2024/05/04

アナグマ専用の溜め糞場に代わる代わる排便に通うニホンアナグマの家族【トレイルカメラ:暗視映像】

 



2023年8月中旬〜下旬 

シーン0:8/14・午後14:48(@0:00〜) 
明るい昼間にたまたまフルカラーで撮れた現場の状況です。 
画面の左下隅に朽ち果てた切株があり、そのすぐ奥に古い用水路が掘られた名残の溝が斜めに走っています。 
この溝は獣道の一部になっています。
スギの落ち葉が枯れた色と同じで紛らわしいのですが、その溝に捨てられた古い手押し車のフレームが錆びたまま放置されています。 
この手押し車フレームを目印として、ニホンアナグマMeles anakuma)専用の溜め糞場stmpがあります。
タヌキの溜め糞とは違ってアナグマの糞は特定の形状を保っておらず、黒い軟便(下痢便)が溜まっています。 

ここを長期間じっくり定点観察したかったのですが、限られた台数のトレイルカメラをやりくりして複数地点のプロジェクトが同時並行で進行しているために、間隔が開いてしまいました。 
肝心の溜め糞場stmpがもっと画角の中央に来るようにトレイルカメラの設置アングルを決めたはずなのに、ずれてしまいました。 


シーン1:8/15・午前2:16(@0:02〜) 
深夜未明に単独で来たアナグマが溜め糞場stmpの匂いを嗅ぎ回ってから、左向きで排便しました。 
スギ林床にひっくり返ったまま放置されている古い一輪車(手押し車)の錆びたフレームの辺りで地面の 黒い軟便をボトボトと排泄すると、そのまま溝状の獣道を左へ立ち去りました。 


シーン2:8/15・午前9:45(@0:29〜) 
トレイルカメラがなぜ起動したのか理由は不明ですが、アナグマが脱糞してから7時間半後の午前中に溜め糞場stmpの様子が記録されていました。 
ハエやコウカアブの仲間が何匹も飛び回ってます。


シーン3:8/16・午後18:23(@0:51〜)日の入り時刻は午後18:35。 
翌日、日没直前の暗いスギ林にニホンアナグマ3頭の家族群がやって来ました。 
まず先行する2頭がスギ林床を右上へ歩いて行きます。 
後続の個体が切株の下を回り込んでから溜め糞場stmpへ来ました。 
匂いを嗅いでから手押し車のフレームのすぐ上で排便しました。 
顔が黒いのは、穴掘りしたばかりで土で汚れているのでしょう。 
ミミズ採食のためではなく巣穴を掘っていたとしたら、ヘルパー♂かもしれません。
仲間を追ってノソノソと歩き始めま、最後は小走りになりました。 
登場した3頭が幼獣なのか、成獣が混じっているのか、残念ながら私には見分けられません。 


シーン4:8/18・午前4:01(@1:40〜) 
2日後の未明、右から来たアナグマaが溜め糞stmpの匂いを嗅いでいました。 
方向転換して溝の土手の山側を向くと、溝の中の溜め糞場stmpに脱糞しました。 
排便する地点は厳密には決まっておらず、各自が手押し車フレームの周囲に適当に排便するようです。 
用を足すと、右へノシノシと立ち去りました。 
なんとなく幼獣だと思うのですが、単独で写った場合には素人目には成獣♀と見分けがつきません。 


シーン5:8/18・午前4:14(@2:09〜)
約15分後に別個体bが登場しました。 
これも幼獣のような気がしています。 
一連の排便行動は、さっき来た個体aとほぼ同じでした。 


シーン6:8/18・午後19:00(@2:36〜)
同じ日の晩には雨が降っていました。 
左から溜め糞場stmpにやって来たアナグマが、黒い軟便をニョロニョロと排泄。 
雨天で素早く用を足すと、一旦奥に向かってから左折しました。 


シーン7:8/24・午前4:09(@2:53〜) 
6日後の未明に、奥からやって来たアナグマが溜め糞場stmpでくるりと向きを変えました。 
少量の大便を排泄してから右へ立ち去りました。 


【考察】 
複数個体のアナグマが同時に並んで排便することは、今のところありません。 
便意を催したら各自が溜め糞場stmpにやって来て、用を足すようです。 
ここでホンドタヌキが対抗して排便することはありません。 
タヌキ専用の溜め糞場wbcは、ここから約5m離れた地点にあるのです。 
逆に、タヌキの溜め糞場wbcにアナグマが対抗して排便することもありません。 
アナグマとタヌキはおおまかな溜め糞エリアを共有しているものの、自分たち専用のトイレを相互不可侵でしっかり使い分けています。 


【追記】
日本の食肉類:生態系の頂点に立つ哺乳類』という専門書の第8章:金子弥生「ニホンアナグマ」によると、
自動追跡装置を用いた調査により、アナグマがタメ糞を訪問する頻度は、自分の行動圏内で1週間に一度程度、隣接する家族グループとの境界のタメ糞では2-3日に一度程度の頻度であることがわかった。家族グループ内の♂と性成熟前の♀が連れ立ってタメ糞へ訪れる行動も見られており、訪問頻度は交尾時期のほうが高くなった。低密度個体群では、なわばりの標識よりも、隣接する地域の個体との情報交換の役割を果たしており、たとえば♂が行動圏を拡大し♀を探す場合の♀発情個体の空間的な情報を得ることが可能になっているものと思われる。(p193より引用)

ここまで緻密な調査は私には無理ですが、発情期・交尾期に重点的にアナグマの溜め糞場stmpをトレイルカメラで監視する価値はありそうです。 





エゾミドリシジミ♂?を不意打ちで襲うムシヒキアブの仲間【ハイスピード動画】

 



2023年7月下旬・午前11:55頃・晴れ 

おそらくエゾミドリシジミ♂(Favonius jezoensis)と思われるゼフィルスが地上から飛び立つ瞬間を狙って240-fpsのハイスピード動画を何度も撮影していると、凄いスクープ映像が撮れました。 
里山の山道に翅をしっかり閉じた状態で止まり、ミネラル成分を摂取しています。 
横を向いてくれたので翅裏がしっかり見えたのですけど、右後翅の尾状突起などあちこちが損傷しています。 
この映像では口吻を伸ばしていないように見えますが、土下座のように頭を上下させています。 
長い口吻をだらんと伸ばしたまま引きずるように右回りで方向転換したので、口吻は体の左側(カメラの死角)の地面を舐めているのです。 

