2024/01/13

幼獣を運んで2つの巣穴を行ったり来たり引っ越しを繰り返すニホンアナグマ♀【トレイルカメラ:暗視映像】

 



2023年5月下旬

シーン1:5/27・午前3:17・(@0:00〜) 
右目の小さなニホンアナグマ♀(Meles anakuma)が未明に奥の巣穴Rから外に出てきました。 
口に幼獣を咥えて、手前の巣穴Lに引っ越しを始めました。(R➔L) 
前回の引っ越し(12日前)時よりも育った幼獣は重そうで、母親♀は運搬中に何度も地面に幼獣を置いて休んでいます。 


不思議なのは、前回も今回も巣穴RからLへ引っ越したことです。 (R➔L) 
辻褄を合わせるためには、2つの巣穴が内部で繋がっているか、あるいは巣穴LからRへの引っ越しをカメラの電池切れなどの機材トラブルで撮り損ねていたことになります。 

動画編集のミスで、暗転が不必要に長くなってしまいました。(@0:29〜0:48) 


シーン2:5/27・午前3:19・(@0:48〜) 
次の幼獣を口に咥えた♀が再び出巣Rしてきました。 
巣穴Lへ運んで引っ越します。(R➔L) 

しばらくすると、♀が手前の巣穴Lから空荷で外に出てきました。 
後ろ姿で見ると、この♀の首筋には白斑があります。 
身震いしたところで録画終了。 

前回5/15は4頭の幼獣を続けて運びましたが、今回は2頭だけです。
残り2頭の安否が心配です。


シーン3:5/28・午後17:41・(@1:21〜)日の入り時刻は午後18:56。 
翌日は日没前の夕方に引っ越しの続きを始めました。 
夕方に見るとまた毛色の印象が変わるのですけど、運搬者は後頭部に白班が無いので、もしかすると♀ではなくヘルパー♂なのかもしれません(自信なし)。 

大きく育った幼獣の首筋を口で咥えて、奥の巣穴Rへと運んでいます。(L➔R) 
前日にせっかく巣穴Lへ引っ越した幼獣を再び巣穴Rへと戻したのでしょうか? 
引っ越しと言っても隣り合う2つの巣穴L⇔Rの間を行ったり来たりしているだけで、一体どんな意味があるのか私にはさっぱり分かりません。 
詳しく解明するには、幼獣も成獣もきっちり個体標識する必要がありそうです。
巣穴の内部構造を調べる必要もあります。

♀?が再び出巣Rしたところで録画終了(尻切れトンボ)。 


シーン4:5/28・午後17:44・(@2:02〜) 
トレイルカメラの起動が遅れましたが、幼獣を咥えて引っ越し中でした。(L➔R) 
運んできた幼獣を巣口Rに一旦置いてから、咥え直して改めて入巣Rしました。 

しばらくすると、空荷で出巣Rした♀?が手前の巣穴Lへ戻りました。 
次に後退しながら出巣Lしたときには口に幼獣を咥えていました。 
幼獣を連れて奥の巣穴Rへ引っ越します。 (L➔R) 


シーン5:5/29・午後21:37・(@3:15〜) 
翌日の晩にも引っ越しシーンが撮れていました。(L➔R) 
巣口LRの中間地点で地面に横たわる幼獣の姿がしっかり見えました。 

♀が一休みしてから幼獣の首筋を噛んで持ち上げ、半ば引きずるようにして奥の巣穴Rへ運びました。 
成長した幼獣が重くなり、運ぶのに苦労しているようです。 

カメラの電池が消耗していたせいか、続きが撮れていませんでした。 

※ 動画の一部は編集時に自動色調補正を施しています。 


ベニカナメモチの花で採餌するヒメハナバチ?コハナバチ?の一種

 

2023年5月下旬・午前10:15頃・くもり 

民家の庭の生垣でベニカナメモチ(=レッドロビン)に白い花が咲いていました。 
バラ科のレッドロビンがこんな花(散房状花序)をつけるとは知りませんでした。 

そこに小さなハナバチが訪花していました。 
コハナバチ科かヒメハナバチ科だと思うのですが、採集しないと私には見分けられません。 
吸蜜する蜂の後脚をよく見ると、花粉籠に少量の白っぽい(黄色)花粉団子を付けています。 

