもり 

田園地帯の舗装された農道で交尾を始めたばかりのニワハンミョウ♂♀(Cicindela japana)を見つけました。 
♀に背後からマウントした♂は、♀の胸部と腹部の間を大顎で咥えてしっかり掴まえ、腹端から茶色くて細長い交尾器(陰茎)を伸ばして♀の交尾嚢に挿入しようとしています。 

しかし、♀は激しく暴れて♂を振り落とそうとしています。 
この♀個体は、明らかに交尾拒否の行動をしています。 
前回の記事で観察した、♀が交尾を終了しようと暴れる行動(post-copulation struggle)よりも激しくて、横に転げ回る動き(ローリング)もしました。 
♂はじゃじゃ馬に振り落とされないように必死にしがみつき、まるで激しいロデオを見ているようです。 
♀も茶色の腹端を伸ばしながら下に屈曲しているのは、♂の交尾器が届かないようにしているのでしょう。 
普段は鞘翅の下に隠れている腹背が♀♂ともにメタリック・グリーンに美しく輝いて見えました。 
うまく交尾できた♀♂ペアの場合、♀は腹端を伸ばしていませんでした。 

激しく暴れている♀♂ペアに、左から別個体が登場しました。 
スロー再生すると(@2:49〜)あぶれ♂のようですが、♀の争奪戦にはならず、すぐに離れて行きました。 
獲物と誤認して近寄ってきたのかもしれません。 

♀に激しく抵抗された♂は結局交尾を諦めて、♀から離れて行きました。 
正面から見ると、♂の上唇および大顎は白いので容易に見分けられます。 
まるでホワイトニングした歯のように見えます。 
一方、♀は♂よりも体格が少し大きく、上唇と大顎が少し黄ばんで見えます。 
ハンミョウは肉食性ですが、怒った♀による性的共食いは起こりませんでした。 

♂から解放された♀が路上をうろつく様子をしばらく撮り続けていたのですが、しばらくするとさっきの♂(それとも別個体?)が別の♀個体の背中に挑みかかっていました。 
交尾する気満々の♂は腹端の交尾器を伸ばしていますが、この♀も激しく抵抗しています。 
今回の♀は、獲物(おそらくアリの一種)を咀嚼中でした。 
このペアも体格に明確な性差ありました(♀>♂)。 
交尾拒否されて一旦振りほどかれた♂が再び♀の斜め背後から近づこうとしたら、嫌がる♀は走って逃げました。 

ニワハンミョウの♀をひたすら動画に撮り続ければ、♂が駆け寄って交尾を挑むはずだ(効率よく撮れる)と気づきました。 
そこで、路上に立ち止まって身繕いしている個体を背側から撮り始めました。(@0:52〜) 
上から背側を見下ろすアングルでは顔色が見えにくくて撮影中は気づかなかったのですが、この個体は♂でした。 
さて、この♂はこれから獲物を狩りに行くのか、それとも♀を探すのでしょうか? 
ところが、背後から別個体(驚いたことに♀でした)がすばやく駆け寄りました。 
マウントしたかと思いきや、すぐに一旦離れました。 (背中を通り過ぎただけ) 
ところが直後に攻守交代で♂が♀に素早く駆け寄り、背後からマウントしました。
マウントされた♀が腹端を伸ばしてすのが交尾拒否の意思表示のようです。 
今回は♀が♂を振り落とそうと激しく暴れることなく、♂はあっさり諦めて離れて行きました。 

♂に解放された♀を撮り続けます。 
この♀個体の背中の中央付近に一対の黒い丸の斑紋があって(●●)、個体識別ができそうです。 
さっきの♂にはなかった目立つ模様です。 
♀は立ち止まって触角を前脚で拭い、化粧しました。 
同側の前脚と中脚を互いに擦り合わせる身繕いもしています。 
♀は再び路上徘徊。 

ところが私は途中で目移りしてしまい、少し離れた位置に佇んでいた♂に被写体を切り替えてしまいました。(@2:04〜) 
どんどん遠ざかる個体よりも、近くに来た個体をなるべく撮りたい、という理由もあります。 
この♂個体は大顎を大きく開閉し、クチャクチャと噛みほぐしていた獲物(クロアリ?)の残渣を吐き出して捨ててから、農道をうろつき始めました。 

ここまでのニワハンミョウ♀♂の行動を、1/5倍速のスローモーションでリプレイするので、じっくりご覧ください。(@2:16〜) 


【考察】 
ニワハンミョウの♂が出会った♀と交尾を始める瞬間をいつも見逃してしまいます。 
どうやら、ニワハンミョウには交尾前の儀式化された求愛行動というのはないようです。 
♀の背後から♂が隙を見て挑みかかり、いきなり交尾を試みるのでしょう。 
しかし交尾成否の決定権は♀にあり、♀が交尾拒否すれば♂はやがて諦めて離してくれます。 
♀が♂との交尾を受け入れる瞬間の撮影は、今後の課題です。 

ニワハンミョウの♀は、羽化後に一度交尾をするだけで、その後は♂に迫られてもひたすら拒否するのでしょうか? 
交尾後の♀は獲物(アリ)の捕食に努め、産卵に備えて栄養を蓄えるのでしょう。 
獲物を探し歩いている既交尾♀にとって、次々に交尾を挑んでくる♂の存在は煩わしいだけでしょう(セクハラ)。 
ここで問題になるのは、ニワハンミョウ♀の交尾回数です。
Perplexity AIに質問してみると、
ニワハンミョウ(Cicindela japana)の交尾回数に関する直接的なデータは限られていますが、ハンミョウ類全般の生態から推察すると、♀は複数回交尾する可能性が高いと考えられます。(後略)

日本のナミハンミョウでは、交尾後に再び同じ個体と交尾する事例が報告されています。 (参考ブログ記事 by 年金暮し団塊世代さん)

また、Perplexityが教えてくれた次の論文(Pseudoxycheila属の同所性ハンミョウ2種の交尾行動について)も面白そうなので、これからPDFをダウンロードして読んでみます。

TIGREROS, Natasha; KATTAN, Gustavo H. Mating behavior in two sympatric species of Andean tiger beetles (Cicindelidae). Bol Mus Entomol Univ Valle, 2008, 9: 22-28.

もしも♀が卵の遺伝的多様性を確保するために複数♂と何度も交尾するとしたら、今回見られたような交尾拒否行動は、交尾相手の♂を♀が厳しく選り好みしていることを示唆しています。 
その選別基準を知りたいものです。 
少し考えてみると、♂の体格でふるいにかけることは可能そうです。 
まず、大顎で♀の体をしっかり保定できない♂は論外でしょう。
体格があまりにもミスマッチ(♀>>♂)のカップルは、マウントした♂の交尾器が♀の交尾嚢に届きません。 
♀はちょっと交尾拒否してみて(precopulation struggle)、なるべく体格の大きな♂とだけ交尾するのかもしれません。 
交尾してもらえるように、小柄な♂が求愛給餌行動を進化させたら面白いのになー。 

♀を巡る♂同士の争いは、一度も見られませんでした。 

 一度だけ♂の背後から♀が駆け寄って一瞬マウントした(ように見えた)のが興味深く思いました。 
意中の♂を見つけて♀の方からモーションをかけた(ナンパした)のなら面白いのですが、その気になった♂が交尾を挑んでも♀は断固拒否して別れました。 
♀の尻を追いかけ回す探雌モードの♂と違って、狩りモードの♀は、動くものは全て獲物に見えてしまう(誤認)のかもしれません。 

今後は野外で片っ端から一時捕獲したニワハンミョウを個体標識(マーキング)した上で、配偶行動を観察すれば、もっと面白くなりそうです。 
しかし飼育下で♀♂ペアを交尾させる方が楽かもしれません。


2025/04/17

ニワハンミョウ♀♂の交尾行動:早く終わらせて別れたい♀と続けたい♂の性的対立

 

