2019/08/31

サクランボの熟果を食害するスズメ(野鳥)



2019年6月中旬

道端に植栽されたサクランボの木で赤く熟した果実が実っています。
この木にはなぜか鳥害対策のネットを被せられていないので野鳥の食べ放題になっていました。
スズメPasser montanus)の群れが居座って、熟果を啄んでいます。

路上から撮っている私を警戒して、スズメの群れは枝葉の陰に隠れるように採食しています。
ようやく表の枝に出てきてサクランボの熟した果肉を嘴でつついた個体は頬の黒斑が薄く、嘴の根元が黄色っぽいので幼鳥でした。
やはり私を警戒しているようで、すぐに飛び去ってしまい残念。

次に撮れた個体は頬の黒斑が濃い成鳥でした。
赤いサクランボに少し興味を示したものの、枝先に移動して頻りに鳴いています♪
スズメの頭部の羽毛が逆立つのはどんな意味があるのでしょう?

スズメの他にはムクドリも群れで来ていたのですが、私を警戒して常に枝葉の茂みに隠れていたので、サクランボの食害シーンを撮れませんでした。

※ 動画編集時に音声を正規化して音量を強制的に上げています。

スズメがサクランボの実を食べるシーンをなかなか撮れなかったということは、サクランボの木の枝葉に付いた虫を主に捕食しているのではないか?と思われる方もいるかもしれません。
確かにそれもあると思うのですが、熟したサクランボの果肉がスズメは大好きだということが分かる決定的な映像も続けて撮れました。

つづく→路上に落ちたサクランボの果肉をついばむスズメ(野鳥)

スズメ(野鳥)@サクランボ樹上+熟果

サクランボ熟果@樹上
サクランボ熟果@樹上
サクランボ熟果@樹上・全景

ちなみに、周囲のサクランボ農家では、果樹園全体を鳥害対策のネット(防鳥網)で厳重に覆っていました。

サクランボ果樹園:ハウス栽培(鳥害対策ネット)・全景

サクランボ果樹園:ハウス栽培(鳥害対策ネット)・全景
サクランボ果樹園:ハウス栽培(鳥害対策ネット)

サクランボ果樹園:ハウス栽培(鳥害対策ネット)


水田で行水するハシボソガラス(野鳥)



2019年6月中旬・午後16:15頃

田植えが済んだ後の水田の片隅でハシボソガラスCorvus corone)がバシャバシャと水浴びをしていました。
背後に黒いビニールシートが置いてある(捨てられている?)ために、保護色になってよく見えないのが残念です。
ヒトに見つからないよう意図してここで水浴してるのだとしたら、賢いカラスですね。
畦道に登ると、身震いして濡れた羽根の水気を切りました。
畦道をしばらく歩いてから、ようやく立ち止まって羽繕い。
水浴した直後に羽繕いをしなかったのは、私にじっと見られていて気まずかったのかな?

同じ田んぼの少し離れた場所で、もう1羽のハシボソガラスも行水していました。
水田で水浴したカラスが外の畦に出てきて身震いしました。
畦道をピョンピョンと小走りで助走をつけると飛び立ちました。
低空で水田を横切り、右旋回して民家の陰に消えました。

梅雨の晴れ間で暑い日でした。
黒い羽毛に身を包んだカラスもよほど暑かったのでしょう。
気温を測るべきでしたね。
水田での「カラスの行水」は初めて見ました。

中村眞樹子『なんでそうなの 札幌のカラス』によると、

水浴びの目的は、もちろん体を清潔に保つことですが、夏には体を冷やす目的もあります。カラスは水鳥と違って泳げないので、お腹が水につくくらいの水位が限界で、一気に飛び込むこともしません。



ハシボソガラスa(野鳥)@水田+水浴
ハシボソガラスb(野鳥)@水田+水浴後

電波塔のてっぺんで夕方に鳴く♪チゴハヤブサ?(野鳥)



2019年6月中旬・午後18:33(日の入り時刻は19:02)