1/5倍速のスローモーションでリプレイ。 
このとき1.5倍に拡大しました。(デジタルズーム)

2024/01/12

巣材の落ち葉を2つの巣穴に繰り返し運ぶニホンアナグマ♀【トレイルカメラ:暗視映像】

 



2023年5月下旬 

ニホンアナグマ♀(Meles anakuma)がまた巣材集めをするようになりました。 

シーン1:5/29・午後18:53・(@0:00〜) 
首筋に白い毛の部分(白斑?)がある♀が、前足で落ち葉を掻き寄せながら手前の巣穴Lに後ろ向きで入ります。 
細い落枝も一緒に運び込んでしまっても、細かいことは気にしないようです。 

しばらくすると、同じ巣穴Lから外に出て来ました。 
身震いしてから左に立ち去ると、カメラの周囲のマルバゴマギ灌木が激しく揺れ始めました。 
アナグマ♀がカメラの死角でゴソゴソ動いているようです。 
林床の落ち葉をかき集めるだけでは足りずに、近くに生えた灌木の枝に付いた生の葉っぱ(若葉)もむしり取っているのかもしれません。 


シーン2:5/29・午後18:58・(@1:14〜) 
新しく集めてきた巣材を巣口Lに敷き詰めただけで、なぜか巣穴Lの奥には運び込みませんでした。 
どんな意味があるのか、これはちょっと興味深い行動です。 
♀はそのまま右へ立ち去りました。 


シーン3:5/27・午前0:51・(@1:32〜) 
2日前の深夜にも巣材集めをしていました。 
奥の巣穴Rに巣材を繰り返し運び入れています。 
手前に生えた灌木の枝葉が邪魔で、アナグマの性別もよく見分けられませんでした。 
(巣材集めは♀の仕事だと今のところ考えています。)


 ※ 都合により、動画の順序を入れ替えました。(見て分かりやすい映像を先に紹介しました) 
※ 動画の一部は編集時に自動色調補正を施しています。 


雪が溶けた田んぼで採食するコハクチョウの若鳥【冬の野鳥:4K動画】

 

2023年3月下旬・午後15:20頃・晴れ  

雪解けが進む早春の刈田で採食するコハクチョウCygnus columbianus bewickii)大群の中で若鳥に注目し、高画質の4K動画で撮影しました。 
頭部が黒っぽくて薄汚れて見えるのが若鳥の特徴です。 
白鳥が田んぼの泥で汚れたのではなく、若鳥は羽根の色自体が元から黒っぽいのです。
成鳥へと成長すると白い羽根に生え変わります。
嘴の中がピンク色なのは、雛のときに口を大きく開けて親鳥にアピールして給餌してもらうための名残でしょう。
(この点はカラスも同じです。)
ちなみに、もっと若い個体は嘴全体がピンク色です。

雪解け水でぬかるんだ田んぼを歩き回って落ち穂拾いしています。

2024/01/11

小川に架かる倒木を夜に渡るホンドテン【トレイルカメラ:暗視映像】

 



2023年5月下旬 

シーン0:5/18・午後12:55・(@0:00〜) 
明るい日中にたまたま撮れた現場の状況です。 
画面の手前から奥に向かって緩やかに流れる小川に、ニセアカシアの倒木が左岸から右岸に倒れた結果、天然の丸木橋となって野生動物が利用しています。 


シーン1:5/23・午後20:54・(@0:05〜) 
謎の野生動物が右岸から左岸へ丸木橋を渡ると、左岸の崖を一気に駆け上がりました。 
白く光る目の位置が低いので野ネズミかと思いきや、獣道の途中でぶつかった低木の枝葉が大きく揺れたので、中型の哺乳類のようです。 
1/3倍速のスローモーションでリプレイ。 
これがテンとは言い切れないのですが、同じ動画にまとめてしまいました。 


シーン2:5/24・午後20:50・(@0:25〜) 
尻尾の長い野生動物が左岸から右岸に丸木橋を渡りました。 
ニホンイタチではなくホンドテンMartes melampus melampus)だと思います。 

余談ですが、このときトレイルカメラの至近距離からカリカリと何か引っ掻くような異音が録音されていたのが気になります。 
カメラを固定した立木の幹に野生動物がよじ登ったのか、あるいは爪研ぎをしたのか?と想像してしまいます。 