しばらくすると、ゼフィルスの背後から何者かが高速で飛来しました。(@1:12〜) 
そのままエゾミドリシジミ♂に体当たりで襲いかかり、獲物を抱え込もうとしましたが、蝶は間一髪で逃げました。 
更に1/5倍速のスローモーションでリプレイしても、捕食者の奇襲が速すぎてぼやけてしまっています。 
捕食者の正体は、ムシヒキアブ科の一種ではないかと思います。 
日本に蝶の成虫を狩る狩蜂がいるのかどうか、私は聞いたことがありません。 (蛾の成虫を狩る狩蜂はいるそうです。)
狩りに失敗したムシヒキアブは、着地せずにそのまま飛び去りました。 

背後から不意打ちされたのに、ゼフィルスは力強く羽ばたいて素早く飛び去り、逃げました。 (緊急逃避行動)
これほど反射神経が優れているとは驚きです。
損傷の多いゼフィルスの翅は、天敵から逃げ延び続けている歴戦のつわものであることを物語っています。 
エゾミドリシジミ♂が羽ばたくと、翅表の鱗粉がエメラルドグリーンの金属光沢に輝きます。(構造色) 

今回は狩りに失敗したものの、ムシヒキアブが狩りをする瞬間を観察できたのは初めてです。
こんな奇跡の決定的瞬間は、フィールドで狙って撮れるものではありません。 
愚直にハイスピード動画をひたすら撮りまくると、ごくたまに偶然のご褒美(僥倖)がもらえます。 
デジカメの民生機でハイスピード動画の性能が240fpsで止まったまま、ここ何年も停滞しています。 
もっとフレームレートの高いスーパースローの映像で様々な生き物の行動を撮りたいのですが、何か技術的なブレークスルーが必要なのでしょうか? 
市場にニーズが無いと思われているのかな? 
カメラのメーカーにはスマホに負けず頑張って欲しいです。 


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2024/05/03

ホンドタヌキ幼獣の群れが追いかけっこや格闘遊びをしてはしゃぎ回るニホンアナグマの旧営巣地【トレイルカメラ】

 



2023年8月中旬〜下旬 

ニホンアナグマMeles anakuma)家族が転出した後の旧営巣地(セット)にホンドタヌキNyctereutes viverrinus)幼獣たちが元気いっぱいで遊びに来るようになりました。
ほとんどが日中の映像です。
どんな野生動物でも、遊びたい盛りの幼獣の行動は見ていて飽きません。

シーン0:8/14・午後13:51・晴れ(@0:00〜) 
シーン1:8/14・午後14:13・くもり(@0:04〜) 
明るい時間帯にたまたまフルカラーで撮れた現場の状況です。 
新旧トレイルカメラの2台体勢で見張っています。 


シーン2:8/15・午前5:12(@0:07〜) 
右から登場したタヌキaがアナグマの巣口Rの匂いを嗅いでいると、右下から別個体bが登場しました。 
背後から不意をつかれたaが驚いたのか、ギャガッ♪と軽く唸り声を上げながらbに襲いかかって噛みつこうとしました。 
攻撃する理由が分からないのですが、巣穴の主のアナグマが戻ってきたと思ったのかな? 
そのまま左に立ち去りました。 


シーン3:8/17・午前3:21(@0:33〜) 
2日後の未明。
奥の林縁でオニグルミの根元に1頭のタヌキが座り込み、その傍らに付添の別個体が佇んでいます。 
右から何者かがやって来たのか、2頭は急にビクッと警戒し、慌てて立ち上がると散り散りに逃げて行きました。 
2頭間での追いかけっこ遊びが始まったようには見えません。(明らかに第三者に対する逃避行動) 
しばらくすると、1頭が右から戻って来ました。 
続けてもう1頭が右下から登場しました。 
奥の二次林内を白く光る目が右へ移動しています。 
計何頭のタヌキが登場したのか、よく分からなくなりました。 


シーン4:8/17・午前3:32(@1:23〜) 
画面の外から小声でクゥーン♪と繰り返し鳴く声が聞こえます。 
右から来たタヌキが広場の匂いを嗅いでから、右に引き返しました。 
その後も、仔犬のような鳴き声だけ聞こえます。 
迷子になった個体が心細くて鳴いているというよりも、仲間と鳴き交わしているのでしょう。
どうやら画面の右下隅で2頭が鳴きながら取っ組み合いをして、じゃれ合っているようです。 


シーン5:8/17・午後16:50・気温31℃(@2:09〜) 
まだ夕方なのに、なぜかモノクロで録画されています。 
左から来たタヌキ成獣が慎重に巣口Lに忍び寄って匂いを嗅いでいると、右から更に2頭の幼獣が甲高くキュンキュン♪鳴きながら駆け寄って来ました。
「遊ぼう!」とまとわりついてくる幼獣に左の成獣?が軽く甘噛みしてやってから、獣道を右往左往して左へ。 
画面下から更に3頭目の幼獣がやって来ました。 
3兄弟(姉妹)のタヌキ幼獣は巣口Lを点検したり互いに追いかけっこしたり、元気にはしゃぎ回っています。 
(アナグマの古い巣穴の奥に入って探検することはありませんでした。) 
右上奥の獣道から別個体の成獣がやって来ました。(@2:57〜) 
最後はタヌキの家族全員(成獣♀♂および幼獣3頭)が左へ向かいます。 


シーン6:8/17・午後16:49(@3:09〜) 
別アングルに設置した広角の監視映像でも、ほぼ同時に撮れていました。 
左上奥の二次林内で探餌徘徊していた2頭のタヌキ幼獣が、急に駆け出し、追いかけっこ遊びを始めました。 
3頭目の幼獣も後から走って追いかけて来ます。 
しばらくすると、左から来たタヌキ成獣が巣口Rの横を通り過ぎました。 
その後を幼獣が左から右に走って横切ります。 
すぐにまたピョンピョン飛び跳ねるように戻ってきて、巣口Rに興味津々。 
その間に左から成獣が幼獣を引率して右へ向かいました。 


シーン7:8/17・午後17:23・気温30℃(@4:09〜) 
約30分後、タヌキの幼獣2頭が追いかけっこをしながらアナグマの巣口L付近に戻ってきました。 
1頭が全力疾走で右に消えた後も、別個体bが巣口Lの匂いを嗅いでから、仲間の後を追いかけて右へ走り去りました。 


シーン8:8/21・午後17:53(@4:20〜) 
4日後の夕方。
広場の右端で巣口Rの方を向いていたタヌキ(成獣?)が、方向転換して右へ走り去りました。 
と思いきや、黒っぽい幼獣が全力疾走で右から戻ってきました。 
巣口Rで立ち止まり、匂いを嗅ぎ回ります。 
 林縁でミズキの根本の匂いを嗅いでから、もしかするとさりげなく排尿マーキングしたかもしれません。 
だとすると、片足を持ち上げなかったことから、♀のようです。 
再び右へ走り去りました。 
追手が来ないのにはしゃぎ回っているので、幼獣の独り遊びのようです。 

二次林内でアナグマとタヌキ(同じ穴のむじな)が出会うとどうなるのか、観察してみたいものです。
幼獣同士なら異種間でも遊んだりするのでしょうか? 


