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2026/10/29

巣材集め担当のニホンアナグマ個体と手伝わずに採餌する個体:5月下旬【トレイルカメラ:暗視映像】

 



2025年5月下旬 

シーン0:5/21・午後13:27・晴れ(@0:00〜) 
シーン0:5/21・午後14:03・晴れ(@0:03〜) 
二次林でニホンアナグマ(Meles anakuma)の営巣地(セット)を2台のトレイルカメラで見張っています。 
一時期はアナグマが撤退して代わりにホンドタヌキが住み着いていたのですが、またアナグマが戻って来そうな行動を繰り返しています。 
2頭のアナグマが同時に登場した巣材集めのシーンを以下にまとめます。 


監視カメラに直射日光が当たると過熱してしまい、気温のデータとして信頼できません。 


シーン1:5/26・午後21:52・気温11℃(@0:07〜) 
晩にセットの右奥の林床を2頭のアナグマがうろついていました。 
出会っても喧嘩にはならず、すぐに別れて各々が低木の茂みで何かガサゴソと活動しています。 
一体何をしているのかと思いきや、そのうちの1頭が巣材の落ち葉や生葉を掻き集めると、後ろ向きのまま巣穴へ運び始めました。 
巣材を巣穴Rへ搬入するまで見届ける前に、1分間の録画が終わってしまいました。 


シーン2:5/26・午後21:53(@1:07〜) 
次に監視カメラが起動したときには、作業を終えた2頭のアナグマが巣口Rで座って相互毛繕いしていました。 
この2頭は、顔見知りどころか家族だったようです。 
1頭が先に巣穴Rの中に入りました。 
巣外に残った個体は、仰向けになって自分の毛繕いをしています。 
開けっぴろげの股間をよく見ると、陰茎が見えるような気もするのですけど(だとすれば若い♂)、暗視映像が不鮮明のため定かではありません。 
少なくとも、腹面に乳房や乳首は見えませんでした(授乳期の♀ではない)。 
体格や顔つきから、♂成獣でもありません。 
やがて2頭目も巣穴Rに潜り込みました。 
巣内で新しい寝床を整えているはずです。 


シーン3:5/27・午前0:34・気温10℃(@2:01〜) 
日付が変わった深夜にも、1頭のアナグマがセット周辺の林床で新しい巣材を集めていました。 
掻き集めた落ち葉を後ろ向きで運んで行きますが、今回も巣穴Rに辿り着くまで見届けられませんでした。 


シーン4:5/27・午前0:36(@3:01〜) 
次はセットの右上奥へ向かいました。 
2回目の巣材集めをするのかと思ったのですが、しばらく戻って来ませんでした。


シーン5:5/27・午前3:23・気温13℃(@3:14〜) 
2時間50分後の未明に、2頭のアナグマがセットで別行動していました。 
巣口Rで仰向けになり体を掻いていた個体が立ち上がり、巣材を集めに出かけました。 

その間、もう一頭は巣口Lの近くで林床を嗅ぎ回り、餌を探しています。 


シーン6:5/27・午前3:26・気温13℃(@4:14〜) 
林床の落ち葉を両腕いっぱいに掻き集めて、後退しながら巣穴Rへ搬入するシーンがようやく撮れました。 


シーン7:5/27・午前3:29・気温13℃(@4:38〜) 
巣穴Rから出てきた個体が、次の巣材を集めるため、セットの右奥へ向かいます。 

手前で採餌していた個体の姿は見えなくなりました。 


シーン8:5/27・午前3:31(@4:45〜) 
掻き集めてきた落ち葉を両腕に抱えたまま、巣穴Rへ後ろ向きで入りました。 


シーン9:5/27・午後19:12・気温16℃(@5:08〜) 
同じ日の晩にも再び2頭のアナグマが同時に登場しました。 
巣口Rで小競り合いがあったのか、カッ♪と短い鳴き声を発しました。(@5:11〜) 
1頭が走ってセットの右奥へ向かい、再び巣材を集め始めました。 
巣穴Rへの搬入シーンは撮れていません。 

もう一頭も後からついて行ったものの、巣材集めを手伝わずに林床で餌を探しているようです。 


シーン10:5/27・午後19:15(@5:33〜) 
巣材集め担当の個体が、再びセットの右奥へ向かいました。 


シーン11:5/27・午後19:17(@5:47〜) 
しばらくすると、巣穴Rから別個体が外に出てきて、先行個体を追うようにセットの右上奥へノソノソと歩いて向かいました。 
そもそも、この個体が巣穴Rにいつ入ったのか、そのシーンを撮れていません。 
まさか3頭目のアナグマが同居しているなのかな?


シーン12:6/6・午後12:39・晴れ・気温27℃(@6:03〜) 
シーン12:6/6・午後13:41・晴れ・気温27℃(@6:06〜) 
明るい日中にたまたま撮れたセットの様子です。 
初夏の二次林では樹々の枝に葉がびっしり生い茂っています。 
その結果、林床に木漏れ日が落ちています。 
これから夏になると、昼間でも林内はもっと暗くなります。 




※ 動画の一部は編集時に自動色調補正を施しています。 
※ 鳴き声が聞き取れるように、動画編集で音声を正規化して音量を強制的に上げています。 

せっかく2台の監視カメラを設置したのに、なぜか1台しか撮れていませんでした。 
(全く撮れないより全然ましですけど。)
撮れた映像でも、画面左手前に生い茂った灌木マルバゴマキの枝葉が赤外線を強く反射してしまい、奥の巣穴Rが暗く写ってしまいます。 
この葉っぱを剪定すれば、すっきり見やすい映像になるのは分かっているのですけど、営巣地(セット)の環境を私の勝手な都合で撹乱して良いものか迷います。 
アナグマやタヌキが警戒してセットに寄り付かなくなるのでは本末転倒です。 


【考察】 
同時に登場した2頭のアナグマの個体識別ができていないのが残念です。 
喧嘩して追い払わないので家族のようですが、どのような血縁関係なのか不明です。 
素朴な解釈として♀♂ペアと呼びたくなるのですけど、定説では、アナグマの♂成獣は♀と早春に交尾するだけで、同居しないことになっています。
この点が一夫一妻のタヌキと違うところです。
せめて動画から性別を見分けたいのですけど、素人目にはいまいちはっきりしません。 
2頭が協力して巣材集めをすることはありませんでした。 
分業があるようです。(性差なのかな?) 

アナグマが巣材の落ち葉を搬入したのは巣穴Rだけで、もう一つの巣穴Lはほったらかしでした。
今のところ2つの巣穴L、Rは内部でつながっておらず、独立していると考えています。

新しい寝床を整えたので、このままアナグマが巣穴Rに住み着くのかと予想したのに、まだどんでん返しが待っていました。 

つづく→

2026/10/27

ホンドタヌキが営巣する休耕地の農道をトラクターやバイク、歩行者が通りかかると…【トレイルカメラ】

 



2025年5月下旬〜6月上旬 

休耕地に営巣したホンドタヌキ(Nyctereutes viverrinus)の家族群を自動撮影カメラで見張っています。 
巣穴の周囲で雑草がぐんぐん生い茂り、タヌキの姿が見えにくくなってきました。 

砂利が敷かれた奥の農道に日中ヒトは滅多に来ないのですが、誰かが通りかかったときのタヌキの反応についてまとめました。 


シーン1:5/28・午前10:07・晴れ・気温28℃(@0:00〜) 
晴れた昼前に1頭のタヌキが巣口で日光浴しています。 
しばらくすると、奥の農道を左から右へ赤いトラクターがゆっくり走り去りました。 
日光浴していたタヌキは、珍しく左の巣穴Lに潜り込んで避難しました。 


シーン2:5/29・午前11:51・晴れ・気温32℃(@0:57〜) 
翌日も昼前にタヌキが巣口の定位置で、のんびり体を掻いたり毛繕いしたりしていました。 
奥の農道をバイク(カブ)に乗ったヒト♂が右から左へ横切りました。 
日光浴していたタヌキは、逃げ腰になったものの、その場に留まってバイクを見送りました。 


シーン3:6/2・午後13:01・晴れ・気温27℃(@1:44〜) 
4日後の昼過ぎ、巣口で日光浴していたタヌキがゆっくり巣穴に入りました。 
しばらくすると、奥の砂利道を左から右へ2人のヒト♀が前後になって歩いて来ました。 
巣穴に避難したタヌキは、通行人が来ることを予測していたのではなくて、偶然ではないかと思います。 


※ 車の走行音などが聞き取れるように、動画編集時に音声を正規化して音量を強制的に上げています。 


つづく→

2026/10/25

ヒミズの死骸で肉団子を作るシダクロスズメバチ♀と吸汁するハエ類の小競り合い(占有行動)

 

