2024/01/20

ニホンアナグマの営巣地で2匹の野ネズミが激しく追いかけっこ【トレイルカメラ:暗視映像】

 



2023年5月下旬 

二次林にあるニホンアナグマMeles anakuma)の営巣地(セット)を見張っている自動センサーカメラにときどき野ネズミ(ノネズミ)が写ります。 
2匹の野ネズミが同時に写った事例を紹介します。 


シーン0:5/26・午後12:33・(@0:00〜) 
明るい昼下がりにたまたま撮れた現場の状況です。 
手前に見えるのがアナグマの巣口Lで、右上奥に巣口Rがあります。 


シーン1:5/28・午前2:10・(@0:03〜) 
セットの左エリアを1匹の野ネズミが餌を探し歩いてウロチョロしています。 

しばらくすると、2匹の野ネズミが左から走って来ました。 
追いかけっこしているのか、高速で右往左往しています。 
相次いで左に走り去りました。 
野ネズミの激しい縄張り争いを1/3倍速のスローモーションでリプレイ。(@0:26〜) 
「ネズミ花火」は、このような激しい回転を例えて名付けられたのでしょう。 

もしかすると、縄張り争いではなく、求愛のために♂が♀を追いかけている可能性もありますかね?

※ 動画の一部は編集時に自動色調補正を施しています。 


夜の小川で飛び回るコウモリ【トレイルカメラ:暗視映像】

 

2023年5月下旬

シーン0:5/18・午後12:55・(@0:00〜) 
明るい時間帯にたまたま撮れた現場の様子です。 
浅い小川が手前から奥へ緩やかに流れ、その先で川の本流に注いでいます。 


シーン1:5/18・午後19:07・(@0:06〜)日の入り時刻は午後18:50。 
日没後にコウモリが水路の上空を手前から奥に高速で飛び去りました。 
この地点でコウモリは初登場です。 

飛翔シーンを1/3倍速のスローモーションでリプレイ。 
旧機種のトレイルカメラは動画のフレームレートが25fpsとスペックが低くて、コウモリの素早い羽ばたきを捉え切れていません。 


シーン2:5/18・午後19:08・(@0:06〜) 
黒いコウモリが丸木橋の奥の水路を低空で何度も往復しています。 
小川の周囲を夜蛾も多数飛び回っているので、いつか狩りの決定的瞬間が撮れないかな〜と期待しています。 
ご存知のようにコウモリは超音波を発してエコロケーションを行いますが、夜蛾の中には飛翔中にコウモリの超音波を感知すると飛び方を急に変えて捕食を逃れようとする種類がいるらしいのです。


※ 動画の一部は編集時に自動色調補正を施しています。


2024/01/19

ホンドタヌキ幼獣が巣穴の近くで夜に鳴く声♪【トレイルカメラ:暗視映像】






2023年5月下旬〜6月上旬 

休耕地の原っぱに営巣したホンドタヌキNyctereutes viverrinus)の巣穴近くに自動センサーカメラをローアングル設置して監視しています。
鳴き声が聞こえたシーンをまとめてみました。

シーン1:5/30・午後20:44・(@0:00〜) 
晩に親ダヌキらしき影が奥の草むらを右の巣穴の方へ移動して行きます。 
しばらくすると、キャン♪(またはキョン♪)という短くて甲高い鳴き声が間近から一声聞こえました。(@0:28〜) 
これまで溜め糞場で聞いたことのあるタヌキ成獣の鳴き声(早春の求愛声)とは違います。 


シーン2:5/30・午後21:06・(@0:31〜) 
黒っぽい毛皮の幼獣が少なくとも2頭、夜の原っぱを探検しています。 
巣穴からはあまり離れず、雑草の根元の匂いを嗅ぎ回ってようです。 
トレイルカメラの近くまで来てくれないのがもどかしいですけど、親ダヌキの言いつけを守っているのでしょうか。 

