2023/09/16

笹薮の溜め糞場に夜な夜な一緒に通って排便する3頭のホンドタヌキ家族【トレイルカメラ:暗視映像】

 



2023年3月上旬〜中旬 

下草に笹薮の発達した河畔林でタヌキの溜め糞場rpを自動撮影カメラで見張っていると、2夜連続で3頭のホンドタヌキNyctereutes viverrinus)が一緒に現れました。 

シーン1:3/10・午前4:59・気温1℃・(@0:00〜) 
未明に現れた先行個体aがまず溜め糞rpの匂いを嗅ぐと、南向きで排便を始めました。 
そこへ右から別個体bが登場。 
入れ替わるように溜め糞場rpで南西を向いて軟便を排泄しました。 
更に3頭目の個体cが右からやって来ました。 
溜め糞場rpでbと入れ替わる際にクゥーン♪を小声で甲高く鳴きました。 
cは溜め糞の匂いを嗅いだだけで、先行する2頭abの後を追います。 

親が幼獣を引率して縄張りを案内する場合を除き、3頭のタヌキが行動を共にして溜め糞場に来た様子が撮れたのは初めてかもしれません。 
この3頭はどういう関係性なのでしょう? 
なんとなく、♀♂つがいおよび前年に生まれた子供から成る親子の家族群ではないかという気がします。 
タヌキは基本的に一夫一妻制らしいので、♂2♀1の三角関係なら発情期には♀を巡って♂同士がもっと喧嘩するはずです。 
♂1♀2のハーレムなら三角関係でも(一時的に)平和に暮らせるのかな? 
若い三兄弟(または三姉妹)という可能性もあり得ますが、私にはタヌキの性別や年齢が見分けられません。
タヌキの♂は信楽焼の置物で見られるように、睾丸が大きく発達しているのでしょうか? 


シーン2:3/11・午前4:09・気温0℃・(@1:00〜) 
翌日も未明にやって来ました。 
右から登場した先行個体Aが溜め糞rpの匂いを嗅ぐと、南向きで排便。 
続けざまに別の2頭B、Cが右の暗闇から一緒に登場しました。 
溜め糞場rpの匂いをチェックしながら順番待ちをしている間、Bの背中をCが舐めました(甘噛み?)。 
対他毛繕いされたBはありがた迷惑そうな様子です。 
Aは脱糞後に溜め糞場rpを離れてから身震いしました。 
晴れているのに3頭とも次々と身震いするのは、なぜでしょう? 
Bは溜め糞場rpの匂いを嗅いだだけで立ち去りました。 
またもや小声で甲高くクゥーン♪と鳴く声が聞こえます。 
Cは北西を向いて排便しました。 
そこへ別個体D?(CやAが戻ってきたのかも?)が右から乱入しました。 
尻尾を高々と上げたまま四足でピョンピョン跳ねるようにCへ近づいて来ます。 
幼獣がはしゃいでいるのか、それとも繁殖期に特有の行動なのかな? 
Dは結局、排便せずに仲間と一緒に右へ立ち去りました。 

3〜4頭の家族群も溜め糞場rpに通っている可能性が出てきました。 
個体識別ができてないのに、どんどん難しい応用問題が出されるので、行動の解釈に困ってしまいます。 

※ 動画編集時に音声を正規化して音量を強制的に上げています。



早朝に籾殻の山の頂に陣取るキジ♂(野鳥)がネコの喧嘩に遭遇すると…

 

2023年3月中旬・午前5:50頃・くもり (日の出時刻は5:52) 

郊外で農家の裏の畑に稲の籾殻が大量に積み上げられています。 
日の出直前の薄暗い時刻に通りかかると、その天辺にキジ♂(Phasianus versicolor)が佇んでいました。 
小高い籾殻山の頂は見晴らしが良さそうで、油断なく辺りをキョロキョロ見渡しています。
ねぐらとして一晩中そこで寝ていたのなら面白いのですが、定かではありません。 
さすがに近くの樹上で寝ていたのではないかな?と予想しています。
もしかすると、籾殻の山は発酵熱でほんのり温かいのかもしれません。 
少なくとも雪山よりは寒くないでしょう。 
見晴らしの良いお立ち台というだけでなく、天然の床暖房にもなってそうです。 
周囲の畑は残雪に埋もれたままですが、籾殻の山に積もっていた雪はいち早く溶けていました。 
冬〜早春にサーモグラフィカメラで籾殻を撮ってみたいものです。

