2021/11/13

風媒花アカソの花粉が飛散する様子【HD動画&ハイスピード動画】

 

2021年8月下旬・午前9:30頃・晴れ 

山道の横の法面(斜面)に生えたアカソの大群落のあちこちから白い煙が立ち昇っていました。 
イラクサ科アカソの花穂は地味な風媒花です。 
雌雄同株で、穂状の雄花は茎の下方に付き、雌花は茎の上方に付いています。 
雌花が雄花よりも上にあるのは、自家受粉を少しでも減らすための工夫だと思われます。
朝露で濡れた花穂が朝日を浴びて乾くと、雄花から白い花粉が大量に放出され、風に漂うのです。 
風媒は文字通り「風任せ」で効率が悪いので、莫大な量の花粉を生産し無駄に飛ばさないと雌花は授粉できません。 
その代わり、虫や鳥などの送粉者を誘引するために花蜜や香りを生産する必要はありません。
花粉症の人は映像を見ているだけでくしゃみが出そうになるかもしれません。 

次にどの花穂から花粉が吹き出すのか予測できないので、花穂を揺すって強制的に花粉を飛散させてみました。(@2:07) 
ただし、揺らしても花粉が飛ばない花穂もありました(映像は省略)。 
未だ雄花の準備ができてないのか、充分に乾燥していないのでしょう。 (あるいは既に花粉を放出し尽くした雄花なのかもしれません。)

次に、花粉が雄花から吹き出す様子を240-fpsのハイスピード動画でも撮ってみました。(@2:33〜) 
不定期で予測できませんから、適当に狙いを定めた花穂を辛抱強く長撮りするしかありません。 
風で雄花から花粉が受動的にこぼれ落ちるのではなく、自然に何かが弾けるように花粉が勢い良く飛び出しています。 
乾燥した葯が破裂しているのですかね? 
拡散する花粉の動きで微風(空気の乱流)も可視化されて、なかなか見応えのあるスローモーションになります。

渓流沿いの崖で採土するオオハキリバチ♀

 

2021年8月下旬・午前9:00頃・晴れ 

渓流沿いの山道の横の崖にオオハキリバチ♀(Megachile sculpturalis)を見つけました。 
地面を掘って巣材を集めているようです。 
私がズームインしたらすぐに飛び立ち、渓流の上を飛び去りました。 
残念ながら営巣地を突き止めることが出来ませんでした。 

短い出会いを1/5倍速のスローモーションでリプレイ。 
蜂も慌てていたのか(無頓着なのか)、土塊と一緒に長い枯れ草(細根?)も一緒に持ち去りました。 
採土シーンの動画を撮り直したくてその場にしばらく待機したのですが、オオハキリバチ♀は戻って来ませんでした。 

オオハキリバチ♀の営巣習性は借坑性です。 
育房間を仕切る巣材は主に樹脂なのですが、育房内に貯食、産卵を済ませ巣口を樹脂で塞ぎ終わった後に土や砂を塗りたくって偽装することが知られています。 
今回の♀個体はその最終段階だったのでしょう。

2021/11/12

有毒植物ホツツジの花蜜を吸うイチモンジセセリ

 

2021年8月下旬・午前11:15頃・晴れ 

山道の脇に咲いたホツツジの灌木でイチモンジセセリ♀♂(Parnara guttata)が訪花していました。 
この組み合わせも初見です。 
翅を半開きに開閉しながら吸蜜しています。 

撮影中は気づかなかったのですが、左奥の花に小さな尺取虫(シャクガ科の幼虫)が来ていました。 
ホツツジは有毒植物とされているのに、花弁や葉を食害するのでしょうか? 
やはりホツツジに含まれるグラヤノトキシンは昆虫に対しては毒性が弱いのではないか?という気がしてきます。

【追記】
英語版wikipediaの方にグラヤノトキシンの作用機序および中毒症状について詳しい解説が載っていて、私の疑問の多くが解決しました。
グラヤノトキシンは電位依存性ナトリウムチャンネルのアゴニストとのこと。
イカの巨大神経軸索(神経生理学の古典的な実験材料)を使って薬理学的な実験をしているので、脊椎動物だけでなく無脊椎動物のナトリウムチャンネルにも効き目はあるようです。
送粉者のマルハナバチ類はグラヤノトキシンに対して耐性があるのではないかと考えられているらしい。

Nearly all parts of grayanotoxin-producing rhododendrons contain the molecule, including the stem, leaves, flower, pollen and nectar. 

