2013/03/09

ヒトに対して警戒声♪を発する見張りのニホンザル@雪山



2013年1月下旬

雪山を遊動する野生ニホンザル(Macaca fuscata)の群れを追っていると、樹上で警戒声と思われる鳴き声を発する個体(成獣)と出会いました。
小型犬みたいにキャンキャン♪と繰り返し鳴いています。
枝に後ろ向きに座っていますが、頻繁に振り返りこちらの様子を窺っています。

どうやら私が立ち止まって撮影していると、あまり鳴いてくれません。
木の上の方にどんどん登り、街灯の支柱の天辺に達しました。
お尻が一瞬見えたものの、性別は不明です。

そこで今度はスノーシュー(西洋かんじき)で雪道を歩きながら撮影してみると案の定、クワン、クワン♪と甲高い声で再び鳴き始めました。
こちらが立ち止まると鳴き止みます。

同行者がいればもっと楽に記録できたかもしれません。
手前の木の枝に隠れて見えにくいですけど、街灯の天辺に座ってこちらを油断なく見下ろしています。
群れの見張り役を務めているのでしょうか?
この日は他にも多数のニホンザルと遭遇しましたが、私というヒトの闖入者に対してあからさまな警戒声を繰り返し発したのはこの個体だけでした。
この猿だけ人馴れしていない個体なのか、あるいは最近爆竹などでヒトに追い払われた経験のある個体なのかもしれません。

私の耳にはこの鳴き声がキャンキャン♪と聞こえたのですが、ニホンザルの研究者が伝統的にクワン♪と呼んでいる警戒声がこれなのでしょうか。

ニホンザルの有名な警戒音<クワン>(『ニホンザルの生態:豪雪の白山に野生を問う』p18より)
金華山のニホンザルの生態学的研究 :いわゆる警戒音〈クヮン〉について

実は同じ日に、群れの仲間はこの警戒声を聞いても特に切迫した逃避行動などは起こしませんでした。

関連記事→「ニホンザルの警戒声♪に対する反応
警戒を呼びかけるというよりもレベルの低い注意喚起の鳴き声なのかもしれません。
それとも臆病な個体の単なる不安感の表出に過ぎないのでしょうか。

もう一つ興味があるのは、ニホンザルは警戒の対象(例えば猛禽類とか蛇、犬など)によって鳴き声を使い分けているのか?(群れ内の共通認識として語彙があるのか?)という点です。



【追記】
・「ボス」や「リーダー」についていろいろと言われてきた「役割」と同様、若い♂の「見張り」という「役割」も実際には存在しない。(『ニホンザルの生態:豪雪の白山に野生を問う』p164より)

・これまで「警戒声」といわれてきた<クワン>や<ギャン>にしても、発する個体や発せられる音量によって、群れのサルたちの反応はさまざまであることは、これまでに随所で見てきた。
それらは、群れ全体に対する「警戒警報」といったような意味でなく、基本的には発する個体の心的な極度の緊張の表出と理解できる。(同書p323より)


『ニホンザル行動論ノート』第3-1章「音声伝達再考」p200「《クワン》は警戒情報か」より
《クワン》なる音声は、それを発する個体のいかなる心的状況をものがたっているものだろうか。ひとことでいえば、それは“異常にたかまった緊張状態“であろう。




ニホンザルの警戒声を声紋解析してみる

いつものようにオリジナルのMTS動画ファイルから音声をWAVファイルにデコードしてから鳴いている部分を切り出し、スペクトログラムを描いてみました。
比較のため、次回は同じ群れのニホンザルのクーコール(コンタクトコール)も声紋解析してみたいと思います。





シータテハのミネラル摂取



2012年5月上旬

越冬明けのシータテハPolygonia c-album)が日光浴していました。
口吻を伸ばして砂利道を舐めているようです(ミネラル摂取)。
映像の後半、落ち葉で休んでいたのはおそらく別個体だと思います。





2013/03/08

ニホンザルの警戒声♪に対する反応



2013年1月下旬

雪山の樹上で3頭のニホンザル(Macaca fuscata)が毛繕いしています。
成獣が2頭こちらに背を向けて枝に並んで座り、子猿もいます。
手前の枝が邪魔でよく見えませんが、成獣同士が仲良くグルーミングしています。


耳障りな風切り音で聞き取り難いですけど、遠くからキャンキャン♪と小型犬が鳴くように聞こえてくるのは群れの仲間が発する警戒声だと思います。@0:53〜
これを聞くと、樹上の猿は毛繕いの手を止めて声のする麓側を何事かと注視しました(音源定位)。

同じ日に別個体がこの警戒声を発する様子を観察できました。(映像あり)

いつか私もプレイバック実験を試してみたいものです。
(予め録音した猿の鳴き声をスピーカーから流して野生の個体の反応を観察する)


