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2025/10/05

ニホンアナグマ母子家族(幼獣3頭)の暮らし:7月中旬〜下旬【トレイルカメラ:暗視映像】

 



2024年7月中旬〜下旬 

ニホンアナグマMeles anakuma)の営巣地(セット)がある平地の二次林を2台のトレイルカメラで見張っています。 
 この時期に撮れた、母親♀と当歳仔(幼獣)3頭の暮らしぶりをまとめてみました。 


シーン1:7/15(@0:00〜) 
初めは幼獣が2頭しか登場しなかったので、また更に1頭減ったのかと心配したのですが、やがて残りの幼獣1頭が外出から無事に帰巣しました。(@2:45〜) 
ひたすら格闘遊びを続ける2頭の兄弟姉妹に合流したので一安心。 


シーン2:7/16(@16:31〜) 
母親♀の同伴なしで、幼獣だけで夜の採餌に出かけたようです。 


シーン3:7/21・(@17:48〜) 
5日ぶりに母親♀と幼獣3頭が写り、生存確認ができました。 
トレイルカメラが電池切れだったという訳ではなくて、長らく留守にしていた家族が営巣地(セット)に戻ってきたようです。 
おそらく別宅(当歳仔を出産した巣穴)がどこかにあるのでしょう。 

これまで写っていたのは夜行性だったのですが、この日は夜だけでなく昼間にも活動していました。 
モノクロではなくフルカラーの映像でアナグマを見たいという人は、ここから(@20:37〜)ご覧ください。 


※ 動画の一部は編集時に自動色調補正を施しています。 


2025/10/03

ニホンアナグマの母子が暮らす営巣地にヘルパーが合流【トレイルカメラ:暗視映像】

 



2024年7月中旬・午後21:30頃・気温21℃ 

夜の営巣地(セット)でニホンアナグマMeles anakuma)の母親♀と当歳仔の幼獣3頭がいつものように、のんびり過ごしています。 
巣口Lで穴掘りしようとしている母親♀(右目<左目)の横で、構って欲しい幼獣が邪魔しているようです。 



そこへ意外な訪問者が来たのです。
ヘルパー♂と思われる別のアナグマ成獣が右から登場しました。 
巣口Lで母親♀と顔を合わせると、気まずそうに(遠慮して?)少し離れました。 

この侵入者?(ヘルパー♂)に対して幼獣は怯えることはなく、尻の匂いを嗅いで身元を確認しました。 
ヘルパー♂はこの幼獣に対他毛繕いをしてやりました。 
以前から顔馴染みの家族であることが分かります。 

母親♀が威嚇してヘルパー♂を縄張りから追い払ったか訳でもないのに、ヘルパー♂は早足で獣道を右へ逃げて行きました。 
しばらくすると、姿を消したヘルパー♂の後を追うように、母親♀と幼獣1頭が獣道を右へ向かいました。

営巣地に戻ってきた母親♀が巣口L、Rを順に点検し、留守中に異常がなかったかどうか確認しています。 
しばらくすると、ヘルパー♂らしき成獣も獣道から戻ってきました。
母親♀よりも体格が大きく見えるのは、監視カメラの遠近法のせいではなく、性的二型でアナグマの♂はやや大柄なのです。 

営巣地の広場で♀?が幼獣2頭に対他毛繕いしてから、幼獣を連れて右に立ち去りました。 
幼獣1頭がセットに居残っています。 


【考察】 
6月下旬にアナグマの母親♀が子連れでこの旧営巣地に転入してきました。 
しばらくは母子家族だけで暮らしていたのですが、ときどきヘルパー♂と思われる別個体の成獣が営巣地に出没し、匂い付けだけして帰りました。 
7月中旬になって、ヘルパー♂がようやく母子家族とセット(営巣地)で合流したようです。 

トレイルカメラの映像だけを見て素朴に解釈すると、アナグマは一夫一妻のように見えるかもしれません。
今回、久しぶりに父親♂が母子家族と再会できた、という解釈です。
しかし前提として、ニホンアナグマの♀は特定の♂と一夫一妻のつがい関係を結ばないことが分かっています。
たとえ交尾したとしても♂と♀は別居して暮らし、アナグマの父親♂は子育てに参加しません。
その代わりに、前年仔の中から選ばれた息子♂がヘルパーになり、当歳仔を育てる母親♀を助けることがあるのです。(特に巣穴の拡張作業を担当)
下線部についてはまだニホンアナグマ生態の定説となってはいないのですが、私の観察結果の解釈です。
鳥など他の生き物で見られるヘルパーは子育ての練習も兼ねて娘が務めるのが普通ですけど、この点でアナグマのヘルパーは違って独特なのです。
母親♀とたまに同居するアナグマ♂(おそらく父親ではなく前年仔の息子)の役割がヘルパーの定義に当てはまるかどうか微妙だったので、ヘルパー♂が巣穴の掘削以外にも、幼獣に対して対他毛繕いしてやることが観察できたのは大きな収穫です。

登場するアナグマの個体識別を厳密にできていないのが問題です。
全個体の血液を採取してDNA鑑定をすれば正確な血縁関係も分かるはずですが、素人にはとても無理です。

細かい事情を毎回長々と説明するのが面倒なので、新たに合流した成獣♂を今後は本ブログでヘルパー♂と呼ぶことにします。
「定説に反して、実はニホンアナグマもタヌキのように一夫一妻だった!」という解釈でブログを書くこともできそうですが、私はその解釈を採用しません。

最近行方不明になった(迷子?)幼獣1頭がヘルパー♂と行動を共にしているのかと一縷の望みを託していたのですが、そんなことはありませんでした。 


2025/10/01

幼獣が1頭減っても元気に暮らすニホンアナグマの母子家族:7月中旬【トレイルカメラ:暗視映像】

 



2024年7月中旬 

ニホンアナグマMeles anakuma)の営巣地(セット)がある平地の二次林を無人センサーカメラで見張っています。


シーン1:7/13(@0:00〜) 
シーン2:7/14(@10:58〜) 

※ 動画の一部は画編集時に自動色調補正を施しています。 


【考察】 
特筆すべきは、今季産まれた幼獣(当歳仔)の数がいつの間にか4頭から3頭に減っていました。 
トレイルカメラの電池切れや記録メディアの容量切れで生じた観察の空白期間に一体何が起きたのか気になります。 
子別れするにはまだ早いと思うのですが、交通事故にでも遭ったのでしょうか? 
近所のアンズの木の下に設置した監視カメラでも、写っていたアナグマ幼獣は3頭でした。 


幼獣の1頭が行方不明になっても、残りの家族は別に悲しんでいる様子はありませんでした。
3頭の幼獣は相変わらず暇さえあれば無邪気に遊び回っています。 

動画の途中で幼獣がさらに減り(2頭だけになって)焦ったのですが、しばらくすると3頭に戻りました。 
おそらく1頭の幼獣が巣穴で寝ていたか、あるいは独りで採食のため外出していたようです。 



2025/09/29

夜の水溜りで顔を洗うフクロウと周囲を飛び回るコウモリ【野鳥:トレイルカメラ:暗視映像】

 



2024年7月中旬〜下旬 

シーン0:7/16・午前11:45・晴れ・気温32℃(@0:00〜) 
明るい日中にたまたまフルカラーで撮れた現場の様子です。 
山林の中に少し開けた湿地帯があり、湧き水が滲み出して浅い水溜りになっています。 
水場に来る生き物を無人センサーカメラ(新機種)で見張っています。 