キョン♪という短い鳴き声が再び聞こえました。(@1:05〜) 
ホンドタヌキ幼獣の鳴き声で間違いなさそうです。 


シーン3:5/30・午後22:24・(@1:26〜) 
なぜかレンズが少し曇っています。 
夜も更けて気温が下がると、湿度が上がって夜霧が発生したようです。 
地表近くに設置したトレイルカメラは、夜霧や朝霧にたびたび悩まされることになります。

奥の草むらで白く光る眼が動いています。 
タヌキ幼獣が再びキョン♪と鳴き声を発しました。(@1:30〜) 


シーン4:6/1・午前0:21・(@1:37〜) 
2日後の深夜には晴れていました。 
巣口付近で親ダヌキの白い目が光っています。 
しばらくすると、子ダヌキがギャーギャー♪鳴き騒ぐ声がしました。(@1:55〜) 
今までの鳴き方とは違います。 
最後にキュン♪と一声鳴きました。(@2:09〜) 
もしかすると、帰巣した親ダヌキが餌乞いする幼獣に給餌したのかな?と想像を逞しくしてみたものの、定かではありません。 
それとも、幼獣の兄弟喧嘩を親ダヌキが仲裁したのかな? 

※ 鳴き声が聞き取れるように、動画の一部を編集時に音声を正規化して音量を強制的に上げています。 


エゾタンポポの花に居座って食事するナミアオハムシダマシ

 

2023年5月下旬・午後13:30頃・晴れ 

山麓の水路沿いに咲いたエゾタンポポでメタリックグリーンのナミアオハムシダマシArthromacra viridissima)が訪花していました。 
タンポポの筒状花に頭を突っ込んで花粉や花蜜を夢中で食べています。 

背側から見下ろすように撮っても、虫に動きが無いので退屈です。 
動画を撮りながらタンポポ頭花の総苞片を確認すると、珍しく在来種のエゾタンポポと判明。 
タンポポの茎を左手でつまんで頭花を傾けても、アオハムシダマシが全く逃げないのは意外でした。 
ブチッと摘花したらようやくアオハムシダマシが動き始め、頭花から慌てて転がり落ちました。 
擬死落下とは違います。 
飛び立って逃げるのを期待したのですが、またもや予想は外れました。 

関連記事(14年前の撮影)▶ アオハムシダマシの食事@ハルジオン訪花

2024/01/18

休耕地の巣穴近くをうろつきトレイルカメラを警戒するホンドタヌキ【暗視映像】

 



2023年5月下旬〜6月上旬

休耕地の原っぱでホンドタヌキNyctereutes viverrinus)の営巣地を見つけたので、巣穴の横にローアングルでトレイルカメラを設置してみました。

シーン0:5/30・午後13:42・(@0:00〜) 
明るい日中に撮れた現場の様子です。 
手前に生い茂った雑草に隠されて、タヌキの巣穴が見えません。 

ローアングルではなく堂々と三脚を立てて巣穴を狙うようにすれば良い画角で動画が撮れることは重々承知しているのですが、原っぱで三脚を長期間放置しておくと通りすがりのヒトに目立ってしまってトラブルの元です。


シーン1:5/30・午後19:38・(@0:05〜)日の入り時刻は午後18:57。 
私が遠く離れた林縁にブラインドを張って巣穴に出入りするタヌキを隠し撮りしようと午後19:30まで粘ったものの、空振りに終わりました。 
私が諦めて立ち去るのをまるで待ち構えていたように、夜行性のタヌキが活動を始めました。 

左からタヌキの白く光る目が登場しました。 
立ち止まってカメラ目線になり、露骨に警戒しています。 
カメラに向かって真っ直ぐに近寄って来たものの、匂いを嗅ぐことはありませんでした。 
引き返す途中でクシャミをしたようです。(@0:28〜) 
右奥の巣穴に入ったようですが、ローアングルでは雑草が邪魔で入巣シーンがしっかり撮れていません。 
タヌキはその後も何度もトレイルカメラの方を気にしています。 
しばらくすると、巣穴から左へ移動して行きました。 


シーン2:5/30・午後22:38・(@0:54〜) 
出巣したタヌキが巣口にずっと立ち止まって周囲を見渡しています。 
ようやく手前に向かって歩きかけたのに、尻切れトンボで録画終了。 


シーン3:5/30・午後22:39・(@1:29〜) 
次にカメラが起動したときには、親タヌキがトレイルカメラを覗き込んでいました。 
右に立ち去ったものの、巣穴には入りませんでした。 
餌を探しに出かけたのかな? 