2026年9月下旬・午後12:35〜13:05頃・晴れ 

里山の苔むした山道の真ん中に小動物の死骸が転がっていました。 
死骸をよく見ると、ヒミズ(Urotrichus talpoides)のようです。 
モグラほど前腕の筋肉が発達していません。 
死因は不明ですが、捕食者の食べ残しなのか、胸部に血まみれの肉が露出しています。 
一般に、捕食者はヒミズの体臭を嫌って忌避すると言われているのですが、私は「独特なヒミズ臭」を感じたことがありません。
もしかして、ヒミズではなくトガリネズミ科の仲間なのでしょうか? (真面目に検討していません。)

私の嗅覚では死臭や腐敗臭などはしなかったのに、キンバエ(Lucilia caesar)の仲間やニクバエの一種などが新鮮な死骸に早速群がっていました。 
口吻を伸縮させて死骸の表面をあちこち舐めています。 

アリのワーカー♀も死骸に来ていました。 
普通種のクロヤマアリ(Formica japonica)は私にも見分けられましたが、微小な赤アリは種類が不明です(誰か教えて下さい)。 

しばらくすると、シダクロスズメバチ(Vespula shidai)のワーカー♀が死骸に飛来しました。 
複眼の上にある白眉のような模様が細いので、シダクロスズメバチだろうと判断しました。 
死骸をあちこち物色してから、露出した体腔に顔を突っ込みました。 
獲物を解体して肉団子を作ってるはずですが、肝心の口元が手前の肋骨に隠れて見えません。 
シダクロスズメバチも肋骨周りの肉(カルビ?)が好きなのでしょうか。
マグロの解体ショーで肋骨から肉をこそげ取っている様を連想しました。 
やがて、シダクロスズメバチ♀は赤い肉片を大顎に咥えたまま飛び去りました。 
帰巣して幼虫に給餌するのでしょう。 
獲物の位置を正確に記憶するための定位飛翔をしなかったということは、既に何度も繰り返し訪れていたのでしょう。 
クロスズメバチ類が死んだヒミズを利用するのは初見です。 




山奥で別の用事があったので、帰路にも観察できるように、小さな死骸の横に目印として落枝を2本並べて置きました。 
25分後に現場に戻ってくると、キンバエ類の他に、同一個体と思われるシダクロスズメバチ♀がまたヒミズの死骸に来ていました。 
今度は蜂の口元が見えるアングルで撮影することができました。 
シダクロスズメバチ♀が肋骨内の胸郭に潜り込んで、噛み切ろうとしている臓器はヒミズの心臓ですかね? 
肉片を噛み切って小さな肉団子を作り終えると、触角を拭ってから飛び立ち、肉団子を持ち去りました。

ヒミズの死骸から飛び去る蜂を見失ってしまい、シダクロスズメバチの巣の位置を突き止められなかったのは残念でした。 
伝統的なスガレ追い(蜂追い)の手法で営巣地を発見できたかもしれませんが、私はやったことがありません。 
生肉や目印の紙片などを用意して、いつか試してみたいものです。 

基本情報を先に解説しましたが、面白い本題はここからです。 
動画をよく観察すると、死骸に集まるスカベンジャー昆虫の間で小競り合いが繰り広げられていました。 
力関係を比べると、基本的にシダクロスズメバチが最強のようで、内臓が露出した最良のスポットを占めています。
作業中のシダクロスズメバチ♀が、背後から近づくキンバエを後脚で足蹴にして牽制しています。(@1:57〜) 
さらにしつこいキンバエをシダクロスズメバチが飛び回って追い払いました。 
ところがシダクロスズメバチ♀が再び肉団子作りの作業を再開すると、戻ってきたキンバエがシダクロスズメバチの背後から頭突きの仕返しをしました。(@2:52〜) 
もちろんそれだけで蜂から獲物を奪い返すことはできませんでしたが、キンバエの強気な報復行動を初めて見た私は驚愕しました。 
キイロスズメバチと違って、クロスズメバチ類が死骸に集まるハエを狩ることは、(私の知る限り)ほとんどありません。 
だとすると、それを知っているハエはクロスズメバチを舐めている(襲われることはないと高を括っている)可能性があります。  
体長を見比べると、キンバエの方がシダクロスズメバチよりも少し大きいくらいでした。 
強気の理由は、この体格差にあったのかもしれません。 
その後、蜂に頭突きしたキンバエ♀はヒミズの死骸に腹端を伸ばして産卵しました。(@3:11〜) 
強気のキンバエは♀だったことが判明しました。
ちなみに、キンバエの♀(クロバエ科)は卵を産みますが、ニクバエ♀(ニクバエ科)は卵胎生で幼虫(ウジ虫)を死骸に直接産み付けます。

死骸の横に15cm定規を並べて置いたら、ハエは警戒して逃げたものの、すぐにまた舞い戻ってきました。
キンバエ同士の間でも、よく見ると軽い小競り合い(占有行動)が繰り広げられていました。 
(横に来たライバルを足蹴にするなど。)


【アフィリエイト】 
特に、DNAメタバーコーディング法でスズメバチ各種の食性を解析した最新研究の章が興味深く、勉強になりました。
シダクロスズメバチの幼虫の未消化物からDNAメタバーコーディング法で検出した324種の割合を示したグラフも掲載してありました。
鳥類10種および魚類、爬虫類、両生類、哺乳類を含む脊椎動物13種が同定されたものの、ヒミズが含まれていたかどうかは不明です。(原著論文を読む必要がありそう)

・虫から環境を考える (5) 里山にすむクロスズメバチ 

2026/10/22

フクロウのフィールドサイン?(野鳥)糞と綿羽

 

2025年5月下旬・午前15:15頃・くもり 

平地のスギ防風林で下草(種名不詳)に鳥の白い糞がべっとり付着していました。 
そこから何気なく杉の木を見上げると、枯れた細い横枝になぜかフワフワの綿羽が付着していて、風になびいていました。 
おそらくフクロウ(Strix uralensis)のお気に入りの止まり木で、そこで羽繕いしたり脱糞したりしたのではないかと想像しました。 
もちろん私の勝手な願望ですから、別種の鳥かもしれません。
糞や羽毛を採取してDNAを調べれば、本当にフクロウかどうか突き止められそうです。 
一時期その止まり木をトレイルカメラで監視したこともあったのですが、空振りでした。

夜な夜な林床をうろちょろしている野ネズミをスギ樹上で待ち伏せしているのかもしれません。 
鳥を狩ってその羽根を毟ったのなら、大量の羽根が林床に散乱しているはずですが、今回は見つかりませんでした。 


この辺りでフクロウの鳴き声を聞いたり、痕跡(フィールドサイン)が次々に見つかるものの、肝心の巣がどうしても見つかりません。 



2026/10/20

初夏の営巣地で毛繕いしたり林床の餌を探し回ったりするニホンアナグマ♂【トレイルカメラ】

 



2025年5月下旬・午前11:20頃・晴れ・気温28℃ 

初夏の二次林でニホンアナグマ(Meles anakuma)の営巣地(セット)を2台の自動撮影カメラで見張っています。 
一時期はホンドタヌキが巣穴を乗っ取って越冬していたのですが、最近はアナグマが戻ってきそうな動きをしています。(巣穴を奪還?) 

晴れた日の昼前に、アナグマが独り巣口Rで仰向けに寝そべって毛繕いしていました。 
1.5倍に拡大してみると、素人目には股間に陰茎が見えました。 
体型や顔つきは♀なのに、腹面に乳首はありません。 
若い♂なのかもしれません。 


【アフィリエイト】 


2つの巣口L、Rの中間地点に移動して寝そべり、のんびりと毛繕いしたり痒い体を掻いたりしています。 
 林床の匂いを嗅ぎながら巣口Rから少し左に移動して再び寝転ぶと、また体をボリボリ掻いています。 
起き上がると、地面の落ち葉を鼻面で少し掘り、嗅ぎ回ったり前足で少し掻いたりして、獲物となる虫を探しています。 


2026/10/18

獲物のヘビを巣穴に持ち帰り家族と分け合うホンドタヌキ【トレイルカメラ】

 



2025年5月下旬 

初夏の休耕地でホンドタヌキ(Nyctereutes viverrinus)の親子3頭が暮らしている営巣地を自動撮影カメラで監視中です。 
両親♀♂のペアと、両目の輝板を失明したヘルパー♀から成る家族群です。 
母親♀が今季の幼獣を出産したかどうか、まだ不明です。 


シーン1:5/23・午後12:33・晴れ・気温30℃(@0:00〜) 
左から帰巣したタヌキが口に何か細長い獲物を咥えていました。 
生きたヘビを狩ってきたのか、あるいはロードキルなどの死骸を拾ってきたようです。 

巣口で寝そべって日光浴していた2頭が起き上がって出迎えました。 

獲物(ヘビ)の激しい争奪戦にはならず、2頭のタヌキが獲物をシェアして食べているようです。 
手前で生い茂る雑草が邪魔で、食事シーンがよく見えません。 


シーン2:5/23・午後12:35・晴れ・気温30℃(@1:05〜) 
最後まで獲物を食べている個体は、おそらく母親♀ではないかと推測しています。 
食べてない2頭もリラックスした状態で体を掻いたり、巣口付近をうろついたりしています。 