2024年4月下旬・午後13:15頃・晴れ 

田園地帯の舗装された農道で、交尾中のニワハンミョウCicindela japana)♀♂ペアを見つけました。 
♀に背後からマウントするために、♂は白い大顎を大きく開き、♀の胸部と腹部の間を挟んでしっかり保定しています。 
♀の背中に乗った♂の腹端をよく見ると、細長くて明るい茶色の交尾器を伸ばして、♀と結合していました。 
♂は腹部を少し前方に曲げているため、鞘翅に隠れていたメタリック・グリーンの腹背が覗いて見えます。 

一方で♂を背負った♀は、大顎を開閉しながら路上を走り回り、獲物を探しているようです。 
ときどき♂を振り落とそうとするものの、マウントした♂は♀に必死にしがみついたまま離れようとしません。 
求愛行動を見ていませんが、♂が♀にいきなりマウントして交尾を始めるのだろう。 


この機会に、ニワハンミョウの性差がある形質を探してみましょう。 
体格はやや♀>♂で、♂の前脚および中脚の腿節に白い剛毛が密生している気がするのですが、いずれも微妙な差で、これだけで単独個体の性別を見分けられる気がしません。 
鞘翅の鈍い金属光沢の色が♂は緑っぽく、♀が赤っぽいのですが、これは偶然の個体差かもしれません。 
比較的分かりやすいのは、大顎および上唇の色で、♂は白っぽく♀は黄ばんでいます。
(訂正:頭楯ではなく上唇の間違いでした。)

交尾中のペアが路上で佇んでいると、右から風に飛ばされてきた小さなゴミが♀の眼の前を横切りました。
それを♀が反射的に咥えました。 
獲物のアリではないと気づくとすぐに吐き出し、ゴミはそのまま風に吹き飛ばされました。 
1/5倍速のスローモーションでリプレイ。(@0:22〜) 
ニワハンミョウの優れた動体視力と反射神経に驚かされます。 
もしかするとニワハンミョウが食べ残したアリの捕食残渣かと思ったのですが、そうではなく植物質のゴミだったようです。 

やがて、♀は♂を背負ったまま方向転換し農道をうろつき始めたのですが、その前に♀がクチャクチャ噛んでいた獲物の食べ滓を路上に吐き捨てました。 
1/5倍速のスローモーションでリプレイ。(@1:04〜) 
捨てた物体は黒いので、おそらくアリのクチクラ(捕食残渣)のようです。 

♀は食後の身繕いを始めました。 
左右の触角を同時に足で拭ったり、同側の脚を互いに擦り合わせたりしています。 
残念ながら、後ろ姿では化粧シーンがよく見えません。 

次に、♀は立ち止まると、マウントした♂を後脚を使って払い落とそうと暴れ始めました。(@1:57〜) 
♂はじゃじゃ馬に乗ったロデオのように、♀から振り落とされまいと必死にしがみついたままで、交尾を続けます。(♂交尾器を挿入したまま。) 
農道を断続的に走り回った後で、再び♀が暴れ始めました。 
♀が激しく暴れても、♂の細い陰茎が折れたり外れたりすることはありませんでした。

ニワハンミョウ♀の大顎の先端が黒いので、獲物のアリをまだ咥えたままのように誤解しがちですが、正面からしっかり見ると何も食べていないことが分かります。 


また交尾中の♀♂ペアを見つけて新たに動画を撮り始めました。(@2:45〜) 
同一ペアの続きなのか、覚えていません。 
鞘翅の白紋を見る限り、同一ペアに見えます。 
しかし鞘翅の色が♀♂共に赤系なので、さっきとは別のペアのような気もするのですけど、光の当たる角度によって構造色の見え方が変わってくるのかもしれません。 

♀が♂との交尾を早く打ち切ろうと暴れているときに、左から別個体が乱入しました。 
1/5倍速のスローモーションでリプレイ。(@4:13〜) 
新参者のニワハンミョウは、鞘翅が緑色っぽくて、上唇や大顎が白っぽいので、どうやら♂のようです。 
てっきり「あぶれ♂」が乱入して♀の争奪戦が始まるかと期待したのですが、ニアミスしても何事もなく離れて行きました。 
交尾していること自体が、最強の配偶者ガードになっているのかもしれません。(あぶれ♂に勝ち目なし) 

♂を振り落とそうと暴れながら歩き続ける♀は、次に路上に落ちていたゴミを咥えたものの、数口咀嚼しただけですぐに吐き出して捨てました。(@5:53〜) 
アリのように素早く逃げる獲物が相手ですから、たとえゴミであっても、餌らしい物体を見つけたら、反射的に噛み付いて口に入れてしまうのでしょう(誤認捕食)。 
このゴミはもしかすると、別個体のニワハンミョウが吐き捨てた食べ残し(残渣)かもしれません。 
1/5倍速のスローモーションでリプレイ。(@5:58〜) 

路上を徘徊する交尾ペアと別の単独個体がまたすれ違いました。 
ニアミスしても小競り合いにはなりませんでした。 
1/5倍速のスローモーションでリプレイ。(@6:47〜) 
あまりにも一瞬のすれ違いで、相手の性別を見分けられませんでした。 
交尾中の♀♂ペアは、路肩の土壌がある地点に辿り着いてから、舗装路に引き返しました。 


【考察】
ニワハンミョウ♀♂の交尾行動は初見です。
交尾を早く打ち切りたい♀の行動と、必死で交尾を続ける♂が、ロデオを見ているようで面白かったです。
重い♂を背負ったままでは敏捷なアリを狩るのに邪魔(足枷)になりますし、鳥などの天敵(捕食者)に襲われたときも逃げ足が遅くなってしまいます。 
つまり♀にとって、いつまでも交尾を続ける♂は大迷惑です。

一方♂としては、たとえ♀と交尾できても自分の精子が確実に次世代に受け継がれるとは限りません。 
♀が産卵するまでライバル♂との浮気を防ぐ必要があり、交尾時間が長くなるのでしょう。 
昆虫の種類によっては、♂が前回に交尾したライバル♂の精子を♀の体内から陰茎を使って掻き出したり、自分の精子を大量に送り込んで精子置換したりしてする例が知られています。(ハンミョウも同じなのかどうかは、知りません。) 
つまり雌雄で繁殖戦略の思惑が異なるために、典型的な性的対立が生じます。

ニワハンミョウの♀♂ペアが交尾を解消して離れる瞬間まで見届けられませんでした。 
♀が獲物を咀嚼している間はおとなしく交尾を受け入れてくれるなら、♂が♀に求愛給餌する行動が進化してもよさそうな気がします。 
しかし、ハンミョウが狩ったばかりの新鮮な獲物しか捕食しないのだとしたら、無理ですね。 

次は求愛から交尾に至る過程を観察したいものです。



【アフィリエイト】 

2025/04/15

春の田んぼの畦道でくつろいでいた2羽のカルガモが飛び去るまで(野鳥)

 

2024年4月下旬・午後14:50頃・くもり 

耕耘する前の春の田んぼで私が農道を歩いていると、横の畦道で休んでいた2羽のカルガモAnas zonorhyncha)が慌てて立ち上がりました。 
私が立ち止まって動画を撮り始めると、カルガモは横目で油断なく私の方を見ています。 
カルガモと私の間には細い用水路が流れているので、結構近くてもカルガモはまだ安心なのでしょう。 

やがて警戒を解くと、右の個体はその場に座り込み、羽繕いをしました。 
左の個体も遅れて座り、眠そうに目をつぶるようになりました。 
しかしよく見ると、水平方向に目を閉じたことから、瞼ではなく瞬膜を閉じたと分かりました。 