※ 動画の一部は編集時に自動色調補正を施しています。

セイヨウタンポポの花蜜を吸って飛び去るビロウドツリアブ【ハイスピード動画】

 

2023年5月上旬・午後12:40頃・晴れ 

山麓の山道に咲いたセイヨウタンポポビロウドツリアブ(=ビロードツリアブ;Bombylius major)が訪花していました。 
ともに普通種ですけど、この組み合わせは初見です。 

長い口吻で吸蜜している間も高速で羽ばたき続けていますが、舌状花の花弁に足を掛けているので、ホバリング(停空飛翔)ではありません。 
そのまま次の花へと飛び去りました。 
アイドリングの羽ばたきを止めないのは燃費が悪い気がするのですけど、カロリー収支が赤字にならずやって行けてるのが不思議です。 
訪花中に外敵に襲われたり交尾相手が飛来した際にいつでも素早く飛び立てるように、アイドリングしているのでしょうか。

240-fpsのハイスピード動画撮影を優先したら、高画質のFHD動画に切り替える前に逃げられてしまいました。 
撮影後に頭花の総苞片が反り返っているセイヨウタンポポと確認しました。

2024/01/10

ホンドタヌキ幼獣6頭が巣穴の入口に出てきた!

 



2023年5月下旬・午後13:25頃・晴れ 

トレイルカメラを設置するため、巣穴の発見から数日後にホンドタヌキNyctereutes viverrinus)の営巣地にやって来ました。 
前回と同じく動画を撮りながらゆっくり巣穴に近づくと、無邪気なタヌキ幼獣が巣口aで出迎えてくれました。 
黒っぽい毛皮の幼獣は、もう自力で立って巣内を歩き回っています。 
幼獣の目は既に開いているのにヒトを恐れる素振りはあまりなく、鳴き声も発しませんでした。 
落ち着きなく動き回るのできっちり数えられませんでしたが、計5〜6頭の幼獣でした。 
 親ダヌキは巣内で寝ているのか、それとも採餌のために外出しているのかな? 
巣口aの外にはスギナが疎らに生えています。 

平凡社『日本動物大百科1哺乳類I』でタヌキの繁殖について調べると、
年1回出産、産子数18でふつう45子、交尾期24月、出産期5〜6月、妊娠期間59〜64日。(p116より引用)
今回観察した子ダヌキが5〜6頭ということは、ほぼ平均的(やや多め)な産仔数のようです。
隣りにあるもう一つの巣穴bには今回もタヌキは居ませんでした。 


ここはトレイルカメラを設置しにくい場所で、工夫が必要でした。 
いつもは立木の幹にトレイルカメラをくくりつけてハイアングルで設置するのですけど、巣穴まで少し遠くなってしまいます。 
今回はローアングルで設置することにしました。 
初夏の原っぱでは雑草の草丈が高く生い茂るので、ローアングルではなかなか視界を確保できません。 
もちろん草刈りするのは簡単ですけど、子育て中の親ダヌキを怖がらせたくありません。 
巣口付近の環境をあまり撹乱すると、親タヌキが警戒して引っ越してしまいそうです。 
仕方なく、巣穴から少し離れた地面にトレイルカメラを置いてみることにしました。 

普通の三脚を原っぱに立てて長期間置くと目立ってしまうので、目立たないようローアングルの三脚を自作しました。
工作というほどではありませんが、ペットボトルのキャップにキリで穴を開けます。
三脚と同じ直径のボルトをホームセンターで買ってきて、キャップの穴に通し、ナットやワッシャーで締めておきます。 
そのネジにトレイルカメラを固定しました。 
カメラが倒れないよう重りとしてペットボトルに水を満タンに入れました。 
穴を掘ってペットボトルを埋めれば更に安定したかもしれません。
この工作は私の発明ではなくて、確か動物写真家の本を読んで知りました。(思い出したら追記します。)

タヌキや誰かヒトがカメラを持ち去ったりしないように、盗難防止の対策が必要です。 
持参した重いコンクリートブロックを横に置いて、ワイヤーロックでカメラをくくりつけました。 
昼間は風揺れによる誤作動が多いだろうと予想し、夜間のみ監視するようタイマー設定しました。(午後18:00〜午前6:00 ) 
さて、どんな映像が写るか楽しみです。