シーン4:5/31・午前2:44・(@1:45〜) 
日付が変わって深夜未明に、奥の草むらを白く光る目が右往左往しました。 


シーン5:5/31・午前4:31・(@2:14〜)日の出時刻は午前4:16。 
日の出直後の早朝です。 
うっすらと草むらの緑色が見えるようになりました。 
タヌキが左を向いて佇み、風の匂いを嗅いでいます。 
奥に向かって歩き、巣穴に入りました。 


シーン6:5/31・午後21:49・(@2:40〜) 
晩に奥の草むらでタヌキの白く光る眼が動いています。 


シーン7:5/31・午後21:58・(@2:58〜) 
親ダヌキがカメラをやや警戒し、身震いしました。 
右奥の巣穴に入った…かな? 
巣口からカメラの方を何度も警戒しています。 


シーン8:5/31・午後22:38・(@3:38〜) 
親ダヌキの♀♂ペアと思われる2頭の目が暗闇で白く光っています。 
1頭は左へ立ち去りました。 
餌を探しに出かけたのかな? 
もう1頭は巣口に居残り、幼獣と留守番するようです。 


シーン9:5/31・午後22:43・(@4:26〜)
 奥の暗闇で白い目が光っています。 
なんとなく、2頭のタヌキが活動しているような気がするものの、定かではありません。 


シーン10:6/1・午前0:18・(@4:42〜) 
日付が変わった深夜にも、タヌキが営巣地の草むらをうろついたようです。 


シーン11:6/1・午前0:20・(@4:56〜) 
タヌキが出巣したのか、白い目が光っています。 


シーン12:6/1・午前1:06・(@5:07〜) 
巣内に居た親ダヌキがヒョイと巣口に顔を出しました。 
奥の暗闇を徘徊しているようで、白く光る目が右往左往しています。 


シーン13:6/1・午前1:08・(@5:49〜) 
画面中央の草むらにタヌキが立ち止まって身震い。 
右に立ち去ったものの、入巣したかどうか不明です。 


シーン14:6/1・午前3:00・(@5:58〜) 
奥の暗闇からタヌキがこちらをじっと見ています。 
左に立ち去ったようです。 


シーン15:6/1・午前3:24・(@5:58〜)日の出時刻は午前04:15。 
奥の暗闇を徘徊しています。 
白く光る眼しか写ってないので、立ち止まって辺りをキョロキョロ見渡しているだけのような気もします。 


トレイルカメラを原っぱにローアングルで設置したのは初めてです。 
その状態で撮れた動画をこれから当ブログで何本か紹介しますが、なかなか思い通りの映像が撮れていません。 
ローアングルでの撮影には色々と問題があることが分かりました。
先に結論をお伝えしておくと、結局はローアングルでの撮影は延長せずに短期間ですぐ打ち切ることになります。 
(次からは離れた位置からハイアングルで狙うように変えました。)
設置場所が巣穴に近過ぎて、親ダヌキがトレイルカメラという異物にかなり警戒しているように見えたからです。 
赤外線の暗視カメラは野生動物に気づかれにくいという触れ込みですけど、どうもタヌキの目にはかすかに見えているのか、起動音がかすかに聞こえているのか、それとも私の残り香がするのか、いずれにせよタヌキは感づいているようです。 
しかしカメラを悪戯したり破壊したりすることはありませんでした。 
幸いタヌキがストレスで巣穴を放棄して引っ越すこともありませんでした。 


早春の雪山に響き渡るキツツキのドラミング音♪(冬の野鳥)

 

