2021/08/07

ヤエウツギの花蜜を吸うニホンミツバチ♀【HD動画&ハイスピード動画】

 

2021年6月上旬・午後15:00頃および18:15頃・晴れ  

民家の庭木として植栽されたサラサウツギ(=ヤエウツギ)に八重咲きの白い花が満開に咲いていました。 
辺りに羽音が響いていたので、近づいてよく探すと、ニホンミツバチApis cerana japonica)のワーカー♀が多数訪花していました。 
どの個体も後脚の花粉籠は空荷でした。 
八重咲きの花というのは品種改良によって雄しべや雌しべが花弁という別の構造を形成するようにホメオティック変異した株ですから、花粉を生産する雄しべを持っていません。 
したがって、サラサウツギの花に集まるミツバチは完全に花蜜が目当てです。 

翌日の夕方にも現場を再訪し、240-fpsのハイスピード動画でも撮ってみました。(@0:31〜) 
夕日を浴びつつ花から花へと飛び回るニホンミツバチ♀がなかなかエモい動画になりました。
関連記事(6年前の撮影)▶ サラサウツギの花蜜を吸うニホンミツバチ♀

池の岸の崖を跳んで登るツチガエル【HD動画&ハイスピード動画】

 

2021年6月上旬・午後17:20頃・晴れ 

里山の山腹にある小さな池Lの畔で、いつの間にかツチガエルGlandirana rugosa)が上陸していて、私の足元の近くまで来ていました。 
皺だらけの皮膚の色や質感が周囲の地面の色に対して見事な迷彩・保護色になっています。 

脇腹が時々ヒクヒクしているのですが、鳴いてはいないようです。 
私は未だツチガエルの鳴き声を実際に聞いたことがありません。 
【追記】ツチガエルは水中で鳴くことが最近分かったらしいです。
この動画で聞こえるカエルの鳴き声は、近くの池で鳴いているモリアオガエル♂のものです。(映像公開予定) 

ツチガエルは急にその場で方向転換すると(@0:22)、跳躍しました。 
連続のジャンプで崖をどんどん登って行きます。 
どうやら池Lから少し上にある池Hを目指しているようです。 

ツチガエルの跳躍シーンを240-fpsのハイスピード動画でも撮ってみました。(@0:57〜) 
最後の跳躍(@1:20)では、急斜面を登りきれず、着地の際に少しずり落ちてしまったように見えました。 
しかしもう一度スローモーションを見直すと、どうやら画角の外で何か獲物に跳びついて捕食したようです。 
直後に口を閉じて眼球を引っ込めたので、獲物を嚥下したと分かりました。 
狩りの瞬間をハイスピード動画で記録できなかったのは残念です。 
関連記事(7年前の撮影)▶ アリを捕食するツチガエル

てっきり私は隣の池を目指して移動するために崖で繰り返しジャンプしているのかと思ったのですが、もしかすると、このツチガエルは単に徘徊性の昆虫を追いかけ回しているだけかもしれません。
夕方に池Hを目指して移動する虫を追いかけていた、という解釈です。

2021/08/06

探雌飛翔中のマメコバチ♂を襲うセイヨウミツバチ♀の謎【ハイスピード動画】

 

2021年5月上旬・午後15:10頃・晴れ
▼前回の記事: リンゴ園に設置された巣箱に群がり交尾相手♀を探すマメコバチ♂の群飛【HD動画&ハイスピード動画】
リンゴ園でマメコバチ雄蜂♂の探雌飛翔を240-fpsのハイスピード動画で撮影していたら、奇妙な事件が録画されていました。 
ヨシ筒束を詰め込んだ巣箱の手前でマメコバチ♂(Osmia cornifrons)がホバリング(停空飛翔)しながら交尾相手の♀が羽化してくるのを待ち構えていると、なぜかセイヨウミツバチApis mellifera)のワーカー♀が飛来しました。 
停飛しているマメコバチ♂の背後からセイヨウミツバチ♀が襲いかかり、空中で軽くぶつかりました。 
ミツバチ♀の花粉籠は空荷でした。 
襲われたマメコバチ♂は反撃しませんでした。(そもそも♂には毒針など反撃の手段がありません。)
すぐに体勢を立て直してホバリングを続け、ミツバチ♀をやんわりと巣箱の近くの空域から追い払いました。 