実はトレイルカメラを設置した日はすぐに帰宅せずに、離れたところから望遠で隠し撮りを試みました。 
遠くの木陰にブラインドを張り、中に身を隠して日没まで粘ったものの、タヌキが巣穴に出入りする様子を撮影できませんでした。 
タヌキの営巣地を遠くから見ると雑草が背高く生い茂り、巣穴がほとんど見えませんでした。 
タヌキは主に夜行性ですから、やはり無人の自動センサーカメラに監視・撮影を任せた方が良さそうです。 



舗装路で日光浴していたアオダイショウの幼蛇が蛇行して逃げるまで

 

2023年5月下旬・午前11:45頃・晴れ 

郊外の住宅地で蛇が舗装路の日陰から日向に進出しようとしていました。 
日光浴していたようです。 
見慣れない横縞模様があり、調べてみるとアオダイショウElaphe climacophora)の幼蛇でした。 
(体長がそんなに小さい印象はなかったけどな〜。)

私が動画を撮りながら右足を1歩踏み出したら、蛇は慌てて身を翻し、側溝沿いの木の下に逃げ込みました。 
蛇行して素早く逃げる様子を1/5倍速のスローモーションでリプレイ。 
舌をチロチロと出し入れしていますね。
このとき1.5倍に拡大しています。(デジタルズーム)

2024/01/09

ホンドタヌキの巣穴を見つけた!

 

2023年5月下旬・午後13:25頃・晴れ 

私が近道をしようと休耕地の原っぱを横切って歩いていると、ハルジオン群落の陰からホンドタヌキNyctereutes viverrinus)が顔を覗かせて私の様子をこっそり伺っていました。 
タヌキの幼獣ではなくて成獣です。 
正面からこちらを見据えている顔の額に黒い傷跡のような模様があります。
草むらにゆっくり身を伏せたのは、私から隠れているつもりなのでしょうか? 




私が動画を撮りながら草地をゆっくり歩いて近づいても、タヌキが走って逃げなかったのは意外でした。 
タヌキは草むらの奥で右から左へそっと横切ったのですが、私も慌てていて、うっかり録画終了ボタンを押してしまいました。 
急いで続きの動画を撮り始めると、タヌキはハルジオン群落の陰に身を伏せてこちらを見ています。 
やがてどこかに姿を消しました。 

私がゆっくり歩いて回り込むと、地面に掘られた巣穴を発見しました。 
タヌキはここに避難したようです。
私は知らず知らずタヌキの巣穴に向かって原っぱをズカズカと歩いていたようで、親ダヌキが警戒していたのだと分かりました。
巣穴の奥はどのぐらい深く掘られているのか分かりませんが、巣口aにズームインしても逃げ込んだタヌキの姿は見えません。 




辺りを探索すると、隣にもう一つの巣穴bを見つけました。 
独立した巣穴が2つあるのか、それとも内部でつながっているのかな? 
巣穴bの中にまばらに敷かれた枯れ草は、巣材(寝床)なのでしょう。 




タヌキも今は繁殖期(子育て中)ですから、神経質になっているはずです。 
私は撮影を最小限に済ませると、急いでタヌキの営巣地から立ち去りました。 
これでも巣口に近づき過ぎないように、タヌキを追い詰め過ぎないように、気をつけたつもりです。
もし私が本気で駆け寄ったら、狸寝入り(擬死、死んだふり)をしたでしょうか? 
早速、無人の自動センサーカメラ(トレイルカメラ)を設置して、ホンドタヌキの巣穴を監視することにしましょう。 

原っぱにはスギナやハルジオンなどの雑草が生えていて、クズの蔓も伸びつつあります。 
この休耕地がこれからどうなるか、タヌキにとっては死活問題です。 
今季は休耕地のまま放置してくれるでしょうか? 
地主が畑で何か作物を栽培するためにトラクターで休耕地の耕耘を始めたら、タヌキの家族は強制立ち退きを余儀なくされるでしょう。 

実はタヌキの巣穴を見つけた日はすぐに帰宅せずに、離れたところから望遠で隠し撮りしてみました。 
(私の記憶違いで、後日の話でした。)


タヌキの溜め糞場に集まって婚活するクロボシヒラタシデムシ♀♂

 