 シーン9:8/21・午後17:55・くもり・気温29℃(@4:49〜) 
ようやく新機種でフルカラー録画されていました。 
やや薄暗い夕方の獣道を右奥へ走り去るタヌキの後ろ姿が見えます。 
途中で立ち止まってから左に向きを変え、画面の上端を移動するタヌキが茂みの陰にチラチラと見えます。 


シーン10:8/22・午後15:38・晴れ・気温33℃(@5:09〜) 
晴れた午後の木漏れ日が眩しいです。 
右から来たタヌキ幼獣aが、辺りを見回しながら小声でクゥーン♪と鳴いています。 
巣口Lに腰を下ろしかけたところに、別個体bが右下から全力疾走で突っかかってきました。 
aは慌てて左に逃げ、追手bはそのまま入巣Lしました。 
やがて外に出てきたbも左へ。 
タヌキの幼獣がアナグマの古巣の中に短時間でも入ったのは珍しいです。 


シーン11:8/22・午後15:40・晴れ・気温34℃(@5:36〜) 
左から来たタヌキ幼獣が巣口Lを覗き込んでから、向きを変えて左へ戻りました。 
左から戻ってきて、すぐに左下へ消えました。 


シーン12:8/22・午後15:39(@6:07〜) 
別アングルの監視映像です。 
1頭のタヌキ幼獣aが巣口Rの手前に転がっている太くて古い落枝の匂いを嗅いでいます。 
左から登場した別個体bは巣口Rを点検。 
2頭の幼獣が離れたところで向かい合い、地面に座り込みました。 
左上奥の二次林から、更に別個体cがやって来ます。 
林縁のミズキの根元で合流したcの尻の匂いをbが嗅ぎました。 
家族であることを確認したのでしょうか? 
aとbがふざけたように遊び始めました。(尻切れトンボ) 


シーン13:8/22・午後15:40(@7:08〜) 
3頭が互いに追いかけっこをして遊んでいます。 
右端の白っぽい毛皮の個体はもしかすると成獣(親タヌキ)かもしれません。 
2頭が右へ走り去ると、林縁に残った幼獣個体も走って追いかけます。 
すぐに右下隅から戻ってきて、追いかけっこ遊びを続けています。 


シーン14:8/22・午後15:42(@7:54〜) 
1頭のタヌキ幼獣aが左へ走り去り、残った幼獣個体bが巣口Rに座り込みました。 
左から戻ってきた個体aとbが、追いかけっこ遊びを再開しました。 


シーン15:8/22・午後15:43(@8:18〜) 
奥の広場でミズキの根元に来ていた個体が何か餌?をくちゃくちゃと噛んでいます。 
もう1頭の幼獣が挑発してきて、追いかけっこしながら左へ。 


シーン16:8/22・午後15:43・晴れ・気温34℃(@8:43〜) 
ちょうど巣口Lに木漏れ日が落ちて眩しく、白飛びしてしまっています。 
巣口Lに佇んでいた2頭の幼獣が、相次いで左へ駆け出しました。 
すぐに左から戻ってくると、はしゃいだように広場を走り回ります。 
追いかけっこしながら、右へ走って行きました。 
その後も奥の二次林内を縦横無尽に走り回っています。 


シーン17:8/22・午後17:21・気温32℃(@8:43〜) 
新機種のトレイルカメラなのに、なぜかフルカラーとモノクロで交互に録画されるという謎の症状が出ています。(酷使し過ぎなのでしょうか?) 
それとも日中に強い直射日光を浴びてセンサーが異常を来したのかな?

単独で登場したタヌキ幼獣が巣口Lの匂いを嗅いでから、左へ駆けて行きました。 
追いかけっこの遊び相手は写っていません。(独り遊び?) 


シーン18:8/24・午前8:57・晴れ(@9:54〜) 
巣口Rを塞ぐように置かれている落枝に1頭のタヌキ幼獣が興味を示し、試しに噛みました。 
もう1頭が奥の二次林を左にブラブラ歩いています。 
左上奥で合流すると、互いに追いかけっこ遊びが勃発しました。 
そのまま左へ。 


シーン19:8/24・午後17:47・晴れ・気温30℃(@10:26〜) 
日の入り時刻(午後18:24)までまだ早いのに、夕方で薄暗くなったせいか、モノクロで録画されています。 

幼獣と思われる3頭が前後して獣道を右上に走り去りました。 
アナグマの古い巣口Lを覗き込んでいて出遅れた個体も、仲間の後を追って獣道を一目散に駆けて行きます。 

※ 動画の一部は編集時に自動色調補正を施しています。 


【考察】 
近所で暮らすタヌキの家族全員(成獣♀♂および幼獣3頭)が採餌に出かけるついでにアナグマの旧営巣地に連日のように立ち寄ります。 
隣接する休耕地にあるホンドタヌキの巣穴で今季は4頭の幼獣が生まれたはずなのに、いつの間にか3頭に減ってしまったようです。 
4頭の幼獣が同時に監視映像に写ることはありませんでした。

タヌキ幼獣同士の遊びは主に追いかけっこで、アナグマの幼獣ほど取っ組み合いの頻度は高くないようです。

それとも生まれて幼獣のうち1頭は、単独行動を好む性格なのかもしれません。 
ニホンアナグマの幼獣でも1頭だけ独り遊びを好む個体がいる点が共通で、興味深く思いました。 
タヌキの個体識別がほとんど全くできてないのが問題です。

アナグマの成獣♀(母親)は幼獣が遊びに誘っても乗りませんが、タヌキは子煩悩で親子が一緒に遊んであげるようです。 



ヒバカリの死骸に群がるハエとアリ

 

2023年7月下旬・午前10:35頃・晴れ 

山麓の舗装された農道で蛇の死骸を見つけました。 
真っ白な腹面を上に向けて死んでいます。 
車に轢き殺されてしまったようです。

動物の遺体に真っ先に集まる常連として、キンバエの仲間(種名不詳)とニクバエの仲間(種名不詳)が飛び回っていました。 
死骸の表面を舐めて吸汁し、その合間に身繕いしています。 
他にはクロオオアリCamponotus japonicus)のワーカー♀が来ていました。 
ヘビを採寸するために15cm定規を並べて置いたら、ハエ類は警戒して飛び去りました。 

腹面だけではヘビの種類が分からなかったので、死骸を裏返してみました。 
頭部と尾端の損傷が激しいです。 
おそらくジムグリ(Elaphe conspicillata)の幼蛇ではないかと思います。 
成長して白い腹面に黒い市松模様が現れる前に非業の死を遂げたようです。 

関連記事(7年前の撮影)▶ ジムグリの幼蛇を見つけた!