シーン2:5/23・午後12:36・晴れ・気温29℃(@2:05〜) 
右の巣口M付近で対面した2頭が口移しで獲物をシェアしました。 
ヘルパーもようやく分け前をもらったのかな?(個体識別できてない) 

その後は3頭が巣口Mに集まって対他毛繕いしています。 


シーン3:5/23・午後12:38・晴れ・気温30℃(@3:05〜) 
2頭のタヌキがまだ獲物の残り物を食べているようです。 
1頭が身震いしてから入巣Mしかけたところで、録画終了。 


シーン4:5/23・午後12:38・晴れ・気温30℃(@4:05〜) 
最後まで巣外に残っていた個体が、左の巣穴Lに潜り込みました。 


【考察】
ホンドタヌキの父親♂またはヘルパー♀が繁殖期の母親♀に給餌するかどうか、一番の注目ポイントなのですけど、残念ながら明るい昼間は個体識別できていません。 
タペータムの反射の有無でヘルパー♀を見分けられる夜に同様の給餌シーンが写ることを期待して、待つしかありません。


休耕地の雑草が草丈高く繁茂すると、タヌキの姿が隠れて見えなくなってしまうので、観察できる期間は限られています。

2026/10/15

初夏の休耕地で住み分けて暮らすホンドタヌキとハシボソガラス【野鳥:トレイルカメラ】

 



2025年5月中旬 

ホンドタヌキ♀♂(Nyctereutes viverrinus)の家族群が営巣する休耕地には、ときどきハシボソガラス(Corvus corone)もやって来ます。 
自動撮影カメラによる映像をまとめました。 


シーン1:5/14・午前10:06・晴れ・気温27℃(@0:00〜) 
タヌキが巣口Mの匂いを嗅いでいると、どこか近くで(手前の死角?)カラスが嗄れ声で鳴きました。 
やがてタヌキがゆっくり巣穴Mに潜り込むと、手前の樹上に留まっていたらしいカラスが奥に飛んで、採餌していた仲間と合流しました。 
(5倍速の早回し映像と画面に記したのは、編集ミスです。) 


シーン2:5/15・午前7:09・晴れ・気温17℃(@0:49〜) 
翌朝、タヌキが巣口Lで佇み、手前を警戒しています。 
ハシボソガラスが嗄れ声で鳴く声が聞こえました。
やがて、別個体のタヌキが手前の林内からノソノソ歩いて帰巣し、待ち構えていた家族と挨拶しました。 

その背後から1羽のカラスが追い越すように手前から奥へ滑空して着地しました。 
もう1羽のカラスがすでに少し右に居て、採食中でした。 
カラスがよく採餌している奥のエリアにあまり草が生えていないのは、イネの籾殻を撒いてあるからです。 


シーン3:5/17・午前5:04・くもり・気温16℃(@1:49〜)日の出時刻は午前4:24。 
もう明るい早朝に、2頭のタヌキが巣口Lに並んで座り、周囲を警戒しています。 
カラスが1羽ずつ手前から奥に向かって飛びながら鳴きました。 
タヌキは自分の毛繕いを始めました。 


シーン4:5/18・午前11:35・晴れ・気温31℃(@2:49〜) 
タヌキが巣口に寝そべって日光浴している間に、奥の休耕地でカラスが採食しています。 
起き上がったタヌキが、カラスの様子を凝視しています。 
左奥から別個体のカラスが飛来し、2羽になりました。 
♀♂番(つがい)なのかもしれません。 
カラスが相次いで右に飛び去る様子を、2頭のタヌキが巣口から見送ります。 


【考察】 
ホンドタヌキの家族は手前の巣穴付近で暮らし、ハシボソガラスは手前の林内樹上で休んでから奥の休耕地(籾殻を撒いたエリア)で採食する、という棲み分けが出来ているようです。 
ハシボソガラスがタヌキに対して嫌がらせのモビング(擬攻撃)することはありませんでした。 
逆にタヌキが走り回って休耕地の奥のカラスを追い散らすこともありませんでした。


2026/10/14

配電盤の上面でうつ伏せになって暖を取る春のニホンザル

 

2025年4月中旬・午前10:30頃・くもり 

山麓を流れる用水路の横に小さな小屋が建っています。 
おそらく水を汲み上げるポンプが格納してある小屋だと思うのですが、その外壁に設置された配電盤の箱の上に1頭のニホンザル(Macaca fuscata fuscata)が乗って休んでいました。 
腹這いになっていたので、電気抵抗による発熱で外気温よりもほんのり温かいのかもしれません。 
(本当に温かいのかどうか、私も実際に手で触れて確かめるべきでしたね。) 【※追記参照】
熱伝導の高い金属板の表面に我々ヒトが腹を直接付けたりしたら、腹が冷えて腹痛になりそうです。 
活動して体温が上がったニホンザルにとっては、逆にひんやりして気持ちいいのかもしれません。 
この個体は、なぜか舌を出して配電盤の上面を舐めたりもしました。 

実はその数分前には、ポンプ小屋の屋根に2頭のニホンザルが登っていて、並んで座って対他毛繕いしていました。 
私が少し目を離した隙に、そのうちの1頭が屋根から降りていました。 
その個体が配電盤に乗ったのかどうか、個体識別ができていません。 


【考察】 
ニホンザルはヒトよりも体温が高いのかと思ってPerplexity AIに訊いてみました。

結論として、ニホンザルの深部体温は、ヒトより明確に高いとはいえません。おおむねヒトと同じ約37℃前後と考えられます。霊長類の深部体温は種や個体、時刻、活動、環境によって変動し、ヒトとサルの双方でおよそ37℃付近です。 pmc.ncbi.nlm.nih

混同しやすい点

  • 深部体温:直腸温などで測る体内中心部の温度。ヒトとニホンザルを比較する場合はこちらが重要です。
  • 皮膚温:顔、手足、胴体などの表面温度。外気、血流、毛、日射の影響を強く受けるため、深部体温とは異なります。

ニホンザルでは、冬季に厚い毛が断熱材として働き、皮膚や四肢の温度が外気の影響を受けにくくなります。これは「体温そのものがヒトより高い」という意味ではなく、熱を逃がしにくい体の構造と体温調節を持つということです。 repository.kulib.kyoto-u.ac

ニホンザルは寒さに強いが、暑さには弱い

ニホンザルは冬の低温にはよく適応していますが、ヒトのように全身で汗を蒸発させて効率的に放熱することはできません。そのため、暑いときには日陰に入る、活動量を下げるなどの行動で体温上昇を抑えます。 tokyo-zoo

したがって、比較を整理すると次のようになります。

項目 ヒト ニホンザル
深部体温 約37℃前後 約37℃前後
寒冷環境への適応 皮下脂肪、行動、衣服など 密な毛、末梢血管の収縮など
発汗による放熱 比較的得意 ヒトほど効率的ではない
冬の屋外での見かけの耐寒性 低い 高い

野外観察で「サルの体が温かそう」「雪の中でも平気そう」に見える場合、それは主に毛による断熱、血流調節、行動調節の効果です。体温の設定値がヒトより高いからではありません。



※【追記】
後日、現場検証に行ってみると、ポンプ小屋の周囲には柵が設置されていて、問題の配電盤に部外者は近づけないようになっていました。
非接触式の温度計で配電盤の上面の温度を測る作戦も考えたのですけど、私の背丈よりも高い位置にあって無理でした。
動画のニホンザルは、柵に登ってから配電盤の箱に飛び乗ったことになります。

2026/10/12

休耕地の巣穴に夜1〜3頭で出入りするホンドタヌキ家族群:5月中旬【トレイルカメラ:暗視映像】

 

前回の記事:▶ ホンドタヌキが営巣する休耕地の農道を軽トラが走って来ると…【トレイルカメラ】 


2025年5月中旬 

シーン0:5/9(@0:00〜) 
休耕地でホンドタヌキ(Nyctereutes viverrinus)の家族が暮らす巣穴を自動センサーカメラで長期監視しています。 
両親♀♂および両目の輝板を失明したヘルパー♀から成る3頭の家族群です。 
夜の活動をまとめてみました。 

シーン1:5/11・気温(@0:03〜) 
晩に3頭が一緒に帰巣しました。 
原っぱを奥から来て一番最後に入巣したのが、両目失明個体です。 
家族が一緒に外出するとき、両目失明個体は大体いつも殿(しんがり)を務めています。 

シーン2:5/13(@0:43〜) 
この日も両目失明個体が最後に帰巣。 
22分後に、両親のいずれかが単独で巣穴から外出しました。(手前の林内へ) 