夕方の帰り道で、遠くからキィキィキィ♪という聞き覚えのある甲高い鳴き声がかすかに聞こえました。
引き返して鳴き声の方へ向かうと、郊外にそびえ立つ携帯電話(ソフトバンク社)の電波塔の天辺に1羽の猛禽類が止まって鳴いていました。
夕焼け空を背景に浮かび上がる電波塔と猛禽類のシルエットが綺麗でした。
これはチゴハヤブサFalco subbuteo)ですかね?
(チョウゲンボウの可能性もありそうです。)

欲を出した私がもう少し近づいて撮ろうとしたら、警戒したチゴハヤブサ?は飛んで逃げてしまいました。
残念!
営巣地を突き止めたくて探し歩いているのですが、行動圏について情報が増えたと前向きに考えることにします。
現場は郊外の住宅地の端で、隣には田園地帯が広がっています。

それ以来、この電波塔の近くを通りかかる度にチェックするようにしているのですけど、猛禽類が止まっている姿はその後見れていません。


※ 今回は音声に関して少しトリッキーな編集しています。
まずは鳴き声だけでも録音しておこうと、止まり木をキョロキョロと探しながら録画しました。
ようやくチゴハヤブサ?を見つけて動画に撮ったときには、私が立っている道端の横が側溝でした。
用水路を流れる水の音で肝心の鳴き声がかき消されてしまいました。
私が更に近づいたら逃げられました。
という訳で、2番目の映像に1番目の音声を被せました。
動画編集時に音声を正規化して音量を強制的に上げています。
それでも通行人の話し声の方が大きくて、かなり集中して耳を澄まさないとキィキィキィ♪という甲高い鳴き声が聞き取れません。


チゴハヤブサ?(野鳥)@電波塔天辺♪

2019/08/30

キリンソウの花蜜を舐めるセスジナガハリバエ



2019年6月中旬

川沿いの民家の花壇に咲いたキリンソウの群落で見慣れない金色のハエが訪花していました。
腹背に走る黒い縦縞が目立ちます。
外見を蜂に似せたベーツ型擬態なのかな?(少なくとも私は一瞬、騙されました。)

花から花へ歩き回りながらかなり長時間、吸蜜していました。
花粉も一緒に舐めているのかもしれません。
ときどき飛び立つと、隣の群落へ移動して吸蜜を続けます。
横向きになると、口吻を伸縮する動きがよく分かります。
川沿いということもあって風が強く、最後は突風に吹き飛ばされるように飛んで居なくなりました。

撮影後に採集するつもりだったのに残念でした。
気を取り直してインターネットで調べてみると、ヤドリバエ科のセスジナガハリバエDexia flavipes)と判明しました。
甲虫のコフキコガネ属の幼虫に寄生して育つのだそうです。

ニクバエの一種およびクロヤマアリのワーカー♀もキリンソウに訪花していました。
黒いニクバエの一種は両脚を擦り合わせて身繕いしていましたが、蟻が近寄ったら素早く避けました。


セスジナガハリバエ:背面@キリンソウ訪花吸蜜
セスジナガハリバエ:背面@キリンソウ訪花吸蜜
セスジナガハリバエ:側面@キリンソウ訪花吸蜜

キリンソウ花・全景


便秘のカワウ(野鳥)



2019年6月上旬

川に架かる丸木橋のようなニセアカシア倒木に、この日は2羽のカワウPhalacrocorax carbo hanedae)が止まっていました。
お気に入りの止まり木で2羽は少し離れ、互いに逆方向を向いています。

上流を向いた左の個体が前屈みになり尾羽根を上げると、水面に少量の白い糞が落ちました。(@0:07)
その後も少しずつ脱糞を繰り返しています。
カワウの排便は普通もっと豪快で、このようにチビチビと排泄するシーンは見たことがありません。
便秘に苦しむ個体が息んでいるのでしょうか?
正面からでは排泄シーンが見え難いので、できれば横または背後から撮りたかったです。

その間、下流を向いた右の個体は羽繕いを始めました。

実は撮影中の私は、モジモジしている左の個体が今にも倒木から飛び立つのか?と思いつつ待ち構えていました。
撮影後に私が現場を離れるとすぐに、1羽が上流へ飛び去りました。
(どちらの個体が飛んだのか未確認)