夜明けと共にキジ♂が一番鶏のように大声で鳴く(母衣打ち)のではないかと期待して、愚直に長撮りしてみました。 
「鳴かぬなら、鳴くまで待とうきじ」(字足らず) 

しばらくすると、盛りの付いた雄ネコ♂同士が喧嘩する凄まじい唸り声♪が突然辺りに響き渡りました。(@1:08〜) 
イエネコFelis silvestris catus)の鳴き声を聞いた途端に、全身膨らませていたキジ♂の羽毛がスッと萎んだのは、怯えや自信喪失の現れでしょう。 
猫の鳴き声のした右に私が慌ててカメラを振ると、キジトラ♂が民家の軒下をぐるっと回って走り去るところでした。 
春はネコの発情期で、雄猫♂同士で縄張り争いや♀を巡る喧嘩が激しくなります。 
逃げる喧嘩相手を追い回すキジトラ♂を1/5倍速のスローモーションでリプレイ。(@1:23〜) 
縄張り争いに夢中のネコは、キジ♂のことなど眼中にありません。
全く気づいていないようです。 

カメラをキジ♂に戻すと、いつの間にか籾殻山の天辺に座り込んでいました。 
天敵(捕食者)の猫に見つからないように、姿勢を低く伏せていたのでしょう。 
キジ♂は派手な体色ですから、地味な♀と違って保護色(カモフラージュ)の効果は期待できません。
もしも猫に襲われたら飛んで逃げたはずです。 
それまではいかにも勇ましい「お山の大将」というイメージだったのに、危険が迫ると実際のキジ♂は臆病なようです。 

小山の上にうずくまるキジ押す音姿は、まるでツカツクリの巣のようだと連想しました。 
ただし、キジ♂は抱卵や育雛を100%♀に任せるので、的外れな連想です。
ツカツクリ科(ツカツクリか、Megapodiidae)は、鳥綱キジ目に属する科。 本科の構成種は鳥綱では唯一抱卵を行わない。地面に穴を掘ったり、塚状の巣を作りその中に卵を産む。卵は日光や地熱、巣材植物質の発酵熱により温められ孵化する。穴や塚の中の温度は掘り起こしたり、逆に砂や落ち葉をかけることで調整する。(wikipediaより引用)

ネコの大騒ぎが収まると、キジ♂はおそるおそる立ち上がり、中腰で周囲を見回しています。
長撮りしても、結局キジ♂はケンケーン♪と鳴いてくれませんでした。 
私に対して警戒していたのかもしれません。
出かける途中で急いでいた私は痺れを切らして撮影を打ち切りました。 

以下のスナップ写真は、自動色調補正を施してかなり明るく加工しています。
立位
座位
中腰


2023/09/15

早春でも雪深いスギ林道を深夜に駆け抜ける冬毛のニホンノウサギ【トレイルカメラ:暗視映像】

 



2023年3月上旬・午前3:27・気温-3℃ 

早春でもなお雪深い里山のスギ林道を自動センサーカメラで見張っていると、深夜に冬毛のニホンノウサギLepus brachyurus angustidens)が横切りました。 
白兎が林道を右から左へ一気にピョンピョン駆け抜けて行きました。 
雪面は固く凍っているようで、ノウサギの足は潜りません。 
1/3倍速のスローモーションでリプレイ。(@0:08〜) 

※ 後半は動画編集時に自動色調補正を施して明るく加工しました。 


このスギ林道をトレイルカメラでほぼ通年監視しているのですが、不思議なことにノウサギが写るのは積雪期が圧倒的に多いです。 
夏はフクロウなど夜行性の捕食者を恐れて専ら草むらに潜み、林道にもほとんど出てこないのでしょうか? 
それとも夏はあまりにも高速で林道を駆け抜けるために、トレイルカメラの起動が間に合わず、撮り損ねているのかもしれません。


早春の朝にカキノキ樹上で朗々とさえずる合間に脱糞するホオジロ♂【野鳥:4K動画】

 

2023年3月中旬・午前7:45頃・晴れ 

山麓の農村部で民家の庭に植栽されたカキノキの天辺に止まったホオジロ♂(Emberiza cioide)が美声で延々とさえずり続けています。 
柿の木は落葉したままで、冬芽は未だ芽吹いていません。 

初めは手持ちカメラで撮っていたのですが(映像公開予定)、長々とカメラを向けても逃げません。 
そこで三脚を立ててカメラを固定し、高画質の4K動画で撮影してみました。 

囀りさえずりの途中で鳴き止むと尾羽根を軽く持ち上げ、少量の白い糞をポトリと排泄しました。(@0:41〜) 
用を足してスッキリしたホオジロ♂は囀りを再開したものの、節回しを1回歌っただけで、右下に飛び去りました。