夜な夜な通ってくるフクロウStrix uralensis)の登場シーンを以下にまとめました。 


シーン1:7/16・午後20:00・気温20℃(@0:03〜) 
久しぶり(15日ぶり)にフクロウが水場に来てくれて、ほっと一安心。 
辺りを見回して安全を確認してから、歩いて水溜りSに入水。 

やがて水面に漬けた顔を左右に素早く振って、洗顔を始めました。
我々ヒトのように手を使って顔を擦り洗いすることができないので、フクロウはこの洗顔法を編み出したようです。 

洗顔中にフクロウが足踏みする理由が私には分かりません。 
これから本格的に水浴をするのなら、わざわざ泥で水を濁らせなくてもいいのに、と素人目には思ってしまいます。 
浅い水溜りの底を足で掘って少しでも深くしたいのでしょうか。 
水底に潜む獲物を探しているのかな? 
もしかすると、この水溜りは浅く見えても底なし沼のようになっていて、足踏みし続けないとどんどん沈んでしまうのかもしれません。

結局、最後まで見届けられずに2分間の録画時間が終わりました。


シーン2:7/21・午後22:11・気温27℃(@1:40〜) 
5日後の晩遅くにもフクロウが写っていました。 
最近イノシシがヌタ打ちしたり泥濘を掘り返したりしたせいで、水溜まりSの地形が少し変わってしまいました。(映像公開予定) 

フクロウが後ろ向きで入水すると、水溜まりの中で足踏みしながら方向転換しました。 
このときコウモリの一種が上空を飛来しました。 
しかし何度も旋回するだけで、フクロウが来ている間は水溜りの水面に着水しませんでした。 
コウモリは超音波によるエコロケーションで、水場の状況をしっかり把握しているようです。 
飛びながら虫を捕食しているのでしょう。

フクロウは周囲を飛び回るコウモリを気にせずに、洗顔開始。 
泥水に脚を浸しながら、辺りをキョロキョロ見回しています。
今回も飛び去るまで見届けられませんでした。 


シーン3:7/22・午後23:15・気温22℃(@3:12〜) 
翌日も深夜にフクロウが来ていました。 
此岸から泥濘を歩いて入水すると、キョロキョロと辺りを見回しています。 
やがて力強く羽ばたくと、左上に飛び去りました。 
なぜか今回は洗顔も水浴もしませんでした。 
熱帯夜というほど気温は暑くないのですが、体を水で冷やしに来ただけのようです。 
それとも何か異変があって逃げたのかな?


シーン4:7/22・午後23:19(@3:55〜) 
3分後にフクロウが戻ってきました。 
(個体識別できていないので、別個体の可能性もありえます。) 

水溜りに入ると、すぐに顔を洗い始めました。 
辺りをキョロキョロ見回して警戒を怠りません。 


※ 水音や羽音が聞き取れるように、動画編集時に音声を正規化して音量を強制的に上げています。 


【考察】
結局この時期のフクロウは、水溜りで本格的な水浴をしてくれませんでした。 

神垣健司『森の賢者 フクロウ』という本を読んでいたら、「第4章 水場のフクロウ」に私が観察したことと同じ行動が書いてありました。
水場が浅いせいか、フクロウは水場でからだを前屈みにして、まるで顔を洗うように水を浴びる。水場をぐるぐる歩きながら、顔を水につけて洗っていることもあった。雨に日にも(原文ママ)水場で水浴びをするが、雛が巣立って森を離れるとフクロウは水場に姿を見せなくなる。(p42より引用
筆者のフィールドは広島県で、YouTubeチャンネルも開設しておられます。

つづく→

2025/09/28

土砂降りの日に水溜りの中から落枝を拾い上げて遊ぶニホンカモシカの幼獣【トレイルカメラ】

 


2024年7月中旬・午後15:35頃・雨天・気温20℃ 

山林内の湿地帯にある泥水溜りを2台の無人センサーカメラで見張っています。 
土砂降りの雨が降る昼間に、ニホンカモシカCapricornis crispus)の幼獣が単独で現れました。 
毛皮が雨で濡れそぼっています。 

 水溜まりSに来ると、カモシカ幼獣はジャブジャブと渡り始めました。 
水面に顔を近づけたものの、水を飲むでもなく、ただ匂いを嗅ぎ回って何かを探索しているようです。 

 水溜り内の泥濘に突き刺さっていた短い落枝が気になったようで、カモシカ幼獣は口で咥えて拾い上げました。 
ところが、ちょっと甘噛みしただけで、すぐに落枝を捨ててしまいました。
もう1本別な棒切れを水溜まりの中から口で引き抜くと、ちょっと弄んでから捨てました。 
棒切れ(短い落枝)を何か餌と誤認したとは考えにくいので、好奇心旺盛な幼獣による遊びの行動と思われます。 

首をねじって、雨で濡れた毛皮を口で毛繕いしてから、立ち去りました。 

母親♀は幼獣と別行動なのか、最後まで姿が見えませんでした。 
子別れするにはまだ時期が早いと思うのですが、母親からはぐれてしまったのかな? 

梅雨の大雨によって2つの水溜まりS、Nから水が溢れてつながり、一つの巨大な水溜まりになりつつあります。 
20分後には雨が止んで晴れました。(映像は割愛。) 


※ 動画の一部は編集時に自動色調補正を施しています。 
※ 雨音が聞き取れるように、動画編集時に音声を正規化して音量を強制的に上げています。 


【考察】
このカモシカ幼獣の行動は、動物の遊びと解釈できるでしょうか?
今回はChatGPTとのブレインストーミングがとても役に立ちました。
「まるで小枝で遊んでいるように見えた」というだけでは、観察者の主観や擬人的な解釈に過ぎません。
カモシカ幼獣が本当に楽しんでいるかどうか、感情を読み取れないのが問題です。
「あまりにも厳格に擬人化を排除すると、動物行動学で《遊びの行動》を扱えなくなるのではないか?」と素人ながら心配してしまいます。
その通りです。動物行動学では「遊び(play)」というカテゴリーは確かに存在し、研究でも広く使われています。ただし、学術的には「遊び=楽しんでいるかどうか」ではなく、特定の観察可能な行動パターンとして定義されます。

例えば、Burghardt の動物遊びの定義では:

遊びは 通常の機能(狩り、攻撃、防衛など)とは異なる行動パターン を含む

自主的に繰り返される

本来の目的に直接結びつかないが、学習や身体能力の発達に役立つ可能性がある

このように定義すれば、観察者が「楽しんでいるかどうか」を推測せずとも、遊びの行動として客観的に記録できるのです。


あなたの観察記録はまさに Burghardt の定義に沿った遊び行動(play behavior) の典型例として記述できますね。ポイントを整理すると:

  1. 主体:カモシカの幼獣(juvenile serow)

  2. 状況:雨の大雨の日、単独で水場に訪問

  3. 対象物:泥に刺さった短い落枝(sticks)

  4. 行動の内容

    • 口で咥えて引き抜く

    • 軽く甘噛みする

    • 捨てる

    • 別の枝でも同様の行動を繰り返す

  5. 解釈

    • 食べ物としてではなく、好奇心や遊びの動機による行動

    • 自発的で繰り返しがある

    • 本来の機能(摂食)とは直接関係がない



今回の行動は exploratory behavior(探索行動) と解釈することも十分可能です。

理由は以下の通りです:

