2015/07/04
ウツギの枝に営巣したキボシアシナガバチ創設女王(扇風行動など)
2015年6月上旬・気温30℃
堤防でようやく咲き始めたウツギの花を見に行きました。
群落の横を通りかかると、急に1匹のアシナガバチが威嚇のため目の前をホバリングして来ました。
私がゆっくり後退すると、蜂は茂みに戻りました。
巣があることに気づかず、私が枝を揺らしてしまったようです。
たまたまこの日は蜂を刺激する黒いポロシャツを着ていたので、危なかったです。
ウツギの枝に作られた初期巣に戻った創設女王をよく見ると、キボシアシナガバチ(Polistes nipponensis)でした。
ようやく落ち着いた女王は巣盤の上で身繕い(化粧)しています。
巣柄は枝ではなく葉柄に付いています。
育房内は卵または幼虫で、繭は未だ作られていません。
巣の目の前で私が腕を振ってみると、女王は翅をやや持ち上げて警戒姿勢になりました。
真正面からこちらを睨んでいます。
警戒を解いた女王が育房を点検して回ります。(幼虫と栄養交換しているのかもしれません。)
巣盤の下面で軽く扇風行動を始めました。(@1:44〜1:55)
茂みの中なので直射日光は当たらないはずですが、蜂の子にとってやや暑かったのでしょう。
直後に測った気温は30℃でした。
次に女王は腹部下面を左右に振って育房にアリ避け物質を擦り付けていました。(@2:20〜2:35)
私のこれまでの観察経験では外出する準備だと思ったのですが、女王が巣を離れることはありませんでした。
諦めて観察を打ち切りました。
▼つづく
初期巣で寝ている夜のキボシアシナガバチ創設女王【暗視映像】
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アシナガバチの古巣に群がるクロヤマアリ♀
2015年6月上旬
堤防の階段でクロヤマアリ(Formica japonica)のワーカー♀が群がっているので何かと思ったら、アシナガバチの古巣でした。
古巣がペシャンコになっているのは、昨シーズンの古巣が冬の雪で潰れたのでしょうか?
それとも誰かに駆除され踏み潰されたからでしょうか?
アリの餌が育房内に残っているということは、今季に作られたばかりの初期巣なのかな?
この辺りで優占種はフタモンアシナガバチ(Polistes chinensis antennalis)です。
アシナガバチの巣盤天井部や巣柄にはタール状のアリ避け物質が塗布されているはずですけど、もはや忌避効果は無いようでアリの群れは平気で徘徊しています。
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食事
2015/07/03
夜道を走るゲジ終齢幼虫【暗視映像】
2015年6月上旬・午後22:53
農村部の夜道で遭遇したゲジ(Thereuonema tuberculata)終齢幼虫が疾走する様子をシーンを赤外線の暗視動画に撮りました。
指で触れると慌てて逃走するのですけど、持久力がないのかすぐに止まってしまいます。
もしかしてクモと同じく呼吸器官が原始的なのですかね?
白色LEDの照明を点灯してもすぐには逃げません。
採寸代わりに指を並べて写しこみました。
触角を除き歩脚が14対しかないので、成体ではありません。
(ちなみに脚が15対あれば成体です。)
『ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典』でゲジを調べると、
孵化した幼虫は4対の歩脚をもち,第2期幼虫で5対,その後脱皮ごとに2対ずつ歩脚を増し,第6期幼虫で 13対となる。
『日本大百科全書(ニッポニカ)』によると、
3週間ぐらいで孵化(ふか)した幼虫は4対の歩肢しかないが、脱皮ごとに胴節数と歩肢対数が増えてゆき、約2年を経て成体になる。
という訳で、終齢幼虫だろうと判明しました。(昆虫と違って「齢」で数えないのかな?)
