2023/09/13

雪崩に埋もれた渓谷を深夜に連れ立って渡る2頭のニホンカモシカ【トレイルカメラ:暗視映像】

 



2023年3月上旬・午前1:20頃

2月中旬に発生したと思われる雪崩によって里山の深い渓谷が埋もれてしまっています。 
深夜に2頭のニホンカモシカCapricornis crispus)が渓谷の右岸に現れました。 
2頭が連れ立って対岸(左岸)に向かって雪崩跡の上を慎重に渡り始めました。 
この日の雪質はやや凍っているようで、カモシカの体重をなんとか支え切れるぐらい硬いようです。 

ニホンカモシカはウシ科なのに群れを作らず、単独行動が基本です。 
この2頭に体格差はほとんどありませんが、おそらく母子だと思います。 
後続個体の方が体毛が白っぽく、やや小柄です。 
成獣の♀♂ペアだとしたら面白いのですが、定かではありません。 

雪山登山をするヒトはご存知かと思いますが、この雪渓を早春に渡るのは実は結構危険です。 
深い雪に埋もれて見えませんが、渓谷を流れ下る沢の水によって雪渓の底がどんどん溶けて空洞が成長しつつあるからです。 
クレバス上の雪の橋をスノーブリッジと呼びます。 
晴れた昼間は太陽光で雪面が溶かされますから、スノーブリッジは上と下から刻々と薄くなり、時限爆弾のように落とし穴(クレバス)の危険性が増します。 
雪渓を渡る途中でカモシカの蹄が運悪く空洞を踏み抜くと、クレバスに落ちて脱出できなくなる恐れがあります。 
スノーブリッジがカモシカの体重を支え切れずに崩落するかもしれません。
足の骨を折ったりしたら致命的です。 
カモシカの親子がスノーブリッジの危険性を知った上で、最低気温に下がって雪面が固くなる深夜を選んで雪渓を渡ったとしたら、なかなか賢いですね。 
賢母の知恵を子供に伝えていくのでしょう。 

カモシカの親子はなんとか無事に雪崩跡を渡ることができました。 
先行する個体(母親?)に後続の個体(幼獣?)が追いつき、顔を寄せ合っています。 
なぜかそのまま対岸でしばらく佇んでいました。 

逆に渓谷の左岸から右岸に向かって雪崩跡を渡って来るカモシカがトレイルカメラで撮れていないのは、同じ道を通らず一筆書きで縄張りを巡回しているからでしょう。 

※ 後半部は動画編集時に自動色調補正を施して明るく加工しています。




0 件のコメント:

コメントを投稿

ランダムに記事を読む