  1. 観察される行動の内容

    • 枝を咥えて引き抜き、軽く噛んで捨てる

    • 繰り返して別の枝も同様に扱う

    → これ自体は「対象物の性質を確認している」「環境を探っている」行為としても説明可能。

  2. Burghardt の遊びの定義との重なり

    • 自発的である

    • 本来の機能(摂食など)とは直接関係がない

    → 「探索行動」と「遊び行動」は観察上の特徴が重なることがあります。つまり、両方の解釈が可能です。

  3. 科学文献での使い分け

    • Exploratory behavior は、「好奇心や情報収集のための行動」を中立的に示す表現

    • Play behavior は、「機能的目的とは異なるが学習や身体能力の発達に関連する行動」を強調

    • 観察だけでは「楽しんでいるか」は分からないため、より中立的に記録する場合は exploratory behavior を使うことが多い


結論として、今回のカモシカ幼獣の枝操作行動は play behavior と解釈しても良いし、より中立的に exploratory behavior として記録しても良い という二重の解釈が可能です。


動物による道具使用には厳密な定義があります。
それと同様に、動物がある物体を玩具(おもちゃ)として使った(もて遊んだ)と言うのにも、厳密な条件や定義があるのでしょうか?

はい、動物が「物体を玩具として使った」「弄んだ」と解釈する場合にも、科学的には厳密な条件や定義があります。道具使用(tool use)の定義と同様に、遊びや玩具行動も単なる主観的印象ではなく、観察可能な行動パターンに基づいて区別されます。


1. 動物遊び(play)の定義

Burghardt, G. M. (2005). The Genesis of Animal Play: Testing the Limits. MIT Press. によると、動物の遊び行動には主に次の条件があります:

  1. 自発的であること(Voluntary)

    • 強制されず、主体的に行われる行動である。

  2. 通常の機能とは異なること(Non-functional in the immediate sense)

    • 摂食、防御、攻撃など生存の直接目的には結びつかない。

  3. 繰り返されること(Repeated)

    • 同様の行動が何度も観察される。

  4. 動作パターンが変形・過剰・速すぎるなど、非日常的であること(Pattern modified)

    • 通常行動のバリエーションや誇張形態がある。

さらに 物体遊び(object play) の場合は:

  • 動物が物体に興味を示し、操作・噛む・転がす・投げる・持ち上げるなどの行動を行う

  • 行動は通常の摂食や攻撃などの機能に直接関与していない

  • 行動が反復されることが多い


2. 「玩具として使った/弄んだ」の科学的条件

  • 目的が摂食や攻撃ではない

    • 食べ物と誤認した場合は遊びとは言えない

  • 対象物は外部環境に存在する物体

    • 枝、石、葉、人工物など

  • 主体的・反復的な操作

    • 一度咥えて捨てるだけでなく、繰り返し操作することが多い

  • 観察上、快感・楽しさの直接証拠は不要

    • 「楽しんでいるか」は推測ではなく、行動パターンで判断


結論として、「動物が物体を玩具として使った」ことは、行動パターンに基づき科学的に定義できるが、感情や楽しさの有無は推測に留まります。
つまり、カモシカ幼獣が棒を口で咥えて弄んだ行動も、観察記録と行動パターンに基づけば「object play」として科学的に記述可能です。


今回私がなぜ探索行動(探餌行動)ではなく遊びという解釈をしたかというと、ニホンカモシカの成獣で泥濘の中から掘り出したもの(根茎など)を食べる様子を観察したことがないからです。


つづく→

2025/09/27

ニホンアナグマ母子家族の日常生活:7月上旬【トレイルカメラ:暗視映像】

 



2024年7月上旬

シーン1:7/2(@0:00〜) 
平地の二次林にあるニホンアナグマMeles anakuma)の営巣地(セット)を無人センサーカメラで見張っています。 
特筆すべき面白い行動はすでに個別の記事で紹介したので、今回は出涸らしです。 
残り物でも1時間40分間という長編映画になりました。 

林床に散開して採食するシーンや、4頭の幼獣がひたすら遊び回る様子、互いに毛繕いをする様子などが写っています。 
幼獣の遊びというのは、互いにくんずほぐれつの取っ組み合いをしたり、追いかけっこをしたり、木登りに挑戦しては転げ落ちたりしています。 
遊びながら、たまに鳴き声♪を発していました。 
見ていて微笑ましく、飽きることがありません。 
まだ幼獣が母親♀に甘えることもあり、そんな幼獣に母親♀は対他毛繕いをしてやります。 

林縁で株立ちしたミズキの根元付近の幹は、アナグマ幼獣たちのお気に入りの遊び場です。 
頻繁によじ登ろうとするために、株立ちしたミズキ幹の根元が毛皮で磨かれて黒光りしています。 
母親♀もこのミズキの木の下でよく寛いだり、幼獣の面倒を見たりしています。 


シーン2:7/3(@5:52〜) 
晩には(午後20:15〜)土砂降りの大雨が降っているのに、家族で元気に巣外で活動していました。 
さすがに幼獣達は雨宿りのため、巣内に一時避難しました。 
雨が小降りになると、再び巣外に出てきました。 


シーン3:7/4(@7:43〜) 

シーン4:7/5(@14:16〜) 
夜明け前に監視カメラが起動すると、まだ暗いのになぜか赤外線の暗視モードに切り替わりませんでした。 
仕方がないので、動画編集で自動色調補正を施すと、粗いモザイクの映像ですが、辛うじて母親♀がうろついている姿を確認することができました。 

ニホンアナグマは夜だけでなく、昼間も活動しています。 
この日の映像が一番見応えがあるかもしれません。 


シーン5:7/6(@54:17〜) 

シーン6:7/7(@1:22:58〜) 
夕方になると、林内でヒグラシ♂が物悲しげに鳴いています。 


シーン7:7/9・午前後・気温(@1:33:56〜) 
明け方になると、林内でヒグラシ♂が物悲しげに鳴き始めました。 


※ 動画の一部は編集時に自動色調補正を施しています。 


ハルザキヤマガラシの茎を登り下りするコアオハナムグリ

 

2024年4月下旬・午後14:45頃・くもり 

田んぼの農道に咲いたハルザキヤマガラシの群落でコアオハナムグリGametis jucunda)が訪花していました。 
この組み合わせは初見です。 

よく見ると体表が黄色い花粉にまみれています。 
身繕いしてから茎を下に降り始めました。 
ハルザキヤマガラシの茎を分岐点まで下ると、別の茎を登り始めました。 
黄色い花に辿り着いたので食事を始める(花蜜や花粉を食べる)のかと思いきや、なぜか気に入らなかったようで、また茎を下って行きます。 

雨雲が近づいているせいで風揺れが激しく、虫撮りには不向きのコンディションでした。 
このとき私は先を急ぐ用事があったので、食事シーンを見届けることができませんでした。

2025/09/24

群れで山道を登りながら子猿に授乳するニホンザル♀

 

2024年7月上旬・午後13:45頃・晴れ 

里山で私が静かに下山していると、前方からニホンザル♀♂(Macaca fuscata fuscata)の群れが山道を逆に登って来きました。 
私も猿も立ち止まって互いに様子を伺います。 

先頭個体は子連れの母猿で、山道に座り込むと赤ん坊を胸に抱いて授乳していました。 
私を怖がった母猿は山道を外れて横の草むらに隠れましたが、しばらくするとまた子猿を抱えて山道に戻ってきました。 
授乳中の♀は暇つぶしに自分の体を掻いたり毛繕いしています。

