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2025/03/13

下半身が麻痺したまま巣口で座り込んで動けないホンドタヌキの横で巣材を集めるハシブトガラス【野鳥:トレイルカメラ】

 

前回の記事:▶  


2024年3月下旬 

ニホンアナグマMeles anakuma)が死んだ後も、自動撮影カメラでその営巣地(セット)の監視を続けています。 
ホンドタヌキ♀♂(Nyctereutes viverrinus)が巣穴を乗っ取ったようです。 

シーン1:3/30・午後16:04・晴れ・気温14℃(@0:00〜) 下半身を麻痺した個体と思われるタヌキが、巣口Lから顔を出して外の様子を伺っています。 
心なしか、ブルブル震えているようです。 
足が不自由で食べ物を充分に摂れず、カロリー不足で低体温なのでしょう。
夕方の時間帯は巣口Lの窪地は日が当たらず、日光浴もできなくなりました。 

そこへハシブトガラスCorvus macrorhynchos)がタヌキの目の前に舞い降りました。 
画角の左端でカラスの顔が見切れてしまい、何をしているのか分からなかったのですが、くるっと振り返って右を向いてくれたら、ハシブトガラスが嘴に獣の抜け毛の束を咥えていました。 
産座に敷き詰める巣材を集めているようです。 
アナグマの死骸を食べていたタヌキが死骸を巣口Rの近くまで引きずってきて、そこからカラスは毛を毟り取って来たのかな?


 ハシブトガラスは、巣口Lで身動きできない「いざりタヌキ」から体毛を直接毟りたそうにしていますが、実行しませんでした。 

しばらくすると、ハシブトガラスが2羽一緒に左から登場しました。 
まさか、スカベンジャー(死肉食)のカラスが衰弱したタヌキの死を待ちきれずに、襲って捕食するでしょうか? 
足腰の弱った「いざりタヌキ」は、カラスに襲われないように巣口Lに籠城しているのかもしれません。 
健常個体のタヌキなら、これほど至近距離にカラスが来て挑発したら、逆に襲いかかろうとしたりカラスを追い払ったりするはずです。 


シーン2:3/30・午後16:07・晴れ・気温20℃(@0:00〜) 
別アングルに設置した監視カメラで続きが撮れていました。 
(こちらのカメラには西日が直接当たって、気温が高く表示されます。) 

巣口Lの窪みに座り込んだ「いざりタヌキ」が身震いし、毛繕いを始めました。 
その近くでハシブトガラスがタヌキの様子を見ています。 
死期が近いのを知っていて、あわよくば生きているうちから捕食したいのでしょうか?
産座用の巣材としてタヌキの毛を直接毟り取りたいのかもしれません。 
カラスはトコトコ歩いて営巣地を横切ると、もうひとつの巣口Rに行くと中の様子を覗き込みました。 
林床で巣材となる枯れた落ち葉(アナグマの死骸由来の抜け毛かも?)を拾い集めると、右に飛び去りました。 


ハシブトガラスの巣材集めを1.5倍に拡大した上でリプレイ。(@2:00〜) 


シーン3:3/30・午後16:07・晴れ・気温16℃(@2:18〜) 
その後も、巣口Lで呆然としている「いざりタヌキ」の様子を5倍速の早回しでご覧ください。 
もしかすると、巣口Lの窪みにはまってしまって、抜け出すことが出来ないのかもしれません。 
下半身が麻痺した状態で地中の巣穴に出入りするのは大変です。 
下手したら、二度と地上に出れなくなるかもしれません。 

この後どうなったのか、とても気になりますが、監視カメラに写っていませんでした。 


つづく→

2025/03/12

ムシトリナデシコの花壇で虫撮り:キタテハ♀夏型【FHD動画&ハイスピード動画】

 

2023年6月中旬・午後13:45頃・晴れ 

堤防路の花壇に咲いたムシトリナデシコの群落で夏型のキタテハ♀(Polygonia c-aureum)が訪花していました。 
翅をしっかり閉じたまま口吻を伸ばして吸蜜しています。 
やがて半開きで翅を開閉するようになりました。 
翅表の地色が薄いので♀と判明。 
集散花序の上では、わざわざ飛ばずに歩いて次の花へ移動します。 (省エネ時短)

キタテハがムシトリナデシコの花から飛び立つ瞬間を狙って、240-fpsのハイスピード動画でも撮ってみました。(@1:55〜) 
訪花中にキタテハが中脚で顔を拭い、付着した花粉を落としました。
(ちなみに、タテハチョウ科の前脚は退化しています。) 
私が痺れを切らして物を投げつけたら、ようやく飛んでくれました。 