死骸の下にシデムシ類などが潜んでいるかと期待したのですが、何も来てませんでした。 
土ではなく固い舗装路では埋葬虫の活動が阻害されてしまうのでしょう。 
夏の炎天下でアスファルトが熱せられ、ロードキル死骸は乾燥が進んでいます。

撮影後は小枝を使ってヘビの死骸を舗装路から拾い上げ、道端の草むらに投げ込んでおきました。 
衛生当局や清掃業者が回収して焼却処分するよりも、自然界のスカベンジャー(掃除屋)の活動に任せる方がはるかにエコです。 
生物分解されて土に還るまでの様子を微速度撮影してみたかったのですけど、手持ちのトレイルカメラは全て他のプロジェクトで稼働中のため、諦めました。 
あまり世間に知られていませんが、『ファーブル昆虫記』にはヘビの死骸を放置してその変化を克明に観察した章もあります。


【追記】
YouTubeのコメント欄にて、RIFLAさんよりご指摘いただきましたので、ジムグリ幼蛇ではなくヒバカリHebius vibakari)の死骸と訂正しておきます。
腹板に市松模様がなく、体色からもヒバカリかと思われます。 


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2024/05/02

ニホンアナグマの諸活動:8月上旬〜中旬【トレイルカメラ:暗視映像】

 



2023年8月上旬〜中旬

ニホンアナグマMeles anakuma)の家族が転出した後も旧営巣地(セット)にときどき戻ってくる様子です。
転出先の新しい営巣地がどこにあるのか分かりませんが、毎日採餌に出かけるついでに「懐かしの我が家」に立ち寄るのでしょう。
アナグマに何か特筆すべき行動があれば個別の記事にするのですけど、とりとめもない残り物のシーンをまとめました。 
観察歴の浅い私が見落としている行動がありそうですし、動画ファイルを削除する前に、念のため全て公開しておきます。 (我ながら貧乏性ですね…) 

シーン0:8/4・午後13:23(@0:00〜) 
シーン1:8/4・午後13:59(@0:04〜) 
明るい時間帯にたまたま撮れた現場の様子です。 
新旧2台の自動センサーカメラで監視しています。 


シーン2:8/5・午後19:29(@0:08〜) 
画面の左端、手前の立木の陰からアナグマの尻尾だけ見えています。(赤丸に注目) 
ちらっと顔が見えたのに、すぐに引っ込んでしまいました。 
起動したトレイルカメラを警戒しているのか、広場に姿を現してくれません。 


シーン3:8/6・午後16:08・気温27℃(@0:20〜) 
まだ日没前の夕方なのに、なぜかモノクロで起動しました。 
アナグマが単独で巣口Lを覗き込んでから、右に立ち去りました。 
成獣♀と迷ったのですが、次の動画と併せて考えると、幼獣でした。 


シーン4:8/6・午後16:08(@0:35〜) 
別アングルに設置した広角の監視映像でも撮れていました。 
正しい時系列は、シーン4➔シーン3と逆のようです。 
巣口Rlに潜り込んで内部を点検してから、再び外に出てきて、今度は巣口Lの方へ向かいました。 
対面の立木に固定した新機種トレイルカメラのセンサーが反応して起動する際に、一瞬ピカッと光る様子が写っています。 


シーン5:8/11・午後19:27・気温27℃(@1:00〜) 
アナグマが巣口Lの匂いを嗅ぎに来た動きに反応してトレイルカメラが起動したようです。 
入巣Lしかけたものの、何かに驚いたように慌てて奥の獣道を走り去りました。 
もしかすると、巣内に別の獣(タヌキ?)が潜んでいたのかもしれません。 

カメラのレンズの至近距離にクモまたはザトウムシがへばりつくように徘徊していて、肝心のアナグマの姿がよく見えません。 


シーン6:8/12・午後19:11・気温23℃(@1:09〜) 
翌日の晩にもレンズの至近距離にお邪魔虫のクモ(ザトウムシ?)が覆い被さったまま静止していました。 
困ったことに、すっかり居着いてしまったようです。 

アナグマの幼獣2頭が暗闇で追いかけっこと格闘遊びを元気に繰り広げています。 
その騒ぎを聞きつけて巣穴Lからもう1頭の幼獣が外に出てくると、兄弟(姉妹)を追いかけて行きました。 


シーン7:8/12・午後19:13(@2:09〜) 
巣口Lから出てきた幼獣が左へ向かいました。 


シーン8:8/12・午後19:13(@2:21〜) 
別アングルの監視カメラで続きが撮れていました。 
対面のトレイルカメラの赤外線LEDが点灯していますが、レンズにザトウムシ?がへばりついている せいで、赤外線が乱反射しています。 

左からアナグマの幼獣が単独でやって来ました。 
巣口Rを飛び越えて右へ。 


シーン9:8/12・午後19:13(@2:35〜) 
右上奥から獣道を通ってアナグマの幼獣?が登場。 
巣口Lを素通りして左へ向かいます。 


シーン10:8/12・午後19:13・小雨(@2:50〜) 
左からノソノソと歩いて来た個体が巣口Rの真上を通って右へ行きました。 
すぐにまた右から広場に駆け戻って来ました。 
巣口Rの匂いを嗅いでから、なぜか慌てたように右へ走り去りました。 
 独りではしゃぎ回る行動がいかにも幼いので、成獣ではなさそうです。 
もはや体つきでは幼獣と成獣の差が分かりにくくなってきました。 
小雨がぱらついているようです。


シーン11:8/12・午後19:14・気温33℃(@3:20〜) 
レンズの手前に居座っていたザトウムシ?がようやく居なくなり、画面がすっきりしました。
広場から左へ立ち去る幼獣が写っています。 


シーン12:8/14・午前10:58・晴れ・気温29℃(@3:28〜) 
明るい午前中遅くに、右からやって来たアナグマが巣穴Lに入りました。 


※ 動画の一部は編集時に自動色調補正を施しています。 



ホンドタヌキの溜め糞場に誘引され新鮮な糞を食すオオヒラタシデムシ

 