乳首が長い経産婦なのに、子猿を連れずに単独で行動している♀もいます。 
今季は出産しなかった♀個体なのでしょうか。 

ニホンザル達はどうしても私と安全にすれ違って遊動を続けたいらしく、私を迂回するように横の草むらに次々と入って行きます。 
赤ん坊(乳児)は母親♀の胸にしっかりしがみつき(乳首を咥えたまま)、抱っこの状態で運ばれていきます。 




【アフィリエイト】 

2025/09/19

梅雨時に水場付近で採食するニホンカモシカの母子

 



2024年7月上旬・午後13:12・小雨・気温21℃ 

梅雨時で小雨がぱらついています。 
山中の水溜りで喉の乾きを癒やした後、ニホンカモシカCapricornis crispus)の幼獣が元気に走り去りました。 
左奥の茂みの陰に母親♀が来ていました。 
母親に追いついても、幼獣は乳を飲みませんでした。 
どうやら、もう離乳しているようです。 

ニホンカモシカ♀は、ゆっくり歩いて移動しながら、林床の下草や灌木の葉を次々に採食しました。 
後に現場検証すると、灌木の樹種はウワミズザクラでした。
その間、幼獣は自分で毛繕いしました。 
最後にカモシカの母子は奥の林道に姿を消しました。 

1.5倍に拡大した上で採食シーンをリプレイ(@1:17〜)。 


2025/09/14

ニホンアナグマの幼獣が母親♀に尻を擦りつけて匂い付け(アロマーキング)【トレイルカメラ:暗視映像】

 



2024年7月上旬・午後21:18・気温23℃ 

平地の二次林にあるニホンアナグマMeles anakuma)の営巣地(セット)をトレイルカメラで見張っています。 
母親♀がミズキの木の下にやって来ると、寝ころがって(横臥)砂浴びを始めました。 
幼獣が近寄って来ると、母親♀が念入りに対他毛繕いしてやります。 
後から来た幼獣は、母親♀の体に尻を擦りつけて匂い付け(アロマーキング)したようです。 
対物で行うスクワットマーキングによる縄張り宣言と似ていますが、アナグマの家族間で行う点が違います。
互いにアロマーキングし合うことで、結果的に家族内で各自の体臭を共有することになります。
「家族の絆」は嗅覚によって保たれているのです。


1.5倍に拡大した上でリプレイ(@1:00〜)。 


2025/09/13

ナンテンの花粉を集めて回るクマバチ♀の羽ばたき【FHD動画&ハイスピード動画】

 

2024年7月上旬・午後14:40頃・晴れ 

田園地帯の農道と民家の庭との境界に植栽されたナンテンキムネクマバチ♀(Xylocopa appendiculata circumvolans)が訪花していました。 
耳を澄ますと、重低音の羽音がかすかに聞こえます。 

関連記事(2年前の撮影)▶ ナンテンの花で採餌するクマバチ♀


蜂の動きがあまりにも忙しないので、240-fpsのハイスピード動画に切り替えました。(@0:23〜) 
訪花中の蜂が触れると、ナンテンの白い花弁が次々と散ってしまいます。 
吸蜜するクマバチ♀をよく見ると、後脚の花粉籠に薄っすらと黄色い花粉団子を付けていました。 
飛びながら空中で後脚を互いに擦り合わせています。 
体毛に付着した花粉をまとめて、花粉籠に移しているのです。 
後脚の花粉籠に黄色い花粉団子がうっすらと付着しています。 
花粉籠があることと、顔の頭楯が黒いことからも、♀と分かります。

ところで、ナンテンの若葉や茎は夏でも赤いのですね。

2025/09/10

夜の営巣地で寝転んで土を浴びるニホンアナグマ♀【トレイルカメラ:暗視映像】

 



2024年7月上旬

シーン0:7/2・午後13:03・くもり・気温33℃(@0:00〜) 
シーン0:7/2・午後13:38・くもり・気温33℃(@0:03〜) 
明るい時間帯にたまたま撮れた現場の状況です。 
平地の二次林でニホンアナグマMeles anakuma)の母子(母親♀と4頭の幼獣)が暮らす営巣地(セット)を2台の自動撮影カメラで見張っています。 


シーン1:7/2・午後20:07・気温21℃(@0:07〜) 
晩に母親♀が定位置のミズキの木の下に座り込むと、次々に駆け寄って来る幼獣に対他毛繕いを始めました。 
赤外線の暗視映像で見ると、母親♀は左右の目(タペータム)の大きさが違う(右目<左目)のが特徴です。 
腹面には乳房や乳首が見えます。

ときどき母親♀は砂浴びをします。 
寝転んだまま前足で地面を掻き、土を自分の腹に掛けるのです。 

立ち上がった♀が伏せて左を凝視しました。 
その視線の先から、最後の(4頭目の)幼獣がセットに戻ってきました。 


シーン2:7/2・午後20:08(@1:07〜) 
家族全員がミズキの下に勢揃いしました。 
母親♀は対他毛繕いの合間に、また砂浴びを始めました。 
(実際にはアナグマ♀が浴びているのは砂ではなく、サラサラの表土です。) 


シーン3:7/2・午後20:09(@2:07〜) 
母親♀が相変わらず定位置で独り砂浴びを繰り返しています。 
ときどき目を閉じてうたた寝しているようです。 

コウモリがセットの上空を飛び回っています。 
アナグマの家族はコウモリに全く気づいていないのか、無視しています。 

散開して遊んでいる幼獣の中に、自分で体を掻いたり毛繕いしたりしている個体がいます。 


シーン4:7/4・午後21:18・気温23℃(@3:07〜) 
2日後の晩にも、母親♀がミズキの木の下に寝ころがり(横臥)、砂浴びを始めました。 


【考察】 
営巣地(セット)の中でもミズキの下の表土がよほど砂浴びに適していて、お気に入りなのでしょう。 
砂浴び中の母親♀は意外にがさつで、近くにいる幼獣に土が掛かっても気にしません。 
幼獣は嫌がって逃げていきます。 
母親♀の左右非対称な目が眼病だとすれば、穴掘りや砂浴びで目に土や雑菌が頻繁に入ることが原因ではないかと勝手に想像しているのですが、どうでしょう? 