 

Nectar containing grayanotoxin can kill honeybees, though some seem to have resistance to it and can produce honey from the nectar (see below). According to a team of researchers from the UK and Ireland, worker bumblebees are not harmed and may be preferable as pollinators because they transfer more pollen. Consequently, it may be advantageous for plants to produce grayanotoxin in order to be pollinated by bumblebees.[13]

Mad honey intoxication
Bees that collect pollen and nectar from grayanotoxin-containing plants often produce honey that also contains grayanotoxins.[3][8] This so-called "mad honey" is the most common cause of grayanotoxin poisoning in humans.

ゴマの花で穿孔盗蜜するクロマルハナバチ♀【HD動画&ハイスピード動画】

 

2021年8月中旬・午後16:20頃・くもり 

ゴマ(胡麻)畑でクロマルハナバチBombus ignitus)のワーカー♀が何匹も忙しなく飛び回っていました。 
訪花シーンを注意深く観察すると、次から次へと白い花筒で毎回常に穿孔盗蜜していました。
花筒にまたがると、その根本に外側から口吻を突き刺して(噛み破って?)その穴から吸蜜するのです。 
蜂が飛び去った後の花筒には小さな穴(盗蜜痕)が残ります。(@3:05、3:15など)
花筒の入口から頭を突っ込んでも奥の蜜腺まで舌が届かないのでしょう。 
訪花を繰り返しても雄しべの葯に体が全く触れないので、後脚の花粉籠は空荷です。 
ゴマ農家にとって花から盗蜜するクロマルハナバチは害虫の扱いになります。 
しかし他の農作物では送粉している益虫ですし、簡単には決めつけられません。 

ちょっと面白いなと思ったのは、葉上の落花にクロマルハナバチ♀が誤ってしがみついたシーンです。 (@1:54)
蜂の重みで落花ごと落下しました。 
空中ですぐに体勢を立て直し、次の花へ向かいます。
落花にだまされかけてスルーしたのは(@1:31) 。

あまりにも忙しなく飛び回るので目が回りそうです。
盗蜜シーンおよび花から飛び立つ瞬間を240-fpsのハイスピード動画でも撮ってみました。(@3:37〜) 
複数個体を撮影。 
穿孔盗蜜の行動をスローモーションでじっくりご覧ください。 

クロマルハナバチ♀は二次盗蜜者であることの証拠映像も撮れました。 
ゴマ花筒の根本を大顎で食い破るのではなく、既に開いていた穴に黒い口吻を差し込んでいました。(@x:xx) 
ただし、1つの花筒で珍しく時間を掛けていたこともありました。 
身繕いなど休んでいただけかもしれませんが、このときが穿孔中だったのかもしれません。
肝心の口元がしっかり撮れず残念。 

茎の下部にはゴマの実がなっています。 
ゴマは茎の下から上へと順に花が咲いて実がつくようです。 
ゴマに正当訪花して授粉を助ける送粉者はミツバチでした。
関連記事(同日の撮影)▶ ゴマの花で採餌するセイヨウミツバチ♀
ところで、ゴマの葉腋にある黄色い点は何でしょう? 
まさか花外蜜腺? 
なんとなく、盗蜜のための蜜標になっているような気もしました。 


【追記】
小松貴『絶滅危惧の地味な虫たち (ちくま新書)』を読んで驚いたことの一つは、クロマルハナバチが環境省レッドリストの準絶滅危惧に指定されているという事実です。(p183)
山形県ではなんと、絶滅危惧種Ⅱ類(VU)に指定されていました。(公式のデータベースはこちら
私のフィールドでは平地を中心に平凡な普通種なのですが、恵まれた環境だと知りました。
ネオニコチノイド系の農薬(殺虫剤)の乱用が原因ではないかと個人的には疑っています。

2021/11/11

夜の山道で溜め糞に排便するホンドタヌキ【トレイルカメラ:暗視映像】

 