2023年8月上旬・午後12:00頃・晴れ 

防風林のスギ倒木横にあるホンドタヌキNyctereutes viverrinus)の溜め糞場phを定点観察しています。 
スギの落ち葉が堆積した林床を1匹のオオヒラタシデムシNecrophila japonica)成虫が溜め糞場phに向かって歩いて来ました。 
新鮮な糞便臭を触角で嗅ぎ取って誘引されたのでしょう。 
 溜め糞上で獲物を待ち伏せしていた肉食性のサビハネカクシOntholestes gracilis)は慌てて逃げ、糞塊の小穴に潜り込みました。 
頭かくして尻隠さず。 
体が大きくて硬い鞘翅で守られたオオヒラタシデムシは、サビハネカクシが狩る対象にはならないようです。

溜め糞の縁に辿り着くと、オオヒラタシデムシは直ちに新鮮な糞を食べ始めました。 
咀嚼する口器の動きがしっかり見えます。 
いつも背側から見下ろすように撮影していたので、食糞シーンは初見です。 

オオヒラタシデムシの体表に付着した赤ダニ(種名不詳)が何匹も動き回っています。 
このダニはシデムシに寄生しているのではなく、ただ便乗(ヒッチハイク)しているだけです。 
…と言われているのですが、溜め糞や死骸などの新天地に辿り着いた後で赤ダニがシデムシの体から降りるシーンを私は未だ見たことがありません。 


関連記事(7年前の撮影)▶ オオヒラタシデムシに便乗するダニ 


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以下の写真は、同じ日に撮った溜め糞場phの様子です。
動画撮影を優先してから写真撮影のために近づくと、溜め糞に集まっていた虫がすべて逃げてしまいました。

2024/05/01

夜のニホンアナグマ旧営巣地で野ネズミがホンドタヌキとニアミスすると…【トレイルカメラ:暗視映像】

 

2023年8月中旬 

ニホンアナグマMeles anakuma)の家族が転出した後も旧営巣地(セット)を新旧2台のトレイルカメラで見張っています。 


シーン1:8/19・午前4:20頃・(@0:00〜)日の出時刻は午前4:54。 
夜明け前に奥の二次林からホンドタヌキNyctereutes viverrinus)が単独で登場しました。 
一旦左の死角へ消えてからセットに戻ってきました。 
アナグマの巣口Rを覗き込んで匂いを嗅いでから左に立ち去りました。 

その間、画面の右端から1匹の野ネズミ(ノネズミ)が現れました。 
 暗闇でタヌキの気配に気づくと、手前の灌木の陰に隠れました。 
左からタヌキが近づくと、野ネズミは慌てて右へ走り去りました。 
タヌキは野ネズミの存在に気づいていないようです。 
獲物を追いかけて狩ろうとする行動は見られませんでした。


シーン2:8/19・午後19:21頃・(@0:49〜) 日の入り時刻は午後18:31。
同じ日の晩にも、左へ立ち去るタヌキの後ろ姿が写っていました。 
タヌキが居なくなると、アナグマの巣口Lから野ネズミがピョンと飛び出しました。
広場を走って横切ります。 


【考察】 
タヌキvs野ネズミという異種間のニアミスは初見です。 
ネコやキツネなどと違って鈍臭いタヌキは生きた野ネズミを狩る能力はないようです。 
それでも野ネズミは用心して、夜の森ではタヌキを避けて暮らしていました。



水田の畦道に並んで羽繕いするカルガモ3羽の群れ(野鳥)

 

2023年7月上旬・午前11:15:頃・くもり 

カルガモAnas zonorhyncha)3羽の群れが田んぼの畦道に並んで羽繕いしていました。 
右端で少し離れた個体は、後ろ向きで片足立ちしています。 
やがて左の2羽が相次いで奥の水田に降りて、姿が見えなくなりました。 
おそらく私を警戒して逃げたのでしょう。 
最後まで残った右端の個体は片足立ちのままです。
まさか怪我した足をかばっているのか?と思いましたが、動くまで待ち切れませんでした。 
おそらく片足ずつ持ち上げて筋肉を休めたり、冷えた足を温めたりしているのでしょう。

2024/04/30

スギ倒木横のタヌキ溜め糞場で未消化の種子を食べる夏の野ネズミ【トレイルカメラ:暗視映像】

 



2023年8月上旬〜中旬 

スギ防風林で倒木の横にホンドタヌキNyctereutes viverrinus)が残した溜め糞場phに監視カメラを設置すると、野ネズミ(ノネズミ)の活動が夜な夜な記録されます。 
今回は倒木の上を渡り歩くシーンを除いてまとめました。


シーン0:8/4・午後12:07・晴れ(@0:00〜) 
たまたま明るい昼間に撮れた現場の様子です。 
真夏のスギ林床はシダ植物が繁茂しています。 
真っ直ぐなスギの風倒木が林床に放置され、その左横で立木の下に黒々としたタヌキの溜め糞場phがあります。 


シーン1:8/6・午後23:34(@0:03〜) 
深夜に野ネズミがスギ倒木の下をくぐり抜けて右へ向かいました。 


シーン2:8/7・午前0:59(@0:20〜) 
日付が変わった深夜未明に、スギ立木の根本に野ネズミが登場しました。 
目の前で黒い虫(なんとなくカマドウマの仲間?)がスギの根元から木登りし始めても野ネズミは全く気づいていないようで、暗闇では捕食しませんでした。 
夜に野ネズミが虫を捕食するとしたら、視覚に頼らず聴覚やヒゲの触覚を頼りに狩りを行うのでしょう。
タヌキの溜め糞場phには立ち寄らず、スギの根本を回り込んで手前に徘徊します。


シーン3:8/8・午前0:12(@0:36〜) 
翌日の深夜に林床を左から来た野ネズミがスギ倒木の下に潜り込み、くぐり抜けると反対側にピョンと出てきました。 


シーン4:8/8・午後22:35(@0:50〜) 
同じ日の晩遅くに、スギ立木の背後から右に野ネズミがひょっこり現れました。 
下草の生い茂る林床で少し回り道をしたものの、70分前に跛行タヌキが排泄したばかりの新鮮な大便の匂いを嗅ぎつけたようです。 
溜め糞場phに来ると野ネズミは立ち止まり、何か食事をしました。 
未消化のまま排泄された果実の種子を採食したのか、それとも小型の糞虫を捕食したのか、映像では見極められませんでした。 
食後はスギ倒木の下をくぐり抜けて右に走り去りました。 
林床を糞虫らしき黒い甲虫が溜め糞phに向かってゆっくり歩いてくる様子がついでに撮れていました。 


シーン5:8/14・午前2:05(@1:44〜) 
6日後の未明に野ネズミが奥からやって来ました。
(倒木から右に飛び降りた直後かもしれません。)
シダ植物が繁茂する右の林床エリアで餌を探し歩いています。