体格の小さなマメコバチ♂を襲ったミツバチ♀の意図が全く分かりません。 
偶発的な衝突事故なのかな? 
ミツバチが分蜂する時期と重なっていたのでしょうか?(苦しまぎれの仮説) 


泥の獣道に残るホンドタヌキの足跡

 

2021年6月上旬・午後14:50頃・くもり 

湿地帯の水が引くと、冠水していた小径の路面に泥が残ります。 
その泥の上にホンドタヌキNyctereutes viverrinus)が歩いた足跡が残っていました。 
指が4本なので、アナグマは除外できます。 
かすかに爪跡が残っているので、ネコ科は除外できます。 
長靴を履いて遊歩道を歩きながら、タヌキの足跡をトラッキングしてみました。 
夏のアニマルトラッキングは冬の積雪期よりも難しいのですが、このような泥の上なら足跡がきれいに残ります。

獣道の左右はヨシ原で、湿地にはキショウブの花が咲いています。 
(水が引いた後からヨシの若葉が芽吹いていました。) 
タヌキの足跡に混じって鳥が歩いた足跡も残っていますが、私には種類を見分けられません。 


 

2021/08/05

ツタウルシの葉裏に作られた初期巣を守るキボシアシナガバチ創設女王

 

2021年6月上旬・午後16:55頃・晴れ 

平地の防風林の樹に巻き付いて伸びるツタウルシを調べに来ました。 
訪花昆虫を観察したくて去年から通っているのですが、残念ながら花は咲いていませんでした。 
どうもツタウルシの開花時期を見定めることができません。 

その代わり、1枚のツタウルシの葉の裏面にアシナガバチの初期巣を見つけました。 
創設女王が巣盤の上に乗り、やや警戒しながら腹式呼吸しています。 
フラッシュを焚いて撮った写真を見直すと、いくつかの育房内に白い卵が見えました。 
単独営巣期のアシナガバチの女王蜂は一般に臆病なので、私がよほど無茶をしない限り刺される心配はあまりありません。 

ウルシ科では唯一の蔓植物であるツタウルシには強力な「かぶれ成分」(揮発性のウルシオールなど)が含まれているので、それと分かってるヒトは(物好き以外は)嫌がって近づきません。 
女王蜂がツタウルシの葉裏を営巣地に選んだのは、なかなか賢い選択だと思います。 

キボシアシナガバチまたはコアシナガバチだと思うのですけど、蜂が背面を向けてくれないので識別点の前伸腹節がしっかり見えません。 
第1腹節の黄色紋のほかに腹節には黄色斑が無いので、コアシナガバチではなくキボシアシナガバチだろうと判断しました。 
営巣環境も現場は自然度が高く、キボシアシナガバチPolistes nipponensis)で良さそうです。 
コアシナガバチの巣はもっと人家の近くで見つかることが多いです。 

ツタウルシの蔓が巻き付いた樹種を調べるのを忘れました。(ハンノキかな?)

※ 昼間でも薄暗い林床なので、手持ち夜景モードで撮影しました。(それでも暗い)

庭の巨岩から電線に飛び移るモズ♂(野鳥)

 

2021年6月上旬・午後14:10頃・晴れ 

お寺の境内の電線にモズ♂(Lanius bucephalus)が止まっています。 
逆光で見えにくいのですが、黒い過眼線から♂のようです。 
モズが電線に止まると脚が長く見えますね。 

電線から飛び去ったモズ♂の行方を探すと、庭の大岩の天辺に乗っていました。 
縄張りを見張ったり獲物を探すためにモズは高い所によく止まるのですが、大岩の上で見かけたのは初めてです。 
周囲よりも高くて見晴らしが良ければどこでも良いのでしょう。 

庭石から飛び上がると、近くの電線に止まり直しました。 
嘴を開けて小声で鳴いているようですが、聞き取れません。 
更に高い電線に止まり直してから、どこかへ飛び去りました。 
どうも近くの庭木で営巣している気がするのですが、巣を見つけられません。