2021年8月下旬・午後19:11・気温15℃

里山の細い尾根道の真ん中にタヌキの溜め糞場cを見つけました。 
真横の茂みにトレイルカメラ(無人センサーカメラ)を仕掛けると、早速その日の晩にホンドタヌキNyctereutes viverrinus)が右からやって来ました。 
起動したトレイルカメラに気づいたようで、カメラ目線で凝視しています。 
風の匂いを嗅いでしばらく警戒しています。 
警戒を解くと、画面中央の溜め糞に近づいて匂いを嗅ぎました。 
再びカメラを少し気にしてから溜め糞を跨ぐとカメラにお尻を向け、軟便(下痢便)をダラダラと排泄しました。 
排泄中は糞で汚れないように尻尾を少し横にずらしています。 

私は未だタヌキの性別を見分けるのに慣れていないのですけど、股間に陰茎が見えないので♀ですかね? 
しかし腹部に乳首は見えませんでした。 

タヌキはイヌ科ですけど、脱糞後はイヌのように地面を足で引っ掻いたり糞に土を掛ける動作はしませんでした。 
そのまま左へ立ち去り、縄張りのパトロールを続けます。 
去り際に道端の灌木の葉の匂いを嗅ぎました。 

トレイルカメラを導入した目的の一つが、タヌキの溜め糞の監視でした。
カメラを設置したその日に念願の排泄シーンがバッチリ撮れてラッキーでした。 
山道で見つけた糞塊を「タヌキの溜め糞」だろうと予想したのが当たったのも嬉しいです。 
本で勉強した通りにフィールドサインを正しく読み解けた!というささやかな自信になります。 
気温の高い夏季は獣糞の生物分解が早く進行し、素人目には溜め糞の鮮度がよく分からなくなってしまいます。 
ようやく暑さが和らいだのか、新鮮な溜め糞を見つけることができました。 

以下の写真は昼間に撮影。 
本格的にタヌキの糞の内容物調査をして食性を推理するのも楽しそうですが、私にはとてもその余力がありません。 
昆虫の破片や植物の種子や、カケスGarrulus glandarius)の青い羽毛が糞に混じっていました。 
昼間この溜め糞に群がっていた様々な昆虫の活動については、記事を改めて報告します。(動画公開予定)
15cm定規を並べる
カケスの羽毛や昆虫の脚の破片などがタヌキの糞に含まれていた。


毛虫を運ぶムネアカオオアリ♀

 

2021年8月下旬・午前11:25頃・晴れ 

里山の尾根道でムネアカオオアリCamponotus obscuripes)のワーカー♀が毛虫を咥えて前進歩行していました。 
獲物を巣に運んでいるのです。 
道中であちこちに獲物が引っかかって運びにくそうです。 
最後は落枝の下に潜り込んだアリを、見失ってしまいました。 
尾根道の左右は雑木林です。 

毛虫は薄い黄緑で胸部だけが白く毛が疎らに生えていました。 
蛾の幼虫だと思うのですが、どなたか種類を見分けられる達人がいらっしゃいましたら教えて下さい。 
幼虫は既に死んでいるのか無抵抗でした。 
脱皮途中に襲われた可能性もありますかね?
   

2021/11/10

風媒花オオバコの花粉を舐めるホソヒラタアブ♀

 

2021年8月下旬・午前11:10頃・晴れ 

山道でまばらに生えたオオバコホソヒラタアブ♀(Episyrphus balteatus)が訪花していました。 
花穂に止まるときは羽ばたきを止めて翅を斜めに広げています。 
雄しべの葯の花粉を舐めていました。 
複眼の形状から♀と分かります。 
オオバコは風媒花なので、蜜腺は発達していないはずです。 
したがって、ホソヒラタアブ♀は花蜜が目当てなのではなく、花粉を食べにきたのでしょう。 
少しホバリングして花穂の回りを少し回ると、再び花穂に止まり直し、花粉を舐めます。
   

ハクチョウソウの花で吸蜜・集粉するニホンミツバチ♀【HD動画&ハイスピード動画】

 

2021年8月下旬・午前6:10頃・晴れ 

街なかの民家の玄関先でこじんまりした花壇に咲いたハクチョウソウ(=ヤマモモソウ、ガウラ)の群落にニホンミツバチApis cerana japonica)のワーカー♀が訪花していました。 
吸蜜時には羽ばたきを止めています。 
花蜜を吸い終わると一旦飛び立ち、花の手前でホバリングしながら雄しべの束にしがみついて集粉しています。 
このときは羽ばたきを止めないので、振動集粉になっているのかもしれません。 