▼関連記事(室内で撮った成体)
夜のゲジ逃走中!【暗視映像】
ヒレハリソウで正当訪花および盗蜜するセイヨウミツバチ♀
2015年6月上旬
▼前回の記事
ヒレハリソウの花で盗蜜するセイヨウミツバチ♀
水田の畦道に咲いたヒレハリソウ(=コンフリー)の群落でセイヨウミツバチ(Apis mellifera)のワーカー♀が何匹も訪花していました。
複数個体を撮影。
花筒に潜り込んで正当訪花している個体も後脚の花粉籠は空荷でした。
2匹が隣り合う花で吸蜜するシーン(正当訪花)も見れました。
その一方で、盗蜜している個体もいます。
つまり、セイヨウミツバチは正当訪花しても舌が蜜腺に届くのに、あえて穿孔盗蜜することがある、と分かりました。
目移りしてしまうほど忙しなく飛び回るため、同一個体が正当訪花と盗蜜の採餌戦略を花によって(花筒の深さに応じて臨機応変に)切り替えるかどうか確認できませんでした。
経験豊富な個体が学習の結果として盗蜜を覚えるのかな?
生まれつき舌の短い個体が盗蜜しがちなのでしょうか?
それとも気紛れな日和見主義なのでしょうか?
『但馬・楽音寺のウツギヒメハナバチ:その生態と保護』p69によると
盗蜜は、クマバチ類だけの専売特許ではなく、ハキリバチ類、マルハナバチ類、セイヨウミツバチなど多くの種類で見られる。
舌が短く盗蜜行動の常習犯であるオオマルハナバチ♀(Bombus hypocrita)も同じ群落で盗蜜していました。(映像のラスト)
もしミツバチの行動が二次盗蜜(一次盗蜜者があけた穴を利用する盗蜜)ならば、一次盗蜜者はおそらくこのオオマルハナバチでしょう。
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訪花
2015/07/02
死んだムクドリ(野鳥)に群がるミドリキンバエ
2015年6月上旬
堤防の階段にムクドリ(Sturnus cineraceus)の死骸が一羽転がっていました。
羽根の黒色が薄いので若鳥(巣立ち雛)なのかな?
成鳥でも死後は血の気が引いて褪色する、なんてことはないですよね?
丁度樹の下だったので、樹上の巣から落鳥したのかと探してみたものの、巣は見当たりませんでした。
死骸に外傷や出血は認められず、死因は不明です。
鳥インフルエンザの流行は最近とんと聞きません。
バードストライクやロードキル(交通事故の轢死体)を誰かが道端から投げ捨て、たまたまここに落ちたのかもしれません。
巣立ち雛が何か有毒植物を誤って食してしまった(食中毒)という可能性も考えられます。
解剖して胃内容物を調べたら空腹による餓死ではありませんでした。(詳細は別の記事に書きます)
写真に撮りつつ死骸を裏返したら緑色の美しい(ミドリ)キンバエが数匹、死臭を嗅ぎつけて飛来しました。(※追記参照)
開いたままの眼球に興味を示しました。
♀が産卵(産仔)しに来たのかもしれません。
(ハエの種名は全然まじめに検討してません。)
ムクドリの死骸をどうするか迷いました。
現場に放置して生物分解される様子を定点観察したかったのですが、檻にでも入れない限り野生動物にすぐ持ち去られそうなので却下。
頭骨標本作りのために持ち帰りました。
つづく
※【追記】
大園享司『生き物はどのように土にかえるのか: 動植物の死骸をめぐる分解の生物学』によると、
動物のからだを構成する細胞は、酸素が不足すると、細胞自身のもつ酵素のはたらきによって分解しはじめます。これが、自己消化です。(中略)自己消化は、死後数分のうちに始まります。自己消化が始まるのとほぼ同じタイミングで、クロバエやニクバエが遺体に飛来して卵を産みはじめます。 (p37より引用)
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クリオオアブラムシの甘露を舐めるモンスズメバチ♀
2015年6月上旬
平地に植えられたクリの木で夕方、複数のモンスズメバチ♀(Vespa crabro flavofasciata)が飛び回っていました。
時期的に単独営巣期の創設女王と思われます。
未だ開花していないのに獲物が多い狩場なのか?と不思議に思い見ていると謎が解けました。
獲物の探索飛翔にしては、のんびりしています。
クリオオアブラムシ(Lachnus tropicalis)と思しき黒いアブラムシがクリの小枝にびっしりと密集していて、モンスズメバチ♀はその直下の葉に止まっています。
アブラムシが排泄した甘露を舐めに来たのでしょう。
最後は入れ替わりでコガタスズメバチ♀(Vespa analis insuralis)が登場しました。
喧嘩にはならず、先客のモンスズメバチ♀は逃げました。
多数のハエも枝に止まっているので、やはり甘い汁が目当てなのでしょう。
枝を歩くナミテントウは、アブラムシを捕食しに来たようです。
ちょっとした食物連鎖の生態系が垣間見れました。
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2015/07/01
アメリカザリガニの死骸に群がるクロヤマアリ♀【微速度撮影】
2015年6月上旬
堤防の階段に死んだアメリカザリガニ(Procambarus clarkii)の上半身だけが転がっていました。(頭部、ハサミと脚1対)
近所の子供がザリガニ釣りをした後なのか、それともタヌキや野鳥の食べ残しですかね?