2025/03/11

死んだニホンアナグマから乗っ取った巣穴でホンドタヌキの群れが早春の夜に繰り広げるドラマ【トレイルカメラ:暗視映像】いざりタヌキ他

 



2024年3月下旬 

平地の二次林で死んだニホンアナグマMeles anakuma)の営巣地(セット)を乗っ取ったホンドタヌキ♀♂(Nyctereutes viverrinus)を自動撮影カメラで監視しています。 
今回は2日間で少なくとも計4頭のタヌキが登場します。 
♀♂ペアがこの巣穴の新しい主で、他には(交通事故で?)麻痺した下半身を引きずって歩く「いざりタヌキ」が登場します。 


シーン1:3/24・午後20:18・降雪・気温5℃(@0:00〜) 
小雪がちらつく晩に、2頭のタヌキabが巣口R付近に来ていました。
採餌から戻ってきた♀♂ペアでなのでしょうか? 
尻尾の黒斑で個体識別できるかな? 

多数の落枝で戸締まり(隠蔽)された巣口Rに1頭♀aが苦労して潜り込みました。 
2頭目♂bが巣口Rで順番待ちしていると、画面の右下から3頭目cがやって来ました。 
♂bに誰何されたcは、怯えたように腹這いの服従姿勢になりました。 
それを見た♂bはcを攻撃するでもなく左に引き返すと、巣口R横に左足を上げながら排尿マーキングしてから、入巣R。 
独り残されたcは欠伸してから立ち上がり、巣口Rに近づきました。 
その背後から4頭目の個体dが右下から登場。 
dは右後脚を引きずって歩く「いざりタヌキ」でした。 


シーン2:3/24・午後20:20・降雪(@1:00〜) 
「いざりタヌキ」はどこに行ったのか、姿が見えません。 
巣穴の主♀♂に入巣Rを許されたのでしょうか? 

出巣Rしたばかりの家主と思われるタヌキが単独で身震いしました。 
辺りを見回してから入巣R。 
しばらくすると、同じ巣穴Rからタヌキが外に出てきました。 
身震いしてから左の巣穴Lに向かい、匂いを嗅ぎました。 


シーン3:3/24・午後20:30・降雪・気温7℃(@1:39〜) 
10分後に2頭のタヌキが戻ってきて、夜の営巣地をうろついています。 
1頭は「いざりタヌキ」で、麻痺した右後脚を痛々しく跛行しています。 
もう1頭は林縁をうろつき、2つの巣口LRを順に点検して回ります。
この2頭で行動を共にしているということは、♀♂ペアなのかもしれません。 


シーン4:3/24・午後20:34・降雪・気温8℃(@2:39〜) 
3頭のタヌキが仲睦まじく顔を寄せ合い、巣口Rを覗き込んでいます。 
なんとなく、巣穴の主である♀♂ペアではなく、余所者の3兄弟っぽい気がするのですが、個体識別ができていません。 
1頭が(勇気を出して?)巣穴Rに入り、それを巣口Rで見守る2頭(どちらかが「いざりタヌキ」?)が対他毛繕いを始めました。 
家主のタヌキがせっかく落枝で戸締まりしても、同種のタヌキに対しては防犯効果が薄いようで、あっさり突破されてしまいます。 


シーン5:3/24・午後20:59・降雪・気温5℃(@3:39〜) 
25分後に監視カメラが起動すると、3頭の健常タヌキが写っていました。 
そのうちの1頭が入巣R。 
残りは1頭が巣口Rに留まり、もう1頭が奥の林内に立ち去りました。 


シーン6:3/24・午後21:00・降雪(@4:22〜) 
奥の林内を左から右へ白く光る眼がやって来ました。 
その正体はタヌキ♀でした。 
途中で立ち止まって林床に腰を低くかがめて放尿マーキングしたようです。 
排尿姿勢から♀と分かります。 
営巣地には近寄らず、そのまま右へ向かいました。 

健常タヌキ♀がマーキングしたシーンを1.5倍に拡大した上でリプレイ。(@4:56〜) 


シーン7:3/24・午後22:26・降雪・気温2℃(@5:03〜) 
左から来たタヌキが手前に回り込んで巣口Rを見たものの、そのまま右へ立ち去りました。 
実は画面の右下済で、別個体のタヌキがじっと座り込んでいました。 
映像を早回しにすると、身動きしていることが分かります。 
カノッサの屈辱のように、入巣Rが許されるまでじっと待っているのでしょうか? 