シーン3:5/14(@2:13〜) 
未明に夜霧が深く立ち込めていました。 
帰巣したらしいタヌキの白く光る目がかろうじて見えます。 

 同じ日の晩遅くにも、タヌキが(2頭続けて?)左から帰巣しました。 
その後も営巣地をうろついています(外出)。 

シーン4:5/15(@3:12〜) 
未明に手前から1頭のタヌキが帰巣。 

同じ日の晩(日没後)、先行個体が採食に出かけるシーンが写っていました。 
巣口に居残った個体は、欠伸をしたり、毛繕いしています。 
外出に乗り気でない両目失明個体を迎えに巣口まで行きました。 
その後どうなったのか、不明です。

シーン5:5/16(@4:38〜) 
深夜に原っぱを左から単独タヌキが帰巣。 
両目失明個体のようにも見えますが、カメラのアングルのせいかもしれません。 
巣口Mの匂いを嗅いで身震いしてから、中に潜り込みました。 

同じ日の晩にも、入巣Mシーンがちらっと撮れていました。 

シーン6:5/18(@5:19〜) 
深夜に帰巣し、すぐにまた外に出てきました。 

※ 動画の一部は編集時に自動色調補正を施しています。 
春になって雪が完全に溶けると、雪明り(雪面からの反射)がなくなるので、赤外線の暗視映像はかなり暗くなってしまいます。 


どうも撮り漏らしがあるようなのですが、トレイルカメラの技術的なことであまり悩んだりイライラしても仕方がありません。
もう1台のトレイルカメラを別アングルで増設したくても、夏季は難しいのです。
完璧な記録を目指すのは無理なので、「断片的に撮れるだけでもありがたい」という気持ちでいます。


つづく→

2026/10/05

屋根の上でのんびり対他毛繕いする2頭のニホンザル

 

2025年4月中旬・午前10:25・くもり 

山麓にある別荘の屋根に登った2頭のニホンザル(Macaca fuscata fuscata)が並んでのんびり毛繕いしていました。 
自身の毛繕いをするのではなく、一方的に相手の毛繕い(ノミ取り)をしています。 
対他毛繕いを受ける方は、口をもぐもぐ動かして頬袋の餌を咀嚼していました。

2026/09/30

休耕地の巣穴横で昼間にのんびりくつろぐホンドタヌキの家族群:5月中旬【トレイルカメラ】

 



2025年5月中旬

シーン1:5/14(@0:00〜) 
休耕地にあるホンドタヌキ♀♂(Nyctereutes viverrinus)の営巣地を自動撮影カメラで見張っています。 
少なくとも3つの巣穴が原っぱに点々と開口しています。 

両親♀♂と両目失明のヘルパー(娘♀)という家族構成の計3頭がここで暮らしています。 
明るい日中はタヌキの個体識別ができていません。 

巣内で母親♀が新たに幼獣を出産したかどうか、外から見ただけではまだ分かりません。 
私は巣穴には決して近づかないようにしているので、産室の巣穴がどれかも不明です。 

昼間のタヌキは、もっぱら巣口でのんびりと日光浴したり毛繕い・仮眠したりして、くつろいでいます。 
周囲を警戒していることもあります。 
映像としては退屈なので、5倍速の早回しでお届けします。 

営巣地の奥では、餌を探し歩くカラス(おそらくハシボソガラス)が写っていることがあります。 


シーン2:5/15(@1:59〜) 

シーン3:5/16(@3:48〜) 
早朝は霧が薄っすらと立ち込めていました。 

シーン4:5/17(@7:53〜) 

シーン5:5/18(@8:00〜) 

シーン6:5/19(@11:18〜) 


※ 動画の一部は編集時に自動色調補正を施しています。 


2026/09/29

トタン屋根の棟で独りくつろぐニホンザルのアルビノ♀

 

2025年4月中旬・午前10:35頃・くもり 

山麓に建てられた誰も住んでいない別荘の屋根にニホンザル(Macaca fuscata fuscata)の群れが我が物顔に登っていました。 
群れの中に混じっていた1頭の白猿が、よく目立ちます。 
アルビノなのか白変種の個体なのか見分けたいのですが、やや遠くて瞳の色をしっかり確認できず、定かではありません。 
個人的にはアルビノじゃないかと思っているのですけど、どうでしょうか。 

若い白猿がトタン屋根の棟(むね)を伝い歩いて左に移動しています。 
途中で尻が見えて、外性器から若い♀と判明しました。 
胸に細長く伸びた乳首が見えないので、授乳経験のある成獣♀ではありません。 

しばらくすると、白猿が屋根の棟でうつ伏せになっていました。 
昼寝している訳ではなくて、覚醒状態で尻尾をときどき上下にピクピク動かしています。 
曇天ですけど、トタン屋根が太陽熱でほんのり温かいのですかね?
まさか若いニホンザル♀が自慰行為に耽っているのでしょうか? 

関連記事(6年前の撮影)▶ ニホンザル♀がクリ樹上で自慰行為 


しばらくすると、上体を起こしてその場に座りました。 
次は横臥すると、欠伸をしながらのんびり自分の毛繕いを始めました。 


【考察】 
今回ニホンザルのアルビノ個体は、群れの仲間から離れて独りでくつろいでいました。 
このとき白猿は、群れの仲間から疎外されて寂しそうにしていたのではなくて、たまたま独りになりたい気分だったようです。
逆に毛皮の色が正常な個体の中にも、群れから少し離れて独りでのんびりしている猿が近くに居ました。(映像公開予定)

童話『みにくいアヒルの子』のように、アルビノであること(白い体色)が理由で群れの仲間と馴染めないとか、差別やイジメを受けているという事例をニホンザルで観察したことは一度もありません。 
繁殖(交尾相手の選択)でアルビノが不利になるかどうかは興味深い問題ですが、今のところ不明です。
アルビノの交尾や育児のシーンをまだ見たことがないのです。

動物の生態の一部を切り抜いた動画から勝手に擬人化して深読み(投影?)するのは禁物です。


2026/09/23

身繕いしてから飛び立つアカハネムシ♂

 

2025年5月上旬・午後12:40頃・晴れ 

平地のスギ植林地で林床に生えたオオウバユリの葉の縁に乗って 
アカハネムシ♂(Pseudopyrochroa vestiflua)が日光浴しながら念入りに身繕いしていました。

初めて撮る虫でしたが、Googleレンズの画像認識でアカハネムシと判明。 
アカハネムシは触角の形状に性的二型があり、この個体は櫛歯状の触角をもつので、♂と分かります。 
表面積の大きな櫛歯状の触角で♀が放つ微量な性フェロモンを嗅ぎ当てるのは、蛾の仲間と似ています(収斂進化)。

アカハネムシ♂は左前脚を口で舐め、左の前脚と中脚を擦り合わせていました。 
次は右側も同様に身繕い。 
自慢の触角は掃除しなかったのが意外です。 

赤い鞘翅は腹部全体を覆わず、腹端が少し露出しています。 
大顎よりも口髭がかなり長いです。 
幼虫は肉食性らしいのですが、成虫の口器はあまり発達しておらず、花蜜や花粉、樹液などを摂食するらしい。 

ようやく化粧を済ませたアカハネムシ♂は、翅をパカッと広げて飛び去りました。
1/5倍速のスローモーションでリプレイ。
腹背は黒色でした。 
広げた後翅も黒く、焦げ茶色の翅脈が密にありました。


【考察】
アカハネムシは体内に毒を持ち、赤と黒の目立つ体色が捕食者に対して警告色になっています。
外見が似ているベニホタル類と互いにミューラー型擬態の関係にあると考えられています。
ベーツ型擬態の話とは違って、「アカハネムシ(Pseudopyrochroa vestiflua)の擬態モデルはベニホタル(Lycostomus modestus)だろう」みたいな言い方はできません。
また、アカハネムシが持つ毒はベニボタルの毒とは成分が違うらしい。
ツチハンミョウの死骸からカンタリジンを摂取して溜め込むらしく、♂は♀への求愛給餌に使うとのこと。 
本当なら、ぜひ観察してみたいものです。

ChatGPTを相手に長々と問答を繰り返し、かなり勉強になりました。

カラス雛の死骸をホンドタヌキの溜め糞場に給餌してみると…【トレイルカメラ:暗視映像】

 



2025年5月上旬〜中旬

シーン0:5/7・午後(@0:00〜) 

郊外の道端で鳥の雛が路上に落ちて死んでいました。 
一部の羽根が青かったのでオナガの雛と迷ったのですが、喉が黒かったので、おそらくハシボソガラス(Corvus corone)の雛だと思います。 
(念のためにGoogleレンズで写真鑑定してもらいました。)
嘴をしっかり閉じて死んでいるため、カラス雛の口内が赤いことを確認できませんでした。 (カラス成鳥は口内が黒になる。)

電柱に架けられたカラスの巣を撤去・駆除する際に、雛が落ちてしまったのでしょうか? 
しかし、カラスの巣の撤去を依頼されても、巣内に卵や雛が居た場合には、基本的に撤去作業を強行しないはずです。
鳥獣保護管理法で守られているからです。