私はまだ砂浴びをする幼獣を一度も見たことがありません。
今のところ、成獣に特有の行動です。 
幼獣が砂浴びするようになったら、一人前になった証かもしれません。




2025/09/09

砂防ダムでレスリングしたり、オニグルミの木に何度も跳び移ったりして遊ぶ若いニホンザル

 

2024年6月中旬・午前11:05頃・晴れ 

山麓の砂防ダムに集まっているニホンザル♀♂(Macaca fuscata fuscata)の群れを観察しています。 

コンクリートの堰堤に居残って子猿2頭が取っ組み合いを始め、相手を組み伏せました。 
本気の喧嘩ではなく、ただの遊びです。 
ようやく離れた1頭aが、堰堤の右に自生するオニグルミの横枝に跳び移りました。 
猿の体重で横枝が大きくしなるスリルを味わっているようです。 
樹上の猿aは、幹を横に移動すると堰堤に飛び降りました。 

堰堤に残った個体♂bには、左上腕に黒くて大きなホクロがあります。 

仲間bのいる元の場所に戻ってきたと思ったら、aはすぐにまたさっきと同じオニグルミの横枝に飛び移り、アトラクションを何周も楽しんでいます。 
♂bも仲間aの後を追いかけるように、オニグルミの枝に飛び移りました。 

コンクリート堰堤の左奥には別のニホンザル母子も居ました。 
その母親も堰堤の右に生えたオニグルミ灌木に跳び移りました。 
堰堤に取り残された子猿は、揺れるオニグルミの枝葉を手で掴もうとしています。 

最後はおまけで、毛繕いしていたシーンも追加しておきました。

2025/09/08

山中の水溜りで水浴びするアオゲラ♀【野鳥:トレイルカメラ】

 

2024年7月上旬 

シーン1:7/4・午前11:37・晴れ・気温31℃(@0:00〜) 
山林にある湿地帯で湧き水が滲み出してくる水溜りSを自動センサーカメラで見張っています。 

晴れた昼前にアオゲラ♀(Picus awokera awokera)が水場に来ていました。 
対岸の浅い岸辺で水浴びを始めました。 
水面で激しく羽ばたいて水を跳ね上げ、自分の体にかけています。
対岸に上陸すると、濡れた羽根を嘴で整えました(羽繕い)。
せっかく身震いして羽根の水気を切ったのに、再び水溜りに入ると、行水を再開。 
このルーチンを何回か繰り返しました。

水場から飛び去るまで見届ける前に、2分間の録画が終わってしまいました。 
この地点でトレイルカメラにアオゲラが写ったのも初めてですし、アオゲラの水浴行動も初見です。 


シーン2:7/2・午前6:57・晴れ・気温18℃(@2:00〜) 
実は2日前の朝にもアオゲラ♀が来ていました。 
どうやら水浴シーンを撮り損ねたようで、対岸で羽繕いと身震いを繰り返しています。 
最後は右へ飛び去りました。 


1.5倍に拡大した上でアオゲラの水浴行動をリプレイ(@3:00〜)。
横顔を見ても顎線に赤色部がないので、おそらく♀のようです。 
アカゲラと違ってアオゲラは♀も♂も後頭部が赤く、後頭部の色では性別を見分けられません。 


※ 鳥がパシャパシャと水を跳ね上げる水飛沫の音や飛び立つ羽音が聞き取れるように、動画編集時に音声を正規化して音量を強制的に上げています。 


つづく→

2025/09/06

セットで暮らすニホンアナグマの家族:6/30昼間の諸活動【トレイルカメラ】

 


2024年6月下旬 

6/30・午前9:08〜午後16:42 

ニホンアナグマMeles anakuma)は一般的に夜行性と言われていますが、私が営巣地(セット)で定点観察している母子(母親♀と幼獣4頭)は昼間も元気です。 
この日の特筆すべき行動は個別の記事で紹介済みなので、今回は残り物の映像をまとめました。 
それでも家族団らんの様子は微笑ましいですね。 
午後から一時雨が降りました。 

私がちょっと面白いと思ったシーンは、
シーン1:6/30・午前9:11・晴れ気温24℃(@4:00〜) 
母親♀が獣道から巣穴Lにゆっくり戻ってくる途中で立ち止まり、後足を広げて排尿マーキングしたようです。 
この地点でやるのは初見です。 
頭をカメラに向けているため、残念ながら肛門や尿道が見えません。 
排泄中に1頭の幼獣が近寄り、母親♀の尻の匂いを嗅いで身震いしました。 

その後、巣口Lまで来た母親♀がカカッ♪と鋭く鳴きました。(@4:44〜) 
その鳴き声を聞いた途端に周囲で遊んでいた幼獣3頭が巣口Lに位相で殺到したので、警戒声なのかもしれません。 
しかし、警戒の対象が何だったのか、分かりません。 
母親♀が幼獣を試した避難訓練だったのでしょうか。 
カカッ♪と鳴いた同じシーンが別アングルに設置した監視カメラでも撮れていました。(@3:44〜) 


※ 鳴き声が聞き取れるように、動画編集時に音声を正規化して音量を強制的に上げています。 


太陽光発電所を避難場所にするキジバトの群れ(野鳥)

 

2024年4月下旬・午後15:20頃・くもり 

郊外の農村部で田起こし(耕耘)したばかりの刈田でキジバトStreptopelia orientalis)の群れが採食していたようです。 
それを知らずに私が横の農道を歩いたら、キジバトの群れが一斉に飛び去りました。 
最近、農地の一部を潰してメガソーラー(太陽光発電所)に転用しているのですが、逃げたキジバトは刈田に隣接するソーラーパネルに止まって、私が立ち去るのを待っています。 
(映像はここから。) 

刈田から避難した2羽のキジバトがソーラーパネルの縁に止まっているのを見つけました。 
その後ろ姿を撮り始めたら、右の個体ががすぐに奥へ飛び去ってしまいました。 
居残った個体は振り返って、辺りを警戒しています。 
しばらくすると、ソーラーパネル上を左へ少し歩いてから、左へ飛び去りました。 
もしもソーラーパネルが鳥の糞で汚れてしまったら、掃除しないと発電効率が落ちてしまうはずです。

メガソーラーの敷地の手前に設置した格子状の金網フェンスの上にも別個体のキジバトが止まっていて、羽繕いを始めました。 

今回のは別に面白くもない動画ですが、ソーラーパネルに覆われた広大な敷地(草地)を野鳥や野生動物はどう利用するか、という点に私は興味があります。 
しかし、新しい環境に馴れてくれるまで、しばらく時間がかかりそうです。 
立入禁止の敷地内は、意外に野生動物の天国かもしれません。
メガソーラーの敷地内にトレイルカメラ(無人カメラ)を設置したら、何か新しい発見がありそうです。 
ソーラーパネルを保守するために、敷地内を定期的に除草する必要があるのですが、ヤギを放牧して雑草を食べてもらおうという試みも全国各地で行われています。

今回のキジバトの行動は、太陽光発電所を避難場所にしていたことになります。
ほとぼりが冷めたら、また田んぼに戻ってきて採食を再開するのでしょう。
これまでも、農地で採食(食害)していたキジバトの群れに誰かヒトが近づくと警戒して周囲の林などに一時避難する様子を何度も見てきたのですが、その避難行動と何ら変わりません。
どこかで(メガソーラーの敷地内?)キジ♂が鳴く声も聞こえたのですが、姿を見つけられませんでした。 

2025/09/05

ニホンザルの若い♂を巡って争う2頭の♀(非繁殖期のマウンティング)

 



2024年6月中旬・午前11:05頃・晴れ 

山麓の砂防ダム堰堤に5頭のニホンザルMacaca fuscata fuscata)が集まり、寝そべった1頭の♂の毛繕いをしています。
私に気づいて警戒した猿たちが解散したかと思いきや、対他毛繕いを受けていた若い♂が立ち上がって年上の♀aの背後からマウンティングしました。 
♀♂ペアが交尾?を始めると、周りの個体が慌てて離れていきます。 
マウントされた♀aは、背後の♂を仰ぎ見ることはありませんでした。 
また、♂はマウントしながら腰を動かす(ペルビック・スラスト)ことがなかったので、本当の交尾行動ではなさそうです。 
そもそもニホンザルの交尾期は主に秋から冬であり(10月~3月頃)、6月は出産期です。 
したがって、6月中旬に見られるマウンティング行動は、繁殖(交尾)目的ではないと考えられます。 