花から飛び立つ瞬間を狙って240-fpsのハイスピード動画でも撮ってみました。(@0:41〜) 
次の花へ飛びながら空中で左右の脚を擦り合わせています。 
伸ばしたままの舌を前脚で拭うこともありました。 
体に付着した花粉を後脚の花粉籠にまとめているのです。 
その結果、後脚の花粉籠に橙色の花粉団子を満載しています。
関連記事(6年前の撮影)▶ ハクチョウソウの花で採餌するニホンミツバチ♀

2021/11/09

カラス混群の就塒前集合とペットボトルの争奪遊び(野鳥)

 

2021年8月中旬・午後18:10頃・くもり(日の入り時刻は午後18:38)
前回の記事:▶ アオサギ若鳥の尾羽を何度も引っ張って嫌がらせするカラス混群(野鳥)

ハシボソガラスCorvus corone)とハシブトガラスCorvus macrorhynchos)の混群が農道で就塒前集合しています。 
アオサギはいつの間にか居なくなっていました。 
カラスの執拗な嫌がらせに堪りかねて飛び去ったようです。 

農道のあちこちでカラスが色んなことをやらかすので、目移りしてしまいます。 
何か水色の物体を咥えた個体が右に飛んで逃げて行きます。 
1/5倍速のスローモーションでリプレイしてみると、拾った空のペットボトル?(ポカリスエットまたはアクエリアス?)を仲間に奪われまいと逃げているようです。 
その後をもう1羽が追いかけています。 
これは遊びの鬼ごっこに見えます。 

やがてカラスが次々と左に飛び去り始めました。 
日も暮れ始め、集団塒に向かって塒入りが始まったようです。 
農道からだけでなく、水路横のコンクリート壁の上からも飛び立ちます。 
しばらくすると、空きボトルを咥えた個体が戻って来て、仲間と一緒に左へ飛び去りました。
そしてカラスの混群は農道から1羽残らず居なくなり、就塒前集合は自然消滅しました。 
集団塒の位置は突き止められませんでした。
   

オトコエシの花蜜を吸うハラアカヤドリハキリバチ【HD動画&ハイスピード動画】

 

2021年8月中旬・午後16:35頃・くもり 

山麓の林縁に咲いたオトコエシの群落でハラアカヤドリハキリバチ(旧名ハラアカハキリバチヤドリ)Euaspis basalis)が忙しなく訪花していました。 
この組み合わせは初見です。 
オトコエシの白い花序に止まって吸蜜する際に、羽ばたきを止めても翅を斜めに立てたままです。 

顔正面を向けたときに頭楯に白い部分があるので雄蜂♂かと思ったのですが、本種の場合はそうとも言い切れないようです。(『日本産ハナバチ図鑑』p286) 
ハラアカヤドリハキリバチは労働寄生種ですから、たとえ♀であっても腹部下面に花粉を集めるためのスコパ(刷毛)がありません。 
したがってスコパの有無で性別判定することもできないのです。

花から飛び立つ瞬間を狙って240-fpsのハイスピード動画でも撮ってみました。(@2:25〜)

2021/11/08

クリの灌木で鳴くエゾゼミ♂を声紋解析してみる

 

2021年8月下旬・午前11:30頃・晴れ 

里山の尾根道を歩いていたら近くでセミが喧しく鳴く声がするので主を探すと、若いクリ(栗)灌木の細い枝に下向きに止まっていました。 
現場は標高562m地点で、地上からの高さ〜3.5mの地点にセミが止まっています(目測)。 
逆光なのでストロボを焚いて(日中シンクロ)写真に撮ると、その正体はエゾゼミ♂(Lyristes japonicus)でした。 
周囲に灌木の枝葉が生い茂り、その隙間から撮影アングルを確保するのに苦労しました。 

周囲で鳴く同種♂の声に負けじと、ジー♪(またはギー♪)と単調に鳴き始めました。 
メロディが全く無く、情緒の欠片もありません。
側面から♂の発音器官である腹弁が見えます。 
ジー♪と単調に鳴いている間は腹部を上下に動かしています。 
腹弁の振動は動画からは確認できませんでした。
口吻を枝に突き刺して吸汁しておらず、鳴くことに専念しています。 
疲れたのか鳴き止むと、腹部も動かなくなりました。 