【追記】
『ニホンザル行動論ノート』第3章:音声伝達再考 p220より
本来警戒的(alarming)な音声があるわけではない。《クワン》が警戒情報たり得るのは、《クワン》が他個体の警戒心を呼び起こすという社会的効果によるものである。したがって、音声としては「きわめて強い緊張状態での音声群」と記述する。


白鷺の飛翔と着水【冬の野鳥:ハイスピード動画】



2013年1月下旬

街中を流れる川の中を白鷺が歩いていました。
堤防を除雪車が轟然と行き来するため、水鳥は落ち着きがありません。
今にも飛びそうな予感がしたので、飛び立つ瞬間を220 fpsのハイスピード動画に撮ってみました。
身を屈めてジャンプしながら力強く羽ばたき離陸しました。

飛ぶときは長い首をS字形に折り曲げています。
下流へ向かって少し飛んだだけですぐに着水しました。
離陸よりも減速、着水する方が大変そうです。

チュウサギまたはダイサギだと思うのですが、同定用の写真を撮る余裕はありませんでした。
どなたか低解像度の映像でも見分けられる方は教えて下さい。
ちなみに、同じ川で2011年12月にダイサギの漁を観察しています。



2013/03/07

雪山を駆け下りるニホンザルの群れ



2013年1月下旬

雪山を遊動する野生ニホンザル(Macaca fuscata)の群れを追跡していると、近道して新雪に覆われた崖を駆け下る小群(サブグループ)がいました。
(それとは別行動で、私と同じくつづら折れの林道を進む小群もいます。)
子猿を背負った母猿も続々と下りてきます。
群れの踏み跡がシュプールのように何本も雪山に残ります。



コアオハナムグリ赤銅型がウワミズザクラを採食



2012年5月下旬

山腹に咲いたウワミズザクラの花が満開で、濃密な芳香が辺りに充満しています。
赤銅型のコアオハナムグリGametis jucunda)が採食中でした。
隣には普通の緑色型の個体も訪花していますが、花粉まみれ(泥まみれ?)で真っ白になっています。

関連記事→「ウワミズザクラに訪花するコアオハナムグリの採食と飛翔




2013/03/06

ニホンザル母子の林道遊動と冬芽採食



2013年1月下旬

雪山で野生ニホンザル(Macaca fuscata)の群れに付いて歩くと、首輪を付けた成獣♀と再会しました。
2頭の子猿が雪山の斜面をショートカットして林道に下りると雪を蹴立てて元気に走り去りました。
双子あるいは兄弟の子猿なのでしょうか?
電波発信機付きの首輪を付けた母猿は後からゆっくり付いて行きます。
道端の潅木に腰掛けて休んでいるチビ達のところに母猿も合流しました。
すると子猿の一頭は走り去りました。
こちらは母猿の実子ではなく、子猿の遊び仲間なのかもしれません。

母子が並んで小枝から冬芽を採食し始めました。
母猿の胸に1対の細長い乳首が見えますが、先ほど子猿に母乳を与えたシーンを観察したばかりです。

関連記事→「子猿に授乳・毛繕いする首輪付きのニホンザル♀
子猿も母乳を飲むだけでなく、母猿の真似をして自分で採食することもあるようです(離乳期?)。
母猿は自分で毛繕いしています。

しばらくすると、首輪付きの母猿が子猿を背負って雪道を遊動して行きました。
子猿はついさっきまで元気に走り回っていたのに今度はおんぶしてもらい楽しています。


飛べ!コミスジ【ハイスピード動画】



2012年7月上旬

林縁でコミスジNeptis sappho)が翅を開閉しつつ土を舐めていました。
帽子を投げて驚かせ、飛び立つ瞬間を220 fpsのハイスピード動画に撮ってみました。

wikipediaによると本種の飛び方は
パタパタと数回羽ばたき、数秒ほど翅を水平に開いて滑空する特徴的な飛び方をする。白黒に色分けされた紙切れが風で飛ばされているようにも見える。


2013/03/05

カルガモ(野鳥)の鳴き声♪を声紋解析してみる



2012年7月中旬

山中の池に一羽で飛来したカルガモAnas poecilorhyncha)が水面を移動しながら鳴いています。
クゥワッ、クゥワッ、クゥワッ♪と鳴き続けます。
仲間を呼んでいるのでしょうか?
途中、嘴で水をすくって飲んだように見えますが、どうでしょう。@1:01
池の畔で隠し撮りしている私のことは気づいているかな?