2023年3月下旬・午前7:30頃・晴れ 

未だ雪が残る里山に早朝登山した後、下山中に遠くの森からキツツキの仲間が嘴で幹を叩くドラミング音が聞こえました。 
キツツキの姿は見えませんが、ドラミングの音程や響き方が色々でした。 
音程が低いドラミングと高いドラミングが聞こえました。 
叩く木の材質や樹洞の有無によってドラミング音が違うのでしょう。 
同一個体のキツツキが森を飛び回ってドラミングする場所を変えたというよりも、複数個体がドラミング合戦で縄張り争いをしているような気がします。 

キツツキは♂も♀もドラミングをするらしいのですが、♂が囀りさえずりの代わりにドラミングして♀にアピールする求愛目的もあるそうです。 
当地ではアカゲラ、アオゲラ、コゲラと3種類の啄木鳥が生息しています。 
ドラミング音を声紋解析すればキツツキの種類を区別できるのでしょうか? 
今回は残念ながらノイズが多いので、声紋解析は諦めました。 
遠くで救急車のサイレン♪が鳴っていますし、様々な鳥の鳴き声(囀りさえずり)も賑やかに聞こえます。 


※ ドラミング音が聞き取れるように、動画編集時に音声を正規化して音量を強制的に上げています。

2024/01/17

野ネズミが小川の丸木橋を渡る晩春の深夜【トレイルカメラ:暗視映像】

 



2023年5月下旬 

シーン1:5/18・午後12:55(@0:00〜) 
たまたま明るい日中に撮れた現場の状況です。 
画面の手前から奥に向かって緩やかに小川が流れています。 


シーン2:5/21・午後23:20(@0:04〜) 
野ネズミ(ノネズミ)が右岸から左岸へ丸木橋を走って渡ります。 
トレイルカメラの電池が消耗しているせいで、野ネズミが左岸に辿り着いたところで録画が打ち切られました。 
1/3倍速のスローモーションでリプレイ。 

画面の手前に左右に張り渡したクモの糸が目障りですね。 
粘球2個が赤外線を反射して白く光って見えます。 
これが風に吹かれて動くせいで、カメラの誤作動が頻発したようです。

タヌキの溜め糞場で多数のダニに寄生されたエンマムシの一種

 

2023年5月下旬・午前11:30頃および午後13:15頃 

平地のスギ防風林にホンドタヌキNyctereutes viverrinus)が残した巨大な溜め糞場wbc-1を定点観察しています。 

今回私の目を引いたのは、1匹の真っ黒な甲虫(成虫)です。 
体表に赤っぽいダニ(種名不詳)が多数群がっていました。 
ダニは体外寄生や吸血性というよりも、ただヒッチハイク(運搬共生、便乗)しているだけかもしれません。 
この甲虫は何でしょう? 
どなたか教えていただけると助かります。 
てっきりタヌキ溜め糞場では常連のセンチコガネPhelotrupes laevistriatus)かと思ったのですが、ハネカクシのように鞘翅が短く腹端が露出していることに気づきました。 
その点でクロシデムシを連想しました。
体表に多数のダニが集ったクロシデムシの写真がネット上には多数公開されています。
しかし、クロシデムシにしては触角が違いますし、死肉食性のクロシデムシが獣糞に来るという話も聞いたことがありません。
同定のため謎の甲虫を採集すべきでしたが、採集道具を何も持ってこなかった私が「どうしよう? どうしよう?」と焦っている間に、溜め糞の中に潜り込んでしまいました。
こういうときに躊躇なく素手で捕獲できるのが筋金入りの虫屋なのでしょう。 
私はまだまだ修行が足りません。

【追記】
YouTubeのコメント欄にて、H720316氏から「ダニだらけの甲虫はエンマムシの仲間かな?」とのコメントを頂きました。
画像検索してみると、多数のダニのたかったエンマムシの写真がいくつかヒットします。
Yahoo知恵袋で他の人が写真鑑定してもらった回答が参考になったので、引用させてもらいます。
ダニの集団です。シデムシなどにもよく付着している肢が長めで全身が褐色のダニ(種は不明)と同じものと思われ、昆虫に寄生しているのではなく死体にわくウジを餌としており、自力では移動能力に乏しいため飛翔できる昆虫の体表にしがみついて乗り物として利用し、目的となる死骸に移動するものとされています。シデムシと異なりエンマムシは体表がツルツルした部分が多く上翅も体とぴったり組み合わさり隙間が少ないため、しがみつける場所が腹端くらいしかなかったのでしょう。
なおシデムシは死体を訪れて腐肉を食べるため、このダニを連れていくことで餌を巡って競合するウジを食べてもらうという双利共生の関係があるとされていますが、エンマムシの場合はダニと同じくウジを餌とするため、そのような関係には当たらないことになります。尤も死体には大抵エンマムシが食べきれないほどのウジが発生するので、餌を巡る競合までは起こらないと思われます。