その辺りで3日後の3/27にニホンアナグマの死骸を私が発見したのですが、3/24の時点でタヌキが死骸を見つけて食べ始めたのかどうか不明です。 
アナグマの死骸が残雪の下にまだ埋もれていたり、あるいはタヌキが別の場所から引きずって来た可能性があるからです。 


シーン8:3/25・午前2:10・降雪・気温2℃(@5:29〜) 
日付が変わった深夜になっても、小雪がちらついていました。 
健常タヌキが営巣地をうろつき、地面の匂いを嗅ぎ回っています。 


シーン9:3/25・午前3:02・降雪・気温1℃(@6:29〜) 
1頭のタヌキaが巣口Rを見下ろすように佇んでいます。 
実はもう1頭bが左の暗がりへ立ち去るところでした。 
さらにもう1頭のタヌキcが巣口Rから顔だけ出して振り返り、侵入者?aを警戒しています。 
巣口LRの中間地点でaが座り込み、辺りを警戒しています。 
苦労してようやく出巣Rしたタヌキcが巣外でaと挨拶を交わしました。 
cは「いざりタヌキ」でした。 
巣口Rのちょっとした崖(窪地、アナグマが掘ったアクセストレンチ)をよじ登るのにも苦労しています。
aと「いざりタヌキc」は♀♂ペアなのかもしれません。


シーン10:3/25・午前3:08・降雪・気温2℃(@7:29〜) 
5分後に監視カメラが起動すると、左端の暗がりを1頭のタヌキが左へ立ち去るところでした。 
そして営巣地には誰もいなくなりました。 
特に「いざりタヌキ」の行方が気になります。 


※ 動画の一部は編集時に自動色調補正を施しています。 


【考察】 
下半身を麻痺した「いざりタヌキ」も巣穴Rに出入りしていることが新たに分かりました。 
てっきり家主のタヌキ♀♂ペアに入巣を拒まれていると思っていたので、意外でした。 
もしかすると、家主の♀♂ペアが留守だったのでしょうか? 
巣穴Rの中は広くて、♀♂ペアと「いざりタヌキ」は別々の居住区に住んでいるのかもしれません。
♀♂ペアと血縁関係にあるヘルパーが一緒に住み着いている可能性もあり得ます。

「いざりタヌキ」は歩行スピードがきわめて遅く、採餌効率が悪いため、自然治癒で回復しなければ長生き出来そうにありません。 
この辺りに野犬はいませんが、例えばキツネやテン、イタチなどの小型(中型)肉食獣が手負いの「いざりタヌキ」と出会ったら、襲って捕食するでしょうか?

アナグマから乗っ取った巣穴を巡って、近隣から集まったタヌキ同士で何かすごく興味深い複雑なドラマが連日起こっているようです。 
早春はタヌキの発情期であることも複雑なドラマに関係がありそうです。 
しかし、タヌキの個体識別ができないことには深い解釈が出来ず、歯痒い限りです。 
今後AIや画像認識がさらに発達して、トレイルカメラの定点映像から自動的に野生動物の個体識別をしてくれる時代が到来するのを心待ちにしています。 
それまで私は定点監視の動画を撮り貯めておきます。


2025/03/10

夕方に水路の手摺を伝い歩くニホンザルの群れ

 

2023年12月中旬・午後16:05頃・くもり・日の入り時刻は午後16:24

野生ニホンザルMacaca fuscata fuscata)の群れが山麓の用水路の手すりを伝い歩いて遊動していきます。 
夕方でかなり薄暗くなり、カメラのAFが被写体に合焦しにくくなりました。 
地面の草地に寝そべって対他毛繕いを受けている個体もいました。 
ねぐらとなる森を目指しているようですが、私は途中で追跡を断念しました。

2025/03/01

アナグマから奪った営巣地で早春にホンドタヌキ♂がパートナー♀の発情チェック【トレイルカメラ】

 



2024年3月下旬 

シーン1:3/24・午後12:56・晴れ・気温22℃(@0:00〜) 

平地の二次林で、ホンドタヌキNyctereutes viverrinus)が死んだニホンアナグマから奪った営巣地(セット)を自動撮影カメラで見張っています。
♀♂つがいと思われる2頭のタヌキがようやく昼寝から起きました。
右の個体が左の個体に近寄ると、つきまといながら相手の尻の匂いを頻りに嗅いだり舐めたりしました。 
相互毛繕いではなく、一方的な行動でした。 
早春の時期ですから、おそらく♂がパートナー♀の発情状態を調べているのでしょう。 
その間、♀は嫌がらずに尻尾を持ち上げました。 
交尾前の前戯なのかと思ったのですが、残念ながらここで録画が打ち切られていました。 