それとも、巣内で死んだ雛を親鳥が巣外に捨てたのでしょうか? 
巣内で死んだカラスの雛を親鳥が食べたり、他の雛に給餌したりすることはないらしく、死骸を巣の外に捨てるらしい。 
真上の電柱にカラスの巣があるかどうか確認すべきだったのに、こんな街なかで営巣しているはずがないと思い込んでいた私は見上げませんでした。 
(たとえカラスの巣が電柱の上に無かったとしても、電力会社が撤去した直後かもしれません。)
実は翌年、同じ(または隣の)電柱に営巣するハシボソガラスを観察しています。 


この近所で他にカラスの営巣地として心当たりがあるのは、高圧線の送電塔です。 
猛禽などの捕食者がカラスの巣を襲い、雛をさらってくる途中で落としてしまった可能性もありそうです。 

死んでいるとは言え、カラスの雛の実物を見るのは初めてです。 
この個体は羽根がまだ生え揃っていません(水色の羽鞘が見えます)。 
採集時に死骸を持ち上げてみたら意外に重かったので、カラスの親鳥が巣外に捨てるにしても、咥えて運ぶのは大変そうです。 
したがって、巣から遠くに運んで捨てたとは思えません。 

写真に撮ってから死骸を採集しました。 
一度は立ち去りかけたものの、ビニール袋を持参していたことを思い出し、それを手袋代わりにして死骸を素早く回収しました。 
死骸が横たわっていた舗装路は体液で湿っていて、微小なアリ(種名不詳)が数匹群がっていました。 
死臭を嗅ぎつけたハエ類などはまだ来ていませんでした。 
死後硬直もなかったので、死んでからそれほど時間が経っていないようです。 

持ち帰った死骸をとりあえず冷凍保存しました。 
剖検して死因を調べるか、頭骨標本を作るか、スカベンジャーに給餌するか、使い道を考えます。
15cm定規を並べて置いた。



シーン1:5/9・午後・晴れ(@0:12〜) 
前回の成功に味をしめて、ハシボソガラスの雛の死骸もホンドタヌキ(Nyctereutes viverrinus)に給餌することにしました。 


2日後に、冷凍庫から取り出したカラス雛の死骸を、スギ防風林にあるタヌキの溜め糞場wbcまで持参しました。 
死骸は不自然な体勢で曲がったまま凍っていました。
ゴム手袋をしてから、まだ完全に解凍されていない死骸をじっくり見ると、総排泄孔が大きいことにちょっと驚きました。
青い羽鞘の先から黒い羽根が生えかけています。

死骸をただ林床に置くのではなく、溜め糞の横にある灌木(樹種不明:落葉性広葉樹)に針金で頸部を固定してぶら下げました。 
前回の反省を活かして、スカベンジャーが死骸を監視カメラの前からすぐに持ち去れないように工夫したつもりです。 


カラス雛の死骸を常温解凍しても、私の嗅覚ではほぼ無臭でした。
しかし、かすかな死臭を敏感に嗅ぎつけたハエ類(キンバエ、クロバエ)がすぐに飛んできて頭部に群がり、吸汁し始めました。 
ハエ♀が産卵しても死骸がまだ凍っているため、ウジ虫(ハエの幼虫)の孵化を遅らせることができそうです。

果たしてタヌキはカラス雛の死骸を巣穴に持ち帰って母親♀に給餌するでしょうか? 
予想では、繁殖期に巣穴で出産・授乳・育児する母親♀にせっせと餌を運んできて与えるのは父親♂やヘルパー♀(娘)の仕事です。 


シーン1:5/13・午前2:06・気温8℃(@1:53〜) 
今回の給餌実験は、残念ながら全然私の思い通りにはいきませんでした。
監視カメラが不調だったのか、4日後の深夜未明までろくに起動しませんでした。
すでにカラス雛の死骸は何者かにほとんど持ち去られた後で、頭部しか残っていませんでした。

ホンドタヌキの両目失明個体(ヘルパー♀)が死骸をぶら下げておいた真下の落ち葉の匂いを嗅ぎ回っています。
カラス雛の死骸から垂れた体液(ドリップ)の死臭が残っているのでしょう。 

針金でぶら下げられたカラス雛の頭部を嗅ぎ当てると、恐る恐る咥えて引っ張り、手前の林床に落としました。 
発見が遅れたせいで、死骸(の頭部)はかなり腐敗しているはずです。  
タヌキが腐肉を食べる前に1分間の録画時間が終わってしまいました。


シーン2:5/13・午前2:21・気温9℃(@2:21〜) 
14分後も両目失明個体が同じ場所に留まり、のんびり座って体を掻いていました。
すぐ横には親ダヌキと思われる別個体が居ます。
結局、誰がカラス雛の死骸を食べたのか、証拠映像が撮れませんでした。
どうやら死骸を監視カメラの画角から外れた位置に持ち去ってから食べたようです。
今回も両目を失明したヘルパー♀はせっかく見つけた死骸を食べられず、両親のどちらかが横取りして食べたのでしょうか?

親子2頭が溜め糞場WBCに並んで一緒に大小便の排泄を始めました。
そこへ3頭目の個体が現れ、合流しました。(@3:34〜)
(溜め糞場wbcで3頭の家族群が揃ったことになります。)


シーン3:5/13・午前2:22(@3:53〜) 
最後に来た殿(しんがり)の個体(両目が健常の親ダヌキ)も排便を済ませると、獣道を右へ向かい、スギの木の根本で待っていた両目失明個体と合流しました。


シーン4:5/13・午前2:24(@4:23〜) 
左から来たタヌキが溜め糞を素通りして、右のスギの根本に座っていた個体と合流しました。
このときキュン♪と小声で鳴きました。(@4:31〜)
タヌキの鳴き声にしては初めて聞くレパートリーです。 
2頭が相互毛繕いしているようですが、よく見えません。




※ 鳴き声が聞き取れるように、動画の一部は編集時に音声を正規化して音量を強制的に上げています。 


シーン5:5/21・午前11:24・晴れ・気温30℃(@4:38〜) 
8日後の昼間にたまたま撮れた現場の様子です。


【考察】
カラスの雛だけを見て、ハシブトガラスとハシボソガラスを見分けることはできないのだそうです。
どうしても同定したければ、DNA試料で解析するしかありません。
今回は、市街地の環境に営巣するという条件からハシボソガラスの雛だろうと推測しました。

残念ながら、今回の死骸給餌実験は失敗に終わりました。
今回の撮影アングルでは、もしもタヌキが手前から奥に歩いて来てそのまま死骸に食いついた場合、トレイルカメラのPIRセンサーは反応しにくいことが仕様上予想されます。
撮り漏らしをなくすためには、トレイルカメラをもう1台別のアングルで設置するべきでしたね。

これで懲りずに、次の死骸を探すことにします。
くれぐれも、人目につかない場所で小規模にやりましょう。
死骸の給餌方法については試行錯誤中なのですが、今回は見栄えがよろしくありません。
死んだ雛の首に針金を巻き付けてぶら下げたので、もしも誰かが給餌現場に通りかかって見つけたら、違法な罠を設置したのか?とか、生きたまま鳥の雛を吊り下げて野生動物をおびき寄せようとしているのか(動物虐待)?などと誤解されて通報されそうです。
いざというときに「私が鳥の雛を殺した訳ではない」と申開きができるように、死骸を見つけたときの証拠写真を残しておく必要があります。
死んだ雛の首ではなく足を針金で縛って吊り下げようかとも思ったのですが、スカベンジャーが死骸を咥えて引っ張ったら、すぐに針金がすっぽ抜けてしまいそうです。

2026/09/21

ホオノキの樹上で巨大な集合果をこじ開けて種子を食べるハシブトガラス(野鳥)種子散布

 

2026年9月上旬・午後15:40頃・くもり 

川沿いの住宅地を散歩していたら、廃屋の裏庭で高木の枝葉が不自然に揺れているのが気になりました。 
少し遠かったのでカメラでズームインして見ると、少なくとも2羽のハシブトガラス(Corvus macrorhynchos)がホオノキで食事中でした。 
カーカー♪という、ハシブトガラス特有の澄んだ鳴き声も聞こえます。 

ハシブトガラスは、ホオノキの赤くて細長い集合果を太い嘴でこじ開けると、赤い種皮に包まれた種子をひと粒ずつ飲み込みました。 

カラスが袋果を摘み出すときに、まるで納豆が糸を引くように粘液が長く伸びるのが面白く思いました。 
てっきりカラスが唾液を垂らしているのかと撮影中は思ったのですけど、そうではなくて、ホオノキの種子を保護する分泌物なのだそうです。 
食事中のカラスが嘴に付着した粘液を拭き取る仕草が見られなかったのが不思議です。 
次に機会があれば、私も自分でホオノキの集合果を分解して、粘液または糸の存在を確かめてみるつもりです。 

このハシブトガラス個体は、頭部の羽毛が抜け落ちて剥げています。 
病的な症状なのかと心配したのですが、ちょうど羽根が生え変わる時期(換羽中)なのだそうです。 
口内が黒いので、成鳥でした。 

