2021/12/18

イエネコ夜の排泄シーンまとめ【トレイルカメラ:暗視映像】

 

2021年9月中旬〜下旬

トレイルカメラ(無人センサーカメラ)の使い方に慣れるための練習で、飼い猫(キジトラ去勢♂)の行動を記録してみました。 
室内のケージに向けてトレイルカメラを設置し、夜な夜な監視してみましょう。 
本来イエネコFelis silvestris catus)は夜行性だけあって、夜の方が生き生きと活動していました。 
 撮れた映像の中で排泄シーンをまとめてみました。 
ケージの右奥に砂を入れたトイレが用意されています。 
ネコは赤外線の暗視カメラの存在を気にしている素振りはありません。 
昼間に脱糞シーンをヒトに見られると、猫は気まずそうな照れ臭そうな顔をするのですが、無人カメラで自然な行動を記録できます。

トイレの砂を少し掘ると、その穴の上に跨がり、神妙な顔つきで排泄しています。
夜の排泄時間に決まった規則性は無さそうです。 
排尿か排便か、映像からは分かりません。 
排泄直後に、毎回ではありませんが、餌のキャットフードをカリカリと食べて行くことがありました。 

排便後に砂を掛けて糞を隠す行動をするかどうかという点に興味を持って撮影したところ、全くしていませんでした。 
より説得力のある映像を撮るには、監視カメラのアングルを工夫する必要がありそうです。(ケージが邪魔…) 


今泉忠明『動物たちの可愛いウンチ』(講談社文庫) によると、
最近の説によると、ネコが糞を埋めるのは、自分がそこにいることに遠慮しているからだという。(中略)彼らはにおいを隠すことによって、付近にいるネコたちに自分が劣位であることを表示しており、自分の社会的地位を気にしている下位のネコの行動であるというのだ。  この説は野生化したネコの生活を詳細に調べてわかってきたことである。そのあたりで勢力をふるっている優位にある♂たちは、糞に土をかけることはしない。むしろにおいがもっと漂うように、ちょっとした高まりの上や岩の上などに糞をする。糞を隠すのは劣位のネコだけであったという。  家で大切に飼われているネコも糞を隠す。それはネコが飼い主よりも劣位にあると認識しているからで、人間は体が大きくて恐ろしいし、飼い主は食べ物を押さえている。(p135より引用)
田中豊美『みぢかなともだちネコ』でも「フンをうめる習性」と題した章で、野良猫および飼い猫の排泄行動を一連の見事な細密画で解説していました。
フンは、ネコが自分のことを、ほかのネコにしらせる信号(サイン)の役割がある。下位(弱い)のネコは、自分のフンに土をかけて、においをかくす。上位(強い)のネコは、なわばりのしるしとして、土をかけないでのこし、ほかのネコに見せつける。(p34〜35より引用)


ちなみに、この個体は1頭で飼われています。

トイレで糞を隠さなかったということは、家族内で上位だと自認しているようです。  

タヌキの溜め糞で獲物を待ち伏せホバリングするキイロスズメバチ♀

 

2021年9月下旬・午後15:15頃・くもり 

低山の林道上で見つけたホンドタヌキNyctereutes viverrinus)の溜め糞aキイロスズメバチVespa simillima xanthoptera)のワーカー♀が1匹来ていました。 
低空で飛び回り、溜め糞に集まるハエ類などを狩ろうとしているようです。 
しかしハエの方が敏捷で、追い回しても逃げられてしまいます。 
キイロスズメバチ♀がエネルギー消費の激しいホバリングを続けているということは、狩りの成功体験があるからこそ溜め糞に周囲で獲物を待ち伏せしているはずです。 
しかし、私は狩りの成功シーンを一度も見たことがありません。
関連記事(8、9年前の撮影)▶  
タヌキの溜め糞で停空飛翔するキイロスズメバチ♀ 
タヌキの溜め糞に集まるキイロスズメバチ♀
地面すれすれの低空でホバリングすると、激しい羽ばたきの風に煽られて地面から落ち葉の欠片が舞い上がります。 
停飛状態からときどきダッシュ(急発進)するのは、ハエを追いかけているのでしょう。 
ヒトが最新技術を結集して作ったドローンに比べて、静音性が抜群です。 