カワウ2(野鳥)@川:倒木+便秘脱糞+羽繕い

2019/08/29

交差点の電柱から飛んでムクドリの集団塒に戻るノスリ(野鳥)



2019年6月上旬・午後19:20(日の入り時刻は午後19:00)


▼前回の記事
公園の街路樹に騒々しく♪塒入りしたムクドリの大群(野鳥)

公園外周の街路樹に塒入りしたムクドリSturnus cineraceus)の大群に私がしつこくカメラを向けていたら、樹上から大型の白っぽい猛禽類が飛んで逃げ、最寄りの交差点の電柱に止まりました。
こんな街なかの公園に大型の猛禽類が潜んでいたとは意外でした。
電柱の天辺の水平な支柱に止まって辺りを睥睨しています。
交通量の多い大通りの喧騒にも負けない音量で、ムクドリの大群が集団塒で鳴き交わす声が喧しく聞こえます。

しばらくすると、意を決したように電柱から飛び立ちました。

力強く羽ばたいてから水平に滑翔し、公園の街路樹に再び飛び込んで姿を消しました。
飛翔シーンを1/5倍速のスローモーションでリプレイしてみると、猛禽類の正体は翼下面の斑紋からノスリButeo japonicus)と判明。

もしかすると、今季に私が定点観察しているノスリの親鳥♀♂のどちらかでしょうか?
ただし、左の翼の風切羽は抜けていませんでした。
現場はノスリの営巣地から地図上の直線距離で数キロしか離れておらず、ノスリならひとっ飛びで来れるでしょう。
行動圏内でも不思議ではありません。
(距離を明記すると名探偵が作図と推理でノスリの営巣地をピンポイントで突き止めてしまいそうなので、猛禽類保全のために距離をぼやかします。)
もちろん、全く別個体のノスリである可能性もあります。

この公園に毎晩塒入りするムクドリの大群を狩ろうとノスリが待ち伏せしているのでしょうか?
しかしハヤブサや森林性のタカならともかく、飛び回るムクドリをノスリが器用に狩るのは難しい気がします。
それともノスリは毎晩、この公園の街路樹にムクドリと一緒に塒入りしているのでしょうか?
ムクドリの大群がノスリに対してモビング(擬攻撃)している様子がなかったのが、興味深く思いました。

小さな公園でも多くの木々が植栽してあるだけで野鳥にとっては、街なかの緑地として非常に貴重であることが実感できました。


つづく→後日にムクドリ大群の塒入りを再調査

ノスリ(野鳥)@晩:電柱




↑【おまけの動画】
塒入り前にローマ上空を群飛するホシムクドリの大群を襲うハヤブサ。
私が見ている公園でも、果たしてこのようなシーンが毎夕繰り広げられているのでしょうか?



道端の側溝内で虫を捕るスズメ(野鳥)



2019年6月中旬・午後18:07

ここ雪国では道端の水路は冬になると除雪した雪を捨てる融雪溝として使われます。
流れる水深が浅くても歩行者や自転車がうっかり落ちると危ないので、普段は鉄格子で蓋をしています。

夕方に1羽のスズメPasser montanus)成鳥が側溝の鉄格子に止まっていました。
側溝内に何度も飛び降り、すぐに出て来ます。
夕方になると水路の周りを蚊柱のように盛んに飛び回るようになる微小なユスリカなどを捕食しに来たのでしょう。
初めスズメは嘴に何も咥えていなかったのに、側溝に出入りした後は小さな虫を咥えています。
街なかの害虫駆除にスズメは一役買っているのです。
最後はこちらに向かって飛んで来て、住宅地に姿を消しました。
スズメが飛び立つ瞬間を1/5倍速のスローモーションでリプレイ。
捕らえた虫をその場では食べず、嘴に貯め込んでいたので、巣で待つ雛に給餌するための採餌活動であることが分かりました。

スズメが出入りしていた水路の中を覗いて見ると、浅いものの結構速い流れでした。
スズメは水面に触れないようホバリングしながら虫をフライングキャッチしているのですかね?