シーン6:8/14・午前3:39(@2:03〜) 
スギ立木の左のエリアをウロチョロしています。(探餌徘徊)

※ 動画の一部は編集時に自動色調補正を施しています。 


【考察】
真夏のタヌキ溜め糞場phに野ネズミはあまり通っていないことが分かり、意外でした。
わざわざ不潔な溜め糞の中から食べ物を探さなくても、盛夏の森では他に餌が豊富にあるのでしょう。

この時期に溜め糞場phを現場検証すると、大量の種子が溜め糞に見つかります。
糞分析は今後の課題ですが、ヤマザクラの実を最近タヌキが食べたのではないか?と勝手に想像しています。(この時期ウワミズザクラの果実は未だ熟してないかも?)
せっかくタヌキのおかげで種子散布が成功しかけたのに、野ネズミなど種子捕食者に一部は食べられてしまいます。
秋から冬にかけて餌が乏しくなると、野ネズミはタヌキの溜め糞場によく通って種子を次々に捕食するはずです。(他の地点の溜め糞場で観察した結果に基づく予想)

この溜め糞場phからヤブコウジの実生が育ちつつあるということは、タヌキがヤブコウジの赤い実を冬に食べたのかもしれません。※
陰樹のヤブコウジは日照に乏しいスギ林床でもなんとか育ちますが、陽樹ヤマザクラの種子がタヌキによって運ばれてきても、発芽した実生が暗いスギ林の中で育つのはまず無理でしょう。
タヌキが落果を食べて堆肥に埋もれる形で散布された種子も勝ち組とは限りません。
発芽しても日光が少ない場所では他の植物との競争に負けて生育できないからです。
それこそ暴風や落雷によってスギの木が新たに倒れたり人為的に間伐されたりして林冠ギャップが広がり、日光が射すようにならないと、種子散布は成功しません。
こうして考えると、動物散布型の植物はおそろしく確率の低い可能性に賭けて大量の種子を毎年黙々と生産していることが実感できるようになりました。

※ 元々ヤブコウジの小群落が生えていた地点に後からタヌキが溜め糞を排泄するようになった、という可能性はあります。
真面目に糞分析をして、ヤブコウジの種子が含まれていることを確かめるとともに、ヤブコウジの群落でタヌキが熟果を採食する証拠映像をトレイルカメラで撮る必要があります。

つづく→

ムシトリナデシコの花で2頭のウラギンヒョウモン♂が仲良く並んで吸蜜

 

2023年6月中旬・午後12:10頃・晴れ 

平地の農道沿いに咲いたムシトリナデシコの群落でウラギンヒョウモン♂(Fabriciana adippe)が訪花していました。 
翅を開閉しながら花筒に口吻を深く差し込んで吸蜜しています。 

特定の個体に注目して撮影していたら、隣の花序に飛び移った先で、2頭の♂が仲良く並んで同時に訪花しました。 
翅表に性斑(性標)があることから、2頭ともに♂と分かります。 
すぐに飛び去ったものの、誤認求愛も縄張り争いもしないで仲良く吸蜜したのが意外でした。 
一素人の勝手な想像ですが、羽化直後の♂は吸蜜やミネラル摂取に専念するのかもしれません。 
短いニアミスを1/5倍速のスローモーションでリプレイ。 

定量的に調べた訳ではありませんけど、ヒョウモンチョウの仲間で私がフィールドで一番良く見かけるのはミドリヒョウモンという印象があります。 
この時期にウラギンヒョウモンばかり撮れたのは、たまたまかもしれませんが、何か理由がある気がします。
真っ先に羽化するのがウラギンヒョウモンであるとか、異常気象の影響であるとか…。
(ぼんやり眺めていた以前よりも観察眼の精度が上がってきたのかな?)

最近の研究によると、本州のウラギンヒョウモンは、低標高地のサトウラギンヒョウモンと高標高地のヤマウラギンヒョウモンに分かれることが明らかになったそうです。 
私は見分け方をまだ知らないのですが、今回の撮影地は明らかに低標高(平地)です。 
学名もまだ定まっていない(諸説ある)らしいので、とりあえず細分化される前の古い名前を踏襲します。 


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2024/04/29

単独または子連れでニホンアナグマの旧営巣地に立ち寄るホンドタヌキ【トレイルカメラ:暗視映像】

 



2023年8月上旬〜中旬 

ニホンアナグマMeles anakuma)の家族が転出した後の旧営巣地にホンドタヌキNyctereutes viverrinus)が出没するシーンをまとめました。 
個体識別が完全にできていれば面白いドラマが読み取れるはずですが、まだまだ修行が足りません。

シーン0:8/4・午後13:23・くもり(@0:00〜) 
シーン1:8/4・午後13:59・晴れ(@0:04〜) 
明るい日中にたまたま撮れた現場の状況です。 


シーン2:8/9・午後19:58(@0:07〜) 
5日後の晩にタヌキが奥の二次林に入って立ち去る後ろ姿が写っていました。 


シーン3:8/12・午前4:27・気温22℃(@0:12〜)日の出時刻は午前4:48。 
3日後の明け方に現れたタヌキが慎重に巣穴Lに潜り込んだものの、置くまで完全には入らず、すぐに後ろ向きで外に出てきました。 
左へ。 


シーン4:8/12・午前4:27・(@0:31〜) 
別アングルに設置した広角の監視カメラで続きが撮れていました。 
タヌキは広場の奥の林縁でミズキの立木をぐるっと回り込んでから、左に向かいました。 
なんとなく、ミズキの根元に排尿マーキングしたような気もしますが、はっきりしません。
 (片足を持ち上げませんでした。) 


シーン4:8/12・午後17:54・気温24℃(@1:02〜)日の入り時刻は午後18:40。 
日没前でかなり暗い夕方に巣口Lの匂いを嗅いでいたタヌキが右へ立ち去りました。 


シーン5:8/14・午前6:24・気温23℃(@1:11〜)日の出時刻は午前4:50。 
2日後の薄暗い早朝にはタヌキのペアが登場しました。 
雨上がりなのか、林床の地面がやや泥濘と化しています。 
獣道を右上奥から登場した先頭個体は、巣穴Lには立ち寄らず左へ通り過ぎました。 
間隔を開けて同じ獣道から後続個体が現れ、同じく左へ。 
♀♂ペアなのか、兄弟姉妹なのか、不明です。 