やがてキイロスズメバチ♀は獣糞のひとつに着陸して翅を休めました。 
スズメバチは清潔好きと思っていたので、不潔な糞の上に平気で着地したのは驚きました。 
溜め糞の匂いに惹かれて飛来する微小なハエ?を油断なく待ち構えています。 
少し身繕い(化粧)してからすぐに飛び立ち、探餌飛翔を再開しました。 

タヌキの大便の表面に多数まぶされている白くて細長い粒々は、おそらくベッコウバエDryomyza formosa)の卵と思われます。

2021/12/17

灌木上で羽繕いするヤマガラ(野鳥)

 

2021年9月下旬・午後14:30頃・くもり 

山麓の林縁でヤマガラSittiparus varius)が灌木に止まっていました。 
(奥にはホツツジの白い花が見えます。) 
私を警戒しているのか、鳴かずに辺りをキョロキョロ見回しています。 
上の横枝に飛び上がり、羽繕いを始めました。 
実は数羽の群れで行動していたのですが、撮れたのはこの1羽だけです。 

ヤマガラが飛び去ってから、近くでヤマウルシと思しき白い実が大量になっていることに気づきました。 
枝が不自然に揺れているので、野鳥がこっそり採食に来ていそうです。 
映像をスロー再生で見直すと、メジロZosterops japonicus)と思しき黄緑色の小鳥が飛来しました。 (撮影時には気づいていません。) 
また、途中で聞こえる甲高いピーェ♪という鳴き声は、おそらくノスリButeo japonicus)が近くの止まり木で鳴いたのでしょう。

【追記】
約6分後に少し離れた地点でノスリと思われる2羽の猛禽が山麓の林縁の上空を飛び回る姿を目撃しました。

クリ樹洞内に営巣したモンスズメバチの巣を夜中に見に来ると…【暗視映像】

前回の記事:▶ クリ樹洞の巣口を守りキマワリを追い払うモンスズメバチ♀門衛

2021年8月中旬・午前2:50頃・晴れ・月齢10.5(月の入り後に撮影) ・気温23℃

クリ(栗)大木の根際に開いた樹洞内で営巣するモンスズメバチVespa crabro)のコロニーの様子を真夜中に見に来ました。 
明るい日中と異なり、巣口を守る門衛の姿はありませんでした。 
巣に出入りする外役ワーカー♀の活動も無く、静まり返っていました。 
巣口が狭いので、暗視カメラを樹洞内に差し入れることができません。
ファイバースコープ・カメラが欲しいところです。

赤外線のレーザー温度計で樹洞を塞ぐ巣口の表面温度を測定すると、約20℃でした。 
一方、別のデジタル温度計で営巣地の外気温を測ると、気温23.2℃、湿度73%でした。 
気温が30℃を超える熱帯夜だとスズメバチは巣内を冷やす扇風行動を始めると予想されるのですが、気温が低いので巣内で寝ているのでしょう。 

巣が駆除された可能性を否定するために、昼間に再訪する必要があります。 
後日、コロニーの無事を確認できました。(映像公開予定) 

図鑑などでモンスズメバチは夜行性と言われている前評判とは違います。 
夜中も活発なモンスズメバチのコロニーを私は過去に1例しか見たことがありません。 
「日没後もしばらく活動する場合がある」という弱いニュアンスではないかと、私は考えています。
このコロニーは昼間の採餌活動だけで充分に満ち足りているのか、それとも夜に取れる餌が少ない環境なのでしょうか? 
巣口の様子を終日観察してみたいのですが、人目につくとすぐに駆除業者に通報されてしまいそうなので躊躇しています。 
無人監視カメラを設置するのも藪蛇になりそうです。 
仕方がないので、「迫害されたスズメバチ好き」は周囲に誰も居ない時間帯にコソコソと短時間観察するだけに留めています。 