カルガモの鳴き声の声紋解析
いつものようにオリジナルのMTS動画ファイルから音声をWAVファイルにデコードしてから鳴いている部分を適当に切り出し、スペクトログラムを描いてみました。
背景でウグイスなど他の野鳥が賑やかに囀っているため、カルガモとは無関係のピンクノイズが混入しています。
こういう時は、外付けの集音マイクを使えば改善するかもしれません。




子猿に授乳・毛繕いする首輪付きのニホンザル♀



2013年1月下旬

雪山で木の枝に座ったニホンザル♀(Macaca fuscata)が子猿を胸に抱き授乳しながら毛繕いしてやっています。
子猿は母猿の左の乳首を吸っています。
この母猿は黒い電波発信機付きの首輪を装着しています。
黒い首輪はフィールドでも目立つので結構よく見かける個体なのですが、これでようやく♀と判明しました。
体格が立派なので、てっきり♂なのかと思い込んでいました。

この辺りで首輪を付けられているのは何頭もいるのかな?
関連記事→「首輪を付けた野生ニホンザルの落穂拾い
里の方から聞こえてきた車のクラクションに反応して母猿が振り返りました。@1:27
時間をかけて念入りに毛繕いしてもらうと、子猿が動いて母猿から少し離れました。


【追記】
(ニホンザルの♀は)乳首の長さや色から、出産経験のあるサルか否かはわかるし、長さと、ピンク色から紫色への変化の程度によって、おおよその年齢を知ることもできる。(『ニホンザルの生態:豪雪の白山に野生を問う』p199より)








2013/03/04

ゴマダラオトシブミの身繕いと飛翔



2012年5月下旬

里山の日当たりの良い尾根道でゴマダラオトシブミParoplapoderus (Agomadaranus) pardalis)が身繕いしていました。
右の中脚と後脚を擦り合わせた後で、カエデの葉からおもむろに飛び立ちました。

関連記事→「ゴマダラオトシブミの飛び立ちハイスピード動画 (同一個体を撮りました。)


飛べ!トビ【冬の野鳥:ハイスピード動画】



2013年1月上旬

電線に止まっていたトビMilvus migrans)が羽ばたいて飛び立つ瞬間を220 fpsのハイスピード動画に撮ってみました。
長時間粘って撮り続け、ようやく飛んでくれたと思ったら、肝心なときにメモリーカードの書き込みエラーが発生し尻切れトンボになってしまいました…。
何て日だ!!
後半は更に1/4倍速のスローモーションでリプレイしました。


2013/03/03

タケニグサ葉裏の初期巣で肉団子を咀嚼するキボシアシナガバチ創設女王



2012年7月下旬

道端で背高く伸びたタケニグサの葉裏にキボシアシナガバチPolistes nipponensis)の創設女王が営巣していました。
育房内には卵と幼虫だけで、未だワーカーの羽化していない初期巣のようです。
この時期にしてはかなり営巣が遅れた巣です。
おそらく何らかの理由で新しく巣を作り直したものと思われます。

女王蜂は狩りから戻った直後のようで、下向きの巣に脚でぶら下がりつつ獲物の白い肉団子を咀嚼しています。
アシナガバチの創設女王は穏やかな性質であることが普通ですが、珍しく気が荒い個体でした。
間近でストロボを焚いたり接写を続けていたら警戒が高まり、怒って飛びかかって来ました。
肉団子ができたら幼虫に給餌するはずですが、女王様の逆鱗の触れてしまったので、おとなしく退散しました。


初期巣の育房内には幼虫と卵




初期巣@タケニグサ葉裏・全景

やや警戒している。翅を半開きにすると危険の兆し。

藤の種子と蔓の皮を採食するニホンザル♀



2013年1月下旬

雪山で野生ニホンザル(Macaca fuscata)の群れを追っていると、樹上から何かをバリバリ噛み砕く音が響いてきました。
見上げると、木に登った猿が枝に絡みついたフジの蔓から細長い豆果を次々ともぎ取り、採食しています。
固い豆果を歯で割ると、中の種子をほじくり出して食べているようです。
種子は樹皮よりも遥かに栄養価が高そうです。

里の集落から猿を追い払うため爆竹を連射する音が聞こえてきます(猿害対策)。
麓で悪さをしていた(?)猿の一群が慌てたように続々と山へ逃げ込んできます。
一方、樹上の猿は振り返り、豆果を落としました。
犬の鳴き声のようなニホンザルの警戒声も遠くから聞こえてくるので、そちらを見下ろしています。
しかし自分には危険がないと分かると、枝に座ったまま採食を再開。
写真では胸に乳首を認めたので、素人判断で若い♀なのかな?と思いました。

しばらくすると私が更に近づいたため、樹上の2頭が逃げるように相次いで木を下り始めました。
初めの一頭は地上の雪道を逃げ去り、もう一頭は低い枝に留まり採食再開。
後ろ姿で分かり難いのですけど、今度はフジの蔓を引き寄せて樹皮を直接齧っているようです。






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