この若い♂個体の左上腕に黒い大きなホクロがあって、目を引きました。 
まさか人為的な入れ墨なのでしょうか? 
昔は野生動物の研究で個体識別するために入れ墨をした事例もあったそうなのですが、最近では廃れました。 
近年は顔や体の自然な特徴(ホクロや斑紋、傷、毛色など)や、AIによる顔認識技術を用いて識別するのが主流です。 
したがって、入れ墨ではなくて、生まれつきの黒子ほくろなのでしょう。 
今後の個体識別で使えそうな分かりやすい特徴です。 

この♂左腕黒子は、若いのに群れ内の順位が高いのか、それとも♂としてよほど魅力的なのか、周りの♀bがすぐに近寄ってきて機嫌を取るようにノミ取りを始めました(毛繕い)。 
さっき♂にマウントされた年上♀aも、寝そべった♂への対他毛繕いに参加したそうに、ノミ取りを覗き込んでいます。 

手前の茂みが撮影の邪魔なので、私はそっと移動して、堰堤の端から撮影を再開しました。 
幼い子猿たちは私に気づくと怖がって逃げていきます。 

堰堤に残った3頭(♂1♀2)の三角関係がとても興味深いです。 
若い♀bが♂左腕黒子の横に並んで対他毛繕いしようとすると、年上の♀aが嫉妬して、その間に何度もさり気なく割り込もうとするのです。 
遂に怒った(嫉妬に狂った?)♀aが、眼の前に居た若い♀bを攻撃し始めました。 
♀aがライバル♀bを掴まえようと襲いかかると、若い♀bは歯を剥き出し恐怖の表情(あるいはガーニーgurneyと呼ばれる服従の表情)をしながら必死で手前に逃げて堰堤の左下に降りました。 
しかし、逃げる♀bは悲鳴を上げませんでした。
「ガーニー(gurney)」は、サル類の行動学で使われる用語で、上下の歯を見せて口を横に大きく開く表情行動を指します。これは、リップスマッキング(唇をパクパクさせる親和的サイン)と並んで、服従や緊張緩和、親和的なコミュニケーションの場面でよく見られます。 ガーニーは、特に相手に対して敵意がないことや、優位性を認めていることを示すサインとして使われることが多く、**「服従の意を示す表情」**とも言われます。 (Perplexity AIの回答を引用)
♀同士の小競り合いを仲裁するかのように♂が年上♀aを追いかけ、背後から再びマウンティングしました。 
今回♀aは♂を仰ぎ見て、口をパクパクと動かしています(リップスマッキング)。 
怒った♀を宥める社会行動としてのマウンティングなんてあるのでしょうか? 
ニホンザルのマウンティングは、順位の確認だけでなく、個体の興奮や緊張をしずめる目的でも行われることがあるそうです。 

一連の三角関係を1/5倍速のスローモーションでリプレイ。(@1:29〜) 


※ ニホンザルの鳴き声が聞き取れるように、動画編集時に音声を正規化して音量を強制的に上げています。 


【考察】 
素人には解釈が難しい行動なので、この記事を書くためにPerplexity AIと問答を繰り返しました。 

交尾期(繁殖期)ではないので、性欲に駆られた行動ではないはずです。 
登場したニホンザルの尻を見ても、赤く発情していません。
したがって、今回の事件を面白おかしく「三角関係」と呼んでも良いのかどうか悩みます。 

♂はマウンティングの対象としては2回とも年上♀aを選んでいるので、♂が積極的に他の♀に浮気をしているようには見えません。 
それでも♀aは♂の寵愛を独占したいのか、ライバルの若い♀bに対して激しく嫉妬して追い払いました。 
♀aが♀bに割り込んだり威嚇したりする行動は、単なる「嫉妬」ではなく、♂との関係や自分の社会的地位を守ろうとする社会的競合の表れと考えられます。ニホンザル社会では、特定の個体との親和的な関係(毛繕い、接近、同席など)が他個体との間で競争の対象となることがよくあります。

今回の若い♂が群れ内で順位が高い(いわゆるボス猿、アルファ♂)のであれば、その♂と懇ろになった♀も自動的に群れ内での立場や順位が上がります。 
つまり、♀同士の権力闘争という側面もありそうです。
ニホンザルは母系社会で、オスは群れを移籍する一方、メスは生まれた群れで一生暮らします。そのため、メスの順位は主に母系を中心に決まりますが、特定の強いオスとの関係がメスの社会的地位向上に影響することもあります。 特に、アルファオスと親しい、あるいは多くのメスから注目されるオスと懇ろなメスは、群れ内での支持や優位を得やすくなります。ただし、順位関係は単純なものではなく、メス同士の家系的なつながりや群れの社会構造も複雑に関与しています。 また、オスの順位は戦いや競争で決まるだけでなく、メスの支持や社会的協力も重要な要素です。つまり、オスとメスの順位関係は相互に影響し合う社会的なものだと言えます。
しかし、今回2頭の♀が取り合った♂はボス猿(α♂)にしては若すぎる気がします。 
♀たちにとって、よほど魅力的な(優しいなど)♂なのでしょうか。
ニホンザルの社会において、順位の低いオスを巡っても、そのオスが特に魅力的であったり、優しい性格であったりする場合には、メス同士が争うことは十分にあり得ます。 理由としては、順位が低いオスでも、彼が持つ個別の魅力や社会的なつながり、例えば育児協力や防御の面で有利であることが評価されるためです。実際、繁殖相手としてだけでなく、社会的ネットワークや安全保障の観点から特定のオスを好むメスもいます。 また、順位の高いオスが必ずしも全てのメスから支持されるわけではなく、メス個体の選好や関係性が多様であることも知られています。そうした状況下で、順位の低いオスを巡ってメス同士が競合することは自然な社会的現象です。


知能の高いニホンザルは、生存のための基本的な行動以外にも社会生活が複雑です。

群れの全個体を識別した上で長期観察すれば、色々と面白いドラマが見えてくるはずです。

しかし、それだけでライフワークになってしまいます。

2025/08/31

セットで暮らすニホンアナグマの家族:6/30夜の諸行動【トレイルカメラ:暗視映像】

 


2024年6月下旬

平地の二次林でニホンアナグマMeles anakuma)の母子家族(母親♀と幼獣4匹)が暮らす営巣地(セット)を自動センサーカメラで見張っています。 
6/30夜の活動をまとめました。 
前半は深夜から未明にかけて(午前1:58〜3:27)、後半は雨が降る晩(午後18:56〜19:17)の様子です。

アナグマは基本的に夜行性らしく、幼獣たちも元気いっぱいです。 
疲れ知らずの幼獣は、4頭の兄弟姉妹で互いに鬼ごっこをしたり取っ組み合いをしたりして、ひたすら遊んでいます。(追いかけっこ遊び、格闘遊び) 
林縁で株立ちしたミズキの根元付近がお気に入りの遊び場らしく、なんとか乗り越えようと頑張っている幼獣個体もいます(木登り挑戦?の遊び:例えば@4:00〜)。 
遊びながら幼獣がときどき吠える声がかすかに聞こえます。 

母親♀(右目<左目)は幼獣に対他毛繕いしてやったり、幼獣の遊び相手をしてやったりしています。 

林床をうろついて餌を探し回ったりしています。 
幼獣はもう離乳済みらしく、母親が採食に出かけると、幼獣も一緒について行きます。 

2つの巣口L、Rが並んでいますが、巣穴Lはほとんど使われておらず、巣穴Rに家族の居室があるようです。 


※ 動画の一部は編集時に自動色調補正を施しています。 
※ 鳴き声が聞き取れるように、動画編集時に音声を正規化して音量を強制的に上げています。 


電線で交尾するスズメ♀♂【野鳥:ハイスピード動画】

 