つづく→

腐生植物ギンリョウソウの花

2021年9月中旬・午後 

里山で急斜面の細い山道を登っていると、山道の脇(標高585m地点)に白いギンリョウソウの花が多数咲いていました。 
腐生植物ギンリョウソウと出会えたのは8年ぶりになります。 
光合成をしないので葉緑素が退化しています。
関連記事(8年前の撮影)▶  
ギンリョウソウの花に群がるアメイロアリ♀ 
ギンリョウソウの花に出入りするアメイロアリ♀
訪花昆虫や種子散布の様子を観察したかったのですが、数日後に再訪したら何者かに盗掘されたのか群落ごと無くなっていました…。
こんなことなら、動画にも撮っておくべきでしたね。

2021/12/16

夜の林道で採食・穴掘りするニホンイノシシ@山形県【トレイルカメラ:暗視映像】

 

2021年9月下旬・午後18:55頃 

雑木林に覆われた里山の林道でタヌキの溜め糞をトレイルカメラ(無人センサーカメラ)で監視していると、ニホンイノシシSus scrofa leucomystax)が撮れていました。 
立派な体格のイノシシです。 
カメラの赤外線で目が白く光っています。 

イノシシは夜の林道を行ったり来たりして餌を探しています。 
林道の中央に点々と残されたタヌキの溜め糞が気になるらしく、頻りに匂いを嗅いで口をモグモグさせています。 
まさかタヌキの糞を食べたのでしょうか? 
糞に含まれている未消化の種子や糞虫を食べているとしたら、面白いですね。
主に林道上に落ちたドングリや虫などを食べているのではないかと私は想像しています。 
前脚で地面を掘り始めました。 
林道から生えたひこばえ(幼木)の匂いも頻りに嗅いでいるようです。 
幼木の葉を食べたかもしれません。 

トレイルカメラのセンサーが動体感知してからの録画時間を1分間に設定していたために、細切れの映像になってしまいました。 
タイムラグはあるものの、すぐにまた録画を再開。 

イノシシは尻尾を左右に振りながら画面の左に立ち去ったと思いきや、すぐに引き返してきました。 
結局は林道を右へ立ち去りました。 

私が里山でイノシシの動画を撮れたのはこれで2回目です。
関連記事(8ヶ月前の撮影)▶ 雪山をラッセルして逃げるニホンイノシシ2頭@山形県
雪のない秋にも当地でイノシシの生息を確認することが出来て興奮しました。 
西日本の暖地にお住まいの方にとって、イノシシは別に珍しくもないでしょう。
しかし、ここ山形県では絶滅したと長らく思われていたので、衝撃的な映像です。 
決して偶発的な目撃例ではなく、確実に生息・(繁殖?)していそうです。 
イノシシが暮らせる山は自然豊かで素晴らしい環境です。
ところが山から里に下りてきてしまうと、農家にとって作物の食害が頭の痛い深刻な問題になりそうです。

土を舐めてミネラル摂取するヒカゲチョウの群れ【HD動画&ハイスピード動画】

 

2021年9月中旬・午後15:00頃・晴れ 

急な山道でヒカゲチョウ♀(Lethe sicelis)が翅を全開にして日光浴しながら乾いた地面を舐めていました。 
ヒカゲチョウのミネラル摂取行動は初見です。 
しかも、♀がやるのは珍しく思いました。
関連記事(1年前の撮影)▶ 砂利道の土を舐めるクロヒカゲ♂
砂利が少し敷かれた赤土の山道を歩き回りながら地面や小石を舐めています。 
途中で口吻をクルクルとゼンマイのように縮めたものの、すぐにまた土舐めを再開。 
日向で暑いのか、翅を半開きに立てるようになりました。 

地面から飛び立つ瞬間を狙って240-fpsのハイスピード動画でも撮ってみました。(@1:23〜1:32) 
先を急いでいた私は蝶が自発的に飛び立つまで待てず、帽子を投げつけて飛び立たせました。 
翅の地味な色が山道の背景に対して見事な保護色になっており、飛ぶと見失いそうになります。 

その山道を少し進むと、更に3頭の個体が同様に地面を舐めていました。 
日陰でもミネラル摂取しています。 
山道のこの区間の土壌は塩分が多く含まれているのでしょうか? 
もしかすると野生動物が通りすがりに糞尿を排泄したのかもしれません。 
日陰に居るせいか翅をしっかり閉じて土を舐めています。 
翅表が見えないので、性別不明。 
1頭は後翅の肛角付近が損傷している個体でした。 
小さな眼状紋を狙って鳥がつついた跡(ビークマーク?)のようです。