急ぐ用事のあった私は、悠長に観察する時間がありませんでした。
動画を撮りながら、カルガモのペアの横を歩いて通り過ぎることにしました。 
予想通り、2羽のカルガモは警戒して飛び立ちました。 
羽ばたきながら左に旋回して見失いました。 
「鳴きながら(警戒声♪を発しながら)飛び去った」と野帳には書いてあるのですが、動画を見直しても鳴き声は風切り音で聞き取れません。 

飛び立つ瞬間を1/5倍速のスローモーションでリプレイ。(@1:23〜) 
左の個体が先に飛び立ち、右の個体もすぐに後を追います。

アナグマの旧営巣地に置いたキャットフードをホンドタヌキ3頭の群れが見つけ、1頭が独占して食べる【トレイルカメラ:暗視映像】

 



2024年4月下旬 

死んだニホンアナグマの旧営巣地(セット)で、交通事故に遭ったと思われる「いざりタヌキ」の下半身麻痺が進行して歩行困難となった姿が監視カメラに写っていました。 
 餌が取れなくなれば、餓死する(あるいは捕食される)しかありません。 


シーン0:4/22・午後13:00頃・晴れ(@0:00〜) 
私は原則として、野生動物の生老病死にヒトは一切介入すべきではないという立場なのですが、悩んだ末にキャットフードを持参して給餌してみました。 
浅い木箱に少量の乾燥キャットフードを入れて、巣口Lの近くの地面に置いてやりました。 
 「いざりタヌキ」の安否確認だけでも、したいところです。 

ところが給餌後に最初に現れたのは、イエネコでした。 
 関連記事()▶ アナグマの旧営巣地で給餌したキャットフードを食べるイエネコ【トレイルカメラ:暗視映像】 


シーン1:4/22・午後21:56(@0:16〜) 
猫と入れ替わるように、ホンドタヌキNyctereutes viverrinus)3頭の家族群がやって来ました。 
まず手前の獣道から来た2頭のタヌキがセットの匂いを嗅ぎ回っています。 
ネコの残り香が気になるのかな? 

しばらくすると、ようやく1頭が給餌箱の存在に気づいて、キャットフードを恐る恐る食べ始めました。 
その間に、右奥の二次林から別個体も登場しました。 
仲間が食べている給餌箱に近づいたものの、一緒に食べようとはせずに、遠慮して周囲をうろついています。 
体格はほぼ同じなのに、群れ内で力関係の順位性があるようで、下位の個体は順番待ちをしないといけないのでしょう。 
(それとも、早い者勝ちなのかな?) 
 通い慣れたセットにある日突然、見慣れない(不審な)餌箱が出現したので、2頭とも頻りに周囲を警戒しています。 


シーン2:4/22・午後21:56・気温12℃(@1:17〜) 
別アングルの監視カメラでも同時に撮れていました。 
先行個体aは、巣口Lに頭だけ突っ込んで匂いを嗅いでから左に立ち去りました。 
ようやく餌箱に気づいた個体bが、周囲を警戒しながらキャットフードをひとくち食べました。 別個体cが近寄ってきても、先客bに遠慮しているようで、一緒に食べようとはしません。 
 aが回り込んで左下から戻ってきたが、bが食べている餌には近づけない。 明らかな力関係がある。a<b 体格差も同じ。 
 bは妊娠している♀なのか? 
たまたま早い者勝ちで餌を見つけた個体bが独り占めできたのかな? 


シーン3:4/22・午後21:57(@2:17〜) 
タヌキbが餌箱を占有して乾燥キャットフードをボリボリと食べ続けている間、その周囲を2頭のタヌキがうろついています。 
音量を上げて耳を澄ませても、順番待ちをしているタヌキは物欲しげに餌乞いする鳴き声を発していませんでした。 
αの正面に回り込んで餌を食べようとしたら、餌を食べていたαタヌキが怒って威嚇しました。(@3:08〜) 
軽く吠えて(唸って)下位個体に突進したものの、噛み付きはしませんでした。 
αタヌキの剣幕に下位タヌキβ、γは怖がって退散しました。 
少し離れた位置から未練がましく様子を窺っています。(順番待ち)


シーン4:4/22・午後21:58(@3:17〜) 
別アングルの監視映像に切り替えます。 
 αタヌキがキャットフードを食べている間に、下位の2頭β、γが周囲を別々にうろついています。 
手持ち無沙汰で巣口Lの匂いを嗅いだり、座り込んで毛繕いしたりしています。 
餌のお預けをくらった個体が、欲求不満を解消するための転移行動なのでしょう。 


シーン5:4/22・午後21:59(@4:17〜) 
つづき。 


シーン6:4/22・午後22:00(@5:17〜) 
順番待ちをしていた個体のうち1頭βが餌箱のすぐ横まで近づいても、ようやくαから攻撃されなくなりました。 
キャットフードを独り占めしていたα個体が満ち足りてきたのでしょう。 
しかしβ個体はまだ餌箱から直接食べることは許されていないのか、怯えたようにちょっと走って左に離れました。 


シーン7:4/22・午後22:01(@6:17〜) 
別アングルからの映像。 

餌を専有するタヌキαがよそ見をしているときでも、近寄ってきたβは餌箱から盗み食いしたりしません。 
βはキャットフードの匂いを嗅いだだけで、なぜか怯えたようにパッと右に離れました。 
このときαは特に攻撃的な占有行動をしてませんし、威嚇の唸り声も発ていませんでした。 
餌を1頭が独り占めしているように見えたのは、群れ内の力関係を反映しているのではなく、警戒心が強いか薄いかという個体差の結果でしかないのかもしれません。 


シーン8:4/22・午後22:02(@7:17〜) 
タヌキの群れがセットから居なくなっていました。 
餌箱も忽然と消えていたので、1頭が餌箱ごと咥えて持ち去ったようです。 
その瞬間を動画に撮り損ねたのは残念です。 
右上奥の暗闇でタヌキの白く光る目が右往左往しています。 

※ 動画の一部は編集時に自動色調補正を施しています。 



【考察】 
登場したタヌキ3頭の性別だけでも知りたいものです。 
ホンドタヌキでは雌雄で体格差(♀<♂)があるらしいのですが、その性差は小さくて見分けるのが難しいとのこと。
この3頭はおそらく核家族(♀♂ペアと子供のヘルパー)で、キャットフードを独り占めしたα個体は妊娠中の♀ではないかと、私は勝手に推測しています。
つまり、お預けを食っていた2頭はパートナーの♂と子供(ヘルパー♀?)だろう、という予想です。
3頭の予想される力関係を表すと、
α:母親♀(妊娠中)>β:父親♂>γ:子供(ヘルパー)
タヌキの社会構造は基本的に単独性が強いため、オオカミやイヌなど群れ内の順位性が歴然としているわけではありません。
ただし、家族単位で行動する場合には、親ダヌキ(特に母親♀)が子供より優位に立つことが一般的です。

たまたま早い者勝ちで餌を食べ始めて他の個体を追い払った、という解釈もあり得るでしょうか?
タヌキの餌場での行動は必ずしも順位性に基づくものではなく、一時的な優位性(例えばその場での積極性や警戒心の強さ)による場合もあります。
餌を1頭が独り占めしているように見えたのは、群れ内の力関係を反映しているのではなく、警戒心が強いかどうかという個体差の結果でしかないのかもしれません。 

この3頭は親子ではなく、前年に産まれたタヌキの3兄弟(姉妹)が4月下旬になっても採餌行動を共にしている可能性はありえるでしょうか? 
4月下旬という時期だと、特に♂の兄弟は既に分散して新たな縄張りを築いているはずなので、その可能性は低いです。

給餌したキャットフードを健常個体のホンドタヌキが食べてしまった(持ち去ってしまった)ので、仮に「いざりタヌキ」が生存していたとしても、食べることができなくなりました。 
麻痺した下半身を引きずりながら、後からやって来たとしても、強者が独り占めする餌箱に近づくこともできなかったでしょう。
思いやりをもったヒトが弱者優先で給餌しようとしても、近くの強者に餌を奪われてしまうのが常です。
これは「ふれあい牧場」の給餌体験などで、誰しも経験したことがあるはずです。
「いざりタヌキ」は行方不明のままですが、おそらく巣穴Lの奥で餓死したのだろうと予想しています。

つづく→

2025/04/12

砂防堰堤で羽毛を整え頭を掻いてから飛び去るキセキレイ♂(野鳥)

 

2024年4月下旬・午後14:05頃・くもり 

里山の山麓で、沢の水をせきとめる砂防ダムが最近新たに建造されました。 
下山してきた私がその新しい砂防ダムに近づくと、水辺から岸に1羽のキセキレイ♂(Motacilla cinerea)が飛び上がりました。 
喉が黒いので、夏羽の♂と分かります。 
それまで飲水・水浴していたのか、ただ探餌を探していたのか、それとも砂防堰堤の穴で営巣しているのかな? 