実は同じ日の早朝にも、♂は♀の発情の有無を調べています。 


シーン2:3/24・午後13:18・晴れ・気温25℃(@1:00〜) 
しばらくすると、タヌキ♀♂は相次いで右へのそのそと立ち去りました。 




2025/02/23

ホンドタヌキ2頭がアナグマの死骸を一緒に食べ、1頭が引きずって持ち去る【トレイルカメラ:暗視映像】

 



2024年3月下旬 

シーン1:3/27・午後20:19(@0:00〜) 
右後脚の不自由な個体がニホンアナグマMeles anakuma)の死骸から立ち去ったと思いきや、その1分半後に別個体のホンドタヌキNyctereutes viverrinus)が右からやって来ました。 
 右後脚を引きずって歩くタヌキ個体が画面の手前(立木の下)で居座って毛繕いしています。 
その奥には健常個体が来ています。 
獲物を先に見つけた跛行個体が獲物を横でガードしている(占有行動)ようで、健常個体はその周囲をうろついているだけです。 
この2頭がどういう関係なのか、個体識別ができていないので私には分かりません。 
顔見知りや♀♂つがいの関係かもしれません。 
跛行個体が獲物をシェアするためにパートナーを呼びに行ったのか?と思ったりもしたのですが、健常個体は初め遠慮しています。 


シーン2:3/27・午後20:20(@1:00〜)
右後脚を麻痺したタヌキ個体が、アナグマの死骸を再び食べ始めました。 
体の向きを変えてくれたおかげで、食事中の口元を正面から見れようになりました。 
死骸の尻や腰の辺りを重点的に食べ進めています。 

しばらくすると健常個体のタヌキが戻ってきて、未練がましく周囲をうろつき始めました。(@1:45〜) 
食事中の跛行個体は、健常個体をちらっと見ただけでした。 
左から回り込んできた健常個体がアナグマ死骸の頭部の匂いを嗅いでいます。 
相手の下半身が不自由なことを悟った健常個体が、獲物を巡る喧嘩になってもすぐに逃げられるように、獲物の反対側から回り込んできたのかもしれません。
食事中の跛行個体は意外に寛容で、自分の食事を続けています。 


シーン3:3/27・午後20:21(@2:00〜)
 同じアナグマ死骸の前後から2頭のタヌキが同時に食べ始めました。 
跛行個体は死骸の毛皮も引きちぎって食べています。 
ようやく健常個体も死骸の下半身に移動して、2頭のタヌキは仲良く並んで食べ始めました。 


シーン4:3/27・午後20:23(@3:00〜)
跛行個体は満腹になったようで、食事を止めて毛繕いを始めました。(@3:28〜) 
しかし、その動きもどこかぎこちなく、素人目には神経症状(麻痺?)が出ている気がしてなりません。 

その横で(画面上では下で)、健常個体が死骸を貪り食っています。 


シーン5:3/27・午後20:24(@4:00〜)
跛行個体は死骸の傍らに座ったまま、毛繕いしています。 

健常個体はいつの間にか死骸の右に移動していて、死骸をがっちり咥えたまま、ぐいぐいと力強く左へひきずり始めました。(@4:25〜) 
死骸の肉片を引きちぎるためというよりも、監視カメラを嫌がって死角(立ち木の陰)に隠れかったのかもしれません。 
獲物を相手に奪われまいと2頭のタヌキが綱引きのように引っ張り合うことはありませんでした。


シーン6:3/27・午後20:25(@5:00〜) 
食事をしながら健常個体がアナグマの死骸を更に右へ引っ張りました。(@5:14〜) 
少し引きずった後で、死骸が林床の落枝に引っかかって動かせなくなりました。 
立木に隠れていた健常個体の口元が横から見えるようになりました。 
タヌキは肉片を引きちぎる際に、前脚で押さえつけることをしないで、顎の力だけに頼るようです。 


シーン7:3/27・午後20:26(@6:00〜) 
健常個体はアナグマの死骸をさらに右へ引きずって行きます。(@6:03〜) 
跛行個体が毛繕いの合間に軽く欠伸をしました。(@6:44〜) 