2023年5月上旬・午後15:05頃・晴れ 

平地でスギ防風林を通り抜ける獣道の途中にホンドタヌキNyctereutes viverrinus)が長年使っている大きな溜め糞場wbcがあります。 
定点観察に来ると、新鮮な糞が追加されていました。 

未消化の獣毛が大量に混じった糞が気になります。 
タヌキが野ネズミなど哺乳類の獲物を狩って捕食したのでしょうか? 
死骸を食べたのかな?(腐肉食) 
あるいは、季節の変わり目でどんどん抜け落ちる冬毛を自分で毛繕いする際に誤飲してしまったのかもしれません。 
糞分析の専門家は、体毛だけでも顕微鏡で調べることで種類を見分けられるのだそうです。 
糞虫の中には、糞そのものというよりも糞やペレットに含まれる獣毛や羽毛を専門に食べる種類がいるらしいですけど、見慣れない糞虫は来ていませんでした。

糞に含まれる紫色の人工物の破片は、人家から盗んできた長靴を噛んだ際に誤飲したのでしょう。 
野生タヌキの行動圏を解明するために、マーキングしたプラスチック片を仕込んだ餌を与えて各地の溜め糞場で回収されるかどうか調べるマーキング実験を連想しました。 

タヌキの溜め糞にクロボシヒラタシデムシOiceoptoma nigropunctatum)の成虫が群がっていました。 
これほど多数の群れを見たのは初めてかもしれません。 
マウントした♂を背負いながら♀が歩き回っています。 
クロボシヒラタシデムシのあぶれ♂が交尾相手の♀を求めて忙しなく動き回り、互いにマウントし合っています。 
誤認求愛に気づくとあっさり離れるのですが、鳴き声(リリースコール♪)を発している訳でもありませんし、交尾拒否の合図がよく分かりません。 

赤っぽいダニ(種名不詳)がクロボシヒラタシデムシの体表を徘徊していました。 
他にはハエ類とカメムシがタヌキの溜め糞に集まっていました。 

2024/01/08

ニホンアナグマの巣穴の横に排尿マーキングする夏毛のホンドテン♂【トレイルカメラ:暗視映像】

 



2023年5月下旬 

ニホンアナグマMeles anakuma)の営巣地(セット)を2台の自動センサーカメラで見張っていると、ホンドテンMartes melampus melampus)が久しぶりにやって来ました。 


シーン1:5/30・午後18:40・気温17℃(日の入り時刻は午後18:57) 
日没前なのに林内はかなり薄暗く、暗視モードで監視カメラが起動しました。 
この時期のホンドテンは夏毛のはずですが、モノクロの暗視映像でしか記録されていないのが残念です。 
素人目にはかなり痩せて見えます。 
餌があまり取れないのか、それともフカフカの冬毛が抜けてボリュームが失われただけかな? 

奥の二次林から忍び足で現れた来たテンが2つの巣穴LRを順に覗き込んで匂いを嗅いでいます。 
ホンドテンは野ネズミなどを獲物として狩るらしいのですが、巣穴の中に侵入してアナグマの幼獣を狩ることはしませんでした。 
アナグマの巣穴に野ネズミも同居しているのかと疑うぐらい頻繁に野ネズミが出没します。 

関連記事()▶  


今回のホンドテンは、アナグマの巣口付近で野ネズミの残り香を気にしていたのかもしれません。 
昼間は巣内で寝ているアナグマの♀やヘルパー♂はそろそろ起きて活動を始める時間帯なのに、危険な訪問者に気づいていないのか、追い払うことはしませんでした。(専守防衛の穴熊戦術?) 

右に走り去る間際にテンは立ち止まって尿でマーキングしたようです。(@0:32〜) 


シーン2:5/30・午後18:39 
同時に別アングルの旧機種トレイルカメラでも撮れていました。 
テンがアナグマの巣口をL、Rの順に訪れ、匂いを嗅ぎ回っています。 
巣口Rから獣道を辿って右上に走り去りました。 

立ち去る前にテンはちょっと立ち止まりました。 
おそらく排尿マーキングしたようです。 
小便による匂い付けで縄張りを主張しています。 
自宅の玄関先に「ホンドテン参上!」という大胆な縄張り宣言をされたアナグマは、どう反応(対抗)するでしょうか? 