以下の写真は別々の個体。
 

2021/12/15

山道の溜め糞を日没後にチェックするホンドタヌキ【トレイルカメラ:暗視映像】

2021年9月下旬・午後15:10頃・くもり 

秋になるとタヌキの溜め糞を観察しやすくなります。 
気温が下がるとともに糞虫などによる分解速度が落ちて、糞が残りやすくなるからです。 
里山の山道で大規模な溜め糞ポイントを新たに見つけました。 
こんもりと山積みになった糞、または下痢便、古い糞など、落ち葉の積もった山道の中央に点々と1列に並んでいました。 
登山者はこれを踏まないよう注意して山道を歩かないといけません。
新鮮な糞が含まれているので、間違いなく現在使用中の溜め糞でしょう。
サインポストとして複数個体のタヌキが共有していそうです。 
動画では一番端に残された下痢便(泥状)の横に15cm定規を並べて置きました。 
落ち葉だけでなく、ブナの殻斗も林道上に散乱していますね。
溜め糞を見下ろす位置にトレイルカメラ(無人センサーカメラ)を仕掛けることにしました。 
糞が広範囲に広がっているので、どこに狙いを定めるべきか困ります。 
なるべく引きの絵で全体を収めるようにしました。

 

2021年9月下旬・午後18:00頃 (日没時刻は午後17:28) 

約3時間後、トレイルカメラを仕掛けたその日の晩に早速、1頭のホンドタヌキNyctereutes viverrinus)が獣道に登場しました。 
日没から約30分後で山中はもう真っ暗です。 
タヌキの登場シーンは撮れてませんでしたが、画面中央にある溜め糞の匂いを嗅いでいました。 
タヌキが振り返ると、赤外線に反射して目がランランと白く光って見えます。 
その後、タヌキは林道脇の立木の匂いを嗅いで回りました。 
3時間前に立ち去った私の残り香が気になってるのかもしれません。 
引き返して林道中央の溜め糞に戻って来たものの、何度も見上げてカメラ目線になります。 
明らかにタヌキは暗視カメラの存在に気づいて、少し警戒しているようです。 
カメラの赤外線LEDがうっすらと赤く光って見えるのか、またはカメラから漏れ出る電子ノイズがかすかに聞こえているのでしょう。 

残念ながら今回はタヌキの排泄シーンを記録できませんでした。 
カメラの録画時間を60秒の設定にしていたために、尻切れトンボの動画になりました。 


マミガサキアザミの花蜜を吸うオオマルハナバチ雄蜂♂

 

2021年9月下旬・午後12:50頃・晴れ 

里山で山腹の道端に咲いたアザミで見慣れないカラフルなマルハナバチが訪花していました。 
忙しなく飛び回り、吸蜜しています。 
体中がアザミの白い花粉にまみれていますが、後脚に花粉籠が無いので雄蜂♂のようです。 
訪花後の蜂は飛び上がってオニグルミの葉の表で少し休みました。(撮り損ねて映像なし) 
マルハナバチ類の交尾を私は未だ見たことがないのですが、交尾のために新女王が飛来するのを雄蜂♂は花畑(蜜源植物)で待ち伏せしているのでしょうか? 

外来種のセイヨウオオマルハナバチはこんな配色だっけ?と現場では混乱しましたが、帰宅後に調べてみるとオオマルハナバチ♂(Bombus hypocrita)と判明。 
雄蜂♂を撮れたのは初めてです。 
クロマルハナバチの雄蜂♂と似ていますが、クロマルハナバチ♂はもっと黄色が鮮やかで、顔の前方(頭楯)に特徴的な黄色い毛がある点がオオマルハナバチ♂と異なります。 
オオマルハナバチ♂はもっとくすんだクリーム色で、渋い配色です。
参考:『マルハナバチ・ハンドブック』p33
また、アザミの方は山形県特産のマミガサキアザミと思われます。 
鋸歯のある葉の根元は茎を抱き、頭花の総苞に触れても全く粘り気がありません。 
草丈は約170cmとヒトの身長ほども伸びていました。

2021/12/14

砂利道を跳んで逃げるトノサマガエル【HD動画&ハイスピード動画】

 