▼関連記事
道端の側溝内で虫を捕るハクセキレイ♂(野鳥)



スズメ(野鳥)@側溝内外+捕虫
側溝・全景
側溝・全景

2019/08/28

ハシボソガラスにモビングされて逃げるノスリの親鳥(野鳥)




ノスリ(野鳥)営巣地での観察記録#7



▼前回の記事
ノスリの雛が孵化した!(野鳥)

2019年5月下旬

6日ぶりの定点観察。
ノスリButeo japonicus)の営巣地の上空で必死に羽ばたいて逃げる猛禽類をハシボソガラスCorvus corone)が嗄れ声で鳴きながら追いかけていました。
1対1のモビング(擬攻撃)です。

1/5倍速のスローモーションでリプレイしてみると、情けなく逃げる猛禽類はノスリでした。
左の翼の風切羽が1枚欠損しています。
いつから抜け落ちているのか分かりませんが、カラスと喧嘩中に羽を引き抜かれたのでしょうか?
この分かりやすい特徴は、今後の個体識別で役立ちます。
私には性別が見分けられないのが残念です。
それから、欠けている羽は正確には初列風切なのか次列風切なのか、どなたか教えてもらえると助かります。

ハシボソガラスの方がノスリより速く飛んで猛追しています。
背後からカラスに追いつかれそうになると、ノスリは襲われる寸前に急上昇してカラスの攻撃をかわしました。
自分の巣がある縄張り空域のはずなのに、ノスリ親鳥は川の下流の方へ追い払われてしまいました。
その間、逃げるノスリの鳴き声は聞き取れませんでした。(鳴いていないと思う)
カラスもあまりしつこく追撃せずに、あっさり自分の縄張りに引き返しました。
この川の流域ではハシボソガラスやハシブトガラスの♀♂ペアが何組もニセアカシアやオニグルミの樹上に営巣しています。
この連載記事の#1でもノスリの親鳥(おそらく♂)がハシボソガラスにモビングされていました。



ノスリ親鳥:左翼風切羽欠損(野鳥)vsハシボソガラス@モビング飛翔
ノスリ親鳥:左翼風切羽欠損(野鳥)@飛翔  (逆光のため自動色調補正して翼の下面を見やすく加工)



ちなみに、この日はノスリの巣の様子を撮っても親鳥は不在のようで、雛の姿も見えませんでした。
「巣内に動きが見られなかった」という映像記録を見せられても視聴者にはつまらないでしょうから、ブログ限定で公開します。
巣の周りの木々の葉がどんどん茂り、ノスリの巣がますます隠されていきます。

巣を隠しつつある丸い木の葉の樹種は何ですかね?(蔓植物?)

カラスに連日執拗にモビングされたら、ノスリの親鳥は育雛を放棄してしまうのでしょうか?

カラスがノスリの巣を襲って幼い雛を殺したり捕食したりすることも、あり得ないことではありません。

つづく→#8:ノスリの巣:夜明け前後の様子(野鳥)


ノスリ(野鳥)巣@柳樹上
ノスリ(野鳥)巣@柳樹上

公園の街路樹に騒々しく♪塒入りしたムクドリの大群(野鳥)



2019年6月上旬・午後19:14〜19:47(日の入り時刻は午後19:00)

日没後、街なかの某交差点に通りかかると、公園の上空をムクドリSturnus cineraceus)の大群が飛び回っていました。
あまり大きくない公園の外周に植栽された複数の街路樹(常緑針葉樹および落葉広葉樹)にムクドリの集団塒があるようで、騒々しく鳴きながら分散して樹冠へ飛び込んでいました。
どうやらクライマックスの集団就塒(塒入り)が終わった直後らしく、ムクドリの群れは未だ落ち着き無く枝から枝へ飛び回っている状態です。
現場は交通量の多い交差点の近くなのですが、ムクドリ大群の発する凄まじい鳴き声が大音量で辺りに響き渡っていました。

こんな早い時期(6月上旬)にムクドリの集団就塒を見るのは初めてです。
もう繁殖期(育雛)が終わったのでしょうか?
それとも繁殖に参加しなかった若鳥の群れなのかな?


