2013/04/20

残雪の上を徘徊する越冬明けコハナバチLasioglossum sp.♀



2013年3月下旬・気温7℃@雪面(日向)

ザラメ雪の残る林道(標高〜530m地点)で見つけた黒っぽいハチです。
越冬明けの個体が日向の雪道を徘徊していました。
未だこんな寒い(雪深い)時期にミツバチ以外の蜂を見つけたのは初めてです。
スプリング・エフェメラルの花ですら全く咲いていません。
立ち止まっている間に口吻を伸ばして雪を舐めているようにも見えました(@0:47-0:50)。
背面からしか接写出来なかったのが残念。

採寸のため定規を横に差し出したら蜂に触れてしまい、驚いた蜂が少しだけ飛びました。
ときどき羽ばくものの、この気温では未だしっかり飛べないようです。
冷たい雪面よりも定規の上が気に入ったらしく、定規の上を歩き回ります。
体長〜9mm。
触角の身繕いを始めました。

雪面歩行+scale

同定してもらうため、撮影後に蜂を採集しました。
「前翅の基脈は、弧状に強く湾曲する」ことから、ヒメハナバチではなくコハナバチ科の一種だろう、というところまでは私にも分かりました。
コハナバチ科ではふつう受精した♀成虫のみが越冬する(越冬♀、母蜂)らしい。(『日本動物大百科10昆虫Ⅲ』p60より)


いつもお世話になっている「蜂類情報交換BBS」にて写真鑑定を依頼したところ、青蜂@管理人さんより次の回答を頂きました。
コハナバチ属(Lasioglossum属)の仲間は、カタコハナバチ類であれば写真でも同定できそうですが、この写真の蜂は違っているようです。コハナバチ属の一種(Lasioglossum sp.)とさせてください。
つづく→蜂蜜を与えてみる


標本:背面@方眼紙

標本:側面@方眼紙

標本:側面@方眼紙
標本:下面@方眼紙

標本:腹部下面@方眼紙

標本:顔@方眼紙

標本:顔@方眼紙

標本:腹部側面@方眼紙

標本:腹部背面@方眼紙
標本:胸部側面@方眼紙

標本:胸部側面@方眼紙

標本:右翅@方眼紙

標本:右前翅@方眼紙

標本:右後翅@方眼紙

標本:左翅@方眼紙

標本:左前翅@方眼紙

標本:左後翅@方眼紙

2013/04/19

樹皮を剥いで採食するニホンザルの群れ



2013年2月下旬

里の集落で野生ニホンザル(Macaca fuscata)の群れが居座って樹上採食しています。
落葉樹の樹皮を剥いでいる映像を集めてみました。
冒頭では発信器の首輪を付けた成獣の姿もあります。(睾丸らしきものが見えるので♂?)
私には樹種が見分けられませんけど、これがもし庭木や果樹なら深刻な猿害ということになります。







老齢の♀

中央下の個体は♂





立ち上がって幹を直接かじる白猿

樹皮を剥がれた枝は遠くからでも白々と目立ちます。
猿の群れが遊動して去った後で食痕の写真を撮ると、樹皮を剥いだ跡に歯形がくっきり残っている枝もあります。
雪面に食べ残しの樹皮が散乱しています。
剥がされた樹皮が枝から白い紐のように何本も垂れ下がっている木もあります。
集中的に樹皮を食害された木は維管束形成層にダメージを受け、枯れ死してしまう気がします。
しかしこれを食害とか狼藉、惨状といった一方的な言葉で表現し糾弾するのはフェアではないでしょう。
ニホンザルも厳冬期を生き延びるのに必死ですし、ヒトの引き起こす森林破壊に比べれば可愛いものです。
それでもやはり、こうした惨状を目の当たりにすると心配になります(心穏やかではいられません)。