2021年9月下旬・午前11:45頃・くもり 

田んぼに近い農道でトノサマガエルPelophylax nigromaculatus)を見つけました。 
草が疎らに生えた砂利道にじっと座っていて、私が動画を撮りながら忍び寄っても逃げようとしません。 

トノサマガエルが跳ぶ瞬間を狙って240-fpsのハイスピード動画に切り替えてみました。(@0:28〜) 
座った姿勢から素直に前方へ跳ぶのではなく、素早く左に方向転換してから(私から遠ざかるように)跳び去りました。 
さすが見事な跳躍力ですね。

謎のハエの飛び立ち【HD動画&ハイスピード動画】名前を教えて

 

2021年9月上旬・午後16:30頃・くもり 

里山の林道の脇で(標高約380m地点)見慣れないハエがイノコヅチの葉に乗っていました。 
腹背の正中線上に黒い紋が並んでいます。 
しばらくすると、少し飛んで野菊の葉に止まり直しました。 
翅の外縁がギザギザに破損していて、鋸歯のようです。 
脚がやや長いハエですね。 
複眼の様子からおそらく♀と思われます。 

口吻を伸ばして葉の表面を舐めている訳でもなく、身繕いもしないで、ただ休んでいます。 
動画ブログのネタで扱うには何か動きが欲しいところです。 
葉から飛び立つ瞬間を狙って240-fpsのハイスピード動画でも撮ってみました。(@0:19〜) 
急速左旋回しながら垂直離陸しました。 
周囲は雑木林でした。

このハエの名前をご存知の方がいらっしゃいましたら、教えて下さい。 
所属する科などおおまかな分類だけでも助かります。 
せめて翅脈を接写しないと難しいでしょうか?
ハエsp@イノコズチ葉上
ハエsp@イノコズチ葉上
ハエsp@野菊葉上

2021/12/13

稲穂が実る田んぼではなく休耕田で採食するハシボソガラスの群れ(野鳥)

 

2021年8月下旬・晴れ

田んぼで稲穂が実り始めると、鳥に食害されないように米農家が対策し始めたようです。 
山の上から麓の田園地帯を眺めたら(鳥瞰図)、一部の区画の田んぼだけ防鳥テープ(赤銀、金銀)が張り巡らされ、鳥よけカイト(鷹型)も設置されていました。 
山の上からでも遠くの田んぼの赤銀テープはよく目立つことが実感できました。 
風が吹くとテープがねじれ、チラチラ、キラキラと赤銀の点滅が左右に動いて見えます。 
これからイネの収穫期に向けて、田んぼに張り巡らされる防鳥テープが増えてくるはずです。 
鳥よけの凧も1つ、風でゆらゆらと揺れていました。 
田んぼの上空を鷹型の凧が元気に飛び回るには、もう少し強い風が必要です。
2021年9月上旬・午後14:10頃・くもり・強風 

この田園地帯には1年中、ハシボソガラスCorvus corone)の群れが暮らしています。 
稲刈り前の田んぼに忍び込んで稲穂を食害しているのかと思いきや、隣の雑草だらけの休耕田に集まって採食していました。 
休耕田には雑草が背高く生い茂っていて、カラスの黒い頭しか見えません。
おそらく草地で昆虫を捕食しているのでしょう。 
周囲の田んぼには未だ防鳥グッズの類(鷹型カイト、防鳥テープ赤銀、爆音器、案山子など)は一切設置されていませんでした。 
それにもかかわらず、カラスは稲穂が実る無防備な水田を避けて採食していて感心です。 
農薬を撒く田んぼよりも休耕田の方がカラスの餌となる昆虫が豊富なのでしょう。
新たに飛来したカラスが滑空して降り立つのも田んぼではなく、隣接する休耕田や農道でした。 
もしかすると米農家は意図的に休耕田を雑草がぼうぼうに生えるままに放置して、カラスをそこに集め隣の田んぼに行かないようコントロールしているのですかね?
農家の鳥害対策は知恵比べですが、凄い高等戦術です。
田んぼの周囲の草刈りを徹底しないと害虫や雑草の発生源になる、というのが私の古い理解だったので、驚きました。
あるいは稲穂がもっと熟して米が食べ頃になると、カラスも田んぼに侵入して食害するようになるのかな?
奥の田んぼは稲穂が実っているのですが、なぜかカラスは休耕田が好きな様子。
(水田にカラス除けの対策を何か施しているのかもしれません。)

