2024年6月下旬
シーン0:6/26・午後13:46・くもり・気温31℃(@0:00〜)
明るい日中にたまたま撮れた現場の様子です。
平地の二次林でニホンアナグマ(Meles anakuma)の母親♀と4頭の幼獣が転入してきた営巣地(セット)を自動撮影カメラで見張っています。
同じ日に繰り返し見られたアナグマ♀の砂浴び行動について以下にまとめます。
シーン1:6/30・午前2:07(@0:03〜)
深夜にアナグマの母子家族が巣外で活動しています。
母親♀は林縁に横臥して右前脚で土を掘り、自分の体にかけています(砂浴び?)。
一方、4頭の幼獣はセットに散開し、格闘遊びを繰り広げたり、木登りに挑戦したり、採食したりと、思い思いに過ごしています。
取っ組み合いをしている幼獣2頭が近くに来ると、母親♀は掴まえて毛繕いしてやっています。
シーン2:6/30・午前4:28・気温18℃(@1:03〜)日の出時刻は午前4:17。
日の出時刻は過ぎましたが、辺りはまだ薄暗いようで、トレイルカメラがモノクロで起動しました。
林縁のミズキの根元で横臥していた母親♀がガバッと起き上がって左奥を凝視しています。
やがて警戒を解くと、前足で地面を掻いて再び横たわりました。
寝ながらたまに身震いしたり砂浴びしたりしています。
そのまま少し居眠りしたのか、ときどき寝ぼけてビクッとジャーキングしています。
シーン3:6/30・午前6:53・気温18℃(@1:38〜)
すっかり明るくなった営巣地を母親♀がうろついています。
林縁を右からセットに戻ってきたのか、それとも巣穴Rから外に出てきた直後なのかもしれません。
いつものお気に入りの場所で(林縁のミズキの下)再び横臥しました。
手持ち無沙汰なのか、前足で地面を掻いて少し掘り、その土を自分の体に掛けました。(砂浴び行動?)
アナグマ♀の砂浴び(土浴び)行動を、1.5倍に拡大した上でリプレイ。(@2:38〜)
【考察】
この地点で長期間ひたすら定点観察しているのに、アナグマの砂浴び行動を見たのはこれが2回目です。
関連記事(1年前の撮影)▶ 寝そべって砂浴びするニホンアナグマのヘルパー♂【トレイルカメラ:暗視映像】
つまり、滅多に見られない珍しい行動です。
観察例が少な過ぎる(n=2)のですが、今のところ成獣に特有の行動で、幼獣はやりません。
しかし、アナグマの砂浴び行動は翌月にも観察できました。(映像公開予定)
暇つぶしの独り遊びのため、あるいは前足の爪を研ぐために、地面を引っ掻いているだけなのでしょうか?
鳥の砂浴びと同じく、アナグマも体についた体外寄生虫や余分な脂分を取り除くために土を浴びるのでしょう。
砂や土の粒子との摩擦で体外寄生虫が寄主の体表から物理的に剥がれ落ちることが期待できます。
また、砂浴び後の体毛は乾燥します。
体外寄生虫が蔓延しているのなら、体が痒くて頻繁に掻くはずです。
しかし、砂浴びを繰り返したアナグマ♀個体は、特に体が痒そうというわけでもありませんでした。
したがって、体外寄生虫に寄生されていると自覚したから対策として砂浴びを始めたのではない、ということになります。
アナグマの土浴びは渇水期でなくても行われることから、単なる水浴び不足の代替とは言えません。
サラサラの土を自分の体にかけると、体温よりもひんやりして気持ちが良いのだろうか?
土や砂は体の熱を吸収し肌表面を冷やす効果があるとされています。
ニホンアナグマは汗腺が発達していない動物なので、土浴びにより直接的に体温調節ができる利点がありそうです。
つづく→
0 件のコメント:
コメントを投稿