2021/08/04

リンゴ園に設置された巣箱に群がり交尾相手♀を探すマメコバチ♂の群飛【HD動画&ハイスピード動画】

 

2021年5月上旬・午後15:10頃・晴れ
▼前回の記事: リンゴ園でヨシ筒の巣に出入りするマメコバチ♀【HD動画&ハイスピード動画】

春のリンゴ園をあちこち見て回ると、リンゴの木の下に設置されたマメコバチOsmia cornifrons)の巣箱を観察しやすい場所を新たに見つけました。 
果樹園の敷地内に立ち入らなくても横の公道から撮影が可能です。 

この日はもうリンゴの花が萎れかけていて、受粉を媒介する訪花昆虫(送粉者)の姿はほとんど見当たりませんでした。 
(クマバチのリンゴ訪花シーンを撮り損ねました。) 

 切り揃えたヨシの茎を大量に束ねたネスト・トラップをプラスチックの箱の中に水平に収納しています。 
巣箱が雨で濡れないようにする屋根は簡易的で、ビニールシートを無造作に被せてあるだけでした。 
これを園内に設置しておくだけで多数のマメコバチが勝手に営巣してくれ、春の受粉期に大活躍するのです。
斜めにカットしたヨシ筒束の切り口がマメコバチの巣口になっています。 
その手前で多数の小さな蜂が忙しなく飛び回っていました。 

肉眼では蜂の動きが早過ぎて何が起こっているのか分かりませんから、240-fpsのハイスピード動画でも撮ってみましょう。(@0:45〜) 
すると、巣箱の周囲で群飛している個体のほとんどが雄蜂♂であることが判明。 
マメコバチの雄蜂♂は体型がほっそりしていて触角がやや長く、頭楯に白い毛が密生しているのが特徴です。 
つまり、この群飛は雄蜂♂が交尾相手の処女♀を探索する探雌飛翔でした。 
マメコバチもおそらく♂成虫が♀よりも早く羽化する雄性先熟なのでしょう。 
・♂が♀よりもやや早く羽化を始める現象をプロタンドリー(protandry;雄性先熟)
1年で1世代しか過ごさず、決まった季節に蛹から羽化してきて数週間の配偶行動を経て産卵を終えるというタイプの昆虫は、♂が♀よりも早く羽化する(プロタンドリー現象) 渡辺守『チョウの生態「学」始末』より引用
♂はヨシ筒束の巣口から羽化してくる未交尾♀を近くで待ち構えて、見つけた♂が早いもの勝ちで交尾するのでしょう。 
マメコバチ♂は巣箱の手前でひたすらホバリング(停空飛翔)しています。 
♂同士の縄張り争いや空中戦は全く見られませんでした。 
(空中で軽く衝突して墜落することがたまにありました。) 

ときどきヨシ筒に着陸して潜り込む雄蜂♂も見受けられました。 
しばらくすると外に出てきて、再び探雌飛翔を続けます。 
羽化直後の処女♀と巣内で交尾したとしても、このアングルではおそらく見えないでしょう。 

池の水面に何度も飛び込んで水浴びするツバメ(野鳥)

 

2021年6月上旬・午後14:30頃・晴れ 

溜池の上空を飛び回っているツバメHirundo rustica)が水面に繰り返し飛び込んで水浴していました。 
池の水面に同心円状の波紋が広がります。 

1/5倍速のスローモーションでリプレイしてみると(@0:27〜)、高速で低空飛翔するツバメは水面のほぼ同じ場所に2回飛び込んでいました。 
飲水行動ではなく水浴だと思います。 
ツバメはすぐに池から飛び去ってしまうので、水浴シーンを高画質のFHD動画とハイスピード動画の両方で記録することがどうしてもできません。
関連記事(51日前の撮影)▶ 飛びながら池で水浴する2羽のツバメ【ハイスピード動画】(野鳥)
この池の水はお世辞にもきれいではありません。 
理由は分かりませんが、今季は特に鉄サビのような赤っぽい泥水が流入していて、池の水質が悪化しているのが気がかりです。 
こんなドブ臭い泥水を浴びないといけないツバメが気の毒です。
岸辺のヨシ原も冬枯れしたままで、春になっても新しい葉が生えてきません。 
水鳥がこの池にほとんど寄り付かなくなったということは、水中の藻や魚も死滅したのかもしれません。(未確認)