2023/09/14

笹薮の溜め糞場で早春に並んで排便するホンドタヌキのペア【トレイルカメラ:暗視映像】

 



2023年3月上旬・午後20:55・気温-1℃ 

河畔林で笹薮に囲まれた溜め糞場rpを自動撮影カメラで見張っていると、ホンドタヌキNyctereutes viverrinus)が2頭同時に現れました。 
私には性別を見分けられませんが、♀♂ペアだと思われます。 
(ちなみに、2時間15分前には単独個体が溜め糞場rpをチェックしに来ていました。)

動画の冒頭から1頭aが西を向いて排便中でした。 
便秘なのか、排便体勢のまま長引いています。 
右へ少しずれたので排便を諦めたのかと思いきや、左で待機していたパートナーbが待ち切れなくなったようで、ペアで仲良く並んで排便を始めました。 (bは南西を向いて排便。) 

bは脱糞しながら、なぜかaと溜め糞の間に強引に割り込みました。 
その結果、脱糞中のパートナーaの肛門が自分の右肩に触れているのに気にしません。 
たまたまかもしれませんが、初めて見る行動です。 
我々ヒトの感覚では不潔な異常性癖?に見えます。 
aがbの体に尻を擦り付けて積極的に匂い付けしたのではなく、bが自ら好んでaに匂い付けしてもらったように見えました。 
早春の発情期と関係あるとしたら、互いに匂い付けするアロマーキングで絆を強めているのかもしれません。 (深読みし過ぎかな?) 

a、bの順で排便を終えると、パートナーを待たずに右(奥)の残雪を横切って立ち去りました。 



猿害対策:空砲を撃ってニホンザルの群れを追い払い山里の畑を食害から守る

 

前回の記事:▶  


2022年8月下旬・午後16:00頃・くもり 

山麓の集落で野生ニホンザルMacaca fuscata fuscata)の大群と遭遇した後で私が更に下山していると、辺りで発砲音が繰り返しこだましたので山林の方を振り返りました。 
銃犯罪とは無縁の日本で銃声を聞くとギョッとしますが、山麓の農村部では珍しくありません。 
山から里に降りてきたニホンザルの群れが家庭菜園や畑の農作物を次々に食い荒らしてしまいます。 
ニホンザルによる食害(猿害)が深刻なので、さまざまな対策をするようになりました。 
猿の群れが山から降りてくると、住民がロケット花火や爆竹、空砲を撃ちまくって脅かし、山へ追い返します。 
今回私からは少し遠いので、悲鳴を上げて山林に逃げ込むニホンザルの鳴き声は聞き取れませんでした。 
ほとぼりが覚めるとニホンザルの群れはまた戻ってくるので、いたちごっこです。 

犬猿の仲であるイヌをニホンザル撃退専門に訓練してから山村をパトロールし、ワンワン♪鳴いて猿を追い立てることで効果を上げている地域もあるそうです。 
当地でモンキードッグは未だ導入されていません。 

動画に登場する畑はただのネットで覆われているだけですが(鳥害対策?)、最近ではお金を投資して電気柵で畑全体を厳重に囲うようになりました。(下の写真を参照) 
電気柵のバッテリーはソーラーパネルで充電するようです。

蒲谷肇『千葉県におけるシカとサルによる農林業義外と対策』(1995)を読むと具体的に書いてありました。
サルの防護は、3,000〜8,000Vの高圧微弱電流(500mA以下) が約1秒間隔のパルスで金属線に流れている電気柵でサルの侵入を防ぐことによる。電気柵が効果を失うのは、主として蔓が伸びて金属線に絡みつき漏電する場合とサルが柵の近くの高い木に登って農耕地等に跳びこむ場合である。(『現代生態学とその周辺』p171より引用)
少し古い資料ですし、電気柵メーカーや機種によって違うのかもしれませんが、パルス電流を流しているとは知りませんでした。

ちなみに、空砲を連射しても周囲のミンミンゼミ♂♪は鳴き止みません。 
セミが鳴く木の下で大砲をぶっ放したファーブルの実験を思い出しました。

2023/09/13

雪崩に埋もれた渓谷を深夜に連れ立って渡る2頭のニホンカモシカ【トレイルカメラ:暗視映像】

 