ホオノキの種子をいくつも食べて満足したのか、ハシブトガラスはホオノキから飛び去りました。 

カメラを上にパンすると、ホオノキの樹冠部で別個体のハシブトガラスが留まっていました。 
この個体は、カメラを向ける私に対して警戒心が強く、ホオノキの大きな葉の陰に隠れてしまいます。 
隣の横枝に移動して、羽繕いを始めました。 
この個体は頭部が剥げていません。 
もう採食シーンを見せてくれそうにないので、撮影を打ち切りました。 




【考察】 
ホオノキの袋果や種子を食べる生き物を観察したのは、これが2例目です。
関連記事(11年前の撮影)▶ ホオノキの果実を採食するニホンザル

カラスが丸呑みしたホオノキの種子は未消化のまま糞と一緒に遠くで排泄されます。 
したがって、ハシブトガラスはホオノキの種子散布に貢献していることになります。 
ホオノキの種子散布は、鳥による被食型の動物散布です。 
カラスはホオノキの種子を丸ごと飲み込んでいましたけど、種子捕食者ではなくて、種子を包んでいる薄い果肉が目当てなのです。 

今回ホオノキの種子を食べていたカラスが、太くて頑丈な嘴をもつ森林性のハシブトガラスだったのは、重要なポイントかもしれません。 
非力なハシボソガラスはホオノキの集合果をこじ開けて種子を食べることができないのか、そもそも平原性のハシボソガラスはホオノキが自生する山林に行かないのかもしれません。 

『植物の世界―ナチュラルヒストリーへの招待〈第2号〉 (Newton special issue)』という本にホオノキの生活史について詳しく書いてあったことを思い出して、久しぶりに紐解いてみました。
 ホオノキの果実は多数の雌しべが集まったもので、集合果とよばれる。種子を包んでいるがんじょうな果皮は心皮が木質化してかたくなったものである。果皮が裂けると種子が赤く色づき、種子を運んでくれる鳥たちに信号を送る。しかし果皮は裂開してもなお種子をしっかりと包みこんでおり、種子をついばむことができるのは大きくて強いくちばしをもつ鳥だけである。 
 アカゲラなどのキツツキの仲間は(中略)秋にはホオノキの種子をついばみに訪れる。(中略)種子は吐きもどされるか、またはふんにまじって散布される。 
 しかし、親木の近くでホオノキの実生がみつかるほとはほとんどない。ホオノキの種子は木を切り倒した跡などの開けた場所で発芽する。発芽のチャンスがめぐってくるまで、土の下で何年も待ちつづけるものと考えられる。またアカゲラは親木からはなれた場所に種子を運び、発芽のチャンスを大きくしてくれているのである。 (p38より引用)
このムック本では、アカゲラというキツツキの仲間がまさにホオノキの種子を食べる様子を見事な精密画で描いていましたが、種子散布者としてカラスへの言及はありませんでした。 


かなり面白いテーマなので、Perplexity AIに色々と相談してみました。 

Q1: ホオノキの種子は粘液に包まれているのか?

A1: ホオノキの種子は、粘液というより肉質の仮種皮(赤い部分)とその下の白い果肉質の中層に包まれていますが、これが「粘い液」のように見える・感じられる場合があります。 ameblo

種子の構造と「粘液」の正体

ホオノキの種子は、以下のような多層構造になっています。 pianix.exblog

  • 外層(仮種皮): 朱色~赤色で、鳥を惹きつける目立つ色。 hro.or
  • 中層: 肉質で白っぽく、果肉状。鳥が食べる部分。 poohchan-cute
  • 内層: 黒褐色で堅い、実際の胚を含む種子本体。 poohchan-cute

この肉質の中層部が、熟した果実から種子が現れる際に、粘り気のある液のように見えることがあります。 ameblo

現場観察での「粘い液」

ある観察記録では、次のように記されています。 ameblo

「ホオノキの実は15cmぐらいの集合袋の中に赤い実が入っていて、実が落ちるときに粘い液をつけてぶら下がっているのを見ました。」 ameblo

これは、肉質の仮種皮・中層が熟して柔らかくなり、糸状の珠柄(白い糸)でぶら下がっている状態が、粘液に包まれているように見えるためと考えられます。 ameblo

種子散布の仕組み

この赤い仮種皮と白い肉質部は、鳥類による種子散布を促すための適応です。 poohchan-cute

  • キツツキ、ヒヨドリ、メジロ、シジュウカラ、ヤマガラなどが赤い種子に惹かれて果肉質の中層を食べる。 poohchan-cute
  • 堅い内層(胚を含む黒褐色の部分)は消化されず、糞とともに排泄されて広範囲に散布される。 poohchan-cute

結論

ホオノキの種子は、粘液そのものに包まれているわけではありませんが、肉質で柔らかい仮種皮・中層が熟すと、粘り気のある液状に見えることがあります。 これは、鳥による種子散布を促すための適応構造の一部です。 ameblo

 


Q2: ハシブトガラスがホオノキの実を採食する様子を観察していたら、種子を咥えながら嘴から粘液をだらっと垂らしたのです。この粘液はカラスの唾液ではなくて、ホオノキの果実に由来する成分ですよね?

A2: はい、その粘液はカラスの唾液ではなく、ホオノキの果実(種子の仮種皮・中層)に由来する成分である可能性が極めて高いです。

根拠

1. ホオノキ種子の構造

ホオノキの種子は、以下のような多層構造になっており、肉質の仮種皮と中層が鳥に食べられる部分です。

  • 外層(仮種皮): 朱色~赤色で、鳥を惹きつける目立つ色。
  • 中層: 肉質で白っぽく、果肉状。鳥が食べる部分。
  • 内層: 黒褐色で堅い、実際の胚を含む種子本体。

この肉質の中層部が、熟した果実から種子が現れる際に、粘り気のある液のように見えることがあります。

2. 現場観察での「粘い液」

ある観察記録では、次のように記されています。

「ホオノキの実は15cmぐらいの集合袋の中に赤い実が入っていて、実が落ちるときに粘い液をつけてぶら下がっているのを見ました。」

これは、肉質の仮種皮・中層が熟して柔らかくなり、糸状の珠柄(白い糸)でぶら下がっている状態が、粘液に包まれているように見えるためと考えられます。

3. カラスの採食行動

ハシブトガラスは、ホオノキの赤い仮種皮と肉質の中層を咥えて食べる際、果肉質の部分が嘴から垂れる様子が観察されます。 これは、カラスが種子本体(堅い内層)を残して、柔らかい肉質部だけを摂取しようとする行動の一部です。

結論

あなたが観察した「嘴からだらっと垂れた粘液」は、ホオノキの種子の仮種皮・中層に含まれる肉質で粘性のある成分であると考えられます。 カラスの唾液ではなく、果実自体の構造に由来するものです。


Q3: 撮れた動画を見直すと、カラスがホオノキの種子を摘み出したときに、まるで納豆が糸を引くように、種子からも白っぽい粘液が長く糸を引いていることがあった。確かにカラスの唾液ではなさそうです。


A3: その観察は非常に貴重です!「納豆が糸を引くように」白っぽい粘液が長く糸を引くという現象は、ホオノキの種子が粘液(mucilage)を分泌することを示す直接的な証拠ですね。[pmc.ncbi.nlm.nih][biorxiv][uv][mdpi]

植物の種子粘液(mucilage)

粘液の性質

多くの植物の種子は、水に触れると多糖類(pectins, cellulose, hemicelluloses)からなる粘液を分泌します。[pmc.ncbi.nlm.nih][biorxiv][mdpi]

"Seed and fruit mucilage is composed of three types of polysaccharides—pectins, cellulose, and hemicelluloses—and demonstrates adhesive properties after hydration."[pmc.ncbi.nlm.nih]

"When wetted, the seed coat swells into a viscid mass; when dried, the mucilage strands strongly cement the seed to whatever it is in contact with."[biorxiv]

粘液の機能

種子粘液には、以下のような生態学的機能があります。[pmc.ncbi.nlm.nih][uv][mdpi][biorxiv][botany]

  1. 種子の固定: 粘液が乾燥すると、種子を基質に強く接着させる[biorxiv][uv][biorxiv]
  2. 発芽促進: 水分を保持し、発芽に適した微小環境を作る[pmc.ncbi.nlm.nih][mdpi]
  3. 捕食者からの保護: 粘液が種子を地面に固定することで、アリなどの種子捕食者から逃れる[botany][functionalecologists]
  4. 動物散布(zoochory): 湿った粘液が粘性を示し、動物の嘴や消化管に付着しやすくする[biorxiv]

    "Wet mucilage is still sticky, which may be important for zoochorous dispersal."[biorxiv]

ホオノキ種子の粘液

仮種皮・中層の構造

ホオノキの種子は、以下のような多層構造になっており、肉質の仮種皮と中層が粘液を分泌する可能性があります。

  • 外層(仮種皮): 朱色~赤色で、鳥を惹きつける目立つ色
  • 中層: 肉質で白っぽく、果肉状。鳥が食べる部分
  • 内層: 黒褐色で堅い、実際の胚を含む種子本体