クロヤマアリ(Formica japonica)のワーカー♀がザリガニの死骸に群がっていました。
肉片を持ち去る解体ショーが見られそうだと思い、三脚を立て10倍速の微速度撮影してみました。
大きさを比較するために一円玉を並べて置きました。
アリは死骸の切り口から潜り込んで屍肉を食い荒らしているようです。
小さな白い肉片を咥えて持ち去るアリを見かけたのですけど、早回し映像では撮れていませんでした。
アリの行列はできていないので、アリ自身もそれほど魅力的な餌場とは評価していないようです。
もしかすると、祭りの後なのかもしれません。
甲羅の上で時間をかけてのんびり身繕いしている個体がいます。
同じ巣から来た2匹が出会うと口づけの挨拶を交わします(栄養交換?)
劇的に面白い展開にこそなりませんでしたが、遅い昼飯を食べるついでに撮ったネタです。
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クリオオアブラムシの甘露を舐めに来たコガタスズメバチ♀
2015年6月上旬
平地に植えられたクリの木で夕方コガタスズメバチ♀(Vespa analis insuralis)が飛び回っていました。
時期的に単独営巣期の創設女王と思われますが、複数個体が集まっていました。
未だ開花していないのに獲物が多い狩場なのか?と思い見ていると謎が解けました。
クリの小枝に黒いアブラムシがびっしりと密集していて、コガタスズメバチ♀はその直下の葉に止まっています。
アブラムシが排泄した甘露を舐めに来たのでしょう。
同じく甘露目当てに飛来したキアシナガバチ♀は、コガタスズメバチの姿を認めると慌てて逃げて行きました。
スズメバチはアブラムシのコロニーに踏み込んでアリのように直接甘露をねだることはありませんでした。
アリがボディーガードしてるのかな?
アブラムシのコロニーに注目すると、透明な甘露の排泄シーンが撮れたような気がしました。(気のせいかも?)
アブラムシについては勉強不足で疎いのですけど、クリオオアブラムシ(Lachnus tropicalis)ですかね?
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2015/06/30
チョコレートに群がるノシメマダラメイガ(蛾)若齢幼虫【微速度撮影】
ノシメマダラメイガの飼育記録#10
▼前回の記事
チョコレートを食害するノシメマダラメイガ(蛾)初齢幼虫
2015年6月中旬・室温28℃→27℃・湿度40%→43%
ノシメマダラメイガ(Plodia interpunctella)幼虫が集団でミルクチョコレートを食害する様子を微速度撮影してみました。
10倍速の早回し映像をご覧ください。
一口大のチョコレートの表面を徘徊する様子を見るだけでも私などは面白いと思ってしまいます。
食害は表面よりも底面に近い側面の方が盛んに行われています。
チョコの表面に刻印されたロゴに潜り込んだ個体は糞やゴミを糸で綴って巣を作り、その中でぬくぬくと食害しています。
撮影のためにUSBリングライトを点灯したのですが、幼虫が光をひどく嫌う様子は伺えませんでした。
成虫は撮影の間、一時的に取り除きました。
容器の底から見ると、餌として与えた穀物(押し麦と黒胡麻)の隙間に茶色の粒粒が大量に溜まっていました。
特にチョコレートの下に多いようです。
これは幼虫が排泄した糞でしょう。
一緒に飼育している成虫はそもそも食物を摂取しないので、排泄しないはずです。
こうした糞やゴミが後に重要な役割を果たします。
つづく→#11:食事シーンの接写(三脚カメラ)
【断り書き】
有名な某チョコレート製品に刻印されたロゴがばっちり写ってしまっているので、菓子メーカーの名誉のために申し添えます。
(映像だけ見て早とちりしたり風評被害や営業妨害になるといけないので、具体的な商品名やメーカーを明記するのは差し控えます。)
決して購入した商品にノシメマダラメイガ幼虫が混入していたのではなく、密封パッケージ等の品質管理に落ち度は全くありません。
また、チョコレートに防虫剤などは添加されていない安全な食品であることも分かります。
今回、飼育用の餌にこの銘柄のチョコレートを選んだのもたまたま近所の店で一番安かったからで、他意はありません。
チョコ表面のロゴを削るか裏返して置くか、映像にモザイクを掛けるべきですかね?