2021/08/03

ハルジオンの花蜜を吸うツヤハナバチの一種♀♂

 

2021年6月上旬・午後14:20頃・くもり 

水田の畦道に咲いたハルジオンの群落でツヤハナバチの一種が2匹並んで訪花していました。 
風揺れに悩まされたので、まずは1/5倍速のスローモーションでご覧ください。 
その後に等倍速でリプレイ。 

左の個体は後脚の花粉籠に黄色い花粉団子を付けているので、♀ですね。 
吸蜜だけでなくハルジオンの花粉も集めているようです。
右の個体は左の♀よりもほっそりした体型で、頭楯に黄色い斑紋があり、脚が黄色いことから、ツヤハナバチの雄蜂♂ではないかと思います。 (自信なし)
(脚が黄色いのは花粉で汚れているだけ?) 
本来ならマクロレンズでじっくり接写したいところでしたが、風が吹き止まず被写体があまりにも揺れ続けるので、とても無理でした。 

同種の♀がすぐ横に居たのなら、どうして交尾しなかったのか、不思議です。 
♀は先に飛び去ったものの、♂は風で激しく揺れる花の上で身繕いなどして飛び立ちませんでした。
ツヤハナバチsp♂?

送電塔の腕金部の巣で待つ雛にハシボソガラス親鳥が給餌(野鳥)

前回の記事:▶ ハシボソガラス♀♂抱卵期の朝の行動(野鳥)給餌・対他羽繕いなど
2021年6月上旬・午後17:15頃・晴れ 

13日ぶりの定点観察に来てみると、ちょうど1羽の親鳥ハシボソガラスCorvus corone)が採餌を終えて送電塔#21に帰ってきたところでした。 
鉄塔の中段の腕金に止まっているカラスの喉袋が膨らんでいることにご注目。 
周囲の安全を確認したハシボソガラスは鉄骨をトコトコ歩いて塔体に近づくと、飛び上がって巣がある上段の腕金に着地しました。 
ようやく巣に飛び乗ると、口移しで雛に給餌したようです。 
雛は未だ孵化して間も無いようで小さく、餌乞いで背伸びしても巣材で隠れてよく見えません。 
(やがて雛が成長すると巣の高さよりも大きくなり、このアングルからでも姿が見えるようになります。) 
未だ黒い羽毛が生え揃わずに赤い雛のようです。 
親鳥に餌乞いする鳴き声も聞き取れませんでした。 

実は撮影中は巣が空っぽに見えて、早くも雛が巣立った後なのかと勘違いしてしまいました。 
映像を見直すと、小さな雛に給餌していたことが分かったのです。 

給餌を済ませた親鳥はしばらく巣の近くに留まり、食後の雛が排便するのを待っているようです。 
このとき親鳥の喉袋がもう膨らんでいないことにご注目。
どうやら今回は脱糞した雛がいなかったようで、親鳥は送電塔から飛び去り、次の採餌に向かいました。

2021/08/02

鯉のぼりと本物のコイの泳ぎを比較【HD動画&ハイスピード動画】

 

2021年5月中〜下旬・午後・晴れ

ようやく水面にハスの若葉が開き始めた蓮池で、コイ(鯉;Cyprinus carpio)が泳ぎ回っていました。(@2:28〜) 
オーソドックスな黒いコイに混じってオレンジ色の錦鯉も泳いでいます。 
大型個体のコイが池底の泥を巻き上げながら岸辺を泳ぐと、ときどき気泡がブクブクと浮き上がります。 
これは泥の中のメタンガスなのですかね? 
私が岸辺から池を覗き込むと、給餌するのを期待して鯉が集まって来ます。 
水面で口を大きく開けて餌乞いしています。 

今さら池のコイを撮っただけでは面白みに欠けるので、ちょうど5月に街なかで見かける鯉のぼりの映像とつないでみました。 
春風で勢いよくたなびく鯉のぼりを240-fpsのハイスピード動画でも撮ってみました。(@0:18〜) 
支柱の天辺で風車がクルクルと回っています。 
私がちょうど風下に立った位置で撮影したので、いまいち迫力ある絵になりませんね。 
横着せずにちょっと回り込んで、鯉のぼりの側面から撮るべきでした。 