溜め糞場wbc-1で多かったのは、クロボシヒラタシデムシOiceoptoma nigropunctatum)の成虫と幼虫でした。 
クロボシヒラタシデムシの幼虫は三葉虫のような奇怪な形をしています。 
様々なハエ類も集まっていましたが、真面目に検討していません。 

それよりも、どこか近くでずっと鳴いている鳥の美声が気になりました。 
調べてみると、森林性のクロツグミ♂(Turdus cardis)の囀りさえずりのようです。 
他にはキジ♂(Phasianus versicolor)が近くの農地(休耕地?)でケンケーン♪と縄張り宣言の母衣打ちほろうち♪をする鳴き声も聞こえました。 

※ 前半部はかなり薄暗くてぼんやりした映像だったので、動画編集時に自動色調補正を施しています。 
色合いが少しどぎつく強調されてしまったかもしれません。

帰路に現場を再訪したら、近くにもう一つ別な溜め糞wbc-2を発見しました。 
隣の溜め糞wbc-1よりも規模は小さいものの、新鮮な糞が追加されていました。 
クロボシヒラタシデムシの成虫および幼虫が群がって活動しています。 
現場では気づかなかったものの、写真にはサビハネカクシOntholestes gracilis)らしき姿も1匹写っていました。

2024/01/16

巣穴の外で幼獣を毛繕いしてやるニホンアナグマ♀【トレイルカメラ:暗視映像】

 


2023年5月下旬・午後20:50頃 

ある晩、ニホンアナグマ♀(Meles anakuma)が幼獣を運ぶ引っ越しの途中なのか、2つの巣口RLの中間地点に幼獣を置いて、その毛皮を念入りに舐めていました。 
母親♀が目を離すと、幼獣はヨチヨチと這うように歩いて奥の巣口Rへ向かって移動しようとします。 
♀は向きを変えながらも、幼獣への対他毛繕いを続けています。 
幼獣の首筋を咥えながら、♀は左足で自分の体をボリボリ掻きました。

※ トレイルカメラの電池が消耗しており、細切れ映像をつなぎ合わせたものになりました。 


山林を歩きながらエゾユズリハとマルバアオダモの葉に眼下腺マーキングするニホンカモシカ

 

2023年5月下旬・午後13:05頃・晴れ 

この日の私は熊撃退スプレーをうっかり持参し忘れたので、念の為に熊よけの鈴を鳴らしながら里山の山道を歩いていました。 
ふと気づくと、山道に隣接するスギ林の茂みの奥からニホンカモシカCapricornis crispus)がこちらを覗いていました。 
どう考えても、私が鳴らす鈴の音♪に興味を持って近づいてきたとしか思えません。 
カモシカは好奇心旺盛で、人工的な鈴の音を恐れないようです。 

カモシカは初め、茂み(ヤマウルシ、ウワミズザクラなどの低木)の陰に隠れて私の方をじっと見据えていました。 
現場は斜面で、私がカモシカをやや見下ろしています。 
なんとなく顔馴染みの個体のような気がするのですけど、個体識別ができていません。 
角や耳介に分かりやすい特徴はありませんでした。 

画面の奥に見えるスギ植林地にタヌキの溜め糞場opがあり、それをトレイルカメラで監視していた時期があるのですけど、そのときに写っていたカモシカの1個体と思われます。