吉見光治『テン:種をまく森のハンター』という写真集にマーキングするテンの写真が掲載されており、そのキャプションによると、
マーキングする♂(♀はしゃがんで排尿する)。尿の臭いは人間にはわからない。(p20より引用)
今回の個体は立ったままマーキング(立ち小便)したので、♂ということになります。 

※ 動画の一部は編集時に自動色調補正を施しています。 



コンクリートの橋桁に巣作りを始めたイワツバメ♀♂(野鳥)

 

2023年5月下旬・午後12:35頃・晴れ 

河原の橋の下にツバメの群れが高速で出入りしていました。 
カメラでズームインしてみると、いわゆる普通のツバメではなく、イワツバメDelichon urbica)という白黒の種類でした。 
どうやら橋桁の下に泥巣の土台を作り始めた基礎工事の段階のようです。 
私が近くからカメラを向けて撮影しても、イワツバメはさほど気にせずに造巣作業を続けています。 

ファーブル昆虫記』では人家に泥巣を作る蜂(ドロバチ類)の習性と比較するために、ツバメの造巣行動も観察しています。 
私はいわゆる普通のツバメの造巣行動もまだ観察できていません。 
この川の流域にイワツバメが生息することは気づいていたのですが、まさか巣作りを観察できるとは、千載一遇のチャンスです。 

関連記事(4年前の撮影)▶ 飛んでいるイワツバメを見つけた!(野鳥) 


実は、同じ流域の別な橋で橋桁の垂直な壁面(高所)になすりつけた泥汚れを過去に見た記憶があります。
てっきり悪童が泥団子を橋脚に投げつけて遊んだ跡なのかと当時は思ったのですけど、今思えばあれもイワツバメが作った泥巣の痕跡だったのでしょう。(※追記参照)

この橋の下をよく調べると、進捗状況の異なるイワツバメの泥巣が2箇所に作られていました。 
造巣を始めたばかりの♀♂ペアに注目します。

橋の下は鉄筋コンクリートの橋桁や橋脚に囲まれているため、イワツバメの鳴き声♪が反響しています。 
他にはカワラヒワも鳴いています♪。 
私の背後から川のせせらぎ♪も聞こえます。 





飛来したイワツバメは垂直のコンクリート壁面に塗りつけた泥玉を足掛かりとして辛うじて止まると、嘴に咥えた巣材の泥を新たに塗りつけ、泥巣の形を整えています。 
橋桁のコンクリートの壁面だけでなく、天井部の隅にも泥の巣材を塗り付けようとした形跡がありました。 
 『やまがた野鳥図鑑』でイワツバメの造巣習性を調べてみると、理由が分かって納得しました。
集団繁殖する種で、校舎の軒下や橋げた、歩道橋下などに営巣し、付近の上空を群れで飛んでいる。  「岩燕」と書く。もともとは山地の岩棚に営巣していたのだろう。建造物を岸壁などに見立てて巣作りするケースが増えている。イワツバメはツバメと違って天井ぎりぎりに巣を設け、その出入り口は狭い。中にはたくさんの羽毛が入っているようだ。(p91より引用)

イワツバメが泥巣aに飛来し、飛び去る様子を1/5倍速のスローモーションでリプレイ。 
垂直な壁面に危なっかしく止まっている際には、キツツキと同じく硬い尾羽根の先端で体を支えていることが分かり、興味深く思いました。 (※ 追記2参照)