▼関連記事(まとめ)
ムクドリ(野鳥)の集団就塒:2016年
ムクドリ(野鳥)の集団ねぐら(塒):2017年

実はこの公園のケヤキ樹上に毎年ハシボソガラスが営巣しているのですが、暗くて確認できませんでした。

▼関連記事
ケヤキ樹上の巣で雛に給餌するハシボソガラス(野鳥)


公園にアナログ時計が設置されていたので、記録のため映像に写し込んだのですが、正しい時刻より10分も進んでいました。

25分後に現場を再訪すると、公園の周囲は真っ暗になっていました。
樹上のムクドリはだいぶ寝静まっていました。
少数のムクドリが単発的に鳴いているのは寝言かな?
撮影を打ち切ってしばらくすると、小雨が降り出しました。



※ 日没後の薄暗い映像に対して動画編集時に彩度を上げています。
真っ暗なラストシーンのみ音声を正規化して音量を強制的に上げています。

ムクドリが塒入りした樹種については、日を改めて明るい昼間に調査しました。


つづく→ムクドリの塒に猛禽類(ノスリ)の登場!


ムクドリ(野鳥)大群@集団就塒:公園街路樹

2019/08/27

巣箱の雛に餌を与え糞を始末するハシブトガラスの親鳥(野鳥)



送電塔#KN7に営巣したハシブトガラスの観察記録#14



▼前回の記事
救急車のサイレンに対する育雛中のハシブトガラス親鳥♀♂の反応(野鳥)

2019年6月上旬

騒々しい救急車の出動がようやく一段落し、ハシブトガラスCorvus macrorhynchos)の営巣地は静けさを取り戻しました。

帰巣した親鳥が巣箱の横の鉄骨に止まって辺りを警戒しています。
喉袋が膨らんでいるので、何か餌を持ち帰ったのでしょう。
すると案の定、親鳥はピョンと巣箱に入り、餌乞いする雛に給餌しました。
食後の雛が排泄した糞を親鳥が嘴で啄んでいます。
このアングルではよく見えないのですが、食糞したのでしょうか。
出巣した親鳥の喉袋は膨らんでいないと思うのですが、ゼラチン質で包まれた雛の糞を外に捨てに行った(排糞行動)のかもしれません。

ハシブトガラスの親鳥が雛の糞を捨てる決定的瞬間を私は未だ動画に撮れていません。

カメラを三脚に固定していると、親鳥が出巣した後の行動を咄嗟に追えないのです。
ちなみに、送電塔で巣箱を使わずに営巣した過去のハシボソガラスは、巣から少し離れた高圧線や電線に止まって雛の糞を吐き出し捨てていました。

▼関連記事
雛の糞を巣の外へ捨てに行くハシボソガラス(野鳥)

つづく→#15:巣箱がある送電塔から見張り緊急発進するハシブトガラス親鳥(野鳥)


ウスバキトンボ♂を捕食し円網を取り壊すアカオニグモ亜成体♀(蜘蛛)



2016年9月中旬・午後17:01〜17:22・曇りのち小雨

湿地帯の近くの道端にアカオニグモ♀b(Araneus pinguis)の垂直円網を見つけました。
セイタカアワダチソウの先端に近い葉を糸で綴った隠れ家に腹部の黄色い亜成体♀bが潜んでいます。
そのセイタカアワダチソウおよび隣に生えたアメリカセンダングサの茎を外枠の支柱として、直径約20cmの小ぶりな垂直円網がきれいに張られていました。
地上から網のこしきまでの高さは約120cm。
交接の機会を待つアカオニグモ♂の姿は近くに見当たりませんでした。
網の左下が一部破損しているので、この日は既に何か獲物がかかった後のようです。
別個体♀aが張った網のすぐ近くですが、2匹が張った円網の向きは異なっていました。

近くで捕獲したウスバキトンボ♂(Pantala flavescens)を円網の右下部分に給餌してやると、暴れるトンボの振動に反応して隠れ家からアカオニグモ♀がすぐに出て来ました。
駆け付けたクモは暴れるウスバキトンボの胸背に噛みついて毒液を注入します。
噛まれたトンボはすぐにおとなしくなった…と思いきや、再び激しく暴れました。
捕帯の糸を大量に使って強引にラッピングを始めました。
トンボの周囲の糸を切りながら、自分がトンボの周りを回って捕帯を掛けています。
(もっと成長したクモなら、歩脚で獲物をクルクルと回しながらその場で捕帯を掛けるはずです。)