砂利の上で尾羽を上下に動かしながら胸の羽毛を嘴で整え、痒い頭を左足で掻きました。 
チチン♪と鳴きながら飛び去りました。 
羽繕い後に飛び立つ瞬間を1/5倍速のスローモーションでリプレイ。 

※ 鳴き声が聞き取れるように、動画編集時に音声を正規化して音量を強制的に上げています。

春の夜にアナグマの旧営巣地に集まり相互毛繕いする3頭のホンドタヌキ【トレイルカメラ:暗視映像】

 




2024年4月下旬・午後20:37・気温12℃ 

平地の二次林で死んだアナグマの旧営巣地(セット)にホンドタヌキNyctereutes viverrinus)の家族群と思われる3頭が一緒に現れました。 


シーン1:4/21・午後20:37・気温12℃(@0:00〜) 
晩に左から来た先行個体のタヌキaが頭から巣口Lに上半身を突っ込んで、内部の匂いを嗅いでいます。 
ただし完全に巣内Lへ侵入することはなく、後ろ向きで外に出てきました。
交通事故で下半身が麻痺した「いざりタヌキ」が巣穴Lの奥で餓死しているのではないかと私は疑っています。
野生動物の訪問者はその死臭が気になるようですが、決して巣内に入って本格的に調べようとはしません。
続けて後続個体bが巣口Lの手前で座り込み、毛繕いを始めました。 


シーン2:4/21・午後20:38・気温13℃(@1:00〜) 
つづきが別アングルに設置した監視カメラで撮れていました。 
実は3頭のタヌキが同時にセットに来ていたことが分かります。(@1:04〜) 

先行個体aが巣口Lを点検中に、右から来た後続個体bが巣口Rの横で立ち止まり、自分の体毛を整えています。 
出巣Lしたaと鼻面を突き合わせて挨拶してから、bは巣口Lを見下ろすように座り、痒い体を後足でボリボリ掻きました。 
この2頭は体格差があります(a>b)。 
♀♂ペアなのか、それとも親子なのか、気になります。 

aが奥の林内に入って行くと、殿の個体cが入れ替わるようにセットに登場しました。 
aとcが一緒に並んで巣口Rの匂いを嗅いで点検します。 


シーン2:4/21・午後20:39(@2:02〜) 
タヌキbは巣口Lの匂いを嗅いでから、左へ(巣口Rへ)向かいます。 


シーン3:4/21・午後20:39(@2:24〜) 
つづき。 
3頭のタヌキが巣口Rで合流すると、長々と仲良く相互毛繕いしています。 
1頭が奥の二次林へ向かったところで録画終了。 


シーン4:4/21・午後20:41(@3:24〜) 
しばらくすると、左から戻ってきたタヌキが巣穴Lに顔を突っ込んで内部の匂いを嗅いでいます。 
その後は自分の尻尾の根本を甘噛みし、毛繕い。 
手前へ立ち去りました。 

ところで、春の夜の二次林内で風に舞っている白い粉はスギ花粉ですかね?(雪ではないはず。) 
関連記事(20日前の昼間に撮影)▶ 春風で飛散するスギの花粉【トレイルカメラ】風媒花 


シーン5:4/21・午後20:42(@4:18〜) 
つづきが別アングルの監視映像に撮れていました。 
最後のタヌキがのそのそ歩いて、奥の林内へ立ち去りました。 


※ 動画の一部は編集時に自動色調補正を施しています。 


2025/04/11

カルガモの♀♂つがい外強制交尾と配偶者ガード(野鳥)

 

2024年4月下旬・午後16:20頃・くもり 

平地の溜池の方から、激しい水音が聞こえました。 
水鳥が夕方に水浴しているのかと思ってそっと近づいてみると、3羽のカルガモAnas zonorhyncha)が水面で激しい喧嘩を繰り広げていました。 
普段カルガモは警戒心が強いのですが、今回は痴話喧嘩に夢中で、池畔で観察する私のことなど眼中にありませんでした。 

外見によるカルガモの性別判定は難しくて、私はまだスローモーションにしないと自信がないのですが、どうやら1羽の♀を巡って2羽の♂が交尾しようと争っているようです。 
【参考サイト】

正確には、♀♂ペアの間にあぶれ♂が割り込んで、強引に♀と婚外強制交尾を試みているようです。 
つがい外交尾:extra-pair copulation
強制交尾:forced copulation
つまり、♀aと強引に交尾しようとする♂bと、それを阻止しようとする(配偶者ガード)♂aとが激しく争っているのです。 
♀♂異性間の交尾行動の後半部分と、♂♂同性間の闘争行動とが似ていて紛らわしいです。 
ただし、カルガモの♀♂ペアが両性同意のもとで交尾する前には、必ず儀式的な行動をします。 
今回のあぶれ♂は、そのような求愛ディスプレイをまったくしないで、いきなり♀に背後からマウントしていました。 
関連記事(5、6年前の撮影)▶  
八木力『冬鳥の行動記:Ethology of Wild Ducks』でカモ類の交尾行動を調べると、 交尾には♀との合意が必要なので、♂が♀に近づきながら頭部を上下させるヘッドトッシングを行なって交尾を促し、これに♀が同調して頭部を上下させれば同意の合図。  ♀は交尾受け入れの姿勢をとります。♂は♀の後頭部をくわえてマウンティング。  交尾終了後、♀は必ず(儀式的水浴びと)転移性羽ばたきを行ない、♂はまれに行なうことがあります。 (p58より引用)


カルガモ♂aは配偶者♀aを守りたくても、ライバルの独身♂bを撃退するのに苦労しています。 
カルガモの嘴の先端は丸く、敵をつついて攻撃することはありません。 
足にも鋭い爪が無くて水かきしかないので、有効な武器をもっていないのです。
羽ばたく翼で相手を打ち付けたり、(異性間交尾のように)背後からマウントして相手の後頭部を嘴で咥えて押さえつけて、強制交尾を妨害するぐらいしか対抗策がありません。 
そのため、ひたすら体力勝負の消耗戦が続きます。

♀aに♂bが背後からマウントし、その上から更に♂aがのしかかるので、一番下に押さえつけられた♀aは重みで水没しています。 
♀aが何度も溺れそうになっているので、擬人化するとどうしても可哀想に感じてしまいます。 
しかしカルガモには表情がありませんから、♀aが本当に嫌がっているかどうか、定かではありません。 
(♀は意外とケロッとしているように見えなくもありません。)
酷い目にあっているのなら、♂同士が喧嘩している間に♀は池からさっさと飛び去って遠くへ逃げればいいのに、池に留まっているのが不思議でなりません。 
交尾相手の♀を巡る争いなら♂同士でとことん喧嘩するはずだと思うのですが、あぶれ♂は執拗に♀だけを狙って挑みかかります。
我々ヒトの価値観・倫理観では卑怯な振る舞いですけど、進化的に遠く離れたカルガモに無理に適応して憤慨しても仕方がありません。 
もし♀が辟易して逃げ出せば、パートナー♂もついて行かざるを得なくなり、縄張りを失いかねません。
「カルガモ♀は♂同士を密かにけしかけて喧嘩で決着を付けてもらい、より強い♂と交尾したいのではないか?」と穿った見方をしたくなります。 
あるいは、♀はパートナー♂の近くに留まった方が、あぶれ♂の執拗なハラスメントから守ってもらえる確率が高いのでしょうか。