シーン8:3/27・午後20:28(@7:00〜) 
食事を続ける健常個体がアナグマの死骸を強力な顎で咥えて少しずつ右へ右へと引きずって行きます。 
跛行個体から獲物をシェアさせてもらったのに、さり気なく奪い取ってしまおうという魂胆なのかもしれません。 


シーン9:3/27・午後20:29(@8:00〜) 
ようやく跛行個体が体の向きを変え、下半身を痛々しく引きずりながら、立ち木の陰に移動しました。(@8:04〜) 
やはり監視カメラの存在に気づいていて、その死角に隠れたかったようです。 
2頭間の鳴き交わしは一度も聞き取れませんでした。 


シーン10:3/27・午後20:35(@9:00〜) 
遂に、監視カメラの画角からニホンアナグマの死骸が無くなりました。 
健常個体のタヌキが、死骸を引きずって画角の右外に運び去ってしまったようです。 
獲物を独り占めにする魂胆なのでしょうか? 

立ち木の陰に取り残された跛行個体は、えづいているようです。 
食後に強力な胃酸がこみ上げているのかな? 
直前までアナグマの死骸があった位置の林床の匂いを頻りに嗅いでいます。 
死骸を追いかけたくても、悲しいかな足が悪いので追いつけません。 


シーン11:3/27・午後20:35(@10:00〜) 
跛行タヌキが立ち木の陰からようやく移動を始め、そして誰も居なくなりました。 


シーン12:3/27・午後20:35(@10:32〜) 
約15分後に健常個体のタヌキが戻ってきました。 
別個体(3頭目)の可能性もありえます。 
アナグマの死骸が初めに横たわっていた場所の匂いを嗅いでから、右上隅に座り込んで毛繕いを始めました。 


シーン13:3/27・午後21:46(@11:32〜) 
林床に座って休んでいた健常個体が立ち上がると、右へ立ち去りました。 
監視カメラの電池が連続録画で消耗してしまい、これ以降は短い暗視動画しか撮れなくなりました。 


シーン14:3/27・午後23:11(@11:40〜) 
約1時間半後に健常タヌキが左から現れ、林床に残るアナグマの死臭を嗅いでから画面の下へ向かいました。 


シーン15:3/27・午後23:21(@11:53〜) 
健常タヌキが上から来て、アナグマ死骸の残り香を嗅いでいます。 


シーン16:3/28・午前2:00(@12:06〜) 
日付が変わった深夜、健常タヌキが左から来て、立ち木の陰で食べ残しの肉片(骨)を見つけて拾い食いしました。 
尻尾の黒班が濃くて独特な個体です。 


【考察】 
おそらく♀♂ペアと思われるホンドタヌキがニホンアナグマの死骸をシェアして食べるシーンは見応えがありました。
可愛いタヌキのイメージしか無い人にとっては、刺激が強すぎるかもしれません。
しかし、後半になると、健常個体が死骸を独り占めして運び去ってしまいました。
アナグマが冬眠していた営巣地(セット)をタヌキが乗っ取ったようですが、異臭を放つ不潔な死骸を巣穴から遠ざける意図もあるのでしょうか? 
タヌキの健常個体が計何頭登場したのか、私には見分けられません。
特に後半は複数のタヌキ(健常個体)が入れ代わり立ち代わりやって来たような気がしています。

もしかすると、巣穴で同居していたアナグマが越冬中に死んだので、「同じ穴の狢」であるタヌキが巣外に引きずり出したのかもしれません。
その可能性を念頭に置いて、過去の監視映像を見直す必要がありそうです。(映像公開予定)

アナグマの死骸がスカベンジャーに食べ尽くされるまでの過程をトレイルカメラで見届けられず、残念でした。 
死骸が途中で持ち去られてしまうのは想定内でした。 
それを防ぐ(少しでも遅らせる)ために、次回は予め動物の死骸を立木に固定しておく必要がありそうです。 
予め死骸の周囲に大量の落枝を障害物として並べておけば、スカベンジャーが死骸をひきずって運べないようにできたかもしれません。 