獲物を網に残したまま、隠れ家に一旦戻りました。
このときラッピングした獲物から糸を引いて行き、引き糸の端を隠れ家の付近に固定したようです。
隠れ家でアカオニグモ♀は身繕いして、しばし休憩。
毒液がトンボの体内に回るのを待っているのでしょう。
再び隠れ家から出て、網に残したラッピング済の獲物を取りに戻りました。
この頃から小雨が降り始め、円網に水滴が付くようになりました。
私は小さなビニール袋をカメラの上に広げて、濡れないようにガードしました。

ようやく網からトンボの包みを切り外すと、吊り下げた状態で捕帯でしっかりラッピングします。
トンボの翅や長い腹部も丸め込まれて全体がコンパクトになり、小型のアカオニグモ♀は歩脚で獲物をくるくる回しながらその場でラッピングできるようになりました。
(風が吹いて回っただけ?)

ラッピングが完成すると、右の第4脚の先に獲物をぶら下げて、ようやく隠れ家に持ち帰りました。
このラッピング作業により、円網のこしきも含めてほぼ全体が壊れてしまいました。
隠れ家に落ち着いたアカオニグモ♀は身繕いしてから獲物を引き上げ、捕食開始。

撮影機材や荷物が雨に濡れないように私が慌てて撤収していたら、アカオニグモ亜成体♀bが食事を中断して隠れ家から出て来ました。
獲物は隠れ家に吊るしたまま、円網を自分で取り壊し始めました。
網が雨で濡れてしまうと横糸の粘着力も落ちるので、獲物を捕らえる罠として使い物にならなくなります。
もう十分な獲物が獲れたので、店仕舞いするのでしょう。
円網を張ったままにしておくと、夕立や嵐などの悪天候で枠糸なども破損してしまう恐れがあるのでしょう。
クモは賢いですね。
破網しながら白っぽい液状便を2滴、排泄したようですが、残念ながらピンぼけです。
しまいかけたカメラを慌てて取り出して動画で記録したものの、薄暗くなってきたのでカメラのAFが合焦しにくく、撮影に苦労しました。
破網後はセイタカアワダチソウとアメリカセンダングサの支柱を水平に結ぶ太い枠糸だけが残されていました。
アカオニグモ亜成体♀は隠れ家に戻って食事を再開しました。


アカオニグモ亜成体♀b(蜘蛛)@隠れ家:セイタカアワダチソウ葉裏
アカオニグモ亜成体♀b(蜘蛛)@隠れ家:セイタカアワダチソウ葉裏・全景
アカオニグモ亜成体♀b(蜘蛛)@隠れ家:セイタカアワダチソウ葉裏+ウスバキトンボ♂捕食
アカオニグモ亜成体♀b(蜘蛛)@隠れ家:セイタカアワダチソウ葉裏+ウスバキトンボ♂捕食・全景

ウスバキトンボ♂:胸部側面@捕獲
ウスバキトンボ♂:翅の縁紋@捕獲
ウスバキトンボ♂:顔@捕獲
ウスバキトンボ♂:腹端@捕獲

2019/08/26

ノスリの雛が孵化した!(野鳥)



ノスリ(野鳥)営巣地での観察記録#6


2019年5月中旬

9日ぶりの定点観察。
昼前と夕方の2回、撮影しました。
営巣木の周囲の枝葉が茂り、巣が隠されつつあります。
在巣のノスリButeo japonicus)親鳥は抱卵期より姿勢が高く、立っているのかと思いました。

やがて、親鳥の左下で白い幼綿羽ようめんうの雛鳥が動きました!(@0:30)
雛が卵から無事に孵化していたことが分かり、一安心。
白いぬいぐるみのような雛は、少なくとも2羽見えます。
猛禽類の雛を初めて観察できて、感動しました。
親鳥(おそらく♀)の行動も抱卵から抱雛に変わっていたので、姿勢が高く見えたのでしょう。