当然ながら今後も飼育で増やした害虫を外に放つこともしません。
別に飼っているハエトリグモの生き餌としてノシメマダラメイガを養殖してみるのが私の目的で、そのついでに色々と観察を楽しんでいます。
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微速度撮影
ヒメシジミ♂同士の闘争飛翔【ハイスピード動画】
2015年6月中旬
平地の農道で2頭のヒメシジミ♂(Plebejus argus micrargus)が激しく乱舞していました。
闘争飛翔を240-fpsのハイスピード動画に撮ってみました。
我々ヒトから見てもヒメシジミは翅の色や紋様が性的二型なので、♀と誤認して♂を追尾しているとは考えにくいでしょう。
▼関連記事ヒメシジミ♂同士の誤認求愛?【ハイスピード動画】近くの道端で訪花していた♀(映像公開予定)を巡る争いだと思うのですが、片方が逃げる♂を追い回しています。
繁殖期にはゼフィルスのような縄張り争いがあるのですかね?
乱舞する影も美しいです。
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飛翔
2015/06/29
揺籃から羽化したセアカヒメオトシブミ
2015年6月中旬・室温27℃・湿度50%
▼前回の記事
セアカヒメオトシブミの揺籃作り【後編】
セアカヒメオトシブミ(Apoderus geminus)♀が柳の葉を巻いて作った揺籃に産卵してから33日後、飼育容器内で羽化した成虫が徘徊しているのを見つけました。
採集した揺籃をときどき霧吹きで軽く加湿しながら容器内に放置していたのですが、一ヶ月を過ぎても成虫が羽化してこないので乾燥で飼育に失敗したのかと心配していました。
きれいな円形の脱出口が揺籃の側面に開いていて、少しだけカビが生えかけていました。
巻いた揺籃を留める折り返し部分が解けかかっているのは乾燥のせいかな?
脱出する際は中から齧る音がしたはずですけど、気づけませんでした。
この日は久しぶりに霧吹きしたので、湿り気で雨だと思い羽脱したのでしょうか。
ときどき翅を広げて飛んでくれたのに、肝心の飛び立ちシーンが尻切れトンボになってしまいました。
飛行後の後翅をきれいに畳めないでいます。
飛ぶ力も弱く、すぐに墜落してしまいます。
クチクラが未だ充分に固まっていないのかな?
触れると長時間死んだふり(擬死)します。
その後はホスト植物の柳とイタドリを水差しにして与え、飼育を続けてみました。
ところが飼育容器から逃げ出そうと飛んだり徘徊したりするばかりでした。
揺籃を作るどころか葉を食べる行動も全く見られず(見落としただけ?)、5日後には死んでいました。
その行動から素人目にはなんとなく♂ではないかという気がするのですけど、どうですかね?
オトシブミの♂は飲まず食わずで配偶行動に没頭するのでしょうか?
♀は交尾してからでないと揺籃を作り始めないのかな?