この池にはカルガモの群れがもっと居るのですが、この騒ぎに乱入する個体はおらず、関係のない個体は飛んで逃げ出しました。 
初めは2組の♀♂ペアが池で縄張り争いをしているのかと思い、ライバル♂bのパートナー♀bが途中で助太刀に来るかと期待したのですが、そのような展開(4羽での喧嘩)にはなりませんでした。
喧嘩に巻き込まれそうになった周囲のカルガモ個体が慌てて逃げていくだけです。 

ようやく、♀aに付きまとうあぶれ♂bをパートナー♂aが背後から完全に組み伏せて♀を離させ、追い払いました。 
♂同士の喧嘩に決着が付いたように見えました。
しかし、「あぶれ♂b」は隙を見て再び♀aに突進すると、しつこく強制交尾を試みようとします。 

ようやくあぶれ♂bを追い払って配偶者ガードに成功したパートナー♂aは、水面で小刻みに方向を変えながら♀aの周囲を警戒し、勝利の凱歌を上げています。
短く連続的な「ガッガッガッ♪」という鳴き声は、縄張り宣言の示威行動なのだそうです。 
このとき鳴くのはいつも♂aだけで、♀aは黙っています。 
難を逃れた♀aは、♂aの斜め後ろをぴったり寄り添うように追随し、嘴を水面につけながら遊泳しています(緊張緩和の転移行動)。 
やがて♀aは水浴してから水面で伸び上がって羽ばたき(水切り行動)、自分で羽繕いを始めました。 
それに釣られるように、♂aも隣で同じく水浴と羽繕いを始めました。(♀a♂aペアの絆強化) 

♀a♂aペアが仲良く横に並んで水面を泳ぎ去りました。 
これで一見落着かと思いきや、♀a♂aペアの背後からしつこい「あぶれ♂b」が急いで追いかけてきました。(@4:10〜) 
敵の接近に気づくと一触即発で、3羽がほぼ同時に水面から慌てて飛び上がりました。 (@26:20〜)
すぐに着水すると、三つ巴の大騒動が再び勃発します。 
襲われた♀aは、緊急避難のため自発的に潜水しました。 
しかし独身♂bがすぐに背後から追いかけ、2羽ともしばらく水中に潜っていました。 
再び水面に浮上したときには、あぶれ♂bが♀aを掴まえて背後からマウントしていました。 
♀aを見失っていたパートナー♂aがようやく気づいて慌てて駆けつけ、救出を試みます。 
喧嘩に決着がついて、あぶれ♂bが少し飛んで逃げました。

配偶者ガードに成功した♂が、興奮したように勝利の鳴き声♪を上げながら水面を忙しなく泳ぎ回ります。 
パートナーの♀がすぐに駆けつけ、パートナー♂の斜め背後に寄り添うように遊泳します。
♂に付き従う♀は、尾羽を左右にフリフリしながら、嘴を水面に付けて遊泳しました(緊張緩和の転移行動)。 
それが♀による求愛ポーズなのかと思ったのですが、♂aは♀aを見ていません。 
♀aは水面で伸び上がって羽ばたき(水浴行動の省略)、パートナーの♂aに見せつけるように自分で羽繕いを始めました。 
♂aはようやくパートナー♀aに向き合ったものの、まだ興奮が収まらず、小声で鳴き続けています。 



一連の騒動を1/5倍速のスローモーションでリプレイ。(@5:20〜)
後頭部から首の後ろを通る黒い縦筋模様が♀では薄れかけていて、それが目印になります。
繁殖期の♀は背後から♂に繰り返しマウントされて、その度に後頭部や首筋を嘴で噛まれますから、黒い羽毛がどんどん抜けてしまうのでしょうか?
あぶれ♂bの後頭部を嘴で咥えた♂aが羽根をむしり取ることもありました。
この「黒いたてがみ」に注目すると、3羽の個体識別ができそうです。

少し離れた相手に急いで襲いかかるときは、左右の翼を水面に同時に打ち付けながら両足で交互に水を蹴って進みます。 


※ 水飛沫の音や鳴き声が聞き取れるように、動画編集時に音声を正規化して音量を強制的に上げています。 



【考察】
カルガモの繁殖期は通常4~7月です。 
今回観察した4月下旬は、ペア形成が完了して巣作りおよび産卵を開始する前の時期に相当します。 
カルガモの♂は育雛(子育て)には全く参加しませんが、造巣の段階では♀に協力し、抱卵中の♀を警護するらしい。 
婚外強制交尾は巣作り前の時期(4〜5月)に頻発し、産卵開始後は激減するらしい。 
カルガモ♀が巣作りを開始する直前になると、パートナーの♂は特に警戒行動を強め、配偶者ガードを強化するそうです。 

カルガモは社会的単婚(一夫一婦制)を形成しますが、DNA検査で調べると婚外交尾も一定の割合で行われているらしい。
今回の調べ物で初めて知ったのですが、鳥類にしては珍しくカモ類の♂は螺旋型の長い陰茎をもつそうです。(参考サイトにすばらしい図解が掲載されています。)
短時間の交尾の際に、♀と前に交尾したライバル♂の精子を物理的に掻き出した上で自分の精子で置換するらしい。
また、強制交尾した♂が必ずしも次世代を残せるとは限らないそうです。
♀が複雑な形状の生殖器内で♂の精子を選別しているらしく、強制交尾した♂の精子は使われないことが多いそうです。
つまり、あぶれ♂の強制交尾がたとえ成功しても、寝取られた元の♀♂ペアは別れずに済むらしい。
精子競争の観点でもカルガモの配偶行動は奥が深くて、とても面白いです。

水面で激しく動き回る3羽のカルガモをしっかり個体識別できていないので、本当に配偶者ガードに成功したのか、それとも「あぶれ♂」による婚外強制交尾が成功したり♀を強奪できたのか、判断できません。 
しかし、池に残った♀♂ペアの行動から、独身♂による強制交尾は失敗に終わったと思われます。 
交尾に成功したペアが必ずやる儀式的行動(♂が「首反らし→円形泳ぎ」をする間に、♀が羽ばたきで水をかける)が見られなかったからです。
参考サイト:カルガモ 交尾行動
また、あぶれ♂による強制交尾が成功していれば、パートナー♂がただちに対抗して♀と再交尾を行い、精子を置換するはずです。

カルガモは身近にいる普通種の水鳥ですが、造巣行動や抱卵などを私はまだ観察できていません。
今回の撮影で、繁殖期の重要なミッシング・リンクがようやく一つ埋まりました。

今回の記事をまとめるにあたり、Perplexity AIを使った調べ物やブレイン・ストーミング*1 、*2 、*3)がとても役立ちました。
おかげで、動画に撮ったカルガモ3羽の行動をすっきりと(正しく?)解釈することができそうです。
Perplexityの助けがなければ、3羽のカルガモによる激しい乱闘はただ混沌としていて、素人には何がなんだかさっぱり理解できませんでした。
新たに勉強したことが多くて、AIに要約してもらおうか迷ったのですが、脳が退化しないように、なるべく自力で記事をまとめるように心がけました。
この記事が分かりにくかったら、私の責任です。



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2025/04/10

死んだ個体の営巣地に通いスクワットマーキングで縄張り宣言するニホンアナグマ♀【トレイルカメラ】

 




2024年4月下旬〜5月上旬 

平地の二次林で死んだニホンアナグマMeles anakuma)の旧営巣地(セット)の監視を続けていると、遂に♀のアナグマが現れました。 


シーン1:4/29・午後15:27・くもり・気温25℃(@0:00〜) 
獣道を右奥から来たアナグマ♀が、巣口Lの匂いを嗅いでいました。 
少し左に歩いて、巣口Rの手前でちょっと座り込みました。 

毛皮が焦げ茶色の個体でした。 
腹面に乳首は見えません。 
左の首筋にある小さな白斑は交尾痕なのかな? 