やがて警戒を解いたカモシカは、横を向いて鼻を上げ、風の匂いを嗅いだようです。 
 次にエゾユズリハの葉裏に顔を擦り付けて眼下腺マーキングしました。(@1:12〜) 
エゾユズリハの葉に眼下腺マーキングしたのを見たのは、これが2回目です。
初回の観察記録はこちら
エゾユズリハの葉を食べるカモシカを初冬に見たことがあるのですけど、今回は食べませんでした。

山道で突っ立っている私を迂回するように、カモシカはスギ林縁を移動し始めました。 
足音を立てず静かに歩くニホンカモシカは、ときどき立ち止まって私の様子を伺っています。 
今回のニアミスで、このカモシカは私に対して鼻息を荒らげて威嚇することはありませんでした。(やはり顔馴染みの個体?) 

慎重に山道に現れたカモシカは私を一瞥してから(見下ろしてから)、道端に生えた灌木の葉裏に再び顔をスリスリと擦り付けて眼下腺マーキングしました。(@2:46〜) 
その直後にぺろりと舌舐めずり。 

ニホンカモシカが眼下腺マーキングする対象物と言えば、太い幹、細い枝先、木の葉と3つのパターンがあります。

その後カモシカは山道をゆっくり登って立ち去りました。 

カモシカが立ち去った直後に、眼下腺マーキングした大きな若葉を現場検証しました。 
落葉性広葉樹の幼木で、樹高は約1m。
羽状複葉の葉縁に浅い鋸歯があり波打っています。 
私には樹種が突き止められなかったので、ときどきお世話になっている「このきなんのき掲示板」にて問い合わせたところ、マルバアオダモと教えてもらいました。


今回はカモシカが灌木の若葉を採食する行動は見られなかったものの、移動しながらあちこちの灌木の葉裏に次々と眼下腺マーキングする様子を観察できました。 
私と出くわした不安からくる転移行動、という要素もあるのかもしれません。 
マーキング(匂い付け)する樹種にこだわりは無さそうです。 
私に対して鼻息威嚇こそしなかったものの、この山林は自分の縄張りであることを眼下腺マーキングによってやんわり主張したことになります。

2024/01/15

巣穴の横でスクワットマーキングおよび排尿マーキングを繰り返すニホンアナグマ♀【トレイルカメラ:暗視映像】

 



2023年5月下旬

シーン1:5/27・午後22:50・(@0:00〜) 
ある晩にニホンアナグマ♀(Meles anakuma)がノソノソと手前の巣穴Lに入りました。 
しばらくして同じ巣穴Lから外に出てくると、身震いしてから腰を屈めて地面に尻を擦り付けました。 
2つの巣穴LRの中間地点に臭腺や肛門腺でスクワットマーキングしたようです。 


シーン2:5/28・午後17:47・(@0:27〜)日没時刻は午後18:56。 
翌日の夕方に入巣Lした♀が前進で出巣Lすると、身震いしてから巣口LRの中間地点で腰を屈めました。 
今度は尻を地面にこすりつけるのではなく、おそらく排尿マーキングしたようです。 
巣口Rを点検してから右に立ち去りました。 


シーン3:5/29・午後18:51・(@1:12〜) 日没時刻は午後18:56。 
翌日も日没直前に♀が巣口RLの間で佇んでいます。 
向きを変えてカメラ目線になった後に、腰を落としてなんとなく排尿したような気がします。 
身震いしてから右へ立ち去りました。 

※ 動画の一部は編集時に自動色調補正を施しています。 

今回はアナグマ♀が立ち止まって腰を少し屈める体勢から排尿したのではないかと推察したのですが、実際に小便を排泄する様子の決定的な証拠映像が翌月に奇跡的に録画されていました。(映像公開予定) 


我々ヒトの感覚では自宅の近くで日常的に立ち小便するのは衛生面で抵抗がありますけど、アナグマは縄張りを積極的にマーキング(匂い付け)する意味があるのでしょう。 


ツツジの花蜜を吸うサカハチクロナミシャク(蛾)

 