「納豆のように糸を引く」現象

あなたが観察した「納豆が糸を引くように」白っぽい粘液が長く糸を引く現象は、種子の仮種皮・中層に含まれる多糖類が、唾液や水分と反応して粘性を示したと考えられます。

これは、以下の理由からカラスの唾液ではなく、種子由来の粘液である可能性が極めて高いです。

  1. 時期: 9月上旬はホオノキの種子が熟し、仮種皮が柔らかくなる時期
  2. 外見: 白っぽい粘液が「糸を引く」様子は、植物の種子粘液(mucilage)の典型的な性質[pmc.ncbi.nlm.nih][biorxiv][mdpi]
  3. 機能: 粘液が粘性を示すことで、鳥の嘴に付着しやすく、種子散布に貢献している可能性[biorxiv]

結論

あなたが動画で観察した「納豆が糸を引くように」白っぽい粘液が長く糸を引く現象は、ホオノキの種子の仮種皮・中層から分泌された粘液(mucilage)である可能性が極めて高いです。[pmc.ncbi.nlm.nih][biorxiv][mdpi]

これは、種子散布のための適応として機能している可能性があります。 粘液が粘性を示すことで、カラスの嘴に付着しやすく、種子が運ばれやすくなっているのかもしれません。[biorxiv][botany]


Q4: ホオノキの種子散布の様式は、鳥による被食型の動物散布か?


A4:はい、ホオノキの種子散布は、**鳥による被食型の動物散布(endozoochory)**です。 pmc.ncbi.nlm.nih

証拠と特徴

1. 種子の構造が被食散布に適応

ホオノキの種子は、典型的な被食散布(endozoochory)適応を示しています。 pmc.ncbi.nlm.nih

  • 仮種皮(sarcotesta): 肉質で赤色、鳥を惹きつける pmc.ncbi.nlm.nih
  • 種皮内層(sclerotesta): 堅く木質で、消化管通過から胚を保護 pmc.ncbi.nlm.nih

"Magnolia seeds exhibit typical endozoochory. The seed coats have sarcotestas and sclerotestas." pmc.ncbi.nlm.nih

2. 鳥類による採食の記録

複数の研究で、ホオノキの種子が鳥に食べられることが確認されています。 pubmed.ncbi.nlm.nih

  • 長距離種子散布: 鳥類による長距離散布が、遺伝子流動の主要原因とされる pubmed.ncbi.nlm.nih
  • 採食鳥種: マグノリア属の種子を食べる鳥は9種記録され、ツグミ類が重要な消費者 tandfonline

3. 消化管通過による発芽促進

鳥の消化管を通過することで、仮種皮が除去され、発芽率が向上します。 tandfonline

"Without the removal of the sarcotesta, magnolia seeds do not germinate at all." tandfonline

これは、被食散布の典型的な特徴です。 hro.or

被食散布の定義

動物被食散布(endozoochory): 動物に食べられることによって運ばれ、糞と共に排出されるもの。 hro.or

ホオノキの場合:

  • 鳥が赤い仮種皮と肉質の中層を食べる tandfonline
  • 堅い内層(胚を含む)は消化されず、糞とともに排泄される pmc.ncbi.nlm.nih
  • 仮種皮が除去されることで発芽が促進される tandfonline

結論

ホオノキの種子散布は、**鳥による被食型の動物散布(endozoochory)**に明確に分類されます。 赤い仮種皮と堅い種皮という構造は、この散布様式への典型的な適応です。 pmc.ncbi.nlm.nih


Q5:ホオノキの種子を丸呑みにした鳥は、消化できない種子を糞と一緒に排泄するというのが、種子散布のストーリーです。ペリットとして吐き出すことはないのか?

A5: はい、ペリットとして吐き出される可能性はあります。ただし、ホオノキについて「鳥が種子をペリットで排出した」と直接確認した資料は、今回確認できた範囲では見当たりません。したがって、現時点では「起こり得るが、ホオノキで実証済みとは言えない」というのが正確です。

糞とペリットの違い

鳥の種子散布には、少なくとも二つの経路があります。

  • 糞として排出: 種子が消化管を通過し、果肉などが消化された後に排泄される。
  • ペリットとして吐き戻し: 消化できない物質が、砂嚢から食道を逆流して口から吐き出される。 digital-museum.hiroshima-u.ac

種子を含むペリットは、猛禽類だけのものではありません。ムクドリやヒタキ類などが、種子をペリットとして吐き出す観察例もあります。 鳥類では、比較的大きな種子はペリット、小さな種子は糞に入りやすいという可能性も指摘されていますが、これは鳥種や種子の大きさ、果実の食べ方によって変わります。 hirahaku

ホオノキの場合

ホオノキの種子は、赤い仮種皮に包まれた後、黒っぽい硬い種皮をもつ比較的大きな種子です。そのため、カラスが丸ごと飲み込んだ場合、次の二つの経路が考えられます。

  1. 種子が消化管を通過し、糞と一緒に排出される。
  2. 硬い種子が砂嚢などに残り、ペリットとして吐き戻される。

ただし、ハシブトガラスは雑食性で、採食物を一律にペリット化する鳥ではありません。種子の大きさ、硬さ、仮種皮の残り具合、飲み込んだ量、消化管内での滞留時間などによって、糞と吐き戻しのどちらになるかが変わると考えられます。カラス類の種子散布研究でも、糞とペリットでは種子散布距離や含まれる種子の特徴が異なる可能性が議論されています。 esj.ne


結論として、ホオノキの種子がペリットとして吐き出される可能性は十分あります。しかし、今回の「種子から白い粘液が長く糸を引いた」現象自体は、ペリットではなく、採食時に残った仮種皮・果肉質部、あるいは種子表面の粘質物が伸びたものと考えるのが自然です。


Q6: 鳥がペリットで吐き出した種子の発芽能力はどうなっているか? 消化管を通過して種皮が傷つくことが発芽に必須なのか? 


A6:はい、ペリットで吐き出された種子でも、発芽能力を保っていることが多いです。むしろ、糞として長時間消化管を通過した種子より、ペリットとして比較的早く吐き戻された種子のほうが、発芽率が高い場合さえあります。 sora.unm

ペリット種子の発芽能力

ペリットは、種子が鳥の消化管を通過して完全に分解されたものではなく、砂嚢や胃に残った不消化物を比較的短時間で吐き出したものです。そのため、種子が生きていれば発芽できます。

実際、鳥に摂食された種子について、胃内容物・吐き戻し試料の発芽率が糞中の種子より高かった研究があります。 また、ハワイの在来植物を対象にした研究でも、糞として排出された種子とペリットとして吐き出された種子の双方で、未摂食の種子と同等またはそれ以上の発芽が確認されています。 sora.unm

種皮の傷は必須か

必須ではありません。 種皮が傷つくことは発芽を促進する場合がありますが、すべての植物で必要なわけではありません。

鳥の消化管によって起こり得る作用は、主に次の三つです。

  • 果肉や仮種皮の除去。
  • 種皮表面の軽い擦過・傷つき。
  • 胃液や消化液による化学的な処理。

このうち、種皮の擦過によって吸水性が高まり、発芽が速くなったり発芽率が上がったりする種があります。一方、種によって反応は異なり、鳥を通過しても発芽率がほとんど変わらない種や、強い消化作用で逆に損傷する種もあります。 journals.plos

特に重要なのは、種皮を傷つけることと、種子を殺さずに保護構造を維持することのバランスです。実験では、人工的に傷をつけた種子は、未処理種子より消化液や腸内環境に弱くなる場合もありました。 journals.plos

ホオノキではどうか

ホオノキ属では、鳥が赤い仮種皮(sarcotesta)を除去し、消化管を通過させることで発芽が促進されることが報告されています。 ホオノキの種子で重要なのは、必ずしも「硬い種皮に穴を開けること」ではなく、まず赤い仮種皮や粘質・果肉質の部分を除去することです。 coalicionfloresta

つまり、ホオノキでは次のように整理するのがよいでしょう。

処理発芽への意味
仮種皮が付いたまま発芽抑制や吸水阻害が起こり得る
ペリットで吐き出す仮種皮除去と軽い物理的処理により発芽可能性が高まる可能性
糞として排出仮種皮除去の効果に加え、消化管通過の影響を受ける
強い擦過・長時間消化胚を傷め、発芽率を下げる可能性

ただし、ホオノキ(Magnolia obovata)の種子が、ハシブトガラスのペリットで吐き出された場合の発芽率を直接測定した研究は、今回確認できませんでした。したがって、「ペリット種子は必ず糞中の種子より発芽率が高い」とまでは断定できません。