私が動画を撮りながら横を歩くと、休耕田の草地に隠れて採食していたハシボソガラスが警戒して次々に飛び立ちます。 
逆風をついて飛ぶと、道ばたの電線に仲間と並んで止まりました。 
カラスは私が立ち去るまでそこで待ち、ほとぼりが冷めると再び休耕田に降り立って採食を続けるのでしょう。
ハシボソガラスの群れが休耕田から一斉に飛び立って風に逆らって飛ぶ様子を上手く流し撮り出来たので、1/5倍速のスローモーションでご覧ください。 
不穏な曇り空を背景にカラスの群れが田園地帯を飛び去るラストシーンは、ゴッホの名画『カラスの群れ飛ぶ麦畑』を連想します。 

秋の田んぼでカラスがスズメのように稲穂を直接食害するのかどうか、決定的なシーンを私は未だ撮れていません。
ここ何年もしつこく粘り続けています。 
「百聞は一見に如かず」の逆で、見れてないということは「カラスは稲穂を盗み食いする害鳥ではなくて濡れ衣ではないか?」と密かに疑っています。 
カラスは賢くて警戒心が強いので、私の意図を察してすぐに逃げてしまいます。 
ブラインドに隠れて張り込みするか、山の上から望遠レンズで狙うか、無人の監視カメラを田んぼに仕掛けるなど、作戦を変える必要がありそうです。

ちなみに、カラスは夏の水田に入って虫捕りをしますし、稲刈りが終わった刈田では落ち穂拾いをするのを観察しています。

ミズナラの樹液酒場を巡って争うヒメスズメバチ♀・チャイロスズメバチ♀・オオスズメバチ♀・アカタテハ

 

2021年9月上旬・午前11:50頃・くもり 

里山の尾根道で見つけたミズナラの樹液酒場で3種類のスズメバチが興味深い占有行動を繰り広げていました。 
登場するのはチャイロスズメバチVespa dybowskii)、ヒメスズメバチVespa ducalis pulchra)、およびオオスズメバチVespa mandarinia japonica)のいずれもワーカー♀です。 
結局、樹液酒場を独り占めするのは、最強のオオスズメバチ♀です。 
オオスズメバチ♀が樹液を吸汁したり樹皮を齧って樹液酒場を拡張したりしている間、他の種類のスズメバチは怖くて近づけません。 
遠慮がちに少し離れて順番待ちしています。 

ヒメスズメバチの体長はオオスズメバチと遜色ありませんが、体の太さで負けます。 
ヒメスズメバチがオオスズメバチに戦いを挑むことはありませんでした。
もう1匹のヒメスズメバチ♀が飛来して2:1になっても、オオスズメバチ♀は樹液酒場を譲りませんでした。(@0:38) 
それどころか、2匹のヒメスズメバチ♀間で小競り合いがあったのが興味深く思いました。(@0:52) 
もしかすると、別のコロニー出身のヒメスズメバチ♀なのかもしれません。 

そこへ2匹目のオオスズメバチ♀が飛来しました。 
まずは1/5倍速のスローモーションでご覧ください。(@1:00) 
直後に等倍速でリプレイ。 
オオスズメバチ♀は樹液酒場の横で待機していたヒメスズメバチ♀にいきなり飛びかかり、追い払いました。 
一瞬の攻撃の間に毒針で刺す素振りまでしたので驚きました。 
不意をつかれたヒメスズメバチ♀は幹から転げ落ちるように逃げて行きました。 
ライバルを1匹減らしたオオスズメバチ♀は次に、先客のオオスズメバチ♀に狙いを定めると果敢に飛びかかりました。 
やられた個体は翅を震わせて威嚇しながら、腹部をねじって相手に腹端の毒針を誇示しました。 
その間、チャイロスズメバチ♀は慌てて幹を登って物騒な戦場から離脱します。 