シーン2:4/29・午後15:27・くもり・気温26℃(@0:14〜) 
別アングルに設置した監視カメラでも撮れていました。 
巣口LRの中間地点で座り込んでから、右奥の林内へ向かいました。 獣道で立ち止まると、尻を擦りつけてスクワットマーキングしました。 
匂い付けのシーンを1.5倍に拡大した上でリプレイ。 
奥の林床に座り込んで痒い体を頻りに掻いていますが、オニグルミ立木の陰になってよく見えません。 


シーン3:5/1・午前10:02・くもり・気温13℃(@1:14〜) 
2日後も明るい昼間にアナグマ♀がやって来ました。 
身を翻して右奥の林内へ入ると、獣道の途中で(いつもの地点で)スクワットマーキングしました。 
獣道を引き返してから、セットの手前の林縁で再びスクワットマーキング。 

通りすがりに巣口Lのアクセストレンチの匂いを嗅いで行きました。 


シーン4:5/1・午前10:17・くもり・気温13℃(@2:02〜)
 15分後に同一個体が小走りでセットに戻ってきたようです。 


シーン5:5/1・午前10:17・くもり・気温13℃(@2:15〜)
林内の獣道でスクワットマーキングして行きました。 


【考察】 
この営巣地で越冬していたアナグマ個体が早春に死んで以来、今年の繁殖期にここで出産・育児をしたアナグマ♀個体はいません。 
♂個体が交尾相手を探し求めて春に何度も出没しているのですが(夜這い♂)、♀が現れたのはこれが初めてです。 

このアナグマ♀が幼獣を連れてここに引っ越してくるつもりなら、巣穴に潜り込んで内検したり巣材を搬入したりするはずです。 
しかし、巣穴Lの奥にはホンドタヌキの腐乱死骸があるのではないかと私は疑っていて、その処分(事故物件の特殊清掃)をどうするのかが大問題です。 
アナグマ♀は縄張り内に複数の巣穴を持っているらしいのですが、巣内で寄生虫の蔓延を防ぐために、同じ巣穴で毎年続けて出産・育児をしないようにしているのだとしたら、とても興味深いです。(連作障害を避けてローテーション) 


2025/04/08

花が咲いたボケの枝先で巣作りに適した場所を探すセグロアシナガバチ創設女王

 

2024年4月中旬・午後14:30頃・晴れ 

道端で赤い花が咲き始めたボケ(木瓜)の灌木にセグロアシナガバチ♀(Polistes jokahamae)が訪花していました。 
この時期はワーカー♀ではなく、越冬から目覚めた創設女王ですね。 
吸蜜していたようですが、しっかり接写する前に化粧(身繕い)してから飛び立ってしまいました。 

女王蜂は少し飛んだだけで、その後は緑の若葉が芽吹いたボケの枝先を丹念に調べていました。 
ボケの枝葉にはまだイモムシ類が居ないので、獲物を探索する狩りモードではなさそうです。 
どうやら女王蜂が初期巣を作り始める場所を探しているのだと分かりました。 
クロアリ(種名不詳)が往来する枝先は嫌がってすぐに離れます。 
アシナガバチにとって最大の天敵はアリだからです。 

別の枝先では緑色のクモとニアミスしたのですが、クモの方がセグロアシナガバチ♀を怖がって葉裏に隠れてしまいました。 
クモの正体は初めハナグモかと思ったのですが、おそらくサツマノミダマシNeoscona scylloides)のようです。 
造網性のクモですから、徘徊性のクモのように獲物を待ち伏せしていた訳ではありません。 




2025/04/07

化粧してから落ち葉の下に隠れて休むオオマルハナバチ創設女王

 

2024年4月中旬・午後12:35頃・晴れ 

里山で稜線上の山道を縦走していると、オオマルハナバチ♀(Bombus hypocrita)を見つけました。 
この時期だとワーカー♀ではなく、越冬から目覚めた創設女王が独りで営巣適地を探索しているのです。 

枯葉の上に乗った女王蜂は、長い口吻を出し入れしながら身繕いを始めました。 
後脚にある空荷の花粉籠がよく見えます。 
手前の落枝が撮影の邪魔(目障り)なので、私が動画を撮りながら横に少しずれようとしたら、落ち葉を踏む音に警戒した蜂は落ち葉の下に潜り込んでしまいました。 
そこが営巣地の入口なのかと思ったのですが、オオマルハナバチ女王の静止した脚の先端だけ覗いて見えているので、ただ隠れただけのようです。 




山登りで標高が上がると、平地性のクロマルハナバチから山地性のオオマルハナバチへと優占種が見事に(図鑑に書いてある通りに)交代する様子が分かります。 
両種が混棲するエリアもあります。

2025/04/05

ボケの開花を待ち切れずに赤いつぼみで採餌を試みるセイヨウミツバチ♀【ハイスピード動画】

 



2024年4月中旬・午後14:25頃・晴れ 

赤い花を咲かせるボケ(木瓜)の品種に訪花するセイヨウミツバチApis mellifera)のワーカー♀を240-fpsのハイスピード動画で撮っていたら、興味深い行動が撮れました。 
花だけでなく、未開花のつぼみにも訪れて念入りに調べていたのです。 
後脚の花粉籠は空荷の個体でした。 
セイヨウミツバチ♀は前脚で顔や触角を拭って身繕いすると、ようやく諦めて蕾から飛び去りました。 

セイヨウミツバチ♀は、まだ固く閉じている花弁をこじ開けて侵入しようとしているのでしょうか。 
それとも蕾に穿孔して、蜜腺から直接盗蜜しようとしているのかもしれません。 
ボケの花がまったく咲いていない蕾だけの時期ならともかく、同じボケの木で花がすでに多数咲いているのに、どうして蕾に執着するのか、理解に苦しみます。 
開花直前の蕾は花蜜が最も豊富なのでしょうか。 
ボケは鳥媒花と言われていて、花にも蕾にも虫を誘引する芳香はありません。 (少なくとも私の嗅覚では無臭)
ミツバチを誘引するフェロモンに分子構造がたまたま似ている未知の化学物質をボケの蕾が密かに分泌しているとしたら、面白い話です。

ちなみに、ミツバチと入れ替わりで別種のハナバチが飛来しました。 
触角が長く、頭楯が白い蜂です。 
なんとなくツツハナバチですかね?(当てずっぽうのボケをかましてみました。)

2025/03/31

春の刈田でキジ♂が勇壮な母衣打ち♪を披露するまで(野鳥)

 

2024年4月中旬・午後14:55頃・くもり 

田起こし前の刈田で、キジ♂(Phasianus versicolor)がケンケーン♪と鳴く声がしました。 
鳴き声の主を探すと、雑草が生えた原っぱ(刈田)で採食中のキジ♂を発見。 
次の母衣ほろ打ちを記録しようと、動画に撮り始めました。 

採食中にときどき頭を上げて首を伸ばし、周囲を警戒しています。
しばらくすると、胸の羽毛を嘴で整えて羽繕いを始めました。 
 最後にようやくケンケーン♪と大声で絶叫しながら、勇壮な母衣打ちを披露してくれました。
鳴き声が風切り音にかき消されそうなのが、残念です。 
その後は何事もなかったように、採食に戻りました。 
隣の縄張りから別個体のキジ♂が鳴き返す声は聞き取れませんでした。 