観察上の重要な点

ホオノキの種子では、カラスが次のどの段階で種子を排出したかが重要です。

  • 赤い仮種皮だけを嘴で取り除いて吐き出した。
  • 種子を一度飲み込み、短時間後にペリットとして吐いた。
  • 長時間後に、種子を糞とともに排出した。

最初の場合でも、仮種皮が除去されていれば、発芽に有利な前処理になり得ます。したがって、ペリットでなくても、カラスが種子を咥えて仮種皮を剥がし、地上へ落とすだけで、種子散布者として機能する可能性があります。

結論として、ペリットで吐き出されたホオノキ種子も生存して発芽できる可能性は高いが、種皮の傷つきは必須ではないと考えられます。ホオノキでは、種皮の物理的な傷よりも、赤い仮種皮・粘質部の除去が発芽に重要である可能性が高いです。 coalicionfloresta


Q7:哺乳類でホオノキの果実を食べる者はいないのか? 木に登るニホンザルやツキノワグマ、ホンドテン、ハクビシンなど

A7:はい、哺乳類もホオノキの果実を食べます。特にツキノワグマとホンドテンが重要な消費者・種子散布者として記録されています。 jstage.jst.go

哺乳類による採食の記録

ツキノワグマ

ツキノワグマはホオノキの果実を採食することが確認されています。 jstage.jst.go

  • 重要な種子散布者: ツキノワグマとホンドテンが、主に長距離の種子散布を担う tuat.ac
  • 採食量: 1回の訪問当たりに採食する果実量が特に多い tuat.ac
  • 食痕: 調査区内のホオノキにツキノワグマの爪痕が数多く見つかった記録がある eco-museum

"ツキノワグマ(Takahashi et al. 2008; Koike et al. 2008a)やテン(Otani 2002)などの食肉目(Koike et al. 2008b)も日本では重要な種子散布者である。" jstage.jst.go

ホンドテン

ホンドテンもホオノキの果実を採食し、種子散布に貢献しています。 jstage.jst.go

  • 長距離散布: ツキノワグマと共に、長距離の種子散布を担う主要な哺乳類 tuat.ac
  • 食肉目: テン科のホンドテンは、果実食(frugivory)の傾向が強い pref.nagano.lg

ニホンザル

ニホンザルも果実食者(frugivore)として記録されていますが、ホオノキに特化した記録は少ないです。 tuat.ac

  • 雑食性: 植物の葉や果実・種子、樹皮・冬芽・昆虫・両生類・キノコなど、様々なものを採食 moonbearjourney
  • 種子散布者: 日本ではニホンザルも重要な種子散布者の一つ tuat.ac

ハクビシン

ハクビシンに関する直接的な記録は見つかりませんでした。ただし、ハクビシンは果実食性が強く、多くの樹木の果実を食べることが知られています。 pref.nagano.lg

哺乳類と鳥類の役割の違い

散布者 特徴 散布距離
鳥類 カラス、ツグミ類など 中〜長距離 pubmed.ncbi.nlm.nih
ツキノワグマ 1回の採食量が多い 長距離 tuat.ac
ホンドテン 果実食性が強い 長距離 tuat.ac
ニホンザル 雑食性だが果実も食べる 中距離 tuat.ac

結論

ホオノキの果実は、鳥類だけでなく、哺乳類(特にツキノワグマとホンドテン)にも食べられています。 これらの哺乳類は、鳥類と同様に被食型の種子散布(endozoochory)に貢献しており、特に長距離散布において重要な役割を果たしています。 jstage.jst.go

ただし、都市近郊ではカラスが主要な種子散布者となっているとの報告もあります。 pubmed.ncbi.nlm.nih


Q8:野生動物(哺乳類)の糞内容物調査でホオノキの種子が検出されたのか?

A8:はい、野生哺乳類の糞内容物調査でホオノキの種子が検出された記録があります。特にツキノワグマとホンドテンの糞からホオノキ種子が確認されています。 tandfonline

糞内容物調査の記録

食肉目(ツキノワグマ、テンなど)による研究

Koike et al. (2008) の研究では、冷温帯落葉広葉樹林において、食肉目5種の糞から17植物種の種子が回収され、その中にホオノキ(Magnolia obovata)が含まれていました。 tandfonline

"Seeds from 17 plant species, representing about 50% of the fleshy-fruited plants occurring in the study forest, were recovered from the carnivore fecal samples." tandfonline

この研究で対象となった食肉目は:

  • ツキノワグマ (Ursus thibetanus)
  • ホンドテン (Martes melampus)
  • ニホンイタチ (Mustela itatsi)
  • ホンドキツネ (Vulpes vulpes)
  • タヌキ (Nyctereutes procyonoides)

糞中の種子の健全性

食肉目の糞から回収された種子は、**ほぼ完全に健全(intact)**であることが確認されています。 web.tuat.ac

"Almost all seeds within feces of both mustelids were intact." repository.kulib.kyoto-u.ac

"採食や消化過程においてこれらの食肉目は液果の種子をほとんど破壊しないことを明らかにしました。" web.tuat.ac

種子散布距離

森林総合研究所の研究(2016)では、糞内容物調査と酸素同位体比分析を組み合わせて、標高方向の種子散布距離を測定しました。 tenbou.nies.go

哺乳類 平均散布距離
ツキノワグマ 平均 307 m(標高の高い方向) tenbou.nies.go
ホンドテン 平均 193 m(標高の高い方向) tenbou.nies.go

糞に種子が含まれる割合

別の研究では、各哺乳類の糞のうち種子が含まれていた割合が報告されています。 foundation.tokyu.co

哺乳類 種子を含む糞の割合
ツキノワグマ 86.8% foundation.tokyu.co
ホンドテン 70.8% foundation.tokyu.co
アナグマ 57.8% foundation.tokyu.co
タヌキ 59.6% foundation.tokyu.co
キツネ 41.6% foundation.tokyu.co

結論

ホオノキの種子は、ツキノワグマとホンドテンの糞内容物調査で確実に検出されています。 これらの哺乳類は、種子をほとんど破壊せずに消化管を通過させ、長距離(平均 200–300 m)の種子散布に貢献しています。 tandfonline


Q9:ホオノキ種子を食べていたハシブトガラス個体(成鳥)は、頭部の羽毛が抜けていて少し剥げていた。この時期(9月上旬)は換羽中なのか? それとも病的な症状か?


A9:その個体の頭部の羽毛が抜けていたのは、9月上旬という時期から考えて、換羽(も羽)のピーク時の正常な現象である可能性が極めて高いです。 ja.wikipedia

ハシブトガラスの換羽時期

換羽のスケジュール

ハシブトガラスの換羽は、以下のようなスケジュールで進行します。 jstage.jst.go

項目 ハシブトガラス
換羽開始 6月上旬(雛の巣立ち後) jstage.jst.go
換羽終了 9月下旬〜10月上旬 jstage.jst.go
換羽期間 約110〜120日(初列風切羽) jstage.jst.go
ピーク 7月下旬〜9月 carasblog

9月上旬の換羽状態

9月上旬は、ハシブトガラスの換羽がピークを迎える時期です。 carasblog

"7月下旬からゆっくりと換羽が始まり、9月に入ってピークを迎えた。" carasblog

"彼らは例年、7月から9月下旬にかけて、ゆっくりと羽毛が生えかわっていく。" carasblog

"顔の周りの羽毛がごっそりと抜ける時期が換羽のピークである。" carasblog

頭部の脱羽

カラス類では、春〜初秋の換羽期間に頭部の脱羽が起こることが知られています。 akaitori3.web.fc2

"|頭部の脱羽|春〜初秋の換羽期間に起こる。カササギ類で特に多く、頭の全ての羽毛を一度に換羽。" akaitori3.web.fc2

また、換羽中のカラスでは、**頭部が「濡れたように見える」または「脂っぽく見える」**状態になることが報告されています。 reddit

"It seems they are shedding their feathers, which frequently results in a rather disheveled appearance." reddit

病的な症状との区別

換羽による正常な状態

  • 時期: 6月〜10月(特に7月〜9月) jstage.jst.go
  • 外見: 頭部の羽毛がまばら、または一部が剥げて見える carasblog
  • 行動: 正常に採食・飛行可能 note

病的な症状の可能性

以下のような場合は、病的な状態(寄生虫、感染症、栄養不良、ストレスによる自傷行動など)が疑われます。 ja.wikipedia

  • 時期外: 換羽期(6月〜10月)以外での脱羽
  • 広範囲: 頭部以外の広範囲で羽毛が抜けている
  • 行動異常: 採食・飛行に支障がある
  • ストレス: ストレスを受けると自然な換羽ではなく、自ら羽毛を引き抜く自傷行動がしばしばみられる ja.wikipedia

結論

あなたが9月上旬に観察した個体の頭部の羽毛が抜けていたのは、換羽のピーク時における正常な現象である可能性が極めて高いです。 特に「顔の周りの羽毛がごっそりと抜ける時期」が換羽のピークであり、頭部が剥げて見えることは珍しくありません。 jstage.jst.go

ただし、その個体が正常に採食・飛行できていれば、病的な症状ではなく、季節的な換羽の一部と判断してよいでしょう。 note



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