2023年3月上旬・午前1:20頃

2月中旬に発生したと思われる雪崩によって里山の深い渓谷が埋もれてしまっています。 
深夜に2頭のニホンカモシカCapricornis crispus)が渓谷の右岸に現れました。 
2頭が連れ立って対岸(左岸)に向かって雪崩跡の上を慎重に渡り始めました。 
この日の雪質はやや凍っているようで、カモシカの体重をなんとか支え切れるぐらい硬いようです。 

ニホンカモシカはウシ科なのに群れを作らず、単独行動が基本です。 
この2頭に体格差はほとんどありませんが、おそらく母子だと思います。 
後続個体の方が体毛が白っぽく、やや小柄です。 
成獣の♀♂ペアだとしたら面白いのですが、定かではありません。 

雪山登山をするヒトはご存知かと思いますが、この雪渓を早春に渡るのは実は結構危険です。 
深い雪に埋もれて見えませんが、渓谷を流れ下る沢の水によって雪渓の底がどんどん溶けて空洞が成長しつつあるからです。 
クレバス上の雪の橋をスノーブリッジと呼びます。 
晴れた昼間は太陽光で雪面が溶かされますから、スノーブリッジは上と下から刻々と薄くなり、時限爆弾のように落とし穴(クレバス)の危険性が増します。 
雪渓を渡る途中でカモシカの蹄が運悪く空洞を踏み抜くと、クレバスに落ちて脱出できなくなる恐れがあります。 
スノーブリッジがカモシカの体重を支え切れずに崩落するかもしれません。
足の骨を折ったりしたら致命的です。 
カモシカの親子がスノーブリッジの危険性を知った上で、最低気温に下がって雪面が固くなる深夜を選んで雪渓を渡ったとしたら、なかなか賢いですね。 
賢母の知恵を子供に伝えていくのでしょう。 

カモシカの親子はなんとか無事に雪崩跡を渡ることができました。 
先行する個体(母親?)に後続の個体(幼獣?)が追いつき、顔を寄せ合っています。 
なぜかそのまま対岸でしばらく佇んでいました。 

逆に渓谷の左岸から右岸に向かって雪崩跡を渡って来るカモシカがトレイルカメラで撮れていないのは、同じ道を通らず一筆書きで縄張りを巡回しているからでしょう。 

※ 後半部は動画編集時に自動色調補正を施して明るく加工しています。




雪解け水の池に産卵するヤマアカガエル♀♂の群れを微速度撮影したい!【チャレンジ#1】

 

2023年3月上旬〜中旬 

早春になると、未だ雪深い里山の池でヤマアカガエル♀♂(Rana ornativentris)の群れが配偶行動および産卵のために集まります。 
毎年通って観察しているのですが、ヤマアカガエルは警戒心が強くて肝心の産卵行動が観察できません。 
そこで今季は、無人カメラを設置して撮影する作戦に切り替えました。 
両生類は変温動物ですから、いくら動き回ってもトレイルカメラのセンサーは反応してくれません。 
そこで次善の策として、インターバル撮影でヤマアカガエルの離合集散を記録することにしました。 

3/8に現場入りすると、雪や氷に閉ざされていた池aの水面が現れ、早くも岸にヤマアカガエルの卵塊が産み付けられていました。 
前回2/27に来たときは卵塊が無かったので、9日間の間(2月下旬〜3月上旬)に今季初の産卵が行われたことになります。 
2023年度 アカガエル産卵前線を参照すると、山形県の記録は登録されていませんでしたが、隣県の新潟県および宮城県とほぼ同じ時期でした。 
てっきり毎年同じ場所に産卵するかと思いきや、2021年とは少し違う地点(下の池bへ水が流れ出る地点)に卵塊が産み付けられていたのが興味深く思いました。 

既に産み付けられた第1陣の卵塊に再び♀♂が集まって追加で産卵するだろうと予想し、三脚に固定したトレイルカメラを池畔に据えました。 
真っ黒な三脚の存在を警戒してヤマアカガエルは岸辺に近寄らなくなるかな?という心配もありますが、やってみないことには分かりません。 

雨が降る日の夜に産卵が活発になると予想して、天気予報を元にして3/8にカメラを設置しました。 
5分間隔のインターバル撮影が順調にいったものの、704枚目の写真を最後に、カメラが水没してしまいました。 
3/11の深夜に突風が吹いて三脚が倒れたようです。 
フクロウなど夜行性の野鳥が三脚の上に止まったのか、あるいは池に来た夜行性の野生動物が三脚に興味を示して触れて倒れたのだとしたら面白いのですが、真相は不明です。 
転倒防止のために、水入りのペットボトルを重しとして三脚に吊るしておくべきでした。 