保育社『検索入門:セミ・バッタ』p28によると、エゾゼミの鳴き声はギィーーと連続音で、終奏音が断続的になるのがアカエゾゼミとは違う特徴なのだそうです。 

しばらく見守ってもエゾゼミ♂はクリの木から飛び立たず、私は諦めて立ち去りました。 

エゾゼミ♂の鳴き声を声紋解析してみる 


いつものように、オリジナルの動画ファイルから音声をWAVファイルとして抽出してからノイズを除去しました。
鳴いている部分(鳴き初めから鳴き終わりまで)の約30秒間を切り出し、スペクトログラムを描いてみました。 
鳥の鳴き声の美しい声紋とは全く異質ですね。


関連記事(同時期の撮影)▶ ミズナラの枝で鳴くエゾゼミ♂♪


ゲンペイツリフネソウの花で採餌するトラマルハナバチ♀【HD動画&ハイスピード動画】

 

2021年8月下旬・午前7:35頃・晴れ 

スギ林の林床に咲いたゲンペイツリフネソウ(別名ハナツリフネソウ)の群落で、トラマルハナバチBombus diversus diversus)のワーカー♀が何匹も忙しなく訪花していました。 
意外にもこの組み合わせは初見です。 
トラマルハナバチは長舌種ですから、距の奥にある蜜腺に口吻が届きます。 
いつも正当訪花を繰り返し、吸蜜していました。 
後脚の花粉籠に白い花粉団子を満載しています。
つまりトラマルハナバチ♀はゲンペイツリフネソウの送粉者として働いていました。 
マルハナバチが繰り返し訪花した結果、足場となる花弁の多くは裂けています。
関連記事(5年前の撮影)▶ ハナツリフネソウの花で採餌するクロマルハナバチ♀
紅白二色の花から飛び立つ瞬間を狙って240-fpsのハイスピード動画でも撮ってみました。(@1:02〜) 
複数個体を撮影。 
トラマルハナバチ♀は花筒から頭を引き抜きながら中脚で胸背と頭部を掻き、その後で次の花に飛び立りました。 
飛行中に空中で左右の脚を擦り合わせています。
長い舌を伸ばしたまま飛ぶときがありました。 

逆光のアングルで撮れば、トラマルハナバチ♀が花筒内で長い舌を距の先まで伸ばして蜜腺を舐める様子が花弁を透かして見えたかもしれません。 
今回は順光で、舌の動きは見えませんでした。 

どうやら朝早い時刻に集中して採餌するようです。 
同じ現場を午後にも再訪したら、晴れていたのに訪花昆虫は皆無でした。
   

2021/11/07

池の畔を深夜徘徊する謎の獣【トレイルカメラ:暗視映像】

山中の池で2021年6月中旬の夜、私がカエルの撮影に熱中していたら、背後の茂みから突然ガサガサという物音がして肝を冷やしました。 
暗闇で私とニアミスした大型獣が慌てて逃げ出したようです。 
池の水を飲みに来たカモシカなのか、カエルを捕食しに来たタヌキなのか、気になります。 
夜行性の野生動物が訪れる水場だろうと予想し、試しにトレイルカメラ(無人センサーカメラ)を設置してみました。 

 

2021年8月下旬・午前3:35・気温16℃ 

池の対岸の草むらを4足歩行の哺乳類がノシノシと左から右へ歩いて行く暗視映像が撮れていました。 
目が白く光って見えるだけで、体は全身黒く見えます。 
残念ながら池には近づかずに通り過ぎました。 
麓の果樹園で落果を採食してから山に戻る途中なのかもしれません。 

トレイルカメラのセンサーの感度に驚いたものの、遠くて映像が暗いので、謎の獣の正体が分かりませんでした。 
映像の後半では強制的に明るさを上げてリプレイしてみました。
候補としてはツキノワグマ、カモシカ、イノシシ、タヌキなどが考えられます。 
なんとなくイノシシっぽい気がするのですけど、どうでしょうか? 
どなたか見分けられる方がいらっしゃいましたら教えて下さい。 
撮れたのはこの一度だけです。 

池の岸辺に足跡などの痕跡があれば良いのですけど、水場のどこにどのアングルでトレイルカメラを仕込むべきか、悩みます。 
カメラの盗難対策も考えると、ここはあまり良い場所ではありません。 
1台しか無いトレイルカメラを効率よく運用したいので、この場所は諦めて別な獣道に設置することにしました。 
トレイルカメラを増やしたら、この水場で再挑戦するかもしれません。 

巣の幼虫を運んで捨て去るキイロスズメバチ♀【子殺し?育児放棄?】

 