幹の樹皮食いの場合、シカは歯の跡が縦筋に残るが、サルの場合は縦横に残るため、サルの樹皮食いと特定できる。『哺乳類のフィールドサイン観察ガイド』p42より


2013/04/18

ノスリの狩り・捕食と飛翔(冬の野鳥)



2013年3月下旬

道端の電線に猛禽類が止まっていました。
飛び立つシーンをハイスピード動画に撮ろうかどうしようかと、迷っていると…。
鳥はおもむろに羽ばたき、飛び去るのではなく車道を挟んで地面に降り立ち、何か獲物を狩りました!
狩りの決定的瞬間を撮り損ねてしまったのは、痛恨のミスです…。
(映像はここから。)

道端から獲物を掴んだまま、鳥は飛び立ちました。
雪の積もった田んぼの上を低空飛行で横切り、近くの雪道にすぐ着陸しました。
必死に流し撮りした飛翔シーンを1/5倍速でスロー再生すると、翼の下面が白く、前の中央が黒いことなどからトビではなくノスリButeo japonicus)と判明しました。
脚に掴んでいる獲物は残念ながらスローモーションでもよく見えませんでした。

死角に入ったので慌てて私も走って移動し、撮影続行。
ノスリは農道横の雪の上で獲物を啄んでいるようです。
またすぐに飛び立ちました。
獲物は既に食べ終えてしまったようで、今度は鉤爪に何も運んでいません。
遠くへ飛び去り、潅木の枝に着陸しました。

ピッキオ『鳥のおもしろ私生活』p134によると、

ノスリの主食はネズミ類で、木に止まっているときもよく地面をじっとみつめている。 冬には山の森から出ていくノスリもいる。こうしたノスリたちは、低地のひらけた農耕地や、丘陵地の雑木林で冬を過ごしている。

※ たまたま犬の散歩に来た通行人のプライバシーに配慮し、スローモーションの一部にボカシを入れてあります。

YouTube動画エディタで登場人物の顔の部分だけにモザイクを入れるオプションはうまく機能してくれませんでした。





採食後に木から下りるニホンザル子猿【ハイスピード動画】



2013年2月下旬

潅木の樹上で食事中の野生ニホンザルMacaca fuscata)母子を220 fpsのハイスピード動画に撮ってみました。
おんぶされて登場したので母子だと思います。(登場シーンの映像はこちら。)
樹皮ではなく枝先の冬芽を採食しているようです。
母猿のすぐ横で子猿も自力で樹上採食しています。
最後は子猿が母親のもとを離れ、枝伝いに下の雪面へ駆け降りました。




2013/04/17

ハシボソガラスの巣材集め(野鳥)



2013年3月下旬

民家の生垣(マサキ?)に止まったハシボソガラスCorvus corone)が嘴に小枝か蔓のような物を咥えていました。
お土産を持ったまま飛び立つと、近くのスギの梢に着陸しました。
おそらくここに巣を作り始めたようです。
映像を確認すると、巣に留守番していたもう一羽のカラス(配偶者)が辛うじて映っています。
巣材を集めていたのかと納得しました。



2013/04/16

キジバト♂の羽繕いと鳴き声♪(野鳥)@電線



2013年3月中旬

交差点近くの電線にキジバト♂(Streptopelia orientalis)が止まっていました。
ときどき尾羽を広げたり頭を掻いたりして羽繕いしています。

信号が変わって車の往来が無くなるのを見計らうように、喉や鳩胸を膨らませながらデデッポッポー♪と鳴いています。
さえずりで鳴いたので♂でしょう。
ピッキオ『鳥のおもしろ私生活』p84によると、キジバトの繁殖期は3〜11月とのこと。
求愛歌はウグッウグッ♪と低く鳴くらしいので、映像の♂個体は♀への求愛歌を練習していた訳ではないようです。

鳴き声のスペクトログラムを試しに描いてみたのですけど、背景の雑音があまりにも多くて残念ながらきれいな声紋は得られませんでした。

この後、同一個体が電線から飛び立つ瞬間をハイスピード動画に撮りました。



鳩胸!