2025年8月上旬・午前9:45頃・晴れ 

郊外の住宅地で電線に留まったスズメPasser montanus)の♀♂つがいが交尾をしていました。 
一方の個体だけが相手の横で翼を小刻みに震わせ続けていました。 
初め私は、てっきりスズメの幼鳥が親鳥に餌乞いしているのかと思ったのですが、交尾を始めたのです。 
後で動画をじっくり確認すると、2羽とも成鳥でした。 

慌てた私がカメラ操作を誤り、ハイスピード動画で撮り始めてしまいました。 
青空を背景に逆光気味だったのでカメラのバックモニターが見えづらく、ほとんど勘で撮ったので、最後まで私は自分のミスに気づきませんでした。 
(こういうときは、カメラの液晶画面を見るのではなくファインダーを覗きながら撮影すべきでした。)
スズメが交尾時に特有の鳴き声を発していたのに、ハイスピード動画では録音されない仕様なので残念無念。 
♀♂どちらの個体が鳴いていたのか不明です。(鳴くのは多くの場合♂らしい。) 
しかし今回はスズメの短い交尾行動をスーパースローで記録できたので、それはそれで満足です。 
交尾を記録したハイスピード動画が細切れで終了したのは、いつものように高画質のFHD動画で撮っていると勘違いしたままの私が良きところでスナップショット(静止画)を何枚も撮ってるつもりだからです。 

関連記事(4、5年前の撮影)▶  


2羽のスズメのうち、♂だけが終始、全身の羽毛を逆立てていました。
一方、♀の羽毛は普通でした。
よく晴れていて無風の条件だったので、風で♂の羽毛がなびいたり乱れたりしたのではありません。 
♂が性的に興奮したり緊張したりしている証かもしれません。
全身を大きく見せて♀にアピールする効果もありそうです。 

♂が♀の背から降りる度に、♀は電線を伝って右へ右へと移動します。 
♂は小刻みに羽ばたきながら♀を追いかけ、再び♀の背に飛び乗って交尾を挑みます。 

哺乳類の交尾と違って、鳥の♂は♀に背後からマウントしながら♀の首筋を咥えて保定する(バランスを取る)ことはありません。 
今回のスズメ♂が羽ばたき続けているのは、♀の背中という不安定な足場でバランスを取りながら交尾するためでしょう。
ただし、比較的安定した電線に降りたときにも♂は羽ばたきを続けていました。 (求愛誇示?)

交尾という熟語を構成する字の通り、確かに♀と♂の尾羽根が互いに交差しています。 
鳥の♂は陰茎を持たないので、交尾するときは総排泄孔をお互いに触れ合って精子を♀に渡すことになっています。 
電線の下から見上げるように撮影したので、スズメの総排泄孔を♀♂ともにしっかり観察できたのですが、尾羽根を何度も交差したのに総排泄孔は触れ合っていません。 
したがって、交尾試行を繰り返したものの、厳密に言うと交尾は失敗したようです。 
♂が♀にマウントし尾羽根を交差しているときに、♀が体を横に少しひねって(あるいは尾羽根のひねり・持ち上げ)協力しない限り、総排泄孔が触れ合って精子を受け渡すことは無理です。 
今回のスズメ♂は、♀の尾羽根の根元の背側に総排泄孔を擦りつけていましたが、そこに付着した♂の精子が自力で蠕動運動して♀の総排泄孔まで辿り着くのは不可能です。
つまり♀が協力姿勢を取らない限り、いくら尾羽根を交差した時間や回数が多くても、交尾は成功しません。

鳴き声が録音されていない無音のスーパースロー動画を見る限り、スズメ♀は♂を誘っているようには全く見えません。
今回♀は電線に身を伏せて♂のマウントを受容しているだけでした。 
♂との交尾を激しく拒否したという程ではありませんが、交尾に非協力的でした。 
私が電線の下でカメラを構えていたので、スズメ♀は落ち着けず(真下のヒトを警戒して)、♂との交尾を拒否したのかもしれません。 

交尾を終えたスズメの♀♂ペアは互いに離れて電線に留まり、各自で羽繕いしたり体を足で掻いたりしています。 
左の♂個体は「翼震わせ」を止めたものの、依然として羽根を逆立てたままで、まだ性的興奮の余韻が残っているのかもしれません。

今回は通りすがりにたまたま撮影できたので、その後のスズメ♀♂ペアの動向は不明です。 
したがって、繁殖の進行を示す行動(スズメ♀が巣材を運んだり、♂から給餌を受けたり、雛の声がしたり、など)は確認できませんでした。


【考察】 
この記事を書くために、ChatGPTと問答を繰り返し、有益なブレインストーミングができました。 
(一方でPerplexity AIは、スズメ♂が交尾時に羽根を逆立てることをなぜか知りませんでした。)

8月上旬にスズメが交尾したのは時期的に遅くないだろうか? 
ChatGPTに問い合わせると、
スズメは1年に 2〜3回、多い場合は4回ほど繁殖 することがあります。北日本の郊外では:

第1回繁殖:4月〜5月

第2回繁殖:6月〜7月

第3回繁殖:7月下旬〜8月上旬

気温や餌の量が減り、換羽期に入ると繁殖活動は終了します。北日本では 8月中旬以降はほぼ交尾は観察されない と考えてよいです。
スズメは基本的に一夫一妻性とみなされていますが、♂がパートナーの♀の浮気(婚外交尾)を防ぐために、交尾の直前に総排泄孔から精子を掻き出すことは解剖学的に不可能です。
スズメの♂は♀をライバル♂からひたすらガードして頻繁に交尾するしか、卵や雛の父性を保証する術はありません。 

今回スズメ♀の行動は(消極的な)交尾拒否と思われます。
交尾相手の♂を選り好みしたのでしょうか?
 「交尾を試みたけど♀に拒否されて失敗した(受精できない)」ということをスズメ♂は自覚しているはずです。
交尾(試行)後の羽繕いでも♂が羽根を逆立てたままなのは、欲求不満かもしれません。 
♀がパートナー♂との交尾を拒むと、その後に♂からの給餌や縄張り防衛などを協力してもらえなくなるかもしれません。
つまり、pair-bonding(つがいの絆を保つ)の手段として交尾を形式的にでも受け入れることが必要なのでしょう。 

今回のように下から見上げる形で観察・撮影していた場合、♀にとっては「近くに潜在的な脅威あり」と感じ、自然に交尾を拒否する行動が強まった可能性が高いです。

つまり、交尾未遂は**♀の心理的・環境的要因による一時的な拒否**の結果である可能性があります。

これは♀の繁殖戦略や精子選択の意思とは直接関係せず、安全確保のための行動として理解できます。

この場合、オスの欲求不満や羽毛逆立ちも、♀の拒否に起因して生じた「未遂反応」と考えるのが自然です。

2025/08/28

ニセアカシア葉軸の毒味を繰り返すニホンザルの群れ

 