1回の巣作り作業は短時間で終わり、またすぐに飛び去ります。 
おそらく近くの川岸で巣材の泥を採取して来るのでしょう。 





2羽のイワツバメが相次いで飛来して、作りかけの泥巣に並んで止まることがありました。 
てっきり♀♂つがいが協力して巣作りしているのかと思ったのですが、イワツバメは集団でコロニーを形成するらしいので、2羽の♀が隣合うようにそれぞれの泥巣を作っているのかもしれません。 
私はイワツバメで性別の見分け方を知りません。 
ツバメと同じく尾羽根の長さに注目するのかな? 
バードリサーチニュースの生態図鑑でイワツバメを参照すると、素人には識別が難しそうです。
・羽色は雌雄同色.(中略)オスは肩羽および背から頭上にかけての藍色光沢が強い傾向にある. 
・さえずりは「ピチュルピチュルピチュル」と早口に長く繰り返す.繁殖期は飛翔中や巣内でよくさえずり,この声はオスのみが出すと思われる.地鳴きは「ジュリ,ジュリ」と鳴く. 
・繁殖システムは一夫一妻.つがい関係は毎年異なるものが多く…(後略) 
・巣: 建造物や岩場の崖,トンネルの出入り口などの雨の当たりにくい場所に営巣するが,近年は自然物への営巣は少ない.建造物は人家よりも橋桁や高架下,学校や病院などを好む.一般的にコロニーを作って繁殖し,一度作られた巣は長期間にわたって利用される.コロニーを放棄することもあるが,放棄されたコロニーが数年後に再び利用される例もある.巣材は泥が中心で,壁や庇の下に深い椀形で出入り口の狭い巣を作る.泥はコロニーから約200m離れた水田や約50m離れた水溜りから運んでいることが観察されている.(中略)多くの個体が古巣を補修して繁殖をおこなうが,新たに巣を作る場合の造巣日数は21.1±3.8日(n=14)であった (西 2009).

せっかくなのでイワツバメの造巣過程を微速度撮影しようと思い、急いで三脚を取りに家へ戻りました。 
ところが2時間後(午後14:45頃)に戻ってきて微速度撮影をいざ始めたら、イワツバメの親鳥は全く来なくなってしまいました。 
短いですが、10倍速の早回し映像を最後にお届けします。 (@3:16〜)
こんなことなら、三脚なしの手持ちカメラで動画撮影を続けるべきでした。
黒く濡れた泥は、新しく作られたばかりの部分です。 
巣材の泥が乾いた部分は白っぽく見えます。 









同じ橋桁で少し離れた地点にもう1つ別な泥巣bを見つけたので、後半はそちらを微速度撮影しました。 
初めに見つけた泥巣aよりも造巣作業がずっと進んでいて、素人目にはほぼ完成しているようです。 
長撮り監視しても、巣内で雛が顔を出すことはありませんでした。












さて、どうしてイワツバメは造巣を途中で止めてしまったのでしょうか? 
一日の中でも特定の時間帯にしか造巣行動をしないのかな? 
巣材の泥が乾いて強度が増すまで待っているのではないか?と推測しました。 
それとも、私が橋の下に設置した三脚カメラを警戒して営巣地に近寄らなくなってしまったのでしょうか? 
一応、橋の下に生えた雑草の茂みに三脚を隠したつもりで、微速度撮影中の私はカメラから離れて時間を潰していました。 
次回は迷彩ブラインドを持参して、三脚カメラ全体を本格的にカモフラージュ(隠蔽)するべきかもしれません。 
しかし、ツバメはカラスなどの天敵(捕食者)を避けるためにわざわざ人家の近くに営巣するシナントロープです。 
この橋の下も昼間はヒトがジョギングやイヌの散歩のため結構頻繁に往来しています。 
イワツバメも他の野鳥に比べてヒトに対する警戒心は薄いと思うのですが、どうなんでしょう? 

作りかけの泥巣の真下には、コンクリート基質に付着できなかった巣材の泥玉が大量に散乱していました。 
巣内で孵化した雛が排泄した糞なのか?と一瞬思ったのですが、よく見ると白く乾いた泥玉(巣材)でした。 

泥巣aの直下



泥巣bの直下




この時期の私は忙しくて、定点観察に連日通うのは無理でした。 
後日、現場入りしてみると、残念ながらイワツバメの営巣は失敗していました。 
まさか橋の下に作られたイワツバメの巣をわざわざ高所作業車を使ってまで駆除するヒトは居ないはず…と信じたいです。 
イワツバメがコロニーを作ったぐらいで橋脚の機能や強度に悪影響は無いはずです。 
糞害を嫌う潔癖症のヒトは居るかもしれません。 

どうやら橋脚のコンクリート表面が滑らか過ぎて、巣材の泥がしっかり付着できず、重さで自然に剥落してしまったようです。 
橋桁を建造する際に、この点を何か改善してもらえれば(コンクリートの表面を一部ザラザラに加工する等)、イワツバメにとって優しい営巣環境ができるはずです。 
ツバメの仲間は蚊やハエ、羽アリなどを飛びながら捕食してくれる益虫です。 
「害虫が大発生した!」と騒いで殺虫剤を毎年大量に撒かないといけない事態になるのは、近年ツバメが住宅難(営巣地不足)から数を減らしているのが一因です。 
イワツバメを含めた生物多様性を確保すれば、生態系のバランスが適度に保たれて害虫の大発生は抑えられるはずです。