雛に付き添う親鳥が頻りに顔を左右に振っているのは、顔にたかるハエを払っているのでしょう。
辺りをキョロキョロ見回して警戒を怠りません。
猛禽類は肉食性ですから、食べ残しや糞で巣内が不衛生になりがちです。
そのため猛禽類の巣には巣材の他に、殺菌・防腐効果が高いとされる針葉樹などの青葉の付いた枝葉がしばしば産座に持ち込まれるらしいのですが、このアングルではよく見えません。

ところで、営巣木の柳に丸みを帯びた大きな葉が付いているように見えるのは、どういうことでしょう?
柳の幹に蔓植物が巻き付いているのだと思うのですが、なんとなくツルウメモドキとかサルトリイバラですかね?
営巣木の両隣にある木は、葉の特徴からニセアカシアと確定しました。

ちなみに、画面を次々に横切る白い物体は、綿毛の付いた柳の種子で柳絮りゅうじょと呼ばれます。
この時期に河畔林の柳から種子が風散布されるのです。

つづき→#7:ハシボソガラスにモビングされて逃げるノスリの親鳥(野鳥)


ノスリ♀(野鳥)@巣:柳樹上+抱雛
ノスリ(野鳥)巣@柳樹上・全景

草刈り中の土手に来たハクセキレイ♀の謎(野鳥)



2019年6月上旬

川沿いの土手で数人の作業員が草刈り機を使った除草作業をしていました。
そのうるさいエンジン音をものともせず、川岸に居たハクセキレイ♀(Motacilla alba lugens)が草刈り直後の土手に向かって小走りで移動しました。
草刈りでバッタなどの虫が次々に飛び出してくるのを期待して捕食に来たのだとしたら、一種のオートライシズムと言えるでしょう。


▼関連記事
耕運機を利用して虫を捕食するムクドリの群れ:オートライシズム(野鳥)

しかし残念ながら捕食シーンは撮れませんでした。
もう一つ別な解釈は、土手の草むらに巣があったのに草刈りされてしまって呆然としている親鳥♀かもしれません。
私はハクセキレイの巣を未だ見つけたことはありませんが、こういう場所には営巣しない気がします。


ハクセキレイ♀(野鳥)@探餌徘徊:土手(草刈り直後)

2019/08/25

救急車のサイレンに対する育雛中のハシブトガラス親鳥♀♂の反応(野鳥)




送電塔#KN7に営巣したハシブトガラスの観察記録#13



▼前回の記事
送電塔の巣箱で育雛する共働きのハシブトガラス親鳥♀♂【10倍速映像】(野鳥)

2019年6月上旬

ピーポーピーポー♪という救急車のサイレンを聞くと、多くの飼い犬は呼応するようにワォーン♪と遠吠えを始めます。
カラスはどう反応するのでしょう?

採餌後に帰巣したハシブトガラスCorvus macrorhynchos)親鳥が雛に給餌する前に、送電塔の下の大通りを救急車がサイレン♪を鳴らしながら何台も通過しました。
もう1羽の親鳥も続けて帰巣しました。
♀♂つがいが鉄骨に並んで、大通りを不安げに見下ろしています。
何か不穏な緊急事態が起きたことがカラスにも理解できるのでしょうか?
それでも雛に口移しで給餌したようです。
親鳥が2羽同時に巣に入って雛鳥に長いこと付き添っているということは、やはり救急車のサイレンを警戒しているのかもしれません。
サイレンの騒音に堪りかねたように1羽の親鳥が巣箱から横の鉄骨に跳び移り、大通りを見下ろしながらカーカー♪鳴き始めました。(@1:47)
そのまま鳴きながら右へ飛び去りました。
続けてもう1羽の親鳥は左へ出巣し、雛鳥だけで留守番することになりました。(@2:05)

18分後。
左から鉄塔に飛来した親鳥が巣箱に入らず、鉄骨から下の大通りを見下ろしています。
遠くから再び走って来る救急車のサイレンが次第に大きく聞こえるようになりました。
やはりこのサイレンの音を聞くと親鳥は不安(心配)になって、雛を守るために帰巣したのでしょう。
交差点に近づいた救急車が他の車輌に注意を促すために「救急車が通ります。ご注意下さい」というアナウンスも流し始めました。
あまりの騒音に堪りかねたように、鉄骨から見ているハシブトガラスもカーカー♪鳴き始めました。