シーン6:8/14・午前6:24・気温23℃(@1:45〜) 
別アングルの広角映像に続きが撮れていました。 
雨上がりで、レンズがやや曇っています。 
前の動画でタヌキが2頭で登場したと思っていたら、実は計3頭が来ていたことが分かりました。 
タヌキ成獣と思われる大型の個体が右へ立ち去る姿がちらっと写っていました。 
巣口Rの匂いを嗅ぎ回っている2頭は、どうやら幼獣のようです。 
やがて幼獣も1匹また1匹と親タヌキの後を追って右に向かいました。 


シーン7:8/14・午前7:54・気温24℃(@2:14〜) 
1時間半後に来たタヌキは毛皮が濡れていました。 
迷うことなく巣穴Lに入ったのに、内検しただけですぐにまた外に出て来ました。 
頭から入って頭から出てきたので、巣内で方向転換できるだけの広い居室があることが伺い知れます。 
身震いして土の汚れを払い落とすと、左へ立ち去りました。 
尻尾の中央部に滴状の黒斑▼がある個体でした。 


シーン8:8/14・午前7:54・(@2:40〜) 
つづきが別アングルのトレイルカメラで録画されていました。 
二次林を奥に歩き去る後ろ姿が写っています。 


シーン9:8/14・午前7:56・(@2:49〜) 
2匹のタヌキが二次林内を駆け回っています。 
はしゃいでいる様子がいかにも幼いので、幼獣の兄弟姉妹だと思います。 
そのまま右へ走り去りました。 
1/3倍速のスローモーションでリプレイ。 


シーン10:8/14・午前10:57・晴れ(@3:11〜) 
3時間後にもタヌキがペアで登場しました。 
林内を右へ向かっています。 
左奥から別個体のタヌキがやって来ました。 
アナグマの旧営巣地(セット)には近寄らず、左に戻ってしまいました。 
今回の2頭は全く独立に別行動していました。


※ 動画の一部は編集時に自動色調補正を施しています。





電柱の天辺で鳴くノスリを追い払うハシブトガラスの親子(野鳥)

 

2023年7月中旬・午後13:10頃・くもり 

郊外の田園地帯を私が歩いていると、電柱に止まっていたノスリButeo japonicus)が警戒して鳴きながら飛び去りました。 
(映像はここから。) 

隣の電柱の天辺に止まり直したノスリは、振り返ってこちらを見ながらピーエ、ピーエ♪と甲高い声で繰り返し鳴き続けます。 
なぜか初めは少し掠れた鳴き声でした。 
鳥も喉に痰が絡まることがあるのでしょうか? 
(私は鳥の咳払いを聞いたことがありません。) 

そこへ1羽のハシブトガラスCorvus macrorhynchos)が右から飛来すると、右手前の電線に止まりました。(@0:42〜) 
着陸直後にカラスは白い糞をポトリと排便しました。(@0:44〜) 
1/5倍速のスローモーションでリプレイ。 
ハシブトガラスの嘴が開いたままなのは、暑さに喘いでいるのでしょう。
 (と言いつつ、肝心の気温を測り忘れました。) 
口内が赤みがかっているので、幼鳥かもしれません。 
やがてハシブトガラスは左隣りの電線にひょいと飛び移り、猛禽を挑発するように接近しました。 
…と思いきや、カラスは左に飛び去りました。 
ノスリは電柱の天辺から油断なくその行方を目で追っています。 

鳴き続けるノスリは、その場で足踏みしながらこちらに向き直りました。 
ハシブトガラスが再び飛来し、手前の電線に着陸しました。(@1:57〜) 
さっき飛び去った個体よりも嘴が明らかに太いので、成鳥のようです。 
このハシブトガラス個体は嘴を閉じたままでした。 

モビング(嫌がらせ)するカラスは黙っているのに、ノスリはずっと鳴き続けています。 
逆にノスリが鳴く声を聞きつけて周囲のカラスが集まってくるのではないかと思うのですけど、カラスに対する威嚇のつもりなのでしょうか? 
ノスリは鳴き方のバリエーションが乏しく、警戒声も同じです。 
(私の耳が慣れてないだけかもしれません。) 
周囲でニイニイゼミ♂が絶え間なく鳴き続けています。 

少しズームアウトすると、2羽の位置関係がよく分かるようになりました。 
ハシブトガラスは電線からノスリを見上げながら、手前の電線を右に左に飛び移っています。 
天敵の猛禽に対して挑発し、心理的な圧力をかけているのでしょう(嫌がらせ)。 

カラスが心理戦を仕掛けると、ノスリはいつも負けてしまいます。
下の車道を車が通りかかったのをきっかけに、ノスリは右へ飛び立ちました。(@2:29〜) 
羽ばたきと滑空を交互に繰り返して山林の方へ飛び去りながらもピーエ♪と一声発しました。 
ノスリが飛び立つ瞬間を1/5倍速のスローモーションでリプレイ。(@2:49〜)
猛禽が力強く羽ばたくと、翼の下面にノスリに特有の斑紋が見えます。 
 (動画編集時に逆光補正しています。) 
逃げるノスリをカラスは追いかけず、むしろ逆に左へ飛んで逃げていました。 

ノスリを流し撮りしていたカメラを戻すと、ハシブトガラスの幼鳥が電線に戻っていました。 
相変わらず嘴を半開きにしています。 
ハシブトにしては嘴が細く、嘴の中が赤いので幼鳥と分かります。 
縄張りから天敵の猛禽を追い払ったカラスは、リラックスして羽繕いを始め、身震いしました。 
嘴を閉じるとハシブトっぽい見た目になりますが、頭部の膨らみは未発達です。 


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2024/04/28

夏の昼間に延々と追いかけっこや取っ組み合いをして遊ぶニホンアナグマの幼獣4頭【トレイルカメラ】

 



2023年8月上旬

ニホンアナグマMeles anakuma)の母子が明るい日中から再び旧営巣地に戻ってきました。 
今回は珍しく幼獣4頭が勢揃いして仲良くはしゃぎ回っています。 
(独り遊びが好きな個体が1頭いるのです。)
真夏の昼の二次林内には蝉しぐれが響いています。 
母親は幼獣の遊びに付き合うことはありません。

シーン1:8/6・午後12:01・晴れ・気温32℃(@0:00〜) 
冒頭で幼獣2頭が相次いで巣穴Lに素早く潜り込みました。 
右上奥の獣道から別の幼獣2頭が追いかけっこや格闘遊びをしながら向かって来ます。 
地上の騒ぎを聞きつけたのか、1頭の幼獣が巣口Lから外に顔を出しました。 
獣道でくんずほぐれつしていた幼獣の1頭が走って入巣Lすると、もう1頭も追いかけてきました。 
巣口Lで対面すると、口を開けました。 
相手に歯を見せつけて牽制するというよりも互いに軽く甘噛みしているようですが、威嚇の鳴き声は聞き取れません。 