飛べ!褐色型トノサマバッタ?【ハイスピード動画】



2013年9月上旬

砂利の敷かれた山道で褐色のバッタが休んでいました。
ジャンプして飛び立つ瞬間を220 fpsのハイスピード動画に撮り、更に1/2倍速のスローモーションにしてみました。
ところが帽子を投げつけてもすぐには飛ばず、バッタはいきなり方向転換して予想外の方向に飛んで行きました。
220fpsではすぐに画面を通り過ぎてしまいます。
肝心の後翅の模様もよく見えず、飛ぶ姿のシルエット(影)だけが辛うじて撮れました。
褐色型のトノサマバッタ? クルマバッタ?ですかね。
性別も分かりません。

この撮影テーマは難しく、いつまでたっても上達しません…。
そもそもなかなか近づかせてくれないので苦労します。
いっそのこと、一時捕獲したバッタをレンズの前に置いて飛び去る様子を撮ろうかしらん…?



2013/04/15

ニホンカモシカの親子(白毛の幼獣)



2013年3月下旬

雪面に残されたニホンカモシカ(Capricornis crispus)の足跡を辿りながら山道を登っていました。
やがて道を外れ急斜面を登って行った足跡を何気なく目で追うと、稜線から真っ白のカモシカがこちらを見下ろしていました。
ザラメ雪の足跡は不鮮明で、てっきり古い足跡だと思い込んでいたので、まさかの遭遇にびっくりしました。
稜線だけアカマツが植えられており、他は雑木林という植生です。
1年前に滝の横で遭遇した白毛のカモシカと再会できたのでしょうか?
しかし『カモシカの森から』p95によると、カモシカの幼獣は白く柔らかな体毛が特徴らしい。
角も短いですし、当年仔(その年に生まれた仔カモシカ)なのだろうか?
ちなみに、『日本動物大百科2哺乳類Ⅱ』p106によると、ニホンカモシカは緯度が高くなるにつれて色が淡くなる傾向があり、東北地方では白色に近い個体もみられるらしい。

白毛の個体に気を取られて撮影中は全く気づかなかったのですけど、映像を見直すと実は横(右)にもう一頭居ました。
こちらは成獣で通常の毛並み(灰色の保護色)の個体でした。
角や耳も正常で、私が個体識別できるような特徴はありません。
その後は白毛の幼獣に目一杯ズームしてしまいました。
手ブレ補正処理を施していない元の動画も下に掲載します。
こちらはデジタルズームされていないので、画面の右隅に辛うじて成獣が映っています。
2頭はおそらく親子なのでしょう。
普通に考えれば母親の可能性が高いですけど、成獣の外見から性別を見分けるのは無理です。
生涯のほとんどを単独性に暮らすカモシカが2頭一緒に居るシーンを撮れたのはこれが初めてです♪

白毛の幼獣は耳をよく動かし、ときどき横を向いたりキョロキョロしています。
遂に右の成獣が先に動き、続いて白毛も身を翻して尾根を駆けて逃げました。
対峙の間、カモシカの鼻息威嚇を聞くことはありませんでした。




【追記】
カモシカの体色は地域によってさまざまで、雪の多い地方の個体は白っぽい個体が多いようだ。八ヶ岳で出会ったカモシカは黒色系の茶色い個体だった。(中略)
 カモシカの体色は千差万別だ。雪の多い場所でも濃茶色のものもいるし、四国のカモシカは茶色いという。概して雪の多いカモシカが白いというのは理に適っている。(p206〜207より引用)


私は地元の白っぽいカモシカしか知らないので、YouTubeで西日本産の黒っぽいカモシカの映像を見ると違和感すら覚え、びっくりしてしまいます。 



角に気づかなければ白い犬と見間違えそうですね。


親子のツーショット写真

2013/04/14

モリアオガエルの泡巣に集まるハエ



2013年6月中旬

モリアオガエルRhacophorus arboreus)の集団産卵を観察してから16日後に見に行くと、乾いた泡巣にハエが数匹集まっていました。
よく見ると泡巣の中に産み付けられたモリアオガエルの卵が一部なぜか表面に露出しています。
隣にある別の泡巣で卵が露出していない物にはハエは来ていません。