今回は死んだアナグマの亡骸をタヌキが食べましたが、逆にアナグマがスカベンジャーとして死骸を食べる事例もあるそうです。 
たまたま『イギリス花粉学者の科学捜査ファイル:自然が明かす犯罪の真相』という本を読んでいて、初めて知りました。 
イギリスの墓地で遺体を食い荒らす犯人の正体がトレイルカメラによってヨーロッパアナグマと分かったことがあるそうです。 
日本では土葬の習慣が無くなって久しいですから、そのような事例を私は聞いたことがありませんでした。
そこでPerplexity AIに質問してみたら、以下の回答を得ました。(出典のリンクは割愛)
## 実在事件におけるアナグマの関与 
2024年8月に英国スコットランド・ボーダーズ地方のジェドバラ修道院墓地で発生した遺骨散乱事件では、アナグマの関与が強く疑われた[3]。地元自治体が設置した野生動物監視カメラの映像分析により、複数のアナグマが夜間に墓荒らしを行う様子が捉えられた[3]。法人類学者チームの鑑定では、19世紀に埋葬された遺体の脛骨に残る咬痕が、アナグマの歯列と一致することが判明している[3]。 この事件を受け、ヒストリック・エンバイロメント・スコットランド(HES)は文化財保護の観点から、野生動物対策ガイドラインの改訂を余儀なくされた[3]。具体的には、歴史的墓地の保全区域にステンレス製の地下バリアを設置する工法が開発され、アナグマの掘削行動を物理的に阻止する試みが進められている[3]。生態学者の介入により、アナグマの生息域拡大が加速した背景には、気候変動に伴う餌資源の変化が指摘されている[3]。

 

# 推理作品と実例におけるアナグマの死体食害に関する研究報告 
近年の推理小説や刑事ドラマでは、法医学的知見が物語の核心を成すケースが増加している。特に死後経過時間の推定に微生物学的分析や法医昆虫学を活用する描写が目立つ中、野生動物による死体損傷がプロットに組み込まれる事例も散見される。本報告では、アナグマ(Meles meles)を主要なスカベンジャーとして扱ったフィクション作品と実在事件を分析し、法科学と野生動物生態学の接点を探る。 
## 英国テレビドラマ『Badger』における野生動物犯罪の描写 
1999年から2000年にBBC Oneで放送された警察プロシージャルドラマ『Badger』は、野生生物犯罪捜査官トム・マッケイブを主人公とする異色のシリーズである[2]。ノーサンバーランド州を舞台に、密猟や動物虐待事件を扱う本作のエピソード「When Boyd, a local fisherman...」では、ファーン諸島で発見された漁師の変死体を巡り、アザラシの生態と人間の利害関係が交錯する[2]。劇中では海底地形が死体の損傷状態に与える影響が捜査の鍵となるが、野生動物保護官の立場からマッケイブが「動物の行動パターンが犯罪現場を改変するリスク」を指摘する場面が特徴的である[2]。 特に注目すべきは、第2シリーズのエピソードで描写されるアナグマをめぐる法廷闘争である。架空の事件ながら、アナグマの巣穴近くで発見された遺体の損傷部位から、死因の特定が困難になるプロセスが詳細に再現されている[2]。制作にあたっては実際の警察野生生物連絡官ポール・ヘンリーが監修を担当し、アナグマの摂食行動が残す咬痕の特徴について、法医学的観点から考証が行われたことが確認されている[2]。 
## ミッドサマー殺人事件シリーズの象徴的舞台 
キャロライン・グラハム原作『バッジャーズ・ドリフトの殺人』(1987年)は、ITVの人気ドラマ『Midsomer Murders』の原型となった作品である[5]。田園地帯の静かな村で起きた連続殺人事件を描く中で、現場近くの森に生息するアナグマの群れが重要な伏線として機能する。作中では、被害者の一人がアナグマの巣穴近くで発見されるシーンがあり、死体の損傷状態から自然死と他殺の鑑別が課題となる[5]。 特に注目すべきは、法医昆虫学者がアナグマの糞中から人間の組織片を検出する描写である。この科学的根拠に基づき、捜査官バーナビーが犯行時刻の特定に成功するプロセスは、当時の推理小説における先駆的な法科学描写として評価できる[5]。原作出版から30年を経て2022年に行われた特別復刻版の解説によれば、グラハムはオックスフォード大学の野生動物研究所と連携し、アナグマの摂食パターンに関する実証データを収集したことが明らかになっている[5]。 

つづく→下半身の麻痺が進むホンドタヌキがいざり歩き、死んだアナグマの骨をかじる【トレイルカメラ:暗視映像】


2025/02/18

越冬できずに死んだニホンアナグマの亡骸に群がるクロバエ

 