私には形態的にセアカヒメオトシブミの性別を見分けられないので、どなたかお分かりの方はぜひ教えて下さい。(※追記参照)
以下は標本写真。
死後は鞘翅の赤色がやや褪色するようです。
シリーズ完。
次の課題としては、
- 揺籃を分解して卵の位置を確認する。
- 柳の葉から切り落とされずに残っている揺籃を採集してきて飼育する。
- 揺籃をカットして中身の発生状況を観察しつつ飼育する。
- 飼育下で揺籃を作らせる。
- 成虫の摂食行動を観察する。
※【追記】
クリの葉を巻いて揺籃を作るナミオトシブミの生態を緻密に調べた古い名著『オトシブミ―昆虫の本能のひみつをさぐる (観察の本 1) 』p75〜76によると、ナミオトシブミの場合は前脚の跗節の基部にある鉤爪の数が♂では1本、♀では2本でした。
♀のかぎ形の二本のつめが、足の先のつめといっしょになって、ようらんを巻くとき、葉を引っぱったり、筒を抱きころがしたりするときの、だいじな道具になるのです。♂は二本もつめがいらないんだ。葉を巻くのは、♀だけだもの。この性差はどのオトシブミでも共通なのですかね?
だとすれば今回、私が得たセアカヒメオトシブミの個体は爪の数が一本なので♂ということになります。
手元の標本で爪の性差をもう一度確認してみる必要があります。
マイマイガ(蛾)の幼虫を狩るセグロアシナガバチ♀
2015年6月上旬
湿地帯に生えた柳の群落でアシナガバチがふらふらと探索飛翔していました。
目で追うと何か獲物を狩ったようです。
柳の葉に止まって獲物を解体し、肉団子を作り始めました。
キアシナガバチと迷うのですが、大型のセグロアシナガバチ(Polistes jokahamae)と判明。
時期的にワーカーではなく、単独営巣期の創設女王だと思います。
柳の茂みが邪魔で蜂を驚かせないように近づくのが難しく、蜂にピントを合わせるのに苦労しました。
(ピンぼけ部分を編集で大幅にカットしました。)
獲物は毛虫のようです。
途中から蜂が葉の影に隠れてしまいました。
向きを変えた瞬間に前伸腹節が黒い(セグロアシナガバチの特徴)ことをスロー再生で確認できました。
肉団子を作り終えると獲物の内臓と頭部を残して飛び去りました。
(カメラを警戒して逃げたのかもしれません。)
柳の葉を調べると、餌食となった毛虫の体液でベットリ濡れています。
固い頭楯だけが生首のように残されていました。
この頭楯の特徴的な斑紋から、獲物の正体がマイマイガ(Lymantria dispar japonica)幼虫(=ブランコケムシ)と判明しました。
今回の観察で分かったことがあります。
まず、毛虫の毛にアシナガバチから身を守る防御力はありません。
アシナガバチが狩るのは毛の生えていない芋虫や青虫ばかりだと思っていたので、毛虫も狩るとは意外でした。
そして害虫マイマイガの大発生を抑止するために、アシナガバチを安易に駆除すべきではありません。(生物的防除)
今年もマイマイガ幼虫が山林で大発生しているので、その天敵に注目して自分なりに調べてみます。
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捕食
2015/06/28
ヒオドシチョウの羽化(左右の口吻が結合する様子)
ヒオドシチョウの飼育記録#15
▼前回の記事
羽化したヒオドシチョウの初飛行
2015年6月中旬・室温23℃
最後に蛹化したヒオドシチョウ(Nymphalis xanthomelas japonica)個体d白も無事に羽化してくれました。
実はこの個体は、終齢幼虫の時代に脱走して一時行方不明になりました。
数日間も室内を彷徨った末に再捕獲したのです。
長い飢餓状態に置かれても発生が少し遅れただけで問題なく成虫まで育ちました。
柳の枝に垂蛹を作ってから11日後の朝、翅の赤色が蛹の外から透けて見えるようになりました。
羽化が近いと判断し、早朝から録画で監視スタート。
今回の目標は、左右2本の口吻が1本に結合する様子を(マクロ)動画に撮ることです。
これまでの2例では、ヒオドシチョウの羽化開始時刻は9:42および14:39でした。
今回は午前7:33に蛹が割れて羽化が始まりました。
ただし早朝から撮影用の照明を当て続けたので、蛹の日周リズム(体内時計)が前にずれた可能性もあります。