キジ♂の母衣打ちを1/5倍速のスローモーションでリプレイすると(@3:12〜)、素早く羽ばたいた回数は2+10回でした。 
この回数には個体差があります。 
母衣打ちで羽ばたく回数の多い♂を♀が交尾相手として選んでいるとしたら、面白いですね。(ただの妄想です)

カメラのバッテリーを使い切る寸前で赤いマークがカラータイマーのように点滅していたので、キジ♂が鳴く前兆を示すまで(立ち止まって背伸びをするまで)撮影を中断して見守りました。 
なんとかギリギリ動画に撮れました。 

気迫の籠もった母衣打ちを見ると、いつも感動します。 
春はキジの繁殖期で、♂は縄張り宣言を頻繁に(定期的に)繰り返しています。 
長くても5〜6分間辛抱して長撮りすれば、誰でも母衣打ちシーンを撮れますので、機会があればトライしてみてください。

2025/03/28

死んだアナグマの営巣地が気になり昼も夜も訪れるイエネコ(キジトラ白足袋)【トレイルカメラ:暗視映像】

 

2024年4月中旬〜下旬

シーン0:4/10・午後14:06・晴れ・気温30℃(@0:00〜) 
シーン0:4/10・午後14:26・晴れ・(@0:04〜) 
明るい昼間にたまたま撮れた現場の状況です。 
平地の二次林で、越冬中に死んだニホンアナグマMeles anakuma)の営巣地(セット)を2台のトレイルカメラで監視し続けています。 
春になって落葉樹の若葉が芽吹き始めました。 

この時期なぜか頻繁に出没するようになったイエネコFelis silvestris catus)の映像をまとめました。 


シーン1:4/14・午後20:58・気温15℃(@0:07〜) 
右から来た猫が巣口Rの横に座り込むと、キョロキョロと辺りを見回しています。 
監視カメラの存在にも気づいたようで、カメラ目線でしばらく凝視しました。 
巣口Rをちらっと見下ろしたものの、あまり興味を示しませんでした。 

暗視動画はモノクロですけど、この個体の体色模様はおそらくキジトラですね。 
足先だけ白く目立ち、まるで白足袋(または白い靴下)を履いているようです。 
この特徴があれば、個体識別ができそうです。 
この個体を「キジトラ白足袋」と名付けることにしました。 

近所の民家で飼われているイエネコが夜の散歩で遠征しに来たのでしょう。 
外見で性別を見分けられませんが、春はネコも交尾期ですから、雄猫♂が交尾相手の雌猫♀を探し求めているのかもしれません。 

やがて立ち上がると、手前に向かって立ち去りました。 


シーン2:4/16・午前3:05・気温8℃(@1:07〜) 
2日後の未明にも、同一個体と思われるキジトラ白足袋が現れました。 
巣口Rを見下ろして匂いを嗅いでから左の巣口Lへ向かいました。 
その動きに反応して、対面に設置した別のトレイルカメラが起動しました。 
巣口Lに顔を突っ込んで長々と匂いを嗅いだものの、巣内には侵入しませんでした。 


シーン3:4/16・午前3:05・気温7℃(@1:46〜) 
別アングルの監視カメラで撮れた映像です。 
左から来たキジトラ白足袋が巣口Lに顔を突っ込んで頻りに匂いを嗅いでいます。 
巣穴Lの奥で「いざりタヌキ」が餓死しているのではないかと私は疑っているのですが、その死臭をネコも嗅ぎつけたのかもしれません。 
あるいは、野ネズミが巣穴Lに住み着いていて、猫はそれを狩ろうと通い詰めているのかもしれません。 
その後も巣口Lに佇んで周囲を警戒しています。 


シーン4:4/16・午前3:06・(@2:46〜) 
左へ立ち去りました。 
足先が4本とも白いことがよく分かります。 


シーン5:4/16・午前3:06・(@2:54〜) 
続きが別アングルの監視カメラで撮れていました。 
巣口Rに生えたマルバゴマキ灌木の根元の匂いを嗅いでから、巣口Rを覗き込んでいます。 
その巣口Rをピョンと飛び越えると、右奥の林内に入って行きました。 

立ち止まって振り返ると、暗闇に猫の白い目がギラギラと光って見えます。 
夜行性動物の網膜の奥にあるタペータム層がトレイルカメラの赤外線を反射しているのです。 


シーン6:4/16・午後17:27・くもり・気温22℃(@3:33〜) 日の入り時刻は午後18:19。 
まだ明るい夕方に、キジトラ白足袋が左からやって来ました。 
自然光下で見て、体色の模様がしっかり確認できました。 

アクセストレンチから巣口Lに忍び寄ると、トンネルの奥を覗き込んでいます。 
中に入ろうとはせず、左へ戻って行きました。 


シーン7:4/16・午後17:27・くもり・気温23℃(@4:04〜) 
続きが別アングルの監視カメラで撮れていました。 
次は巣口Rに回り込んでから、奥を覗き込んでいます。 
その場で毛繕いを始めました。 

周囲を警戒してから右へ立ち去りかけたものの、広場の右端で座り込んで右を凝視しています。 
辺りで鳴き騒いでいるカラスを警戒しているのかもしれません。 


シーン8:4/17・午前5:04・気温10℃(@5:03〜)日の出時刻は午前4:58。 
日の出直後でもまだ暗いらしく、監視カメラが暗視モードで起動しました。 
右から来たキジトラ白足袋が巣口Lに忍び寄ると、その奥を覗き込んでいます。 

猫が立ち去る際に、キジ♂(Phasianus versicolor)が隣接する農地でケンケーン♪と鳴く大声が聞こえました。(@5:34〜) 


シーン9:4/17・午前5:04・気温10℃(@5:40〜) 
続きが別アングルの監視カメラで撮れていました。 
巣口Lを覗き込んで匂いを念入りに嗅いでいます。 
キジ♂が母衣打ちで縄張り宣言する鳴き声は(@6:08〜)。 
猫が野生のキジを獲物として狩ることはあるのでしょうか? 
しかし、このイエネコ個体はキジ♂の鳴く声を聞いても狩りモードに入るどころか、巣口L横の獣道に座り込んで左後足で痒い顔を掻きました。 


シーン10:4/19・午前5:12・雨天・気温8℃(@6:40〜)日の出時刻は午前4:55。 
2日後の小雨が降るまだ暗い早朝に、いつものキジトラ白足袋が現れました。 
今回は2つの巣口R、Lの横を素通りしました。 


シーン11:4/19・午前5:12・雨天・気温9℃(@6:56〜) 
続きが別アングルの監視カメラで撮れていました。 
巣口Lの点検をしないで、奥の獣道を右へ立ち去りました。 


シーン12:4/20・午後12:50・晴れ・気温28℃(@7:22〜) 
翌日の昼下がりにも、キジトラ白足袋が参上。 
忍び足で右に立ち去りかけたものの、画面の右端に座り込みました。 
やがてその場にゴロンと横臥して、自分の足を舐めました(毛繕い)。 
アナグマの旧営巣地で猫がこれほどリラックスして長居するということは、この時期は誰も住んでいないのでしょう。 


シーン13:4/20・午後12:52・晴れ・気温29℃(@8:15〜) 
右端に居座っていたキジトラ白足袋がようやく左下手前に立ち去る姿が写っていました。 


シーン14:4/21・午前10:35・くもり・気温24℃(@8:42〜) 
翌日も昼前に登場。 
獣道を右から来たらしく巣口Lの横を素通りして左へ向かいます。


シーン15:4/21・午前10:35・くもり・気温22℃(@8:49〜) 
続きが別アングルの監視カメラで撮れていました。 
巣口Rを跨いで右へ向かうと、広場の右端に座り込んで右をじっと見据えています。 
近くの植林地で伐採作業をするチェーンソーの騒音が響き渡っているので、猫は警戒しているようです。 
最後にようやく立ち上がって右へ歩き出しました。 