2024年3月下旬・午後13:30頃・晴れ 

平地の二次林でニホンアナグマMeles anakuma)が冬眠する営巣地(セット)を2台のトレイルカメラで長期間監視しています。 
カメラの電池とSDカードを交換するため久しぶりに現場入りすると、衝撃の展開が待ち構えていました。 
うららかな早春の日差しを浴びて雪解けが進む林床に、野生動物の死骸が横たわっていたのギョッとしました。 
場所はよりにもよって、巣口Rを北側から狙うトレイルカメラNを固定した灌木の真下でした。 

死骸は腐敗が進んでいて、辺りに死臭が漂っています。 
茶色の毛並みはボサボサでした。
一瞬タヌキかと思ったのですが、前足に鋭い爪があるのでアナグマと判明。 
なぜか左前脚の毛皮がずる剥けで、皮膚が露出しています。
後脚の太腿などに、スカベンジャー(カラス?)が死骸を損壊した形跡があります。 
むしり取られた茶色い毛玉が風で飛んだのか、少し離れた地面に落ちていました。 

自分では冷静を保っているつもりでも、やはり精神的なショックが大きかったようで、後で思うと現場での観察が色々と不充分でした。 
例えば横臥している死骸を裏返して反対側(右側面)も調べるべきなのに、やっていません。 
股間の外性器や乳首などを調べて性別を確認すべきだったのですが、とてもその気になれませんでした。 
ゴム手袋やビニール袋などを何も持ってこなかったので、死骸に触れることができない、という事情もありました。 
死んだのが若い個体(当歳仔)なのか成獣か、という点も気になるものの、分からずじまいです。 
成獣なら寿命かもしれません。 

解剖しない限り、アナグマの死因は不明のままです。 
今季は異常な暖冬で積雪量も例年より少なかったので、アナグマの冬眠と覚醒のリズムが狂って無駄に体力を消耗し、餓死したのではないか?と素人ながら疑ってしまいます。 
死骸は腐敗が進んでいるため、持ち帰って解剖する気になれませんでした。 
新鮮な死骸だったら、体重を計ったり、解剖して胃内容物や体脂肪の厚さを調べたりすれば、餓死かどうか分かったかもしれません。 
剖検して骨折などが見つかれば、車道に出た際に交通事故で負傷したまま、なんとか営巣地まで戻ってきて息絶えたというシナリオが考えられます。 
大型のスカベンジャー(鳥や哺乳類)が死骸を食べに来ているらしく、アナグマの死骸は毛皮の一部が剥ぎ取られ、露出した肉が食い荒らされていました。 

アナグマは餓死したのではなく、巣穴を乗っ取ろうとする他の野生動物に襲われて、殺されたのでしょうか? 
容疑者としては、ホンドギツネやホンドタヌキ、ホンドテン、ニホンイタチが考えられます。 
これらの動物はいずれも、ニホンアナグマの冬眠する巣穴に潜り込んで物色する姿がトレイルカメラに写っていました。 
「同じ穴のむじな」として平和に同居していると思っていたのに、まさか居候が家主を殺すでしょうか? 
タヌキは自分で巣穴を掘れないので、穴掘りの得意なアナグマに依存(片利共生)しないといけません。 

アナグマがいつ死んだのかも、私には分かりません。 
私が前回(16日前の3月中旬)現場に来たときはアナグマの死骸を見ていません。
そのときは雪の下に死骸が埋もれていた可能性もあり得ます。 
早春になって積雪が溶けた結果、アナグマの古い死骸が現れたのかもしれません。 
遺体の下は日陰となって、まだ残雪がありました。 
残雪と接地していることで死骸の右半分がずっと冷やされて続け(冷蔵保存)、腐敗の進行が辛うじて抑えられているようです。

次に、推理小説や刑事ドラマで最近よく活躍する法医昆虫学者の真似事をしてみました。 
素人が死亡時期を推定できるでしょうか? 
「寒の戻り」と言って寒波(雪)が断続的に戻って来る早春には昆虫がまだほとんど活動しておらず、腐肉食性昆虫相による死亡時期の推定は難しそうです。 