アカショウビン♂のさえずり♪(野鳥)

 

2021年6月上旬・午後18:15頃・くもり 

夕方の里山で雑木林の方からキョロロー♪という特徴的な下降音階がかすかに聞こえました。 
これはアカショウビン♂(Halcyon coromanda major)の囀りさえずりです。 
この山林に憧れのアカショウビンが生息しているとは知りませんでした。
山中の沢や池でオタマジャクシなどの小動物を捕食するのかな? 
いつかその姿を動画に撮ってみたいものです。 

日本の野鳥さえずり・地鳴き図鑑』でアカショウビンの鳴き方を調べると、
朝夕や曇の日に「キョロロロロー」と尻下がりの声でさえずる。(p105より引用)
 

※ 動画編集時に音声を正規化して音量を強制的に上げています。 
他にもシュレーゲルアオガエル♂、ウグイス♪、ニホンアマガエル、ヒヨドリ♪などの鳴き声が録音されています。



【追記】
藤井幹『野鳥観察を楽しむフィールドワーク:鳥はどこにいる!? 地図・植生・フィールドサインから探る』というバードウォッチングの指南書を読んでいたら、面白いことが書いてありました。
鳥によっては雨が好きな鳥もいます。例えばアカショウビンは「雨降り鳥」や「雨乞い鳥」と呼ばれるぐらいで、今にも降り出しそうな空模様のときや、雨が降り始めるとよくさえずります。

今回の動画を撮ったときはくもり空だったのですが、 下り坂の天気だったかどうか、覚えていません。

これまで気にしてなかったのですけど、今後は天気も意識してアカショウビンの囀りを聞いてみることにします。


 

2021/08/01

キイロクビナガハムシ♀♂の配偶者ガード#2:逆向きマウントするペアの♀に交尾栓?

 

2021年5月中旬・午前6:20頃・晴れ
前回の記事:▶ キイロクビナガハムシ♀♂の配偶者ガード#1
雑木林の林床に生えた蔓植物(種名不詳:サルトリイバラ?)にもう1組のキイロクビナガハムシ♀♂(Lilioceris rugata)を見つけました。 
下部の葉の上に乗っていたペアに注目して接写してみましょう。 
マウントしているものの交尾器は結合しておらず、やはり交尾後に配偶者ガードしているようです。 
撮影開始時には、♀の背に乗った♂は通常通り順向き(♀と同じ向き)でマウントしていました。 
ところが、この♂は♀の背中でなぜか方向転換して逆向きのマウント体勢になりました。 
マクロレンズで接写する私の動きに対して警戒したのでしょうか? 
♀に交尾を挑む♂は♀の背後からマウントするはずですから、配偶者ガードする♂は後ろ向きに見張っていた方がライバル♂の接近を防げるのかもしれません。

♀の腹端に白っぽい固形物が付着していることに気づきました。 
♀が脱糞した後なのかもしれませんが、ハムシの糞は黒っぽい気がします。(要確認) 
もしかすると、交尾中に♂が精包の他に粘液を送り込んで作った交尾栓(交尾プラグ)かもしれない!と思いつきました。 
昆虫やクモの一部の種では、♂が交尾相手の♀に交尾栓を作って、♀が別な♂と交尾するのを物理的に阻止することが知られています。(それでも浮気を完全には防げないらしい) 
いわば貞操帯です。 
もしこれがキイロクビナガハムシの交尾栓なら、♂が♀を交尾後ガードする必要はないのでは?と疑問になってきます。 
また、別の♀♂ペアの♀にはこの交尾栓(?)は付いていませんでした。
交尾行動を見逃したことがつくづく悔やまれます…。 

この♀は葉上でじっと休んでいるだけで、動き回ったり食事したりすることはありませんでした。 
ときどきのんびりと身繕いするだけです。 
左脚の跗節を擦り合わせたり、触角や前脚を舐めて掃除したりしています。 
♀は一体いつになったら産卵するのでしょう? 
三脚を持参していれば、♀が産卵するまで微速度撮影で記録したかったところです。 