飛来したオオスズメバチ♀は幹に着陸すると先客と触角で挨拶し、同じコロニー出身と互いに認識したようです。 
先客の個体と口づけを交わしました。(栄養交換) 
2匹のオオスズメバチ♀に樹液酒場を専有されると、ヒメスズメバチ♀やチャイロスズメバチ♀はますます近づけなくなります。 

オオスズメバチ♀は頑丈な大顎で樹皮を齧り取ると、その欠片を口から捨てました。 
チャイロスズメバチ♀が飛来したものの、オオスズメバチ♀に睨まれただけで勝負あり。 
幹に着陸することなく慌てて飛び去りました。(@2:27) 
オオスズメバチ♀は身繕いしながら振り返ってヒメスズメバチに睨みを効かせています(牽制)。 

スズメバチ異種間で生まれつきの順位が既に決まっているようで、無駄に争うことはほとんどありませんでした。 
岩田久二雄『本能の進化:蜂の比較習性学的研究』p318 によると、
樹液の出る場所での、席次争いで強いものから弱いものへの順列は、オオ>チャイロ>コガタ>モン>ヒメ(スズメバチ)

今回、チャイロスズメバチとヒメスズメバチの間での力関係を観察できなかったのは残念です。 


実はこの樹液酒場を見つけたときには初め、アカタテハVanessa indica)が吸汁していました。(@3:07〜) 
その翅の羽ばたきで樹液酒場の存在に気づいたのです。 
完全に逆光のアングルだったので、動画編集時に逆光補正しました。 
それでも他人に披露するにはいまいちの映像なので、前後を入れ替えて最後に持ってきました。 (YouTubeでは視聴者が途中で離脱しないような工夫が必要です。) 
スズメバチ類は未だチャイロスズメバチ♀とヒメスズメバチ♀しか来ておらず(1匹ずつ)、比較的平和でした。 
チャイロスズメバチ♀とヒメスズメバチ♀は同じ樹液スポットの反対側から吸汁しています。 
アカタテハは翅を開閉しながら吸汁していたものの、チャイロスズメバチ♀との占有行動に負けてミズナラ樹液酒場から飛び去りました。 
最後に私がカメラをズームアウトしかけたら、オオスズメバチ♀とヒメスズメバチ♀が飛来しました。 
1/5倍速のスローモーションでリプレイ。(@4:06〜) 

他にはハエも樹液に来ていたものの、私には種類が見分けられません。 
ハエはいつでも素早く飛んで逃げられる自信があるのか、強い昆虫に混じって大胆に吸汁しています。

2021/12/12

マルハナバチに擬態したカオグロオオモモブトハナアブ♀の化粧行動

 

2021年9月中旬・午後15:55頃・くもり 

雑木林に囲まれた細い山道の横でマルハナバチにそっくりなハナアブを見つけました。 
残念ながら顔を正面から拝めなかったのですが、どうやらカオグロオオモモブトハナアブMatsumyia nigrofacies)のようです。 
おそらくトラマルハナバチ♀(Bombus diversus diversus)にベイツ型擬態していると予想されます。 
葉の上に乗って念入りに身繕いしています。 
後脚で腹背や翅を擦る合間に、左右の後脚を擦り合わせています。 
前脚で顔を拭ったり、左右の前脚を互いに擦り合わせたりしています。 
このとき口吻で前脚を舐め湿らせていました。 

化粧が一段落して飛び立ったと思いきや、すぐにまた近くの草の葉(林床の下草)に止まり直しました。 
複眼の形状から♀と判明。

薄暗い林床で撮ったので、ピントが甘いです。

ツリフネソウの花に集まり小競り合いを繰り返すブチヒゲクロカスミカメ(求愛行動?)