それでも、クロバエ科の仲間(種名不詳)が2匹、アナグマの死骸に来ていました。 
クロバエは成虫で越冬しますから、気温が高ければ死臭を嗅ぎ取っていち早く飛来します。 
この日はよく晴れて、日向の気温は高そうです。 
(午後14:21の気温は27℃でした。)
クロバエは口吻を伸縮して死骸の表面で吸汁していました。 
特にアナグマ死骸の耳の穴や、後脚太腿の食い荒らされた傷口を舐めています。 
歩いてアナグマの左目に移動したものの、アナグマは目をしっかり閉じていたので水分の多い眼球を舐めることは出来ず、離れていきました。
食事の合間に左右の前脚を擦り合わせて身繕いしています。 
クロバエの複眼を見る限り、この個体は♀のようです。(左右の複眼が頭頂で接していない。) 
もし♀なら死骸に産卵するはずですが、腹端を見ても、動画には撮れていませんでした。 
卵胎生で幼虫を産み付ける(産仔)ニクバエ科と違って、クロバエ科の♀は産卵するそうです。
このクロバエの種類を見分けられる方がいらっしゃいましたら、教えて頂けると助かります。 
クロバエ科は(死体の)膨隆期まで、ニクバエ科は腐朽期まで入植が見られる。ニクバエ科は温暖期にのみ活動するが、クロバエ科は(中略)気温が低い時期はクロバエ属をはじめとするクロバエ類が活動している。 (三枝聖『虫から死亡推定時刻はわかるのか?―法昆虫学の話 』p61より引用)

クロバエ科・ニクバエ科意外のハエは通常、新鮮期の死体には入植しない。(同書p63より引用) 

筆者はブタの死体を着衣状態で野外に放置して、経過を調べる研究実験も敢行しています。

雪国の岩手県で研究なさっているので、勝手に親近感を覚えます。

晩秋・早春など温暖期と寒冷期の移行期(寒暖境界期) は気温が低く、ブタ死体の腐敗分解はゆるやかに進行するため、顕著な膨隆期はみられず、乾燥が進行する。(p111より引用)

 

寒暖境界期に活動するクロバエのウジは、低温対策のためか死体内部に潜行する傾向があり観察が難しいこと、成長もゆっくりと遅いことから、死後経過時間推定の指標とするには体長の計測のみでは不充分である (p112より引用)


現場では気づかなかったのですけど、死んだアナグマの前足の肉球の隙間に、白いウジ虫(ハエの幼虫)が蠢いているようです。 
気温がまだ低い早春には、死骸に湧いたウジ虫を捕食するハネカクシ類などが活動していません。

動画を見直して初めて気づいたのですが、死骸の毛皮に付着している数個の小さな茶色い紡錘形の物体は、ハエの蛹(囲蛹)ですかね? 
死骸に産み付けられたハエの卵が孵化して低温下で蛆虫を経て蛹になったとすれば、アナグマが死んでからかなりの日数が経過していることになります。 
それとも、謎の異物はひっつき虫などの植物由来かな? 
クロバエの蛹が死骸の毛皮に付着した状態で見つかるのは不自然ではないでしょうか?
クロバエが動物の死骸に産卵した場合、老熟した幼虫は死骸を離れて地中などで蛹化するはずです。 
Perplexity AIの回答によれば、
死骸の毛皮にクロバエの蛹が付着していることは、稀ではありますが、以下の状況では可能性があります 
・死骸の状態: 腐敗が進んでいない比較的新鮮な死骸の場合
・環境条件:周囲に適切な蛹化場所がない場合 
・幼虫の数:大量の幼虫が存在し、競争が激しい場合
いずれにせよ、私のやった現場検証は中途半端すぎて、アナグマの死後経過時間を推定できそうにありません。 
遺体や虫のサンプルを全て持ち帰って丹念に調べないことには無理だと実感しました。
ハエの囲蛹らしき謎の物体だけでも採集して、飼育下で羽化するかどうか調べることも可能でした。 

アナグマがこの地点で死んだとは限りません。 
例えば巣穴の中で死んだアナグマを、タヌキが外に引きずり出した可能性も考えられます。 
監視映像にはそのようなシーンは写っていませんでしたが、トレイルカメラにはすべての動きが記録されている訳ではない(どうしても撮り漏らしがある)という点が、もどかしいところです。 
また、どこか遠くで見つけたアナグマの死骸を他の動物に横取りされないように、タヌキがここまで運んできたのかもしれません。
積雪期なら、雪面に足跡や死骸を引きずった跡が残ったはずですが、残雪がどんどん溶けていく早春にはそのような手掛かりを得られませんでした。

当時の私は、「定点観察していたセットの主が死んだとは限らない」と自分に言い聞かせていました。 
発情した♀を探し求めて求愛する夜這い♂など、余所者のアナグマ個体が遠征してきて偶然ここで死んだ(行き倒れた?)可能性もあるからです。 
しかし、その後も営巣地(セット)で定点観察を続けると、ここでアナグマの姿をまったく見かけなくなりました。
次にアナグマが現れたのは、何ヶ月も先のことです。(映像公開予定) 



つづく→ 


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