3/11の早朝に現場入りした私が慌ててトレイルカメラを水中から引き上げました。
トレイルカメラは防水性能が驚くほど優れていて、カメラ本体もmicroSDカードも無事でした。 
カメラの防水パッキンがとても優秀で、6時間も水没していたのに全くダメージが無くて感心しました。 
水没しても律儀に水中写真を5分間隔で撮り続けていました。

3600倍速の早回し映像を確認してみると、なかなか思ったようにはいかず、反省することばかりです。
良かった点として、旧機種でも写真の場合は、気温および月齢のデータを写真に焼き込んでくれます。 
昼間は晴れると枯れ草の影が日時計のように刻々と動きます。 
夜になって暗視モードになると、赤外線LEDの光量が強過ぎて白飛びしていました。
真上から水面を見下ろすアングルでカメラを設置したので、赤外線の反射光をレンズが直視してしまいました。 
少し斜めに見下ろすアングルに設置するべきでした。 
それから、この機種は被写体から1.5m以上離す必要があるらしい。 

5分間隔のタイムラプスではカエルの離合集散がよく分からないので、もっと間隔を縮めた方が良さそうです。 
意外にもヤマアカガエルは夜にあまり集まって来ないようです。 
やはり♀はカメラ(三脚)の存在を警戒した結果、少し別の場所で産卵したのでしょうか? 
産卵地点が予測不能だとすれば、池全体を俯瞰で見張るように、カメラを池から少し離した方が良いかもしれません。 

3/11に現場入りして調べると、池aの別な地点(例年通り)に新たな卵塊が追加で産み付けられていました。 
これで岸辺の卵塊は2ヶ所になりました。 
下の池bにもヤマアカガエルの卵塊が1個産み付けられていました。 

もう一度インターバル撮影にチャレンジしてみましょう。 
色々と試行錯誤してみるしかありません。 


2023/09/12

笹薮の溜め糞場で夜な夜な排便に通い鳴く♪早春のホンドタヌキ【トレイルカメラ:暗視映像】

 



2023年3月上旬〜中旬 


河畔林の笹薮に残された溜め糞場rpに単独で通って来るホンドタヌキNyctereutes viverrinus)の記録です。 

シーン1:3/3・午後18:39・気温0℃・(@0:00〜) 
自動撮影カメラを設置した当日の晩に早くもタヌキが現れました。 
登場シーンを撮り損ねましたが、オニグルミ大木の根元にある溜め糞rpをチェックしただけで右へ立ち去りました。 
早春の残雪は凍結していてタヌキの足は潜らず、足跡も残りません。 
オニグルミ大木の背後に回り込んでから左の笹薮を通り抜け、左下に姿を消しました。 
しばらくすると、行動を共にしているパートナーらしき別個体のタヌキが画面の右奥を左に移動しました。 
赤い丸に注目してください。(@0:33 白い目が光っているだけ) 


シーン2:3/6・午後22:31・気温0℃・(@0:44〜) 
3日後の晩に、河畔林の雪原を歩いて右からタヌキがやって来ました。 
溜め糞rpの匂いを嗅いでから、カメラ目線で(北向き)排便しました。 
脱糞中にクゥーン♪とかすかな鳴き声が聞こえます。(@1:16〜) 
画面に写っている個体の口の動きと鳴き声が同期しているかどうか(リップシンクロ)、はっきりしないので、近くで待っている別個体の鳴き声かもしれません。 
用を足したタヌキは右に立ち去りました。 


シーン3:3/6・午後22:33・気温6℃・(@1:29〜) 
1分半後に別個体が右から歩いて来たものの、溜め糞場rpの匂いを嗅いだだけで手前に立ち去りました。 
溜め糞場rpに軽く小便してマーキングしたようにも見えますが、定かではありません。 
タヌキが居なくなった直後に、甲高くクゥーン♪と2回続けて鳴く声が聞こえました。(@1:43〜) 
発情期のタヌキ♀♂が鳴き交わしているのでしょうか? 