今回も羽化の予兆となるような蠕動運動は認められませんでした。
冒頭16秒のみ、微速度撮影した10倍速映像です。
その後はリアルタイムに録画した映像です。
あっという間に翅が伸び切ったので、今度はマクロレンズで口吻を接写してみました。(5倍速映像)
鱗翅目の口器は幼虫と成虫とで機能も形態もまるで異なります。
噛む口器から吸う口器へと完全変態を遂げるのです。
成虫の口吻は羽化した時からストローのような管状になっている訳ではありません。
ゼンマイ状の口吻をくるくると伸縮させながら根本からジッパーを閉じるように左右2本の口吻を結合します。
もしも口吻の結合に失敗すれば、文字通り死活問題になります。(花蜜を摂取できずに餓死してしまうでしょう。)
口吻の結合が完了すると、口吻の伸縮が止まります。
丁度その頃、不要となった体液を蛹便として排泄したようです。
下に敷いた白紙が赤い蛹便で汚れていました。
後半は透明な液体も排泄したようです。
午前11:35頃になると翅も体も固まったようで、自力で明るい窓の方へ飛び立ちレースカーテンに止まりました。
撮影後は窓を開けて放蝶しました。
以下は羽化殻の写真。
さて、今回4頭の終齢幼虫を採集してきて飼育した結果、羽化率は100%(4/4)、寄生率は0%でした。
1匹ぐらいは寄生されているかな?と思ったので意外でした。
ヒオドシチョウ幼虫の棘状突起に寄生を妨げる防禦効果があるのかな?と想像してみました。
しかしヒオドシチョウを寄主とする寄生蜂を調べてみると例えば、ヒメヒオドシヤドリヒメバチが知られています。
シリーズ完。
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発生,
微速度撮影
巣立ち雛へ給餌するムクドリ♪(野鳥)
2015年6月上旬
▼前回の記事水溜りの水を飲むムクドリとカワラヒワの群れ♪(野鳥)
水溜りで水を飲んだり水浴したりしているムクドリ(Sturnus cineraceus)の群れを撮っていると、意外なシーンが観察できました。
どうやら羽根の色が薄いのが巣立ち雛のようで、ときどき親鳥が飛来して給餌しています。
巣立ち雛は鳴きながら羽ばたき、餌をねだります。
映像冒頭では、右手のヨシ原の近くで地上採食している成鳥の近くに巣立ち雛が駆け寄り、餌をねだっています。
(このときは実の親子ではなかったのか、給餌を受けていません。)
そこへ別の親鳥が芋虫を咥えて舞い降りました。(画面左下@0:38)
左手から来た巣立ち雛が餌をねだり給餌しました。
親鳥はすぐに飛び去りました。
この水溜りの横は湿地帯で、ヨシ原が広がっています。
もしかすると、この周辺は巣立ち雛の共同保育園(隠れ家)なのかもしれません。
危険が迫ればいつでもヨシ原に逃げ込めますし、自力で採餌する練習もできます。
巣立ち雛の群れの中で親鳥は給餌すべき我が子を鳴き声で見分けているのですかね?
ムクドリでも自分では繁殖せずに他個体の繁殖を助けるヘルパーの存在が知られているそうです。(参考サイト)
ありふれた鳥ですけど、個体識別した上でじっくり観察できたら楽しそうです。
この日は他にも虫を咥えて飛び回るムクドリ(親鳥)の姿を湿地帯の上空でよく見かけました。
巣が近くにあるのかもしれませんが、見つけられませんでした。
『ムクドリの子育て日記』p39によれば、
巣立ったばかりのヒナたちは、親鳥といっしょに、エサがあって安全な場所に行く。しばらくのあいだは、親からエサをもらう。そして、だんだんと自分でエサをとることをおぼえていき、6月末から7月には、ひとりだちする(若鳥は、親にくらべて羽の色がうすいが、秋には、成鳥と同じ色になる)。『ムクドリ (カラー版自然と科学50)』p16-20によると、
- ヒナは、親鳥よりあわい羽の色をしています。
- 巣だちごしばらく、たべものは自分でとらないで、親鳥がはこんでくるのをまっている。
- 巣立ちした若鳥たちは、食べ物をくわえた親鳥をみると、まだひよわな翼を一生懸命ふるわせて、我先にもらおうと競争する。
- ヒナの巣立ちは孵化から3週間後(約22日後)、巣作りから約40日後。
- 若鳥がひとりだちするのにさらに何日かかるかは、よくわかっていない。
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