 

2021年9月上旬・午後16:20頃・くもり 

山道の横に咲いたツリフネソウの群落で見慣れない謎の昆虫がひとつの花に集まって何やら争っていました。 
薄暗い条件で撮影していると、触角が長いのでてっきりカミキリムシの仲間かゴキブリなのかと思いました。 
帰ってから調べてみると、どうやらブチヒゲクロカスミカメAdelphocoris triannulatus)のようです。 
本種の性別を外見で見分ける方法を私は知らないので、行動の解釈に困ってしまいます。 
どなたかご存知の方は是非教えて下さい。
首元が赤い個体が♀? 
横から見た腹部の厚みは、首元の赤い個体(♀?)の方が太い気がします。 

ネット検索しても、ブチヒゲクロカスミカメの配偶行動に関する情報は得られませんでした。
よく分かっていない(誰も調べていない)のでしょう。
カメムシの中には♂が食草上で多数の♀を囲い、このハーレムをライバル♂から防衛する種類が知られています。 
しかし、今回ツリフネソウで吸蜜・吸汁している個体はいませんでした。 
ブチヒゲクロカスミカメが吸汁する食草として、キク科、イネ科、マメ科などが知られています。(図鑑『札幌の昆虫』p74より) 
ダイズやアズキなど農作物の害虫としても知られているそうです。(野澤雅美『おもしろ生態と上手なつきあい方:カメムシ』p65より) 
なお、南九州大学の昆虫生態学研究室によって、ブチヒゲクロカスミカメは動物も植物も摂食するタイプの食性(zoophytophagy)と判明したそうです。 
つまり、ツリフネソウ科ツリフネソウはブチヒゲクロカスミカメにとって餌資源でも産卵基質でもありません。 
食草以外の花に♂が集まって求愛ディスプレイを繰り広げ、♀に選んでもらうレックなのかな?
繁殖期の雄が集合して集団で求愛誘示を行なったり,特定の位置を占めるために儀式的な闘争で争いあったりする場所,あるいは繁殖システム.レックにやってきた雌は,例えばウォーターバックのように特定の位置(中央部)にいる雄と交尾する場合と,エリマキシギのように好ましい形質をもつ雄を選んで交尾する場合とがある.レックには繁殖に役立つ資源は何もなく,雌は別の場所で出産・産卵する.魚類でも雄が集合的に営巣して求愛誇示を行なっている場合にレック様システム(lek-like system)とよぶことがある. (『岩波生物学辞典・第4版』より引用)
しかし求愛誇示らしき行動は見られませんでした。 
カメムシの場合は性フェロモンの放出が求愛誇示に相当するのでしょうか?
個体間の小競り合いもよく見ると、相手をツリフネソウの花から完全に追い払うほどの激しい闘争行動ではありませんでした。 
同じ花上で互いに少し離れたり陰に隠れたりするだけで休戦状態になります。 
小競り合いの後に2匹が横に並んで静止することもありました。 

撮影中は気づかなかったのですが、ツリフネソウの花の右上の包葉?にもう1匹居ました。 
♀が♂同士の喧嘩を見守ってるのかな?と想像したものの、性別不明です。 

ブーンという低い羽音♪を立てて新たに別個体が飛来しました。 
同種のカメムシが続々と集まるということは、集合フェロモンを発しているのでしょう。 
しかし私の鼻では何も匂いを感じませんでした。 
この程度の風では集合フェロモンに影響ないようです。 
ところが新入りの個体は、すぐにまた飛び去ってしまいました。 

繰り返される小競り合いを1/5倍速のスローモーションでじっくり見直すと(@3:10〜)、どうやら♂が♀をしつこく追い回して背後からマウントしようとしていると分かりました。 
その度に背後から近づく相手を後脚で足蹴にして牽制・撃退しています。 
♀による交尾拒否なのか、それとも♂同士の誤認求愛なのか、私には分かりません。 
別れても何度も追い回して、嫌がる相手に繰り返しマウントを試みています。 

足蹴りと言えば、カメムシの中には♂同士の闘争用に棘付きの太い後脚をもつ種類がいます。 
しかしブチヒゲクロカスミカメの後脚は長いものの、太くもなく棘も生えていません。 

私が草むらに一歩踏み込んで接写しようとしたら、ブチヒゲクロカスミカメは警戒して動きを止めてしまいました(擬死モード?)。 
何かありあわせのビニール袋でもあれば採集したかったのですが、この日は何も採集容器を持ってませんでした。
 カスミカメムシの仲間は極めて動きが俊敏で、見つけてもすぐに葉裏に隠れるほか、ネットで捕まえてもすぐに飛び立つものも多く、体が小さく軟弱な割に素早い。(野澤雅美『おもしろ生態と上手なつきあい方:カメムシ』p63より引用)

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