※ 動画の一部は編集時に自動色調補正を施しています。


【考察】
同一個体のイエネコが死んだアナグマの旧営巣地に昼も夜も頻繁に現れるようになりました。
春は猫の交尾期でもありますから、♀を探し求める雄猫♂なのかもしれません。
あるいは野ネズミなどの獲物を狩ろうと探索しているのでしょうか。

猫は2つの巣穴のうち巣口Lに興味を示し、顔を突っ込んで頻りに匂いを嗅いでいます。
巣穴Lの奥深くで下半身の麻痺した「いざりタヌキ」が餓死したのではないかと私は疑っているのですが、その死臭をネコも嗅ぎつけたのかもしれません。
しかし猫が巣穴Lに侵入することは一度もありませんでした。
イエネコは肉食獣ですが、一般的に自分で狩った新鮮な獲物しか食べず、よほど飢えていない限り死骸の腐肉を食べることはありません。

しかし後半になると、猫は巣口への興味を失ったようで、匂いを嗅いだりしないで素通りするようになりました。

キジトラ白足袋は営巣地の端に座り込んで、のんびり長居するようになりました。
アナグマの旧営巣地で猫がこれほどリラックスして長居するということは、この時期は誰も住んでいないのでしょう。 
アナグマの死後にタヌキの♀♂ペアがこの巣穴を乗っ取るかに見えたのですが、結局は住み着かなかったようです。
(巣穴が腐乱死体で汚染されて事故物件になったから忌避した?)





2025/03/26

鳥媒花のボケで採餌するセイヨウミツバチ♀【FHD動画&ハイスピード動画】

 

2024年4月中旬・午後14:20頃・晴れ 

山麓の農村部で道端に植栽されたボケ(木瓜)の赤い花にセイヨウミツバチApis mellifera)のワーカー♀が何匹も集まって訪花していました。 
早春に咲くボケは典型的な鳥媒花のはずなのに、昆虫の送粉者が訪花していたことに驚愕し、とても興奮しました。 
関連記事(4、5年前の撮影)▶  

後脚の花粉籠が空荷の個体もいれば、黄色い花粉団子を付けて運んでいる個体もいます。 
のどかな農村部は静かなので、耳を澄ますと蜂が飛び回る羽音がかすかに聞こえます。 
キジ♂がケンケーン♪と母衣打ちする鳴き声もかすかに聞こえました。 

ときどき2匹のミツバチが同じボケの花でニアミスすることがありました。 
どうやら同じコロニーから来た仲間のようで、1/5倍速のスローモーションでリプレイしても小競り合いや占有行動は見られませんでした。 

ボケの花から飛び立つ瞬間を狙って、240-fpsのハイスピード動画でも撮ってみました。(@2:22〜) 
訪花の合間に空中でホバリングしながら左右の脚を擦り合わせています。 
体毛に付着した花粉を身繕いでまとめて、後脚の花粉籠に移すのです。 


【考察】
この時期の虫撮り動画で一番興奮した大事件です。
図鑑や送粉生態学の教科書に書かれている「ボケは典型的な鳥媒花である」という定説に対する反例が撮れました。 
ミツバチの視覚に赤色はあまり見えていないはずなので、花弁が赤い品種のボケに訪花しているのは、とても意外です。 
撮影後にボケの花を直接嗅いでみて、芳香がないことを確認しました。 
セイヨウミツバチが新たな蜜源植物を学習によって開拓しつつあるのでしょうか? 
それともボケが鳥だけでなく昆虫も誘引するように進化しつつあるのでしょうか? 
急速に進行する温暖化の影響でフェノロジー(花暦・生物季節学)が撹乱され植物と送粉者の結びつきが失われると、両者にとって死活問題です。
何かしら進化・適応しない種は、滅亡するしかありません。 
特定の種類の送粉者に依存してしまっている植物は、リスクヘッジする(送粉者の多様性を高める)方向に進化しないと、絶滅のリスクが高いでしょう。
生物の進化スピードでは対応できないほど、人類によってもたらされた地球温暖化のスピードが急激過ぎる点が大問題なのです。

そもそも鳥媒花と虫媒花は排他的な関係ではないのかもしれません。
教科書では分かりやすく伝えるために「ボケは鳥媒花」と言い切っていただけで、実際は鳥が訪花することも虫が訪花することもあるのでしょう(確率が高いか低いかの問題)。




【アフィリエイト】 

2025/03/13

下半身が麻痺したまま巣口で座り込んで動けないホンドタヌキの横で巣材を集めるハシブトガラス【野鳥:トレイルカメラ】

 

前回の記事:▶  


2024年3月下旬 

ニホンアナグマMeles anakuma)が死んだ後も、自動撮影カメラでその営巣地(セット)の監視を続けています。 
ホンドタヌキ♀♂(Nyctereutes viverrinus)が巣穴を乗っ取ったようです。 

シーン1:3/30・午後16:04・晴れ・気温14℃(@0:00〜) 下半身を麻痺した個体と思われるタヌキが、巣口Lから顔を出して外の様子を伺っています。 
心なしか、ブルブル震えているようです。 
足が不自由で食べ物を充分に摂れず、カロリー不足で低体温なのでしょう。
夕方の時間帯は巣口Lの窪地は日が当たらず、日光浴もできなくなりました。 

そこへハシブトガラスCorvus macrorhynchos)がタヌキの目の前に舞い降りました。 
画角の左端でカラスの顔が見切れてしまい、何をしているのか分からなかったのですが、くるっと振り返って右を向いてくれたら、ハシブトガラスが嘴に獣の抜け毛の束を咥えていました。 
産座に敷き詰める巣材を集めているようです。 
アナグマの死骸を食べていたタヌキが死骸を巣口Rの近くまで引きずってきて、そこからカラスは毛を毟り取って来たのかな?


 ハシブトガラスは、巣口Lで身動きできない「いざりタヌキ」から体毛を直接毟りたそうにしていますが、実行しませんでした。 

しばらくすると、ハシブトガラスが2羽一緒に左から登場しました。 
まさか、スカベンジャー(死肉食)のカラスが衰弱したタヌキの死を待ちきれずに、襲って捕食するでしょうか? 
足腰の弱った「いざりタヌキ」は、カラスに襲われないように巣口Lに籠城しているのかもしれません。 
健常個体のタヌキなら、これほど至近距離にカラスが来て挑発したら、逆に襲いかかろうとしたりカラスを追い払ったりするはずです。 


シーン2:3/30・午後16:07・晴れ・気温20℃(@0:00〜) 
別アングルに設置した監視カメラで続きが撮れていました。 
(こちらのカメラには西日が直接当たって、気温が高く表示されます。) 

巣口Lの窪みに座り込んだ「いざりタヌキ」が身震いし、毛繕いを始めました。 
その近くでハシブトガラスがタヌキの様子を見ています。 
死期が近いのを知っていて、あわよくば生きているうちから捕食したいのでしょうか?
産座用の巣材としてタヌキの毛を直接毟り取りたいのかもしれません。 
カラスはトコトコ歩いて営巣地を横切ると、もうひとつの巣口Rに行くと中の様子を覗き込みました。 
林床で巣材となる枯れた落ち葉(アナグマの死骸由来の抜け毛かも?)を拾い集めると、右に飛び去りました。 


ハシブトガラスの巣材集めを1.5倍に拡大した上でリプレイ。(@2:00〜) 


シーン3:3/30・午後16:07・晴れ・気温16℃(@2:18〜) 
その後も、巣口Lで呆然としている「いざりタヌキ」の様子を5倍速の早回しでご覧ください。 
もしかすると、巣口Lの窪みにはまってしまって、抜け出すことが出来ないのかもしれません。 
下半身が麻痺した状態で地中の巣穴に出入りするのは大変です。 
下手したら、二度と地上に出れなくなるかもしれません。 

この後どうなったのか、とても気になりますが、監視カメラに写っていませんでした。 


つづく→

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