2023年5月下旬・午前12:55頃・くもり 

山麓の駐車場に咲いたツツジの植え込みで見慣れない白黒模様の蛾が訪花していました。 
一瞬ダイミョウセセリかと思いきや、よく見ると違います。 
後で調べると、サカハチクロナミシャク本州以南亜種Rheumaptera hecate hecate)という昼行性の蛾でした。 
和名はサカハチチョウと似たネーミングですが、漢字の八の字を上下逆さまにしたような白い斑紋が黒地の翅表に描かれていることにちなんでいるのでしょう。 

ツツジの赤紫色の花筒に正当訪花で頭部を突っ込んで、がっつくように吸蜜しています。 
正面に回り込んで撮影したいところですが、こういうとき私が無理して動くと虫は警戒して逃げてしまうので、じっと我慢して撮り続けます。 

ツツジの花から勢い良く飛び立つ瞬間を1/5倍速のスローモーションでリプレイ。(@0:33〜1:03) 
隣の花に歩いて移動するかと思いきや、予想が外れました。 

サカハチクロナミシャクは少し飛んでツツジの葉の表側に止まり直しました。 
初めは翅を半開きで開閉していましたが、全開した状態で落ち着きました。 
風が吹いたら再び翅を開閉するようになりました。 

次にツツジの葉から飛び立つシーンをハイスピード動画でも撮ろうとしたのですけど、なかなか飛んでくれません。 
仕方なく帽子を投げつけたら、狙いどころが悪くて失敗しました。 

調べてみると、サカハチクロナミシャクの幼虫はツツジ科が食樹とのことで、ツツジの生垣に来ていたことに納得しました。 
この種類の蛾は初見ですし、性別の見分け方を知りません。 
吸蜜後もツツジの葉に産卵しませんでした。 
交尾相手の♀を待ち伏せしている♂なのかな? 

「Digital Moths of Japan」サイトでサカハチクロナミシャクについて調べると、
昼飛性で, 晴天の目中によく花に飛来するし, 湿地に群をなして止まっていることがある. 
・幼虫はレンゲツツジ,ホツツジ,ウラジロヨウラクなどツツジ科やシラカンバの葉をつづって中にひそむ.
次は幼虫を探してみるのも面白そうです。


【追記】
サカハチクロナミシャクについてネット上で調べ物をしていたら、面白いブログを見つけました。
サカハチクロナミシャクを巡る3種の鱗翅目に関する考察」by かんきちのフィールドレポート
シラフシロオビナミシャク、サカハチクロナミシャク、ダイミョウセセリ間3種の間にベイツ型擬態系が形成されていることを提唱する。

ツツジ科は有毒植物が多いので、それを食べて育つサカハチクロナミシャクの幼虫および成虫は毒成分を体内に溜め込んでいると予想されます。 

したがって、成虫の白黒斑紋が似ている鱗翅目成虫はチョウ・ガによらずサカハチクロナミシャクにベーツ擬態しているのではないか?という仮説です。

こういう考察や予想は私も大好きです。

以下に私の見解を示しますが、この仮説には懐疑的です。

見た目の類似性だけで言うと、サカハチチョウ夏型も含まれませんかね?(ちょっと赤色の斑点がありますけど)

フィールドでの個人的な印象では、このグループで無毒のダイミョウセセリやサカハチチョウが一番多い普通種で、他の種類(シラフシロオビナミシャクや有毒のサカハチクロナミシャク)は少ないです。※

※ もちろん定量的にきっちり調査した訳ではありませんし、私の探し方が下手なだけかもしれません。

これでは鳥などの捕食者は味見して痛い目にあう学習の機会が確率的に(ほとんど)なくてベーツ擬態が成立しないのではないでしょうか?