シーン4:3/7・午後23:25・気温0℃・(@1:51〜) 
翌日も深夜にタヌキが現れました。 
右から溜め糞場rpに来て匂いを嗅ぐと、右へ引き返しました。 


シーン5:3/8・午前5:35・気温-3℃・(@2:18〜) 
翌日は夜明け前に登場。 (ちなみに、日の出時刻は午前5:59。) 
溜め糞場rpで北西を向いて排便すると、右上奥へと早足で立ち去りました。 


シーン6:3/8・午後20:34・気温4℃・(@3:05〜) 
15時間後の晩に現れた個体は、西向きで排便し、右に立ち去りました。 
小雪がちらついています。 


シーン7:3/10・午前0:30・気温2℃・(@3:36〜) 
深夜に溜め糞場rpに来て先客の糞の匂いをチェックすると、珍しく南向きで(肛門をカメラに向けて)軟便をボトボトと排泄しました。 
脱糞後のタヌキがカメラを振り返り、クゥーン♪と鳴いたようです。(@4:16〜) 
ただし、この個体の鳴き声かどうか定かではありません。 
(どうやらタヌキは腹話術のように口を閉じたまま鳴くようです。) 

北向きの風に乗って白いフワフワした物体がカメラに向かって降ってくるのは、雪だと思うのですが、もしかすると早春に特有の雪虫のような現象かもしれません。 


シーン8:3/11・午後18:53・気温7℃・(@4:36〜) 
溜め糞場rpに右からやって来たタヌキが、南向きで立派な一本糞を排泄しました。 
タヌキの健康状態も分かるのが溜め糞観察の特長です。 
個体識別ができるようになれば、もっと面白くなりそうです。 

その後タヌキは残雪を踏みしめながら、カメラに向かって真っ直ぐ歩き去りました。 
カメラの背後で小声で鳴きました♪(@5:20〜) 


シーン9:3/11・午後19:32・気温5℃・(@5:25〜) 
40分後に別個体と思われるタヌキが右から登場。 
オニグルミ大木の根元まで来てから少し引き返し、残雪の上でクゥーン♪と掠れ声で遠吠えしました。(@5:37〜) 
パートナーを呼んでいるのか、求愛の鳴き声なのか、初めて聞く鳴き声でした。 
オニグルミ大木の背後を左へ立ち去った後にも、かすかにクゥーン♪という甲高い鳴き声が聞こえました。 


シーン10:3/11・午後19:51・気温6℃・(@5:25〜) 
20分後、右奥の暗闇から白く光る目が現れました。 
溜め糞場rpにまっしぐらにやって来たのに、匂いを嗅いだだけでした。 
左の笹薮を通り抜け、オニグルミ大木の背後を回り込んで右奥に立ち去りました。 


シーン11:3/15・午前9:45・気温13℃・晴れ(@5:25〜) 
よく晴れた朝にたまたま撮れた現場の様子です。 
カラスが鳴き交わす声♪が聞こえます。 

林床の左半分は雪が完全に溶けました。 
右半分には残雪が広がっています。 
根雪に埋もれて倒伏していた笹薮が起き上がり、溜め糞場rpを隠すようになりました。 
昼間は笹薮が風に揺れてカメラの誤作動が頻発し、悩まされるようになりました。 

林床の下草に笹薮が発達しているということは、当地にニホンジカ(ホンシュウジカ)が生息していないことを物語っています。
カモシカと違ってニホンジカは深雪の中での移動や採食が苦手なため、冬季の主食である笹薮が雪の下に埋もれてしまう多雪地帯には進出できないのだそうです。
日本各地でニホンジカが増え過ぎた結果、山林の植生がシカの食害で荒廃してしまう話をよく耳にします。
雪国では冬の厄介者とされる大雪によって鹿から植生が守られていることになります。
もしもこれから地球温暖化が急速に進行して冬の降雪量が減ると、東北地方日本海側にも鹿が分布を広げてくるかもしれません。


シーン12:3/16・午前4:18・気温-2℃・(@7:09〜) 
未明に右から来て立ちすくんだタヌキがカメラ目線で警戒しています。 
起動したトレイルカメラの存在を警戒しているのか、なかなか溜め糞場rpに近づこうとしません。 
笹薮の茂みの陰で身震いすると、クゥーン♪と小声で鳴きました。(@7:42〜) 
ようやく警戒を解くと慎重に溜め糞場へと近づき、念入りに匂いを嗅いで回ります。 
残念ながら尻切れトンボで録画が打ち切られました。 


シーン13:3/17・午前2:39・気温3℃・(@8:09〜) 
翌日も未明(丑三つ時)にタヌキが登場。 
溜め糞場rpで南東を向いて排便を始めるときに小声でクゥーン♪と鳴きました。 
カメラの手前で勢い良く生育する笹薮のせいで、溜め糞場rpが隠されつつあります。 
溜め糞場の周囲に笹薮が生い茂っている方が、タヌキは安心するようです。 
用を足すと、右の雪原を歩き去りました。 