シーン2:8/6・午後12:02・晴れ・(@1:00〜) 
2頭の幼獣aとbが巣口Lで激しい格闘遊びを続けています。 
その間に幼獣cが出巣Lすると左へ向かいました。 
しばらくすると、巣L内に篭もって居た幼獣dが巣口Lに顔を出し、兄弟(姉妹)の取っ組み合いを見物しています。 
このときガ、ガ、ガ…♪という軽い唸り声が聞こえました。 
(どの個体の鳴き声か不明です。) 

幼獣dが格闘中の2頭abの間をすり抜けて、左へ駆け出しました。 
 左から相次いで戻ってきた幼獣cdが獣道で遊び始めました。 
相手の目の前で軽くジャンプしてみせるのが挑発行為と言うか、遊びに誘う行動のようです。 
追いかけっこからの格闘遊びが始まります。 
対戦相手は流動的で、cがabの遊びに参戦しました。


シーン3:8/6・午後12:03・晴れ・(@2:00〜) 
プルルル…♪(またはグルルル…♪)と聞こえたのは、幼獣の格闘遊びに伴う威嚇の鳴き声でしょうか。 
左の広場で幼獣2頭が疲れを知らず、はしゃぎ回っています。 
やがて1頭が塹壕に隠れるように後ろ向きで入巣L。(@2:25〜) 

次に右奥から獣道を走ってきて巣穴Lに入ったのは母親♀ですかね? 
毛皮の茶色味が濃い個体でした。 


シーン4:8/6・午後12:04・晴れ・(@2:51〜) 
出巣Lした成獣(母親♀)の横で幼獣1頭がはしゃぎながらまとわりついています。 
毛色が濃い成獣の右首筋には交尾痕が認められたので、ヘルパー♂ではなく♀だと思います。 
腹面の乳首はあまり目立たなくなりました。
交尾中に♂が♀の背部を強く噛むことによってできる傷は交尾痕と呼ばれる。(金子弥生『里山に暮らすアナグマたち: フィールドワーカーと野生動物』p74より)
母親♀は身震いしてから右に立ち去りました。 
幼獣は巣穴Lに戻って留守番です。 
…と思いきや、しばらくすると巣内Lの幼獣が外へ出て来ました。(左へ) 


シーン5:8/6・午後12:07・晴れ・(@3:24〜) 
画面の左端で幼獣の尻尾だけが見えています。 
広場の地面に転がっている長い落枝が動いているので、巣口Rで幼獣が何かしていることが伺えます。 
やがて、幼獣2頭を連れた母親♀が左から現れました。 
そのまま3頭の母子は右上奥の獣道を歩き去りました。 
出遅れた幼獣1頭が左から来ましたが、母親♀たちを追いかける様子を見届ける前に録画終了。 


シーン6:8/6・午後12:07・晴れ・(@3:51〜) 
再び幼獣2頭が巣口Lに戻ってきていて、小声で唸りながら1対1の格闘遊びを繰り広げています。 
そのまま左に消えました。 


※ 動画の一部は編集時に自動色調補正を施しています。 
※ 鳴き声が聞き取れるように、音声を正規化して音量を強制的に上げています。 



ホンドタヌキの溜め糞場に集まるオオヒラタシデムシとクロボシヒラタシデムシについて

 

2023年7月中旬・午後12:30頃・晴れ 

ホンドタヌキNyctereutes viverrinus)がスギ防風林の倒木横に残した溜め糞場phを定点観察しています。 
溜め糞に集まるシデムシ類に変化がありました。 



それまでは赤黒のクロボシヒラタシデムシOiceoptoma nigropunctatum)の成虫および幼虫だけだったのに、真っ黒なオオヒラタシデムシNecrophila japonica)の成虫も多数来るようになりました。 
ペアが成立して交尾しているオオヒラタシデムシ♀♂も居ます。
並んで糞食していたシデムシ幼虫同士の小競り合い(闘争・逃走シーン)が撮れていて、興味深く思いました。(@0:20〜) 
餌は豊富にありますから、占有行動の必要はないと思っていました。(金持ち喧嘩せず) 

甲虫(鞘翅目)では他に、肉食性のサビハネカクシOntholestes gracilis)も1匹だけ、下に掲載した写真に写っています。 

次は双翅目について。
メタリックグリーンに輝く常連のキンバエ(種名不詳)とは別に、見慣れない微小でカラフルなハエが溜め糞上で翅紋を誇示していました。 
この気になるハエは別の溜め糞場wbc-1にも来ていたので、改めて別の記事で紹介することにします。



昆虫以外では、オカダンゴムシArmadillidium vulgare)およびワラジムシPorcellio scaber)の等脚目が溜め糞に群がっています。 


【考察】 
私のフィールドで溜め糞場に集まるシデムシ類の季節消長を定量的にきっちり調べた訳ではありませんが、どの溜め糞場でも毎年春になって真っ先に現れるのがクロボシヒラタシデムシで、オオヒラタシデムシは遅れてくるという印象があります。 
まるで登場役者が交代するように、クロボシヒラタシデムシが居なくなった後もオオヒラタシデムシがしばらく残ります。 
つまり、この2種は出現季節を少しずらすことで、溜め糞場という同じニッチに棲み分けをしているようです。

クロボシヒラタシデムシは成虫越冬で、いち早く休眠越冬から覚めるようです。 
それに対してオオヒラタシデムシの成虫は夏になってようやく羽化してくるのか?と推測したのですが、wikipediaによるとオオヒラタシデムシも成虫越冬らしい。 
となると、オオヒラタシデムシ成虫が遅れて溜め糞場に出現する理由が分かりません。 
・まさか夏になるまで休眠越冬から覚めないのでしょうか?
雪国では幼虫または蛹で越冬するのではないか?と定説を疑いたくなります。 
もしかするとオオヒラタシデムシは寒さに弱くて、雪国では越冬に成功する成虫の数がきわめて少ないのでしょうか?
・今のところ私は目視で溜め糞場のシデムシ類を探しているだけです。
したがって、もしもオオヒラタシデムシが獣糞の中に潜り込んでいるとしたら、見えてないだけという可能性があります。
・あるいは越冬直後のオオヒラタシデムシは、獣糞よりも死肉への嗜好性が高いのかもしれません。
腐肉を使ったトラップを仕掛けてみて、オオヒラタシデムシの成虫が春から現れるかどうか、確かめてみたいものです。

シデムシ類の幼虫は三葉虫みたいな形態をしているのですが、私は種類の見分け方を知りません。 
シデムシ類の幼虫を飼育してみることが謎解きのヒントになるかもしれません。

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