ちなみに、『ハムシハンドブック』p16によると、本種は成虫で越冬するらしい。 

撮影後にありあわせのビニール袋で、この2ペアを採集しました。(以降は映像なし) 
帰宅後に、透明プラスチック容器に移して閉じ込めると、しばらくしたらマウントの向きが逆向きから順向きに戻っていました。 
離れてしまったペアもしばらくしたら交尾後ガードが復活しました。 
しばらくすると♀が嫌がって♂を振り落とし、ペアを解消。 
つるつるしたプラスチック容器の天井から♀が滑落して仰向けに暴れていると、♂が駆け寄って来てマウントを試みていました。


【追記】
「ハムシ 交尾栓」をキーワードにネット検索してみても、そのような事例はヒットしませんでした。
その代わりにキャサリン・ブラックリッジ『ヴァギナ 女性器の文化史』という書籍の中に興味深い記述が見つかりました。
 望まない精子を追い払うための最も鮮やかで劇的な方法は精子排出である。(中略)♀による精子排出は何年もまえから気づかれていたかもしれないが、重要ではないとして無視されていた。1886年のバッタの仲間(Podisma pedestris)についての研究は、交尾の直前に♀が排出する「特殊の性格を持つ排泄物」について詳しく記述しているが、そこから先の観察はなされていない。しかし、今日では、♀による精子排出あるいは投棄がありふれた行為だということが明らかになってきている。
 クモ、ヘビ、昆虫、オウム、家禽、ブタ、ネズミ、ヒツジ、ウシ、ウサギ、人間、こうした動物はみな、余分な精子を排出していることがわかっている。(中略)ハムシの例では、性行為の翌日に行なわれることもある。(中略)
 昆虫の♀の多くは単純に精子の包みを食べてしまう。(中略) 
 ハムシの仲間(Macrohaltica jamaicensis)の♀は、ヴァギナの筋肉を使って望まない♂が精液を注入するのを防ぐ。♂がすでに生殖器をヴァギナ、あるいは嚢に挿入したあとでも妨げることができる。この小さなハムシは嚢の強力な筋肉を収縮させて、嚢に栓をしたような状態を作りだす。嚢を締めつけることで、2つの効果が得られる。1つは、嚢の奥にある貯精場所に精液が選ばれるのを妨げる。もう1つは、♂が生殖嚢を膨らませるのを妨げる。というのは、♂は生殖嚢を膨らませなければ精包を作れないからだ。♂が精包を準備するまでに通常1分ほどかかるので、♀が鉄の壁を作ってしまえばあきらめて生殖器をひっこめなくてはならない。ハムシやミツバチと同じように、ツェツェバエもヴァギナを強く収縮させて♂を追いだすことができる。
筆者は科学ジャーナリストらしく膨大な事例を集めて列挙していますが、昆虫学の専門家ではないようです。(翻訳の問題か?)
ハムシ(Macrohaltica jamaicensis)の交尾に関する原著論文を読んでみたいものです。
もしこの記述がキイロクビナガハムシにも当てはまるとすれば、私が想像したような♂による交尾栓とは全く逆で、♀による交尾拒否(または♀による♂の精子の選択)ということになります。
昆虫の中でもチョウ類の♀は♂から精包と一緒に受け取った(注入された)栄養豊富な分泌物を体内で吸収して、栄養源としていることが知られています。
むしろ♀はそれを目当てに複数の♂と多回交尾することが分かってきたそうです。
最近『チョウの生態「学」始末』という専門書でその話を読んだばかりの私は、ハムシの♀による精子排出という現象は非常にもったいない(無駄)と感じてしまいます。
いずれにせよ非常に面白いので、キイロクビナガハムシ♀♂の交尾行動の一部始終をますます観察してみたくなりました。

巣材の枯草を集めて軒下の巣に運ぶムクドリ(野鳥)【HD動画&ハイスピード動画】

 