シーン14:3/17・午前5:38・気温2℃・(@8:54〜) 
3時間後、日の出直前にタヌキが再び登場。 (ちなみに、日の出時刻は午前05:45。) 
排便しないで溜め糞場rpを通り過ぎると、オニグルミ大木の下で立ち止まり、クゥーン♪と淋しげに鳴きました。 
残雪を横切って右上奥に歩き去りました。 

※ 動画編集時に自動色調補正を施し、音声を正規化して音量を強制的に上げています。 


3/3〜3/17の2週間、タヌキが排便時に向いていた方角をまとめてみました。 
西1回、南西2回、南4回、南東1回、東1回、北東0回、北1回、北西2回 
確かにイヌと同様に、タヌキも南北方向を向いて排便する傾向がありそうです。 





カキノキの枝を折り取って巣材用に加工するハシボソガラス(野鳥)

 

2023年3月上旬・午前10:30頃・晴れ 

早春はカラスの繁殖期です。 
平地でも溶け残った残雪が未だ少しありますが、いよいよカラスの巣作りが始まりました。 
住宅地でハシボソガラスCorvus corone)の巣材集めを観察することができました。 



落葉したまま未だ芽吹いていないカキノキに1羽のカラスが飛来しました。 
庭木の樹上をうろついて物色すると、カラスは嘴で手頃な枝を折り取りました。 
折った枝はやや長くて持て余し気味ですけど、なんとか中央部を咥えてバランスを取ります。 
樹冠に移動してから、採取した枝を足で押さえ、二股になった部分をつついて余計な小枝を取り除こうとしています。 

その間、♀♂つがいのパートナーは巣材集めを手伝わず、近くの柵の上で警戒していました。 

私に近くから見られているのを嫌ったのか、カラスは折った枝を持って柿の木から飛び去りました。 
近くの電線の上に止まり直したのですが、手前の木が邪魔で上手く撮れず、そのシーンは割愛。 
すぐにまた少し飛んで、民家の屋根の上に着陸しました。 
複雑に曲がって分岐した枝を運ぶ際に重心を取るのが難しそうで、何度も持ち替えています。 
持ってきた枝を片足で押さえつけながら、邪魔な分枝を嘴で取り除こうと苦労しています。 

ようやく満足したようで、ハシボソガラスは巣材を咥えて巣へ飛び去りました。 
おそらく近くのクリ樹上で営巣したペアだと思います。 




※ 映像がやや不鮮明なのは、雪国(寒冷地)に特有の二重窓を通して室内から撮影したからです。 
ガラスの表面が汚れてますね。

2023/09/11

雪崩に埋もれた渓谷を夜に渡る冬毛のニホンノウサギ【トレイルカメラ:暗視映像】

 

2023年3月上旬・午後23:25頃 

里山の急斜面で2月に発生した雪崩によって、膨大な量の巨大な雪塊が渓谷をすっかり埋めてしまいました。 
それでも雪崩跡を渡って渓谷の対岸に行き来している野生動物の足跡があったので、自動撮影カメラを設置してみました。 

ある晴れた深夜に冬毛のニホンノウサギLepus brachyurus angustidens)が此岸(谷底を流れる雪解け水からすると右岸)に現れました。 
雪面の匂いを頻りに嗅ぎ回っています。 
歩き回ってもノウサギの足が雪面に潜りません。 
気温が低くて雪面が固く凍っているようです。 
此岸の雪面にはスギの落葉落枝が散乱していたのに、ノウサギはスギの葉を食べませんでした。 
スギの落葉と言っても枯れ葉ではなく、常緑のまま枝葉ごと雪の重みで折れてしまうのです。 

ニホンノウサギはあまり躊躇すること無く、身軽にピョンピョン跳んで雪崩跡を横切り、対岸に達しました。 
対岸(左岸)を右へ移動するノウサギの目が白く爛々と光って見えます。 

※ 対岸に渡った後の後半は、動画編集時に自動色調補正を施して明るく加工しています。 


カモシカと比べてノウサギは体重が軽いので、雪渓の底に潜む空洞やクレバスを踏み抜いて落ちるリスクが低いのです。






氷の下で泳ぐ早春のオタマジャクシ?|雪解け水の気泡

 

2023年3月上旬・午前11:40頃・晴れ 

登山道に向かう山麓の坂道で、薄い氷のようにシート状になった残雪の下を何か黒い物がニョロニョロと動いています。 
まるで人魂やオタマジャクシを連想させる動きです。 
傾斜のある舗装路と残雪の間に隙間ができていて、そこを雪解け水がチョロチョロと流れています。 
ときどき大きな気泡も一緒に流れて来るのです。 
半透明の氷の下に透けて見える気泡の動きが微妙に不規則で、なかなか面白いですね。



↑【おまけの動画】 Twitter(現X)でバズっていた動画です。 

似たような動画はYouTube上にもいくつか公開されています。 

 



2023/09/10

残雪に覆われた河畔林の笹薮で最大のタヌキ溜め糞場を見つけた!