2021年8月下旬・午前8:45頃・晴れ 

山道を麓から登り始めたばかりの地点で、キイロスズメバチVespa simillima xanthoptera)のワーカー♀が何か白い幼虫を抱えて地面を引きずって歩いていました。 
蜂は獲物の胸部を咥えたまま砂利道を前に歩いて運んでいます。 
獲物が重過ぎるようで、激しく羽ばたいても蜂は飛び立てません。 
このままでは樹上の巣に獲物を搬入できないでしょう。 
単独性の狩蜂がこのように獲物を運ぶ姿はよく見かけます。
しかし、社会性のスズメバチ類♀は獲物を狩るとその場で解体し、肉団子に加工してから巣に持ち帰るはずです。 
こんな丸ごとの幼虫をわざわざ運んでいるのは変です。 

重労働で疲れたキイロスズメバチ♀は砂利道で立ち止まって一休み。 
やがて獲物をその場に残したまま突然(自発的に)飛び去りました。 
私は蜂を驚かすようなことは何もしていません。 
飛び立つ瞬間を1/5倍速のスローモーションでリプレイ。 

捨てられた幼虫は全く動きません。 
胸部側面に蜂の歯型が残っていました。 
素人目には生死が不明ですし、そもそも何の幼虫なのか見分けられません。 
しかし過去の観察事例から私には事情が飲み込めました。
関連記事(6年前の撮影)▶ 巣の外に捨てられたキイロスズメバチ幼虫の謎【子殺し?】
現場となった山道の両脇はスギ林でした。 
おそらく近くの樹上にキイロスズメバチの巣があったのでしょう。 (探しても見つかりませんでした。) 
巣内で不要となった幼虫をワーカー♀が育房から引き抜いて捨てに来たのだと思います。 
体内寄生された幼虫や病気に罹患した幼虫を見抜いて捨てるのではないか?と個人的には考えています。 
遺棄した幼虫を実際に解剖して、体内寄生の有無を確認すべきでしたね。 
餌が少なくなる晩秋になると、口減らしのために多くの幼虫を(健康であっても)巣から捨てる必要に迫られるのだそうです。 
しかし今回撮影したのは8月下旬(未だ晩夏)なので、餌不足による口減らしとは考えにくいでしょう。 

この行動は子殺し(社会性昆虫の場合は女王蜂が自ら殺している訳ではないので、兄弟姉妹殺し)の一例と思われます。 
蜂の子は栄養満点なのに、スズメバチが不要になった幼虫を食べずに捨てるのは不思議です。
昆虫にヒトの倫理観は通用しませんから、肉団子に加工して他の幼虫に給餌する方が合理的なはずです。 
スズメバチの成虫は解剖学的に固形物を飲み込めませんから、単純な共食いは不可能です。(※註記参照)
せっかく幼虫に投資したタンパク質を無駄に捨てるのは勿体無いです。 
どうしてこんな(一見すると)無駄な行動が進化してきたのかと考えると、やはり体内寄生された幼虫個体または感染症に罹った幼虫個体を選んで捨てているのではないか?と私は個人的に疑っています。 
それなら営巣木の真下に幼虫を落として捨てるだけでなく、少しでも離れたところに運んでから遺棄する理由も納得できます。
ちなみにスズメバチに体内寄生する天敵としては、ハリガネムシスズメバチネジレバネカギバラバチなどが知られています。
関連記事(5、6年前の撮影)▶  
宿主キイロスズメバチ♂から脱出したハリガネムシ 
ネジレバネに寄生されたキイロスズメバチ♂は飛べなくなる? 
ネジレバネに寄生されたオオスズメバチ♀がコナラの樹液を吸汁



※【註】

ヒメスズメバチ♀は、同じスズメバチ科であるアシナガバチの巣を襲う専門家です。

アシナガバチの幼虫や蛹を巣の育房から引き抜くとその場で噛み砕いて体液を吸い、皮などの固形物は捨ててしまいます。

関連記事(12年前の撮影)▶ ヒメスズメバチ vs キアシナガバチ

巣内の幼虫を捨てる必要に迫られた時、ヒメスズメバチなら躊躇せずに食べたり他の幼虫に給餌したりするのではないか?という気もします。 

 

蜂が飛び去った直後の幼虫の胸部側面には歯型が残っていた。
1円玉の直径は20ミリ

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