2021年5月下旬・午前7:15頃・晴れ
前回の記事:▶ 屋根裏の古巣を内見・掃除するムクドリ♀と軒下の巣口を拡張する♂【ハイスピード動画】(野鳥)
営巣地となった家屋の真下でムクドリSturnus cineraceus)が草むしりを始めました。 
建物の基礎部分のすぐ横に生えている青々とした雑草には目もくれず、枯草を集めています。 
(泥付きの枯草なんか巣に持ち込んだらすぐにカビが生えそうな気がするのですけど、何か対策してるのかな?)
嘴でむしり取った枯草を数本束ねると、近くの電線に飛び上がりました。 
電線上で少し飛んだり歩いたりして、営巣地の軒下に近づきます。 
電線から電線に伝い歩きしたときに、せっかく持ってきた巣材を少し嘴から落としてしまいました。 
営巣地周辺の安全を確かめると、電線から飛び降りてホバリングしながら一気に巣口へ飛び込みました。 
いよいよ屋根裏でムクドリの巣作りが始まったようです。 
しばらくすると作業を終えたムクドリが巣から飛び出しました。 
近くの電線に止まり、土で汚れた嘴を足元の電線に擦り付けてきれいにしています。 
ムクドリの巣材集めを観察するのはこれが初めてでした。
関連記事(7年前の撮影)▶ 巣材を運ぶムクドリ(野鳥)

巣材の搬入シーンを240-fpsのハイスピード動画でも撮ってみました。(@1:17〜) 
おそらく♀と思われる個体が嘴に枯草などの巣材を咥えたまま電線に止まり、帰巣のタイミングを見計らっています。 
電線から飛び降りると空中でホバリングし、そのまま軒先の穴に飛び込みました。 
♂らしきパートナーが続けて飛来し、ホバリングすると巣口の真下の雨樋パイプを経由してから入巣しました。 
どうもムクドリの♂は巣材集めを♀に任せているようです。 
最後に1羽が巣から飛び出してきました。 

※ 暗い巣口にズームインしたシーンでは、動画編集時に逆光補正を施しています。 

 シリーズ完。


日本鳥の巣図鑑:小海途銀次郎コレクション』でムクドリの巣について調べると、
主に建造物の隙間に枯れ草の葉、茎、松の落ち葉、ササの葉、樹皮、ビニールなどまるでゴミのようなものも集め、お碗形の巣をつくる。産座には獣毛、人毛、羽毛、ササの葉などを敷き詰める。(p299より引用)

 

電柱に止まって日光浴するアブ♂【名前を教えて】マルハナバチに擬態?

 

2021年5月下旬・午後17:10頃・晴れ 

ノボリフジ(ルピナス)の花が咲き乱れる大群落の横に立つコンクリート電柱の側面に見慣れないアブ(種名不詳)が止まっていました。 
ルピナスへの訪花シーンを期待したものの、ひたすら日光浴しているだけでした。 
蔦の葉に覆われた電柱のコンクリートが露出した面に静止して夕日を浴びています。 
飛び立つ瞬間をハイスピード動画で記録したかったのですが、失敗しました。 

このアブの名前をご存知の方がいらっしゃいましたら教えて下さい。 
大きく発達した左右の複眼が中央で接していることから、♂のようです。 
触角の根元は白いです。 
過去に出会った虫の中ではチャイロオオイシアブと似てるかな?と思って調べ直すと、どうも違うようです。 
トラマルハナバチにベーツ擬態しているのですかね? 
『札幌の昆虫』という図鑑には「マルハナバチに擬態したハナアブ類」をまとめたページがあるのですけど、これと似た種類は載っていませんでした。

ランダムに記事を読む

  • 夜のスギ林道を次々に疾走する4頭のニホンカモシカ【トレイルカメラ:暗視映像】06/01/2023 - 0 Comments
  • ハルジオンの花蜜を吸うモンキチョウ♂26/09/2016 - 0 Comments
  • 根曲がり巣穴の周囲で採食する雪国のシジュウカラとヤマガラの混群【冬の野鳥:トレイルカメラ】10/12/2024 - 0 Comments
  • アメリカセンダングサの花蜜を吸うオオマルハナバチ♀11/12/2010 - 0 Comments
  • 雪面を動く雑木林の影【微速度撮影の習作】08/03/2012 - 0 Comments