 

2023年3月上旬・午後12:30頃・晴れ 

川沿いに点在するホンドタヌキNyctereutes viverrinus)の溜め糞場を3ヶ所(※上流から下流にwn➔rv➔bLの順)調べているのですが、どれも小規模です。
おまけに、季節によってはほとんど使われなくなったりします(季節消長)。 
この流域のどこかにメインの溜め糞場があるに違いないと思い、雪原に残るタヌキの足跡を辿ってみるなど、あの手この手で探しています。 

次の作戦として、河畔林がまとまった広さで残されている場所に目星をつけて、スノーシューを履いて踏査することにしました。 
すると予想通り、新たに最大規模の溜め糞場rpを発見しました。 
(他の溜め糞場との位置関係は、上流から順にwn➔rv➔bL➔rp。)
場所はオニグルミ大木の根元で、残雪の上です。 
落葉したオニグルミ樹上に見える常緑の葉は、ツルマサキという蔓植物の葉です。 
オニグルミの幹にはツルマサキやフジの蔓が巻き付いているのです。 

【追記】
大木の樹種をニセアカシアだと思い込んでいたのですが、オニグルミと分かったので訂正します。

周囲の林床には笹薮が発達しています。 
深い雪に埋もれていたササが早春の雪解けと共に再び立ち上がります。 

未だ気温が低く、食糞性の昆虫はハエ1匹さえも溜め糞場rpに来ていませんでした。 
糞を分解してくれる昆虫が休眠越冬中で居ない冬季には、糞が溜まる一方です。
溜め糞場はひたすら巨大化することになります。 

早速ここにトレイルカメラを設置して、タヌキが排便に通って来ることを確かめましょう。 
ここは比較的自然豊かな河畔林でヒトも立ち入らないので、タヌキの営巣地があるのではないか?という期待もあります。



川沿いの雪原でサイカチの豆果を拾う

 

2023年3月上旬・午後12:50頃・晴れ 

残雪に覆われた河畔林を探索していると、謎の長大な豆果が雪面に散乱していました。 
辺りを見渡すと、川岸にサイカチの大木が自生していました。 
幹には鋭い棘が生えています。 
落葉した枝には豆果が少し残っていて、風でぶらぶらと揺れています。 
採取した豆果を軽く振ると、ジャラジャラ、シャカシャカ♪と乾いた音が鳴ります。 
硬い莢を開くと、中に黒い種子が10個含まれていました。 
大きさもスイカの種ぐらいでした。
雪面のサイカチ落果に15cm定規を並べて採寸



サイカチ豆果の莢が細長く捻れているということは、枝から落ちると回転しながら風に乗って遠くまで飛ばされるのでしょうか? 
川の水に落ちたら、浮いて下流まで流されそうです。 
だとすれば、サイカチの種子散布は風散布型または水散布型と予想されます。 

ここまで書いてからネット検索してみると、サイカチの種子散布について非常にエキサイティングなストーリーがありました。 
絶滅したナウマンゾウがサイカチの種子を散布していたとの説があるそうです。
もしもナウマンゾウの糞の化石が国内で発掘されたら、糞内容物を調べて検証して欲しいものです。

 
【参考サイト】
樹木シリーズ140 サイカチ @あきた森づくり活動サポートセンター
サイカチ @山川草木図譜

サイカチの種皮は固くて水を通さないらしく、種子食性のサイカチマメゾウムシが食い破らないと発芽できないのだそうです。
昆虫写真家であられる安田守氏のブログには、サイカチマメゾウムシの成虫がサイカチの種子から脱出する瞬間を撮った見事な写真が掲載されていました。 
私も保管していたサイカチの種子をチェックしてみたのですが、残念ながらサイカチマメゾウムシは1匹も羽化していませんでした。 
サイカチマメゾウムシを調べるのなら、もっと大量にサイカチの種子を集める必要がありそうです。

ちなみに、サイカチの豆果を鞘ごと水に浸すと界面活性剤のサポニンが抽出されて、水が泡立つそうです。 
次回はそれを実演してみるつもりです。 
サイカチ種子の風散布や水散布の可能性についても、実験してみないといけません。


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