つまり、鳥がミミック種(無毒)を忌避しているのであれば、個体数がミミック種(無毒)<<モデル種(有毒)という状態で均衡しているはずです。

とりあえず実際に鳥に飼育下で給餌してみて、有毒種のサカハチクロナミシャクを忌避するかどうか、確かめてみたくなります。

サカハチクロナミシャクが本当に有毒で不味いのであれば、もっと派手な警告色を身に纏うように進化しなかったのは不思議です。

2024/01/14

明るい昼間にニホンアナグマの営巣地をうろつくホンドタヌキ【トレイルカメラ】

 



2023年5月下旬・午後13:10頃・気温23℃ 

ニホンアナグマMeles anakuma)の営巣地(セット)がある二次林にホンドタヌキNyctereutes viverrinus)が久々に登場しました。 
タヌキが明るい真昼間から活動するのは珍しいです。 
よく晴れた昼下がりで、林床の木漏れ日が美しいですね。 

タヌキは抜き足差し足忍び足で林内をうろつき、餌を探しているようです。 
しかしアナグマの巣穴には決して近寄りませんでした。 
一方アナグマの家族は夜行性ですから、この時間帯は巣穴の中で寝ています。 

別アングルに設置したトレイルカメラでも撮れていました。
(2台共に新機種を導入しました。)
実は今までトレイルカメラの電池を節約するために、夜間のみ監視するように設定していました。 
終日監視モードに切り替えたら、意外にも昼行性のタヌキが撮れていました。 
この時期は腹を空かせた幼獣が巣穴で待っているので、親ダヌキは昼も夜も休みなく餌を獲ってこないといけないのでしょう。 


民家の軒先で見つけたキイロスズメバチの古巣(再建巣跡)

2023年5月下旬

郊外の農村部(田園地帯)で2階建て民家の西向きの軒先にスズメバチの巣を見つけました。 
コガタスズメバチVespa analis insularis)の創設女王が今季作り始めた初期巣にしては形がいびつですし、細長い煙突のように下向きに伸びているはずの巣口がありません。 
巣に出入りする蜂の姿はなく、昨年(またはそれ以前に)作られた古巣のようです。 
キイロスズメバチVespa simillima xanthoptera)の巨大な巣が一度駆除された跡に再び小さく再建した二次巣ではないかと推測しました。

夕暮れの樹上で鳴く♪ノスリ(野鳥)

 

2023年5月下旬・午後18:25頃・晴れ(日の入り時刻は午後18:57) 

タヌキの営巣地にトレイルカメラを設置した後、離れた林縁にブラインドを張って望遠で隠し撮りすることを試みました。 
暗くなるまで(日没の30分後まで)粘ったものの、残念ながらタヌキの行動は直接観察できませんでした。 
しかし、その間に他の生き物の活動を垣間見ることが出来ました。 

午後にカラスからモビング(擬攻撃)されて逃げ回る猛禽の鳴き声がときどき聞こえたものの、ブラインド内からは姿が見えませんでした。 

夕方になって1羽のノスリButeo japonicus)が休耕地に隣接する防風林に飛来すると、林縁に一際そびえ立つ高木の横枝に止まりました。(樹種不明:落葉性広葉樹) 
止まり木で西日を浴びながら眼下に広がる休耕地や田畑を眼光鋭く見回し、ピーエ、ピーエ♪と甲高い声で何度も鳴いています。 
毎日朝夕に鳴く囀りさえずり)のような縄張り宣言なのか、それともブラインドに隠れている私のことなどお見通しで、警戒声を発しているのでしょうか? 
ノスリは鳴き声のバリエーションが乏しくて、なかなか意図が読み取れません。

この辺りでノスリを何度も見かけるので、もしかすると近くにノスリの営巣木があるのかもしれません。 
4年前に私は河畔林で営巣するノスリを定点観察していたことがあるのですが、今回はタヌキの観察を優先しているため、ノスリがタヌキの幼獣を狩って捕食するのではないか?と気が気ではありません。 
(そんなシーンが撮れたらすごいスクープ映像です。)
しばらくすると、ノスリは自発的に飛び去ってくれて、一安心。(映像なし) 


※ 風で木の葉がザワザワ♪揺れているため、ノスリの鳴き声が聞き取れるように動画編集時に音声を正規化して音量を強制的に上げています。 
近くで小鳥(ホオジロ?)がチチチチ…♪と鳴き続けているのは、見慣れないブラインドを不審がって警戒声♪を発しているのかもしれません。

ノスリが止まっていた高木の樹種を調べに行かないといけません。
なんとなくハンノキかな?と予想。

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