2024年6月中旬・午前11:10頃・晴れ 

山麓にある砂防ダムの堰堤に集まった3頭のニホンザルMacaca fuscata fuscata)に注目しました。 
成獣には胸に小さな乳首が見えたので、若い♀(ヤンママ?)のようです。 
授乳を経験すると♀の乳首は細長く伸びたままになります。
この3頭はおそらく母子で、子猿abは兄弟姉妹の関係なのだろうと推察しています。 

成獣♀がコンクリートの堰堤に落ちていたニセアカシアの落ち葉を手で拾い上げて匂いを嗅いだものの、口にしませんでした。 
背後にオニグルミの木が見えますが、葉の形が明らかに違います。 
次に成獣♀は眼の前に垂れ下がったニセアカシアの枝葉を引き寄せてむしり取り、葉柄の匂いを嗅いでから少し食べました。 
横に居る子猿もニセアカシアの葉柄を少し齧りました。 
ニセアカシアの丸い小葉ではなく、千切った葉柄の根元を少し食べています。 

突然、左から別の子猿dが乱入し、立ち上がってニセアカシアの枝葉を手で掴もうとするも失敗しました。 
自分が上下に跳躍するので、ニセアカシアの枝も一緒に揺れています。 
ニホンザルがよくやる威嚇の木揺すりディスプレイとは違うようです。 
枝に飛び移りたかったのかな? 
母親♀がその様子を横で呆れたように見ていて、はしゃいでいる子猿dを乱暴に掴んで堰堤に組み伏せ、強引に対他毛繕いを始めました。 
やんちゃ盛りの子猿dは、嫌がって母親♀から逃れようとしています。 

その右に独りで座っている子猿bが食べているのは、奥に見えているオニグルミの葉ではなく、やはりニセアカシアの葉でした。 

わんぱくな子猿dが母親♀から逃げながら、ニセアカシアの枝葉を拾って咥えました。 
母親♀がそれを追い回しています。 

その間に、手前で別個体の子猿bが立ち上がり、ニセアカシアの枝葉を引き寄せようとしています。 
しかし、枯れた枝葉しか毟り取れませんでした。 
母親♀がこの子猿bを歩いて追いかけ、毛繕いを開始。 


ニホンザルがニセアカシアを味味するシーンを1/5倍速のスローモーションでリプレイ。(@1:05〜) 


【考察】 
後で現場検証すると、ニホンザルが集まって居た砂防ダムの堰堤の岸にニセアカシア(別名ハリエンジュ)がオニグルミと並んで自生していました。 
今回ニホンザルがニセアカシアの小葉を食べそうで食べず、葉柄(葉軸の根元)をちびちびと齧るだけだったのが気になりました。 
実は数年前に観察したときも、ニセアカシアの木に登ったニホンザル♂は若葉と未熟な豆果を少ししか食べませんでした。 



いつものようにPerplexity AIに相談してみたところ、ニセアカシアには食害から身を守るための毒があるという衝撃の事実を教えてもらいました。 
私はそれまで有毒だとは知りませんでした。
A1: ニセアカシア(ハリエンジュ)の葉には毒性成分が含まれています。具体的には、葉、樹皮、枝、種子には「ロビン」や「ロビチン」といった毒素があり、これらによって家畜(特に馬)が中毒を起こすことが報告されています。人間が摂取した場合も過去に中毒例があり、吐き気や腹痛、下痢、呼吸困難、心拍異常などの症状が出ることがあります。 一方で、花には毒が含まれておらず、花だけは食用にされることもありますが、それ以外の部分は毒性があるため注意が必要です。ニセアカシアの葉をニホンザルが少しだけ味見するような行動は、この葉の毒性のために摂取を控えている可能性が高いと考えられます。 したがって、ニセアカシアの葉には毒が含まれており、ニホンザルが食べる量が少ないのは毒に対する本能的な回避行動である可能性が高いです。ニセアカシアの葉を摂取すると、中毒症状を引き起こす可能性があるため、摂取は控えられる傾向にあります。 以上のことから、ニホンザルがニセアカシアの葉を少ししか食べなかった理由は、葉に含まれる毒性成分のためであると考えられます。
しかし、「ロビン」や「ロビチン」は正式な化学物質名や広く認められている学術名称ではなく、詳細な英語名や構造式を示す文献は見当たりません。
より正確にはマメ科特有の有毒タンパク質群(レクチンなど)や関連物質として理解するのが適切です。 

A2: ニセアカシアの果実(豆果)についても、葉や樹皮などと同様に毒性があるとされています。若い未熟な豆果も含め、果実に毒性成分が含まれているため、食べることは注意が必要です。特に若い緑色の果実は見た目がおいしそうに見えますが、摂取は避けるべきとされています。 ニホンザルが未熟な豆果を少しだけ食べたという行動も、毒性のある部分を本能的に回避しつつ、少量を試し食い(味見)している可能性が考えられます。毒性成分は主に「ロビン」や「レクチン」といったマメ科特有のもので、消化器症状や神経症状を引き起こすことがあるため、果実も摂取は控えられるのが普通です。 まとめると、ニセアカシアの果実(豆果)にも毒があるため、ニホンザルが少量しか食べなかったのは毒性に対する防御的な行動と見るのが妥当です。 

しかし「蓼食う虫も好き好き」という諺があるように、ニセアカシアの葉を食べるイモムシもいます。
進化の過程でニセアカシアの毒成分に対する解毒能力や耐性を獲得したのでしょう。

関連記事(5年前の撮影)▶ 


今回のニホンザルの群れは砂防ダムでニセアカシアの葉柄を毒味していたようです。 
近くにオニグルミの葉(無毒)も生えていたのに、わざわざニセアカシアの葉柄(有毒)を選び取って何度も味見していたのが不思議です。 
A3: オニグルミの葉には毒性成分(ジュグロン)が含まれますが、ニセアカシアのような明確な哺乳類毒はなく、ニホンザルが積極的に避ける理由にはなりにくいと考えられます。ニホンザルがニセアカシアの葉をあえて味見する行動は、好奇心・変わった食物の探索や、他の要因(例:食物の多様化、タンパク質の補給など)が影響しているかもしれません。 
もしかすると、有毒成分に特有の刺激的な味覚がニホンザルにとってスパイスのように少し癖になっている(中毒性のある嗜好品?)のかもしれません。 
そして幼い子猿が有毒植物をあまり大量に食べ過ぎないように、成獣♀(若い母親? 姉?)が子猿から取り上げようとしているようにも見えます。 
しかしニホンザルの採食行動は全て自己責任であり、危険な有毒植物を子猿が食べようとしていても、母親は叱ったり強く制止したりすることはないのだそうです。

A4: 野生のニホンザルにおける食草の毒味は基本的に各個体が自己責任で行う行動と考えられています。特に毒性のある植物や部分を少量ずつ試す「味見」は、個体ごとの経験や感覚によって判断されることが多く、親や群れの成獣が明確に制止や教育を行う様子が観察されることは稀です。

これは、毒の感受性や個体差があるため、個別の体験を通じて安全か危険かを学ぶ必要があることや、毒味行動自体が自己防衛の意味を持つためと考えられます。成獣が子猿の行動を特に制止しなかったという観察は、この自己責任の性質を反映していると言えます。

また、ニセアカシアのように毒を含む植物は味わいながら摂食量を調整するなど、適応的な習慣が形成されている可能性が高いです。こうした行動は、食物の利用可能性や栄養のバランス確保に不可欠であり、個々のサルが自らの判断で安全な食べ方を模索するための重要な生存戦略となっています。


【アフィリエイト】 

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