「サイレンがうるさいぞ!」と抗議しているのかもしれません。
鳴き声を発する度に尾羽根が上下にピコピコ動きます。
巣箱の中の雛も身動きしているのが見えました。
ハシブトガラスの親子ともにストレスを感じていることは間違いないでしょう。
救急車が通り過ぎると、ドップラー効果でサイレンの音程が下がるので分かります。
サイレンが小さくなった後も再び親鳥が鉄骨から断続的にカーカー♪鳴きました。
ヒヨドリの群れもどこか近くで鳴き騒いでいるようです。

一難去ってまた一難。
しばらくすると、なんと更にもう一台の救急車がサイレンを大音量で鳴らしながらやって来ました。
今度はピーポーピーポー♪という救急車のサイレンだけでなく、ウーーーーー♪と鳴らすパトカーのサイレンも聞こえます。
全ての緊急車両が鉄塔の横を通り過ぎる前に、親鳥は鳴きながら右へ飛び去ってしまいました。

それにしても、こんな平和なド田舎で救急車が何台も続けて走るのは珍しいことです。
一体何事でしょう?
実は私が撮影地点に向かっている途中で、猛スピードで橋を渡る逃走車と追跡するパトカーを目撃しました。
しばらくすると救急車がサイレンを鳴らしながら続々と通るようになったので、無理なカーチェイスで多重衝突の交通事故でも起きたのかと想像しました。(無関係かもしれず、真相は藪の中。)


つづく→#14:巣箱の雛に餌を与え糞を始末するハシブトガラスの親鳥(野鳥)




ヨシの葉から飛び立つキタテハ【HD動画&ハイスピード動画】



2019年6月上旬

水路沿いの草むらでキタテハPolygonia c-aureum)がヨシの葉に止まって翅を休めていました。
翅をしっかり閉じているので、翅裏の「,」模様がよく見えます。

飛び立つ瞬間を240-fpsのハイスピード動画で撮ってみました。(@0:14〜)
飛んでもすぐに近くの別の葉に止まり直しました。
縄張りがあるのでしょうか?


キタテハ:翅裏@ヨシ葉
キタテハ:顔@ヨシ葉



キンキン声で鳴くホオジロ♂の地鳴き♪を声紋解析してみる(野鳥)



2019年6月上旬・午後17:30

私が川沿いの草むらにブラインドを張って潜んでいたら、夕方にホオジロ♂(Emberiza cioide)が柳の灌木の細い横枝に止まり、奇妙な声で鳴き始めました。
キン、キン♪と2声ずつに区切り(たまに3声)、非常に高音で鳴き続けています。
ホオジロのこんな鳴き方は初めて聴いたので、新鮮な驚きがありました。
鉄琴を叩く音を連想しました。
嘴の動きと鳴き声が一致するので(リップシンクロ)、この個体の鳴き声で間違いありません。
囀りさえずりではなく地鳴きだと思いますが、私に対する警戒声なのでしょうか?
風で揺れる柳の枝でこちらを向いて止まり、鳴き続けています。

周囲でヒヨドリが鳴いても、ホオジロ♂は構わずにマイペースで鳴き続けています。
後半にカッコウの鳴き声が聞こえた途端に、心なしかホオジロ♂が神経質になり警戒する素振りを見せました。
ホオジロにとってカッコウは巣に托卵してくる憎き天敵だからですかね?

最後は柳の幼木から飛び去りました。

※ 動画編集時に音声を正規化して音量を強制的に上げています。
画面の右奥を流れる川の水音などノイズも大きくなってしまうのは仕方がありません。




ホオジロ♂の地鳴きを声紋解析してみる

オリジナルの動画ファイルから音声をWAVファイルに抽出してから、ホオジロ♂だけが鳴いている部分を切り出し、スペクトログラムを描いてみました。
9kHz付近に強い声紋が得られました。



ちなみに8分後には同一個体と思われるホオジロ♂が近くの立ち枯れしたニセアカシアの木に止まり、「一筆啓上仕候♪」と聞き馴染みのある鳴き方でさえずっていました。(映像なし)



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