キンバエ類、ニクバエ類、ベッコウバエの仲間など大小様々のハエが来ています。
別種のハエが飛来すると、先客のキンバエと陣取り合戦のようになっています。
ハエは泡巣上を歩き回ったり、身繕いしたり、口吻を伸ばして舐めたりしています。
撮影後に手で触れてみると、泡巣の表面は乾いていました。
泡巣にハエ♀が産卵を始めるかな?と思ったのですが、はっきりそれと判る産卵行動は見られませんでした。





【追記1】
「キンバエ&カエル」で検索していたら、カエルヤドリキンバエなるものの存在を知りました。
カエルヤドリキンバエはカエルの鼻腔に寄生するというおもしろい習性をもつが、生息環境の減少から絶滅の危険があり、環境庁のレッドデータブック(1991年)に希少種として登録されている。(平凡社『日本動物大百科9昆虫II』p156より) 


おそらく今回の映像には登場していないと思いますが、衝撃を受けたので個人的に覚書を残しておきます。(学名Lucilia bufonivora画像検索すると、かなりグロいです。)

更に調べてみると、その後どうやら日本の種では名前がカエルキンバエ(Lucilia chini)に変更されたようでレッドデータブックにカエルヤドリキンバエは掲載されていません。
参考サイト(レッドデータブック栃木京都


【おまけの動画】
「モリアオガエルの卵を食べるシリアゲムシ」(by H72031610さん)
これ↓を見ていたので少し楽しみにしていたのですが、期待していたシリアゲムシの姿は今回ありませんでした。



【追記2】
別件の調べ物をしていたら、AntRoom管理人さんのありんこ日記ブログに興味深い記事を見つけました。

カエルの卵を捕食するハエ!? その1 正体を知りたい!
ヤエヤマアオガエルの卵の中にいたウジ虫から飼育下で成虫を羽化させ、ウリンクロバエと突き止めています。



小松貴『虫のすみか―生きざまは巣にあらわれる (BERET SCIENCE)』p288によると、
樹上にすむアオガエル科のカエルは、産卵期に木の枝葉へ粘液と水を混ぜて泡状のもの(泡巣)をつくり、その中へ産卵します。ウリンクロバエはこの泡巣に後から産卵し、孵化した幼虫は泡の中に詰まったカエルの卵を食い荒らします。ウリンクロバエは、日本では南西諸島に分布しています。
私のフィールドは寒冷な東北地方なので、ウリンクロバエは生息していないことになります。


川岸の石垣をへつるハクセキレイ【野鳥:HD動画&ハイスピード動画】



2013年3月中旬

街中を流れる川でハクセキレイMotacilla alba lugens)が護岸の石垣で餌を探していました。
水際を下流側へ移動しながら(へつりながら)、石垣の隙間の溝を丹念に物色しています。

両足を揃えてピョンピョン跳びはねるだけでなく、足を交互に出してトコトコ歩くこともあります。
斜めの石垣は滑り易く不安定な足場らしく、ときどきバランスを崩すと(おっとっと)羽ばたいて姿勢を保ちます。

ロッククライミングの練習や沢登りを彷彿としますが、鳥は手で石垣を掴むことが出来ません。



石垣をへつって※ジャンプしたり羽ばたく様子がとても面白く、ハイスピード動画(220 fps)でも撮ってみました。
スローモーション映像で見ると、石垣に面した右の翼は畳んだまま、逆の左翼だけで器用に羽ばたいていることが分かります。

へつる(へつる・へづる)*沢登り* (主に水際の)壁に伝って横に進むこと。~山の用語集~ [tozan.net]より)



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