※【追記】
半年前の冬に撮っていた写真を掘り出しました。

2022年12月上旬
同じ川の流域で少し下流に架けられた別の橋の下をくぐって通り抜ける際に見つけたものです。
コンクリート護岸に鳥の糞がまとまって大量に落ちていたので上を見上げると、コンクリートの橋桁の裏面にイワツバメが作ったと思われる古巣を見つけました。

もっと昔に撮った未公開写真があるはずなので、探しています。



※【追記2】 
ツバメ科イワツバメは、足指の配置が特徴的です。 
第1趾が後ろ向きで、第2〜4趾が前向きです。 
こうした三前趾足さんぜんしそくと呼ばれる趾の構造は、イワツバメが壁面や岩場に巣を作る習性と関連しており、安定して止まることができるようになっています。

2024/01/07

ニホンアナグマの諸活動:5月中旬〜下旬【トレイルカメラ:暗視映像】

 



2023年5月中旬〜下旬

二次林でニホンアナグマ♀(Meles anakuma)の巣穴LRを新旧2台のトレイルカメラで監視しています。 
 何か特筆すべき行動は個別の記事として取り上げるのですが、残り物というか、とりとめもない諸活動をまとめました。 
営巣地(セット)をうろついたり、毛繕いをしたり、など。 
私の観察歴が浅いために見落としている行動が多々ありそうですし、念の為に記録を全て残しておきます。 
♀とヘルパー♂が登場しますが、見分けられないときがあります。 
長いので、ところどころ5倍速の早回しに加工しています。 
後半はカメラの電池が消耗していて、細切れの映像になってしまいました。 

シーン1:5/12・(@0:00〜) 


シーン2:5/13・(@0:40〜) 


シーン3:5/14・(@2:18〜) 
赤外線の暗視映像で正面から見ると、♀の両目は左右の大きさが異なります。(右目<左目) 


シーン4:5/15・(@3:18〜) 
♀の首筋には白斑があり、後ろ姿でも目立ちます。 

ヘルパー♂が奥の巣穴Rから右へアクセストレンチを伸ばしているようですが、手前に生えた灌木が邪魔でよく見えません。 


シーン5:5/16・(@9:51〜) 
別アングルに設置した新機種のトレイルカメラがこの時期はなぜか不調だったのですが、久々に起動しました。(気温14℃@11:34〜) 
♀とヘルパー♂の2頭が同時に写っています。 
左に居た♀が先に入巣Rし、ヘルパー♂が広場に独り居残りました。 


シーン6:5/17・(@12:51〜) 


シーン7:5/18・(@13:27〜) 


シーン8:5/19・(@14:11〜) 
林縁で♀とヘルパー♂の2頭が座って相互毛繕い。(@14:21〜) 


シーン9:5/20・(@15:19〜) 
奥の巣口Rで2頭が相互毛繕い。(@16:12〜) 
林縁で2頭が相互毛繕い。(@18:50〜) 


シーン10:5/21・(@19:48〜) 


シーン11:5/23・(@20:13〜) 


※ 動画の一部は編集時に自動色調補正を施しています。


ハルザキヤマガラシの花蜜を吸うモンシロチョウ春型♂

 

2023年4月下旬・午後15:30頃・晴れ 

堤防路に沿って咲いた帰化植物ハルザキヤマガラシの群落で春型のモンシロチョウ♂(Pieris rapae)が忙しなく訪花していました。 
意外にもこの組み合わせは初見です。 

モンシロチョウは蛹で越冬しますから、春になって羽化したばかりのはずです。 
それなのに左後翅が破損した個体でした。 
翅を半開きにして吸蜜していました。 
翅表の黒い斑紋から♂と判明。 
ハルザキヤマガラシはモンシロチョウが食草とするアブラナ科ですから、♀が産卵に来るのを待ち伏せしていたのかもしれません。 

すぐに飛び去ってしまったので、飛び立つ瞬間を1/5倍速のスローモーションでリプレイ。(@0:13〜)

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